図8は、ループコイル2に地上送信器4から所定の地上信号が印加されている時に、捻架点3以外の場所で列車1に設置された4本のアンテナAが地上信号及び車上信号を送受信している状態を示している。
ここで、捻架点3とは、ループコイルのインダクタンスや静電容量の不均衡を解消するために設けられたループコイルの交差点である。
ループコイル2には、地上送信器4から出力された地上信号が印加されており、ループコイル2は、地上信号の電流成分による磁界を発生させている。
列車1に設置されたアンテナAは、ループコイル2から発せられた磁界を、磁気結合により受信し、列車1に設置されている車上送受信器6に地上信号を伝送する。
また、列車1に設置されたアンテナAは、車上送受信器6から出力された車上信号の電流成分により磁界を発生させ、磁気結合により地上受信器5に車上信号を伝送している。
列車1は、アンテナAで受信した地上信号を基に制御されている。また、アンテナAから送信する車上信号を基に列車検知が行われている。
列車1に設置されたアンテナAが地上信号を受信する動作も、アンテナAが車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナAが地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に位置するアンテナA,列車1の進行方向に対して後方に位置するアンテナAは共に、対向するループコイル2から誘起される磁界を、磁気結合により受信する。列車1に設置された4本のアンテナAには、同レベルの地上信号の電流成分が同一方向に誘起される。列車1に設置された各アンテナAは加極接続となっているため、車上送受信器6では各アンテナAで受信した地上信号が加算されて伝送される。仮に、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAで受信される地上信号のレベルを「1」、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナAで受信される地上信号のレベルを「1」とすると、車上送受信器6に伝送される地上信号は「1」+「1」=「2」となる。
しかし、図9に示すように、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAと、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナAの間にループコイル2の捻架点3が位置するように停車すると、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAに対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナAに対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分の流れる方向が逆であるため、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナAに誘起される地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナAに誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナAは加極接続となっているため、受信した地上信号は逆相となり打ち消されてしまい、車上送受信器6に地上信号は伝送されない。仮に、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAで受信される地上信号レベルを「1」とすると、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナAで受信される地上信号レベルは、前方に設置されたアンテナAでの地上信号の逆相となるため、「−1」となる。各アンテナAは加極接続であるため、車上送受信器6に伝送される地上信号は「1」+「−1」=「0」となるため、地上及び車上間での信号の伝送はできなくなってしまう。そして、ループコイル2に印加されている地上信号が受信不可となると列車は運行できなくなってしまう。
同様に、図10に示すように、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAと、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナAの間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車が停車した際も、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナAに対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対し後方に設置された2本のアンテナAに対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分の方向は逆相となる。そのため、列車の進行方向に対し前方に設置されたアンテナAに誘起される地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナAに誘起される地上信号の電流成分は逆相となり打ち消されるため、車上送受信器6に地上信号は伝送されなくなってしまう。
このような問題に対し、列車1が捻架点3上に停車した際、車上に設置された4個のアンテナAのうち、1個のアンテナAの極性を逆となるように切換える事で、所定の受信レベルを得、列車1の走行速度が所定速度以上となった時に、4個のアンテナの極性が加極となるように再切換えを行うという公知例が、「特開2001−199336号公報(特許文献1)」で開示されている。
図7は、本発明における跨座型モノレールの列車1と軌道設備8の正面図である。列車1は、軌道設備8上に載置されており、軌道設備8上を車輪9により走行できるように構成されている。
列車1には、軌道設備8の両側面に敷設されているループコイル2に対向するように、左右両側にそれぞれ2個のアンテナAが設置されている(実施例1においては片側に2個のアンテナが設置されている)。列車1の左右両側に設置されているアンテナAは、それぞれを加極接続とする構成法となっている。
ループコイル2には、地上送信器4から出力された地上信号が印加されており、ループコイル2は、地上信号の電流成分による磁界を発生させている。
列車1に設置されたアンテナAは、ループコイル2から発せられた磁界を、磁気結合により受信し、列車1に設置されている車上送受信器6に地上信号を伝送する。列車1は、車上送受信器6で受信した地上信号を基に制御されている。
また、列車1に設置されたアンテナAは、車上送受信器6から出力された車上信号の電流成分により磁界を発生させ、ループコイル2は、アンテナAから発せられた磁界を磁気結合により受信し、地上受信器5に車上信号を伝送している。アンテナAから送信される車上信号を基に列車検知が行われている。
図11は、本発明における跨座型モノレールの列車1と軌道設備8の斜視図である。例えば、列車1は3つの車両が連結して構成されている。車上送受信器は、列車の両端の車両(1α,1β)に搭載されており、車両1が進行方向αへ進む場合は、車両1αに搭載された車上送受信器を利用し、折り返して車両1が進行方向βへ進む場合は、車両1βに搭載された車上送受信器を利用する。
ここで、具体的な縮尺の一例を示す。1つのループコイル2の軌道上の長さは23〜600m、捻架点の間隔は25〜100m(通常、1つのループコイル内に捻架点が一つ以上設置される。)、ループコイルの境界は約200mm、捻架の長さは約30mmである。また、図11ではループコイル2の境界を簡略的に記載しているが、正確には図1などに示すように地上受信器または地上送信器にトランスを介して接続されている。
以下、各実施例に分けて、地上送信器4および地上受信器5に接続されたループコイル2と車上送受信器6とが信号の送受信を行うための詳細な構成について説明する。
なお、各実施例では、ループコイルと車上送受信器6とが信号の送信および受信を行う例を示しているが、受信のみや送信のみを行う車上装置にも、本発明は、当然適用可能である。
図1は、本発明を使用した実施例とその構成,動作を示している。図1は、列車の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1の間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車が停車した場合を示している。
列車1に設置されたアンテナA1が地上信号を受信する動作も、アンテナA1が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナA1が地上信号を受信する動作について説明する。
図1は、アンテナA1を、列車1の進行方向に対して前方と、列車1の進行方向に対して後方とにそれぞれ設置し、各アンテナA1は個別に車上送受信器6に接続された構成を示している。
列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1と列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1は同一巻数のコイルを有するため、各アンテナA1で受信される地上信号のレベルは同一となるが、例えば、車上送受信器6内にて、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1で受信された地上信号のレベルを2倍とする処理を行い、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1で受信された地上信号のレベルは1倍のままとし、それぞれのアンテナで受信した地上信号を加算処理する事で、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1で受信される地上信号のレベルに差を設ける事が可能となる。
列車1は進行方向に対して前方に敷設されたループコイル2に印加されている地上信号が受信不可となると運行不可となってしまうが、車上送受信器6内の処理により、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1で受信される地上信号のレベルを、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号のレベル以上とする事で、列車1の進行方向に対して前方、後方に設置されるアンテナA1の間に、同一周波数、同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車1が停車した際も、常時列車1の進行方向に対して前方に設置されたループコイル2に印加される地上信号を受信する事ができるため、列車制御を継続する事が可能となる。なお、車上送受信器6内の処理により設けられた、前方と後方のアンテナA1から受信された地上信号のレベル差は、列車制御が可能な信号レベル以上となるように設定されている。
また、上述したように、車上送受信器6内の処理により、列車1の進行方向に対して前方,後方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号のレベルに差を設ける事で、列車1の進行方向に対して前方,後方に設置されるアンテナA1の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車が停車した際も、所定の送受信レベルを得る事が可能となる。
本実施例のような構成とすることで、前方,後方に設置されるアンテナA1の間にループコイル2の境界やループコイル2の捻架点3が位置するか否かに関わらず、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、車上送受信器6がループコイル2に印加される地上信号を継続して受信することが可能となるため、安定して列車制御を継続する事が可能となる。なお、上述では、図1に示すように列車の進行方向に対して前方と後方にそれぞれ1つずつアンテナA1を設けた実施形態を説明したが、加極接続した2つのアンテナA1を前方と後方にそれぞれ配置し、前方と後方の各アンテナA1を個別に車上送受信器6に接続する実施形態においても、本実施例は適用可能である。
図2は、本発明を使用した実施例とその構成,動作を示している。図2は、列車1の進行方向に対して前方,後方に設置されるアンテナA1の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車が停車した場合を示している。
列車1に設置されたアンテナA1,A2が地上信号を受信する動作も、アンテナA1,A2が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナA1,A2が地上信号を受信する動作について説明する。
図2は、列車1の進行方向に対し前方に巻数Mのコイルを有する2本のアンテナA1を設置し、列車1の進行方向に対し後方に巻数Nのコイルを有する2本のアンテナA2を設置し、各アンテナA1,A2を加極接続とした構成を示した図である。なお、列車1の進行方向に対し前方,後方に設置されるアンテナA1,A2の巻数,M,Nには、例えばM>Nの関係があるとする。巻数の多いコイルを有するアンテナの方が受信感度に優れる事から、本構成では列車1の進行方向に対し前方に設置されるアンテナA1の受信感度の方が、列車1の後方に設置されたアンテナA2の受信感度よりも高くなっている。
以下に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA2の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車した際の、地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA2の間にループコイル2の捻架点3が位置するように停車すると、アンテナA1に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、アンテナA2に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分の流れる方向が逆相であるため、アンテナA1に誘起される地上信号の電流成分と、アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナA1,A2は加極接続となっているため、アンテナA1で受信された地上信号と、アンテナA2で受信された地上信号は打ち消し合う動作となる。
しかし、アンテナA1の有するコイルの巻数Mは、アンテナA2の有するコイルの巻数Nよりも大きいため、アンテナA1で受信される地上信号はアンテナA2で受信される地上信号よりも大きくなり、アンテナA1,アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分が逆相となっても、レベルの大きいアンテナA1で受信された地上信号は打ち消されずに残り、車上送受信器6に伝送される。
仮に、アンテナA1で受信される地上信号のレベルを「IM」、アンテナA2で受信される地上信号のレベルを「IN」とすると、アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分の流れは、アンテナA1に誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため、「−IN」となる。各アンテナA1,A2は加極接続としているため、車上送受信器6には「IM」+「−IN」=「IM−IN」の地上信号が伝送される。アンテナA1の巻数は、アンテナA2の巻数よりも大きいため、地上信号の受信レベル「IM」,「IN」は「IM」>「IN」の関係となる。この事から、車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」となる事はない。なお、車上送受信器6に伝送される地上信号「IM−IN」は、列車制御が可能なレベル以上となるように設定されている。
なお本説明では、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1の受信感度のほうが、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA2の受信感度よりも高いと仮定したが、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA2の受信感度を高くする構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。
また、本説明では4本のアンテナを加極接続とした構成としたが、4本のアンテナを減極接続とし、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA2で受信される地上信号にレベル差を設ける構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。
本実施例によると、ループコイル2の捻架点3上にアンテナが存在するか否かに関わらず、車上送受信器6は、常に地上信号を受信可能な状態となる。つまり、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、安定して地上と信号の送受信を継続できる。
図3は、本発明を使用した実施例とその構成,動作を示している。図3は、列車の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA2の間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車が停車した場合を示している。
列車1に設置されたアンテナA1,A2が地上信号を受信する動作も、アンテナA1,A2が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナA1,A2が地上信号を受信する動作について説明する。
図3は、列車1の進行方向に対し前方に巻数Mのコイルを有する2本のアンテナA1を設置し、列車1の進行方向に対し後方に巻数Nのコイルを有する2本のアンテナA2を設置し、各アンテナA1,A2を加極接続とした構成を示した図である。なお、列車1の進行方向に対し前方,後方に設置されるアンテナA1,A2の巻数,M,Nには、例えばM>Nの関係があるとする。巻数の多いコイルを有するアンテナの方が受信感度に優れる事から、本構成では列車1の進行方向に対し前方に設置されるアンテナA1の受信感度の方が、列車1の後方に設置されたアンテナA2の受信感度よりも高くなっている。
以下に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA2の間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車1が停車した際の、地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA2の間に同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように停車すると、アンテナA1に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、アンテナA2に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分流れる方向が逆相であるため、アンテナA1に誘起される地上信号の電流成分と、アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナA1,A2は加極接続となっているため、アンテナA1で受信された地上信号と、アンテナA2で受信された地上信号は打ち消し合う動作となる。
しかし、アンテナA1の有するコイルの巻数Mは、アンテナA2の有するコイルの巻数Nよりも大きいため、アンテナA1で受信される地上信号はアンテナA2で受信される地上信号よりも大きくなり、アンテナA1,アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分が逆相となっても、レベルの大きいアンテナA1で受信された地上信号は打ち消されずに残り、車上送受信器6に伝送される。
仮に、アンテナA1で受信される地上信号のレベルを「IM」、アンテナA2で受信される地上信号のレベルを「IN」とすると、アンテナA2に誘起される地上信号の電流成分の流れは、アンテナA1に誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため、「−IN」となる。各アンテナA1,A2は加極接続であるため、車上送受信器6には「IM」+「−IN」=「IM−IN」の地上信号が伝送される。アンテナA1の巻数は、アンテナA2の巻数よりも大きいため、地上信号の受信レベル「IM」,「IN」は「IM」>「IN」の関係となる。この事から、車上送受信器6には、常時列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1で受信される地上信号が伝送される。なお、車上送受信器6に伝送される地上信号「IM−IN」は、列車制御が可能なレベル以上となるように設定されている。
列車1は、進行方向に対して前方に敷設されたループコイル2に印加されている地上信号が受信不可となると運行不可となってしまう。そのため、本実施例に示したように、列車1の進行方向に対して前方に設置するアンテナA1の受信感度が高くなる構成とする事で、列車1の進行方向に対し前方に敷設されたループコイル2に印加される地上信号を常時受信する事ができるため、列車の進行方向の前方の信号情報を車上で確認することができるため、列車制御を安定して継続する事が可能となる。
本実施例によると、2つのループコイル2の境界上にアンテナが存在するか否かに関わらず、車上送受信器6は、常に地上信号を受信可能な状態となる。つまり、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、安定して地上と信号の送受信を継続できる。
図4は、本発明を使用した実施例とその構成,動作を示している。
列車1に設置されたアンテナA3,A4が地上信号を受信する動作も、アンテナA3,A4が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナA3,A4が地上信号を受信する動作について説明する。
図4に示すアンテナA3は、ループコイル2に印加される地上信号,車上送受信器6から出力される車上信号の送受信を主たる目的とした巻数TのコイルTと、巻数mのコイルmを有している。また、アンテナA4は、ループコイル2に印加される地上信号,車上送受信器6から出力される車上信号の送受信を主たる目的とした巻数TのコイルTと、巻数nのコイルnを有している。なお、補助コイルの巻数m,nには、例えばm>nの関係があるとする。
図4では、列車1の進行方向に対し前方にアンテナA3が設置され、列車1の進行方向に対し後方にアンテナA4が設置されている。アンテナA3のコイルTとアンテナA4のTコイルはそれぞれ加極構成とされて主アンテナ回路を構成している。主アンテナ回路は車上送受信器6に接続されている。アンテナA3のコイルmとアンテナA4のコイルnもそれぞれ加極接続とされて補助アンテナ回路を構成している。補助アンテナ回路も車上送受信器6に接続されている。
本構成では、アンテナA3,A4に設けられたコイルTは、列車1の進行方向に対して前方と後方に設置されるアンテナA3,A4共に同一巻数であるため同一の受信感度となっているが、アンテナA3,A4にそれぞれ設けられたコイルmとコイルnの巻数はアンテナA3のコイルmの方が、アンテナA4のコイルnよりも大きいため、アンテナA3の受信感度の方が高くなっている。
以下に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA3と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA4の間に、ループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車した際の地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA3と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA4の間にループコイル2の捻架点3が位置するように停車すると、アンテナA3に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、アンテナA4に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分の流れる方向が逆であるため、アンテナA3に誘起される地上信号の電流成分と、アンテナA4に誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナA3,A4は加極接続となっているため、アンテナA3で受信された地上信号と、アンテナA4で受信された地上信号は打ち消し合う動作となる。
主アンテナ回路において、地上信号、車上信号の送受信を主たる目的とするコイルTは、アンテナA3,アンテナA4共に同一の受信感度である事から、アンテナA3に設けられたコイルTで受信される地上信号と、アンテナA4に設けられたコイルTで受信される地上信号は打ち消されるため、主アンテナ回路を介して車上送受信器6へ地上信号は伝送されなくなる。
しかし、補助アンテナ回路において、アンテナA3に設けられたコイルmの巻数mは、アンテナA4に設けられたコイルnの巻数nよりも大きいため、アンテナA3に設けられたコイルmで受信される地上信号はアンテナA4に設けられたコイルnで受信される地上信号よりも大きくなり、レベルの大きいアンテナA3に設けられたコイルmで受信された地上信号は打ち消されずに残り、補助アンテナ回路を介して車上送受信器6に伝送される。
地上信号,車上信号の送受信を主たる目的とする主アンテナ回路から車上送受信器6へ伝送される地上信号の受信レベルが、所定値以下となった場合、補助アンテナ回路で受信した地上信号を車上送受信器6で確認し、列車制御に利用する制御方法とする事で、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA3と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA4の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車しても、地上及び車上間での信号の伝送が途絶える事を防止できる。
仮に、アンテナA3に設けられたコイルTで受信される地上信号のレベルを「IT」とすると、アンテナA4に設けられたコイルTで受信される地上信号のレベルも同様に「IT」となる。アンテナA3と、アンテナA4の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車すると、アンテナA4に設けられたコイルTに誘起される地上信号の電流成分は、アンテナA3に設けられたコイルTに誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため、「−IT」となる。主アンテナ回路では、各アンテナA3,A4は加極接続としているため、主アンテナ回路を介して車上送受信器6には「IT」+「−IT」=「0」、すなわち、地上信号は伝送されなくなる。
上記と同条件におけるアンテナA3に設けられたコイルmで受信される地上信号のレベルを「Im」、アンテナA4に設けられたコイルnで受信される地上信号のレベルを「In」とすると、アンテナA4に設けられたコイルnに誘起される地上信号の電流成分は、アンテナA3に設けられたコイルmに誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため、「−In」となる。補助アンテナ回路では、各アンテナA3,A4は加極接続であるため、補助アンテナ回路を介して車上送受信器6には「Im」+「−In」=「Im−In」の地上信号が伝送される。アンテナA3に設けられたコイルmの巻数は、アンテナA4に設けられたコイルnの巻数よりも大きいため、地上信号の受信レベル「Im」,「In」は「Im」>「In」の関係となる。この事から、補助アンテナ回路を介して車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。なお、補助アンテナ回路を介して車上送受信器6に伝送される地上信号「IM−IN」は、列車制御が可能なレベル以上となるように設定されている。
本実施例では、アンテナA3に設けられたコイルmの受信感度のほうが、アンテナA4に設けられたコイルnの受信感度よりも高いと仮定したが、アンテナA4に設けられたコイルnの受信感度をアンテナA3に設けられたコイルmの受信感度よりも高くする構成としても、補助アンテナ回路を介して車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。
また、本説明ではアンテナに設けられたコイルmとコイルnを加極接続とした構成としたが、減極接続とし、アンテナA3に設けられたコイルmで受信される地上信号と、アンテナA4に設けられたコイルnで受信される地上信号にレベル差を設ける構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。
本実施例では、列車1の進行方向に対して前方と後方のアンテナA3,A4のそれぞれに設けた信号受信感度の異なるコイルを接続した補助アンテナ回路を有し、アンテナA3,A4にそれぞれ設けたコイルを接続した主アンテナ回路からの受信レベルが所定値以下となった場合に、補助アンテナ回路から受信した信号を確認する構成としている。そのため、車上送受信器6は、常に主アンテナ回路と補助アンテナ回路の何れかにより地上信号を受信している状態となる。つまり、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、安定して地上と信号の送受信を継続できる。
なお本実施例のように、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA3の受信感度を、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA4の受信感度よりも高い構成とする事で、アンテナA3と、アンテナA4の間に、同一周波数、同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車1が停車した際も、常時列車1の進行方向に対して前方に敷設されたループコイル2に印加される地上信号を受信する事ができるため、列車制御をより安定して継続する事が可能となる。
図5は、本発明を使用した実施例とその構成,動作を示している。
列車1に設置されたアンテナA5が地上信号を受信する動作も、アンテナA5が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、以下、アンテナA5が地上信号を受信する動作について説明する。
図5に示すアンテナA5は、巻数UのコイルUと、巻数pのコイルpを有する物である。なお、巻数U,pには、例えばU>pの関係があるとする。
図5は、列車1にアンテナA5を4本設置し、列車1の進行方向に対して前方に設置するアンテナA5のコイルUと、列車1の進行方向に対して後方に設置するアンテナA5のコイルpを加極接続として車上送受信器6に接続した主アンテナ回路と、列車1の進行方向に対して前方に設置するアンテナA5のコイルpと、列車1の進行方向に対して後方に設置するアンテナA5のコイルUを加極接続として車上送受信器6に接続した補助アンテナ回路の構成を示した図である。
本構成は、列車1に設置されるアンテナA5は4本とも同一の物であるが、主アンテナ回路を、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA5のコイルUと、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA5のコイルpを加極接続とする事で、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5の送受信感度を、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5の送受信感度よりも高くしたものである。
以下に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA5と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA5の間に、ループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車した際の地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナA5と、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナA5の間にループコイル2の捻架点3が位置するように停車すると、列車1の進行方向に対して前方に設置された2本のアンテナA5に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置された2本のアンテナA5に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分の流れる方向が逆であるため、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA5に誘起される地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA5に誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナA5は加極接続となっているため、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA5で受信された地上信号と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA5で受信された地上信号は打ち消し合う動作となる。
しかし、主アンテナ回路において、列車1の進行方向に対し前方に設置されるアンテナA5のコイルUの巻数Uは、列車1の進行方向に対し後方に設置されるアンテナA5のコイルpの巻数pよりも大きいため、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5で受信される地上信号は、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5で受信される地上信号よりも大きくなり、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5に誘起される地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5に誘起される地上信号の電流成分が逆相となっても、レベルの大きい列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA5で受信された地上信号は打ち消されずに残り、車上送受信器6に伝送される。
仮に、主アンテナ回路において、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA5のコイルUで受信される地上信号のレベルを「IU」、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA5のコイルpで受信される地上信号のレベルを「Ip」とすると、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA5に設けられたコイルpに誘起される地上信号の電流成分は、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA5に設けられたコイルUに誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため、「−Ip」となる。アンテナA5のコイルUと、アンテナA5のコイルpは加極接続であるため、車上送受信器6には主アンテナ回路を介して「IU」+「−Ip」=「IU−Ip」の地上信号が伝送される。列車1の進行方向に対し前方に設置されるアンテナA5のコイルUの巻数は、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA5のコイルpの巻数よりも大きいため、地上信号の受信レベル「IU」,「Ip」には「IU」>「Ip」の関係となる。この事から、車上送受信器6に主アンテナ回路を介して伝送される地上信号は「0」とならない。
本実施例では、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5の受信感度のほうが、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5の受信感度よりも高いと仮定したが、列車1の進行方向に対し後方に設置されるアンテナA5の受信感度を、前方に設置されるアンテナA5の受信感度よりも高くする構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。そのため、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、安定して地上と信号の送受信を継続できる。
また、本説明では列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5に設けられたコイルUと、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5に設けられたコイルpを加極接続とした構成としたが、減極接続とし、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5で受信される地上信号と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5で受信される地上信号にレベル差を設ける構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」とならない。
なお本構成の主アンテナ回路のように、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA5の受信感度を、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA5の受信感度よりも高い構成とする事で、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA5と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA5の間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車1が停車した際も、常時列車1の進行方向に対して前方に敷設されたループコイル2に印加される地上信号を受信する事ができるため、列車制御をより安定して継続する事が可能となる。
なお、上述した本実施形態に加えて、主アンテナ回路を介して車上送受信器6が受信する地上信号の受信レベルが、何らかの理由により、所定レベルを下回った場合には、車上送受信器6で補助アンテナ回路で受信した地上信号を車上送受信器6で確認し、列車制御に利用する制御方法とする。このようにすると、車上送受信器6は、常に主アンテナ回路と補助アンテナ回路の何れかにより地上信号を受信している状態となり、列車制御をさらに安定して継続する事が可能となる。
また、主アンテナ回路では、後方よりも前方のアンテナA5の方が受信感度が高くし、補助アンテナ回路では、前方よりも後方のアンテナA5の方が受信感度が高くする構成とすると、主アンテナ回路を介して車上送受信器6が受信する地上信号の受信レベルが所定レベルよりも小さい場合であっても、補助アンテナ回路は主アンテナ回路とは異なる条件で常に信号を受信しているため、主アンテナ回路と補助アンテナ回路との両方の受信レベルが同時に低下する事態を回避することが可能となる。よって、列車制御をさらに安定して継続する事が可能となる。
本実施例では、主アンテナ回路と補助アンテナ回路の両方において前後のアンテナ間で受信感度に差を設ける構成としたが、補助アンテナ回路においては前後のアンテナ間で受信感度を同じとする構成としても良い。この構成においても、補助アンテナ回路は主アンテナ回路とは異なる条件で常に信号を受信しているため、主アンテナ回路と補助アンテナ回路との両方の受信レベルが同時に低下する事態を回避することが可能となる。
図6は、本発明を使用した実施例とその構成、動作を示している。
列車1に設置されたアンテナA1が地上信号を受信する動作も、アンテナA1が車上信号を送信する動作も原理は同じである事から、アンテナA1が地上信号を受信する動作について説明する。
図6は、列車1の進行方向に対し前方に巻数Mのコイルを有するアンテナA1を2本設置し、列車1の進行方向に対し後方にアンテナA1を1本設置し、各アンテナA1を加極接続とした実施例である。
以下に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA1の間にループコイル2の捻架点3が位置するように列車1が停車した際の地上信号を受信する動作について説明する。
列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1の間にループコイル2の捻架点3が位置するように停車すると、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1に対向するループコイル2に流れる地上信号の電流成分は逆相となる。地上信号の電流成分の流れる方向が逆相であるため、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1に誘起される地上信号の電流成分と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1に誘起される地上信号の電流成分は逆相となる。各アンテナA1は加極接続となっているため、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA1で受信された地上信号と、列車1の進行方向に対し後方に設置されたアンテナA1で受信された地上信号は打ち消し合う動作となる。
しかし、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1の本数は、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1の本数の2倍であるため、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA12本で受信される地上信号は、列車1の後方に設置されたアンテナA11本で受信される地上信号の2倍となる。そのため、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1,列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1に誘起される地上信号の電流成分が逆相となっても、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA1で受信された地上信号は打ち消されずに残り、車上送受信器6に伝送される。
仮に、列車1の進行方向に対し前方に設置されたアンテナA12本で受信される地上信号のレベルを「IM」とすると、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA11本で受信される地上信号のレベルは半分であり、誘起される地上信号の電流成分の流れは列車1の進行方向に対し前方に設置されるアンテナA1に誘起される地上信号の電流成分の流れと逆相となるため「−0.5IM」となる。各アンテナA1は加極接続であるため、車上送受信器6には「IM」+「−0.5IM」=「0.5IM」の地上信号が伝送される。この事から、車上送受信器6に伝送される地上信号は「0」となる事はない。
本説明では、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1を2本、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1を1本とする事で、列車の進行方向に対して前方に設置されるアンテナの受信感度を高いと仮定したが、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1の本数よりも、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1の本数を多くし、列車の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1の受信感度を、前方に設置されるアンテナA1の受信感度よりも高くする構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号が「0」となることを防止できる。そのため、特許文献1のように回路上の接点によりアンテナの極性を切替える必要がなく、安定して地上と信号の送受信を継続できる。
なお、設置するアンテナの本数に関わらず、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号にレベル差を設ける事ができれば車上送受信器6に伝送される地上信号が「0」となることを防止できる。
また、本説明では列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1を加極接続とした構成としたが、減極接続とし、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号と、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1で受信される地上信号にレベル差を設ける構成としても車上送受信器6に伝送される地上信号が「0」となることを防止できる。
なお本構成のように、列車1の進行方向に対して前方に設置されるアンテナA1の受信感度を、列車1の進行方向に対して後方に設置されるアンテナA1の受信感度よりも高い構成とする事で、列車1の進行方向に対して前方に設置されたアンテナA1と、列車1の進行方向に対して後方に設置されたアンテナA1の間に、同一周波数,同一レベルの地上信号が印加された2つのループコイル2の境界が位置するように列車1が停車した際も、常時列車1の進行方向に対して前方に敷設されたループコイル2に印加される地上信号を受信する事ができるため、列車制御をより安定して継続する事が可能となる。
上記した実施例2,3,4,5では、アンテナの感度を上げる方法として、コイルの巻数を増やす実施例を示したが、他の方法としてアンテナの鉄心を太くするようにしても良い。また、鉄心の材質を変えてアンテナ感度を上げるようにしても良い。さらには、コイルの太さを太くするようにしてもアンテナの感度を向上させることができる。つまり、インダクタンスを大きくすることでアンテナの感度の向上が図れる。
上記した各実施例では、列車1の進行方向の前後で別々のアンテナを備える例を説明したが、一つの鉄心の両端にコイルを巻いて前後で別々のアンテナを構成するようにしても良い。このように鉄心を共通とする場合であっても、両端に集中してコイルが巻かれる場合には、2つの別々のアンテナと考えるものとする。
上記した各実施例では、跨座型モノレールについて説明したが、本発明は、跨座型モノレールに限られるものではなく、懸垂式モノレールなどの他方式のモノレールにも適用可能である。