本発明の実施形態について説明する。図1(A)はレーザ照射装置の構成を示す図である。このレーザ照射装置は、レーザ発振器101、レーザ発振器101を発振源とするレーザ光(好ましくは第2高調波)を線状に加工する光学系201、透光性基板を固定するステージ102を有し、ステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されて、基板を450℃まで加熱することができる。また、ステージ102上には半導体膜が形成された基板106が設置される。
なお、レーザ発振器101から出力されたレーザ光を第2高調波または第3高調波に変調する場合は、レーザ発振器101の直後に非線形光学素子を含む波長変調器を設ければ良い。
次に、図1(A)のような構成のレーザ照射装置において、基板106の保持方法を図1(B)を用いて説明する。ステージ102に保持された基板106は、反応室107に設置され、レーザ101を発振源とする線状のレーザ光が照射される。反応室内は図示されていない排気系またはガス系により減圧状態または不活性ガス雰囲気とすることができ、半導体膜を汚染させることなく450℃程度まで加熱することができる。
また、ステージ102はガイドレール108に沿って反応室内を移動することができ、基板の全面に線状のレーザ光を照射することができる。レーザ光は基板106の上面に設けられた図示されていない石英製の窓から入射する。また、図1(B)ではこの反応室107にトランスファー室109、中間室110、ロード・アンロード室111が接続され、それぞれの室は仕切弁112、113で分離されている。
ロード・アンロード室111には複数の基板を保持することが可能なカセット114が設置され、トランスファー室109に設けられた搬送ロボット115により基板が搬送される。基板106'は搬送中の基板を表す。このような構成とすることによりレーザアニールを減圧下または不活性ガス雰囲気中で連続して処理することができる。
次に、レーザ光を線状にする光学系201の構成について図2を用いて説明する。図2(A)は光学系201を側面から見た図であり、図2(B)は光学系201を上面から見た図である。
レーザ101を発振源とするレーザ光はシリンドリカルアレイレンズ202により縦方向に分割される。この分割されたレーザ光はシリンドリカルレンズ203によりさらに横方向に分割される。即ち、レーザ光はシリンドリカルアレイレンズ202、203によって最終的にはマトリクス状に分割されることになる。
そして、レーザ光はシリンドリカルレンズ204により一旦集光される。その際、シリンドリカルレンズ204の直後にシリンドリカルレンズ205を通る。
その後、ミラー206で反射され、シリンドリカルレンズ207を通った後、照射面208に達する。
このとき、照射面208に投影されたレーザ光は線状の照射面を示す。即ち、シリンドリカルレンズ207を透過したレーザ光の断面形状は線状になっていることを意味する。この線状に加工されたレーザ光の幅方向(短い方向)の均質化は、シリンドリカルアレイレンズ202、シリンドリカルレンズ204及びシリンドリカルレンズ207で行われる。また、上記レーザ光の長さ方向(長い方向)の均質化は、シリンドリカルアレイレンズ203及びシリンドリカルレンズ205で行われる。
次に、本発明のレーザ光をゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうための構成について図3を用いて説明する。図3に示したのは、図1における基板106とレーザ光の照射の様子を示す図である。
図3において、311はTFTのゲート電極まで形成されているものである。
ここで、TFTのゲート電極まで形成する方法について図4を用いて説明する。
まず、透光性基板300はガラス基板、合成石英ガラス基板、結晶化ガラス基板若しくはプラスチック基板が用いられる。下地絶縁膜301は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜を用いれば良い。もちろん下地絶縁膜は単層でなく、積層としてもよい。
そして、非晶質構造を有する半導体膜303を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素または珪素ゲルマニウム(SiGe)合金などで形成するとよい。そして前記半導体膜に結晶化を助長する金属元素を添加して金属含有層304を形成し、加熱処理を行なって半導体膜を結晶化させる。もちろん、他の公知の結晶化法(レーザ結晶化法など)を組み合わせても良い。
結晶化した半導体膜をパターニングした後、絶縁膜306を酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜などで形成し、続いて導電膜306を形成する。導電膜の材料に特に限定はないが、Ta、W、Ti、Mo、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。もちろん、導電膜は単層ではなく、積層としてもよい。続いてエッチングを行なって端部にテーパーを有するゲート電極307を形成する。
そして、ドーピング処理を行なって、不純物元素の導入を行なう。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する。希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素を導入してもよい。加えて、水素を添加してもよい。もちろん、希ガス元素を導入する工程と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する工程とを分けて行なっても良い。ドーピング処理により、不純物元素が高濃度に導入された領域303、ゲート電極の端部のテーパーにより低濃度に導入された領域304および不純物元素が導入されない領域(チャネル形成領域)305が形成される。そして、加熱処理を行なって、前記金属元素のゲッタリングを行なう。前記加熱処理により、チャネル形成領域から不純物元素が添加された領域へ金属元素が移動し、チャネル形成領域を高抵抗領域とすることができる。
そして、希ガス元素が導入された領域の結晶性の回復を十分に行なうための方法を図3に示す。図2で説明した光学系201(図中ではシリンドリカルレンズ207のみを示す。)を経由して線状に加工されたレーザ光がゲート電極307を加熱し、その熱により前記ゲート電極307の一部と重なる不純物領域309が加熱される。(図23(A))
また、希ガス元素が導入された領域の結晶性の回復を十分に行なうための他の方法を図23(B)に示す。図23(B)のように、半導体基板の裏面側からレーザ光317を照射すると、前記レーザ光の一部が半導体膜を透過してゲート電極を加熱し、該ゲート電極からの熱318およびレーザ光317によって前記ゲート電極307の一部と重なる不純物領域309が加熱される。
以上のように、本発明によれば、レーザ光(好ましくは固体レーザを発振源とするレーザ光)を線状に加工することが可能であり、且つ、そのレーザ光をゲート電極に照射して加熱された前記ゲート電極が、前記ゲート電極の一部と重なる不純物領域を加熱することが可能である。さらに、ソース領域およびドレイン領域はLDD領域に比べて低抵抗領域でなくてはならないが、レーザ光がゲート電極を介せず照射されるため、不純物元素を活性化が十分行なわれることになる。
さらに、レーザ照射装置のステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されているため、基板を450℃程度まで加熱しながら、レーザ光を照射することが可能となり、さらに効率良く結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうことができる。
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行なうこととする。
本実施例では、希ガス元素(As、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた1種または複数種)のうちアルゴンを添加してゲッタリングした後、レーザ照射を行った例を示す。
まず、半導体膜として50nmの非晶質珪素膜に10ppmの酢酸ニッケル含有水溶液を塗布した後、500℃にて1時間の脱水素処理と、550℃にて4時間の加熱処理により結晶化させた結晶質半導体膜を用いた。この結晶化半導体膜をパターニングした後、90nmの酸化珪素膜を形成した。次いで、90nmの酸化珪素膜を通過させて、結晶質半導体膜にリンを注入した後にアルゴンを注入した。この時、リンの注入条件は、水素で希釈された5%のPH3を用い、加速電圧80keV、ドーズ量1.5×1015/cm2とした。注入に要する時間は約8分であり、結晶質半導体膜には平均濃度で2×1020/cm3のリンを注入することができる。一方、アルゴンは90keVの加速電圧で、2×1015または4×1015/cm2のドーズ量で注入した。次いで、窒素雰囲気中、550℃にて4時間の加熱処理を行ってゲッタリングを行った。
次いで、レーザエネルギーの条件をふり、エキシマレーザ光を照射した。その後、シート抵抗を測定した実験結果を図20に示す。
図20に示したようにレーザ光を照射することによって、シート抵抗値をデバイス特性上、問題ないレベルにまで低減することができた。
本発明は、ゲート電極形成後にレーザ光を照射し、該レーザ光により加熱されたゲート電極が、前記ゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうものである。図20においては、ゲート電極は形成されていない場合を示したが、シート抵抗値をデバイスの特性上、問題のないレベルまで低減することが出来ている。そのため、本発明を適用し、ゲート電極によってさらに前記不純物領域を加熱する手段が増えれば、図20で示したより低いレーザエネルギーでシート抵抗値を低減することも可能となる。このことにより、さらにランニングコストを低減することが可能となる。
なお、本実施例ではレーザ光としてパルス発振型のエキシマレーザを用いたが、特に限定されず、連続発光型のエキシマレーザやYAGレーザ、YVO4レーザを用いてもよい。
本発明の実施例について説明する。図1(A)はレーザ照射装置の構成を示す図である。このレーザ照射装置は、レーザ発振器101、レーザ発振器101を発振源とするレーザ光(好ましくは第2高調波)を線状に加工する光学系201、透光性基板を固定するステージ102を有し、ステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されて、基板を100〜450℃まで加熱することができる。また、ステージ102上には半導体膜が形成された基板106が設置される。
なお、レーザ発振器101から出力されたレーザ光を第2高調波または第3高調波に変調する場合は、レーザ発振器101の直後に非線形光学素子を含む波長変調器を設ければ良い。本実施例ではレーザ発振器101として、Nd:YAGレーザを用い、非線形光学素子によって第2高調波に変調したレーザ光を用いた。しかしながら、Nd:YAGレーザはコヒーレント性の高いレーザであるため、光学系201の前に薄膜偏光素子(TFP;Thin Film Polarizer)および偏光板などを設置して、レーザ発振器101から発振されたレーザ光の一部に光路長を追加し、照射面における干渉を防ぐことが望ましい。
次に、図1(A)のような構成のレーザ照射装置において、基板106の保持方法を図1(B)を用いて説明する。ステージ102に保持された基板106は、反応室107に設置され、レーザ101を発振源とする線状のレーザ光が照射される。反応室内は図示されていない排気系またはガス系により減圧状態または不活性ガス雰囲気とすることができ、半導体膜を汚染させることなく450℃程度まで加熱することができる。
また、ステージ102はガイドレール108に沿って反応室内を移動することができ、基板の全面に線状のレーザ光を照射することができる。レーザ光は基板106の上面に設けられた図示されていない石英製の窓から入射する。また、図1(B)ではこの反応室107にトランスファー室109、中間室110、ロード・アンロード室111が接続され、それぞれの室は仕切弁112、113で分離されている。
ロード・アンロード室111には複数の基板を保持することが可能なカセット114が設置され、トランスファー室109に設けられた搬送ロボット115により基板が搬送される。基板106'は搬送中の基板を表す。このような構成とすることによりレーザアニールを減圧下または不活性ガス雰囲気中で連続して処理することができる。
次に、レーザ光を線状にする光学系201の構成について図2を用いて説明する。図2(A)は光学系201を側面から見た図であり、図2(B)は光学系201を上面から見た図である。
レーザ101を発振源とするレーザ光はシリンドリカルアレイレンズ202により縦方向に分割される。この分割されたレーザ光はシリンドリカルレンズ203によりさらに横方向に分割される。即ち、レーザ光はシリンドリカルアレイレンズ202、203によって最終的にはマトリクス状に分割されることになる。
そして、レーザ光はシリンドリカルレンズ204により一旦集光される。その際、シリンドリカルレンズ204の直後にシリンドリカルレンズ205を通る。
その後、ミラー206で反射され、シリンドリカルレンズ207を通った後、照射面208に達する。
このとき、照射面208に投影されたレーザ光は線状の照射面を示す。即ち、シリンドリカルレンズ207を透過したレーザ光の断面形状は線状になっていることを意味する。この線状に加工されたレーザ光の幅方向(短い方向)の均質化は、シリンドリカルアレイレンズ202、シリンドリカルレンズ204及びシリンドリカルレンズ207で行われる。また、上記レーザ光の長さ方向(長い方向)の均質化は、シリンドリカルアレイレンズ203及びシリンドリカルレンズ205で行われる。
次に、本発明のレーザ光をゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうための構成について図3を用いて説明する。図3に示したのは、図1における基板106とレーザ光の照射の様子を示す図である。
ここで、TFTのゲート電極まで形成する方法について図4を用いて説明する。まず、透光性基板300はガラス基板、合成石英ガラス基板、結晶化ガラス基板若しくはプラスチック基板が用いられる。本実施例では透光性基板として合成石英ガラス基板を用いる。
そして、下地絶縁膜301は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜を用いれば良い。もちろん下地絶縁膜は単層でなく、積層としてもよい。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化珪素膜を形成する。
そして、非晶質構造を有する半導体膜303を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素または珪素ゲルマニウム(SiGe)合金などで形成するとよい。本実施例では、プラズマCVD法により、膜厚50nmの非晶質珪素膜を形成する。そして前記半導体膜に結晶化を助長する金属元素を添加して金属含有層304を形成する。前記金属元素の導入する方法は、プラズマ処理や蒸着、スパッタ法、イオン注入、溶液塗布等を利用すればよい。本実施例では、酢酸ニッケル水溶液(重量換算濃度15ppm、体積5ml)を前記非晶質珪素膜表面にスピンコート法にて塗布する。そして、加熱処理を行なって半導体膜を結晶化させる。加熱時間や温度は、半導体膜や添加する金属元素によるので、実施者が適宜決定すれば良い。本実施例では、550℃の窒素雰囲気中に4時間曝す。結晶化した半導体膜のパターニング後、絶縁膜306を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜などで形成する。
続いて、導電膜306を形成する。導電膜の材料に特に限定はないが、Ta、W、Ti、Mo、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。もちろん、導電膜は単層ではなく、積層としてもよい。本実施例では、膜厚400nmのW膜からなる導電膜306を形成する。
続いてエッチングを行なって端部にテーパーを有するゲート電極307を形成する。フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、電極及び配線を形成するためのエッチング処理を行なう。本実施例ではエッチング処理として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行なった。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いた。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。このエッチング処理によりW膜をエッチングして導電層の端部をテーパー形状とする。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
上記エッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。305はゲート絶縁膜であり、導電層306で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、ドーピング処理を行なって、不純物元素の導入を行なう。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する。希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素を導入してもよい。加えて、水素を添加してもよい。もちろん、希ガス元素を導入する工程と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する工程とを分けて行なっても良い。ドーピング処理により、不純物元素が高濃度に導入された領域303、ゲート電極の端部のテーパーにより低濃度に導入された領域304および不純物元素が導入されない領域(チャネル形成領域)305が形成される。本実施例では、15族に属する元素としてリンを、希ガス元素としてアルゴンを用いた。リンの注入条件は、水素で希釈された5%のPH3を用い、加速電圧80keV、ドーズ量1.5×1015/cm2とした。注入に要する時間は約8分であり、結晶質半導体膜には平均濃度で2×1020/cm3のリンを注入することができる。一方、アルゴンは90keVの加速電圧で、2×1015/cm2のドーズ量で注入した。
続いて、加熱処理を行なって、前記金属元素のゲッタリングを行なう。前記加熱処理により、チャネル形成領域から不純物元素が添加された領域へ金属元素が移動し、チャネル形成領域を高抵抗領域とすることができる。本実施例では、窒素雰囲気中、550℃にて4時間の加熱処理を行ってゲッタリングを行った。
そして、ゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復を十分に行なうための方法を図3に示す。図2で説明した光学系201(図中ではシリンドリカルレンズ207のみを示す。)を経由して線状に加工されたレーザ光がゲート電極307を加熱し、その熱により前記ゲート電極307の一部と重なる不純物領域が加熱される。
以上のように、本発明によれば、レーザ光(好ましくは固体レーザを発振源とするレーザ光)を線状に加工することが可能であり、且つ、そのレーザ光をゲート電極に照射して加熱された前記ゲート電極が、前記ゲート電極の一部と重なる不純物領域を加熱することが可能である。さらに、ソース領域およびドレイン領域はLDD領域に比べて低抵抗領域でなくてはならないが、レーザ光がゲート電極を介せず照射されるため、不純物元素を活性化が十分行なわれることになる。
さらに、レーザ照射装置のステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されているため、基板を450℃程度まで加熱しながら、レーザ光を照射することが可能となり、さらに効率良く結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうことができる。
本実施例では、実施例2とは異なる作製工程を経た半導体膜基板にレーザアニールを行なう場合について説明する。
ここで、TFTのゲート電極まで形成する方法について図6を用いて説明する。まず、実施例2にしたがって、図4(A)の状態を得る。なお、図6(A)
は図4(A)と同じ状態を示している。
そして、第1の加熱処理を行なって半導体膜を結晶化させる。加熱時間や温度は、半導体膜や添加する金属元素によるので、実施者が適宜決定すれば良い。本実施例では、550℃の窒素雰囲気中に4時間曝す。
続いて、マスク755を形成して、第1のドーピング処理を行ない、半導体膜に選択的に不純物元素を導入する。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する。希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素を導入してもよい。加えて、水素を添加してもよい。本実施例では、イオンドープ法によりアルゴンを90keVの加速電圧で、2×1015/cm2のドーズ量で注入する。
そして、第2の加熱処理を行なって、結晶化を助長するために用いた金属元素を不純物元素が導入された領域へ移動させる(ゲッタリング)。本実施例では、窒素雰囲気中、550℃にて4時間の加熱処理を行ってゲッタリングを行なう。
金属元素がゲッタリングされた領域をエッチングし、またマスクを除去して、半導体層を形成する。そして、絶縁膜758を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜などで形成する。
続いて、導電膜759を形成する。導電膜の材料に特に限定はないが、Ta、W、Ti、Mo、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。もちろん、導電膜は単層ではなく、積層としてもよい。本実施例では、膜厚400nmのW膜からなる導電膜756を形成した。W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成する。
続いてエッチングを行なって端部にテーパーを有するゲート電極760を形成する。フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、電極及び配線を形成するためのエッチング処理を行なう。該エッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。708はゲート絶縁膜であり、導電層760で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、ドーピング処理を行なって不純物元素の導入を行なう。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する。ドーピング処理により、不純物元素が高濃度に導入された領域761、ゲート電極の端部のテーパーにより低濃度に導入された領域762および不純物元素が導入されない領域(チャネル形成領域)763が形成される。本実施例では、15族に属する元素としてリンを用いた。リンの注入条件は、水素で希釈された5%のPH3を用い、加速電圧80keV、ドーズ量1.5×1015/cm2とした。注入に要する時間は約8分であり、結晶質半導体膜には平均濃度で2×1020/cm3のリンを注入することができる。
そして、加熱処理を行なって、前記金属元素のゲッタリングを行なう。前記加熱処理により、チャネル形成領域から不純物元素が添加された領域へ金属元素が移動し、チャネル形成領域を高抵抗領域とすることができる。本実施例では、窒素雰囲気中、550℃にて4時間の加熱処理を行ってゲッタリングを行った。
そして、実施例2で説明した図3に示す方法で、ゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復を十分に行なう。
さらに、レーザ照射装置のステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されているため、基板を450℃程度まで加熱しながら、レーザ光を照射することが可能となり、さらに効率良く結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうことができる。
本実施例では、実施例2および実施例3とは異なる作製工程を経た半導体膜基板にレーザアニールを行なう場合について説明する。
ここで、TFTのゲート電極まで形成する方法について図7を用いて説明する。まず、実施例2にしたがって、図4(A)の半導体膜303が形成された状態を得る。なお、図4(A)と対応する部分には図7(A)において同じ符号を用いている。
そして、開口部を有する絶縁膜770を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜で形成した後、結晶化を助長する金属元素を添加して金属含有層304を形成する。前記金属元素の導入する方法は、プラズマ処理や蒸着、スパッタ法、イオン注入、溶液塗布等を利用すればよい。第1の加熱処理を行なって半導体膜を結晶化させる。加熱時間や温度は、半導体膜や添加する金属元素によるので、実施者が適宜決定すれば良い。本実施例では、550℃の窒素雰囲気中に4時間曝す。
続いて、第1のドーピング処理を行ない、半導体膜に選択的に不純物元素を導入する。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素を導入する。または、希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素と、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入してもよい。希ガス元素から選ばれた一種または複数種の元素、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素を導入してもよい。加えて、水素を添加してもよい。本実施例では、イオンドープ法によりアルゴンを90keVの加速電圧で、2×1015/cm2のドーズ量で注入する。
そして、第2の加熱処理を行なって、結晶化を助長するために用いた金属元素を不純物元素が導入された領域へ移動させる(ゲッタリング)。本実施例では、窒素雰囲気中、550℃にて4時間の加熱処理を行ってゲッタリングを行なう。
絶縁膜770および半導体膜の一部エッチングして、半導体層773を形成する。そして、絶縁膜774を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)などの珪素を含む絶縁膜などで形成する。
続いて、導電膜775を形成する。導電膜の材料に特に限定はないが、Ta、W、Ti、Mo、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。もちろん、導電膜は単層ではなく、積層としてもよい。本実施例では、膜厚400nmのW膜からなる導電膜775を形成する。
続いてエッチングを行なって端部にテーパーを有するゲート電極776を形成する。フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、電極及び配線を形成するためのエッチング処理を行なう。該エッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。708はゲート絶縁膜であり、導電層760で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、第2のドーピング処理を行なって不純物元素の導入を行なう。ドーピング処理は、イオンドープ法やイオン注入法などにより、n型を付与する不純物元素またはp型を付与する不純物元素を導入する。ドーピング処理により、不純物元素が高濃度に導入された領域777、ゲート電極の端部のテーパーにより低濃度に導入された領域778および不純物元素が導入されない領域(チャネル形成領域)779が形成される。本実施例では、n型を付与する不純物元素としてリンを用いた。リンの注入条件は、水素で希釈された5%のPH3を用い、加速電圧80keV、ドーズ量1.5×1015/cm2とした。注入に要する時間は約8分であり、結晶質半導体膜には平均濃度で2×1020/cm3のリンを注入することができる。
そして、実施例2で説明した図3に示す方法で、ゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復を十分に行なう。
さらに、レーザ照射装置のステージ102にはヒータ103とヒータコントローラー104が具備されているため、基板を100〜450℃まで加熱しながら、レーザ光を照射することが可能となり、さらに効率良く結晶性の回復および不純物元素の活性化を行なうことができる。
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図8〜図12を用いて説明する。
まず、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板320を用いる。なお、基板320としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
次いで、基板320上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜321を形成する。本実施例では下地膜321として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜301の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜321aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化珪素膜301a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成した。次いで、下地膜301のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜321bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜321b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成する。
次いで、下地膜上に半導体膜322を形成する。半導体膜322は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素または珪素ゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。続いて、ニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法を行なう。後工程で、Arを用いた金属元素のゲッタリングを行なうのであれば、ニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法において、金属元素の導入量は3〜50ppm(好ましくは15〜30ppm)とすることができる。また、ニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法と、他の公知の結晶化処理(レーザ結晶化法、熱結晶化法等)を組み合わせても良い。を行って得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして、半導体層402〜406を形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質珪素膜を成膜した後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させる。この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、加熱処理(550℃、4時間)を行ない、結晶質珪素膜を形成した。そして、この結晶質珪素膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって、半導体層402〜406を形成する。
また、半導体膜の結晶化にレーザ結晶化法も適用する場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザやYAGレーザ、YVO4レーザ等を用いることができる。これらのレーザを用いる場合には、レーザ発振器から放射されたレーザビームを光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。
結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜800mJ/cm2(代表的には200〜700mJ/cm2)とする。また、YAGレーザを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数1〜300Hzとし、レーザーエネルギー密度を300〜1000mJ/cm2(代表的には350〜800mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザビームを基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として行ってもよい。
半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行なってもよい。
次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。もちろん、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
次いで、図8(B)に示すように、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成した。
TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタした。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。
なお、本実施例では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行なう。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行なう。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行った。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いた。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
この後、レジストからなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ない、半導体層にn型を付与する不純物元素および結晶化を助長するために用いた金属元素をゲッタリングするための希ガス元素を添加する。(図9(A))ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行なえば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1012〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行なう。Arによる金属元素のゲッタリングを適用すれば、ドーズ量はこれまでの1/3程度にまで低減することができる。本実施例ではドーズ量を1.5×1014/cm2とし、加速電圧を80keVとして行なう。
n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いた。また、希ガス元素としてアルゴンを用いた。この場合、導電層417〜421がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の高濃度不純物領域306〜310が形成される。第1の高濃度不純物領域306〜310には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。一方、アルゴンは90keVの加速電圧で、2×1015/cm2のドーズ量で注入した。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行なう。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層428b〜433bを形成する。一方、第1の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層428〜433を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに、図9(B)に示すように、第2のドーピング処理を行なう。この場合、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げて、70〜120keVの高い加速電圧で、n型を付与する不純物元素を導入する。本実施例ではドーズ量を1.5×1014/cm2とし、加速電圧を90keVとして行なった。第2のドーピング処理は第2の形状の導電層428〜433をマスクとして用い、第2の導電層428b〜433bの下方における半導体層にも不純物元素が導入され、新たに第2の高濃度不純物領域423a〜427aおよび低濃度不純物領域423b〜427bが形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク434aおよび434bを形成して、図9(C)に示すように、第3のエッチング処理を行なう。エッチング用ガスにSF6およびCl2とを用い、ガス流量比を50/10(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、約30秒のエッチング処理を行なう。基板側(資料ステージ)には10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的には不の自己バイアス電圧を印加する。こうして、前記大3のエッチング処理により、pチャネル型TFTおよび画素部のTFT(画素TFT)のTaN膜をエッチングして、第3の形状の導電層435〜438を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第2の形状の導電層428、430および第2の形状の導電層435〜438をマスクとして用い、ゲート絶縁膜416を選択的に除去して絶縁層439〜444を形成する。(図10(A))
次いで、新たにレジストからなるマスク445a〜445cを形成して第3のドーピング処理を行なう。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域446、447を形成する。第2の導電層435a、438aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域446、447はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。(図10(B))この第3のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク445a〜445cで覆われている。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域446、447にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1020〜1×1021/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。また、Arによる金属元素のゲッタリングを適用すれば、ドーズ量はこれまでの1/3程度にまで低減することができる。本実施例では、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層の一部が露呈しているため、不純物元素(ボロン)を添加しやすい利点を有しており、まず加速電圧80keV、ドーズ量9×1014/cm2とし、続けて加速電圧30keV、ドーズ量2×1015/cm2として行なった。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスク445a〜445cを除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。もちろん、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、図10(C)に示すように、加熱処理を行なって、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行なう。この加熱処理はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行なう。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行えばよく、本実施例では550℃、4時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、レーザアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
なお、本実施例では、上記活性化処理と同時に、結晶化の際に触媒として使用したニッケルが高濃度のリンを含む不純物領域423a、425a、426a、446a、447aを結晶化する。そのため、前記不純物領域に前記金属元素がゲッタリングされ、主にチャネル形成領域となる半導体層中のニッケル濃度が低減される。このようにして作製したチャネル形成領域を有するTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に加熱処理を行なっても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で加熱処理を行なうことが好ましい。
ゲート電極の一部と重なる不純物領域の結晶性の回復および不純物元素の活性化を十分に行なうため、基板の表面側から照射したレーザ光により加熱されたゲート電極が、該ゲート電極の一部と重なる不純物領域を加熱する。(図10(C))このとき、同時にヒーター等を利用して、基板の裏面側から加熱処理も行なえば、第1層間膜に含有する水素により、水素化処理を行なうことができる。
また、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行なった場合は、裏面からのレーザ光の照射により、チャネル形成領域の結晶性の回復も十分行なわれることになる。
レーザアニールを行なう工程で、同時に加熱処理を行なわない場合は、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行ない、半導体層を水素化する工程を行なうことが望ましい。本実施例では水素を約3%の含む窒素雰囲気中で410℃、1時間の熱処理を行った。この工程は層間絶縁膜に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行なっても良い。
次いで、第1の層間絶縁膜461上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜462を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いた。
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行なうことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
また、第2の層間絶縁膜462として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
そして、駆動回路506において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。
また、画素部507においては、画素電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。(図11)この接続電極468によりソース配線(443bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、画素電極470としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域423c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層428aと重なる低濃度不純物領域423b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域423aを有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域446d、ゲート電極の外側に形成される不純物領域446b、446c、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域446aを有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域425c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層430aと重なる低濃度不純物領域425b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域425aを有している。
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域426c、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域426b(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域426aを有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層447a、447bには、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜444を誘電体として、電極(438aと438bの積層)と、半導体層447a〜447cとで形成している。
また、本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
また、本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図12に示す。なお、図8〜図11に対応する部分には同じ符号を用いている。図11中の鎖線A−A’は図12中の鎖線A―A’で切断した断面図に対応している。また、図11中の鎖線B−B’は図12中の鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。
本発明の有効性を確認するため、実施例5にしたがって作製したTFTの電気的特性を測定した。YAGレーザを用いて以下の実験を行なった。
ただし、本実施例ではTFTのしきい値を制御するために、加速電圧30keV、ドーズ量5×1013/cm2でボロンを注入しており、実施例5における第1のドーピング処理を、本実施例ではリンのみを加速電圧80keV、ドーズ量1×1015/cm2で注入した。また、本実施例では、図10(C)で示される加熱処理およびレーザアニールの工程を、加熱処理(熱アニール)のみの場合とレーザアニールのみの場合とを行ない、TFTの電気的特性を測定し比較評価した。加熱処理はファーネスアニール炉を用いた熱アニールで、温度550℃、窒素雰囲気中に4時間曝した。レーザアニールはYAGレーザの第2高調波を用いて基板の上方から照射した。
このような工程を経てTFTを作製し、電気的特性を測定した。その結果を図22に示す。図22(A)はオフ電流値であり、図22(B)はしきい値、図22(C)はS値を示している。どの特性もレーザアニールを行なった方が熱によるアニールよりも特性が向上していることがわかる。このことからも本発明が極めて有効であることを示している。
本実施例では、実施例5で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図13を用いる。
まず、実施例5に従い、図11の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図11のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極470上に配向膜567を形成しラビング処理を行なう。なお、本実施例では配向膜567を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ572を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
次いで、対向基板569を用意する。次いで、対向基板569上に着色層570、571、平坦化膜573を形成する。赤色の着色層570と青色の着色層572とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
本実施例では、実施例5に示す基板を用いている。従って、実施例5の画素部の上面図を示す図12では、少なくともゲート配線469と画素電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と画素電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
次いで、平坦化膜573上に透明導電膜からなる対向電極576を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜574を形成し、ラビング処理を施した。
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材568で貼り合わせる。シール材568にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料575を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料575には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図13に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
以上のようにして作製される液晶表示パネルは各種電子機器の表示部として用いることができる。
なお、本実施例は実施例1乃至6と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、実施例5で作製したアクティブマトリクス基板から、実施例7とは異なるアクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図21を用いる。
まず、実施例5に従い、図11の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図11のアクティブマトリクス基板上に配向膜1067を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜1067を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサを所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
次いで、対向基板1068を用意する。この対向基板には、着色層1074、遮光層1075が各画素に対応して配置されたカラーフィルタが設けられている。また、駆動回路の部分にも遮光層1077を設けた。このカラーフィルタと遮光層1077とを覆う平坦化膜1076を設けた。次いで、平坦化膜176上に透明導電膜からなる対向電極1069を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜1070を形成し、ラビング処理を施した。
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材1071で貼り合わせる。シール材1071にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料1073を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料1073には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図21に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板等を適宜設けた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
以上のようにして作製される液晶表示パネルは各種電子機器の表示部として用いることができる。
なお、本実施例は実施例1乃至6と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、本発明を用いて発光装置を作製した例について説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにICを実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
図14は本実施例の発光装置の断面図である。図14において、基板700上に設けられたスイッチングTFT603は図14のnチャネル型TFT503を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT503の説明を参照すれば良い。
なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
基板700上に設けられた駆動回路は図14のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
なお、電流制御TFT604は図14のpチャネル型TFT502を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
また、配線706は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、707は電流制御TFTの画素電極710上に重ねることで画素電極710と電気的に接続する電極である。
なお、710は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極710は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜711上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦化膜711を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
配線701〜707を形成後、図14に示すようにバンク712を形成する。
バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
画素電極710の上には発光層713が形成される。なお、図14では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。
Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、高分子系有機発光材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。
これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)710、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
発光素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
こうして図14に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
こうして、プラスチック基板を母体とする絶縁体501上にnチャネル型TFT601、602、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)603および電流制御TFT(nチャネル型TFT)604が形成される。ここまでの製造工程で必要としたマスク数は、一般的なアクティブマトリクス型発光装置よりも少ない。
即ち、TFTの製造工程が大幅に簡略化されており、歩留まりの向上および製造コストの低減が実現できる。
さらに、図14を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
さらに、発光素子を保護するための封止(または封入)工程まで行った後の本実施例の発光装置について図15を用いて説明する。なお、必要に応じて図14で用いた符号を引用する。
図15(A)は、発光素子の封止までを行った状態を示す上面図、図15(B)は図15(A)をC−C’で切断した断面図である。点線で示された801はソース側駆動回路、806は画素部、807はゲート側駆動回路である。また、901はカバー材、902は第1シール材、903は第2シール材であり、第1シール材902で囲まれた内側には封止材907が設けられる。
なお、904はソース側駆動回路801及びゲート側駆動回路807に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)905からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図15(B)を用いて説明する。基板700の上方には画素部806、ゲート側駆動回路807が形成されており、画素部806は電流制御TFT604とそのドレインに電気的に接続された画素電極710を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路807はnチャネル型TFT601とpチャネル型TFT602とを組み合わせたCMOS回路(図14参照)を用いて形成される。
画素電極710は発光素子の陽極として機能する。また、画素電極710の両端にはバンク712が形成され、画素電極710上には発光層713および発光素子の陰極714が形成される。
陰極714は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線904を経由してFPC905に電気的に接続されている。さらに、画素部806及びゲート側駆動回路807に含まれる素子は全て陰極714およびパッシベーション膜567で覆われている。
また、第1シール材902によりカバー材901が貼り合わされている。なお、カバー材901と発光素子との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、第1シール材902の内側には封止材907が充填されている。なお、第1シール材902、封止材907としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1シール材902はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。さらに、封止材907の内部に吸湿効果をもつ物質や酸化防止効果をもつ物質を含有させても良い。
発光素子を覆うようにして設けられた封止材907はカバー材901を接着するための接着剤としても機能する。また、本実施例ではカバー材901を構成するプラスチック基板901aの材料としてFRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリルを用いることができる。
また、封止材907を用いてカバー材901を接着した後、封止材907の側面(露呈面)を覆うように第2シール材903を設ける。第2シール材903は第1シール材902と同じ材料を用いることができる。
以上のような構造で発光素子を封止材907に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等の発光層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置が得られる。
なお、本実施例は実施例1乃至6と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、実施例9とは異なる画素構造を有した発光装置について説明する。説明には図19を用いる。
図19では電流制御用TFT4501として図11のnチャネル型TFT504と同一構造のTFTを用いる。勿論、電流制御用TFT4501のゲート電極はスイッチング用TFT4402のドレイン配線に電気的に接続されている。また、電流制御用TFT4501のドレイン配線は画素電極4504に電気的に接続されている。
本実施例では、導電膜からなる画素電極4504が発光素子の陰極として機能する。具体的には、アルミニウムとリチウムとの合金膜を用いるが、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
画素電極4504の上には発光層4505が形成される。なお、図19では一画素しか図示していないが、本実施例ではG(緑)に対応した発光層を蒸着法及び塗布法(好ましくはスピンコーティング法)により形成している。具体的には、電子注入層として20nm厚のフッ化リチウム(LiF)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のPPV(ポリパラフェニレンビニレン)膜を設けた積層構造としている。
次に、発光層4505の上には透明導電膜からなる陽極4506が設けられる。本実施例の場合、透明導電膜として酸化インジウムと酸化スズとの化合物もしくは酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物からなる導電膜を用いる。
この陽極4506まで形成された時点で発光素子4507が完成する。なお、ここでいう発光素子4507は、画素電極(陰極)4504、発光層4505及び陽極4506で形成されたダイオードを指す。
発光素子4507を完全に覆うようにしてパッシベーション膜4508を設けることは有効である。パッシベーション膜4508としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
さらに、パッシベーション膜4508上に封止材4509を設け、カバー材4510を貼り合わせる。封止材4509としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材4510はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。
なお、本実施例は実施例1乃至6と自由に組み合わせることが可能である。
本発明を適用して、本願発明を実施して形成されたCMOS回路や画素部は様々な電気光学装置(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ、アクティブマトリクス型ECディスプレイ、アクティブマトリクス型発光ディスプレイ)に用いることが出来る。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施出来る。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図16、図17及び図18に示す。
図16(A)はパーソナルコンピュータであり、本体3001、画像入力部3002、表示部3003、キーボード3004等を含む。本発明を表示部3003に適用することができる。
図16(B)はビデオカメラであり、本体3101、表示部3102、音声入力部3103、操作スイッチ3104、バッテリー3105、受像部3106等を含む。本発明を表示部3102に適用することができる。
図16(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体3201、カメラ部3202、受像部3203、操作スイッチ3204、表示部3205等を含む。本発明は表示部3205に適用できる。
図16(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体3301、表示部3302、アーム部3303等を含む。本発明は表示部3302に適用することができる。
図16(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体3401、表示部3402、スピーカ部3403、記録媒体3404、操作スイッチ3405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行なうことができる。本発明は表示部3402に適用することができる。
図16(F)はデジタルカメラであり、本体3501、表示部3502、接眼部3503、操作スイッチ3504、受像部(図示しない)等を含む。本発明を表示部3502に適用することができる。
図17(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602等を含む。本発明は投射装置3601の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することができる。
図17(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704等を含む。本発明は投射装置2702の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することができる。
なお、図17(C)は、図17(A)及び図17(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図17(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
また、図17(D)は、図17(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクター2811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子2815、集光レンズ3816で構成される。なお、図17(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
ただし、図17に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び発光装置での適用例は図示していない。
図18(A)は携帯電話であり、本体3901、音声出力部3902、音声入力部3903、表示部3904、操作スイッチ3905、アンテナ3906等を含む。本発明を表示部3904に適用することができる。
図18(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体4001、表示部4002、4003、記憶媒体4004、操作スイッチ4005、アンテナ4006等を含む。本発明は表示部4002、4003に適用することができる。
図18(C)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103等を含む。本発明は表示部4103に適用することができる。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜10のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。