JP5520808B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、発泡トレーでは、数十cmから1mを超えるような広幅な帯状の発泡シートがロール状に巻き取られた原反ロールと呼ばれるシートロールから発泡シートを繰り出して、製品形状を発泡シートに形成させる工程から形成させた製品を発泡シートから取り出す工程までを自動的に行う熱成形機に供給し、該熱成形機で連続的に発泡トレーを生産させるような方法が採用されている。
このようなことから、従来、前記発泡シートは、成形型での一度の熱成形に必要な長さ分が成形ゾーンに搬送された後、該成形ゾーンでの熱成形の間(通常、数秒間程度)停止されることになり、搬送、停止を繰り返す、いわゆる“間欠送り”と呼ばれる方法で熱成形機に供給されている。
このような要望に対して、前記成形ゾーンで成形される発泡シートに他と温度が異なるような箇所が存在すると発泡シートの伸び方や成形型への追従性といった点においてバラツキが生じてしまいワンショットの熱成形において得られる複数の樹脂成形品の内の一部の樹脂成形品が他の樹脂成形品と形状や強度を異ならせるおそれがある。
したがって、前記加熱ゾーンは、時間をかけて全体が均一な温度となるように発泡シートを加熱すべく前記間欠送りにおける一度の搬送長さ以上に発泡シートを加熱し得るように設けられている。
例えば、前記加熱ゾーンは、成形ゾーンの手前において前記搬送長さの2〜3倍の長さにわたって発泡シートを加熱し得るように設けられたりしている。
また、加熱ゾーンにおいては、発泡シートの幅方向両端部が前記クランプによって熱を奪われやすいために、この両端部を中央部よりも温度設定を高めにして発泡シートの温度バラツキを抑制させることが試みられている(下記特許文献1参照)。
なお、このような問題は、発泡トレーを製造する場合においてのみ存在するものではなく、発泡シートを熱成形機で成形して樹脂成形品を製造する場合において広く共通する問題である。
従って、製造される樹脂成形品の寸法や強度を安定させ得る。
図1は、発泡トレーの製造方法に使用する装置構成を示す図であり、(a)は前記製造装置の一部を切り欠いて内部の様子を示した平面図であり、(b)は正面図である。
また、図2は、図1(a)における成形ゾーン手前の加熱ゾーンにおける加熱状況と、成形ゾーンの状況を説明するための部分平面図である。
また、符号3は、前記熱成形機で形成された樹脂成形品(発泡トレー)を搬送するための搬送装置であり、符号4は熱成形した発泡シートから製品となる発泡トレーを切り出した残りの端材を裁断処理するための破砕機を表している。
即ち、前記シート搬送手段は、発泡シート11を間欠送りによって前記加熱ゾーン21から前記切り出しゾーン23までの間通過させ得るように備えられている。
即ち、前記成形ゾーン22で1バッチの熱成形に利用される発泡シート11の長さを“L”とすると、加熱ゾーン21の全長は約“3L”の長さとなるように設けられている。
同様に第二加熱ゾーン21bにも上下一対のヒータh21,22が配され、前記第三加熱ゾーン21cにも上下一対のヒータh31,32が配されている。
そして、本実施形態に係る熱成形機2は、これらのヒータを個別に制御し得るように構成されている。
より具体的には、前記成形ゾーン22に近い領域(シート送り方向先端側)と、成形ゾーン22から遠い第二加熱ゾーン側の領域(シート送り方向末端側)とを別々の温度条件となるように形成されていることが重要であり、さらには、発泡シート11の幅方向においても温度差を設け得るように形成されていることが好ましい。
即ち、発泡シート11の幅方向両端部と中央部との温度に差を設け得るように形成されていることが好ましい。
該成形ゾーン22には、前記成形型26の凹部26aに相当する位置において下方に突出する凸部27aの形成されたプラグ27が備えられており、該プラグ27は、前記凸部27aの形成された面を前記成形型26の凹部形成面と対向させて発泡シート11の上方に備えられている。
即ち、前記プラグ27は、真空成形に際して、前記凹部26aに形成された真空孔(図示せず)に発泡シート11を接近させるように作用し、当該作用によって発泡シート11を真空孔で真空吸引し易くさせ、成形型26の形状に沿わせて変形させるのをアシストさせ得るように設けられている。
このことによって次いで設けられている前記切り出しゾーン23において発泡シート11に意図しない変形が生じないようにされている。
前記トムソン刃型28は、前記成形型26に配列されている凹部26aの配列と同じように前記抜き刃28bを配列させており、ワンショットの打ち抜きによって前記成形型26で形成させた12個全ての製品を発泡シート11から切り出し得るように構成されている。
この搬送装置3は、前記熱成形機2の側から下流側に向けて発泡トレー5を搬送するためのコンベヤベルト31を備えており、前記破砕機4は、このコンベヤベルト31の下方に設置されている。
そして、前記熱成形機2の切り出しゾーン23に設けられた当て板29は、トムソン刃型28で切り出された発泡トレー5を吸着して保持させる機構を備えるとともに発泡シート11の送り方向前後に向けて移動可能な状態で備えられており、打抜かれた発泡トレーを吸着させた状態で下流側に移動して、前記コンベヤベルト31の上に発泡トレー5を載置し得るように構成されている。
なお、通常、成形ゾーンにおいて熱成形に要する時間は3〜10秒程度である。
従って、前記シート搬送手段によって搬送される発泡シートが、各加熱ゾーン21a〜21cに滞留する時間も3〜10秒程度となる。
このような点において本実施形態に係る熱成形機2のごとく発泡シート11を加熱するヒータとして輻射式のヒータを採用していることが好ましい。
即ち、前記加熱ゾーン21a〜21cにおける発泡シート11の加熱温度は、発泡シートの材質などによっても異なるが、いずれにせよ各加熱ゾーンでは短時間に所定の温度にまで発泡シートを加熱させることが求められるため、主として雰囲気温度による加熱を行うような態様に比べて輻射式の加熱を行う方が好適であるといえる。
そのため、A1〜A3で示した領域を移動方向末端側のA4〜A6で示した領域と同じ温度に発泡シートを加熱していただけでは、成形ゾーン22においてA4〜A6で示した領域に比べてA1〜A3で示した領域が温度低下するおそれを有する。
温度の低い部分は、温度の高い部分に比べて変形し難くなるため、例えば、真空成形においてA1〜A3で示した領域で発泡シートの伸びが乏しくなる結果、発泡シートの幅方向両端部が極端に伸ばされてA2、A3の外側部分に相当する箇所において厚みが薄い発泡トレーが作製されてしまうおそれを有する。
また、要すれば、末端側のA4〜A6の領域においても幅方向両端部のA5、A6の領域の温度がA4で示す中央部の温度よりも高温になるようにしてもよい。
このような場合においては、前記A1〜A3で示した領域として、発泡シートの先端側の1/4〜1/8の領域をこれよりも末端側の領域と別の管理温度に設定することが好ましい。
また、発泡シートの幅方向に温度差を設ける場合においては、用いられる発泡シートの幅が、一般的な64cm〜104cmである場合には、前記A2、A3で示した領域として、発泡シートの幅方向の1/3〜1/5の領域をそれぞれ中央のA1で示す領域と別の管理温度とすることが好ましい。
例えば、スチレンホモポリマーである汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)や、耐熱ポリスチレン樹脂と呼ばれる樹脂が採用されている。
この耐熱ポリスチレン樹脂とは、スチレンホモポリマーとポリフェニレンエーテル樹脂との混合樹脂や、スチレン−不飽和カルボン酸共重合体樹脂が知られており、スチレン−不飽和カルボン酸共重合体樹脂としては、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン− マレイミド共重合樹脂などが知られている。
そして、このような場合においてA1〜A3で示した発泡シートの移動方向先端側の領域では、A4〜A6で示した移動方向末端側の領域よりも発泡シート11の表面温度を10℃〜25℃高温にさせることが好ましく、特には、20℃〜25℃高温にさせることが好ましい。
また、発泡シートの幅方向に温度差を設ける場合においては、用いられる発泡シートの幅が、前記のような一般的な幅のものである場合には、前記A2、A3で示した領域では中央部のA1で示す領域に対して発泡シート11の表面温度を10℃〜25℃高温にさせることが好ましく、特には、20℃〜25℃高温にさせることが好ましい。
また、前記A2、A3で示した領域では、A1で示す領域に対して発泡シート11の表面温度を10℃〜35℃高温にさせることが好ましく、特には、20℃〜30℃高温にさせることが好ましい。
また、発泡シートの幅方向に温度差を設ける場合においては、用いられる発泡シートの幅が、前記のような一般的な幅のものである場合には、前記A2、A3で示した領域では中央部のA1で示す領域に対して発泡シート11の表面温度を10℃〜30℃高温にさせることが好ましく、特には、20℃〜30℃高温にさせることが好ましい。
さらに、上記に例示がされていない従来公知の事象についても、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、必要に応じて本発明の樹脂成形品の製造方法に適宜採用することができる。
Claims (4)
- 帯状の樹脂発泡シートを熱成形機に間欠送りして該熱成形機の加熱ゾーンにおいて前記樹脂発泡シートを加熱し、該加熱ゾーンに続けて設けられている成形ゾーンにおいて前記加熱ゾーンで加熱された樹脂発泡シートを成形型に沿わせて変形させるとともに冷却させて該樹脂発泡シートに製品形状を形成させる樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形ゾーンに導入させた樹脂発泡シートに温度差が生じることを抑制すべく、前記加熱ゾーンでは、前記間欠送りによって次に成形ゾーンに送られる樹脂発泡シートの先端側の温度を末端側の温度よりも高温にさせることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 前記加熱ゾーンでは、前記先端側と前記末端側との間において温度差を設けるとともに前記先端側においては樹脂発泡シートの幅方向においても温度差を設け、前記幅方向両端部の温度を中央部の温度よりもさらに高温にさせる請求項1記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記樹脂発泡シートが、スチレンホモポリマーを主成分とするポリスチレン樹脂発泡シートであり、前記先端側の温度が前記末端側の温度よりも10℃〜25℃高温になるように前記加熱を実施する請求項1又は2記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記樹脂発泡シートが、ビカット軟化温度が110〜155℃の耐熱ポリスチレン樹脂を主成分とする耐熱ポリスチレン樹脂発泡シートであり、前記先端側の温度が前記末端側の温度よりも10℃〜35℃高温になるように前記加熱を実施する請求項1又は2記載の樹脂成形品の製造方法。
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