JP5520431B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Description

本明細書に開示する発明は、半導体装置の作製方法に関する。特に、レーザー光の照射により半導体膜を加熱することを特徴とする半導体装置の作製方法に関する。
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数nm〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を作製する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
また、画像表示装置やイメージセンサの大型化、画素の高密度化(高精細化)が進み、より高速な駆動に追随可能な半導体薄膜を用いた素子の開発が要求されている。また、軽量化や低コスト化を図るため、画像表示装置のスイッチング素子だけでなく、表示領域の周辺に配置されるドライバ素子にも薄膜トランジスタが適用されるようになっている。
これらの要求に対し、結晶構造を有する半導体膜を形成し、電界効果移動度(「モビリティ」ともいう)等の電気的特性を向上させる手法、例えば、固相成長法や、レーザー光を用いて加熱処理を行う方法(以下、「レーザーアニール法」とよぶ。)が研究されている。特に、レーザーアニール法は、固相成長法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体基板または基板上の半導体膜を選択的に加熱して、基板に熱的損傷を与えにくいといった利点がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−297751号公報
レーザーアニール法に用いるレーザーは、媒質により分類すると、気体レーザー、液体レーザー、固体レーザーがある。また、レーザーの発振方式としては、連続発振型とパルス発振型の2つの方式がある。
昨今、気体レーザーの一種であるエキシマレーザーを用いて半導体膜を加熱する方法(以下、本明細書において「エキシマレーザーアニール(ELA)法」と呼ぶことがある。)に代わり、固体レーザー(例えば、Nd:YVO)を用いて半導体膜を加熱する技術が注目されている。固体レーザーは、エキシマレーザーアニール法に比較して、巨大な結晶粒または単結晶を形成することができるが、以下のような欠点がある。
大型基板上に形成された半導体膜を結晶化する場合、スループットの点を考慮すると長い線状ビームが必要とされるが、固体レーザーを用いると長い線状ビームを成形することが困難であり、量産性が低い。これは、半導体膜を加熱するプロセスに固体レーザーを用いる場合に生じる問題点である。
長い線状ビームを成形するためにはレーザー光の出力を高くする必要がある一方で、半導体膜を効率よく加熱する、すなわち半導体膜にレーザー光を効率よく吸収させる必要がある。代表的な半導体膜であるシリコン膜への吸収効率が高いレーザー光の波長は、可視または紫外域であるのに対し、固体レーザーとして用いられる基本波のレーザー光の波長域は、主に赤外または近赤外である。したがって、固体レーザーを用いて半導体膜を効率よく加熱するためには、基本波のレーザー光を高調波(第2高調波や第3高調波など)に変換する機能を有する非線形光学素子を用いなければならない。この非線形光学素子は、基本波の入力パワーに対して損傷してしまう閾値が存在するため、高調波の出力を高くすることには限界がある。
また、固体レーザーの発振器は複雑であり、振動に弱い。また、消費電力が高いこと、ビーム成形用の光学系の必要性、メンテナンスの必要性、冷却水の必要性なども問題点として挙げられる。
本発明では、上記問題点を鑑み、電気的特性に優れた半導体装置を低コスト且つ高スループットに作製することを課題とする。
本発明の要旨は、ファイバーレーザーを用いて半導体膜を加熱するものである。代表的には、半導体装置の作製プロセスにおいて、薄膜トランジスタの半導体膜を結晶化するプロセスや、不純物が添加された半導体膜を活性化する際にファイバーレーザーを用いるというものである。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、単一のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、複数のファイバーレーザーからそれぞれ射出されたレーザー光をカップラーを用いて単一のレーザー光に結合し、当該結合されたレーザー光を半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、単一のファイバーレーザーから射出されたレーザー光をカップラーを用いて複数のレーザー光に分割し、当該分割された複数のレーザー光を半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、複数のファイバーレーザーの射出口を一定の間隔に配置し、当該配置された複数の射出口から射出される複数のレーザー光を半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、単一または複数のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を、光学系を通して単一の線状ビームに成形し、当該線状ビームを半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、単一または複数のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を、光学系を通して複数の線状ビームに成形し、当該線状ビームを半導体膜に照射することにより、当該半導体膜を結晶化または活性化することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、上記構成において、前記半導体膜は、非晶質半導体膜であることを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、ガラス基板上に下地膜を形成し、前記下地膜上に非晶質珪素膜を形成し、単一のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を前記非晶質珪素膜に照射することにより、当該非晶質珪素膜を結晶化し、前記結晶化された珪素膜上にゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、前記ゲート電極をマスクとして前記結晶化された珪素膜に不純物を添加して不純物領域を形成した後、単一のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を前記不純物領域に照射することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、上記構成において、前記ファイバーレーザーは、連続発振方式であることを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の作製方法の一は、上記構成において、前記ファイバーレーザーは、基本波のレーザー光を第2高調波に変換する非線形光学素子を有することを特徴とする。
なお、本明細書中において「半導体装置」とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。また、半導体膜が用いられている装置全般を指す。また、「半導体膜を活性化する」とは、半導体膜に添加された不純物元素の活性化を行うことを指す。
本発明は、ファイバーレーザーを用いて半導体膜を加熱するものである。エキシマレーザーや従来のロッドタイプの固体レーザーと比較すると、ファイバーレーザーは、発振器の構成が単純であり、振動に強い。また、消費電力が低く、レーザービーム(「レーザー光」ともよぶ。)を成形するための光学系が不要もしくは簡素なものでよい。また、メンテナンスフリーで、冷却水も不要である。
また、ファイバーレーザーを束ねて使用することにより、任意の形状のビームを成形することができる。このような特徴を持つファイバーレーザー光の照射により加熱された(結晶化された)半導体膜を有する半導体装置を作製することを特徴とする本発明は、エキシマレーザーや従来のロッドタイプの固体レーザーを用いる場合と比較して、半導体装置の生産性の向上、低コスト化を実現することができる。
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下に説明する構成に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
また、本明細書では、以下に様々な材料や数値の条件などを記載しているが、これらはあくまで形成しようとする目標の材料や数値の条件であって、実際に形成されたものの元素組成や物性値に若干の誤差が生じることがあることは、当業者であれば容易に理解される。また、様々な分析方法により測定された結果自体にも通常誤差が含まれていることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではなく、本明細書で記載している材料の組成や数値などの若干の誤差も、本発明の範囲に含まれるものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体膜の作製方法の一構成に関して図面を用いて説明する。特に、本発明に用いるファイバーレーザーについて詳細に説明する。
ファイバーレーザーは、光導波路(光ファイバー)を発振器として用いている。ファイバーレーザーの発振器の一構成について図1を用いながら説明する。ファイバーレーザーは、励起用のレーザーダイオード101(LD)、励起光コンバイナー102、ファイバーブラッググレーティング103、105(Fiber Bragg Grating)、レーザー媒質をコアにドープした光ファイバー104(以下、「アクティブゲインファイバー」とよぶ。)、及び出力ポート106を有している。また、これらの機器は、ファイバーケーブル107を介してそれぞれ接続されている。なお、ファイバーレーザーは、連続発振、パルス発振のどちらでも発振可能である。
励起光コンバイナー102は、複数のレーザーダイオード101から出力された励起光を結合し、この結合光をファイバーブラッググレーティング103に入力する。なお、図1に示す発振器の構成では励起光コンバイナー102を含む構成としているが、励起光コンバイナー102を含まない構成としてもよい。すなわち、ファイバーケーブル107を介して単一のレーザーダイオード101とファイバーブラッググレーティング103とを直接接続する構成とし、単一のレーザーダイオード101から出力された励起光をファイバーブラッググレーティング103に直接入力するようにしてもよい。
ファイバーブラッググレーティング103は、レーザー発振器の全反射ミラーとして機能し、ファイバーブラッググレーティング105は、出力ミラーとして機能する。ファイバーブラッググレーティング103、105は、YAGレーザーの如き固体レーザーの共振器ミラーのように、定期的なクリーニングやアライメント調整をする必要がない。このため、固体レーザーを用いる場合に比較して、熱変化や機械的衝撃に強く、メンテナンス性やモバイル性が高い。ファイバーブラッググレーティング105から出力されたレーザー光は、出力ポート106を介して光ファイバーの外部に出力(射出)される。本実施の形態では、ファイバーブラッググレーティング105から出力されたレーザー光のビームスポットは、円形であり、その口径は数十μm(代表的には、10〜30μm)である。なお、レーザー光のビームスポットは、円形に限らず、楕円や方形でもよい。
アクティブゲインファィバー104は、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)などの希土類元素がドープされた円筒状のコア201と、パイプ状のクラッド202とから構成されている(図2)。コア201は、その口径が数十μm(代表的には、10〜30μm)である。ファイバーブラッググレーティング103から励起光を入力すると、アクティブゲインファィバー104内でレーザー発振する。ここで、アクティブゲインファィバー104は、レーザーダイオード101から入力される光の波長、ビーム品質などを変換する、光変換器のような役割を果たす。クラッド202は、単層構造でもよいし、2層構造でもよい。2層構造とする場合、例えばシリカからなる内側のクラッドと、ポリマーからなる外側のクラッドとの2層構造とすればよい。また、クラッド202の断面形状は、円形、長方形、多角形のいずれでもよい。
ファイバーケーブル107は、屈折率が高い円筒状のコアと、屈折率が低くコアの外周を覆っているパイプ状のクラッドとからなる2層構造をなしている。クラッドは、光ファイバーに入射された光を閉じ込める役割を持つ。 クラッドの外径は、100〜150μmである。コアの屈折率は、コアを覆っているクラッドの屈折率よりも高いため、光ファイバーに入射された光はコア部分を伝わり外部に伝送される。
光信号が光ファイバ内を伝わるパターン(モード)は、用途によって異なり、マルチモードステップ型、マルチモードグレーデッド型、シングルモード型の3種類に大別される。本発明にはどのモードを使用してもよいが、好ましくはシングルモード型を用いるとよい。
また、ファイバーブラッググレーティング105と出力ポート106との間に、非線形光学素子を設ける構成とすることが好ましい。非線形光学素子を設けることにより、レーザーダイオード101から出力された基本波のレーザー光を高調波(第2高調波や第3高調波など)に変換することができる。
次に、ファイバーレーザーを用いて半導体膜を加熱し、結晶化する例について図3を用いながら説明する。まず、半導体膜が形成された基板304を、X軸ステージ305とY軸ステージ306と吸着ステージ307とから構成されるステージの上に設置する。次に、ステージの上に設置された基板の上面からレーザー光308を照射する。レーザー光308は、ファイバーレーザーの発振器301から伝送用のファイバーケーブル302を介して出力ポート303(射出口)から射出され、半導体膜に照射される。レーザー光308は、基板上の半導体膜に対して相対的に照射されるようにすればよい。したがって、図3に示したような2軸ステージ(X軸ステージとY軸ステージ)以外のステージを使用することも勿論可能である。例えば、1軸ステージを用いることもでき、この場合は1軸ステージの移動方向と直交する方向に出力ポート303(射出口)が移動できるようになっていればよい。
基板は、ガラス基板や石英基板、シリコン基板(ウェハー)、金属基板(例えば、ステンレス基板)、セラミック基板、プラスチック基板(例えば、アクリル基板)などを用いることができる。また、半導体装置の作製プロセスにおける加熱処理に耐えうる、耐熱性を有するプラスチック基板を用いることもできる。これらの基板の中でも、耐熱性を有するプラスチック基板またはガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板は、その面積や形状に大きな制限がない。このため、基板304としてガラス基板を用いる場合は、例えば1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを容易に用いることが可能であり、生産性を格段に向上させることができる。この点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板自体のコストの点においても、石英基板、シリコン基板、金属基板(例えば、ステンレス基板)、セラミック基板などよりガラス基板を用いることが好ましい。特に基板の大型化が求められる場合は、低コストの優位性が顕著となり、量産性の点を考慮してもガラス基板を用いることが好ましい。本実施の形態では、基板としてガラス基板を用いる。
半導体膜としては、非晶質(アモルファス)のものを用いてもよいし、結晶性を有するものを用いてもよい。また、半導体膜の材料としては、シリコンやゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、透明酸化物である酸化亜鉛などを用いればよい。本実施の形態ではアモルファスシリコン膜を用いる。
ファイバーレーザーから射出されたレーザー光を半導体膜に照射することにより、半導体膜を結晶化する本発明は、固体レーザーを用いて結晶化する場合に比較して半導体装置の生産性の向上、低コスト化を実現することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体膜の作製方法の一構成に関して図面を用いて説明する。
本実施の形態では、複数のファイバーレーザーの発振器から出力されたレーザー光の各々をカップラー406によって結合し、当該レーザー光を半導体装置の作製プロセスに適用する(図4)。例えば、レーザー光の照射を、半導体膜の結晶化や活性化のプロセスに用いる。
図4において、レーザー発振器Aは、ファイバーブラッググレーティング401、光を増幅する光ファイバー402、波長分離合成器403(WDM)、非線形光学素子404、レーザーダイオード405を含む構成からなる。本実施の形態では、レーザー発振器B、レーザー発振器C、レーザー発振器Dも、それぞれレーザー発振器Aと同じ構成のものとするが、レーザー発振器Aと異なる構成としても構わない。
レーザー発振器A及びレーザー発振器Bのそれぞれからファイバーケーブルを介して出力されたレーザー光は、カップラー406により結合(カップリング)される。同様に、レーザー発振器C及びレーザー発振器Dのそれぞれからファイバーケーブルを介して出力されたレーザー光は、カップラー407により結合される。さらに、カップラー406によって結合されたレーザー光と、カップラー407によって結合されたレーザー光とは、カップラー408によって結合される。なお、本実施の形態では、図4を用いて4台のレーザー発振器を用いた例を説明したが、本発明に用いるレーザー発振器は、2台以上であればよい。例えば、第2高調波に変換する非線形光学素子404を有する構成からなるレーザー発振器Aと、非線形光学素子404を有さない構成からなるレーザー発振器Bとをカップラーによって結合する構成とすることで、第2高調波のレーザー光と基本波のレーザー光とを結合することができる。
レーザー発振器の内部に含まれている非線形光学素子404は、基本波のレーザー光を高調波(第2高調波や第3高調波など)に変換する機能を果たしている。例えば、近赤外の基本波を非線形光学素子404を用いて第2高調波に変換することにより、可視光を得ることができる。シリコン膜への吸収効率が高いレーザー光の波長は、可視または紫外域である。すなわち、非線形光学素子404を用いて近赤外の基本波を第2高調波である可視光に変換することにより、レーザー光をシリコン膜に効率よく吸収させることができる。
本実施の形態では、単一のファイバーレーザーの発振器内に含まれているレーザーダイオード405それ自体の出力を高出力化するのではなく、ファイバーレーザーを複数台用意し、当該複数台のファイバーレーザーから出力されるレーザー光をカップラー406によって結合する構成としている。このような構成とすることで、非線形光学素子404を損傷させることなくレーザー光を高出力化することができる。
本実施の形態のように、カップラーを用いて複数のレーザー発振器から出力されたレーザー光を結合することにより、回折光学素子又はビームスプリッターを用いる方法に比較してレーザー光を結合する際の挿入損失(光エネルギーの損失)を抑制することができる。したがって、半導体装置を作製する際の低コスト化を図ることができる。また、複数のカップラーを用いて多段接続することも可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した構成とは別の構成について説明する。
本実施の形態は、1台のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を、カップラーによって複数に分割し、当該分割されたレーザー光を半導体膜(被照射面)に照射するものである。
例えば、図21に示すように、レーザー発振器Aから射出されたレーザー光をカップラー411によって分割し、当該分割された複数のレーザー光をカップラー412、413によってさらに分割する。このようにして4つに分割されたレーザー光を半導体膜に照射することによって、半導体膜の結晶化や活性化を図ることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体膜の作製方法の一構成に関して図面を用いて説明する。
本実施の形態は、複数台のファイバーレーザーから伝送用のファイバーケーブル502を介してそれぞれ射出されるレーザー光の射出口503を複数並べるように配置して半導体膜に照射するものである(図5)。図5における矢印507の方向は、レーザー光の流れる方向を示している。
レーザー光の射出口503から射出されるレーザー光のビームスポットは円形であり、これら複数のビームスポットは重ね合わせてもよいし、重ね合わせない構成としてもよい。
重ね合わせる構成とする場合は、例えば重ね合わせ率(オーバーラップ率)を10〜50%とすればよい。
本実施の形態は、上記実施の形態1〜3と適宜組み合わせて用いることができる。例えば、複数のファイバーレーザーから出力されるレーザー光をカップラーによって結合したレーザー光を複数用意し、これらの射出口を複数並べるように配置して半導体膜に照射する構成とすることもできる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体膜の作製方法の一構成に関して図面を用いて説明する。
本実施の形態は、4台のファイバーレーザーから伝送用のファイバーケーブル502を介してそれぞれ射出されるレーザー光の射出口503を並べた後、これら4つの射出口503から出力されたレーザー光を、光学系を通して線状ビームに成形し、当該線状ビームを半導体膜に対して照射するものである。
なお、本明細書中において、「線状」とは、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい形状(長方形もしくは長楕円形など)を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10〜10000)の形状を線状と呼ぶ。
線状ビームを成形するための光学系の一例を図6(A)と図6(B)に示す。図6(A)は平面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの長辺方向を紙面に含む。また、図6(B)は側面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの短辺方向を紙面に含む。なお、長辺方向、短辺方向とは、それぞれ照射面上に形成される線状のビームスポットの幅が長い方向、幅が短い方向と同じとする。図6(A)と図6(B)における矢印の方向は、ファイバーレーザーから射出されたレーザー光の進行方向を示している。
図6に示すように、シリンドリカルレンズアレイ601と、シリンドリカルレンズ602、603とを用いてファイバーレーザーから射出されたレーザービームを成形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ1mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。例えば、1台のファイバーレーザーの発振器の出力が8Wのものを用いれば、本実施の形態のように4台のファイバーレーザーの発振器から出力されたレーザー光604を成形することで、長辺の長さが約1mmの線状ビームを得ることができる。
また、この光学系を用いて得られた線状ビームは、図6(C)に示すように、長辺方向にエネルギー分布が均一なものとなっているため、半導体膜をより均一に加熱することが可能になる。なお、本実施の形態で使用するレンズは、例えば合成石英製を用いることができる。
なお、本実施の形態では、4台のファイバーレーザーを用いて単一の線状ビームを形成するようにしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、単一または複数のファイバーレーザーを用いて、単一の線状ビームを形成する構成とすることもできる。また、4台のファイバーレーザーの発振器から出力されたレーザー光604は、それぞれ適宜実施の形態2乃至3で説明した構成を用いることができる。すなわち、カップラーを用いて結合または分割したレーザー光を、シリンドリカルレンズアレイ601に通す前のレーザー光604として用いることができる。
本方法を用いることにより、線状ビームを形成することができる。また、ファイバーレーザーの発振器の台数を増やすことで、原理的には線状ビームを無限に延在させることができる。このため、本方法を用いることにより、半導体膜が形成された基板が大型化した場合にも、生産性を下げることなく半導体装置を作製することが可能である。
また、このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜を加熱して結晶化し、この得られた半導体膜を用いて半導体装置を作製すると、半導体装置の特性を良好かつ均一なものとすることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態1〜4と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5で説明した光学系とは別の構成について説明する。
本実施の形態では、3台のファイバーレーザーの発振器から伝送用のファイバーケーブル502を介してそれぞれ射出されるレーザー光の射出口503(出力ポート)を3つ並べた後、これら3つの射出口503から出力されたレーザー光を、光学系を通して線状ビームを成形し、当該線状ビームを半導体膜に対して照射するものである。
線状ビームを成形するための光学系の一例を図7(A)と図7(B)に示す。図7(A)は平面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの長辺方向を紙面に含む。また、図7(B)は側面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの短辺方向を紙面に含む。図7(A)と図7(B)における矢印の方向は、ファイバーレーザーから射出されたレーザー光の流れる方向を示している。
3つの射出口503から出力されたレーザー光704は、3つのシリンドリカルレンズ701、シリンドリカルレンズ702を通して線状ビームが形成される。この線状ビームは、図7(C)に示すように、線状ビームの長辺方向の両端部分においてエネルギー分布がなだらかに減少している。このような線状ビームの長辺方向の両端部分が半導体膜に照射されても、半導体膜は溶融せず、また半導体膜の加熱も不均一なものとなってしまう。このため、本実施の形態では、シリンドリカルレンズ702の後にスリット703を配置することにより、線状ビームの長辺方向の両端部分を遮光(カット)する。このようにすることで、半導体膜をより均一に加熱することが可能になる。
なお、本実施の形態では、3台のファイバーレーザーを用いて単一の線状ビームを形成するようにしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、単一または複数のファイバーレーザーを用いて、単一の線状ビームを形成する構成とすることもできる。また、3台のファイバーレーザーの発振器から出力されたレーザー光704は、それぞれ適宜実施の形態2乃至3で説明した構成を用いることができる。すなわち、カップラーを用いて結合または分割したレーザー光を、シリンドリカルレンズアレイ701に通す前のレーザー光704として用いることができる。
本方法を用いることにより、単一の線状ビームを形成することができる。また、ファイバーレーザーの発振器の台数を増やすことで、原理的には線状ビームを無限に延在させることができる。このため、本方法を用いることにより、半導体膜が形成された基板が大型化した場合にも、生産性を下げることなく半導体装置を作製することが可能である。
本実施の形態は、上記実施の形態1〜4と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態5、6で説明した光学系とは別の構成について説明する。
本実施の形態では、3台のファイバーレーザーの発振器から伝送用のファイバーケーブル502を介してそれぞれ射出されるレーザー光の射出口503を3つ並べた後、これら3つの射出口503から出力されたレーザー光を、光学系を通して3つの線状ビームを成形し、当該3つの線状ビームを半導体膜に対して照射するものである。また、本実施の形態では連続発振方式のファイバーレーザーを用いるものとする。
線状ビームを成形するための光学系の一例を図8(A)と図8(B)に示す。図8(A)は平面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの長辺方向を紙面に含む。また、図8(B)は側面図であり、光学系が形成する線状のビームスポットの短辺方向を紙面に含む。図8(A)と図8(B)における矢印の方向は、ファイバーレーザーから射出されたレーザー光の流れる方向を示している。
3つの射出口503から出力されたレーザー光804は、3つのシリンドリカルレンズ801と、シリンドリカルレンズ802との間に、4つのスリット803を配置することにより、図8(C)に示すようなエネルギー分布を有する3つの線状ビームが形成される。3つの線状ビームは、図8(C)に示すように、それぞれ長辺方向にエネルギー分布が均一なものとなっているため、3つの線状ビームが照射される各々の領域において半導体膜を均一に加熱することができる。
なお、個々の線状ビームの長辺方向の長さをa、線状ビーム間の間隔をb、線状ビームの本数をmとするとき、b=na(n:正の整数)の関係が成り立つようにしてもよい。この場合、照射方法としては、(1)線状ビームの短辺方向に平行な方向に線状ビームを走査する操作を送りピッチをaとして(n+1)回繰り返した後、(2)(m−1)(n+1)aの分だけ長辺方向に基板またはビームをスライドさせる。上記(1)、(2)の工程を交互に繰り返して照射を行うことにより、基板上に形成された半導体膜全体の結晶化を行うことができる。また、(1)の工程における線状ビームの走査速度は、半導体膜(例えばシリコン)の結晶成長速度を考慮すると、20〜30m/sとすることが好ましい。線状ビームの走査速度を20〜30m/sとすることで、線状ビームの長辺方向に平行な方向に半導体膜を結晶成長させることができる。この場合、粒界は線状ビームの短辺方向に平行な方向に形成される。したがって、例えば当該線状ビームにより結晶化した半導体膜を活性層として用いて薄膜トランジスタを形成する場合、薄膜トランジスタのキャリアの移動する方向が、線状ビームの短辺方向に平行な方向となるように活性層を配置すると好ましい。
なお、本実施の形態では、3台のファイバーレーザーを用いて3つの線状ビームを形成するようにしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、単一または複数のファイバーレーザーを用いて、複数の線状ビームを形成する構成とすることもできる。また、3台のファイバーレーザーの発振器から出力されたレーザー光804は、それぞれ適宜実施の形態2乃至3で説明した構成を用いることができる。すなわち、カップラーを用いて結合または分割したレーザー光を、シリンドリカルレンズアレイ801に通す前のレーザー光804として用いることができる。
本方法を用いることにより、複数の線状ビームを形成することができる。また、ファイバーレーザーの発振器の台数を増やすことで、原理的にはある一定の長辺方向の長さを有する線状ビームを無限に成形することができる。このため、本方法を用いることにより、半導体膜が形成された基板が大型化した場合にも、生産性を下げることなく半導体装置を作製することが可能である。
本実施の形態は、上記実施の形態1〜4と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、実施の形態1〜7で説明した方法を用いて形成された半導体膜を有する半導体装置の作製方法に関して図面を用いて説明する。
まず、基板11上に下地膜12を形成する(図9(A))。基板11上に下地膜12を形成することによって、基板11に含まれているアルカリ金属やアルカリ土類金属など半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような可動イオンが、半導体膜中に拡散するのを防ぐことができる。
基板11は、ガラス基板や石英基板、シリコン基板(ウェハー)、金属基板、セラミック基板、ステンレス基板、プラスチック基板、アクリル基板などを用いることができる。また、半導体装置の作製プロセスにおける加熱処理に耐えうる、耐熱性を有するプラスチック基板を用いることもできる。これらの基板の中でも、耐熱性を有するプラスチック基板またはガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板は、その面積や形状に大きな制限がない。このため、基板11としてガラス基板を用いる場合は、例えば1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを容易に用いることが可能であり、生産性を格段に向上させることができる。この点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板自体のコストの点においても、石英基板やシリコン基板、金属基板、セラミック基板、ステンレス基板などよりガラス基板を用いることが好ましい。特に基板の大型化が求められる場合は、低コストの優位性が顕著となり、量産性の点を考慮してもガラス基板を用いることが好ましい。本実施例では、基板11としてガラス基板を用いる。
下地膜12は単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。また、下地膜の材料としては、スパッタ法やプラズマCVD法等により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜(SiO膜)(x>y)、酸素を含む窒化珪素膜(SiN膜)(x>y)などを用いることができる。例えば、下地膜を2層構造とする場合、1層目の絶縁膜として酸素を含む窒化珪素膜、2層目の絶縁膜として窒素を含む酸化珪素膜を用いるとよい。
次に、下地膜12上に非晶質半導体膜13(例えば、非晶質珪素を主成分とする膜)を形成する。非晶質半導体膜13は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。なお、下地膜12及び非晶質半導体膜13は、大気に曝さずに連続して形成することが好ましい。
次に、非晶質半導体膜13を結晶化し、結晶質半導体膜を形成する。本実施例では、ファイバーレーザーを非晶質半導体膜13に照射して加熱することにより、非晶質半導体膜13を結晶化する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状に加工して、結晶質半導体膜14を形成する(図9(B))。
ファイバーレーザーの照射条件は、半導体膜の膜厚やレーザー波長、発振方式(連続発振またはパルス発振)によっても異なる。例えば、半導体膜として膜厚が30〜150nmのアモルファスシリコン膜を用い、連続発振でレーザー波長を532nmとする場合、パワー密度が0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)になるようにビームプロファィルを成形し、10〜2000cm/sec.程度でスキャンしながら半導体膜にレーザー光を照射すればよい。
なお、非晶質半導体膜13に照射するファイバーレーザーは、上述した実施の形態1〜7で説明した方法を適宜用いればよい。
次に、結晶質半導体膜14を覆うゲート絶縁膜15を形成する。ゲート絶縁膜15は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により形成すればよい。具体的には、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜(SiO膜)(x>y)、酸素を含む窒化珪素膜(SiN膜)(x>y)を、単層構造として形成するか、当該これらの膜を適宜積層して形成する。また、結晶質半導体膜14に対して、酸素、窒素、または酸素及び窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、結晶質半導体膜14の表面を酸化または窒化して、ゲート絶縁膜を形成してもよい。高密度プラズマ処理により形成されたゲート絶縁膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚や膜質などの均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。
本明細書において「高密度プラズマ処理」とは、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下であることを特徴としている。以後、本明細書において単に「高密度プラズマ処理」と記載している場合、上述の条件下でプラズマ処理を行っているものとする。プラズマの電子密度が高密度でありながら、基板上に形成された被処理物(金属膜)付近での電子温度が低いため、基板に対するプラズマ損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、前記高密度プラズマ処理を用いた酸化処理によって形成される酸化物を用いて、膜厚均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、プラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で酸化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点温度よりも100度以上低い温度(代表的には、250〜550℃)でプラズマ処理を行っても十分にプラズマ酸化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための電源周波数はマイクロ波(2.45GHz)を用いている。また、プラズマの電位は5V以下と低電位であり、原料分子の過剰解離を抑制することができる。
酸素を含む雰囲気としては、酸素(O)、二酸化窒素(NO)、もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O)、二酸化窒素(NO)もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスと、水素(H)との混合ガスを用いることができる。また、窒素を含む雰囲気としては、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と、希ガスとの混合ガス、または、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と、希ガスと、水素(H)との混合ガスを用いることができる。高密度プラズマにより生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある。)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある。)によって、結晶質半導体膜14の表面を酸化または窒化することができる。
高密度プラズマ処理を行ってゲート絶縁膜15を形成する場合、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が結晶質半導体膜14に形成される。この場合の反応は固相反応であるため、当該絶縁膜と結晶質半導体膜14との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、結晶質半導体膜14を直接酸化または窒化するため、形成されるゲート絶縁膜15の厚さを、理想的にはばらつきをきわめて小さくすることができる。さらに、結晶性シリコンの結晶粒界でも強い酸化が起こらないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、且つ、均一性がよく、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
なお、ゲート絶縁膜15は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いてもよいし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法により酸化珪素、酸素を含む窒化珪素、窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を堆積し、積層させてもよい。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部または全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、非晶質半導体膜13に対し、連続発振のファイバーレーザー光を照射しながら一方向に走査して結晶化した結晶質半導体膜14は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。したがって、走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、高密度プラズマ処理によって形成されたゲート絶縁膜15を組み合わせることで、特性ばらつきがより小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタを得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜15上に導電膜を形成した後、マスクを用いて当該導電膜をエッチングすることにより、ゲート電極16を形成する(図9(C))。導電膜の形成方法としては、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法を用いればよい。また、導電膜の材料としては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした、ポリシリコンに代表される半導体材料を用いることもできる。
ゲート電極16は、単層構造に限らず、第1の導電膜と第2の導電膜による2層構造でもよいし、3層構造でもよい。2層構造や3層構造にする場合も、導電膜の材料としては上述した導電膜と同様のものを自由に選択することが可能である。
例えば、ゲート電極16を2層構造とする場合、第1の導電膜を20〜100nmの厚さに形成し、第2の導電膜を100〜400nmの厚さに形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例としては、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。
次に、ゲート電極16をマスクとして、N型またはP型を付与する不純物元素を結晶質半導体膜14に添加することにより、ソース領域及びドレイン領域を形成する。このようにして、Nチャネル型またはPチャネル型の薄膜トランジスタが完成する。添加方法は、イオンドープ法またはイオン注入法を用いればよい。また、N型を付与する不純物元素としては、15族に属する元素を用いればよく、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。また、P型を付与する不純物元素としては、13族に属する元素を用いればよく、例えばボロン(B)を用いる。
本実施例では、薄膜トランジスタをトップゲート型とした例について説明したが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタとしてもよいことはいうまでもない。また、本実施例では、薄膜トランジスタのチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造について説明したが、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。また、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型としてもよい。
また、薄膜トランジスタを構成する半導体膜の構造は、それぞれ本実施例で説明した構造以外のものとしてもよく、例えばLDD(Lightly Doped Drain)領域を含む構造としてもよいし、GOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造としてもよい。また、半導体膜の上方または下方に設けられるゲート電極の側面と接するように絶縁膜(サイドウォール)を形成してもよい。また、ソース領域、ドレイン領域の上面の一部または全領域にシリサイド領域が形成された構造としてもよい。
また、上記工程を経て、薄膜トランジスタを完成させた後、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化を目的とする加熱処理を行うことが好ましい。例えば、ファイバーレーザーをソース領域及びドレイン領域に照射することにより、不純物元素の活性化を図ることが好ましい。ファイバーレーザーを照射する方法を用いることで、生産性よく低コストで活性化することができる。
本実施例では、ファイバーレーザーを用いて非晶質半導体膜を結晶化し、薄膜トランジスタを作製している。このため、低コストで薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、実施の形態1〜7で説明した方法を用いて形成された半導体膜を有する発光装置の作製方法に関して図面を用いて説明する。
まず、実施例1に従い、薄膜トランジスタを形成する。なお、本実施例では、薄膜トランジスタの活性層として、単一または複数のファイバーレーザーから射出されたレーザー光を、光学系を通して単一の線状ビームに成形し、当該線状ビームを非晶質珪素膜に照射することにより結晶化した珪素膜を用いる。このため、固体レーザーを用いて結晶化する場合に比べ、基板が大型化しても生産性を下げることなく低コストで発光装置を作製することができる。
次に、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜15及びゲート電極16を覆って層間絶縁膜31を形成する(図10(A))。層間絶縁膜31を形成した後、450〜500度で1時間程度加熱を行って、不純物元素の活性化及び結晶質半導体膜14の水素化を行うとよい。続いて、層間絶縁膜31上に層間絶縁膜32を形成する(図10(B))。層間絶縁膜31、層間絶縁膜32を形成する材料としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜(SiO膜)(x>y)、酸素を含む窒化珪素膜(SiN膜)(x>y)、アクリル、ポリイミド、low−k材料等を用いることができる。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基として少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)、フルオロ基、または少なくとも水素を含む有機基及びフロオロ基を有する材料、いわゆるシロキサンを用いることもできる。なお、本実施例では、層間絶縁膜31、層間絶縁膜32の2層構造としたが、単層構造としてもよい。
次に、ソース領域17及びドレイン領域18を含む結晶質半導体膜14に達するコンタクトホールを形成する(図10(C))。このコンタクトホールは、レジストマスクを用いて結晶質半導体膜14が露出するまでエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチングのどちらでも形成することができる。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしまってもよいし、複数回に分けてエッチングを行ってもよい。また、複数回でエッチングする際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いてもよい。
次に、コンタクトホール及び層間絶縁膜32を覆う導電膜を形成した後、当該導電膜を所望の形状に加工することにより、配線33a、配線33bを形成する。この配線33a、配線33bはアルミニウム、銅、アルミニウムと炭素とニッケルの合金、アルミニウムと炭素とモリブデンの合金等の単層構造としてもよいし、基板側から順にモリブデン、アルミニウム、モリブデンからなる積層構造やチタン、アルミニウム、チタンからなる積層構造、または窒化チタン、アルミニウム、チタンからなる積層構造としてもよい。
次に、配線33a、配線33b、及び層間絶縁膜32を覆って層間絶縁膜34を形成する(図10(D))。層間絶縁膜34の材料としては、自己平坦性を有するアクリル、ポリイミド、シロキサンなどの塗布膜を用いることが好ましい。本実施例では、層間絶縁膜34としてシロキサンを用いる。
また、層間絶縁膜34上に窒化珪素膜などの絶縁膜を形成しておいてもよい。絶縁膜を形成しておくことで、後の画素電極として機能する導電膜を形成するためのエッチングの際に層間絶縁膜34が必要以上にエッチングされてしまうのを防止することができる。したがって、画素電極として機能する導電膜と層間絶縁膜34とのエッチングレートの比が十分に大きい場合には特に設けなくてもよい。
次に、層間絶縁膜34を貫通して配線33aに達するコンタクトホールを形成する。続いて、このコンタクトホール及び層間絶縁膜34(もしくは絶縁膜)を覆って透光性を有する導電膜を形成した後、当該透光性を有する導電膜を所望の形状にエッチングして、発光素子の第1の電極35を形成する(図11(A))。第1の電極35は、配線33aに接続されている。なお、本明細書において、「接続されている。」とは、電気的に接続されている場合も含むものとする。したがって、間に別の配線などが形成されていてもよい。
第1の電極35の材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)などの金属を用いることができる。また、アルミニウムとシリコンからなる合金、アルミニウムとチタンからなる合金、アルミニウム、シリコン、及び銅からなる合金を用いてもよいし、窒化チタン等の金属を含む窒化物、またはインジウムと錫を含む酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウムと錫と珪素を含む酸化物(ITSO)、酸化インジウムに2〜20at%の酸化亜鉛を混合した酸化物(IZO)等の金属を含む酸化物などを用いることもできる。
なお、発光を取り出す側の電極は、透光性を有する導電膜により形成する必要がある。本実施例では、第1の電極35の下面側に光を射出できるようにするため、第1の電極35として透光性を有する導電膜を形成する。透光性を有する導電膜としては、インジウムと錫を含む酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウムと錫と珪素を含む酸化物(ITSO)、酸化インジウムに2〜20at%の酸化亜鉛を混合した酸化物(IZO)の他にも、アルミニウムや銀等の金属からなる極薄膜を用いることができる。また、後に形成する第2の電極38の上面側から光を射出できるようにする場合は、第1の電極35として反射率の高い材料(アルミニウムや銀等)を用いることができる。本実施例ではITSOを第1の電極35として用いる。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファスの状態のままである。このため、第1の電極35としてITSOを用いることにより、ITOよりも平坦性が高く、後に形成される電界発光層37の膜厚が薄くても第1の電極35と後に形成される第2の電極38とがショートすることを抑制できる。
次に、層間絶縁膜34(または絶縁膜)及び第1の電極35を覆って有機材料または無機材料からなる絶縁膜を形成する。続いて、当該絶縁膜を第1の電極35の一部が露出するように加工し、隔壁36を形成する。すなわち、隔壁36は、層間絶縁膜34及び第1の電極35の端部を覆うように形成される。隔壁36の材料としては、感光性を有する有機材料(アクリル、ポリイミドなど)やシロキサンを用いることが好ましいが、感光性を有さない有機材料や無機材料を用いることもできる。また、分散材などを用いて、隔壁36の材料にチタンブラックやカーボンナイトライドなどの黒色顔料や染料を分散し、隔壁36を黒くすることで、隔壁36をブラックマトリクスとして機能するように用いてもよい。なお、隔壁36の第1の電極35に向かう端面は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい(図11(B))。
次に、第1の電極35及び隔壁36を覆って電界発光層37を形成する。続いて、電界発光層37上に第2の電極38を形成する。これによって第1の電極35と第2の電極38との間に電界発光層37を挟んでなる発光素子39を作製することができる(図11(C))。第2の電極38としては、第1の電極35の材料と同様の材料を用いればよい。本実施例ではアルミニウムを第2の電極として用いる。
電界発光層37は、蒸着法、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法などの方法によって形成すればよい。また、電界発光層37に用いる材料としては、有機化合物を単層または積層で用いてもよいし、有機化合物からなる膜の一部に無機化合物を有する構成としてもよい。また、第1の電極35を陽極、第2の電極38を陰極とする場合、電界発光層37の一例として、第1の電極35(陽極)側から、HIL(ホール注入層)、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電子注入層)の順に積層する構造とすればよい。また、第1の電極35を陰極、第2の電極38を陽極とする場合、電界発光層37の一例として、第1の電極35(陰極)側から、EIL(電子注入層)、ETL(電子輸送層)、EML(発光層)、HTL(ホール輸送層)、HIL(ホール注入層)の順に積層する構造とすればよい。
次に、窒化珪素膜やダイヤモンドライクカーボン膜、窒素を含む酸化珪素膜などを用いてパッシベーション膜を形成する。パッシベーション膜として窒素を含む酸化珪素膜を用いる場合には、SiH、NO、NHを含む混合ガス、SiH、NOを含む混合ガス、またはSiH、NOをArで希釈した混合ガスを原料として、プラズマCVD法により形成すればよい。また、パッシベーション膜として、SiH、NO、Hを含む混合ガスを原料として、プラズマCVD法により酸化窒化水素化珪素膜を適用してもよい。また、パッシベーション膜は単層構造に限定されるものではなく、積層構造としてもよい。例えば、窒化炭素膜と窒化珪素膜の積層構造としてもよい。
次に、水などの劣化を促進する物質から発光素子39を保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、絶縁性のシール材により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填してもよいし、シール材を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を貼り合わせてもよい。シール材には紫外線硬化樹脂などを用いることが好ましい。また、シール材には乾燥剤や基板間のギャップを一定に保つための粒子を混入しておいてもよい。最後に、外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、発光装置が完成する。
以上のように作製した発光装置の一例について、図12を用いながら説明する。なお、形状が異なっていても同様の機能を示す部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施例では、薄膜トランジスタが配線33aを介して発光素子39に接続されている。
第1の電極35は、透光性を有する導電膜により形成されており、基板11側に電界発光層37より射出された光が取り出される構造である。なお42は対向基板であり、発光素子39が形成された後、シール材などを用い、基板11に固着される。対向基板42と素子との間に透光性を有する樹脂40等を充填し、封止することによって発光素子39が水分により劣化することを防ぐ事ができる。また、樹脂40は吸湿性を有していることが望ましい。さらに樹脂40中に透光性の高い乾燥剤41を分散させることにより、さらに水分の影響を抑えることが可能となる。
図12においては、第1の電極35と第2の電極38の両方が透光性を有する導電膜により形成されており、基板11及び対向基板42の両方に光を取り出すことが可能な構成となっている。このような構成の場合、基板11と対向基板42の外側に偏光板を設けることによって画面が透けてしまうことを防ぐことができ、視認性を向上させることが好ましい。さらに、偏光板の外側に保護フィルムを設けるとよい。
なお、表示機能を有する本発明の発光装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光装置は、上述したどの駆動方法を用いてもよい。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の発光装置であるパネルの外観について図13を用いながら説明する。図13(A)は、基板4001と対向基板4006との間に形成したシール材4005によって発光素子4011を封止したパネルの上面図であり、図13(B)は図13(A)をA−A´間で切断したときの断面図に相当する。
図13(A)に示すように、シール材4005は、基板4001上に設けられた画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004を囲むようにして設けられている。また、画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004の上には、対向基板4006が設けられている。また、画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004は、シール材4005によって基板4001と対向基板4006との間に充填材4007と共に密封されている。
基板4001上に設けられた画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004は、それぞれ薄膜トランジスタを複数有している。図13(B)においては、信号線駆動回路4003に含まれる薄膜トランジスタ4008と、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010とを示している。また、発光素子4011は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。
配線4014は画素部4002、信号線駆動回路4003、及び走査線駆動回路4004に、信号または電源電圧を供給する為の配線である。配線4014は、配線4015を介して接続端子4016に接続されている。接続端子4016はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018の有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
充填材4007としては、窒素やアルゴンなどの不活性ガスの他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができる。例えば、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いる事ができる。
なお、本発明の発光装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、当該パネルにICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、非接触でデータの送受信が可能であるRFID(Radio Frequency Identification)タグの作製方法の一構成に関して図面を用いて説明する。なお、RFIDタグは、アンテナを有する半導体装置とよぶこともできる。
まず、基板1511上に剥離層1512を形成する(図14(A))。なお、剥離層1512を形成する前に基板1511上に絶縁膜を設けてもよい。特に、基板1511に含まれるアルカリ金属、アルカリ土類金属などの不純物の汚染が懸念される場合には、基板1511と剥離層1512との間に絶縁膜を形成するのが好ましい。基板1511と剥離層1512との間に設ける絶縁膜は、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素膜(SiO膜)(x>y)、酸素を含む窒化珪素膜(SiN膜)(x>y)等を用いた単層構造、またはこれらの膜を積層した構造とすればよい。なお、基板1511は実施例1で例示したものを使用することができる。
剥離層1512を形成する材料としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。また、成膜方法としては、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法を用いることができる。また、剥離層1512の構造としては、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。例えば、スパッタ法によりタングステン(W)を20〜40nmの厚さに形成した後、タングステン(W)の表面を酸化させる構造とすることが好ましい。タングステン(W)の表面を酸化する方法は、タングステン(W)を成膜した後、表面を直接プラズマ酸化してもよいし、タングステン(W)を成膜した後に、タングステン(W)に接して酸化珪素膜を成膜する方法がある。後者の場合、酸化珪素膜を成膜する際にタングステン(W)の表面が自然に酸化され、金属酸化膜が形成される。なお、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11)、Xが3の場合(WO)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に組成比を決めればよい。
次に、剥離層1512の上に、薄膜トランジスタ等の素子を有する集積回路が複数設けられた層1513(以下、「素子層1513」と記す。)を形成する(図14(B))。なお、基板1511から素子層1513への不純物などの汚染が懸念される場合には、基板1511と素子層1513との間に下地膜を形成することが好ましい。例えば、基板1511としてガラス基板を用いる場合、下地膜を設けることで、ガラス基板に含まれるナトリウム(Na)などのアルカリ金属が素子層1513に侵入することを防止することができる。なお、下地膜は実施例1で例示したものを使用することができる。
素子層1513は、複数の集積回路を有しており、当該複数の集積回路は、それぞれ後に分断され、半導体装置(チップ)の一部となる。すなわち、後の半導体装置は、少なくとも集積回路が設けられた層を有する。集積回路は、少なくとも薄膜トランジスタ(TFT)や抵抗などに代表される素子を有しており、当該素子を用いることによって、CPU、メモリまたはマイクロプロセッサ等のあらゆる集積回路を形成することができる。また、素子層1513は、薄膜トランジスタなどの素子に加えてアンテナを有する形態もとりうる。例えば、薄膜トランジスタで構成される集積回路は、アンテナで発生した交流の電圧を用いて動作を行い、アンテナに印加する交流の電圧を変調することにより、リーダ/ライタへの電磁波または電波の送信を行うことができる。アンテナは、薄膜トランジスタとともに形成してもよいし、薄膜トランジスタとは別個に形成し、後に電気的に接続するようにして設けてもよい。
本実施例では、上記実施の形態で説明した方法によりファイバーレーザーを用いて半導体膜を結晶化して、薄膜トランジスタを形成する。薄膜トランジスタを構成する半導体膜の構造は、どのような構成としてもよく、例えば不純物領域(ソース領域、ドレイン領域、LDD領域を含む)を形成してもよいし、Pチャネル型、Nチャネル型またはCMOS回路を形成してもよい。また、半導体膜の上方または下方に設けられるゲート電極の側面と接するように絶縁膜(サイドウォール)を形成してもよいし、ソース領域及びドレイン領域とゲート電極との一方または両方に、ニッケル、モリブデンまたはコバルト等のシリサイド層を形成してもよい。
次に、必要に応じて、素子層1513を覆うように絶縁膜1514を形成する(図14(C))。この絶縁膜1514は、素子層1513の強度を確保するための保護層として機能すればよく、素子層1513を覆うように全面に設けることが好ましいが、必ずしも全面に設ける必要はなく、選択的に設けてもよい。絶縁膜1514の材料としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜、有機材料からなる膜(例えば、エポキシ等の樹脂材料)を用いることができる。絶縁膜1514を形成する方法としては、スパッタ法、プラズマCVD法等の各種CVD法、スピンコーティング法、液滴吐出法、印刷法などを用いることができる。なお、本実施例では絶縁膜1514を設ける構成としているが、絶縁膜1514を設けない構成としても本発明を実施することができる。
次に、素子層1513及び絶縁膜1514の一部をエッチングして開口部1515を形成し、剥離層1512を露出させる(図14(D))。開口部1515を形成することにより、素子層1513及び絶縁膜1514の一部から構成される層(以下、「積層体1517」と記す。)が複数形成される。また、開口部1515により分断された素子層1513は、集積回路が設けられた層と呼ぶことができる。
開口部1515は、剥離層1512と素子層1513との密着性を選択的(部分的)に低下させ、後に基板1511から素子層1513及び絶縁膜1514を剥離する際のきっかけを与えるために形成するものであり、レーザー光の照射や、フォトリソグラフィ法などにより形成することができる。また、開口部1515は、素子層1513を構成する薄膜トランジスタ等を避けた領域や、基板1511の端部に設けることが好ましい。
本プロセスにレーザーを用いる場合は、気体レーザー、液体レーザー、固体レーザーのいずれでも使用することができる。なお、好ましくは、気体レーザーまたは固体レーザーを用いるとよく、さらに好ましくは固体レーザーを用いるとよい。
気体レーザーは、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガス(CO)レーザー、エキシマレーザー、アルゴンイオンレーザーがある。エキシマレーザーは、希ガスエキシマレーザー、希ガスハライドエキシマレーザーがある。希ガスエキシマレーザーは、アルゴン、クリプトン、キセノンの3種類の励起分子による発振がある。アルゴンイオンレーザーは、希ガスイオンレーザー、金属蒸気イオンレーザーがある。
液体レーザーは、無機液体レーザー、有機キレートレーザー、色素レーザーがある。無機液体レーザーと有機キレートレーザーは、固体レーザーに利用されているネオジムなどの希土類イオンをレーザー媒質として利用する。
固体レーザーとして用いるレーザー媒質は、固体である母体にレーザー作用をする活性種がドープされたものである。母体としては、結晶またはガラスを使用できる。また、結晶としては、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)、YLF、YVO、YAlO、サファイア、ルビー、アレキサンドライトが挙げられる。また、レーザー作用をする活性種としては、例えば、3価のイオン(Cr3+、Nd3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Er3+、Ti3+)を使用することができる。その他に、半導体レーザーやディスクレーザー、ファイバーレーザーを使用することもできる。
なお、レーザーの発振方式は、連続発振型でもよいし、パルス発振型でもよい。レーザービームの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、素子層1513や絶縁膜1514に設けられている材料の性質や厚さなどを考慮して適宜調整する。
なお、上記のレーザービームを照射する工程では、アブレーション加工を用いることを特徴としている。アブレーション加工とは、レーザービームを照射した部分、つまり、レーザービームを吸収した部分の分子結合が切断されて、該部分が光分解し、気化する現象を用いた加工である。つまり、本工程では、レーザービームを照射して、素子層1513や絶縁膜1514に設けられた絶縁膜などの分子結合を切断し、光分解し、気化させることにより、開口部1515を形成している。
なお、レーザーは、紫外領域である133〜355nm(より好ましくは212〜355nm)の波長の固体レーザーを用いるとよい。例えば、133〜355nmの波長のNd:YVOレーザーを用いるとよい。133〜355nmの波長のNd:YVOレーザーは、他の高波長側のレーザーに比べ、基板に光が吸収されやすく、アブレーション加工が可能であり、加工部の周辺に影響を与えず、加工性がよいため好ましい。
次に、絶縁膜1514上にフィルム1516を貼り付ける(図15(A))。フィルム1516は、後にフィルム1516から半導体装置を分離させる際に、半導体装置間の隙間を確保するための役割を果たす。このような役割を果たすフィルムとして、延伸フィルム(「エキスパンドフィルム」と呼ぶこともできる。)を用いるとよい。また、素子層1513を保護するフィルムと、エキスパンドフィルムとを積層したフィルムを用いてもよい。また、フィルム1516は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましい。例えば、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
次に、物理的手段を用いて基板1511から素子層1513及び絶縁膜1514を剥離する(図15(B))。剥離を行う前に開口部1515を形成することで剥離層1512と素子層1513との密着性を選択的(部分的)に低下させているため、物理的手段により基板1511から素子層1513及び絶縁膜1514を容易に剥離することができる。物理的手段の例としては、ノズルから吹付けられるガスの風圧、超音波または楔状の部材を用いた負荷等を用いて外部から衝撃(ストレス)を与える方法がある。なお、本工程で剥離された素子層1513及び絶縁膜1514の一部を有する積層体1517は、後の半導体装置を構成する一部である。
なお、剥離された基板1511は、剥離層1512を除去した後、再利用することができるため、より低コストで半導体装置を作製することができる。例えば、原価の高い石英基板を用いた場合であっても、繰り返し石英基板を利用することにより、低コストで半導体装置を作製することができる。
また、上述したように開口部1515を形成した後、物理的手段を用いて剥離する方法だけでなく、開口部1515を形成し、当該開口部1515にエッチング剤を導入して剥離層1512を除去した後、物理的手段を用いて剥離する方法を用いることもできる。この場合、剥離層1512は、全て除去してもよいし、剥離層の一部分を残すように選択的に除去してもよい。剥離層1512の一部を残すことによって、剥離層を除去した後も、基板1511上に積層体1517を保持させておくことができる。また、剥離層1512を全て除去せず処理を行うことにより、エッチング剤の消費量を減らし、処理時間の短縮化ができるため、低コスト化および高効率化を図ることができる。エッチング剤としては、三フッ化塩素ガス等のフッ化ハロゲンまたはハロゲンを含む気体や液体を使用することができる。また、CF、SF、NF、F等を用いることもできる。
次に、基板1511から剥離した積層体1517の一方の面に第1の積層フィルム(「ラミネートフィルム」とも呼ばれる。)を設ける。第1の積層フィルムは、絶縁膜1514に接着させた後、加熱処理と加圧処理の一方または両方を行うことにより設ける。
次に、積層体1517の他方の面(第1の積層フィルムが設けられた面と反対側の面)に第2の積層フィルムを設ける。この場合、半導体装置をより薄く形成するために、フィルム1516を除去した後に新たに第2の積層フィルムを設けることが好ましい。また、第2の積層フィルムは、第1の積層フィルムと同じ構成のものを用いることが好ましい。
第1の積層フィルム及び第2の積層フィルムは、少なくとも一方の面が接着剤層を有しており、当該接着剤層と積層体1517とが接するように貼り合わさるようにすればよい。また、第1の積層フィルム及び第2の積層フィルムは、基材(ベースフィルム)と接着剤層が積層されたフィルムで構成される。本実施例では、第1の積層フィルムは第1の基材1518及び第1の接着剤層を有し、第2の積層フィルムは第2の基材1519及び第2の接着剤層を有している。そして、第1の積層フィルムの有する第1の接着剤層と第2の積層フィルムの有する第2の接着剤層とが貼り合わさって、接着剤層1520となる(図15(C))。
基材(ベースフィルム)は、少なくとも接着剤として用いる材料よりも融点の高いものを用いればよく、目的に応じたものを用いればよい。すなわち、単層のフィルムだけでなく、性質の異なるフィルムを適宜積層して構成してもよい。具体的に基材として使用できるフィルムは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂(アクリルニトリル、ブタジエン、スチレンの三つが重合した樹脂)、メタクリル樹脂(アクリルともいう)、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン等の材料、繊維質の材料(例えば紙)、帯電防止対策を施したフィルム(帯電防止フィルム)などが挙げられる。
帯電防止対策を施したフィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルムは、基材となるフィルムの片面に帯電防止可能な材料を貼り付けられたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を貼り付けられたフィルムであってもよい。また、片面に帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が貼り付けられた面がフィルムの外側になるように貼り付けてもよいが、好ましくはフィルムの内側になるように貼り付ける。また、帯電防止可能な材料はフィルムの面全体、あるいは面の一部に貼り付けてあればよい。帯電防止可能な材料としては、アルミなどの金属、インジウムと錫を含む酸化物(ITO)、両性界面活性剤の金属塩、イミダゾリン型両性界面活性剤、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料などが挙げられる。帯電防止フィルムを第1の基材1518、第2の基材1519として用いることで、外部からの静電気によって集積回路に悪影響が及ぶことを防止することができる。
接着剤としては、少なくとも基材として用いる材料よりも融点の低いものを用いればよい。例えば、ポリエチレン系の樹脂、ポリエステル系の樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)などの熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂などを主成分とする材料を使用することができる。接着剤層を有する第1の積層フィルム及び第2の積層フィルムは、加熱処理及び加圧処理(熱圧着)により接着される。第1の積層フィルム及び第2の積層フィルムに対して加熱処理と加圧処理を行う際には、積層フィルムの最表面に設けられた接着剤層か、または最外層に設けられた層(接着剤層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。
また、最終的に形成される半導体装置(積層体1517)の内部への水分の侵入を更に防止するようにするため、基材と接着剤層との間に、二酸化珪素(シリカ)の粉末をコーティングすることが好ましい。コーティングすることにより、高温、高湿度の環境下においても防湿性を更に高めることができる。また、同様の目的で、基材と接着剤層との間に、酸化珪素、窒化珪素、酸素を含む窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、またはセラミックス(例えば、酸化アルミニウム)を主成分とする膜がCVD法やスパッタ法、蒸着法などにより形成された積層フィルムを用いることにより、最終的に形成される半導体装置(積層体1517)の内部への水分等の侵入を更に防止してもよい。また、最終的に形成される半導体装置の物理的強度を高めるため、接着剤層が設けられた基材の面とは逆側の面(外部に露出される側)に炭素を主成分とする材料(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)をCVD法やスパッタ法、蒸着法などによりコーティングしてもよい。また、二酸化珪素(シリカ)の粉末、酸素を含む窒化珪素膜、または窒素を含む酸化珪素膜と、炭素を主成分とする材料とを混合したものをコーティングしてもよい。なお、これらの処理は、第1の積層フィルム、第2の積層フィルムのいずれか一方のみ行ってもよいし、両方行ってもよい。
次に、切断手段により、第1の積層フィルムと第2の積層フィルムを切断する。切断手段は、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。切断手段としてレーザーを用いる場合、レーザーの条件を適宜設定することにより、第1の基材1518及び第2の基材1519の切断と同時に封止された構造とすることができる。
以上のように、本発明を用いることにより、半導体装置の生産性が向上し、半導体装置の低コスト化を実現することができる。また、本実施例で作製される半導体装置は、厚みがあるため通常可撓性を有さない基板から剥離して形成されている。このため、可撓性を有する半導体装置を得られ、物品の曲面部分など様々な場所に本半導体装置を設けることが可能である。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、実施例4で説明した方法とは別の方法による半導体装置の作製方法について説明する。
まず、基板1511の一方の面上に、素子として薄膜トランジスタを有する集積回路が複数設けられた層1513(以下、「素子層1513」と記す。)を形成する。本明細書において、「基板1511の一方の面」とは、素子層1513が設けられている側の面をいう。なお、基板1511や素子層1513の材料や形成方法などについては、実施例4で説明したものを用いることができる。本実施例では、上記実施の形態で説明した方法によりファイバーレーザーを用いて半導体膜を結晶化して、薄膜トランジスタを形成する。
基板1511から素子層1513への不純物などの汚染が懸念される場合には、基板1511と素子層1513との間に下地膜を形成することが好ましい。下地膜は、実施例4で説明したものを用いることができる。
また、素子層1513の強度を確保するための保護層として、素子層1513を覆うように絶縁膜を形成しておいてもよい。この絶縁膜は、素子層1513を覆うように全面に設けることが好ましいが、必ずしも全面に設ける必要はなく、選択的に設けてもよい。絶縁膜の材料としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜、有機材料からなる膜(例えば、エポキシ等の樹脂材料)を用いることができる。絶縁膜を形成する方法としては、スパッタ法、プラズマCVD法等の各種CVD法、スピンコーティング法、液滴吐出法、または印刷法などを用いることができる。
次に、素子層1513の上にフィルム1526を貼り付ける。続いて、基板固定治具1551(フレーム)を用いて吸着治具にフィルム1526を設置する(図16(A))。吸着治具は、例えばポーラスチャック1552とステージ1553とから構成されている。また、ポーラスチャック1552は、多孔質からなり、真空チャック機構を有する。また、基板固定治具1551そのものは研削、研磨されないようにするため、基板固定治具1551の一表面よりも、基板1511の一方の面(フィルム1526が設けられている側の面)の方が高くなるようにフィルム1526を設置する。
フィルム1526は後に基板を研削、研磨する際に基板を固定する役割や、素子層1513を保護する役割や、フィルム1526から半導体装置を分離させる際に、半導体装置間の隙間を確保するための役割を果たす。このような役割を果たすフィルムとして、エキスパンドフィルムを用いるとよい。また、素子層1513を保護するフィルムと、エキスパンドフィルムとを積層したフィルムを用いてもよい。また、フィルム1526は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましい。例えば、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
次に、研削手段1541により、基板1511の他方の面を研削する。このとき、基板1511の厚さとして100μm以下になるように研削する。一般的に、この研削工程では、基板1511が固定されたステージ1553と研削手段1541の一方または両方を回転させることで、基板1511の他方の面を研削する。研削手段1541とは、例えば、砥石に相当する。本明細書において、「基板1511の他方の面」とは、素子層1513が設けられている側の面とは逆側の面であり、研削手段1541により研削される側の面をいう。なお、研削工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて洗浄を行ってもよい。この場合、洗浄により生じた水滴を自然乾燥させる、または乾燥手段を用いて乾燥させる。乾燥手段は、具体的には基板1511を回転させる方法や、ブロアーを用いて基板1511にエアー(大気)や希ガスなどのガスを吹き付ける方法などがある。
次に、研磨手段1542により、研削された基板1511の他方の面を研磨する(図16(B))。基板1511の厚さとしては100μmより薄くなるように研磨すればよいが、好ましくは2〜50μm(さらに好ましくは4〜30μm)になるように研磨する。このように基板1511を研削、研磨することにより、基板1511は可撓性を有するようになり、基板1511から素子層を剥離する方法を用いずに可撓性を有する半導体装置を作製することが可能となる。この研磨工程も、上記の研削工程と同様に、基板1511が固定されたステージ1553と研磨手段1542の一方または両方を回転させることで、基板1511の他方の面を研磨する。研磨手段1542とは、例えば、研磨砥粒(例えば酸化セリウム等)を塗布した研磨パッドに相当する。なお、研磨工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて洗浄を行ってもよい。この場合、洗浄により生じた水滴を自然乾燥させる、または乾燥手段を用いて乾燥させる。乾燥手段は、具体的には基板1511を回転させる方法や、ブロアーを用いて基板1511にエアー(大気)や希ガスなどのガスを吹き付ける方法などがある。
次に、吸着治具からフィルム1526を取り外す。続いて、切断手段1543により、フィルム1526を切断しないようにしながら基板1511と素子層1513を切断する(図16(C))。このとき、素子層1513の有する複数の集積回路の各々が分離されるように、集積回路同士の境界線(集積回路の間)を切断する。また、素子層1513に設けられた素子は切断せず、素子層1513に設けられた絶縁膜を切断するようにする。この切断工程を経て、薄型化された基板1511と集積回路が設けられた層1513とを有する積層体1527が複数形成される。なお、切断手段とは、例えば、ダイサー、レーザー、ワイヤソーに相当する。
次に、積層体1527の間に隙間が形成されるように、フィルム1526を延伸させる(図17(A))。この際、積層体1527の間の隙間を均等にするために、フィルム1526の面方向に均一に伸ばす(面方向に均等に引っ張る)ことが好ましい。続いて、フィルム1526に光を照射する。フィルム1526がUVテープの場合は紫外光を照射する。光を照射させることにより、フィルム1526の接着力が弱くなり、フィルム1526と積層体1527との間の密着性が弱くなる。そして、物理的手段により、積層体1527をフィルム1526から分離することができる状態になる。
なお、上記の工程では、フィルム1526を延伸させる工程の後に、フィルム1526に光を照射する工程を行っているが、本発明はこの順番に制約されない。フィルム1526に光を照射する工程の後に、フィルム1526を延伸させる工程を行ってもよい。
次に、積層体1527の封止処理を行う。封止処理としては2通りの方法がある。まず、1つ目の方法について説明する。
1つ目の方法では、まず、移載手段1544により、フィルム1526から積層体1527を分離する(図17(B))。続いて、積層体1527の一方の面を第1の積層フィルム1561に接着させるために、移載手段1544により、積層体1527を第1の積層フィルム1561上に設置する。なお、移載手段1544とは、具体的には、ピンを使用してのリフトアップ、アームを使用してのピックアップ、真空機構を使用しての真空吸着などの接触移載手段や、磁力、空気圧、静電気力を吸着力または浮上力として用いる非接触移載手段などがある。
次に、積層体1527の他方の面を第2の積層フィルム1562に接着させる(図17(C))。この工程は、接着装置(以下、「ラミネート装置」と記す。)を用いて行うものであり、当該ラミネート装置は、加熱手段と加圧手段の一方または両方を有する第1のロール1545と、第2の積層フィルム1562が巻き付けられ、その第2の積層フィルム1562を第1のロール1545に供給する第2のロール1546とを有している。
複数の積層体1527が設置された第1の積層フィルム1561は、搬送手段1547により順次搬送されている。また、第1のロール1545及び第2のロール1546は、それぞれ順次回転しており、積層体1527の封止処理を連続的に行う。ここで行う封止処理とは、積層体1527が接着された第1の積層フィルム1561が、第1のロール1545と搬送手段1547との間を通過する際に加圧処理と加熱処理の一方または両方を行うことにより、第1の積層フィルム1561及び第2の積層フィルム1562を積層体1527に接着する処理に相当する。第1のロール1545と搬送手段1547により加熱処理が行われる場合、第1のロール1545は、電熱線のヒータまたはオイル等に相当する加熱手段を有する。また、加熱処理と加圧処理の両方を行う際には、積層フィルムの最表面に設けられた接着剤層を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。搬送手段1547は、ベルトコンベア、複数のローラー、またはロボットアームに相当する。
封止に用いる第1の積層フィルム1561は、第1の基材と第1の接着剤層を有し、第2の積層フィルム1562は、第2の基材と第2の接着剤層を有する。基材及び接着剤は、実施の形態1で説明したものを適宜用いることができる。また、第1の積層フィルム1561及び第2の積層フィルム1562は、熱圧着(加熱処理及び加圧処理)により積層体1527に接着される。
次に、切断手段1548により、第1の積層フィルム1561と第2の積層フィルム1562を切断する(図17(D))。切断手段1548は、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。切断手段としてレーザーを用いる場合、レーザーの条件を適宜設定することにより、第1の基材1518及び第2の基材1519の切断と同時に封止された構造とすることができる。
次に、2つ目の方法について説明する。
まず、フィルム1526と積層体1527との間の密着性を小さくするために、フィルム1526に光を照射する。次に、積層体1527の一方の面を覆うように第1の積層フィルム1561を設ける(図18(A))。続いて、加熱手段1549により、第1の積層フィルム1561を加熱することにより、積層体1527の一方の面を第1の積層フィルム1561に接着させる。続いて、フィルム1526から積層体1527を分離する(図18(B))。
なお、2つ目の方法では、フィルム1526に光を照射した後に、積層体1527の一方の面を覆うように第1の積層フィルム1561を設けている。しかしながら、本発明はこの順番に制約されない。例えば、積層体1527の一方の面を覆うように第1の積層フィルム1561を設けて、当該第1の積層フィルム1561を加熱した後に、フィルム1526に光を照射してもよい。
次に、積層体1527の他方の面を第2の積層フィルム1562に接着させる。続いて、第1の積層フィルム1561と第2の積層フィルム1562を切断する。切断手段は、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。切断手段としてレーザーを用いる場合、レーザーの条件を適宜設定することにより、第1の基材1518及び第2の基材1519の切断と同時に封止された構造とすることができる。
上記工程を経て完成する半導体装置の有する基板は厚さが薄いため、ガラス基板など通常可撓性を有していない基板でも可撓性を有している。このため、物品の曲面部分など様々な場所に本半導体装置を設けることが可能である。また、基板の厚さが薄い結果、半導体装置全体としても厚さが薄くなり、本半導体装置を物品に実装してもデザイン性を低下させることもない。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の半導体装置を非接触でデータの送受信が可能であるRFIDタグとして利用した場合の一構成に関して図19を用いて説明する。
半導体装置80は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路81、クロック発生回路82、データ復調回路83、データ変調回路84、他の回路を制御する制御回路85、記憶回路86およびアンテナ87を有している(図19)。なお、記憶回路は1つに限定されず、複数であってもよく、SRAM、フラッシュメモリ、ROMまたはFeRAM等や、有機化合物層を記憶素子部に用いたものを用いることができる。
リーダ/ライタ88から電波として送られてきた信号は、アンテナ87において、例えば電磁誘導により交流の電気信号に変換される。電源回路81では、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、電源配線を介して各回路へ電源電圧を供給する。クロック発生回路82は、アンテナ87から入力された交流信号を基に、各種クロック信号を生成し、制御回路85に供給する。復調回路83では、当該交流の電気信号を復調し、制御回路85に供給する。制御回路85では、入力された信号に従って各種演算処理を行う。記憶回路86では、制御回路85において用いられるプログラムやデータ等が記憶されている他、演算処理時の作業エリアとしても用いることができる。そして、制御回路85から変調回路84にデータが送られ、変調回路84から当該データに従ってアンテナ87に負荷変調を加えることができる。リーダ/ライタ88は、アンテナ87に加えられた負荷変調を電波で受け取ることにより、結果的にデータを読み取ることが可能となる。
次に、アンテナ87の形状に関して説明する。半導体装置80(RFIDタグ80)における信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式を用いることができる。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適なアンテナを適宜設ければよい。
例えば、半導体装置80における信号の伝送方式として、電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する場合には、磁界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナとして機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)、またはらせん状に形成する。
また、半導体装置80における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナの長さや形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナ87を線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)に形成すればよい。また、アンテナ87の形状は直線状に限らず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状、またはこれらを組み合わせた形状でもよい。
次に、アンテナ87の形成方法と材料に関して説明する。アンテナ87の形成方法としては、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサー法、メッキ法等を用いることができる。また、アンテナ87の材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。また、はんだ(好ましくは鉛フリーのはんだ)を主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだは、低コストであるという利点を有している。また、セラミックやフェライトなどをアンテナに適用することも可能である。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナ87を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性ペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びチタン(Ti)のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、珪素樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、アンテナ87の形成にあたり、導電性ペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性ペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば、粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300度の温度範囲で焼成して硬化させることにより、アンテナ87を形成することができる。
また、電磁結合方式または電磁誘導方式を適用する場合であって、半導体装置80を金属に接して設ける場合には、当該半導体装置と金属との間に透磁率を備えた磁性材料を設けることが好ましい。アンテナを備えた半導体装置を金属に接して設ける場合には、磁界の変化に伴い金属に渦電流が流れ、当該渦電流により磁界の変化が弱められて通信距離が低下する。そのため、半導体装置と金属との間に高い透磁率を備えた材料を設けることにより金属の渦電流を抑制し通信距離の低下を抑制することができる。なお、磁性材料としては、高い透磁率を有し高周波損失の少ないフェライトや金属薄膜を用いることができる。
また、半導体装置80は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリ)を搭載せず電波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリ)を搭載して電波と電源(バッテリ)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、ファイバーレーザーを用いて作製したTFTを様々な電子機器に適用する例について説明する。電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話機、携帯型のゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD))等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。
本発明を用いることにより、電子機器を低コストで作製することができる。電子機器の具体例につき、図20を用いて説明する。
図20(A)は表示装置であり、筐体1901、支持台1902、表示部1903、スピーカー部1904、ビデオ入力端子1905などを含む。本表示装置は、他の実施の形態や実施例で示した作製方法により形成した薄膜トランジスタを、その表示部1903及び駆動回路に用いることにより作製される。なお、表示装置には液晶表示装置、発光装置などがあり、具体的にはコンピュータ用、テレビ受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図20(B)はコンピュータであり、筐体1911、表示部1912、キーボード1913、外部接続ポート1914、ポインティングマウス1915などを含む。本コンピュータは、他の実施の形態や実施例で示した作製方法により形成した薄膜トランジスタを、その表示部1912やその他の回路に用いることにより作製される。さらに、本発明はコンピュータ内部のCPU、メモリなどの半導体装置にも適用が可能である。
図20(C)は携帯電話機であり、携帯情報端末の代表例である。本携帯電話機は筐体1921、表示部1922、センサ部1924、操作キー1923などを含む。センサ部1924は、光センサ素子を有しており、センサ部1924で得られる照度に合わせて表示部1922の輝度コントロールを行ったり、センサ部1924で得られる照度に合わせて操作キー1923の照明制御を行うことで携帯電話機の消費電流を抑えることができる。また、CCDなどの撮像機能を有する携帯電話機であれば、光学ファインダーの近くに設けられたセンサ部1924のセンサ受光量が変化することで撮影者が光学ファインダーを覗いたか否かを検出する。撮影者が光学ファインダーを覗いている場合には、表示部1922をオフとすることで消費電力を抑えることができる。
上記の携帯電話機を始めとして、PDA(Personal Digital Assistants、情報携帯端末)、デジタルカメラ、小型ゲーム機などの電子機器は携帯情報端末であり、表示画面が小さいという特徴がある。
また、本発明のレーザ照射装置を用いて作製した薄膜トランジスタを、RFIDタグ(非接触型の薄膜集積回路、無線ICタグ、無線認証とも呼ばれる。)として用いることもできる。また、RFIDタグを様々な電子機器に貼り付けることにより、電子機器の流通経路などを明確にすることができる。
図20(D)は、パスポート1941にRFIDタグ1942を固着したものである。なお、パスポート1941にRFIDタグ1942を埋め込む構成としてもよい。同様にして、運転免許証、クレジットカード、紙幣、硬貨、証券、商品券、チケット、トラベラーズチェック(T/C)、健康保険証、住民票、戸籍謄本などにRFIDタグを固着したり埋め込むことができる。この場合、本物であることを示す情報のみをRFIDタグに入力しておき、不正に情報を読み取ったり書き込んだりできないようにアクセス権を設定する。これは、他の実施例で示したメモリを用いることにより実現できる。このようにタグとして利用することによって、偽造されたものと区別することが可能になる。
また、RFIDタグをメモリとして用いることも可能である。図20(E)は、RFIDタグ1951を野菜の包装に貼り付けるラベルに用いた場合の例を示している。また、包装そのものにRFIDタグを貼り付けたり埋め込んだりしても構わない。RFIDタグ1951には、生産地、生産者、製造年月日、加工方法などの生産段階のプロセスや、商品の流通プロセス、価格、数量、用途、形状、重量、賞味期限、各種認証情報などを記録することが可能になる。RFIDタグ1951からの情報は、無線式のリーダ1952のアンテナ部1953で受信して読み取り、リーダ1952の表示部1954に表示することによって、卸売業者、小売業者、消費者が把握することが容易になる。また、生産者、取引業者、消費者のそれぞれに対してアクセス権を設定することによって、アクセス権を有しない場合は読み込み、書き込み、書き換え、または消去ができない仕組みになっている。
また、RFIDタグは、以下のように用いることもできる。会計の際にRFIDタグに会計を済ませたことを記入し、出口にチェック手段を設け、会計済みであることをRFIDタグに書き込まれているかをチェックする。会計を済ませていないで店を出ようとすると、警報が鳴る。この方法によって、会計のし忘れや万引きを予防することができる。
さらに、顧客のプライバシー保護を考慮すると、次のような方法にすることが好ましい。レジで会計をする段階で、(1)RFIDタグに入力されているデータを暗証番号などでロックする、(2)RFIDタグに入力されているデータそのものを暗号化する、(3)RFIDタグに入力されているデータを消去する、(4)RFIDタグに入力されているデータを破壊する、のいずれかを行う。これらは他の実施例にて挙げたメモリを用いることによって実現することができる。そして、出口にチェック手段を設け、(1)〜(4)のいずれかの処理が行われたか、またはRFIDタグのデータに何も処理が行われていない状態であるかをチェックすることによって、会計の有無をチェックする。このようにすると、店内では会計の有無を確認することが可能であり、店外では所有者の意志に反してRFIDタグの情報を読み取られることを防止することができる。
以上に挙げたRFIDタグは、従来用いているバーコードより製造コストが高いため、コスト低減を図る必要があるが、本発明を用いることによって半導体膜の加熱プロセスにおけるコストを下げることができるため、当該半導体膜を有するRFIDタグ自体のコストも低減することができる。
以上のように、本発明により作製された半導体装置の適用範囲は極めて広く、本発明により作製された半導体装置を様々な分野の電子機器に用いることができる。
本実施例は、上記実施の形態及び実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態1)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態1)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態1)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態2)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態4)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態5)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態6)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態7)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例1)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例2)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例2)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例2)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例3)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例4)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例4)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例5)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例5)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施例5)。 本発明の半導体装置を示す図(実施例6)。 本発明により作製された半導体装置を用いた電子機器を示す図(実施例7)。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図(実施の形態3)。
符号の説明
101 励起用のレーザーダイオード(LD)
102 励起光コンバイナー
103 ファイバーブラッググレーティング
104 レーザー媒質をコアにドープした光ファイバー(アクティブゲインファイバー)
105 ファイバーブラッググレーティング
106 出力ポート
107 ファイバーケーブル

Claims (1)

  1. レーザー光を半導体膜に照射する半導体装置の作製方法であって、
    複数のファイバーレーザーの射出口を一定の間隔に配置し、
    前記複数のファイバーレーザーの射出口と前記半導体膜との間にスリットを配置し、
    前記配置された複数の射出口から射出される複数のレーザー光を、前記スリット及びシリンドリカルレンズを通して、複数の線状レーザー光に成形し、
    前記複数の線状レーザー光を半導体膜に照射することにより、前記半導体膜を結晶化または活性化する半導体装置の作製方法であって、
    前記スリットは前記線状レーザー光の長軸方向の光を遮断することを特徴とする半導体装置の作製方法。
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