JP5517121B2 - 太陽電池モジュール用の封止材フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
太陽電池のモジュールは、一般的に、図4に示す様に、ガラス基板1とバックシート2との間にエチレン系共重合体樹脂組成物フィルム3A、太陽電池セル4、エチレン系共重合体樹脂組成物フィルム3Bを積層配置し、真空引きしながら加熱・加圧する真空ラミネート法で作製される。
このような真空ラミネート法により太陽電池のモジュールを作製する際に、封止材のエチレン系共重合体樹脂組成物フィルムの加熱時における収縮が大きいと、200μm前後の厚さの薄膜太陽電池セル4が正規な位置からずれて外観不良を起こしたり、最悪は発電素子が重なり合って破損し、製造歩留まりを悪化させるため、封止材に用いるエチレン系共重合体樹脂組成物フィルムの性能として、加熱時の収縮が小さいことが要求されている。
したがって、太陽電池モジュール用の封止材としてのエチレン系共重合体樹脂組成物フィルムを連続的に製造するためには、引っ張りのテンションを出来るだけ低減するか、あるいは、製膜から巻取りまでの間に、アニーリングゾーンを設けてアニーリング処理をしてから巻き取る等の工夫が必要となる。
また、前記特許文献2に示す方法においても、カレンダーロール上でシーティングされたフィルムを連続的に巻き取るためには、やはりテンションを掛ける必要があり、熱収縮率の低減効果も完全に満足できるものではなかった。
また、前記特許文献3に示す方法は、フィルムのアニール処理に1〜2分間の時間をかける必要があるため、アニール処理のライン長を長くする必要があり、設備が大掛かりのものになってしまうという難があった。
また、前記特許文献4に示す方法は、Tダイ成型機が複数台必要であり、準備工数や設備コストに難がある。また、詳細は記載されていないが、積層ラミネートされたシートを連続的に巻き取るためには、やはりテンションを掛ける必要があるものと考えられる。
第3の発明は、前記耐熱性基材はPETフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用の封止材フィルムの製造方法である。
したがって、本発明の封止材フィルムを用いて太陽電池モジュールを製造する際に、真空ラミネート加熱時に封止材フィルムが過度に収縮して、薄膜太陽電池セルが正規な位置から大きくずれて外観不良を起こしたり、重なり合って破損したりすることがないので、歩留まり良く、太陽電池モジュールを製造することが出来る。
なかでも、エチレン系共重合体樹脂として、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及び/又はエチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)が好ましく用いられ、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が、透明性、成形性、柔軟性、接着性、コスト等の観点から太陽電池モジュール用封止材として特に好適に用いられる。
エチレン系共重合体樹脂におけるエチレンモノマーの含有量は、前記エチレン系共重合体樹脂100重量部に対して65〜85重量部であるものが好ましい。エチレンモノマーの含有量が65重量部未満では、ラミネート加熱時に、もう一方の共重合可能なモノマーからラミネート加熱時にカルボン酸等のガス発生量が多くなり、モジュール内部の発錆原因になるので好ましくないだけでなく、共重合体樹脂のガラス転移温度が低くなりすぎて、シートした際にブロッキングを起こすので好ましくない。また、エチレンモノマーの含有量が15重量部未満では、ラミネート加熱後の封止膜としての透明性に劣ったり、ラミネート加熱時に軟化温度が高くなる分、太陽電池素子への追従性が悪くなり、割れやすくなったりするので好ましくない。
さらに、本発明の封止材フィルムを構成するエチレン系共重合体樹脂組成物5は、エチレン系共重合体樹脂の他に所定の架橋剤を含む。これにより、エチレン系共重合体樹脂を3次元的に架橋し、耐久性を向上することができる。
この架橋剤としては、有機過酸化物又は光重合開始剤が好適に用いられるが、接着力、透明性、耐湿性、耐貫通性の良好な封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
また、架橋剤として光重合開始剤を用いる場合は、公知の光重合開始剤を使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系開始剤、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系開始剤などが例示される。なかでも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が特に好ましい。
さらに、本発明の封止材フィルムFを構成するエチレン系共重合体樹脂組成物5は、架橋助剤を含むのが好ましい。これにより、エチレン系共重合体樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性、耐熱性を向上させることが出来る。このような架橋助剤としては、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物が好ましく、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能トリアジン化合物の他、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの架橋助剤の含有量は、エチレン系共重合体樹脂100重量部に対して、一般に10重量部以下、好ましくは0.1〜5重量部である。
さらに、本発明の封止材フィルムFを構成するエチレン系共重合体樹脂組成物5は、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。これにより、太陽光中の紫外線による封止膜の劣化を防ぎ、封止膜が黄変するのを抑制することが出来る。
さらに、本発明の封止材フィルムFを構成するエチレン系共重合体樹脂組成物5は、光安定剤を含むことによっても、太陽光などの影響によって封止膜の劣化を防ぎ、封止膜が黄変するのを抑制することができる。前記光安定剤としてはヒンダードアミン系の光安定剤を用いることが好ましく、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等が例示される。なお、前記光安定剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。これらの光安定剤の含有量は、エチレン系共重合体樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましい。
本発明で言う離型性を有する基材とは、エチレン系共重合体樹脂組成物5を熱溶融して塗工した際に、基材に軽く密着して、搬送、巻き取りの過程で浮き、剥がれ等の不具合が発生することはないが、後で製膜されたエチレン系共重合体樹脂組成物5を基材からジッピングスティックスリップすることなく容易に剥離することの出来る基材を意味する。
(実施例1)
下記配合のEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)樹脂組成物を用いて、EVA封止材フィルムを製膜した。
[EVA樹脂組成物配合(重量部)]
・EVA樹脂(酢酸ビニル含有量:27重量%、MFR:14g/10分):100
・架橋剤(ジブチルパーオキサイド系化合物):1.0
・架橋助剤(多官能トリアジン化合物):1.5
・シランカップリング剤(メタクリロキシ基含有シラン化合物):1.0
・酸化防止剤(ヒンダードフェノール系化合物):0.3
・紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物):0.2
・光安定剤(ヒンダードアミン系化合物):0.1
まず、上記EVA樹脂組成物を混練機を用いて80℃で混練し、その後、得られた混練物を図1に示すようなカレンダー加工機(ロール温度80℃)6を用いて、100μm厚さのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製易接着PET:HLEW、MD熱収縮率:0.5%、TD熱収縮率:−0.1%)上に350μm厚さとなるように塗工後、エンボスロール10間に通紙し、冷却して巻き取った。次に、図2に示すようにこの巻き取った原反を、巻き出し・巻き取り装置を用いて、巻き取り直前でEVA樹脂組成物のフィルムからPETフィルムを剥離しながら抜き取り、EVA樹脂組成物単独のフィルム原反を作製した。
(実施例2)
実施例1において、PETフィルムを100μm厚さの離型性を有するPETフィルム(東レ(株)製PET:S10の表面に付加型のシリコーン離型剤溶液を塗布し120℃で乾燥して巻き取ったPETフィルム、MD熱収縮率:1.2%、TD熱収縮率:0.2%)に変更した以外は実施例1と同様にしてEVA樹脂組成物単独のフィルム原反を作製した。
(実施例3)
実施例1において、PETフィルムを50μm厚さの離型性を有するエンボス加工PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製PET:FTの表面に付加型のシリコーン離型剤溶液を塗布し120℃で乾燥し、さらに離型処理面側をエンボス加工して巻き取ったPETフィルム、MD熱収縮率:2.4%、TD熱収縮率:0.8%)に変更し、エンボスロール間に通紙しなかった以外は実施例1と同様にしてEVA樹脂組成物単独のフィルム原反を作製した。
(比較例)
図3に示すように実施例1と同様のEVA樹脂組成物の混練物19、および4つのカレンダーロール20A、20B、20C、20Dからなるカレンダー加工機20を用いて、離型性を有する耐熱性基材を使用することなく、EVA樹脂組成物の単独フィルム原反を作成した。
[封止材フィルムの加熱収縮率(%)の測定方法]
JIS C2318−1997(5.3.4寸法変化)に準じ、作成したフィルムから幅20mm、長さ150mmの大きさの試験片を、シートのMD方向から5枚切り取り、それぞれの中央部に100mmの距離をおいて標点をつける。この試験片を75℃に保持された熱風循環式恒温槽に垂直に吊るし、15分間加熱した後に取り出し、室温に30分間放置してから標点間距離をそれぞれ測定して、次式によって収縮率を算出し、その平均値を求める。
・ΔL(%)=〔(L0−LH)/L0〕×100
・ΔL:加熱収縮率(%)
・L0:加熱前の標点間距離(mm)
・LH:加熱後の標点間距離(mm)
2…バックカバー
3A,3B…エチレン系共重合体樹脂組成フィルム
4…太陽電池セル
5,19…樹脂組成物
6,20…カレンダー
6A,6B,6C,6D,20A,20B,20C,20D…カレンダーロール
7,13…巻出部
8…巻取部
9…耐熱性基材
10…エンボスロール
11…冷却ロール
13…巻取部
15…耐熱性基材巻取部
16…フィルム巻取部
17…タッチロール
F…封止用フィルム
Claims (3)
- 少なくとも架橋剤を含むエチレン系共重合体樹脂組成物を、当該樹脂組成物に対して離型性を有する耐熱性基材としてポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂からなるいずれかの基材上にカレンダー加工機を用いて直接熱溶融塗工した後に、
当該樹脂組成物を前記耐熱性基材から剥離しながら巻き取ること
を特徴とする太陽電池モジュール用の封止材フィルムの製造方法。 - 前記架橋剤として有機過酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用の封止材フィルムの製造方法。
- 前記耐熱性基材はPETフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用の封止材フィルムの製造方法。
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