JP5655671B2 - 封止材シートの製造方法 - Google Patents
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Description
前記未処理封止材シートと、剥離性支持基材と、を圧着して貼り合せてラミネート体を得るラミネート工程と、
前記ラミネート工程後のアニール処理工程と、
前記アニール処理工程後に前記ラミネート体から前記剥離性支持基材を剥離する剥離工程と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
前記ポリエチレン系樹脂の融点+90℃から融点+150℃の範囲である(5)記載の封止材シートの製造方法。
前記封止材組成物が架橋剤を含有するポリエチレン系樹脂であり、
前記封止材組成物の190℃におけるMFRが0.1g/10分以上1.0g/10分以下であり、
前記封止材シートのTD方向の膜厚変化が平均厚さに対して5%以内であり、
150℃に加熱したタルクプレート上に、前記封止材シートにおける100mm×100mmの封止材フィルムの試験片を置き10分間静置した後の、加熱前後のMD方向の試験片側辺長さの収縮割合である熱収縮率が30%以下であることを特徴とする封止材シート。
封止材組成物は、ベース樹脂に架橋剤を含有するものである。この系では、架橋剤の熱分解温度以下で押し出す必要性から、溶融押出時のMFRが低下するために樹脂が硬くなり、内部歪みが蓄積して熱収縮率が高くなる。アニール処理前の未処理封止材シートの熱収縮率としては40%以上70%以下が例示でき、この熱収縮率を後述するアニール処理によって30%以下とする。
ベース樹脂は、例えばポリオレフィン系樹脂であり、オレフィンモノマーから構成されるものであれば特に制限されるものではない。したがって、ポリオレフィン系樹脂には、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)の他、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等も含まれる。以下、好ましいベース樹脂としてポリエチレン系樹脂とエチレン−極性モノマー共重合体、さらに詳しくはEVA樹脂について説明する。
本発明においては密度が0.940以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.940g/cm3以下の範囲内、好ましくは0.900g/cm3以下の範囲内、より好ましくは0.870〜0.890g/cm3の範囲である。
EVA樹脂も本発明におけるベース樹脂として使用可能である。従来公知のものを使用でき特に限定されないが、酢酸ビニル含有量(VA含量)が20質量%以上40%質量以下、好ましくは25質量%以上35%質量以下、さらに好ましくは28質量%以上33%質量以下であることが、太陽電池作製工程の真空加熱ラミネーション工程後、高いゲル分率による高架橋度によって100℃以上150℃以下の耐熱性を得る点から好ましい。
架橋剤は公知のものが使用でき、特に限定されるものではなく、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。架橋剤の含有量としては、組成物中に0.01質量%〜2質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%〜1.5質量%の範囲である。
上記の架橋剤に加えて、必要に応じて架橋助剤を用いてもよい。架橋助剤は、好ましくは炭素−炭素二重結合及び/またはエポキシ基を有する多官能モノマー、より好ましくは多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基である。これによって適度な架橋反応を促進させて太陽電池モジュール用封止材とガラス等の透明前面基板との密着性を向上させているとともに、本発明においては、この架橋助剤が直鎖低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ透明性を維持する。
本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物においては、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化などが例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、組成物中に0.01質量%〜3質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量部〜2.0質量部の範囲である。この範囲内であれば適度に架橋反応を抑制し、透明基板と太陽電池モジュール用封止材の密着性を向上させることができる。
太陽電池モジュール用封止材組成物には、さらにその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物から作製された封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
[シート化工程]
本発明における未処理封止材シートは、例えば、上記の封止材組成物を、従来公知の方法で成型加工して得られるものであり、シート状又はフィルム状としたものであり、アニール処理していないシートを意味する。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記のような高い熱収縮率では、モジュール化工程における熱収縮による封止材のデラミネーションやセル間を接続する導線であるタブ線の切断などの不良が発生する。このため、アニール処理を行なう。
<未処理封止材シートの製造例>
[製造例1:架橋剤含有ポリエチレン系樹脂]
下記のシラン変性透明樹脂20質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、重合開始剤コンパウンド樹脂80質量部を混合し単層用のブレンドとした。上記ブレンドをφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで平均膜厚450μmの未処理封止材シートを作製した。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm3、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
重合開始剤コンパウンド樹脂:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、t−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.1質量部を含浸させコンパウンドペレットを得た。
下記の組成の架橋剤含有EVA樹脂(VA33、MFR30)を常法Tダイ法により厚さ400μmとなるように成膜して未処理封止材シートを得た。成膜温度は95から100℃とした。
EVA樹脂:三井デュポンポリケミカル製 商品名EV150R 100重量部
架橋剤(TBEC):t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックスTBEC) 0.5重量部
架橋剤(101):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックス101) 0.5重量部
架橋助剤A(TMPT):トリメチロールプロパントリメタクリレート(Sartomer社製、商品名SR350) 1.0重量部
架橋助剤B(TAIC):トリアリルイソシアヌレート(Sartomer社製、商品名SR533) 1.0重量部
シランカップリング剤(SC剤):信越化学工業株式会社製、商品名KBM503)0.5重量部
UV吸収剤(UV剤):ケミプロ化成社製、商品名KEMISORB12)0.3重量部
酸化防止剤A:BASF社製、商品名Irganox1076 0.01重量部
酸化防止剤B:BASF社製、商品名Irganox1330 0.01重量部
酸化防止剤C:BASF社製、商品名Irganox1010 0.01重量部
酸化防止剤D:BASF社製、商品名Irgafos168 0.03重量部
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):BASF社製、Tinuvin770 0.1重量部
上記製造例1、2の未処理封止材シートについて、表1に示す条件で、ラミネート工程とアニール処理工程と剥離工程とを行ない封止材シートを得た。条件1から17は製造例1の架橋剤含有ポリエチレン系樹脂であり、条件18から21は製造例2の架橋剤含有EVA樹脂である。また、アニール工程前後の熱収縮率(%)と、剥離工程における剥離力を評価した。その結果を表1に示す。表中の剥離性支持基材としては下記の4種類を用いた。
PET: 東洋紡績株式会社 製、商品名 E−5001 の厚さ50μm
剥離PET(1):シリコーン塗布タイプ、株式会社パナック製、商品名SP−PET−03−75BU の厚さ75μm
剥離PET(2):ノンシリコンタイプ、株式会社パナック製、商品名PET75TP01 の厚さ75μm
剥離PET(3):ノンシリコンタイプ、株式会社パナック製、商品名PET75TP03 の厚さ75μm
PET:2.8(10.0)
剥離PET(1):0.21(0.29)
剥離PET(2):0.69(3.69)
剥離PET(3):0.27(1.06)
シリコンコートガラス(参考):0,40(0.82)
上記製造例1の未処理封止材シートをアニール条件3(150℃、3分)で処理した封止材シートについて、アニール処理前後の膜厚変化を測定した。その結果を図1に示す。図1から明らかなように平均膜厚約450mに対して膜厚変化は最大15μm以内であり、その割合が5%以下で安定した膜厚が得られることが解かる。
上記製造例1の封止材シート(膜厚600μm)について、剥離支持基材無しでアニール条件3(150℃、3分)を行った場合の、アニール処理前後の膜厚変化を測定した。その結果を図2に示す。図2から明らかなように、特許文献1のように剥離性支持基材がない場合、図2左縦軸スケールのアニール前では平均600μmで安定していたが、図2右縦軸スケールのアニール後では大幅に収縮して膜厚が増加するとともに、膜厚のバラツキも非常に大きくなっていることが理解できる。
Claims (3)
- 封止材組成物を溶融成形してアニール処理されていない未処理封止材シートを得るシート化工程と、
前記未処理封止材シートと、剥離性支持基材と、を圧着して貼り合せてラミネート体を得るラミネート工程と、
前記ラミネート工程後のアニール処理工程と、
前記アニール処理工程後に前記ラミネート体から前記剥離性支持基材を剥離する剥離工程と、を備え、
前記封止材組成物が架橋剤を含有するポリエチレン系樹脂であり、前記封止材組成物の190℃におけるMFRが0.1g/10分以上1.0g/10分以下であって、
前記アニール処理工程における温度が、150℃から200℃の範囲であり、
前記剥離性支持基材がPETフィルム又はETFEフィルムであることを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。 - 前記剥離性支持基材は、ポリエステル基材のアクリル系粘着テープとの間の剥離力が、180℃剥離、剥離速度50mm/分の測定条件で、1.5N/25mm以下である請求項1記載の封止材シートの製造方法。
- 前記剥離性支持基材は、少なくとも前記圧着する側の表面にシリコーン樹脂層又はフッ素樹脂層を備える請求項1又は2記載の封止材シートの製造方法。
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