以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、好適な実施形態の光学フィルムの断面構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の光学フィルム10は、一方の面側に凹凸形状を有する凹凸層のみから構成される形状を有している。なお、本発明の光学フィルムは、このように一方の面にのみ凹凸形状を有するものに限定されず、両面に凹凸形状を有するものであってもよい。
光学フィルム10における凹凸形状は、入射した光の一部を反射又は散乱させることができるような多数の微細な凹凸構造であれば特に制限はない。例えば、圧力を加えること等による光量変化を大きく生じさせる観点からは、凹凸形状における最大高さ(最大凹凸高さ;凸部と凹部との高さの差)が、0.01〜50μmであることが好ましく、0.1〜45μmであることがより好ましく、0.5〜40μmであることがさらに好ましく、0.7〜35μmであることが一層好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。この「最大高さ」とは、凸部の頂点と凹部の最深部とをそれぞれ通る平行な平面間の距離であり、例えば、図1中hで表される。この最大高さとしては、例えば、任意の厚さ方向の断面において10mmの幅内で測定した値を適用することができる。
また、同様の観点からは、隣り合う凸部の頂点間の距離は、0.01〜150μmであることが好ましく、0.1〜100μmであることがより好ましく、0.5〜90μmであることがさらに好ましく、0.7〜70μmであることが一層好ましく、1〜50μmであることが特に好ましい。
光学フィルム10は、力学的圧力の変化を光学的な変化に変換させる現象を繰り返し発現させる目的から、その表面の凹凸形状が、力学的な圧力を加えることによる形状の変形と、力学的圧力を除荷することによる形状の復元とが可逆的に可能なものである。ここで、「力学的圧力の変化を光学的な変化に変換させる現象」とは、例えば凹凸形状が変形する場合、力学的圧力を加えない状態では、凹凸形状によって所定の光源から入射した光の一部が反射又は散乱しているのに対し、力学的圧力を加えた状態では、凹凸形状が変形又は平坦化され、これにより、所定の光源から入射した光の反射又は散乱による光量や、光学フィルム10を透過する光の光量又は輝度が、力学的圧力を加えない状態と比べて変化する現象を表す。
光学フィルム10における凹凸形状を有する表面上には、他の材料が積層されていない場合、空気が存在することとなるが、空気以外に、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの安定で無害な気体が存在していてもよく、また、真空であってもよい。上述したような凹凸形状の変形前後の光量の変化を効果的に発現させる観点からは、光学フィルム10と、凹凸形状を有する表面側に接触している成分との屈折率差の絶対値は、0〜0.1であることが好ましい。例えば、凹凸形状を有する表面上に空気が存在する場合には、光学フィルム10の屈折率は1.3以上であることが好ましい。これらの屈折率は、プリズムカップリング法、分光エリプソメトリー法など公知の方法で測定することができる。
光学フィルム10は、上記のような力学的圧力を加えることによる凹凸形状の変形と、力学的圧力の除荷による凹凸形状の復元とが可逆的に可能となるように、ゴム弾性を有している。その圧縮弾性率は0.01〜100MPaであることが好ましく、0.05〜90MPaであることがより好ましく、0.1〜80MPaであることがさらに好ましく、0.5〜70MPaであることが一層好ましく、1〜60MPaであることが特に好ましい。
圧縮弾性率が0.01MPa未満であると、光学フィルムとした場合に、凹凸形状が過度に変形しやすくなり、圧力を加えない状態でも所定の光源から入射した光の反射又は散乱が生じにくくなる傾向がある。一方、圧縮弾性率が100MPaを超えると、凹凸形状が力学的圧力で変形しにくくなり、力学的圧力の変化を光学的変化に変換することが困難となる傾向がある。
なお、圧縮弾性率の値は、例えば、超微小硬度計を用い、膜厚100μmの試料の厚さ方向に、温度25℃において、最大加圧0.1mN/μm2、時間20sで、直径φ50μmの円形平面圧子により加圧した場合の荷重−変位を連続的に測定し、その荷重−変位の傾きを近似的に表した値とすることができる。
上述したようなゴム弾性を発揮することができる光学フィルム10は、所定の材料から形成されることが得られるものである。以下、このような材料について具体的に説明する。
光学フィルム10の構成材料としては、その組成や合成方法に特に制限はないが、以下のような材料が挙げられる。すなわち、例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレン、スチレンとブタジェンのコポリマー、ブタジェンとアクリロニトリルのコポリマー、ブタジェンとアルキルアクリレートのコポリマー、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、ネオブレン(クロロプレン、2−クロロ−1,3−ブタジェン)、オレフィン系ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジェノモノマー(EPDM)ゴム、ニトリルエラストマー、ポリアクリル系エラストマー、ポリスルフィドポリマー、シリコーンエラストマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性コポリエステル、工チレンアクリル系エラストマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、エピクロルヒドリン、塩素化ポリエチレン、化学的に架橋したポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロカーボンゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのゴム弾性を有する材料の中では、シリコーンエラストマーが、前述したような凹凸形状の成形性に優れる観点から、特に好ましい材料として挙げられる。シリコーンエラストマーとしては、特に制限されないが、例えば、直鎖状の高重合ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン生ゴムに、有機過酸化物を配合して加熱することにより架橋を生じさせ、ゴム状弾性体とした過酸化物加硫型シリコーンゴム、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンシロキサンの間の付加反応による架橋を触媒の存在下で行い、ゴム状弾性体とした付加反応型シリコーンゴム、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを光酸発生剤の存在下で光照射することにより架橋してゴム弾性体とした光反応型シリコーンゴム、或いは、アクリロイル基含有ポリオルガノシロキサンを光重合開始剤存在下で光照射することにより架橋してゴム弾性体とした光ラジカル重合反応型シリコーンゴムが、特に好ましいものとして例示できる。
ここで、上述したゴム状弾性体を与えることができる各種のシリコーンゴムのうち、付加反応型シリコーンゴムについて以下に詳細に説明する。付加反応型シリコーンゴムは、上述の如く、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンシロキサンの付加反応により得られる
すなわち、まず、原料である不飽和基含有ポリオルガノシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した1価の脂肪族不飽和炭化水素基を1分子中に2個以上有し、付加反応によって網状構造を形成することができるものであれば特に制限されない。1価の脂肪族不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基等が例示される。なかでも、合成が容易で、また硬化前の組成物の流動性や、硬化後の組成物の耐熱性を維持し易い観点から、ビニル基が特に好ましい。
また、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に結合した脂肪族不飽和炭化水素基以外の有機基として、次のような基を有することができる。その他の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、クロロメチル基、クロロフェニル基、2−シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が挙げられる。これらのなかでも、ポリオルガノシロキサンの合成が容易であって、しかも、架橋前の流動性や架橋後にゴム弾性体とした場合の圧縮弾性率といった特性のバランスが優れていることから、メチル基が特に好ましい。
さらに、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンにおける1価の脂肪族不飽和炭化水素基は、ポリオルガノシロキサン分子鎖の末端又は途中のいずれに存在してもよく、その双方に存在してもよい。ただし、架橋後に優れた機械的性質を得るためには、直鎖状の場合、脂肪族不飽和炭化水素基は、少なくともその両末端に存在していることが好ましい。また、シロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状であってもよい。
なお、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンの重合度は特に限定されない。ただし、架橋前の組成物が良好な流動性及び作業性を有し、しかも架橋後に適度な圧縮弾性が得られるようにするためには、ポリオルガノシロキサンは、25℃における粘度が500〜500,000MPa・sであるものが好ましく、1,000〜100,000MPa・sであるものが更に好ましい。
また、付加反応型シリコーンゴムのもう一方の原料であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、分子中に含まれるヒドロシリル基が上述した不飽和基含有ポリオルガノシロキサン中の1価の脂肪族不飽和炭化水素基への付加反応を行うことで、このポリオルガノシロキサンの架橋剤として機能するものである。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、架橋物を網状化するため、付加反応に関与するケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有していることが好ましい。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるシロキサン単位のケイ素原子に結合した有機基としては、上述した不飽和基含有ポリオルガノシロキサンにおける不飽和脂肪族炭化水素基以外の有機基と同様のものが挙げられる。なかでも、合成が容易な点から、メチル基が最も好ましい。
また、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。また、シロキサン骨格が直鎖状、分岐状、環状のものを混合して用いてもよい。なお、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの重合度は特に限定されないが、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が結合したポリオルガノハイドロジェンシロキサンは合成することが困難なため、少なくとも3個以上のシロキサン単位からなることが好ましい。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの配合量は、不飽和基含有ポリオルガノシロキサン中の1価の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜5個、好ましくは1〜3個となるような量であることが好ましい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの配合量が、上記の水素原子の存在比が0.5個未満となるような量であると、架橋が不完全となる傾向がある。一方、この存在比が5を越えるような量であると、架橋の際に発泡が起こりやすく、得られるゴム状弾性体の表面状態が低下する傾向がある。
付加反応型シリコーンゴムを得るための、不飽和基含有ポリオルガノシロキサン中の1価の脂肪族不飽和炭化水素基と、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基との間の付加反応を促進させるための触媒としては、白金系化合物(白金触媒)が好ましい。白金系化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体等が挙げられる。これらのなかでも、不飽和基含有ポリオルガノシロキサン及びポリオルガノハイドロジェンシロキサンに対する溶解性や、触媒活性が良好であることから、塩化白金酸とアルコールの反応生成物又は白金−ビニルシロキサン錯体が好ましい。
触媒である白金系化合物の配合量は、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンに対し、白金原子換算で1〜200重量ppmであることが好ましく、1〜100重量ppmであることがより好ましく、2〜50重量ppmであることが更に好ましい。この配合量が1重量ppm未満であると、硬化速度が不十分となり、光学フィルム10の製造効率が低下する傾向がある。一方、200重量ppmを越えると、架橋速度が過度に早まるため、各成分を配合した後の作業性が損なわれる傾向がある。
以下、ふたたび光学フィルム10について説明する。
光学フィルム10は、力学的圧力の変化を光学的変化に効率よく変換させる現象を発現させるため、凹凸形状の変形時(力学的圧力を加えた時)と、凹凸形状の非変形時(力学的圧力を加えていない時)との間で、可視光線透過率に差があるものである。特に、光学フィルム10は、このような変形時と非変形時との間での可視光線透過率の変化(差)の絶対値が、0.1〜50%であることが好ましく、0.5〜45%であることがより好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、2〜35であることが一層好ましく、3〜30%であることが特に好ましい。
この可視光線透過率の変化の絶対値が0.1%未満であると、力学的圧力の付加及び徐荷させた場合の光学的変化を検出すことが困難となる傾向がある。一方、50%を超えるような光学フィルムは、表面形状が力学的圧力で変形しにくく、力学的圧力の変化を光学的変化に変換することが困難な可能性があるほか、力学的圧力を加える前の光学フィルムの反射や散乱が小さくなり易いため、この反射ら散乱を強くするための凹凸形状の設計が困難な傾向にある。
ここで、可視光線透過率の変化の値は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、光学フィルム10をガラス基板上に載置し、さらにこの光学フィルム10の上に直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を載置した試料を準備する。次いで、可視領域の光線を試料に対して法線方向に照射し、色彩輝度計を用いて測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度を測定して、得られた値をaとする。また、この状態から光学フィルム10を取り除いて同様に輝度を測定し、得られた値をbとする。そして、これらの値に基づいて、非変形時(力学的圧力を加えない状態)の可視光線透過率T1(T1=(a/b)×100)(%)を算出する。
一方、光学フィルム10をガラス基板上に載置し、さらにこの光学フィルムの上に直径φ10mmの円盤状ガラス板を載置した試料を準備する。次いで、この試料について、ガラス基板と円盤状ガラス板の間に5×103Paの荷重を加えた状態とし、この状態のまま、可視領域の光線を試料に対して法線方向に照射し、色彩輝度計を用いて測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度を測定し、得られた値をcとする。また、この状態の試料から光学フィルム10を取り除いて同様に輝度を測定し、得られた値をdとする。そして、これらの値に基づいて、変形時(力学的圧力を加えた状態)の可視光線透過率T2(T2=(c/d)×100)(%)を算出する。
そして、上記のようにして得られた非変形時の可視光線透過率T1と変形時の可視光線透過率T2との差の絶対値(ΔT)を求め、これを可視光線透過率の変化の値とする。なお、可視光線とは、一般的に視認可能な波長領域である380〜780nm程度の光線を表す。
また、本実施形態の光学フィルム10は、光源から入射した光を反射させた反射光による圧力の検知に用いることもできる。この場合、反射光を効果的に検出し、また、光学フィルム10に力学的圧力が加えられた際には、その反射光路の変化による受光量変化を感度よく検出する観点から、光学フィルム10は、力学的圧力による凹凸形状の変形時(力学的圧力を加えた時)と、凹凸形状の非変形時(力学的圧力を加えていない時)との間で、可視光線の反射率に差があると好ましい。この可視光線反射率の変化(差)の絶対値は、0.1〜50%であることが好ましく、0.5〜48%であることがより好ましく、1〜45%であることがさらに好ましく、2〜43であることが一層好ましく、3〜40%であることが特に好ましい。
この可視光線反射率の変化の絶対値が0.1%未満であると、力学的圧力を変化させた場合の光学的変化を検出すことが困難になる傾向がある。一方、50%を超える場合には、力学的圧力を加える前の光学フィルムの反射又は散乱が小さくなり易く、これを大きくするために凹凸形状を設計するのが困難となる傾向がある。
このような可視光線反射率の変化の値は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸化マグネシウム等の白色板上に、厚さ0.7mmのガラス基板及び直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を順に載置した積層体を形成する。次いで、可視領域の光線を白色板に対して法線方向に照射し、白色板の法線方向に対して角度25°に反射した光線の明度を分光測色計等により測定して、得られた値をa’とする。この状態の積層体に対し、ガラス基板と円盤状ガラス板との間に光学フィルム10を配置して同様に反射光線の明度を測定し、得られた値をb’とする。そして、これらの値に基づいて、非変形時(力学的圧力を加えない状態)の可視光線反射率R1(R1=(b’/a’)×100)(%)を算出する。
また、上記と同様の積層体について、ガラス基板と円盤状ガラス板との間に5×103Paの荷重を加えながら同様に反射光線の明度を測定し、得られた値をc’とする。そして、このc’の値と、上記a’の値とに基づいて、変形時(力学的圧力を加えた状態)の可視光線反射率R2(R2=(c’/a’)×100(%))を算出する。
そして、上記のようにして得られた非変形時の可視光線反射率R1と変形時の可視光線反射率R2の差の絶対値(ΔR)を求め、これを可視光線反射率の変化の値とする。
本実施形態の光学フィルム10は、この光学フィルム10を光学系デバイスとして用いる場合に、光を吸収することなく、力学的圧力の変化から変換された光学的変化を効率的に検出する観点から、この光学フィルム10を構成する成分自体の可視光線透過率が十分に高いことが好ましい。
具体的には、光学フィルム10を構成する材料(成分)で、厚さ20μmの両面平滑膜を形成したときに、その可視光線透過率が、70〜100%であるものが好ましく、75〜98%であるものがより好ましく、80〜97%であるものがさらに好ましく、83〜96%であるものが一層好ましく、85〜95%であるもの特に好ましい。なお、可視光線透過率は、前述したような、光学フィルムの可視光線透過率の変化を測定する場合に適用した方法と同様にして測定することができる。また、後述する他の形態のように、光学フィルムが、凹凸層以外の構成を有する場合は、この凹凸層の構成材料のみがこのような可視光線透過率の条件を満たすことが好ましい。
さらに、光学フィルム10は、光学系デバイスとした場合に力学的圧力を光学変化に変換する精度を高める観点から、一方の面から入射した可視光線の透過率と、これとは異なる側の面から入射した可視光線の透過率との差の絶対値が一定範囲の値であることが好ましい。具体的には、表裏面での可視光線透過率の差が、1〜20%であることが好ましく、1.5〜17%であることがより好ましく、2〜15%であることがさらに好ましく、2.5〜12%であることが一層好ましく、3〜10%であることが特に好ましい。この透過率差の絶対値が1%未満であると、例えば、表示装置に用いた場合に外光の影響を受けやすくなって、光学変化の検出精度が低くなるおそれがある。一方、20%を超えるような光学フィルム10は、それを実現するための凹凸形状の設計自体が困難な傾向にある。
可視光線透過率の測定方法としては、上記と同様の方法を適用できる。そして、表裏面での可視光線透過率の差は、光学フィルム10の一方の面に入射した可視光線透過率を測定した後、これとは反対側の面に入射した可視光線の透過率を測定し、これらの値の差の絶対値を算出することによって求めることができる。
本実施形態の光学フィルム10は、凹凸形状を除く部分の厚さが、1〜500μmであることが好ましく、5〜400μmであることがより好ましく、10〜300μmであることが更に好ましい。この部分の厚さが1μm未満であると、凹凸形状を有する層を作製することが困難となる場合がある。一方、500μmを超える厚さであると、圧力を加えた場合の圧力伝達が不十分となり、凹凸形状の変形が生じにくくなるおそれがある。
上述した構成を有する光学フィルム10は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
例えば、光学フィルム10は、表面が多数の微細な凹凸を有する状態に加工処理されたベースフィルムを準備し、この凹凸表面上に、光学フィルム10を構成する成分を含む液状物を塗布し、この液状物を熱や光等によって固体状に変化(固化)させた後、得られた固化物を上記ベースフィルムから剥離することによって形成することができる。
また、両面に凹凸形状を有する光学フィルムを形成する場合は、上記のようなベースフィルムの凹凸表面上に光学フィルムを構成する成分を含む液状物を塗布し、塗布された液状物の上に同様のベースフィルムをその凹凸面が接するように更に積層し、この状態で液状物を固化した後、両面のベースフィルムを剥離するようにすればよい。
さらに、上記以外の製造方法として、例えば、光学フィルム10を構成する成分を含む液状物をあらかじめ基板に塗布しておき、塗布された液状物に、上記のようなベースフィルムをその凹凸面が接するように押し当て、この状態で液状物を熱や光等によって固化させた後、ベースフィルム及び基板を順次剥離することによって形成する方法も挙げられる。
これらの製造方法に用いられるベースフィルムとしては、例えば、平滑な支持体フィルム上に感光性樹脂組成物からなる層を形成し、この感光性樹脂組成物層に、表面が多数の微細な凹凸を有する状態に加工処理された原型を押し当て、さらに光硬化させることによって製造されたものを用いることができる。また、表面に多数の微細な凹凸を有する状態に加工処理された原型を用い、この凹凸面に平滑なフィルムを直接押し当てることで、フィルム表面に凹凸形状を転写することによって製造されたものを用いてもよい。さらに、ベースフィルムとしては、フィルムの表面にサンドブラスト処理により凹凸形状が形成されたものを用いることもできる。
また、ベースフィルムを用いない光学フィルム10の製造方法としては、光学フィルム10を構成する成分を含む液状物を、表面が多数の微細な凹凸を有する状態に加工処理された原型の凹凸面に直接塗布し、これを熱や光等により固化させた後、固化物を原型から剥離する方法を適用してもよい。
ここで、表面が多数の微細な凹凸を有する状態に加工処理された原型としては、例えば、次のような方法で得られたものが挙げられる。すなわち、まず、ガラス板上にフォトレジストを塗布した後、所定のマスクパターンを有するフォトマスクを用いてフォトレジスト露光し、現像するか、または、フォトレジストをレーザーカッティングすることにより、ガラス板上にフォトレジストからなる凹凸パターンを形成する。次いで、ガラス板の凹凸パターンが形成された面に、真空蒸着法やスパッタリング法等により銀やニッケル等の金属膜を形成し(導電化処理)、この金属膜に銅やニッケル等の金属を電鋳により積層した後、これらをガラス板から剥離する工程によって作製することができる。
この際、フォトレジストに形成させる凹凸形状としては、マスクパターンの形状や、レーザーカッティングによるパターニングの形状により、ランダム形状、ライン形状、矩形状、角柱状、円柱状、ドットレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状等の所望の形状に制御することができる。そして、これらの凹凸形状が原型の凹凸形状となり、光学フィルム10に転写されることとなる。
また、原型の上記以外の例としては、導電性を有する金属の表面に、銅やニッケル等の金属めっきを施し、このめっきにより表面に多数の微細な凹凸が形成されたものも挙げられる。この場合、凹凸はランダムな形状となる。
さらに、ステンレス鋼等の平滑な原型用基材に、ダイヤモンド圧子を押し当てることによって、原型用基材の表面に多数の微細な凹凸が形成されて得られた原型も用いることができる。この場合、原型の凹凸形状は、原型用基材を水平方向に移動させながら、ダイヤモンド圧子を押圧させるか、または、原型用基材を静止させた状態で、ダイヤモンド圧子を移動させつつ押圧することにより、平面、球面又は曲面の一部を有する凹凸を多数形成することができる。
この場合、ダイヤモンド圧子の形状を選択することで、凹凸形状をランダム形状、ライン形状、矩形状、角柱状、円柱状、ドットレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状等に制御することができる。そして、これにより形成された原型の凹凸形状が、光学フィルム10の表面形状として転写されることとなる。このような原型は、平板であっても曲面を有するロールであってもよい。また、凹凸はランダムに配置されていてもよく、一定の規則にしたがって配置されていてもよい。
上述したようなベースフィルムや原型に、光学フィルム10を構成する成分を含む液状物を塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。なお、光学フィルム10を構成する成分を含む液状物に溶剤が含まれている場合には、液状物を塗布した後、乾燥して溶剤を除去してもよい。
上記構成を有する光学フィルム10は、凹凸形状が力学的圧力で変形することにより、光学的な変化を生じることができ、この性質を用いて圧力センサー等に応用される。この光学フィルム10が適用される場合、凹凸形状の変形を効果的に生じさせるため、光学フィルム10は、その凹凸面と対向して配置された所定の層に押し付けられるようにして用いられる。この場合、圧力が付加されるのは、光学フィルム10及び上記層のいずれにも限定されない。
そして、光学フィルム10の凹凸形状の変形を効果的に生じさせるためには、対向する層は硬質な材質により形成されていることが好ましい。このような層の材質としては、例えば、ガラス、セラミックス等の透明な無機材料や、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルナフタレン等のプラスチックに代表される透明な有機材料等が好適である。
なお、本発明の光学フィルムは、上述したような凹凸を有する層(凹凸層)のみによって構成されるものに限られず、その他の形状を有していてもよい。
例えば、光学フィルムは、上述したような凹凸層が、凹凸を表面に有するように所定の支持体上に設けられたものであってもよい。図2は、支持体上に凹凸層が形成された光学フィルムの断面構成を模式的に示す図である。図2に示すように、この形態の光学フィルム20は、支持体22と、この支持体22上に、凹凸を表面に有するように設けられた凹凸層23を備えた構成を有している。
支持体22は、フィルム状であると好ましい。このような支持体22のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、トリアセチルセルロース等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
このような構成を有する光学フィルム20は、支持体22用のフィルム上に、上述した光学フィルム10のような凹凸層23を積層することで得ることができる。また、上述したような光学フィルム10を製造する場合のように、光学フィルム(凹凸層23)の構成成分を含む液状物をベースフィルムや原型に塗布した状態とし、この液状物に支持体22用のフィルムを貼り付け、液状物を固化させた後、固化物及び支持体22用のフィルムの積層体を取り出すことによって製造してもよい。
なお、光学フィルム20は、凹凸層23以外に支持体22を有しているが、光学フィルム10において述べたような、可視光線透過率の変化、可視光線反射率の変化、表裏面での可視光線透過率の差等の値は、光学フィルム20の構造全体で得られる値であると好ましい。このことは、後述する光学フィルム30の場合も同様である。
上述した光学フィルム10は、凹凸形状を有する表面側にはその他の層が形成されておらず、空気が存在する状態となっていたが、光学フィルムは、このような空気を排除することで、温度や湿度等の環境変化による凹凸形状への影響を低減して、高い耐久性を得ることもできる。
例えば、本発明の光学フィルムは、光学フィルム10のような凹凸層の凹凸面側に、凹凸を覆うように凝縮系の物質が積層されたものとすることができる。具体的には、凹凸層の凹凸面上に、凹凸を覆うように粘着性を有する樹脂を積層したものが挙げられる。
図3は、凹凸層上に粘着性の樹脂からなる樹脂層が形成された光学フィルムの断面構成を模式的に示す図である。図3に示すように、光学フィルム30は、支持体32と、この支持体32上に設けられた凹凸層34と、この凹凸層34の凹凸を覆う(埋める)ように積層された樹脂層36とを備えた構成を有している。この光学フィルム30では、凹凸層34が、上述した光学フィルム10と同様の構成を有している。なお、ここでは、支持体32を有する光学フィルムを例示したが、支持体32を有しない構造であってもよい。
樹脂層36は、粘着性を有する樹脂によって構成される。このような樹脂としては、凹凸層34の凹凸形状に対して良好な粘着性を示すものであれば特に限定なく適用できる。例えば、アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂、アクリル系単量体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂としては、低Tgを示す不飽和単量体を含む共重合体からなるものが好ましい。この低Tgを示す不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。また、低Tgを示す不飽和単量体を含む共重合体に用いられるその他の不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−20℃以下であると好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度が−20℃よりも高いと、樹脂層36の粘着性が低下し、凹凸層34に対する適度な粘着力が得られなくなる傾向がある。
また、上述した架橋型アクリル樹脂としては、上記のアクリル樹脂に使用される不飽和単量体を含み、さらに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、アクリロニトリル等の官能基を有する不飽和単量体を必須の共重合成分として得られた共重合体を、架橋剤によって更に架橋したものが好適である。この架橋型アクリル樹脂に用いられる共重合体のガラス転移温度(Tg)は、上記アクリル樹脂と同様、−20℃以下であると好ましい。このガラス転移温度が−20℃よりも高いと、上記と同様、粘着性が低下して適度な粘着力が得られなくなる傾向がある。
架橋剤としては、イソシアネート系、メラミン系、エポキシ系等の公知の架橋剤を用いることができる。また、架橋剤としては、架橋型アクリル樹脂中に緩やかに広がった網目状構造を形成するため、3官能、4官能といった多官能架橋剤がより好ましく使用される。
アクリル樹脂や架橋型アクリル樹脂を得るために使用される共重合体の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン換算した値)は、凹凸層34に対する粘着性を良好に得る観点から、1,000〜300,000であると好ましく、5,000〜150,000であるとより好ましい。
また、樹脂層36を構成する粘着性を有する樹脂には、高い流動性を発現させ、凹凸層34の凹凸形状を効果的に変形させる観点から、単量体を使用することもできる。単量体としては、可塑効果を示す公知のものが挙げられ、その組成は特に制限されない。例えば、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリプロピレングリコールジアセテート、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレンアクリレート、ノニルフェニルジオキシレンメタクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルメタクリレートや、上述したアクリル樹脂の製造に使用される不飽和単量体を使用することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
樹脂層36を構成する粘着性を有する樹脂は、圧力を加えない状態において透過光や反射光を効率的に検出できるという観点から、凹凸層34の屈折率との屈折率の差の絶対値(Δn)が、0.01〜1.0となるものが好ましく、0.03〜0.7となるものがより好ましく、0.05〜0.5となるものがさらに好ましく、0.07〜0.3となるものが一層好ましく、0.05〜0.2となるものが特に好ましい。樹脂層36と凹凸層34との屈折率との差の絶対値(Δn)が、0.01未満であると、圧力を加えない状態で光の検出が困難となり、力学的圧力の変化を光学的変化に変換することが困難となる傾向がある。またこの屈折率差の絶対値(Δn)が1.0を超えるような樹脂層36を形成するのは困難な傾向にある。なお、屈折率は、例えば、プリズムカップリング法、分光エリプソメトリー法といった公知の方法で測定することができる。
樹脂層36の厚さは、凹凸層34の凹凸形状との重複部分を除く部分の厚さが、1〜50μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが更に好ましい。この部分の厚さが1μm未満であると、光学フィルム30を積層する際に、気泡を巻き込み、光の透過性が悪くなる傾向にあり、50μmを超えると、光学フィルム30に圧力を加えた場合の圧力伝達が不十分となり、凹凸層34の凹凸形状が変形しにくくなる傾向にある。
このような光学フィルム30は、例えば、光学フィルム20における凹凸層23の表面上に、樹脂層36を形成するための粘着性を有する樹脂を塗布して積層することによって製造することができる。
以上、本発明の光学フィルムやその製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、上述した光学フィルム20では、支持体22の表面に凹凸層23が設けられていたが、これに限定されず、支持体と凹凸層の間に、粘着性又は接着性を有する樹脂からなる層が形成されていてもよい。
また、本発明の光学フィルムは、凹凸層の凹凸形状を覆うようにカバーフィルムが積層されていてもよい。このカバーフィルムは、凹凸形状に沿って形成されていてもよく、凹凸間の空隙を維持するように、凸部上に載せられた形態であってもよい。カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
そして、光学フィルムは、上述したような実施形態のものをそのまま保管してもよいが、例えば、ロール状に巻いて保管しておき、これを引き出して使用するようにしてもよい。光学フィルムを巻き取る方向は特に制限されず、凹凸側が内側となるように巻いても、外側となるように巻いてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(光学フィルム(i)の作製)
まず、凹凸形状面を有する仮支持体として、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、その凹凸面上に、付加反応型シリコーン樹脂溶液(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名TSE−3032)をコンマコーターを用いて均一に塗布した後、100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、固体状のシリコーンゴム層を得た。次いで、得られたシリコーンゴム層を仮支持体から剥離して、片面が平滑面でありその反対側が凹凸形状を有する面であるシリコーンゴムからなる光学フィルム(i)を得た。
得られた光学フィルム(i)の凹凸面における最大凹凸高さ(最大高さ)、及び、凹凸部分を除いた部分の厚さ(以下、「基部」という)を、(株)小坂研究所製表面形状測定装置(サーフコーダー SE−30D型)を用いて測定した。その結果、最大凹凸高さは3μmであり、基部の厚さは100μmであった。
(光学フィルム(i)の圧縮弾性率の評価)
光学フィルム(i)に使用した付加反応型シリコーン樹脂溶液を、表面が平滑なポリエチレンテレフタレートフィルムの平滑面上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、固体状のシリコーンゴム層を形成した。次いで、得られたシリコーンゴム層をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して、表裏両面とも平滑な圧縮弾性率評価用のシリコーンゴム層単体を得た。このシリコーンゴム層単体の厚さは、100μmであった。
得られた圧縮弾性率評価用のシリコーンゴム層単体を、厚さ0.7mmのガラス基板上に、ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて積層したものを試料とし、(株)島津製作所製超微小硬度計(DUH−201型)を使用して、この試料に対し、その厚さ方向に、温度25℃において、最大加圧0.1mN/μm2、時間20sで、直径φ50μmの円形平面圧子による加圧を行い、荷重−変位を連続的に測定した。
そして、測定した荷重−変位からその傾きを近似的に算出して、圧縮弾性率を求めた。その結果、圧縮弾性率は3MPaであった。この結果から、光学フィルム(i)は、表面形状の変形と復元とが可逆的に可能なゴム弾性を有する材料であることが確認された。
(光学フィルム(i)の可視光線透過率変化の評価)
厚さ0.7mmのガラス基板上に、光学フィルム(i)をラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて積層した。この時、光学フィルム(i)の平滑面がガラス基板に接するように積層して、可視光線透過率の変化を評価するための試料を作製した。この時の積層条件は、ロール温度25℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paとした。
次いで、光学フィルム(i)の凹凸形状を有する表面に、直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を載置し、液晶表示装置に用いられるLEDバックライトを光源とする可視領域の光線を試料に対して法線方向に照射して、(株)トプコン製色彩輝度計(BM−5A)を使用して、測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度aを測定した。さらに、この状態から光学フィルム(i)のみを取り除いて、同様に輝度bを測定した。得られた輝度a及び輝度bから、光学フィルム(i)に力学的圧力を加えていない状態(非変形状態)での可視光線透過率T1(=a/b×100)(%)を求めた。
また、光学フィルム(i)の凹凸形状を有する表面に、直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を載置して、ガラス基板と円盤状ガラス板間に5×103Paの荷重を加えた試料を準備した。この状態の試料に、液晶表示装置に用いられるLEDバックライトを光源とする可視領域の光線を試料に対して法線方向に照射し、色彩輝度計を使用して、測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度cを測定した。さらに、この状態から、光学フィルム(i)のみを取り除いて同様に輝度dを測定した。得られた輝度c及び輝度dから、光学フィルムに力学的圧力を加えた状態(変形状態)の可視光線透過率T2(=(c/d)×100)(%)を求めた。
そして、得られた可視光線透過率T1とT2の差の絶対値(ΔT)を求めた結果、ΔTは15%であった。この結果から、得られた光学フィルム(i)は、力学的圧力を加えることによって可視光線透過率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(i)の可視光線反射率変化の評価)
酸化マグネシウム製の白色板に、厚さ0.7mmのガラス基板及び直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を順に載置し、これに、コニカミノルタホールディングス(株)製cm512m3型分光測色計を用い、白色板に対して法線方向に可視光線を照射し、これにより白色板の法線方向に対して角度25°に反射した光線の明度a’を測定した。
次いで、光学フィルム(i)を厚さ0.7mmのガラス基板上に、上記と同様の装置及び条件で積層した。この際、光学フィルム(i)の平滑面がガラス基板に接するように積層した。その上に、直径φ10mm、厚さ0.7mmの円盤状ガラス板を載置して、可視光線反射率の変化を評価するための試料を作製した。次いで、上記と同様の方法により、この試料に対して法線方向に可視光線を照射して、試料の法線方向に対して角度25°に反射した光線の明度b’を測定した。得られた明度a’及び明度b’から、光学フィルム(i)の非変形状態の可視光線反射率R1(=b’/ a’ ×100(%))を求めた。
また、上記の試料に対し、ガラス基板と円盤状ガラス板との間に5×103Paの荷重を加えながら、同様に、試料の法線方向に対して角度25°に反射した光線の明度c’を測定した。得られた明度c’及び上記測定値a’から、光学フィルム(i)の変形状態の可視光線反射率R2(=(c’/ a’)×100)(%)を求めた。
そして、得られた可視光線反射率R1とR2の差の絶対値(ΔR)を求めた結果、ΔRは30%であった。この結果から、光学フィルム(i)は、力学的圧力を加えることによって可視光線反射率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(i)を構成する成分で形成した両面平滑膜の可視光線透過率の評価)
光学フィルム(i)の製造に使用した付加反応型シリコーン樹脂溶液を、表面が平滑なポリエチレンテレフタレートフィルムの平滑面上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、固体状のシリコーンゴム層を得た。次に、得られたシリコーンゴム層を仮支持体から剥離して、光学フィルム(i)を構成する成分で形成した表裏両面とも平滑なシリコーンゴム層単体を得た。得られたシリコーンゴム層単体の厚さは、20μmであった。
次いで、得られたシリコーンゴム層単体を、厚さ0.7mmのガラス基板上に上記と同様の装置及び条件で積層し、可視光線透過率を評価するための試料を作製した。それから、液晶表示装置に用いられるLEDバックライトを光源とする可視領域の光線をこの試料に対して法線方向に照射し、(株)トプコン製色彩輝度計(BM−5A)を使用して、測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度Aを測定した。一方、この状態から、シリコーンゴム層単体のみを取り除き、同様にして輝度Bを測定した。
得られた輝度A及び輝度Bから、光学フィルム(i)を構成する成分の可視光線透過率T(=A/B)を求めた。その結果、T=99%であり、光学フィルム(i)は、優れた透明性を有することが確認できた。
(光学フィルム(i)の表面及び裏面にそれぞれ入射した可視光線の透過率差の評価)
まず、光学フィルム(i)を厚さ0.7mmのガラス基板上に、上記と同様の装置及び条件で積層して試料を得た。この際、光学フィルム(i)の平滑面がガラス基板に接するように積層した。次いで、液晶表示装置に用いられるLEDバックライトを光源とする可視領域の光線を、この試料に対して法線方向にガラス基板側から照射し、(株)トプコン製色彩輝度計(BM−5A)により、測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度A’を測定した。一方、この状態から、光学フィルム(i)のみを取り除き、同様にして輝度B’を測定した。
得られた輝度A’及び輝度B’から、光学フィルム(i)の平滑面に可視光線が入射した場合の可視光線透過率T’1(=A’ /B’×100)(%)を求めた。
また、同様に、液晶表示装置に用いられるLEDバックライトを光源とする可視領域の光線を試料に対して法線方向に光学フィルム(i)側から照射し、色彩輝度計を使用して、測定視野角1°の範囲で試料を透過した光線の輝度C’を測定した。一方、この状態から、光学フィルム(i)のみを取り除き、同様にして輝度D’を測定した。
得られた輝度C’及び輝度D’から、凹凸形状を有する表面に可視光線が入射した場合の可視光線透過率T’2=(C’/D’)×100(%)を求めた。
そして、得られた可視光線透過率T’1とT’2の差の絶対値(ΔT’)を求めた結果、ΔT’は6%であった。この結果から、得られた光学フィルム(i)は、光学系デバイスとした場合に外光の影響を抑制でき、高精度な光学特性の検出が可能であることが示唆された。
[実施例2]
(光学フィルム(ii)の作製)
光学フィルムを構成する材料を、付加反応型シリコーン樹脂溶液(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名TSE−3450)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、片面が平滑面であり、その反対側が凹凸形状を有する面であるシリコーンゴムからなる光学フィルム(ii)を得た。
得られた光学フィルム(ii)の最大凹凸高さ及び基部の厚さを、実施例1と同様にして測定した結果、最大凹凸高さは6μmであり、基部の厚さは100μmであった。
(光学フィルム(ii)の圧縮弾性率の評価)
光学フィルム(ii)に使用した付加反応型シリコーン樹脂溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、圧縮弾性率評価用のシリコーンゴム層単体を得た。得られたシリコーンゴム層単体の厚さは、100μmであった。
得られた圧縮弾性率評価用シリコーンゴム層単体を用い、実施例1と同様にして荷重−変位を連続的に測定し、これに基づいて圧縮弾性率を評価した結果、圧縮弾性率は5MPaであった。この結果から、光学フィルム(ii)は、表面形状の変形と復元とが可逆的に可能なゴム弾性を有する材料であることを確認できた。
(光学フィルム(ii)の可視光線透過率変化の評価)
実施例1と同様にして、光学フィルム(ii)のT1及びT2を測定し、その差(ΔT)を求めた結果、ΔTは20%であった。この結果から、光学フィルム(ii)は、力学的圧力を加えることによって可視光線透過率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(ii)の可視光線反射率変化の評価)
実施例1と同様にして、光学フィルム(ii)のR1及びR2を測定し、それらの差(ΔR)を求めたところ、ΔRは35%であった。この結果から、光学フィルム(ii)は、力学的圧力を加えることによって可視光線反射率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(ii)を構成する成分で形成した両面平滑膜の可視光線透過率の評価)
光学フィルム(ii)の製造に用いた付加反応型シリコーン樹脂溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして輝度A及び輝度Bを測定し、これに基づいて可視光線透過率Tを求めた結果、T=99%であった。この結果から、光学フィルム(ii)は、優れた透明性を有することが確認できた。
[実施例3]
(光学フィルム(iii)の作製)
まず、溶剤としてプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを使用し、これに下記の感光性樹脂組成物を溶解した感光性樹脂組成物溶液を準備した。この感光性樹脂組成物溶液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布した後、100℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を得た。
<感光性樹脂組成物の組成>
アクリル酸/ブチルアクリレート/ビニルアセテート(15/30/55(重量部))の共重合樹脂(重量平均分子量60,000;ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による測定の標準ポリスチレン換算値):33重量%
ブチルアクリレート:53重量%
ビニルアセテート:8重量%
アクリル酸:2重量%
ヘキサンジオールアクレレート:1重量%
ベンゾインイソブチルエーテル:3重量%
次いで、この感光性樹脂組成物層に、不規則な凹凸パターンを有するロール状の原盤を押し当てながら、露光量5×103J/m2(i線(波長365nm)における測定値)で紫外線を照射して、感光性樹脂組成物を光硬化させた。その後、ロール原盤を分離し、不規則な凹凸形状が表面に形成された感光性樹脂組成物層を得た。
次いで、この感光性樹脂組成物層の不規則な凹凸面上に、付加反応型シリコーン樹脂溶液(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名TSE−3032)を、コンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、固体状のシリコーンゴム層を形成した。その後、シリコーンゴム層を感光性樹脂組成物層から剥離して、片面が平滑面でありその反対側が凹凸形状を有する面であるシリコーンゴムからなる光学フィルム(iii)を得た。
得られた光学フィルム(iii)の最大凹凸高さ及び基部の厚さを、実施例1と同様に測定した結果、最大凹凸高さは5μmであり、基部の厚さは100μmであった。
(圧縮弾性率の評価)
光学フィルム(iii)の製造に用いた付加反応型シリコーン樹脂溶液を用い、実施例1と同様にして試料を作製し荷重−変位を連続的に測定して圧縮弾性率を評価した結果、圧縮弾性率は3MPaであった。この結果から、光学フィルム(iii)は、表面形状の変形と復元とが可逆的に可能なゴム弾性を有する材料からなることを確認できた。
(光学フィルム(iii)の可視光線透過率変化の評価)
実施例1と同様にして、光学部材(iii)のT1及びT2を測定し、その差(ΔT)を求めた結果、ΔTは18%であった。この結果から、光学フィルム(iii)は、力学的圧力を加えることによって可視光線透過率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(iii)の可視光線反射率変化の評価)
実施例1と同様にして、光学部材(iii)のR1及びR2を測定し、それらの差(ΔR)を求めたところ、ΔRは38%であった。この結果から、光学フィルム(iii)は、力学的圧力を加えることによって可視光線反射率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(iii)を構成する成分で形成した両面平滑膜の可視光線透過率の評価)
光学フィルム(iii)の製造に用いた付加反応型シリコーン樹脂溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして輝度A及び輝度Bを測定し、これに基づいて可視光線透過率Tを求めた結果、T=99%であった。この結果から、光学フィルム(iii)は、優れた透明性を有することが確認できた。
[実施例4]
(光学フィルム(iv)の作製)
まず、実施例1と同様にして、片面が平滑面でありその反対側が凹凸形状を有する面であるシリコーンゴム層を得た。
また、トリアセチルセルロースフィルムの平滑面上に、下記の粘着性を有する樹脂組成物とプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを混合溶解して得られた樹脂溶液をコンマコーターで均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して、粘着性を有する樹脂層を形成した。
<粘着性を有する樹脂の組成>
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル(15/85(重量部))の共重合樹脂(重量平均分子量30,000;ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による測定の標準ポリスチレン換算値):30重量%
o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート:70重量%
次いで、上記シリコーンゴム層上に、上記粘着性を有する樹脂層をラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−3000型)を用いて積層し、これにより光学フィルム(iv)を作製した。この際、シリコーンゴム層の凹凸面が粘着性を有する樹脂層に接するように積層した。また、この時の積層条件は、ロール温度25℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×105Paとした。
(光学フィルム(iv)の可視光線透過率変化の評価)
得られた光学フィルム(iv)からトリアセチルセルロースフィルムを剥がしながら、厚さ0.7mmのガラス基板上に、粘着性を有する層がガラス基板に接するように、実施例1と同様の方法で積層して、可視光線透過率の変化を評価するための試料を作製した。
得られた試料を用い、実施例1と同様にしてそのT1及びT2を測定し、その差(ΔT)を求めた結果、ΔTは12%であった。この結果から、光学フィルム(iv)は、力学的圧力を加えることによって可視光線透過率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(iv)の可視光線反射率変化の評価)
得られた光学フィルム(iv)からトリアセチルセルロースフィルムを剥がしながら、厚さ0.7mmのガラス基板上に、粘着性を有する層がガラス基板に接するように、実施例1と同様の方法で積層して、可視光線反射率の変化を評価するための試料を作製した。
得られた試料を用い、実施例1と同様にして、光学部材(ii)のR1及びR2を測定し、それらの差(ΔR)を求めたところ、ΔRは27%であった。この結果から、光学フィルム(iv)は、力学的圧力を加えることによって可視光線反射率が十分に変化することを確認できた。
(光学フィルム(iv)の屈折率の評価)
光学フィルム(iv)における表面に凹凸形状を有する層を形成するのに使用した付加反応型シリコーン樹脂溶液を、メチルエチルケトンで希釈し、これをシリコンウェハ上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、さらに100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、シリコーンゴム層を形成した。この時のシリコーンゴム層の厚さは2μmであった。
次いで、Metricon社製屈折率計(2010型プリズムカプラ、光源レーザー波長633nm)を用い、上記シリコーンゴム層の屈折率n1を測定した結果、n1=1.41であった。
一方、光学フィルム(iv)の製造に用いた粘着性を有する樹脂組成物を、メチルエチルケトンに溶解し、これをシリコンウェハ上にスピンコーターを用いて均一に塗布した後、さらに100℃の熱風対流式乾燥機で30分間加熱して、厚さ2μmの粘着性を有する樹脂層を形成した。
次いで、Metricon社製屈折率計(2010型プリズムカプラ、光源レーザー波長633nm)を使用して、上記粘着性を有する樹脂層の屈折率n2を測定した結果、n2=1.56であった。
上記の結果から、表面に凹凸形状を有する層の構成成分の屈折率n1と、粘着性を有する樹脂の屈折率n2との屈折率差の絶対値(Δn)を求めた結果、Δn=0.15であった。この結果から、光学フィルム(iv)は、力学的圧力を加えない状態で入射した可視光を反射又は散乱させる能力があり、力学的圧力を加えることによって可視光線透過率が十分に変化させられることを確認した。
[比較例1]
(比較用光学フィルムの作製)
まず、下記の組成を有する感光性樹脂組成物を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解して感光性樹脂組成物溶液を準備した。次いで、この感光性樹脂組成物溶液を、表面が平滑な膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、コンマコーターを用いて均一に塗布し、さらに100℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した。その後、この感光性樹脂組成物層に対し、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を用い、露光量5×103J/m2(i線(波長365nm)における測定値)で紫外線を照射して硬化させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離することにより、比較用光学フィルムを得た。
得られた比較用光学フィルムの厚さを(株)小坂研究所製表面形状測定装置(サーフコーダー SE−30D型)により測定した結果、50μmであった。
<感光性樹脂組成物の組成>
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸メチル共重合樹脂:55重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:40重量%
ベンゾフェノン:4.7重量%
N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン:0.3重量%
(比較用光学フィルムの圧縮弾性率の評価)
仮支持体として表面が平滑な膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、その平滑面上に、比較用光学フィルムに用いた感光性樹脂組成物溶液をコンマコーターを用いて均一に塗布し、さらに、100℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して感光性樹脂組成物層を形成した。その後、この感光性樹脂組成物層に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を用い、露光量5×103J/m2(i線(波長365nm)における測定値)で、ポリエチレンテレフタレートフィルム側及び感光性樹脂組成物層側の両面に紫外線を照射して硬化させた。これにより、比較用光学フィルムに用いられた成分からなる膜厚100μmの圧縮弾性率評価用の感光性樹脂組成物層を形成した。そして、この圧縮弾性率評価用の感光性樹脂組成物層を、仮支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して、表裏両面とも平滑な圧縮弾性率評価用の感光性樹脂組成物層単体を作製した。
得られた圧縮弾性率評価用の感光性樹脂組成物層単体を用い、実施例1と同様の方法で圧縮弾性率を評価した結果、70GPaであった。この結果から、比較用光学フィルムに使用した感光性樹脂組成物層は、表面形状の変形が困難で、変形が不可逆な可塑性を有する材料であることが判明した。
(比較用光学フィルムの可視光線透過率変化の評価)
実施例1と同様にして、比較用光学フィルムのT1及びT2を測定し、その差(ΔT)を求めた結果、ΔTは0.04%であった。この結果から、比較用光学フィルムは、力学的圧力を加えても可視光線透過率に変化が認められず、所望する特性が得られないことが判明した。
(比較用光学フィルムの可視光線反射率変化の評価)
実施例1と同様にして、比較用光学フィルムのR1及びR2を測定し、それらの差(ΔR)を求めたところ、ΔRは0.05%であった。この結果から、比較用光学フィルムは、力学的圧力を加えても可視光線反射率に変化が認められず、所望する特性が得られないことが判明した。