JP5514827B2 - 4−o−メチルホノキオールを含有するアミロイド関連疾患の治療又は予防用組成物 - Google Patents

4−o−メチルホノキオールを含有するアミロイド関連疾患の治療又は予防用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、4−O−メチルホノキオールを有効成分とするアミロイド関連疾患の治療又は予防用組成物に関し、さらに具体的には、4−O−メチルホノキオール(4−O−Methylhonokiol)又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、アルツハイマー病、認知障害、記憶障害及びアミロイド症などのアミロイド関連疾患の治療や予防に有用な薬剤や機能性食品組成物に関する。
最近、高齢者人口の急激な増加により、アルツハイマー病が深刻な社会問題化している。アルツハイマー病は、患者自身の人間的な生活を荒廃させるだけでなく、家族の生活までも破壊する疾患で、深刻な社会的、経済的な問題である。アルツハイマー協会の資料によると、65歳以上の高齢者の10.3%が認知症を患っており、認知症を治療するために、年間950億ドルの費用がかかることが報告されている。韓国保健産業振興院の報告によると,韓国での2000年の認知症の有病率が、65歳以上の高齢者の8.3%である34万名に達する状況である(非特許文献1参照)。
認知症は、日常生活にダメージを与える記憶と認知能力の悪化と定義されており、大きく血管性認知症と老人性痴呆に分けられる。血管性認知症は、主に血栓により脳内出血や脳卒中などが発生する場合に該当するもので、出血が発生した部位の脳細胞が損傷され、記憶力減退などの症状が誘発されることが知られている。一方、血管性認知症よりも遥かに高い頻度を示す老人性認知症は、アルツハイマー性認知症であって、ベータ−アミロイドの脳内の蓄積と、それによる毒性で神経細胞が持続的に破壊されて発生することが知られている(非特許文献2参照)。また、この過程で、活性酸素種が重要な働きをすると報告されている(非特許文献3参照)。非ステロイド系抗炎症薬を投与すると、アルツハイマー病が減少するとの事実から明らかなように、炎症反応はアルツハイマー病の発症と関連があると報告されている(非特許文献4参照)。
ダウン症候群は、染色体の中で21番染色体の余分なコピーにより起因する遺伝性疾患である。ダウン症候群を患っている患者の脳内において、アミロイド蛋白質の蓄積が、ダウン症候群を患っていない一般の人に比べて多いと報告されており、アミロイドがダウン症候群の発症と関連があると知られている(非特許文献5参照)。
一方、アルツハイマー病の症状の一つである記憶障害は、コリン系神経系と密接な関連があると報告されている。低濃度の有機リン系化合物に露出された場合、アセチルコリンエステラーゼの異常な活性化を誘導して、アセチルコリンの量が減少して、結局、記憶に関連する神経伝達が円滑でないことになる。また、ベータ−アミロイドの蓄積により、脳細胞へ毒性を示し、記憶力を低下させると報告されている(非特許文献6参照)。
軽度認知障害は、神経科学者らによって作られた用語であって、年齢や教育を考慮して認知障害があるものの、日々の生活には深刻な影響を及ぼすものではない認知障害のある人のことを示す。正常な加齢と認知症との境界又は移行状態であると考えられている。科学者らは、年齢に比べて記憶力が劣っているがアルツハイマー病の症状は持っていない患者を分類し、これに該当する患者を軽度認知障害と診断した。このような軽度認知障害を現す患者は、専門家によって、より正確な診断と治療についての助言を受けなければならない。なぜならば、これらの中には、アルツハイマー病へ発展する可能性の高い患者が含まれているからである。最近は、このような軽度認知障害を現す患者を対象として、ビタミンEと、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤に関する効果を調べるための研究が進行中にある。この研究は、軽度認知障害に該当する患者が、ビタミンEやアセチルコリンエステラーゼの阻害剤を投与した場合、アルツハイマー病へ発展する割合を減らせるか否かを見るためのものである。
アミロイド症は、アミロイド変性(amyloid degeneration)とも呼ばれている。アミロイドという名称は澱粉(ラテン語でアミルム)と間違えて命名したことによる。アミロイドはワックス状で半透明であり、紫色素で染色しても、赤く染まる。この物質は、血管壁や周囲の繊維間に出現したり、脾臓若しくは肝臓の細胞間又は心筋若しくは舌筋の間質組織間でよく出現する。アミロイド蛋白が少量の場合は、アミロイド変性というが、器官及び/又は組織に異常に沈着する場合には、アミロイド症という。
アルツハイマー病の治療及び改善のための薬物としては、シナプスでコリンの分解を減少させることで、脳内で作用しているコリンの量を増加させる作用をするタクリン(Tacrine)、アリセプト(Aricept)及びエクセルロン(Exelon)のようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤などが使用されているが、効果も大きくないし、一時的であり、肝毒性などの副作用がある(非特許文献7参照)。
したがって、国内外の多くの研究機関では、アルツハイマー病及び他のアミロイド関連疾患の治療法を発見するために、ベータアミロイド形成抑制効果を持つ物質を探したり、神経細胞のアポトーシスを抑制する薬物の探索に多くの努力を傾けてきた。
一方、1978年に4−O−メチルホノキオールが初めて分離され(非特許文献8参照)、4−O−メチルホノキオールは、マグノロールと共に抗菌効果があり、蚊の幼虫及びブラインシュリンプ(brine shrimp)に殺虫効果があることが知られているが(非特許文献9参照)、4−O−メチルホノキオールに対するアルツハイマー病及び他のアミロイド関連疾患の治療や予防に関する研究はない。
ソウル新聞2005年5月10日 Gandy et al.,J Clin Invest, 2005 Zhu et al.,Brain Research, 2004 Gasparini et al.,Brain Research Reviews, 2005 Crystal et al.,Neurobiology of Aging, 1997,Yasuhiro et al.,Brain&Development, 1997 Small et al.,Curr Alzheimer Res, 2004 Forchetti et al.,Prim Care CompanionJ Clin Psychiatry, 2005 El−Feraly、FS et al.,Lloydia, 41, p493, 1978 Nitao JK et al.,Phytochemistry, 30,p2193, 1991
本発明者は、本発明の4−O−メチルホノキオールが、ベータ−アミロイド形成を抑制するという事実を初めて明らかにし、アミロイド関連疾患の治療や予防に使用できることを確認した。実験用マウスを用いた水中迷路試験、受動的回避試験などの動物実験を実施して、4−O−メチルホノキオールが、アミロイド関連疾患であるアルツハイマー病、認知障害及び記憶障害などに効能があることを確認した。マウスの脳で皮質と海馬組織を用いたアセチルコリンエステラーゼの活性抑制試験を通して、アミロイド関連疾患の中でも、アルツハイマー病の治療や予防に更に効果的であることを追加的に確認することにより、本発明を完成した。
したがって、本発明の主な目的は、人体への副作用がほとんどなく、安全でありながら、アルツハイマー病、認知障害、記憶障害及びアミロイド症などに効果的な4−O−メチルホノキオールを有効成分として含有する、アミロイド関連疾患の治療及び予防用組成物を提供することにある。
本発明の一態様によれば、本発明は、4−O−メチルホノキオール、又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有するアミロイド関連疾患の治療や予防用組成物を提供する。
本発明において、前記アミロイド関連疾患は、アミロイドの蓄積、変性又はそれによる毒素によって誘導される全ての病気を含むが、特に、アルツハイマー病、認知障害、記憶障害及びアミロイド症からなる群から選ばれたいずれか一つであることを特徴とし、より具体的には、アルツハイマー病である。
本発明では、前記4−O−メチルホノキオールが、ベータ−アミロイドの形成を抑制するという事実を初めて明らかにし、アミロイド関連疾患の治療や予防に使用できることを確認しており、実験用マウスを用いた水中迷路試験、受動的回避試験などの動物実験を実施して、4−O−メチルホノキオールが、アミロイド関連疾患であるアルツハイマー病、認知障害、記憶障害及びアミロイド症などに効能があることを確認し、マウスの大脳皮質や海馬組織を用いたアセチルコリンエステラーゼの活性抑制試験を通して、アミロイド関連疾患の中でも、アルツハイマー病の治療や予防に更に効果的であることを追加的に確認した。本明細書において、治療とは、症状の緩和や改善を含む意味である。
具体的には、前記4−O−メチルホノキオールは、下記の式で表すことができる。
前記式で示される化合物は、ヒドロキシル基により、薬学的に許容可能な種々の塩を含むことができる。前記薬学的に許容可能な塩は、特に言及のない限り、全ての可能なヒドロキシル基の塩を含み、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
好ましくは、生理学的に許容可能なナトリウム、カリウム、カルシウムの塩などが挙げられ、このような塩は、当業界で知られている塩の製造方法を通して製造することができる。
前記4−O−メチルホノキオールは、商業的に精製された4−O−メチルホノキオール化合物を購入したり、合成して使用することもあるが、好ましくは、4−O−メチルホノキオールを含有する植物、特に、厚朴(Magnolia officinalis Rehd.et Wils.)の抽出物から分離したものを使用することができ、厚朴抽出物からの分離方法は、本発明者らの以前に出願された韓国特許(出願番号10−2008−0019904)の“厚朴抽出物、又はこれらから分離された4−O−メチルホノキオールを含有する脱毛防止や毛髪の成長促進用組成物”で探すことができる。
具体的には、厚朴粗抽出物は次のようにして得ることができる。厚朴の葉又は皮を乾燥し、その重量の約1〜20倍、好ましくは、約2〜5倍の体積の水、炭素数1〜4の低級アルコール、又はこのような混合溶媒、好ましくは、水及びエタノールの混合溶媒、より好ましくは、約75%から100%のエタノールで約0℃〜100℃、好ましくは、約10℃〜30℃の抽出温度で約1時間〜15日、好ましくは、約2日間〜7日間、熱水抽出、還流冷却抽出、超音波抽出などの抽出方法、好ましくは、還流冷却の抽出方法で抽出した抽出液を約20℃〜100℃、好ましくは、約50℃〜70℃で減圧濃縮して、厚朴粗抽出物を得ることができる。
また、上記の厚朴粗抽出物から厚朴の非極性溶媒可溶性抽出物を得ることができるが、これは,上記で得られた厚朴粗抽出物の重量の約1倍〜15倍、好ましくは、約1倍〜10倍の体積の水に厚朴粗抽出物を分散させた後、ヘキサン、クロロホルム、メチレンクロライド、酢酸エチル、グリセリン又はプロピレングリコール、好ましくは、ヘキサン、クロロホルム又は酢酸エチル、より好ましくは、ヘキサンを、水の0.1倍〜0.5倍程度の体積程度加えて、1回〜5回、好ましくは、2回〜4回分画して、厚朴の非極性溶媒可溶性抽出物を収得することができる。
前記4−O−メチルホノキオール化合物は、下記のように単離することができる。
上記の収得方法で得られた厚朴のヘキサン溶媒抽出物を、炭素数1〜4の低級アルコール、好ましくは、メタノールに溶かし、C18カラムに吸着させた後、炭素数1〜4の低級アルコール、好ましくは、メタノール:水が約10:1〜4:1になるように混合して分画物を得て、シリカゲルに吸着させた後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーを2回〜5回行って、活性画分を分離し、最後に、高性能液体クロマトグラフィーを用いて、前記4−O−メチルホノキオールを収得することができる。
また、アミロイド関連疾患の改善や予防効果を持つ前記4−O−メチルホノキオール化合物は、置換基の導入と分画の方法を通じて得ることができる。また、商業的に入手可能なホノキオール(Honokiol、Chengdu Biopurify Phytochemicals Ltd., CN)を通常のメチル化反応によって4−O−メチルホノキオールを合成して得ることができる(Yoshiyasu F. et al.,Tetrahedron, 48(3),p277−392, 1992; James KN et al.,Phytochemistry, 30(7), p2193−2195, 1991; Shoji Y.et al., Chem. Pharm.Bull., 39(8), p2024−2036,1991; Herbert O. House、Modern Synthetic Reactions, 2nd ED., The Benjamin/Cummings Publishing Co., 1972)。
また、本発明の4−O−メチルホノキオール化合物は、当該技術分野において通常の方法に従って、薬学的に許容可能な無毒性塩及び溶媒化物として製造できる。
前記薬学的に許容可能な塩としては、遊離酸によって形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、この塩を、メタノール、エタノール、アセトン、又はアセトニトリルのような水混和性の有機溶媒を使用して沈殿させて製造する。同じモル量の化合物と水の中の酸又はアルコール(例えば、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、続いて、上記の混合物を蒸発させて乾燥させたり、又は析出された塩を吸引濾過させることができる。
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、特に言及しない限り、本発明の化合物に存在可能な酸又は塩基性基の塩を含む。例えば、薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロキシル基のナトリウム、カルシウム及びカリウム塩が含まれ、アミノ基の其の他の薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロブロマイド、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、 リン酸二水素塩、アセテート、琥珀酸、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホネート(メシレート)、及びp−トルエンスルホネート(トシレート)塩があるが、これらに限定されるわけではなく、当業界で知られている塩製造方法や製造プロセスを通して製造することができる。
本発明の組成物で、好ましくは、組成物総重量に対して、上記の4−O−メチルホノキオールを0.0001重量%〜90重量%で含むことができる。
本発明の組成物において、上記の組成物は、薬物や機能性食品の組成物であってもよい。
本発明の組成物において、好ましくは、上記の組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤又は軟膏剤の剤型を有することができる。
本発明の一態様によれば、本発明は、薬理学的に有効な量の4−O−メチルホノキオール又はその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする対象に投与することを含むアミロイド関連疾患の治療や予防の方法を提供する。
[薬剤組成物]
本発明の4−O−メチルホノキオールを有効成分として含有する薬剤組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤を更に含むことができる。
上記の4−O−メチルホノキオールを有効成分として含有する薬剤組成物は、それぞれ通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾール等の剤形や滅菌注射溶液の形で剤形化して使用することができる。
また、上記の4−O−メチルホノキオールを有効成分として含有する組成物に含まれる担体、賦形剤及び希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、燐酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油などが挙げられる。製剤化する場合は、充填剤、増量剤、接着剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤や賦形剤を使用してもよい。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤に加えて、ステアリン酸マグネシウム又はタルクのような潤滑剤も使用される。経口用液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、水及び液体パラフィンなどの単純な希釈剤に加えて、種々の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤等を含めてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌の水溶液、非水溶性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、座剤などが含まれる。非水溶性溶剤又は懸濁剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用できる。座剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
本発明の化合物の薬理学的に有効な投与量は、患者の状態及び体重、病気の程度、薬物の形態、投与経路及び期間などによって異なるが、当業者により適切に選択され得る。しかしながら、好ましい効果のためには、本発明の化合物は、1日当たり0.0001mg/kg〜l00mg/kgであり、好ましくは、0.001mg/kg〜10mg/kgで投与するのがよい。投与は、一日一回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。上記の投与量は、どのような面でも、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の化合物は、様々な経路で投与できる。投与のすべての方法は、予想可能であり、例えば、経口、直腸、又は静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜や脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与することができる。
[機能性食品組成物]
本発明のアミロイド関連疾患の改善又は予防用機能性食品は、食品学的に許容可能な食品補助添加剤を更に含むこともでき、丸剤、粉末、顆粒、注射剤(針剤)、錠剤、カプセルや飲料の形態で製剤化できる。
また、本発明の前記4−O−メチルホノキオールは、アルツハイマー病のようなアミロイド関連疾患の予防のための健康補助食品の食品補助添加剤として使用することができる。本発明の4−O−メチルホノキオールを含む食品としては、各種食品、例えば、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康補助食品などがあり、丸剤、粉末、顆粒、注射剤、錠剤、カプセルや飲料の形態で使用することができる。
この場合、食品や飲料の中の前記4−O−メチルホノキオールの量は、一般的に、本発明の健康食品組成物の場合、全体の食品重量の0.0001重量%〜90重量%で与えることができ、健康飲料組成物の場合は、100mLを基準として0.0001重量%〜20重量%加えることができる。
本発明において食品補助添加物は、当業界で通常使用されるものを含み、例えば、香味剤、風味剤、着色剤、充填剤、安定化剤などである。
上記の健康飲料組成物の場合、前記4−O−メチルホノキオールの他に含有する成分には、種々の香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上記の天然炭水化物の例としては、ブドウ糖、果糖等の単糖類;マルトース、スクロース等の二糖類;デキストリン、サイクロデキストリン等の多糖類;、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。上述した以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリシルヒジンなど))と、合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)と、を有効に用いることができる。上記の天然炭水化物の割合、本発明の組成物100mLあたり、通常1g〜20g、好ましくは、約5g〜12gである。
上記の以外に、本発明の組成物は、複数の栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(促進剤)(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸、及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。その他に、本発明の組成物は、天然フルーツジュースや果汁飲料や野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。これらの成分は、単独又は組み合わせて使用することができる。これらの添加剤の割合は、それほど重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0重量部〜約20重量部の範囲で選択されるのが一般的である
以下、実施例及び実験例に基づいて、本発明を更に詳細に説明することにする。このような実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものなので、本発明の範囲が、このような実施例によって制限されるものと解釈されない。
実施例1 厚朴の極性溶媒可溶粗抽出物の製造
京東市場(ソウル薬令市)で購入した厚朴の樹皮を乾燥及び細切して得た茎皮3kgに95%エタノール9Lを加えて、室温で3回繰り返して抽出した後、濾過して得た濾液を減圧濃縮装置(EYELA社、N−1000、日本)で減圧濃縮して、乾燥した粗抽出物450gを得て、下記の実施例で使用した。
実施例2 厚朴の非極性溶媒可溶抽出物の製造
上記の実施例1で収得した厚朴粗抽出物のうち、200gを2Lの蒸留水で懸濁して、500mLのヘキサンを加えて溶解した後、これを分別抽出し、このような工程を2回繰り返した。ヘキサン層を減圧濃縮して、厚朴のヘキサン可溶抽出物70gを収得して、下記の実施例で使用した。
実施例3 厚朴抽出物から4−O−メチルホノキオールの分離
上記の実施例2で収得した厚朴のヘキサン可溶抽出物70gを300mLのメタノールに溶かし、300gのC18カラムに吸着させた後、メタノール:水=4:1の混合溶液を使用して分画物を収得し、溶離液を減圧濃縮して、黄褐色の濃縮液40gを得て、これをメチレンクロライドに溶解させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=9:1の混合溶液を使用して、カラム(4.5×40cm)に充填したシリカゲル(メルク社、商品名:9385)1kgに分画物を吸着させ、ヘキサンと酢酸エチルの比率を9:1から6:4に変換させながら、総2回のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実行して分画物を分離した後、最終的に下記表1に記載された条件の高性能液体クロマトグラフィーを用いて、下記物性値を持つ4−O−メチルホノキオール2gを収得し、下記の実施例で使用した。
この4−O−メチルホノキオールをH−NMR(バリアン社GEMINI、400MHz)及び13C−NMR(バリアン社、GEMINI、100MHz)で分析し、CDCl(クロロフォルム−d、アルドリッチ社)を溶媒として使用し、内部標準物質には、トリメチルシランを使用して、δ値(ppm)で示し、NMRの結果は、既に発表された資料と一致することが確認できた(Shoji Y. et al.,Chem. Pharm. Bull.39, p2024, 1991)。
H−NMR(400MHz、CDCl):δppm 3.45(2H、d、J=6.0Hz、H−7’)、3.45(2H、d、J=6.0Hz、H−7)、3.90(3H、s、OMe)、5.10(4H、m、H−9及びH−9’)、6.01(2H、m、H−8及びH−8’)、6.95(1H、dd、J=8、1.5Hz、H−3’)、6.97(1H、dd、J=8.0、1.5Hz、H−3)、7.05(2H、m、H−2及びH−6’)、7.23(1H、dd、J=8.5、1.6Hz、H−6)、7.30(1H、dd、J=8.5、1.6Hz、H−4’);
13C−NMR(100MHz、CDCl):δppm 34.22(C−7)、39.36(C−7’)、55.47(OMe)110.88(C−3’)、115.47(C−9)、115.53(C−9')、115.77(C−5)、127.83(C−1’)、127.86(C−6)、128.67(C−3)、129.09(C−1)、129.64(C−4’)、130.46(C−6’)、130.67(C−2)、132.09(C−5’)、136.48(C−8)、137.77(C−8’)、150.79(C−2’)、156.94(C−4)、
4−O−メチルホノキオール
実験例1 空間学習能力評価のための水中迷路試験
4−O−メチルホノキオールがスコポラミンで脳損傷を誘発させた実験用マウスの学習能力に及ぼす影響を評価するために、既存の文献に記載された水中迷路実験用動物モデルを応用して、下記のようなプロセスで実験を行った(韓国保健工程書研究会、健康機能食品の機能性食品ガイド、663−701, 2004;Widy−Tyszkiewicz et al.,Biol Pharm Bull, 2002)。5週齢−6週齢のICR系雄性マウス(20g−28g)(大韓バイオリンク、韓国)を適切な温度(22±2℃)と一周期(12時間の昼夜サイクル)で飼育した。10匹を1群にして、ケージで水と餌を自由供給した。実験用マウスは、実験前に1週間順応させて使用した。
直径180cm、高さが50cmの円筒形の水槽に、水温が22±3℃で調節された水を高さ30cmに満たし直径12cmの円形の透明アクリル樹脂製逃避台を水面よりも1.5cm低い所に取り付けた。実験用マウスは、一日に180秒間6日間の適応訓練(acquisition test)を受け、7日目の自由水泳検査(retention test)を実施し、この場合、実験用マウスは、逃避台を除去して60秒間水泳をするようにした。すべての実験用マウスの行動は、ビデオカメラを利用して記録し、実験用マウスが逃避台に上る時間と距離を測定した。
スコポラミン(Wako社、日本)0.1mgを0.1mLのエタノールに溶かし、実験動物の体重10gあたり0.1mLの量を投与するために、0.1%のツイン−80(Tween−80)で希釈して最終濃度1mg/kgで腹腔投与を実施した。4−O−メチルホノキオール(0.5、1、及び1.5mg/kg)を、飲料水に溶かして実験動物に一週間経口投与した。比較例は、スコポラミンのみで処理した群であり、対照群は、無処理群である。各群を評価して、その平均値の結果を、下記表2に示した。
上記の表2に表すように、スコポラミンのみで処理した実験用マウスは、逃避距離(escape distance、cm)が増加したのに対し、スコポラミンと4−O−メチルホノキオールとで同時処理した実験用マウスの場合、濃度依存的に有意に逃避距離が減少して、対照群と類似したレベルに改善されることが認められた。
実験例2 明示的な記憶能力試験のための受動的回避試験
4−O−メチルホノキオールがスコポラミンで誘発させた実験用マウスの記憶障害に及ぼす影響を評価するために、既存の文献に記載された受動的回避実験動物モデルを応用して、下記のようなプロセスで実験を行った(韓国保健工程書研究会、健康機能食品の機能性食品ガイド663−701, 2004;Rho et al.,Biol Pharm Bull,2005)。
ギロチン式ドアで区切られた2つの区画からなる受動的回避試験装置を試験装置として用いた。一方の区画は透明アクリル板(30cm×30cm×30cm)でできた照明区画であり、もう一つの区画は黒のアクリル板(同じ大きさ)でできた暗区画である。暗区画の底には、アルミニウム棒を一定の間隔で配置した格子網を敷いた。この格子網に、実験用マウスの足に電気衝撃を与える装置を接続した。実験用マウスを明るい区画に入れ、ドアを開けて、実験用マウスが、暗区画に入れるようにした。このような施行を3回繰り返した後、3番目の施行の際には、暗区画に入る瞬間、アルミニウム格子網を介して電気衝撃(0.1mA、5秒)を加えた。24時間経過後に記憶検査を実施した。マウスを照明区画に入れ、ギロチン式ドアを開け、そしてマウスが暗区画に入るのに要する時間を測定した(ステップスルー待ち時間、step−through latency)。到達時間が長いほど、学習と記憶力が良いことを意味する。各群あたり10匹を評価して、その平均値の結果を、下記表3に表した。
上記の表3に表すように、スコポラミンのみで処理したマウスは、ステップスルー待ち時間(step through latency;秒)が減少したのに対し、スコポラミンと共に4−O−メチルホノキオールを同時に投与した場合、濃度依存的にステップスルー待ち時間が増加して、対照群と同様に改善されることが認められた。
実験例3 アセチルコリンエステラーゼ活性抑制
行動薬理実験後、マウスの脳の皮質と海馬をそれぞれ分離した後、PRO−PREP蛋白質抽出液(iNtRON Bio technology co., Ltd)で均質粉砕し、4℃で15,000rpmで2時間遠心分離して上清液のみを取り、最終抽出物の蛋白質量をBiO−Rad蛋白質分析キット(BiO−Rad)を使用して測定した。アセチルコリンエステラーゼの活性は、改変したエルマン(Ellman)の方法により測定した。
96−ウェルプレートに細胞溶解物(cell lysate)をウェルあたり10μLずつ加え、反応緩衝液[0.01%DTNB、0.02%のアセチルチオコリン(Acetylthiocholine)及び0.1mM isoOMPAを含む50mM Tris−HCl(pH 8.0、0.1M NaCl、20mM MgCl)]を190μL入れ、37℃で5分間405nmで測定した。10分後、同じ波長で再度測定した。アセチルコリンエステラーゼを濃度別に入れ、標準緩衝液[0.01%DTNB及び0.02%0.1mM isoOMPAを含む50mM Tris−HCl(pH8.0、0.1M NaCl、20mM MgCl)]で処理して、5分間37℃で405nmで測定した。試料の1次と2次の吸光度の差から活性度を計算した。3回評価して、結果を下記表4及び表5に表す。
上記の表4に表すように、スコポラミンのみで処理した皮質は、酵素の活性度が増加したのに対し、スコポラミンと共に4−O−メチルホノキオールを同時に処理した場合、濃度依存的に酵素の活性度が減少して、有意に対照群と類似したレベルに改善されることが認められた。
上記の表5に表すように、海馬でも、皮質と同様に、濃度依存的に酵素の活性度が減少して、対照群と類似したレベルに改善されることが認められた。
実験例4 ホノキオールと4−O−メチルホノキオールによるアセチルコリンエステラーエ活性抑制の比較実験
アセチルコリンエステラーゼ活性は、改変したEllman方法により測定した(Ellman GL、et al., Biochem. Pharmacol 7, 88−95, 1961)。96ウェルプレートに50mMリン酸塩緩衝液(pH 8.0)30μLを入れ、4−O−メチルホノキオールとホノキオールを濃度別にウェルあたり10μL、及びアセチルコリンエステラーゼを10μL添加した後、酵素に対する基質溶液として、0.5mMのヨウ化アセチルチオコリンと1mMの5、5'−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)が含有された50mMリン酸塩緩衝液(pH8.0)を50μLずつ入れ、25℃で5分間反応後、412nmの波長で吸光度を測定して、下記の数学式でアセチルコリンエステラーゼの活性抑制能力を測定した。3回評価して、平均値の結果は、下記の表6に表した。
ODb:試料を処理していない反応溶液の412nmでの吸光度値
ODs:試料を処理した反応溶液の412nmでの吸光度値
ODc:対照区の412nmでの吸光度値
上記の表6に表すように、4−O−メチルホノキオールでIC50の値が1.2nMで、ホノキオールでIC50の値である250nMより約200倍高い効果を示した。
実験例5 アミロイド−ベータ1−42の生成抑制
行動薬理実験後、マウスの脳の皮質と海馬を分離してPRO−PREP蛋白質の抽出液で均質粉砕し、4℃で15,000rpmで2時間遠心分離して、上清液の蛋白質量をBiO−rad蛋白質分析キット(BiO−rad Co.)を使用して測定した。アミロイド−ベータ1−42の定量は、アミロイド−ベータ1−42分析キット(イムノバイオロジカル社、日本)を用いて実施した。
脳を皮質と海馬に分けて得た蛋白質抽出物100μLを、コーティングされた96ウェルプレートに入れ、4℃で一晩間反応させた。その後、緩衝液で洗浄した後、標識された抗体溶液を入れ、4℃で1時間の間、暗い場所で反応させた。再び洗浄後、発色剤を添加し、室温で30分間、暗い所で反応させた。その後、反応停止溶液を入れ、450nmで吸光度を測定した。3回実行し、その平均値の結果を、下記表7と表8に表した。
上記の表7に表すように、皮質でベータ−アミロイドのみを処理する場合、ベータアミロイドの量が増加され、ベータ−アミロイドと共に試験物質である4−O−メチルホノキオールを投与する場合、濃度依存的にベータ−アミロイドの生成が減少して、有意に改善されることが認められた。
上記の表8で表示されるように、脳の海馬でも、皮質と同様に、ベータ−アミロイドで処理する場合、ベータアミロイドの量が増加され、ベータ−アミロイドと共に試験物質である4−O−メチルホノキオールを投与する場合、濃度依存的にベータ−アミロイドの生成が減少して、有意に改善されることが認められた。
製剤例1 散剤
上記の成分を混合し、機密シートに充填して散剤を製造する。
製剤例2 錠剤
上記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法に基づいて打錠して、錠剤を製造する。
製剤例3 カプセル剤
上記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法に基づいて、ゼラチンカプセルに充填して、カプセル剤を製造する。
製剤例4 注射剤
通常の注射剤の製造方法に基づいて、1アンプルあたり(2ml)上記の成分含量で製造する。
製剤例5 液剤
通常の液剤の製造方法に基づいて、精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモンの香りを適量加えた後、上記の成分を混合し、精製水を加えて、全体を100mlで調整した後、茶色の瓶に充填し、滅菌して、液剤を製造する。
製剤例6 健康食品
上記のビタミンとミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適した成分を好ましい実施例として混合組成したが、その配合比を任意に変形実施しても構わないし、通常の健康食品の製造方法に基づいて、上記の成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法に基づいて、健康食品組成物の製造に使用することができる。
製剤例7 健康飲料
通常の健康飲料の製造方法に基づいて、上記の成分を混合した後、約1時間の間、85℃で攪拌加熱し、作られた溶液を濾過して、滅菌された2Lの容器に取得し、密封滅菌した後、冷蔵保管して、本発明の健康飲料組成物の製造に使用する。
上記の組成比は、比較的嗜好飲料に適した成分を好ましい実施例として混合組成したが、需要階層や需要国家、使用用途など、地域的、民族的嗜好度に応じて、その配合比を任意に変形実施しても差し支えない。
以上述べたように、ベータアミロイドの生成を抑制する有効成分として4−O−メチルホノキオールを含有する本発明の薬剤組成物は、アルツハイマー病、記憶障害、認知障害及びアミロイド症などのようなアミロイド関連疾患の治療や予防のための薬剤又は機能性食品組成物に効果的に使用することができる。

Claims (7)

  1. 4−O−メチルホノキオール又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有するアルツハイマー病、認知障害、記憶障害及びアミロイド症からなる群から選ばれるアミロイド関連疾患の治療又は予防用医薬組成物。
  2. 4−O−メチルホノキオールが、下記の化学式で表される請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 薬学的に許容可能な塩が、4−O−メチルホノキオールのヒドロキシル基に結合したリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムの金属塩である請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 4−O−メチルホノキオールが、厚朴抽出物から分離された請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 4−O−メチルホノキオールが、ホノキオールのメチル化反応を介して化学的に合成された請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 組成物の総重量に対して、4−O−メチルホノキオール又はその薬学的に許容可能な塩を0.0001重量%〜90重量%含む請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 組成物が、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤又は軟膏剤の剤型を有する請求項1に記載の医薬組成物。
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