<第1の実施形態>
本発明における第1の実施形態となるハイブリッドリレーについて、図面を参照して説明する。図1は第1の実施形態のハイブリッドリレー1の内部構成を示す概略回路図であり、図2は第1の実施形態のハイブリッドリレーにおける各部における状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。また、以下の各実施形態の説明において、「半導体スイッチが導通状態とされる」こと又は「機械式接点スイッチが閉じられた状態とされる」ことを、それぞれ「半導体スイッチがONされる」又は「機械式接点スイッチがONされる」と表現する。同様に、以下の各実施形態の説明において、「半導体スイッチが非導通状態とされる」こと又は「機械式接点スイッチが開けられた状態とされる」ことを、それぞれ「半導体スイッチがOFFされる」又は「機械式接点スイッチがOFFされる」と表現する。
1.ハイブリッドリレー1の構成
図1に示すように、第1の実施形態のハイブリッドリレー1は、直列接続された交流電源2及び負荷3のそれぞれの一端に接続されることにより、交流電源2及び負荷3と閉回路を形成する。即ち、交流電源2から負荷3への電源の投入及び遮断が、ハイブリッドリレー1がONされた状態及びOFFされた状態によって決定される。交流電源2は、例えば100[V]の商用電源等とされ、負荷3は、例えば蛍光灯や白熱球を含む照明器具または換気扇等とされる。
ハイブリッドリレー1は、負荷3の一端に一端が接続された交流電源2の他端と接続された端子10と、負荷3の他端に接続された端子11と、端子10に一端が接続された接点部S1を有する第1機械式接点スイッチ12と、端子10と接点部S1の一端との接続ノードに一端が接続された接点部S2を有する第2機械式接点スイッチ13と、端子11に一端が接続され且つ他端が第2機械式接点スイッチ13の接点部S2の他端と接続された接点部S3を有する第3機械式接点スイッチ14と、接点部S1の他端にT1電極が接続され且つ端子11にT2電極が接続されたトライアックS4を有する半導体スイッチ16と、第1、第2及び第3機械式接点スイッチ12,13,14と半導体スイッチ16とがそれぞれONされた状態又はOFFされた状態にするための制御を行う信号処理回路17とを備える。
このハイブリッドリレー1の回路構成の詳細について更に説明する。ハイブリッドリレー1は、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1と半導体スイッチ16のトライアックS4とによって構成される直列回路と、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2と第3機械式接点スイッチ14の接点部S3とによって構成される直列回路とが、端子10,11間で並列接続される。
第1機械式接点スイッチ12は、常時励磁型の機械式接点スイッチであり、接点部S1がONされた状態で保持するための電磁力を発生する磁気コイルL3を備える。即ち、磁気コイルL3が第1機械式接点スイッチ12の第1駆動部を構成する。
第2機械式接点スイッチ13は、ラッチング型の機械式接点スイッチであり、接点部S2がONされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL1と、接点部S2がOFFされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL2とを備える。即ち、磁気コイルL1,L2が第2機械式接点スイッチ13の第2駆動部を構成する。
第3機械式接点スイッチ14は、ラッチング型の機械式接点スイッチであり、接点部S3がONされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL4と、接点部S1がOFFされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL5とを備える。即ち、磁気コイルL4,L5が第3機械式接点スイッチ14の第3駆動部を構成する。
第1機械式接点スイッチ12は、1つの磁気コイルL3と、磁気コイルL3と並列接続されたダイオードD5とによって構成される。磁気コイルL3の一端とダイオードD5のアノード電極とによる接続ノードが接地され、磁気コイルL3の他端とダイオードD5のカソード電極とによる接続ノードが信号処理回路17に接続される。
第2機械式接点スイッチ13において、磁気コイルL1の一端が、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD3のカソード電極に接続される一方で、磁気コイルL2の一端が、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD4のカソード電極に接続される。これら磁気コイルL1,L2の他端同士が接続される。これら磁気コイルL1,L2の接続ノードは、接地されると共に、ダイオードD1,D2それぞれのアノード電極に接続される。なお、第1の実施形態を含めた以降の各実施形態における「接地」とは、ハイブリッドリレー1内における基準電圧に接続することを意味する。また、ダイオードD1,D2それぞれのカソード電極は、ダイオードD3,D4それぞれのカソード電極に接続される。このように、第2機械式接点スイッチ13は、直列接続された磁気コイルL1,L2と、アノード電極同士が接続されるダイオードD1,D2と、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD3,D4とによって構成される。
第3機械式接点スイッチ14において、磁気コイルL4の一端が、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD8のカソード電極に接続される一方で、磁気コイルL5の一端が、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD9のカソード電極に接続される。これら磁気コイルL4,L5の他端同士が接続される。これら磁気コイルL4,L5の接続ノードは、接地されると共に、ダイオードD6,D7それぞれのアノード電極に接続される。また、ダイオードD6,D7それぞれのカソード電極は、ダイオードD8,D9それぞれのカソード電極に接続される。このように、第3機械式接点スイッチ14は、直列接続された磁気コイルL4,L5と、アノード電極同士が接続されるダイオードD6,D7と、アノード電極が信号処理回路17に接続されたダイオードD8,D9とによって構成される。
半導体スイッチ16は、トライアックS4と、トライアックS4のT2電極とゲート電極との間に並列接続された抵抗R1及びコンデンサC1と、トライアックS4のT1電極に一端が接続された抵抗R2と、抵抗R2の他端にT1電極が接続されたフォトトライアックS4zを備えたフォトトライアックカプラ15とによって構成される。フォトトライアックカプラ15は、信号処理回路17に対して抵抗R3を介してアノード電極が接続されると共にカソード電極が接地された発光ダイオードLDを更に備え、T2電極がトライアックS4のゲート電極に接続されたフォトトライアックS4zに、発光ダイオードLDからの光信号が入光される。更に、フォトトライアックS4zは、ゼロクロス点孤機能を備えた半導体スイッチング素子であり、発光ダイオードLDからの光信号が入光されたとき、当該フォトトライアックS4zのT2電極側に交流電源2による交流電圧の中心電圧(基準電圧)を検出して初めて導通される。
また、ハイブリッドリレー1には、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2の他端と第3機械式接点スイッチ14の接点部S3の他端との接続ノードに一端が接続され、且つ、トライアックS4のT2電極に他端が接続された抵抗R4が、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14に対して並列接続されている。
2.ハイブリッドリレーによる電源投入
このように構成されるハイブリッドリレー1における交流電源2から負荷3への電源投入及び遮断それぞれを行うときの動作について、図2のタイミングチャートを参照して以下に説明する。図2は、第1の実施形態のハイブリッドリレーにおける各部の状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。
まず、交流電源2から負荷3へ電源投入することが信号処理回路17に指示された際の、ハイブリッドリレー1内の各部の動作について説明する。図2のタイミングチャートに示すように、信号処理回路17より磁気コイルL3に対して駆動電流が供給されると、磁気コイルL3により電磁吸引力が発生し、この磁気コイルL3も含む第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態となる。なお、磁気コイルL3と並列接続されたダイオードD5は、磁気コイルL3を流れる電流が逆流することを防止するための逆流防止ダイオードとして機能する。
第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態になった後、信号処理回路17は、駆動電流となるパルス電流を、ダイオードD3を介して磁気コイルL1に与える。このとき、第2機械式接点スイッチ13では、ダイオードD1が磁気コイルL1へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL2へ電流が流れることをダイオードD2が防止する。これにより、磁気コイルL1にパルス電流が流れて、一時的に電磁吸引力が働き、第2機械式接点スイッチ13における接点部S2がONされた状態となる。なお、第2機械式接点スイッチ13はラッチング型であるため、図2に示すように、磁気コイルL1への電流供給がなくなった後も、接点部S2はONされた状態で保持される。
このように、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び第2機械式接点スイッチ13の接点部S2が共にONされた状態の後、信号処理回路17は、発光ダイオードLDに対して駆動電流を与える。これにより、フォトトライアックカプラ15では、発光ダイオードLDが発光し、当該発光による光信号をフォトトライアックS4zが受光する。このとき、フォトトライアックS4はゼロクロス点孤機能を備え、図3のタイミングチャートに示すように、交流電源2からの交流電圧が基準電圧である中心電圧となったことを検出したときに、フォトトライアックS4zがONされた状態となる。なお、図3は、交流電源2からの交流電圧と、第1、第2及び第3機械式接点スイッチ12,13,14及び半導体スイッチ16における各部の電源投入時における動作状態との関係を示すタイミングチャートである。
フォトトライアックS4zのONにより、抵抗R1及びコンデンサC1による並列回路に対して、交流電源2からの交流電流が、抵抗R2及びフォトトライアックS4を介して流れる。これにより、抵抗R1及びコンデンサC1による並列回路が動作し、トライアックS4のゲート電極に電流を供給し、トライアックS4がONされた状態となる。これにより、負荷3が、ハイブリッドリレー1内の第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16を介して、交流電源2と電気的に接続されるため、負荷3には、交流電源2による電源が投入される。
このとき、交流電源2から負荷3に対して突入電流が流れ込むため、ONされた状態のトライアックS4及びフォトトライアックS4zのそれぞれについても、この突入電流に基づく大電流が流れる。この突入電流は、フォトトライアックS4zがゼロクロス点呼機能を備えることにより、フォトトライアックS4zがONされるタイミングが、交流電源2からの交流電圧の周期に対してバラツキがなくなるため、その電流量におけるバラツキを抑制することができる。また、この突入電流が第1機械式接点スイッチ12の接点部S1に流れるが、接点部S1における接点がONされた状態で流れるため、接点の開閉切換時におけるアークの発生が無く、この第1機械式接点スイッチ12における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。
このようにして、半導体スイッチ16内のトライアックS4を導通状態とし、交流電源2からの電源が負荷3へ投入された後、信号処理回路17は、駆動電流となるパルス電流を、ダイオードD8を介して磁気コイルL4に与える。このとき、第3機械式接点スイッチ14では、ダイオードD6が磁気コイルL4へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL5へ電流が流れることをダイオードD9が防止する。これにより、磁気コイルL4にパルス電流が流れて、一時的に電磁吸引力が働き、第3機械式接点スイッチ14における接点部S3がONされた状態となる。なお、第3機械式接点スイッチ14はラッチング型であるため、図2に示すように、磁気コイルL4への電流供給がなくなった後も、接点部S3がONされた状態で保持される。
このように、第1機械式接点スイッチ12、第2機械式接点スイッチ13、半導体スイッチ16、及び第3機械式接点スイッチ14の順序に従って、各々のスイッチがONされた状態になる。このため、第1の実施形態のハイブリッドリレー1は、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3へ突入電流が流れることを防止することができる。よって、第3機械式接点スイッチ14は、接点溶着の要因となる突入電流に基づく接点のバウンスを防止することができる。これらの第2機械式接点スイッチ13の接点部S2及び第3機械式接点スイッチ14の接点部S3を介した交流電源2による負荷3への電力供給が開始された後、半導体スイッチ16における給電路を遮断するために、信号処理回路17は、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。このため、発光ダイオードLDの発光動作が停止され、フォトトライアックS4zへの光信号の照射が停止され、フォトトライアックS4zは、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときに動作を停止し、OFFされた状態となる。
フォトトライアックS4zがOFFされた状態になると、トライアックS4のゲート電極へ電流供給がなくなるためトライアックS4がOFFされた状態となり、半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となる。この半導体スイッチ16がOFFされた状態となった後、信号処理回路17は、第1機械式接点スイッチ12の磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止する。即ち、磁気コイルL3への電流供給が停止されるため、常時励磁型の第1機械式接点スイッチ12は、磁気コイルL3による電磁吸引力がなくなって、接点部S1がOFFされた状態になる。これにより、半導体スイッチ16がOFFされた状態になった後に第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態となるため、第1機械式接点スイッチ12においては、電流が流れていない状態で当該第1機械式接点スイッチ12の接点部S1の接点がOFFされる。よって、第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態とするときに、接点部S1の接点間におけるアークの発生が防止できるため、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着を防止することができる。
このようにして、交流電源2からの負荷3への電源投入が行われるとき、信号処理回路17は、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに駆動電流を供給するタイミングを、図3のようにすることにより、前述したように、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着等による接点消耗を防止できる。即ち、1周期Tの交流電圧が交流電源2より供給されるとき、発光ダイオードLDへ駆動電流の供給を停止してから磁気コイルL3へ駆動電流の供給を停止するまでの時間t2を、交流電圧の半周期T/2よりも長い時間とする。
これにより、フォトトライアックカプラ15におけるフォトトライアックS4zをOFFされた状態とすることにより、トライアックS4を完全にOFFされた状態にした後に、第1機械式接点スイッチ12をOFFされた状態とすることができる。また、フォトトライアックカプラ15におけるフォトトライアックS4zがゼロクロス点呼機能を備えることにより、トライアックS4をONされた状態としたときの突入電流のバラツキを抑制できる。しかし、磁気コイルL3へ駆動電流の供給を開始してから発光ダイオードLDへ駆動電流の供給を開始するまでの時間t1を、交流電圧の半周期T/2よりも長い時間として、突入電流のバラツキをより確実に抑制できるものとしてもよい。
3.ハイブリッドリレーによる電源遮断
一方、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2及び第3機械式接点スイッチ14の接点部S3が共にONされた状態であり、交流電源2より負荷3へ電力供給がなされているときに、信号処理回路17に対して、負荷3への電源遮断が指示されると、図2のタイミングチャートに示すように、信号処理回路17が、磁気コイルL3へ駆動電流となるパルス電流を供給する。これにより、負荷3への電源投入時と同様、第1機械式接点スイッチ12における接点部S1がONされた状態となる。その後、磁気コイルL3への駆動電流の供給時から時間t1が経過すると、信号処理回路17が発光ダイオードLDに駆動電流を供給する。この発光ダイオードLDが発光して光信号をフォトトライアックS4zに照射するため、フォトトライアックS4zが、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときにONされた状態になり、同様にトライアックS4がONされた状態になり、半導体スイッチ16が全体的にONされた状態となる。
これにより、交流電源2から負荷3への給電路として、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14を介した給電路と、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16を介した給電路とが、ハイブリッドリレー1内に形成される。即ち、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16を介した給電路が確保されたため、負荷3へ流れる電流の一部が、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16に流れて、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14に流れる電流量を低減することができる。また、第1機械式接点スイッチ12がONされた状態としてから半導体スイッチ16がONされた状態になるため、接点部S1においてアークの発生を回避できるため、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。
その後、信号処理回路17は、ダイオードD9を介して駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL5に与えて磁気コイルL5を一時的に励磁させることにより、接点部S3がOFFされた状態に切り換える。このとき、接点部S3は、電流量が小さくなった状態で接点がOFFされるため、アークの発生を抑制することができ、第3機械式接点スイッチ14における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。また、第3機械式接点スイッチ14では、ダイオードD7が磁気コイルL5へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL4へ電流が流れることをダイオードD8が防止する。
このようにして、第3機械式接点スイッチ14における接点部S3がOFFされた状態になると、まず、信号処理回路17は、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。これにより、フォトトライアックS4zに対する発光ダイオードLDからの光信号の照射がなくなるため、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときに、フォトトライアックS4zがOFFされた状態となる。このフォトトライアックS4zのOFFされた状態に連動して、トライアックS4がOFFされた状態となるため、半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となる。よって、交流電源2から負荷3への給電路が遮断されるため、交流電源2による負荷3への電力供給が停止される。
その後、信号処理回路17は、ダイオードD4を介して駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL2に与えて磁気コイルL2を一時的に励磁させることにより、接点部S2がOFFされた状態に切り換える。このとき、接点部S2は、接点部S3がOFFされた状態になったことにより電流が全く流れていない状態で接点がOFFされた状態になるため、アークの発生をなくすことができ、第2機械式接点スイッチ13における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。また、第2機械式接点スイッチ13では、ダイオードD2が磁気コイルL2へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL1へ電流が流れることをダイオードD3が防止する。
また、信号処理回路17は、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止してから時間t2が経過すると、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止する。即ち、半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となった後に、磁気コイルL3による励磁が停止されて接点部S1の接点がOFFされたことにより、第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態になる。このとき、既に半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となり、第1機械式接点スイッチ12に電流が流れることがないため、接点部S2の接点がOFFされた状態になった場合でもアークの発生がないため、当該第1機械式接点スイッチ12の接点消耗を防止することができる。
<第1の実施形態の変形例1>
図2に示すように、第1の実施形態では、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態になった後に、信号処理回路17がダイオードD3を介して駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL1に与えることにより、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がONされた状態となっていた。しかし、第1の実施形態の変形例1として、図4の矩形領域Aに示すように、信号処理回路17は、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態の後ではなく、半導体スイッチ16が全体的にONされた状態の後に、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がONされた状態になるように制御しても良い。図4は、第1の実施形態の変形例1における各部の状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。図4に示した第1の実施形態の変形例1における第2機械式接点スイッチ13の接点部S2のONされるタイミング以外の各部の状態の遷移に関しては、図2に示した内容と同様である。なお、この第1の実施形態の変形例1の場合でも、ハイブリッドリレー1の構成は図1と同様である。
これにより、第3機械式接点スイッチ14に電流が流れないため、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3に対してアークが発生せず、当該接点部S3のバウンスの発生を抑制することが可能となり、当該接点部S3の消耗を抑制することができる。
<第1の実施形態の変形例2>
また、第1の実施形態の変形例1に対する更なる変形例2として、前述した特許文献2に開示されているように、図1に示す第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14が同一の駆動部により制御されても良い。第1の実施形態では、図1に示すように、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14は、それぞれ異なる駆動部により各々のスイッチのON及びOFFの動作が制御されていた。しかし、第1の実施形態では別個の駆動部をハイブリッドリレー1内に設ける必要があるため、当該ハイブリッドリレー1の構造が複雑になると共に、ハイブリッドリレー1の大型化が避けられなかった。そこで、第1の実施形態の変形例2では、例えば第2機械式接点スイッチ13の駆動部が、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3の開閉の動作をも制御するようにしても良い。
第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14を同一の駆動部により制御するためには、具体的には、接点部S2及びS3の各接点間距離を異ならしめ、例えば接点部S2の接点間距離が接点部S3の接点間距離より大きくなるように第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14を構成すれば良い。この場合、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2と第3機械式接点スイッチ14の接点部S3のON及びOFFの制御順序に関して、ハイブリッドリレー1による電源投入の際には接点部S2,接点部S3の順序でONされた状態となり、ハイブリッドリレー1による電源遮断の際には接点部S3,接点部S2の順序でOFFされた状態となる。
図5は、第1の実施形態の変形例2のハイブリッドリレー1における各部の状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。図4に示すタイミングチャートとの差異についてのみ説明する。図4に示すタイミングチャートとの差異は、図5の矩形領域Bに示すように、ハイブリッドリレー1による電源遮断の場合の第2機械式接点スイッチ13の接点部S2のOFFされる順序である。ハイブリッドリレー1による電源遮断の際に、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がOFFされた状態になった後に続いて、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3はOFFされた状態となる。その後、半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となる。図5に示した第1の実施形態の変形例2における第2機械式接点スイッチ13の接点部S2のOFFされるタイミング以外の各部の状態の遷移に関しては、図4に示した内容と同様である。
これにより、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14を同一の駆動部により開閉の動作を制御することができるため、ハイブリッドリレー1の構造の複雑化、及び当該ハイブリッドリレー1の大型化を回避することができる。
<第2の実施形態>
本発明における第2の実施形態となるハイブリッドリレー1aについて、図面を参照して説明する。図6は、第2の実施形態のハイブリッドリレー1aの内部構成を示す概略回路図であり、図7は、図6のハイブリッドリレー1aにおける各部の電源投入時における状態と交流電源からの交流電圧との関係を示すタイミングチャートである。尚、図6のハイブリッドリレー1aにおいて、図1のハイブリッドリレー1における構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態のハイブリッドリレー1aは、図6に示すように、第1機械式接点スイッチ12の磁気コイルL3と、半導体スイッチ16の一部となるフォトトライアックカプラ15の発光ダイオードLDとを、直列接続することにより、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と比べて、全体的な駆動電流量を低減した構成とする。即ち、図1に示すハイブリッドリレー1における信号処理回路17の代わりに信号処理回路17aを備え、この信号処理回路17aに一端が接続された抵抗R5の他端に磁気コイルL3の一端が接続され、この磁気コイルL3の他端に発光ダイオードLDのアノード電極が接続される。
また、磁気コイルL3の両端に接続されて磁気コイルL3の逆流防止として機能するダイオードD5は、カソード電極が抵抗R5と接続されるとともに、アノード電極が発光ダイオードLDのアノード電極と接続される。第2の実施形態のハイブリッドリレー1aは、発光ダイオードLDのアノード電極と磁気コイルL3との接続ノードに一端が接続された抵抗R6と、発光ダイオードLDのカソード電極に一端が接続された抵抗R7と、抵抗R6,R7それぞれの他端にコレクタ電極が接続されるとともにエミッタ電極が接地されたnpn型のトランジスタTr1,Tr2とが追加された構成となる。また、トランジスタTr1,Tr2のベース電極には、信号処理回路17aより制御信号が与えられる。その他の構成については、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と同様の構成となるので、その詳細については省略する。
このように構成されるハイブリッドリレー1aの動作について、図2及び図7に示すタイミングチャートを参照して説明する。ハイブリッドリレー1aは、第1の実施形態におけるハイブリッドリレー1と同様、磁気コイルL1〜L5及び発光ダイオードLDへ駆動電流の供給するタイミング、接点部S1,S2,S3それぞれのONされた状態又はOFFされた状態のタイミング、及び、トライアックS4とフォトトライアックS4zそれぞれのONされた状態又はOFFされた状態のタイミングのそれぞれが、図2のタイミングチャートにおけるタイミングとなる。
即ち、交流電源2により負荷3へ電源投入する際は、信号処理回路17aは、磁気コイルL3及び磁気コイルL1に駆動電流となるパルス電流をそれぞれ与え、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をそれぞれ閉じられた状態とする。その後、信号処理回路17aは、発光ダイオードLDを発光させてフォトトライアックS4zとトライアックS4とをONされた状態にして半導体スイッチ16を全体的にONされた状態とする。このように、信号処理回路17aは、第1機械式接点スイッチ12、第2機械式接点スイッチ13及び半導体スイッチ16をそれぞれONされた状態とした後に、駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL4に与えることにより、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3がONされた状態に切り換える。その後、信号処理回路17aは、発光ダイオードLDへの駆動電流を停止して、フォトトライアックS4zとトライアックS4とをそれぞれOFFされた状態にして半導体スイッチ16を全体的にOFFされた状態とした後に、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止して、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がOFFされた状態とする。
一方、交流電源2による負荷3への電力供給を遮断する際は、同様に、信号処理回路17aは、磁気コイルL3に駆動電流となるパルス電流を与えて第1機械式接点スイッチ12がONされた状態とした後に、発光ダイオードLDを発光させて半導体スイッチ16を全体的にONされた状態とする。その後、信号処理回路17aは、駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL5に与えて第3機械式接点スイッチ14の接点部S3がOFFされた状態に切り換える。その後、信号処理回路17aは、発光ダイオードLDへの駆動電流を停止して、半導体スイッチ16を全体的にOFFされた状態とした後に、駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL2に与えて第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がOFFされた状態にした後、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止して、第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態とする。
このとき、第2の実施形態のハイブリッドリレー1aは、図7のタイミングチャートに示すように、トランジスタTr1,Tr2のベース電極に制御信号を与えるタイミングを決定することにより、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに駆動電流を与えるタイミングを決定する。よって、以下では、信号処理回路17aによるトランジスタTr1,Tr2のベース電極に与える制御信号の出力タイミングと、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDへ駆動電流の発生タイミングとの関係について、図7のタイミングチャートを参照して説明する。
図7のタイミングチャートに示すように、信号処理回路17aは、まず、トランジスタTr1のベース電極に制御信号を与えることで、トランジスタTr1をONされた状態とし、抵抗R5,R6と磁気コイルL3とによる直列回路を駆動させる。即ち、信号処理回路17aは、トランジスタTr1をONされた状態とすることにより、磁気コイルL3のみに駆動電流を与える。これにより、上述したように、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態にする。
トランジスタTr1がONされた状態とされてから時間t1が経過すると、信号処理回路17aは、トランジスタTr1のゲート電極に対する制御信号の供給を停止すると同時に、トランジスタTr2のゲート電極に対する制御信号の供給を開始する。即ち、信号処理回路17aは、トランジスタTr1をOFFされた状態にすると同時に、トランジスタTr2をONされた状態にして、抵抗R5,R7と磁気コイルL3と発光ダイオードLDとによる直列回路を駆動させる。これにより、直列接続された磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに対して信号処理回路17aが駆動電流を供給するため、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態のままで、半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とすることができる。
また、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と異なり、磁気コイルL3と発光ダイオードLDとが直列接続されるため、それぞれを流れる駆動電流が共通となる。よって、磁気コイルL3と発光ダイオードLDとを並列接続した第1の実施形態のハイブリッドリレー1と比べて、磁気コイルL3と発光ダイオードLDとを同時に駆動するときの駆動電流量を全体的に低減できるため、その消費電力量を抑制することができる。
信号処理回路17aは、トランジスタTr1をONされた状態としてから時間t1が経過するまでに磁気コイルL1に駆動電流であるパルス電流を供給することにより、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をONされた状態にする。その後であってトランジスタTr1のONされた状態から時間t1が経過すると、信号処理回路17aは、発光ダイオードLDに駆動電流を与えて半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とした後、前述したように、磁気コイルL4に駆動電流であるパルス電流を供給する。即ち、信号処理回路17aは、磁気コイルL4に駆動電流を供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をONされた状態に切り換える。なお、図7には特に図示していないが、負荷3への電源供給を遮断する際も同様に考えることができる。
このようにして、第3機械式接点スイッチ14をONされた状態に切り換えると、信号処理回路17aは、トランジスタTr2のゲート電極に対する制御信号の供給を停止すると同時に、トランジスタTr1のゲート電極に対する制御信号の供給を開始する。即ち、信号処理回路17aは、トランジスタTr2をOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr1をONされた状態にして発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止し、半導体スイッチ16のトライアックS4をOFFされた状態とする。このとき、信号処理回路17aがトランジスタTr1を再びONされた状態とすることにより、磁気コイルL3に対しては駆動電流が引き続き供給される。このため、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1は、ONされた状態で維持される。トランジスタTr2がOFFされた状態としてから時間t2が経過すると、信号処理回路17aは、トランジスタTr1のゲート電極に対する制御信号の供給を停止する。即ち、信号処理回路17aは、トランジスタTr1をOFFされた状態にし、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止して第1機械式接点スイッチ12をOFFされた状態とする。
第2の実施形態のように、駆動コイルL3と発光ダイオードLDとを直列接続した構成とすることにより、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16を同時にONされた状態とする場合に、駆動コイルL3及び発光ダイオードLDに対して共通の駆動電流を流すことができる。よって、駆動コイルL3と発光ダイオードLDとを並列接続した場合と比べて、信号処理回路17aより供給する駆動電流量を全体的に低減できるため、ハイブリッドリレー1aにおける消費電力をも低減できる。
また、第2の実施形態において、トランジスタTr2をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値を、トランジスタTr1をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値よりも小さくなるように、抵抗R6,R7の抵抗値を設定するものとしてもよい。即ち、抵抗R6,R7それぞれの抵抗値がRr6,Rr7であり、発光ダイオードD5の降下電圧がVdであり、トランジスタTr1をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流がIlであるとき、抵抗R7の抵抗値Rr7が、抵抗値Rr6−Vd/Ilより大きくなるように設定される。
このように抵抗R6,R7の抵抗値が設定されることにより、トランジスタTr1をONされた状態とし、磁気コイルL3に十分に大きな電流を流して、第1機械式接点スイッチ12をONされた状態とできる。第1機械式接点スイッチ12をONされた状態で保持し、半導体スイッチ16を全体的にONされた状態とする場合には、トランジスタTr2をONされた状態にして、第1機械式接点スイッチ12をONされた状態に切り換えるときよりも低い電流を流すものとできる。これにより、図7のタイミングチャートで、トランジスタTr1,Tr2を動作させるための駆動電流の総量を抑制することができ、低消費電力化を図ることができる。
<第3の実施形態>
本発明における第3の実施形態となるハイブリッドリレーについて、図面を参照して説明する。尚、第3の実施形態のハイブリッドリレー1aの内部構成は、第2の実施形態と同様、図6に示す構成となる。また、図8は、第3の実施形態のハイブリッドリレー1aにおける各部における状態遷移を示すタイミングチャートである。第3の実施形態では、第2の実施形態と同じ構成のハイブリッドリレー1aを用いるが、第2の実施形態と異なり、第3機械式接点スイッチ14のONされた状態への切換時及びOFFされた状態時への切換時それぞれにおいて異なるタイミングで、トランジスタTr1,Tr2それぞれを駆動させる。よって、以下では、図8のタイミングチャートを参照して、第3の実施形態のハイブリッドリレー1aの動作について説明する。
図8のタイミングチャートに示すように、負荷3へ電源投入する際は、第2の実施形態と同様、まず、信号処理回路17aがトランジスタTr1をONされた状態にして、磁気コイルL3に駆動電流を供給し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をONされた状態にする。その後であって磁気コイルL3への駆動電流の供給後から時間t1が経過するまでに、信号処理回路17aは、磁気コイルL1に駆動電流を供給して第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をONされた状態とする。磁気コイルL3への駆動電流の供給後から時間t1が経過すると、信号処理回路17aは、トランジスタTr1をOFFされた状態にすると同時にトランジスタTr2をONされた状態とし、磁気コイルL3と発光ダイオードLDとに駆動電流を供給する。これにより、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態で、半導体スイッチ16のトライアックS4がONされた状態となる。このように、半導体スイッチ16内のトライアックS4をONされた状態として、交流電源2からの電源が負荷3へ投入されると、信号処理回路17aは、磁気コイルL4に駆動電流であるパルス電流を供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をOFFされた状態とする。
第3機械式接点スイッチ14の接点部S3を介した交流電源2による負荷3への電力供給が開始されると、半導体スイッチ16における給電路を遮断するために、信号処理回路17aは、トランジスタTr2をOFFされた状態として、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。即ち、第3の実施形態では、負荷3へ電源投入する際において、第2及び第3機械式接点スイッチ13,14を共にONされた状態とした後は、第2の実施形態と異なり、トランジスタTr1をONされた状態として磁気コイルL3のみに駆動電流を供給する期間を除くこととなる。これにより、第3の実施形態の負荷3への電源投入時の動作を行うことにより、第2の実施形態の動作と比べて、第2及び第3機械式接点スイッチ13,14をそれぞれONされた状態とした後に、トランジスタTr1をONされた状態として、磁気コイルL3に駆動電流を供給する分に相当する、消費電力を低減できる。
一方、交流電源2による負荷3への電力供給を遮断する際は、第2の実施形態と異なり、信号処理回路17aは、まず、トランジスタTr2をONされた状態にして、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに駆動電流を供給し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とする。このように、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16内のトライアックS4を介した給電路が確立されると、信号処理回路17aは、駆動電流であるパルス電流を磁気コイルL5に供給して第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をOFFされた状態とする。
この第2機械式接点スイッチ13の接点部S2を介した給電路を遮断すると、第2の実施形態と同様、信号処理回路17aは、トランジスタTr2をOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr1をONされた状態として、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止し、半導体スイッチ16のトライアックS4をOFFされた状態とする。これにより、交流電源2による負荷3への電力供給が遮断される。その後、信号処理回路17aは、磁気コイルL2に駆動電流であるパルス電流を供給することにより、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をOFFされた状態とした後、トランジスタTr1をOFFされた状態にして、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をOFFされた状態とする。
即ち、第3の実施形態では、負荷3への電力供給を遮断する際において、第2の実施形態と異なり、半導体スイッチ16を全体的にONされた状態とする前の、第1機械式接点スイッチ12のみをONされた状態とする期間を除くこととなる。これにより、第3の実施形態の負荷3への電源遮断時の動作を行うことにより、第2の実施形態の動作と比べて、半導体スイッチ16をONされた状態とする前に、トランジスタTr1をONされた状態として、磁気コイルL3に駆動電流を供給する分に相当する、消費電力を低減できる。
<第4の実施形態>
本発明における第4の実施形態となるハイブリッドリレー1bについて、図面を参照して説明する。図9は、第4の実施形態のハイブリッドリレー1bの内部構成を示す概略回路図であり、図10は、図9のハイブリッドリレー1bにおける各部における状態遷移を示すタイミングチャートである。尚、図9のハイブリッドリレー1bにおいて、図6のハイブリッドリレー1aにおける構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第4の実施形態のハイブリッドリレー1bは、図9に示すように、ハイブリッドリレー1a(図6参照)の構成に、抵抗R7a及びトランジスタTr2aによる直列回路を、発光ダイオードLDのカソード電極に更に接続した構成となる。即ち、発光ダイオードLDのカソード電極と抵抗R7との接続ノードに一端が接続された抵抗R7aの他端に、エミッタ電極が接地されたnpn型のトランジスタTr2aのコレクタ電極が接続される。また、第4の実施形態のハイブリッドリレー1bは、信号処理回路17aの代わりに、トランジスタTr1,Tr2,Tr2aのゲート電極、及び、磁気コイルL1,L2,L4,L5それぞれに電流信号を与える信号処理回路17bを備える。
このように構成されるハイブリッドリレー1bにおいて、発光ダイオードLDに接続される抵抗R7,R7aそれぞれの抵抗値Rr7,Rr7aの関係は、Rr7<Rr7aとなる。また、抵抗R6の抵抗値がRr6であり、発光ダイオードD5の降下電圧がVdであり、トランジスタTr1をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流がIlであるとき、抵抗R7の抵抗値Rr7は、抵抗値Rr6−Vd/Ilとなる。このように抵抗R7,R7aの抵抗値Rr7,Rr7aを設定することにより、トランジスタTr1をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値と、トランジスタTr2をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値とを等しくするとともに、トランジスタTr2aをONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値を小さくすることができる。
以下では、図10のタイミングチャートを参照して、第4の実施形態のハイブリッドリレー1bの動作について説明する。図10のタイミングチャートに示すように、負荷3へ電源投入する際は、第3の実施形態と同様、まず、信号処理回路17bがトランジスタTr1をONされた状態として、磁気コイルL3に駆動電流を供給し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をONされた状態とする。このようにして、磁気コイルL3に十分な駆動電流を与えて接点部S1をONされた状態とした後は、接点部S1を当該ONされた状態で保持するために必要な電流量の駆動電流を、磁気コイルL3に流せばよく、その電流量を低くすることができる。よって、第3の実施形態と異なり、信号処理回路17bは、トランジスタTr1をOFFされた状態とすると同時にトランジスタTr2aをONされた状態とし、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDに、トランジスタTr1を導通状態としたときよりも電流量の小さい駆動電流を供給する。
これにより、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態で、磁気コイルL4に駆動電流が供給されることにより第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がONされた状態になり、その後、半導体スイッチ16のトライアックS4がONされた状態となる。このようにして、交流電源2からの電源が負荷3へ投入されると、信号処理回路17bは、第3の実施形態と同様、磁気コイルL4に駆動電流であるパルス電流を供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をONされた状態にする。その後、半導体スイッチ16における給電路を遮断するために、信号処理回路17bは、トランジスタTr2aをOFFされた状態として、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。その後、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がOFFされた状態になる。
一方、交流電源2による負荷3への電力供給を遮断する際は、第3の実施形態と同様、信号処理回路17bは、まず、トランジスタTr2をONされた状態にして、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに駆動電流を供給する。このようにして、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とすると、次に、磁気コイルL3に流す駆動電流を低減できるので、信号処理回路17bは、トランジスタTr2をOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr2aをONされた状態にする。このように、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに供給する駆動電流を小さくした状態で、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16のトライアックS4のONされた状態をそれぞれ保持した後、信号処理回路17bは、駆動電流であるパルス電流を磁気コイルL5に供給して第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をOFFされた状態とする。
この第3機械式接点スイッチ14の接点部S3を介した給電路を遮断すると、信号処理回路17bは、トランジスタTr2aをOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr1をONされた状態として、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止し、半導体スイッチ16のトライアックS4をOFFされた状態にする。これにより、第3の実施形態と同様、交流電源2による負荷3への電力供給が遮断される。その後、信号処理回路17bは、第3の実施形態と同様、磁気コイルL2に駆動電流を供給することにより第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をOFFされた状態とした後にトランジスタTr1をOFFされた状態として、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をOFFされた状態とする。
このように、第4の実施形態では、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をONされた状態とするときにのみ、磁気コイルL3へ供給する駆動電流の電流量を大きくするとともに、第1機械式設定スイッチ12の接点部S1をONされた状態に保持するときは、磁気コイルL3へ供給する駆動電流の電流量を低くすることができる。よって、第4の実施形態のハイブリッドリレー1bを使用することで、第3の実施形態の場合と比べて、その消費電力を更に低減できる。
<第5の実施形態>
本発明における第5の実施形態となるハイブリッドリレー1cについて、図面を参照して説明する。図11は、第5の実施形態のハイブリッドリレー1cの内部構成を示す概略回路図である。図12は、図11のハイブリッドリレー1cにおける各部における状態遷移を示すタイミングチャートである。なお、図11のハイブリッドリレー1cにおいて、図9のハイブリッドリレーにおける構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第5の実施形態のハイブリッドリレー1cは、図11に示すように、ハイブリッドリレー1b(図9参照)の構成に、抵抗R6a及びトランジスタTr1aによる直列回路を、磁気コイルL3と抵抗R6との接続ノードに更に接続した構成となる。即ち、磁気コイルL3と抵抗R6との接続ノードに抵抗R6aの一端が接続され、抵抗R6aの他端にエミッタ電極が接地されたnpn型のトランジスタTr1aのコレクタ電極が接続される。また、第5の実施形態のハイブリッドリレー1cは、信号処理回路17bの代わりに、トランジスタTr1,Tr1a,Tr2,Tr2aのゲート電極、及び、磁気コイルL1,L2,L4,L5それぞれに電流信号を与える信号処理回路17cを備える。
また、抵抗R6,R6aそれぞれの抵抗値Rr6、Rr6aは、抵抗R7,R7aの抵抗値Rr7,Rr7aとの関係と同様、Rr6<Rr6aとなる。即ち、トランジスタTr1をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値と、トランジスタTr2をONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値とを等しくするとともに、トランジスタTr1aをONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値と、トランジスタTr2aをONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値とを等しくする。トランジスタTr1,Tr2のいずれかをONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値に比べて、トランジスタTr1a,Tr2aのいずれかをONされた状態としたときに磁気コイルL3に流れる電流値を小さくすることができる。
このようなハイブリッドリレー1cの動作について、図12のタイミングチャートを参照して、以下に説明する。図12のタイミングチャートに示すように、負荷3へ電源投入する際は、第4の実施形態と同様、まず、信号処理回路17cがトランジスタTr1をONされた状態として、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をONされた状態とする。その後、信号処理回路17bは、磁気コイルL1に駆動電流を供給することにより第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をONされた状態とする。その後、信号処理回路17cは、トランジスタTr1をONされた状態としたときよりも電流量の小さい駆動電流を供給するために、トランジスタTr1をOFFされた状態とすると同時にトランジスタTr2aをONされた状態として、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態で、半導体スイッチ16のトライアックS4がONされた状態となる。このようにして、交流電源2からの電源が負荷3へ投入されると、信号処理回路17cは、第3の実施形態と同様、磁気コイルL4に駆動電流であるパルス電流を供給して第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をONされた状態とした後、トランジスタTr2aをOFFされた状態として、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。
一方、交流電源2による負荷3への電力供給を遮断する際は、第4の実施形態と同様、信号処理回路17cは、まず、トランジスタTr2をONされた状態として、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とした後、信号処理回路17cは、トランジスタTr2をOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr2aをONされた状態とする。このように、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1及び半導体スイッチ16のトライアックS4がONされた状態となっている間に、信号処理回路17cは、駆動電流であるパルス電流を磁気コイルL5に供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をOFFされた状態とする。
この第3機械式接点スイッチ14の接点部S3を介した給電路を遮断すると、第4の実施形態と異なり、信号処理回路17cは、トランジスタTr2aをOFFされた状態とすると同時に、トランジスタTr1aをONされた状態として、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止し、半導体スイッチ16のトライアックS4をOFFされた状態とする。即ち、交流電源2による負荷3への電力供給を遮断したときにおいても、磁気コイルL3に供給する駆動電流を、トランジスタTr2aをONされた状態としたときと同様、小さい駆動電流とすることができる。よって、第4の実施形態と比べて、その消費電力を更に低減できる。その後、信号処理回路17cは、磁気コイルL2に駆動電流であるパルス電流を供給することにより第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をOFFされた状態とし、その後、トランジスタTr1aをOFFされた状態として、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止し、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1をOFFされた状態にする。
尚、第5の実施形態のハイブリッドリレー1cの構成から、抵抗R7a、及びトランジスタTr2aによる直列回路を省いた構成としてもよい。このように構成した場合、負荷3へ電源投入する際には、第3の実施形態と同様、トランジスタTr1をOFFされた状態とすると同時にトランジスタTr2をONされた状態とする。一方、負荷3への電力供給を遮断する際には、第3の実施形態と同様、トランジスタTr2をONされた状態とした状態で、磁気コイルL5に駆動電流を供給する。
上述の第2〜第5の実施形態それぞれにおけるハイブリッドリレー1a〜1cによると、発光ダイオードLDと、磁気コイルL3とに駆動電流を流しているときに、磁気コイルL1,L2,L4,L5のいずれかに駆動電流を流したとき、その駆動電流の総量が大きくなる。即ち、磁気コイルL1,L2,L4,L5のいずれかに駆動電流を流したとき、ハイブリッドリレー1a〜1cの駆動回路に供給する駆動電流が一時的にピークとなる。そのため、電源線により伝送制御装置と通信を行う制御端末装置が、上述のハイブリッドリレーを複数備えた構成となる場合、複数のハイブリッドリレーそれぞれによる電源投入または電源遮断を行うときに、それぞれのハイブリッドリレーを同一タイミングで動作させると、このピーク時の駆動電流が制御端末装置に供給されることとなる。よって、複数のハイブリッドリレーそれぞれによる電源投入または電源遮断を行う場合、諸定数(例えば、2つ)のハイブリッドリレー毎に同一タイミングで動作させるようにすることで、ピークとなる駆動電流を分散させることができ、制御端末装置への供給電圧の極端な電圧降下を抑制できる。
<第6の実施形態>
本発明における第6の実施形態となるハイブリッドリレー1dについて、図面を参照して説明する。図13は、第6の実施形態のハイブリッドリレー1dの内部構成を示す概略回路図であり、図14は、図13のハイブリッドリレー1dにおける各部における状態遷移を示すタイミングチャートである。尚、図13のハイブリッドリレー1dにおいて、図1のハイブリッドリレー1における構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第6の実施形態のハイブリッドリレー1dは、図13に示すように、ハイブリッドリレー1(図1参照)における第1機械式接点スイッチ12の代わりに、第2機械式接点スイッチ13と同様のラッチング型となる第1機械式接点スイッチ12aを備える。即ち、第1機械式接点スイッチ12aは、接点部S1をONされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL3aと、接点部S1をOFFされた状態に切り換えるための電磁力を発生する磁気コイルL3bと、を備える。この磁気コイルL3a,L3bは直列接続され、その接続ノードが接地される。よって、第6の実施形態では、磁気コイルL3a,L3bが、第1機械式接点スイッチ12aの駆動部を構成する。
更に、磁気コイルL3a,L3bを備えた第1機械式接点スイッチ12aは、第2機械式接点スイッチ13におけるダイオードD1〜D4に相当するダイオードD10〜D13を備える。即ち、そのアノード電極が接地されたダイオードD10,D11のそれぞれが、磁気コイルL3a,L3bそれぞれに並列接続されるとともに、そのアノード電極が信号処理回路17dに接続されたダイオードD12,D13それぞれのカソード電極が、ダイオードD10,D11それぞれのカソード電極に接続される。その他の構成については、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と同様の構成となるので、その詳細については省略する。
ハイブリッドリレー1dは、第1機械式接点スイッチ12aの接点部S1、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3、及び、半導体スイッチ16のトライアックS4それぞれにおけるON/OFFの切換タイミングが、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と同様となる。即ち、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と同一構成となる第2機械式接点スイッチ13、第3機械式接点スイッチ14、及び半導体スイッチ16それぞれにおける、磁気コイルL1,L2,L4,L5及び発光ダイオードLDについては、信号処理回路17bから駆動電流が供給されるタイミングが、第1の実施形態と同様となる。よって、以下では、ハイブリッドリレー1dの動作について、第1機械式接点スイッチ12aのONされた状態又はOFFされた状態を中心に、図14のタイミングチャートを参照して説明する。
図14のタイミングチャートに示すように、負荷3へ電源投入する際は、第1機械式接点スイッチ12aの接点部S1をONされた状態にするために、信号処理回路17dから磁気コイルL3aに駆動電流であるパルス電流が供給される。これにより、第1機械式接点スイッチ12aの接点部S1がONされた状態に切り換わると、磁気コイルL3aに駆動電流を供給してから時間t1が経過するまでに、信号処理回路17dは、磁気コイルL1に駆動電流を供給することにより、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をONされた状態とした後であって且つ磁気コイルL3aに駆動電流を供給してから時間t1が経過すると、発光ダイオードLDに駆動電流が供給される。よって、第1の実施形態のハイブリッドリレー1と同様、第2機械式接点スイッチ13がONされた状態となった後に、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときに、半導体スイッチ16内で、フォトトライアックS4zのONされた状態に連動して、トライアックS4がONされた状態となり、半導体スイッチ16が全体的にONされた状態とされる。
このようにして、第2機械式接点スイッチ13と半導体スイッチ16とがそれぞれONされた状態となって、交流電源2による負荷3への電力供給が開始すると、信号処理回路17dが磁気コイルL4に、駆動電流であるパルス電流を供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をONされた状態とする。第3機械式接点スイッチ14がONされた状態に切り換わると、信号処理回路17dは、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。これにより、半導体スイッチ16では、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったとき、トライアックS4及びフォトトライアックS4zのそれぞれがOFFされた状態になり、半導体スイッチ16が全体的にOFFされた状態となる。
また、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止してから時間t2が経過すると、信号処理回路17dは、第1機械式接点スイッチ12aの磁気コイルL3bに対して、パルス電流となる駆動電流を供給する。これにより、第1機械式接点スイッチ12aでは、接点部S1がOFFされた状態に切り換わる。このように動作することにより、第1機械式接点スイッチ12aをONされた状態としてからOFFされた状態とするまでの間に、半導体スイッチ16をONされた状態にすることができる。また、信号処理回路17dは、第1機械式接点スイッチ12aのONされた状態又はOFFされた状態に切り換えるときのみ、磁気コイルL3a,L3bに駆動電流を供給する。即ち、半導体スイッチ16の発光ダイオードLDへ駆動電流を供給するタイミングと、磁気コイルL3a,L3bに駆動電流を供給するタイミングとを、異なるタイミングとしている。
負荷3への電力供給を遮断する際においても、信号処理回路17dは、第1機械式接点スイッチ12aのONされた状態又はOFFされた状態を切り換えるときのみ、磁気コイルL3a,L3bに、パルス電流となる駆動電流を供給する。即ち、まず、磁気コイルL3aに駆動電流となるパルス電流を供給して、第1機械式接点スイッチ12aの接点部S1をONされた状態とした後、発光ダイオードLDに駆動電流を供給して、半導体スイッチ16のトライアックS4をONされた状態とする。その後、磁気コイルL5に駆動電流となるパルス電流を供給して、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3をOFFされた状態とすると、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止して、半導体スイッチ16のトライアックS4をOFFされた状態とする。その後、信号処理回路17dは、磁気コイルL2に駆動電流であるパルス電流を供給することにより第2機械式接点スイッチ13の接点部S2をOFFされた状態とし、磁気コイルL3bに駆動電流であるパルス電流を供給して、第1機械式接点スイッチ12aの接点部S1をOFFされた状態とする。
第6の実施形態のように、第1機械式接点スイッチ12aをラッチング型の機械式接点スイッチとすることで、駆動コイルL3a,L3bにパルス電流となる駆動電流を供給するだけで、接点部S1のONされた状態又はOFFされた状態に切り換えることができる。よって、駆動コイルL3a,L3b及び発光ダイオードLDのそれぞれに対して、信号処理回路17dより同時に駆動電流が流れることがない。よって、常時励磁型の第1機械式接点スイッチ12を備えた第1の実施形態のハイブリッドリレー1と比べて、小型化に対する妨げはあるものの、信号処理回路17dより供給する駆動電流量を低減できるため、ハイブリッドリレー1dにおける消費電力をも低減できる。
尚、上述の各実施形態において、第1機械式接点スイッチ12が、主接点となる接点部S1と連動して開閉動作を行う容量の小さい補助接点を有するものとし、補助接点の開閉を信号処理回路17,17a〜17dそれぞれが確認することで、接点部S1の開けられた状態又は閉じられた状態を検知するものとしてもよい。この補助接点を有する第1機械式接点スイッチ12を備える構成とすることにより、接点部S1の開けられた状態又は閉じられた状態を確実に検出して、第1機械式接点スイッチ12,12aの接点部S1及び半導体スイッチ16それぞれの遮断動作に移行させることができる。
<各実施形態に適用可能な変形例>
また、前述した各実施形態に対して適用可能な変形例について図15〜図17を参照して説明する。なお、図15は、図1に示した第1の実施形態のハイブリッドリレー1に適用した変形例のハイブリッドリレー1eの概略回路図である。但し、後述の説明は、第1の実施形態のハイブリッドリレー1に限定的に適用可能ではなく、前述した全ての各実施形態のハイブリッドリレー1,1a〜1dに適用可能である。
図15に示すハイブリッドリレー1eでは、抵抗R4は、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2の他端と第3機械式接点スイッチ14の接点部S3の他端との接続ノードに一端が接続され、且つ、トライアックS4のゲート電極に他端が接続された抵抗R4が、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14に対して並列接続されている。その他の構成は図1に示すハイブリッドリレー1と同様であるため、当該構成の内容に関する説明は省略する。
このように構成されるハイブリッドリレー1eにおける交流電源2から負荷3への電源投入及び遮断それぞれを行うときの動作について、図16及び図17のタイミングチャートを参照して以下に説明する。図16は、図15に示したハイブリッドリレー1eにおける各部の状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。図17は、図15に示したハイブリッドリレー1eにおける各部の電源投入時における状態と交流電源からの交流電圧との関係を示すタイミングチャートである。
まず、交流電源2から負荷3へ電源投入することが信号処理回路17eに指示された際の、ハイブリッドリレー1e内の各部の動作について説明する。図16のタイミングチャートに示すように、信号処理回路17eより磁気コイルL3に対して駆動電流が供給されると、磁気コイルL3により電磁吸引力が発生し、この磁気コイルL3も含む第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態となる。なお、磁気コイルL3と並列接続されたダイオードD5は、磁気コイルL3を流れる電流が逆流することを防止するための逆流防止ダイオードとして機能する。
第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態になった後、信号処理回路17eは、駆動電流となるパルス電流を、ダイオードD3を介して磁気コイルL1に与える。このとき、第2機械式接点スイッチ13では、ダイオードD1が磁気コイルL1へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL2へ電流が流れることをダイオードD2が防止する。これにより、磁気コイルL1にパルス電流が流れて、一時的に電磁吸引力が働き、第2機械式接点スイッチ13における接点部S2がONされた状態となる。なお、第2機械式接点スイッチ13はラッチング型であるため、図16に示すように、磁気コイルL1への電流供給がなくなった後も、接点部S2はONされた状態で保持される。
第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がONされた状態になった直後、交流電源2からの交流電流のうち抵抗R2及び抵抗R4により分流された一部の電流が抵抗R4を介してフォトトライアックS4のゲート電極に供給され、トライアックS4がONされた状態となる。これにより、負荷3が、ハイブリッドリレー1内の第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16aを介して、交流電源2と電気的に接続されるため、負荷3には、交流電源2による電源が投入される。
このようにして、半導体スイッチ16a内のトライアックS4がONされた状態とし、交流電源2からの電源が負荷3へ投入された後、信号処理回路17eは、駆動電流となるパルス電流を、ダイオードD8を介して磁気コイルL4に与える。このとき、第3機械式接点スイッチ14では、ダイオードD6が磁気コイルL4へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL5へ電流が流れることをダイオードD9が防止する。これにより、磁気コイルL4にパルス電流が流れて、一時的に電磁吸引力が働き、第3機械式接点スイッチ14における接点部S3がONされた状態となる。なお、第3機械式接点スイッチ14はラッチング型であるため、図16に示すように、磁気コイルL4への電流供給がなくなった後も、接点部S3がONされた状態で保持される。
この後、信号処理回路17aは、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を開始する。これにより、フォトトライアックカプラ15では、発光ダイオードLDが発光し、当該発光による光信号をフォトトライアックS4zが受光する。このとき、フォトトライアックS4zはゼロクロス点孤機能を備え、図17のタイミングチャートに示すように、交流電源2からの交流電圧が基準電圧である中心電圧となったことを検出したときに、フォトトライアックS4zがONされた状態となる。但し、フォトトライアックS4zがONされた状態のときには、トライアックS4は、既にONされた状態である。
このように、第1機械式接点スイッチ12、第2機械式接点スイッチ13、半導体スイッチ16a、及び第3機械式接点スイッチ14の順序に従って、各々のスイッチがONされた状態になる。このため、ハイブリッドリレー1eは、第3機械式接点スイッチ14の接点部S3へ突入電流が流れることを防止することができる。よって、第3機械式接点スイッチ14は、接点溶着の要因となる突入電流に基づく接点のバウンスを防止することができる。
これらの第2機械式接点スイッチ13の接点部S2及び第3機械式接点スイッチ14の接点部S3を介した交流電源2による負荷3への電力供給が開始された後、半導体スイッチ16aにおける給電路を遮断するために、信号処理回路17eは、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。このため、発光ダイオードLDの発光動作が停止され、フォトトライアックS4zへの光信号の照射が停止され、フォトトライアックS4zは、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときに動作を停止し、OFFされた状態となる。
フォトトライアックS4zがOFFされた状態になると、トライアックS4のゲート電極へ電流供給がなくなるためトライアックS4がOFFされた状態となり、半導体スイッチ16aが全体的にOFFされた状態となる。この半導体スイッチ16aがOFFされた状態となった後、信号処理回路17eは、第1機械式接点スイッチ12の磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止する。即ち、磁気コイルL3への電流供給が停止されるため、常時励磁型の第1機械式接点スイッチ12は、磁気コイルL3による電磁吸引力がなくなって、接点部S1がOFFされた状態になる。これにより、半導体スイッチ16aがOFFされた状態になった後に第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態となるため、第1機械式接点スイッチ12においては、電流が流れていない状態で当該第1機械式接点スイッチ12の接点部S1の接点がOFFされる。よって、第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態とするときに、接点部S1の接点間におけるアークの発生が防止できるため、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着を防止することができる。
このようにして、交流電源2からの負荷3への電源投入が行われるとき、信号処理回路17aは、磁気コイルL3及び発光ダイオードLDのそれぞれに駆動電流を供給するタイミングを、図17のようにすることにより、前述したように、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着等による接点消耗を防止できる。即ち、1周期Tの交流電圧が交流電源2より供給されるとき、発光ダイオードLDへ駆動電流の供給を停止してから磁気コイルL3へ駆動電流の供給を停止するまでの時間t2を、交流電圧の半周期T/2よりも長い時間とする。
これにより、フォトトライアックカプラ15におけるフォトトライアックS4zをOFFされた状態とすることにより、トライアックS4を完全にOFFされた状態にした後に、第1機械式接点スイッチ12をOFFされた状態とすることができる。また、フォトトライアックカプラ15におけるフォトトライアックS4zがゼロクロス点呼機能を備えることにより、トライアックS4をONされた状態としたときの突入電流のバラツキを抑制できる。しかし、磁気コイルL3へ駆動電流の供給を開始してから発光ダイオードLDへ駆動電流の供給を開始するまでの時間t1を、交流電圧の半周期T/2よりも長い時間として、突入電流のバラツキをより確実に抑制できるものとしてもよい。また、第1機械式接点スイッチ12の接点部S1がONされた状態になった後、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がONされた状態になった後では、抵抗R4を介して交流電源2からの交流電流の一部が半導体スイッチ16aのトライアックS4のゲート電極に供給されて当該トライアックS4はONされた状態になる。このため、ハイブリッドリレー1eは、第1の実施形態のハイブリッドリレー1に比べて、信号処理回路17eによる発光ダイオードLDの駆動電流量を低減することができる。
次に、図16において、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2及び第3機械式接点スイッチ14の接点部S3が共にONされた状態であり、交流電源2より負荷3へ電力供給がなされているときに、信号処理回路17eに対して、負荷3への電源遮断が指示されると、図16のタイミングチャートに示すように、信号処理回路17eが、磁気コイルL3へ駆動電流となるパルス電流を供給する。これにより、負荷3への電源投入時と同様、第1機械式接点スイッチ12における接点部S1がONされた状態となる。その後、磁気コイルL3への駆動電流の供給時から時間t1が経過すると、信号処理回路17eが発光ダイオードLDに駆動電流を供給する。この発光ダイオードLDが発光して光信号をフォトトライアックS4zに照射するため、フォトトライアックS4zが、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときにONされた状態になり、同様にトライアックS4がONされた状態になり、半導体スイッチ16aが全体的にONされた状態となる。
これにより、交流電源2から負荷3への給電路として、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14を介した給電路と、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16aを介した給電路とが、ハイブリッドリレー1内に形成される。即ち、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16aを介した給電路が確保されたため、負荷3へ流れる電流の一部が、第1機械式接点スイッチ12及び半導体スイッチ16aに流れて、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14に流れる電流量を低減することができる。また、第1機械式接点スイッチ12がONされた状態としてから半導体スイッチ16aがONされた状態になるため、接点部S1においてアークの発生を回避できるため、第1機械式接点スイッチ12における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。
その後、信号処理回路17eは、ダイオードD4を介して駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL2に与えて磁気コイルL2を一時的に励磁させることにより、接点部S2がOFFされた状態に切り換える。このとき、接点部S2は、電流量が小さくなった状態で接点がOFFされるため、アークの発生を抑制することができ、第2機械式接点スイッチ13における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。また、第2機械式接点スイッチ13では、ダイオードD2が磁気コイルL2へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL1へ電流が流れることをダイオードD3が防止する。
このようにして、第2機械式接点スイッチ14における接点部S2がOFFされた状態になると、まず、信号処理回路17eは、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止する。これにより、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がOFFされたことにより抵抗R4を介してトライアックS4のゲート電極に電流が流れなくなると共に、フォトトライアックS4zに対する発光ダイオードLDからの光信号の照射がなくなるため、交流電源2からの交流電圧が中心電圧となったときに、フォトトライアックS4zがOFFされた状態となる。このフォトトライアックS4zのOFFされた状態に連動して、トライアックS4がOFFされた状態となるため、半導体スイッチ16aが全体的にOFFされた状態となる。よって、交流電源2から負荷3への給電路が遮断されるため、交流電源2による負荷3への電力供給が停止される。
その後、信号処理回路17eは、ダイオードD9を介して駆動電流となるパルス電流を磁気コイルL5に与えて磁気コイルL5を一時的に励磁させることにより、接点部S3がOFFされた状態に切り換える。このとき、接点部S3は、第2機械式接点スイッチ13の接点部S2がOFFされた状態になったことにより電流が全く流れていない状態で接点がOFFされた状態になるため、アークの発生をなくすことができ、第3機械式接点スイッチ13における接点溶着等による接点消耗を防止することができる。また、第3機械式接点スイッチ13では、ダイオードD7が磁気コイルL5へ流れる電流が逆流することを防ぐ逆流防止ダイオードとして機能し、磁気コイルL4へ電流が流れることをダイオードD8が防止する。
また、信号処理回路17eは、発光ダイオードLDへの駆動電流の供給を停止してからしばらく経過すると、磁気コイルL3への駆動電流の供給を停止する。即ち、半導体スイッチ16aが全体的にOFFされた状態となった後に、磁気コイルL3による励磁が停止されて接点部S1の接点がOFFされたことにより、第1機械式接点スイッチ12がOFFされた状態になる。このとき、既に半導体スイッチ16aが全体的にOFFされた状態となり、第1機械式接点スイッチ12に電流が流れることがないため、接点部S1の接点がOFFされた状態になった場合でもアークの発生がないため、当該第1機械式接点スイッチ12の接点消耗を防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明のハイブリッドリレー1,1a〜1eはかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然にこの発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、前述した各実施形態の第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14はラッチング型のスイッチである旨を説明したが、常時励磁型のスイッチでも良い。この場合には、第2機械式接点スイッチ13及び第3機械式接点スイッチ14の磁気コイルには、負荷3への電力供給がなされている間継続して信号処理回路から所定の電流が供給される必要があるため、ハイブリッドリレーにおける駆動電流量の総量は増加するが、ハイブリッドリレーの構造を小型化することができる。