従来より、接続される負荷の変動に応じて通常動作制御と間欠動作制御とを切り替えるスイッチング電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。
[スイッチング電源装置100の構成]
図7は、従来例に係るスイッチング電源装置100の回路図である。スイッチング電源装置100は、トランスTと、トランスTの1次側に設けられた1次側回路110と、トランスTの2次側に設けられた2次側回路120と、を備える。
[1次側回路110の構成]
図8は、1次側回路110の回路図であり、図9は、図8に示す1次側回路110の一部を示す回路図である。1次側回路110は、抵抗R1、R2、R3、R4、R5と、キャパシタC1、C2、C3、C4、C5、C6と、ダイオードD1、D2、D3、D4と、ツェナーダイオードZD1、ZD2と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q1と、フォトトランジスタPC11、PC12と、制御部11と、を備える。
制御部11には、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の7つの端子が設けられている。この制御部11は、スイッチ(図示省略)を備えており、スイッチの一端には端子P7が接続され、スイッチの他端には端子P5が接続される。
トランスTの1次巻線T1の一端には、入力端子IN1および端子P6が接続されるとともに、キャパシタC1を介して基準電位端子GND1が接続される。基準電位端子GND1には、端子P3が接続されるとともに、抵抗R1を介して端子P5が接続される。トランスTの1次巻線T1の他端には、端子P7が接続されるとともに、キャパシタC2を介して端子P5が接続される。
トランスTの制御巻線T2の一端には、端子P3を介して基準電位端子GND1が接続される。トランスTの制御巻線T2の他端には、キャパシタC3を介して端子P3に接続された端子P1と、ダイオードD1のアノードと、ツェナーダイオードZD1のアノードと、が接続される。ダイオードD1のカソードには、キャパシタC4を介して端子P3に接続された端子P4が接続される。
ツェナーダイオードZD1のカソードには、抵抗R2の一端が接続される。抵抗R2の他端には、ダイオードD2のカソードが接続されるとともに、キャパシタC5を介して端子P3が接続される。ダイオードD2のアノードには、端子P2が接続されるとともに、抵抗R3を介して端子P3が接続される。端子P2には、フォトトランジスタPC11のコレクタと、キャパシタC6の一方の電極と、ツェナーダイオードZD2のカソードと、が接続される。フォトトランジスタPC11のエミッタと、キャパシタC6の他方の電極と、ツェナーダイオードZD2のアノードとには、端子P3が接続される。
端子P4には、抵抗R5の一端が接続される。抵抗R5の他端には、フォトトランジスタPC12のコレクタと、ダイオードD4のアノードと、が接続される。ダイオードD4のカソードには、スイッチ素子Q1のベースが接続されるとともに、抵抗R4を介して端子P3が接続される。フォトトランジスタPC12のエミッタと、スイッチ素子Q1のエミッタとには、端子P3が接続される。スイッチ素子Q1のコレクタには、ダイオードD3のカソードが接続され、ダイオードD3のアノードには、端子P1が接続される。
[2次側回路120の構成]
図10は、2次側回路120の回路図である。2次側回路120は、抵抗R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19と、キャパシタC11、C12と、ダイオードD11と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q11と、フォトトランジスタPC11と対に設けられたフォトダイオードPC21と、フォトトランジスタPC12と対に設けられたフォトダイオードPC22と、シャントレギュレータTLと、を備える。
トランスTの2次巻線T3の一端には、基準電位端子GND2、GND3と、基準電位源GNDと、が接続される。トランスTの2次巻線T3の他端には、ダイオードD11のアノードが接続される。ダイオードD11のカソードには、キャパシタC11を介して基準電位端子GND2が接続されるとともに、出力端子OUTと、抵抗R11、R12、R13のそれぞれの一端と、が接続される。
抵抗R11の他端には、フォトダイオードPC21のアノードと、抵抗R14の一端と、が接続される。フォトダイオードPC21のカソードと、抵抗R14の他端とには、シャントレギュレータTLのカソードが接続される。シャントレギュレータTLのアノードには、基準電位源GNDが接続される。
抵抗R13の他端には、シャントレギュレータTLのリファレンスが接続されるとともに、抵抗R17を介して基準電位源GNDと、抵抗R16およびキャパシタC12を介してシャントレギュレータTLのカソードと、が接続される。
抵抗R12の他端には、フォトダイオードPC22のアノードと、抵抗R15の一端と、が接続される。フォトダイオードPC22のカソードと、抵抗R15の他端とには、スイッチ素子Q11のコレクタが接続される。スイッチ素子Q11のエミッタには、基準電位源GNDが接続される。スイッチ素子Q11のベースには、抵抗R18を介して基準電位源GNDが接続されるとともに、抵抗R19を介して入力端子IN2が接続される。
[スイッチング電源装置100の動作]
以上の構成を備えるスイッチング電源装置100は、端子P5と端子P7との間に設けられた上述のスイッチ(図示省略)をオンオフさせることで、出力端子OUTから電力を出力する。
具体的には、まず、入力端子IN1に、図示しない入力源から電流を供給している状態で、制御部11により、上述のスイッチをオン状態にする。すると、入力端子IN1に供給された電流が、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れ、トランスTにエネルギーが蓄積される。
次に、上述のスイッチをオン状態にしてから所定時間が経過した後に、制御部11により、上述のスイッチをオフ状態にする。すると、上述のスイッチがオン状態であった期間にトランスTに蓄積されたエネルギーにより、トランスTの2次巻線T3には、一端から他端に電流を流そうとする起電力が生じる。トランスTの2次巻線T3に生じた起電力は、ダイオードD11およびキャパシタC11により整流および平滑化され、出力端子OUTから出力される。
<通常動作制御>
ここで、スイッチング電源装置100は、基準電位源GNDより高電位であるHレベル電圧が入力端子IN2に入力されると、制御部11により通常動作制御を行う。通常動作制御では、上述のスイッチのオンオフが所定の周期で行われる。
具体的には、入力端子IN2にHレベル電圧が入力されると、図10に示すように、スイッチ素子Q11がオン状態となる。すると、出力端子OUTと基準電位源GNDとの電位差により、フォトダイオードPC22に電流が流れ、フォトダイオードPC22が光を出射する。このため、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オン状態となる。
フォトトランジスタPC12がオン状態になると、図9に示すように、フォトトランジスタPC12のコレクタは、端子P3と導通する。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタは、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となり、フォトトランジスタPC12のコレクタとエミッタとの電位差は、略「0」となる。ここで、フォトトランジスタPC12には、ダイオードD4および抵抗R4で構成される直列接続部が並列接続される。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタとエミッタとの電位差が略「0」になると、上述の直列接続部の両端の電位差が略「0」となり、抵抗R4の両端の電位差も略「0」となる。これによれば、抵抗R4の両端に接続されたスイッチ素子Q1のベースとエミッタとの間の電位差が略「0」となり、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、端子P1と端子P3とは、絶縁される。ここで、端子P1は、図8に示すように、トランスTの制御巻線T2の他端に接続される。このため、端子P1と端子P3とが絶縁されると、端子P1の電圧は、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧に略等しくなり、基準電位端子GND1より高電位となる。
端子P1に、基準電位端子GND1より高電位の電圧が入力されると、制御部11は、上述のスイッチを所定の周期でオンオフさせる。これによれば、スイッチング電源装置100は、通常動作制御を行うこととなる。
<間欠動作制御>
一方、スイッチング電源装置100は、基準電位源GNDと略同電位であるLレベル電圧が入力端子IN2に入力されると、制御部11により間欠動作制御を行う。間欠動作制御では、上述のスイッチが所定の周期でオンオフする発振期間と、上述のスイッチのオンオフが停止する停止期間とが、出力端子OUTから出力される電圧に応じて繰り返される。
具体的には、入力端子IN2にLレベル電圧が入力されると、図10に示すように、スイッチ素子Q11がオフ状態となる。このため、出力端子OUTが基準電位源GNDより高電位であっても、フォトダイオードPC22には電流が流れず、フォトダイオードPC22は光を出射しない。したがって、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オフ状態となる。
フォトトランジスタPC12がオフ状態になると、図9に示すように、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧は、端子P4の電圧から、抵抗R5において降下する電圧を差し引いたものに等しくなる。ここで、端子P4は、図8に示すように、ダイオードD1を介してトランスTの制御巻線T2の他端に接続されている。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧は、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧が上昇するに従って上昇し、端子P4からは、抵抗R5、ダイオードD4、および抵抗R4を介して端子P3に電流が流れ、端子P4の両端に電位差が生じる。そして、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧が所定の電圧になり、抵抗R4の両端の電位差が所定値になると、抵抗R4の両端にベースおよびエミッタが接続されたスイッチ素子Q1は、オン状態になる。
スイッチ素子Q1がオン状態になると、端子P1は、ダイオードD3およびオン状態のスイッチ素子Q1を介して、端子P3と導通する。このため、端子P1は、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となる。
端子P1に、基準電位端子GND1と略同電位の電圧が入力されると、制御部11は、発振期間と停止期間とを、出力端子OUTから出力される電圧に応じて繰り返す。これによれば、スイッチング電源装置100は、間欠動作制御を行うこととなる。
<発振期間および停止期間>
以下に、間欠動作制御における発振期間および停止期間について、説明する。
図10に示すように、出力端子OUTから出力される電圧は、抵抗R13と抵抗R17とで分圧され、シャントレギュレータTLのリファレンスに印加される。このため、シャントレギュレータTLのリファレンスの電圧は、出力端子OUTから出力される電圧が上昇するに従って上昇する。そして、出力端子OUTから出力される電圧が予め定めた値まで上昇すると、シャントレギュレータTLがオン状態となる。
シャントレギュレータTLがオン状態になると、出力端子OUTと基準電位源GNDとの電位差により、フォトダイオードPC21に電流が流れ、フォトダイオードPC21が光を出射する。このため、フォトダイオードPC21と対に設けられたフォトトランジスタPC11は、オン状態となる。
フォトトランジスタPC11がオン状態になると、図9に示すように、端子P2は、オン状態のフォトトランジスタPC11を介して端子P3と導通する。このため、端子P2は、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となる。
端子P2に、基準電位端子GND1と略同電位の電圧が入力されると、制御部11は、上述のスイッチのオンオフを停止させる。これによれば、上述の停止期間が開始されることとなる。
停止期間では、出力端子OUTから出力される電圧は、時間が経過するに従って低下する。そして、出力端子OUTから出力される電圧が予め定めた値より低くなると、図10に示すように、シャントレギュレータTLがオフ状態となる。
シャントレギュレータTLがオフ状態になると、出力端子OUTが基準電位源GNDより高電位であっても、フォトダイオードPC21には電流が流れなくなり、フォトダイオードPC21が光を出射しなくなる。このため、フォトダイオードPC21と対に設けられたフォトトランジスタPC11は、オフ状態となる。
フォトトランジスタPC11がオフ状態になると、図9に示すように、端子P2と端子P3とは、絶縁される。ここで、端子P2は、図8に示すように、ダイオードD2、抵抗R2、およびツェナーダイオードZD1を介して、トランスTの制御巻線T2の他端に接続される。このため、端子P2と端子P3とが絶縁されると、端子P2の電圧は、トランスTの制御巻線T2の電圧に応じて変動し、基準電位端子GND1より高電位となる。
端子P2に、基準電位端子GND1より高電位の電圧が入力されると、制御部11は、上述のスイッチのオンオフを所定の周期で行う。これによれば、上述の発振期間が開始されることとなる。
上述のスイッチング電源装置100では、発振期間において、出力端子OUTに接続される負荷が軽くなるに従って、出力端子OUTから出力される電圧が高くなる。そして、出力端子OUTから出力される電圧が予め定めた値まで上昇して、シャントレギュレータTLがオン状態となると、上述のように停止期間となる。これによれば、出力端子OUTに接続される負荷が微少である期間では、上述のスイッチをオフ状態にして、スイッチング電源装置100の消費電力を削減できる。
このような従来のスイッチング電源装置では、接続される負荷が微少である期間における消費電力をさらに低減することが要請されていた。
上述の課題を鑑み、本発明は、微少負荷時における消費電力を削減することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、トランス(例えば、図7のトランスTに相当)と、前記トランスの1次巻線(例えば、図7のトランスTの1次巻線T1に相当)に直列接続されたスイッチ(例えば、図1の制御部11の端子P5と端子P7との間に設けられたスイッチに相当)と、第1端子(例えば、図5の端子P4に相当)および第2端子(例えば、図5の端子P2に相当)を有し、当該第2端子の電圧に応じて前記スイッチのオンオフを制御する制御手段(例えば、図1の制御部11に相当)と、前記第1端子の電圧が第1閾値以上になると、前記第2端子の電圧を第1電圧(例えば、図5の端子P3の電圧に相当)にする停止制御手段(例えば、図5のツェナーダイオードZD4およびスイッチ素子Q2に相当)と、を備え、前記第1端子の電圧は、前記トランスの制御巻線(例えば、図7のトランスTの制御巻線T2に相当)の電圧が上昇するに従って上昇し、前記制御手段は、前記第2端子の電圧が前記第1電圧になると、前記スイッチをオフ状態にさせる間接制御を行うことを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100では、出力端子OUTから出力される電圧に基づいて、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLと、1次側回路110に設けられたフォトトランジスタPC11や制御部11と、を動作させて、停止期間にしていた。このため、停止期間においては、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLが動作し、これらフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLに電流が流れ、電力が消費されていた。
そこで、この発明によれば、スイッチング電源装置に、トランスと、トランスの1次巻線に直列接続されたスイッチと、第1端子および第2端子を有する制御手段と、停止制御手段と、を設けた。そして、第1端子の電圧は、トランスの制御巻線の電圧が上昇するに従って上昇するものとした。また、第1端子の電圧が第1閾値以上になると、停止制御手段により第2端子の電圧を第1電圧にし、第2端子の電圧が第1電圧になると、制御手段によりスイッチをオフ状態にさせる間接制御を行うこととした。
このため、本発明に係るスイッチング電源装置では、トランスの制御巻線の電圧に基づいて、制御手段および停止制御手段を動作させて、スイッチをオフ状態にする。すなわち、トランスの2次側に設けられる回路を動作させることなく、スイッチング電源装置に接続される負荷が微少である期間において、スイッチをオフ状態にすることができる。よって、トランスの2次側に設けられた2次側回路120を動作させないとスイッチをオフ状態にすることができないスイッチング電源装置100と比べて、スイッチング電源装置に接続される負荷が微少である期間における消費電力を削減できる。
(2)本発明は、(1)のスイッチング電源装置について、前記制御手段は、第3端子(例えば、図4の端子P1に相当)をさらに有し、前記第3端子の電圧が第2電圧(例えば、図4の端子P3の電圧に相当)になると、前記スイッチをオンオフさせる発振期間と、前記スイッチのオンオフを停止させる停止期間と、を繰り返す間欠動作制御を行い、前記第3端子と、前記第2電圧を出力する第2電圧出力手段(例えば、図4の端子P3や図1の基準電位端子GND1に相当)と、の間に直列接続された第1スイッチ素子(例えば、図4のスイッチ素子Q1に相当)と、前記第1端子と、前記第1スイッチ素子の制御端子と、の間に直列接続された第1抵抗(例えば、図4の抵抗R5に相当)および第2抵抗(例えば、図4の抵抗R9に相当)と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100では、図8に示したように、スイッチ素子Q1のベースには、抵抗R5を介して、端子P4から電流が流れる。
これに対して、この発明によれば、制御手段は、第3端子をさらに有し、第3端子の電圧が第2電圧になると、スイッチをオンオフさせる発振期間と、スイッチのオンオフを停止させる停止期間と、を繰り返す間欠動作制御を行うこととした。そして、スイッチング電源装置に、第1スイッチ素子、第1抵抗、および第2抵抗を設け、第1スイッチ素子を、第3端子と第2電圧を出力する第2電圧出力手段との間に直列接続し、第1抵抗および第2抵抗を、第1端子と第1スイッチ素子の制御端子との間に直列接続した。
このため、上述のスイッチ素子Q1に相当する第1スイッチ素子の制御端子には、上述の抵抗R5に相当する第1抵抗と、第2抵抗と、を介して、第1端子から電流が流れる。したがって、第2抵抗が接続されている分だけ、第1スイッチ素子の制御端子に流れる電流は、スイッチング電源装置100が備えるスイッチ素子Q1のベース電流より少なくなる。よって、スイッチング電源装置の消費電力をさらに削減できる。
(3)本発明は、トランス(例えば、図7のトランスTに相当)と、前記トランスの1次巻線(例えば、図7のトランスTの1次巻線T1に相当)に直列接続されたスイッチ(例えば、図1の制御部11の端子P5と端子P7との間に設けられたスイッチに相当)と、第1端子(例えば、図6の端子P4に相当)、第2端子(例えば、図6の端子P2に相当)、および第3端子(例えば、図2の端子P1に相当)を有し、当該第3端子の電圧が第2電圧(例えば、図2の端子P3の電圧に相当)になると、前記スイッチをオンオフさせる発振期間と、前記スイッチのオンオフを停止させる停止期間と、を繰り返す間欠動作制御を行い、当該第2端子の電圧が第1電圧(例えば、図6の端子P3の電圧に相当)になると前記スイッチをオフ状態にさせる間接制御を行う制御手段(例えば、図1の制御部11に相当)と、前記制御手段により間欠動作制御が行われている期間に、前記第1端子の電圧が第2閾値以上かつ第3閾値以下になると、前記第2端子の電圧を前記第1電圧にする停止制御手段(例えば、図6のツェナーダイオードZD3およびスイッチ素子Q2、Q3に相当)と、を備え、前記第1端子の電圧は、前記トランスの制御巻線(例えば、図7のトランスTの制御巻線T2に相当)の電圧が上昇するに従って上昇することを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100では、出力端子OUTから出力される電圧に基づいて、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLと、1次側回路110に設けられたフォトトランジスタPC11や制御部11と、を動作させて、停止期間にしていた。このため、停止期間においては、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLが動作し、これらフォトダイオードPC21やシャントレギュレータTLに電流が流れ、電力が消費されていた。
そこで、この発明によれば、スイッチング電源装置に、トランスと、トランスの1次巻線に直列接続されたスイッチと、第1端子、第2端子、および第3端子を有する制御手段と、停止制御手段と、を設けた。そして、第1端子の電圧は、トランスの制御巻線の電圧が上昇するに従って上昇するものとした。また、制御手段により間欠動作制御が行われている期間に、第1端子の電圧が第2閾値以上かつ第3閾値以下になると、停止制御手段により第2端子の電圧を第1電圧にし、第2端子の電圧が第1電圧になると、制御手段によりスイッチをオフ状態にさせる間接制御を行うこととした。
このため、本発明に係るスイッチング電源装置では、間欠動作制御が行われている期間に、トランスの制御巻線の電圧に基づいて、制御手段および停止制御手段を動作させて、スイッチをオフ状態にする。すなわち、トランスの2次側に設けられる回路を動作させることなく、スイッチング電源装置に接続される負荷が微少である期間において、スイッチをオフ状態にすることができる。よって、トランスの2次側に設けられた2次側回路120を動作させないとスイッチをオフ状態にすることができないスイッチング電源装置100と比べて、スイッチング電源装置に接続される負荷が微少である期間における消費電力を削減できる。
また、この発明によれば、上述のように、制御手段により間欠動作制御が行われている期間に、第1端子の電圧が第2閾値以上かつ第3閾値以下になると、停止制御手段により第2端子の電圧を第1電圧にし、第2端子の電圧が第1電圧になると、制御手段によりスイッチをオフ状態にさせる間接制御を行うこととした。
ここで、スイッチング電源装置に接続される負荷が軽くなるに従って、トランスの制御巻線のリーケージエネルギーが減少し、その結果、第1端子の電圧が低下する。また、間欠動作制御が行われると、第1端子の電圧は、リップル電圧を伴って低下する。
このため、まず、通常動作制御を行っている期間において、スイッチング電源装置に接続される負荷が軽くなると、間欠動作制御を行い、間欠動作制御を行っている期間に、上述の負荷がさらに軽くなると、間接制御を行う。したがって、負荷の状態に応じて、通常動作制御を行う期間と、間欠動作制御を行う期間と、間接制御を行う期間と、を切り替えることができるので、スイッチング電源装置の消費電力をさらに削減できる。
(4)本発明は、(3)のスイッチング電源装置について、前記第3端子と、前記第2電圧を出力する第2電圧出力手段(例えば、図4の端子P3の電圧に相当)と、の間に直列接続された第1スイッチ素子(例えば、図4のスイッチ素子Q1に相当)と、前記第1端子と、前記第1スイッチ素子の制御端子と、の間に直列接続された第1抵抗(例えば、図4の抵抗R5に相当)および第2抵抗(例えば、図4の抵抗R9に相当)と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100では、図8に示したように、スイッチ素子Q1のベースには、抵抗R5を介して、端子P4から電流が流れる。
これに対して、この発明によれば、スイッチング電源装置に、第1スイッチ素子、第1抵抗、および第2抵抗を設け、第1スイッチ素子を、第3端子と第2電圧を出力する第2電圧出力手段との間に直列接続し、第1抵抗および第2抵抗を、第1端子と第1スイッチ素子の制御端子との間に直列接続した。
このため、上述のスイッチ素子Q1に相当する第1スイッチ素子の制御端子には、上述の抵抗R5に相当する第1抵抗と、第2抵抗と、を介して、第1端子から電流が流れる。したがって、第2抵抗が接続されている分だけ、第1スイッチ素子の制御端子に流れる電流は、スイッチング電源装置100が備えるスイッチ素子Q1のベース電流より少なくなる。よって、スイッチング電源装置の消費電力をさらに削減できる。
(5)本発明は、(2)または(4)のスイッチング電源装置について、前記停止制御手段は、前記第2端子と、前記第1電圧を出力する第1電圧出力手段(例えば、図4の端子P3や図1の基準電位端子GND1に相当)と、の間に直列接続された第2スイッチ素子(例えば、図2のスイッチ素子Q2に相当)を備え、前記第2スイッチ素子の制御端子には、前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点が接続されることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、第2抵抗が設けられていない場合には、第2スイッチ素子の制御端子の電圧が、第2スイッチ素子がターンオンするのに必要な電圧まで上昇しないおそれがある。
そこで、この発明によれば、停止制御手段に、第2端子と、第1電圧を出力する第1電圧出力手段と、の間に直列接続された第2スイッチ素子を設け、第2スイッチ素子の制御端子には、第1抵抗と第2抵抗との接続点を接続した。
このため、第2スイッチ素子の制御端子の電圧は、第1抵抗と第2抵抗とで第1端子の電圧を分圧したものとなり、第2抵抗が設けられていない場合と比べて、第2抵抗が設けられた分だけ高くなる。したがって、第2スイッチ素子の制御端子の電圧を、第2スイッチ素子がターンオンするのに必要な電圧まで上昇させることができる。
本発明によれば、微少負荷時における消費電力を削減できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1は、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100とは、1次側回路110の代わりに1次側回路10を備える点が異なる。
[1次側回路10の構成]
図1は、1次側回路10の回路図である。1次側回路10は、図8に示した従来例に係る1次側回路110とは、ダイオードD4の代わりに、抵抗R6、R7、R8、R9と、ツェナーダイオードZD3、ZD4、ZD5と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q2、Q3と、を備える点が異なる。なお、1次側回路10について、1次側回路110と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
抵抗R9の一端と、ツェナーダイオードZD4のカソードとには、フォトトランジスタPC12のコレクタが接続される。抵抗R9の他端には、ツェナーダイオードZD5のカソードが接続され、ツェナーダイオードZD5のアノードには、スイッチ素子Q1のベースが接続される。
ツェナーダイオードZD4のアノードには、スイッチ素子Q2のベースと、スイッチ素子Q3のコレクタと、が接続されるとともに、抵抗R8を介して端子P3が接続される。スイッチ素子Q2のエミッタには、端子P3が接続され、スイッチ素子Q2のコレクタには、抵抗R6を介して端子P2が接続される。
スイッチ素子Q3のエミッタには、端子P3が接続され、スイッチ素子Q3のベースには、抵抗R7を介してツェナーダイオードZD3のアノードが接続される。ツェナーダイオードZD3のカソードには、端子P4が接続される。
[スイッチング電源装置1の動作]
以上の1次側回路10を備えるスイッチング電源装置1は、図7に示した従来例に係るスイッチング電源装置100と同様に、入力端子IN2に入力される電圧に応じて、通常動作制御と間欠動作制御とを切り替えるとともに、出力端子OUTから出力される電圧に応じて、間欠動作制御時における発振期間と停止期間とを切り替える。さらに、スイッチング電源装置1は、端子P4の電圧に応じて、間欠動作制御時において間接制御を行ったり行わなかったりする。間接制御では、上述のスイッチをオフ状態にする。この間接制御について、図2を用いて以下に説明する。
<間接制御>
図2は、図1に示した1次側回路10の一部を示す回路図である。上述のように、入力端子IN2にLレベル電圧が入力されることにより、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC22が光を出射しないと、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オフ状態となる。
フォトトランジスタPC12がオフ状態になると、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧は、端子P4の電圧から、抵抗R5において降下する電圧を差し引いたものに等しくなる。そして、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧が所定の電圧になり、抵抗R4の両端の電位差が所定値になると、抵抗R4の両端にベースおよびエミッタが接続されたスイッチ素子Q1は、オン状態になる。
スイッチ素子Q1がオン状態になると、端子P1は、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となり、その結果、スイッチング電源装置1は、間欠動作制御を行うこととなる。
なお、スイッチ素子Q1がオン状態になった時点では、端子P4の電圧は、ツェナーダイオードZD3のツェナー電圧以上であるものとする。これによれば、スイッチ素子Q1がオン状態になった時点では、ツェナーダイオードZD3が導通状態であるため、スイッチ素子Q3がオン状態となる。スイッチ素子Q3がオン状態であれば、スイッチ素子Q2のベース−エミッタ間電圧が「0」となるので、スイッチ素子Q2がオフ状態となる。スイッチ素子Q2がオフ状態になると、端子P2と端子P3とは、絶縁されるので、端子P2の電圧は、トランスTの制御巻線T2の電圧に応じて変動し、端子P3に接続される基準電位端子GND1より高電位となる。以上より、スイッチ素子Q1がオン状態になった時点では、間欠動作制御が開始され、発振期間となる。
間欠動作制御が行われると、トランスTの制御巻線T2の他端にダイオードD1を介して接続された端子P4の電圧は、リップル電圧を伴って低下する。また、スイッチング電源装置1に接続される負荷が軽くなるに従って、トランスTの制御巻線T2のリーケージエネルギーが減少し、その結果、端子P4の電圧が低下する。そして、端子P4の電圧がツェナーダイオードZD3のツェナー電圧未満になると、ツェナーダイオードZD3が絶縁状態となり、スイッチ素子Q3がオフ状態となる。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧、すなわち端子P4の電圧から抵抗R5において降下する電圧を差し引いたものが、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧以上であれば、スイッチ素子Q2がオン状態となり、端子P2と端子P3とが導通するので、端子P2の電圧は、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となる。以上より、間欠動作制御が行われている期間に、端子P4の電圧が、ツェナーダイオードZD3のツェナー電圧未満で、かつ、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧と抵抗R5において降下する電圧とを足し合わせたもの以上であれば、上述のスイッチがオフ状態となり、間接制御が行われることとなる。
一方、入力端子IN2にHレベル電圧が入力されることにより、2次側回路120に設けられたフォトダイオードPC22が光を出射すると、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オン状態となる。すると、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とは、ともにオフ状態となり、通常動作制御が行われることとなる。
なお、抵抗R8は、ツェナーダイオードZD4と端子P3との間に設けられることにより、ツェナーダイオードZD4の漏れ電流を保証する。
図3は、微少負荷時における入力電力と出力電力との関係を示す図である。図3では、微少負荷時において、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置100より少ない入力電力で、スイッチング電源装置100と同等の出力電力を出力できることが示されている。すなわち、微少負荷時において、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置100と比べて、消費電力が小さいということが示されている。
以上のスイッチング電源装置1が奏する効果について、図4、5、6を用いて以下に説明する。図4〜6のそれぞれは、図2の一部を示す回路図である。
まず、図4を参照すると、端子P4とスイッチ素子Q1のベースとは、抵抗R5に加えて、抵抗R9およびツェナーダイオードZD5を介して接続されている。このため、スイッチ素子Q1のベースに流れる電流は、抵抗R9およびツェナーダイオードZD5が設けられていない場合と比べて、減少する。また、図8に示した従来例に係る1次側回路110には、これら抵抗R9およびツェナーダイオードZD5が設けられていない。したがって、1次側回路10に設けられるスイッチ素子Q1のベース電流は、1次側回路110に設けられたスイッチ素子Q1のベース電流と比べて、少なくなる。よって、スイッチング電源装置1の消費電力を、スイッチング電源装置100と比べて削減できる。
また、抵抗R4、R9およびツェナーダイオードZD5が直列接続されており、これら直列接続された抵抗R4、R9およびツェナーダイオードZD5は、フォトトランジスタPC12と並列接続されている。そして、端子P4の電圧は、抵抗R5と、抵抗R4、R9およびツェナーダイオードZD5で構成される直列接続部と、で分圧される。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧は、抵抗R9およびツェナーダイオードZD5が設けられていない場合と比べて、高くなる。また、図8に示した従来例に係る1次側回路110には、これら抵抗R9およびツェナーダイオードZD5が設けられていない。したがって、1次側回路10に設けられるフォトトランジスタPC12のコレクタの電圧は、1次側回路110に設けられたフォトトランジスタPC12のコレクタの電圧と比べて、高くなる。よって、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧、すなわち端子P4の電圧から抵抗R5において降下する電圧を差し引いたものを、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧以上にして、スイッチ素子Q2がターンオンするのに必要な電圧にまで上昇させることができる。
次に、図5を参照すると、抵抗R6およびスイッチ素子Q2が直列接続されており、これら直列接続された抵抗R6およびスイッチ素子Q2を介して、端子P2と端子P3とが接続されている。このため、スイッチ素子Q2がオン状態になると、フォトトランジスタPC11がオフ状態であっても、端子P2と端子P3とが導通し、端子P2が、端子P3に接続される基準電位端子GND1と略同電位となる。これによれば、制御部11は、上述のスイッチをオフ状態にするので、スイッチング電源装置1は、間接制御を行うこととなる。
また、スイッチ素子Q2のベースには、ツェナーダイオードZD4を介して、フォトトランジスタPC12のコレクタが接続されている。このため、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧が、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオードZD4が導通状態となり、スイッチ素子Q2がオン状態となる。
以上によれば、2次側回路120を動作させることなく、間接制御を行って、上述のスイッチをオフ状態にすることができる。このため、2次側回路120を動作させないと上述のスイッチをオフ状態にすることができないスイッチング電源装置100と比べて、消費電力をさらに削減できる。
また、抵抗R6を設けず、スイッチ素子Q2のコレクタと端子P2とを直接接続した場合には、発振期間において所定回数ずつ間欠発振する。ところが、スイッチング電源装置1では、スイッチ素子Q2のコレクタと端子P2とが抵抗R6を介して接続されており、抵抗R6およびキャパシタC6が時定数回路を構成しているため、この時定数回路により、発振回路において上述の所定回数以上、間欠発振する。このため、停止期間が長くなるので、抵抗R6が設けられていない場合と比べて、消費電力を削減できる。
次に、図6を参照すると、スイッチ素子Q2のベースには、スイッチ素子Q3のコレクタが接続され、スイッチ素子Q2のエミッタには、スイッチ素子Q3のエミッタが接続されている。このため、スイッチ素子Q3がオン状態になると、スイッチ素子Q2のベースがスイッチ素子Q2のエミッタと導通し、スイッチ素子Q2がオフ状態となる。一方、スイッチ素子Q3がオフ状態になると、スイッチ素子Q2は、上述のように、フォトトランジスタPC12のコレクタの電圧がツェナーダイオードZD4のツェナー電圧以上であるか否かに応じて、オン状態になったりオフ状態になったりする。
スイッチ素子Q3のベースには、抵抗R7およびツェナーダイオードZD3を介して、端子P4が接続されている。このため、端子P4の電圧が、ツェナーダイオードZD3のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオードZD3が導通状態となり、スイッチ素子Q3がオン状態となる。一方、端子P4の電圧が、ツェナーダイオードZD3のツェナー電圧未満になると、ツェナーダイオードZD3が絶縁状態となり、スイッチ素子Q3がオフ状態となる。
以上より、間欠動作制御が行われている期間に、端子P4の電圧が、ツェナーダイオードZD3のツェナー電圧未満で、かつ、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧と抵抗R5において降下する電圧とを足し合わせたもの以上であれば、上述のスイッチがオフ状態となり、間接制御が行われることとなる。このため、通常動作制御を行う期間と、間欠動作制御を行う期間と、間接制御を行う期間と、を切り替えることができるので、スイッチング電源装置1の消費電力をさらに削減できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。