本発明は、スイッチング電源装置に関する。
従来より、接続される負荷の変動に応じて通常動作と間欠動作とを切り替えるスイッチング電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。
図2は、従来例に係るスイッチング電源装置100の回路図である。スイッチング電源装置100は、トランスT、制御部10、および制御回路50を備える。
まず、トランスTの1次側の構成について説明する。制御部10には、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の7つの端子が設けられている。この制御部10は、スイッチ(図示省略)を備えており、スイッチの一端には端子P7が接続され、スイッチの他端には端子P5が接続される。
入力端子IN1には、入力信号供給部(図示省略)から電流が供給される。この入力端子IN1には、端子P6と、トランスTの1次巻線T1の一端と、が接続されるとともに、キャパシタC1を介して基準電位端子GND1が接続される。基準電位端子GND1には、基準電位源(図示省略)から基準電位となる電圧が供給される。この基準電位端子GND1には、端子P3が接続されるとともに、抵抗R1を介して端子P5が接続される。トランスTの1次巻線T1の他端には、端子P7が接続されるとともに、キャパシタC2を介して端子P5が接続される。
制御回路50は、フォトトランジスタPC12およびダイオードD1を備える。ダイオードD1のアノードには、端子P1が接続され、ダイオードD1のカソードには、フォトトランジスタPC12のコレクタが接続される。
トランスTの制御巻線T2の一端には、端子P3と、フォトトランジスタPC11のエミッタと、フォトトランジスタPC12のエミッタと、が接続されるとともに、キャパシタC4および抵抗R2を介して端子P1が接続される。フォトトランジスタPC11のコレクタには、端子P2が接続される。トランスTの制御巻線T2の他端には、キャパシタC4と抵抗R2との接点が接続されるとともに、ダイオードD2のアノードが接続される。ダイオードD2のカソードには、端子P4が接続されるとともに、キャパシタC3を介して端子P3が接続される。
次に、トランスTの2次側の構成について説明する。基準電位端子GND2、GND3には、基準電位源GNDが接続される。出力端子OUT1には、ダイオードD3のカソードが接続されるとともに、キャパシタC5を介して基準電位端子GND2が接続される。ダイオードD3のアノードには、トランスTの第1の2次巻線T3の他端が接続され、トランスTの第1の2次巻線T3の一端には、基準電位端子GND2が接続される。
出力端子OUT2には、抵抗R3の一端と、抵抗R4の一端と、抵抗R5の一端と、ダイオードD4のカソードと、が接続されるとともに、キャパシタC6を介して基準電位端子GND2が接続される。ダイオードD4のアノードには、トランスTの第2の2次巻線T4の他端が接続され、トランスTの第2の2次巻線T4の一端には、基準電位端子GND2が接続される。
抵抗R3の他端には、フォトトランジスタPC11と対に設けられたフォトダイオードPC21のアノードと、抵抗R6の一端と、が接続される。フォトダイオードPC21のカソードには、抵抗R6の他端と、シャントレギュレータTLのカソードと、が接続される。シャントレギュレータTLのアノードには、基準電位端子GND3が接続される。これらフォトダイオードPC21、抵抗R6、およびシャントレギュレータTLは、フィードバック手段を形成する。
抵抗R4の他端には、シャントレギュレータTLのリファレンスが接続されるとともに、抵抗R8およびキャパシタC7を介してシャントレギュレータTLのカソードが接続され、抵抗R9を介して基準電位端子GND3が接続される。
抵抗R5の他端には、フォトトランジスタPC12と対に設けられたフォトダイオードPC22のアノードと、抵抗R7の一端と、が接続される。フォトダイオードPC22のカソードには、抵抗R7の他端と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Tr1のコレクタと、が接続される。スイッチ素子Tr1のエミッタには、基準電位端子GND3が接続される。スイッチ素子Tr1のベースには、抵抗R10を介して基準電位端子GND3が接続されるとともに、抵抗R11を介して入力端子IN2が接続される。
以上の構成を備えるスイッチング電源装置100は、制御部10に設けられたスイッチをオンオフさせることで、出力端子OUT1、OUT2から電力を出力する。
具体的には、まず、制御部10により、端子P5と端子P7との間に設けられたスイッチをオン状態にする。すると、入力端子IN1から入力される電流がトランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れ、トランスTにエネルギーが蓄積される。
次に、上述のスイッチをオン状態にしてから所定時間が経過した後に、制御部10により、このスイッチをオフ状態にする。すると、スイッチがオン状態であった期間にトランスTに蓄積されたエネルギーにより、トランスTの第1の2次巻線T3と、トランスTの第2の2次巻線T4とには、一端から他端に電流を流そうとする起電力が生じる。
トランスTの第1の2次巻線T3に生じた起電力は、ダイオードD3およびキャパシタC5により整流および平滑化され、出力端子OUT1から出力される。また、トランスTの第2の2次巻線T4に生じた起電力は、ダイオードD4およびキャパシタC6により整流および平滑化され、出力端子OUT2から出力される。
ここで、スイッチング電源装置100では、基準電位源GNDと同電位であるLレベル電圧が入力端子IN2に入力されると、基準電位端子GND1より高電位の電圧が端子P1に入力され、通常動作が行われる。通常動作では、上述のスイッチのオンオフが所定の周期で行われる。
具体的には、入力端子IN2にLレベル電圧が入力されると、スイッチ素子Tr1がオフ状態となる。このため、出力端子OUT2が基準電位端子GND3より高電位であっても、スイッチ素子Tr1のコレクタに接続されたフォトダイオードPC22には電流が流れず、フォトダイオードPC22は光を出射しない。したがって、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オフ状態となる。これによれば、フォトトランジスタPC12のエミッタに端子P3を介して接続された基準電位端子GND1と、フォトトランジスタPC12のコレクタにダイオードD1を介して接続された端子P1とは、絶縁される。よって、端子P1には、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧が抵抗R2を介して入力され、端子P1の電圧は、基準電位端子GND1より高電位となる。すると、制御部10により、スイッチが所定の周期でオンオフされる。
上述のように通常動作が行われると、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1は、図3の(a)のように変化する。
一方、スイッチング電源装置100では、基準電位源GNDより高電位であるHレベル電圧が入力端子IN2に入力されると、基準電位端子GND1と略同電位の電圧が端子P1に入力され、間欠動作が行われる。間欠動作では、上述のスイッチのオンオフを所定の周期で行う期間(以降、「発振期間」と呼ぶ)と、上述のスイッチのオンオフを停止させる期間(以降、「停止期間」と呼ぶ)と、が繰り返される。
具体的には、入力端子IN2にHレベル電圧が入力されると、スイッチ素子Tr1がオン状態となる。すると、フォトダイオードPC22に電流が流れ、フォトダイオードPC22が光を出射する。このため、フォトダイオードPC22と対に設けられたフォトトランジスタPC12は、オン状態となる。これによれば、基準電位端子GND1と端子P1とは、ダイオードD1、フォトトランジスタPC12、および端子P3を介して導通する。したがって、端子P1の電圧は、基準電位端子GND1と略同電位となる。すると、制御部10により、発振期間と停止期間とが繰り返される。
上述のように間欠動作が行われると、トランスTの1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1は、図3の(b)のように変化する。時刻t1から時刻t2までの期間と、時刻t3以降の期間とは、発振期間であり、時刻t2から時刻t3までの期間は、停止期間である。なお、通常動作時における電流IT1のピーク値をI1とすると、間欠動作時における電流IT1のピーク値は、I1より少ないI2となる。
すると、出力端子OUT2から出力する電圧VOUT2と、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧VT2とは、図3の(b)のように、発振期間では上昇し、停止期間では低下する。
ここで、通常動作時や間欠動作時に、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値より高くなってしまう場合がある。そこで、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値にまで高くなった場合には、基準電位端子GND1と略同電位の電圧を端子P2に入力して、上述のスイッチのオンオフを停止させることで、停止期間にする。
具体的には、出力端子OUT2から出力する電圧が抵抗R4と抵抗R9とで分圧され、シャントレギュレータTLのリファレンスに印加されるが、このシャントレギュレータTLのリファレンスに印加される電圧は、出力端子OUT2から出力する電圧が高くなるに従って上昇する。そして、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値にまで高くなると、シャントレギュレータTLがオン状態となってフォトダイオードPC21に電流が流れ、フォトダイオードPC21が光を出射し、フォトダイオードPC21と対に設けられたフォトトランジスタPC11がオン状態となる。これによれば、基準電位端子GND1と端子P2とは、フォトトランジスタPC11および端子P3を介して導通する。このため、端子P2の電圧は、基準電位端子GND1と略同電位となる。すると、制御部10により、スイッチが停止される。
ところで、上述のようなスイッチング電源装置において、間欠動作は、消費電力を低減するために行われるが、消費電力をさらに低減することが要請されていた。
上述の課題を鑑み、本発明は、間欠動作時におけるスイッチング電源装置の消費電力を低減することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、1次側と2次側とで絶縁されたトランスと、前記1次側で前記トランスに接続されるスイッチと、前記スイッチをオンオフ制御するスイッチ制御手段と、前記2次側において前記トランスに生じるエネルギーを整流出力する出力手段と、前記出力手段に接続され、当該出力手段により出力される出力電圧が予め定められた電圧まで上昇すると、自身に電流を流して、前記スイッチ制御手段による前記スイッチを停止させるフィードバック手段と、前記出力手段により出力される出力電流が予め定められた電流以下である軽負荷期間のうち、少なくとも一部の期間において、前記フィードバック手段の一部または全部に電流が流れなくする出力制御部と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
(2)本発明は、(1)のスイッチング電源装置について、前記出力制御部は、前記スイッチをオンオフさせる期間を通常動作期間とし、前記スイッチをオンオフさせる期間と前記スイッチのオンオフを停止させる期間とで構成される期間を間欠動作期間とし、当該通常動作期間から当該間欠動作期間に移行させた状態を保つための信号を移行信号とすると、当該移行信号が入力されると前記出力電圧を上昇させる第1の出力電圧制御手段と、前記トランスの制御巻線に生じた電圧が上昇すると、前記スイッチ制御手段に制御信号を供給して前記スイッチのオンオフを停止させ、前記出力電圧を低下させる第2の出力電圧制御手段と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
ここで、通常動作時や間欠動作時に、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値より高くなってしまう場合がある。そこで、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値にまで高くなった場合には、従来例に係るスイッチング電源装置100では、上述のように、シャントレギュレータTLをオン状態にすることでフォトトランジスタPC11をオン状態にして、基準電位端子GND1と略同電位の電圧を端子P2に入力し、制御部10に設けられたスイッチを停止させる。ところが、シャントレギュレータTLをオン状態にすると、シャントレギュレータTL、フォトダイオードPC21、および抵抗R3、R6に電流が流れるため、これらで電力が消費されてしまう。
そこで、この発明によれば、スイッチング電源装置に、通常動作期間から間欠動作期間に移行させた状態を保つための信号である移行信号が入力されると出力電圧を上昇させる第1の出力電圧制御手段と、トランスの制御巻線に生じた電圧が上昇するとスイッチ制御手段に制御信号を供給してスイッチのオンオフを停止させ、出力電圧を低下させる第2の出力電圧制御手段と、を設けた。
このため、間欠動作時に、第1の出力電圧制御手段により出力電圧を上昇させて、トランスの2次巻線に生じる電圧を上昇させ、トランスの制御巻線に生じる電圧を上昇させる。すると、第2の出力電圧制御手段からスイッチ制御手段に制御信号が供給されて、スイッチのオンオフが停止され、出力電圧が低下する。以上によれば、間欠動作時に、第1の出力電圧制御手段および第2の出力電圧制御手段により、シャントレギュレータTL、フォトダイオードPC21、および抵抗R3、R6に電流を流すことなく、出力電圧が予め定めた値より高くなるのを防止できる。したがって、従来例に係るスイッチング電源装置100と比べて、間欠動作時における消費電力を低減できる。
(3)本発明は、(2)のスイッチング電源装置について、前記第2の出力電圧制御手段は、前記間欠動作期間中に、前記スイッチ制御手段に前記制御信号を供給することを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
この発明によれば、第2の出力電圧制御手段からスイッチング素子制御手段への制御信号の供給を、間欠動作期間中に行うこととした。このため、間欠動作時に、第2の出力電圧制御手段を駆動させて、出力電圧が予め定めた値より高くなるのを防止できる。
(4)本発明は、(2)または(3)のスイッチング電源装置について、前記出力電圧に応じて当該出力電圧の電圧制御を行う第3の出力電圧制御手段を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
この発明によれば、スイッチング電源装置に、出力電圧に応じて出力電圧の電圧制御を行う第3の出力電圧制御手段を設けた。このため、第3の出力電圧制御手段により、出力電圧を変化させることができる。
(5)本発明は、(4)のスイッチング電源装置について、前記第3の出力電圧制御手段は、前記間欠動作期間中に前記出力電圧が予め定めた所定値まで低下すると、前記移行信号が前記第1の出力電圧制御手段に供給されるのを停止することを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
この発明によれば、第3の出力電圧制御手段により、間欠動作期間中に出力電圧が予め定めた所定値まで低下すると、移行信号が第1の出力電圧制御手段に供給されるのを停止することとした。このため、間欠動作時に出力電圧が所定値まで低下すると、間欠動作期間から通常動作期間に移行するので、出力電圧を上昇させることができる。
(6)本発明は、(1)〜(5)のいずれかのスイッチング電源装置について、前記フィードバック手段は、前記スイッチング電源装置の出力端子間に直列に接続されたフォトダイオードおよびシャントレギュレータと、前記フォトダイオードに並列接続された抵抗と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置を提案している。
本発明によれば、間欠動作時におけるスイッチング電源装置の消費電力を抑制できる。
本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置の回路図である。
従来例に係るスイッチング電源装置の回路図である。
前記スイッチング電源装置に流れる電流波形を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の回路図である。スイッチング電源装置1は、図2に示した従来例に係るスイッチング電源装置100とは、第1の制御回路20、第2の制御回路30、および第3の制御回路40を備える点が異なる。なお、スイッチング電源装置1について、スイッチング電源装置100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
第1の制御回路20は、抵抗R13と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Tr3と、を備える。抵抗R13の一端には、抵抗R4と抵抗R9との接続点が接続され、抵抗R13の他端には、スイッチ素子Tr3のコレクタが接続される。スイッチ素子Tr3のエミッタには、基準電位端子GND3が接続され、スイッチ素子Tr3のベースには、抵抗R11を介して入力端子IN2が接続される。
第2の制御回路30は、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Tr2と、ダイオードD5と、ツェナーダイオードDZ1と、抵抗R12と、キャパシタC8と、を備える。スイッチ素子Tr2のコレクタには、ダイオードD5のカソードが接続され、スイッチ素子Tr2のエミッタには、フォトトランジスタPC12のコレクタが接続される。ダイオードD5のアノードには、端子P2が接続される。スイッチ素子Tr2のベースには、キャパシタC8を介して端子P2が接続されるとともに、抵抗R12を介してツェナーダイオードDZ1のアノードが接続される。ツェナーダイオードDZ1のカソードには、トランスTの制御巻線T2の他端が接続される。
第3の制御回路40は、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Tr4、Tr5と、抵抗R14、R15、R16、R17と、ツェナーダイオードDZ2と、を備える。スイッチ素子Tr4のコレクタには、抵抗R14を介して出力端子OUT1が接続され、スイッチ素子Tr4のエミッタには、基準電位端子GND3が接続される。スイッチ素子Tr4のベースには、ツェナーダイオードDZ2のアノードが接続されるとともに、抵抗R16を介して基準電位端子GND3が接続される。ツェナーダイオードDZ2のカソードには、抵抗R15を介して出力端子OUT1が接続される。スイッチ素子Tr5のコレクタには、抵抗R11を介して入力端子IN2が接続され、スイッチ素子Tr5のエミッタには、基準電位端子GND3が接続される。スイッチ素子Tr5のベースには、抵抗R14を介して出力端子OUT1が接続されるとともに、抵抗R17を介して基準電位端子GND3が接続される。
以上の構成を備えるスイッチング電源装置1は、通常動作時には、基準電位源GNDと同電位であるLレベル電圧が入力端子IN2に入力され、以下のように動作する。
入力端子IN2にLレベル電圧が入力されると、スイッチ素子Tr3がオフ状態となる。このため、抵抗R13には電流が流れないので、抵抗R13は設けられていないものとみなすことができる。したがって、従来例に係るスイッチング電源装置100と同様に、シャントレギュレータTLのリファレンスに印加される電圧は、出力端子OUT2から出力する電圧を、抵抗R4と抵抗R9とで分圧したものとなる。
一方、以上の構成を備えるスイッチング電源装置1は、間欠動作時には、基準電位源GNDより高電位であるHレベル電圧が入力され、以下のように動作する。
入力端子IN2にHレベル電圧が入力されると、スイッチ素子Tr3がオン状態となる。すると、抵抗R9と抵抗R13とは、並列接続されることになる。ここで、抵抗R9と抵抗R13との抵抗値が等しいものとすると、抵抗R9と抵抗R13とを並列接続したものの合成抵抗値は、抵抗R9の抵抗値の半分となる。このため、シャントレギュレータTLのリファレンスに印加される電圧は、出力端子OUT2から出力する電圧を、抵抗R4と、抵抗値が抵抗R9の半分である抵抗と、で分圧したものとなる。これによれば、スイッチ素子Tr3がオン状態になることで、シャントレギュレータTLのリファレンスに印加される電圧が低下するので、その結果、出力端子OUT2から出力する電圧が上昇する。
出力端子OUT2から出力する電圧が上昇すると、トランスTの第2の2次巻線T4の他端の電圧も上昇するので、その結果、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧も上昇する。トランスTの制御巻線T2の他端の電圧が上昇することで、ツェナーダイオードDZ1の両端の電位差が、ツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧以上になると、ツェナーダイオードDZ1がオン状態となり、その結果、スイッチ素子Tr2がオン状態となる。ここで、上述のように、間欠動作時にはフォトトランジスタPC12がオン状態となるため、基準電位端子GND1と端子P2とは、ダイオードD5、スイッチ素子Tr2、フォトトランジスタPC12、および端子P3を介して導通する。よって、端子P2の電圧は、フォトトランジスタPC11がオン状態にならなくても、すなわちシャントレギュレータTL、フォトダイオードPC21、および抵抗R3、R6に電流が流れなくても、基準電位端子GND1と略同電位となる。
ここで、出力端子OUT1から出力する電圧が予め定めた所定値より高い場合には、ツェナーダイオードDZ2の両端の電位差が、ツェナーダイオードDZ2のツェナー電圧以上になるものとする。
間欠動作時において出力端子OUT1から出力する電圧が所定値より高ければ、ツェナーダイオードDZ2がオン状態となり、その結果、スイッチ素子Tr4がオン状態となる。すると、基準電位端子GND3とスイッチ素子Tr5のベースとは、スイッチ素子Tr4を介して導通し、スイッチ素子Tr5がオフ状態となる。これによれば、入力端子IN2に入力されるHレベル電圧は、スイッチ素子Tr3のベースに供給され、上述のように、スイッチ素子Tr3がオン状態となり、間欠動作が継続して行われる。
一方、間欠動作時において出力端子OUT1から出力する電圧が所定値になると、ツェナーダイオードDZ2がオフ状態となり、その結果、スイッチ素子Tr4がオフ状態となる。すると、スイッチ素子Tr5がオン状態となる。これによれば、基準電位端子GND3とスイッチ素子Tr3のベースとは、スイッチ素子Tr5を介して導通し、スイッチ素子Tr3がオフ状態となる。このため、間欠動作時であって入力端子IN2にHレベル電圧が入力された状態であっても、スイッチ素子Tr3がオフ状態となるので、スイッチング電源装置1の動作は、間欠動作から通常動作に移行する。
スイッチング電源装置1の動作が通常動作に移行すると、出力端子OUT1から出力する電圧は、上昇する。出力端子OUT1から出力する電圧が上昇して所定値より高くなると、ツェナーダイオードDZ2がオン状態となり、その結果、スイッチ素子Tr4がオン状態となる。すると、基準電位端子GND3とスイッチ素子Tr5のベースとは、スイッチ素子Tr4を介して導通し、スイッチ素子Tr5がオフ状態となる。これによれば、スイッチ素子Tr3のベースの電圧は、入力端子IN2に入力される電圧に応じて変化する。このため、入力端子IN2にHレベル電圧が入力された状態であれば、スイッチング電源装置1の動作は、通常動作から間欠動作に戻る。
以上のスイッチング電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
上述のように、通常動作時や間欠動作時に、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値より高くなってしまう場合がある。そこで、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値にまで高くなった場合には、従来例に係るスイッチング電源装置100では、上述のように、シャントレギュレータTLをオン状態にしてフォトダイオードPC21から光を出射することで、フォトトランジスタPC11をオン状態にし、基準電位端子GND1と略同電位の電圧を端子P2に入力して、制御部10に設けられたスイッチを停止させる。ところが、シャントレギュレータTLをオン状態にすると、シャントレギュレータTL、フォトダイオードPC21、および抵抗R3、R6に電流が流れるため、これらで電力が消費されてしまう。
ところが、スイッチング電源装置1は、間欠動作時に、出力端子OUT2から出力する電圧をシャントレギュレータTLにより上昇させて、トランスTの第2の2次巻線T4の他端の電圧を上昇させ、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧を上昇させる。すると、第2の制御回路30により、端子P2の電圧が基準電位端子GND1と略同電位となり、制御部10に設けられたスイッチのオンオフが停止し、出力端子OUT2から出力する電圧が低下する。以上によれば、間欠動作時には、第1の制御回路20および第2の制御回路30により、シャントレギュレータTL、フォトダイオードPC21、および抵抗R3、R6に電流を流すことなく、出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値より高くなるのを防止できる。このため、従来例に係るスイッチング電源装置100と比べて、間欠動作時における消費電力を低減できる。
また、上述のように出力端子OUT2から出力する電圧が予め定めた値より高くなるのが防止されると、トランスTの第2の2次巻線T4の他端の電圧が過度に上昇するのが防止されるため、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧も、過度に上昇するのが防止されることとなる。このため、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧により制御部10を駆動する場合には、制御部10の駆動電圧が過度に上昇するのを防止でき、制御部10の消費電力を抑制できる。
また、間欠動作時における消費電力の低減は、従来例に係るスイッチング電源装置100に、第1の制御回路20および第2の制御回路30を設けるだけで、行うことができる。ここで、第1の制御回路20は、抵抗R13およびスイッチ素子Tr3を備え、第2の制御回路30は、スイッチ素子Tr2、ダイオードD5、ツェナーダイオードDZ1、抵抗R12、およびキャパシタC8を備える。これら第1の制御回路20や第2の制御回路30に設けられた素子は、比較的安価であるため、間欠動作時における消費電力の低減を低コストで実現できる。
また、間欠動作時において出力端子OUT1から出力する電圧が所定値になると、第3の制御回路40により、スイッチング電源装置1の動作を間欠動作から通常動作に移行させて、出力端子OUT1から出力する電圧を上昇させる。このため、出力端子OUT1から出力する電圧が所定値未満に低下するのを防止できる。
なお、第2の制御回路30に設けられたツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧や、トランスTの制御巻線T2の巻数を調整することで、ツェナーダイオードDZ1がオン状態となる際のトランスTの制御巻線T2の他端の電圧を変化させることができる。これによれば、トランスTの制御巻線T2の他端の電圧がどこまで上昇すると、基準電位端子GND1と略同電位の電圧が端子P2に入力されるのかを、ツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧やトランスTの制御巻線T2の巻数により設定できる。このため、ツェナーダイオードDZ1のツェナー電圧やトランスTの制御巻線T2の巻数を調整することで、出力端子OUT1から出力する電圧を設定できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
1、100;スイッチング電源装置
10;制御部
20;第1の制御回路
30;第2の制御回路
40;第3の制御回路
50;制御回路
PC11、PC12;フォトトランジスタ
PC21、PC22;フォトダイオード
T;トランス
TL;シャントレギュレータ