a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。この厚さ測定装置は、ガラス管などのように透光性管状物体の厚さを、レーザ光を照射して反射光を受光することにより測定するものである。透光性管状物体は、本実施形態では、細いガラス管Gである。厚さ測定装置は、ガラス管Gを保持して移動させるワーク駆動装置10と、ガラス管Gの厚さを測定するためにレーザ光をガラス管Gに出射するとともにガラス管Gからの反射光を受光する光ヘッド100と、ワーク駆動装置10及び光ヘッド100を支持する支持装置20を備えている。なお、この光ヘッド100は、後述する他の実施形態に係る測定用ヘッド及び制御用ヘッドを一体的に兼ね備えている。
支持装置20は、断面L字型に一体形成された水平部20a及び垂直部20bを有する。水平部20aの図示左端部側には、X軸方向フィードモータ11が組み付けられている。X軸方向フィードモータ11は、その出力回転軸をX軸方向(図面の上下方向)に延設されたスクリューロッド12の下端に連結させて、回転によりスクリューロッド12をX軸線周りに回転させる。なお、Y軸方向は紙面の垂直方向とし、Z軸方向は図面の左右方向とする。スクリューロッド12の上端は、垂直部20bの上端にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド12には、移動体13がナットを介して螺合されている。移動体13は、スクリューロッド12に対する回転が規制され、スクリューロッド12の回転によりスクリューロッド12の軸線方向に移動する。すなわち、移動体13は、スクリューロッド12との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
X軸方向フィードモータ11内には、エンコーダ11aが組み込まれている。このエンコーダ11aは、X軸方向フィードモータ11が所定の微小回転角度だけ回転する度に、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。なお、パルス列信号ΦA,ΦBは互いにπ/2だけ位相のずれた信号であり、この位相ずれによりX軸方向フィードモータ11の回転方向が判別される。エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、X軸方向フィードモータ制御回路110と移動位置検出回路111に入力される。移動位置検出回路111は、後述するコントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をX軸方向フィードモータ制御回路110に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ11aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をX軸方向フィードモータ11の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数から移動体13の移動位置を計算してコントローラ200及びX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動体13の移動位置を制御する原点位置となる。
X軸方向フィードモータ制御回路110は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路111から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでX軸方向フィードモータ制御回路110を駆動して移動体13を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、X軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路111から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ11への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路111から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでX軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動させる。
また、X軸方向フィードモータ制御回路110には、移動体13の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ200により入力される。そして、コントローラ200から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBのX軸方向フィードモータ11の回転方向を含む単位時間当たりのパルス数から移動体13の移動方向を含む移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにX軸方向フィードモータ11を駆動制御する。
移動体13には、スピンドルモータ14が組み付けられている。スピンドルモータ14の出力回転軸の先端には、ガラス管Gの一端(上端)を固定するための固定具15が組み付けられている。したがって、固定具15にガラス管Gを固定した状態で、スピンドルモータ14を回転させることにより、ガラス管Gは軸線周りに回転する。
スピンドルモータ14内には、エンコーダ14aが組み込まれている。エンコーダ14aは、X軸方向フィードモータ11の場合と同様に、スピンドルモータ14の回転方向の情報を含むパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。また、エンコーダ14aは、基準回転位置ごとにインデックス信号Indexも出力する。エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、スピンドルモータ制御回路112に入力される。スピンドルモータ制御回路112は、コントローラ200からの指示により作動開始し、エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBの単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ14の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ200によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ14の回転を制御する。
エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦB及びインデックス信号Indexは、回転角度検出回路113に入力される。回転角度検出回路113は、インデックス信号Indexの到来によりカウント値を「0」にリセットし、パルス列信号ΦA又はΦBの到来ごとにカウント値をアップさせて、カウント値をスピンドルモータ14の回転角度を表す信号としてコントローラ200に出力する。
支持装置20の水平部20aの図示右端部には、Z軸方向フィードモータ21が組み付けられている。Z軸方向フィードモータ21は、その出力回転軸をZ軸方向に延設されたスクリューロッド22の右端に連結させて、回転によりスクリューロッド22をZ軸線周りに回転させる。スクリューロッド22の左端は、水平部20aの上面にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド22には、下テーブル23がナットを介して螺合されている。下テーブル23は、スクリューロッド22に対する回転が規制され、スクリューロッド22の回転によりスクリューロッド22の軸線方向に移動する。すなわち、下テーブル23は、スクリューロッド22との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
Z軸方向フィードモータ21内には、エンコーダ21aが組み込まれている。このエンコーダ21aも、X軸方向フィードモータ11と同様なパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、移動位置検出回路115に入力される。移動位置検出回路115は、コントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ21aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をZ軸方向フィードモータ21の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数から下テーブル23の移動位置を計算してコントローラ200及びZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、下テーブル23の移動位置を制御する原点位置となる。
Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路115から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動して下テーブル23を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、Z軸方向フィードモータ21を駆動して下テーブル23を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路115から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ21への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路115から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動して下テーブル23を移動させる。
下テーブル23上には、光ヘッド100が固定された上テーブル24がY軸方向に移動可能に組み付けられている。上テーブル24は、圧電素子を用いた圧電アクチュエータ25により、下テーブル23に対してY軸方向に変位する。
次に、光ヘッド100について説明する。光ヘッド100は、図2に詳細に示すように、測定用レーザ光源30を有する。測定用レーザ光源30から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過してリレーレンズ33,34を介してガラス管Gに照射される。レーザ光の光軸は、X−Z平面に平行で、ガラス管Gの軸線(すなわちX軸)に対して予め決められた角度だけ傾いている。リレーレンズ33,34は、レーザ光の断面径を小さくするために利用される。一方、ビームスプリッタ32で反射された一部のレーザ光は、集光レンズ35によりフォトディテクタ36の受光面に集光される。フォトディテクタ36は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。
フォトディテクタ36からの受光信号は測定用レーザ駆動回路116に供給される。測定用レーザ駆動回路116は、コントローラ200によって作動制御され、測定用レーザ光源30を駆動制御する。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ36からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度のレーザ光を出射する。
ガラス管Gに照射されたレーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射されてラインセンサ37によって受光される。また、ガラス管Gに照射されたレーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれたレーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれてラインセンサ37に到達する。ラインセンサ37は、CCD、CMOS等の画素が直線に配列された受光素子であり、前記ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射したレーザ光の受光位置はガラス管Gの厚さに応じて異なる。
ラインセンサ37には、センサ信号取出し回路117が接続されている。センサ信号取出し回路117は、コントローラ200により制御されて、予め決められた周期でラインセンサ37の各画素の信号を導き出し、各画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力する。
また、光ヘッド100は、サーボ用レーザ光源40を有する。サーボ用レーザ光源40から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過して1/4波長板及び対物レンズ38を介してガラス管Gの外周面に照射される。この場合、ガラス管Gの外周面に照射されるレーザ光の光軸はZ軸であり、同レーザ光はガラス管Gの外周面上で集光されて小さな光スポットを形成するように設定されている。一方、偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光源40からの一部のレーザ光は、集光レンズ45によりフォトディテクタ46の受光面に集光される。フォトディテクタ46は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。なお、図面上では、集光レンズ45を通過してフォトディテクタ46に導かれるレーザ光の光軸はX軸方向に示されているが、実際にY軸方向(紙面垂直方向)である。
フォトディテクタ46からの受光信号はサーボ用レーザ駆動回路118に供給される。サーボ用レーザ駆動回路118は、コントローラ200によって作動制御され、サーボ用レーザ光源40を駆動制御する。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度のレーザ光を出射する。
サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介して偏光ビームスプリッタ42に導かれて、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を通過し、残りの半分はビームスプリッタ47で反射する。ビームスプリッタ47を透過したサーボ用レーザ光の反射光は、2分割のフォトディテクタ48で受光される。なお、図面上では、偏光ビームスプリッタ42で反射され、ビームスプリッタ47を介してフォトディテクタ48に導かれるレーザ光の光軸はX軸方向に示されているが、実際にはY軸方向(紙面垂直方向)である。フォトディテクタ48は、受光領域が図示左右(Z軸方向)に2分割された2つの受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射したレーザ光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。また、フォトディテクタ48は、圧電アクチュエータ25により変位する上テーブル24が中立位置にあり、かつZ軸方向から見てガラス管Gの中心軸がスピンドルモータ14の回転軸と一致しているときに、図3(b)に示すように、サーボ用Z軸方向レーザ光が受光領域の分割線DIVにより2分割される位置に配置される。
フォトディテクタ48から出力される受光信号(a,b)は、Y軸方向エラー信号生成回路119に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路119は、受光信号(a,b)を増幅した後、コントローラの信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路120に出力する。ガラス管の位置がY軸方向に変動すると、図3(a),(b),(c)に示すように、その変動位置に応じてガラス管Gに照射されるサーボ用Z軸方向レーザ光の位置が変化し、これに伴って、フォトディテクタ48に受光される反射光RLの位置が変化する。このため、Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、ガラス管Gの中心軸とスピンドルモータ14の回転軸とY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121の動作に関しては、Y軸方向サーボ回路120が、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が「0」になるようにY軸方向サーボ信号を発生し、Y軸方向ドライブ回路121がY軸方向サーボ信号に基いて圧電アクチュエータ25に駆動信号を出力して、上テーブル24をY軸方向に移動して光ヘッド100をY軸方向に移動させる。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるように光ヘッド100のY軸方向位置が制御されることとなる。このため、測定用レーザ光の光軸がガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
ビームスプリッタ47で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、集光レンズ49にて2分割のフォトディテクタ50に集光される。集光レンズ49とフォトディテクタ50との間にはナイフ51が設けられている。なお、集光レンズ49を通過するレーザ光の光軸はZ軸方向に平行である。これら集光レンズ49、フォトディテクタ50及びナイフ51は、光ディスク装置でよく用いられるナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものである。2分割のフォトディテクタ50は、領域ごとの入射レーザ光の強度を表す信号をそれぞれZ軸方向エラー信号生成回路122に出力する。
Z軸方向エラー信号生成回路122は、入力した2信号の差をZ軸方向エラー信号として、Z軸方向サーボ回路123に出力する。なお、Z軸方向エラー信号は、いわゆるフォーカスエラー信号である。Z軸方向サーボ回路123はZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路124に出力し、Z軸方向ドライブ回路124はこのZ軸方向サーボ信号に基づいてフォーカスアクチュエータ44aを駆動制御する。フォーカスアクチュエータ44aは、対物レンズ44を光軸方向に変位させて、対物レンズ44の焦点を光軸方向に変位させる。この場合、ガラス管Gの直径はある程度大きいので、この方法で対物レンズ44の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。ナイフエッジ法を用いるのは、2分割のフォトディテクタ50が出力する2つの信号の差がガラス管GのZ軸方向の変位のみにより起こるようにするためである。
また、この透光性管状物体の厚さ測定装置は、コントローラ200、入力装置202及び表示装置204も備えている。コントローラ200は、CPU、ROM、RAM、タイマ及びハードディスクなどの大容量の不揮発性メモリを有するコンピュータ装置によって構成され、図4A及び図4Bに示す厚さ測定プログラムの実行により、各種回路を制御してガラス管Gの厚さを測定する。入力装置202は、キーボードからなり、作業者が種々の情報を入力するとともに、コントローラ200の作動に対して指示する。表示装置204は、コントローラ200によって制御された各種情報を表示する。
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。まず、作業者は、ガラス管Gの上端部を固定具15に固定し、入力装置202を操作してガラス管Gの長さを入力する。そして、作業者、入力装置202を操作することにより、コントローラ200に図4A及び図4Bの厚さ測定プログラムを実行させる。
コントローラ200は、この厚さ測定プログラムの実行を図4AのステップS100にて開始して、ステップS102にて変数nを「0」に設定する。この変数nは、ラインセンサ37からのセンサ信号、回転角度検出回路113からの回転角度データ及び移動位置検出回路111からのX軸方向位置データの取込みタイミングを規定するものである。
前記ステップS102の処理後、コントローラ200は、ステップS104にて、X軸方向フィードモータ制御回路110に対してガラス管Gを測定開始位置まで移動するように指示する。具体的には、測定用レーザ光がガラス管Gの測定開始点に照射されるようなX軸方向位置を測定開始位置としてX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。測定開始位置は、以下のA,B,CからA−B+Cの計算を行うことで求められる。なお、A,Cは予めコントローラ200に記憶されている。
A:X軸方向位置が原点位置にあるときに固定具15にガラス管Gを固定したときに固定具15内でガラス管Gの先端となる位置からサーボ用レーザ光の光軸までのX軸方向距離
B:入力装置202から入力されたガラス管Gの長さ
C:ガラス管Gにおける先端から測定開始点までの距離
X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11を回転させることにより、スクリューロッド12を軸線周りに回転させて移動体13をX軸方向に移動させ、ガラス管GをX軸線方向に測定開始位置に向かって移動させる。このガラス管GのX軸線方向への移動中、X軸方向フィードモータ制御回路110は、移動位置検出回路111から移動体13(すなわちガラス管G)のX軸方向位置を表すX軸方向位置データを入力している。そして、入力したX軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定開始位置を示すと、X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11の回転を停止させて、移動体13及びガラス管GのX軸線方向への移動を停止させる。
一方、コントローラ200も、前記ステップS104の処理後、ステップS106にて、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを入力して、入力したX軸方向位置データが測定開始位置以上になったかを判定する。X軸方向位置データが測定開始位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS106にて「No」と判定し続けて、ステップS106の処理を繰り返し実行する。そして、X軸方向位置データが測定開始位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS106にて「Yes」と判定して、ステップS108に進む。
ステップS108においては、コントローラ200は、Z軸方向フィードモータ制御回路114に対して光ヘッド100を測定用設定位置まで移動するように指示する。具体的には、サーボ用レーザ光がガラス管Gの外周面上に集光されてスポットが形成されるようなZ軸方向位置を測定用設定位置としてZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21を回転させることにより、スクリューロッド22を軸線周りに回転させて下テーブル23をZ軸方向に移動させ、下テーブル23、上テーブル24及び光ヘッド100をZ軸方向に測定用設定位置に向かって移動させる。この下テーブル23、上テーブル24及び光ヘッド100のZ軸方向への移動中、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、移動位置検出回路115から下テーブル23(すなわち光ヘッド100)のZ軸方向位置を表すZ軸方向位置データを入力している。そして、入力したZ軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定用設定位置を示すと、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の回転を停止させて、下テーブル23、上テーブル24及び光ヘッド100のZ軸線方向への移動を停止させる。
一方、コントローラ200も、前記ステップS108の処理後、ステップS110にて、移動位置検出回路115からZ軸方向位置データを入力して、入力したZ軸方向位置データが測定用設定位置以上になったかを判定する。Z軸方向位置データが測定用設定位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS110にて「No」と判定し続けて、ステップS110の処理を繰り返し実行する。そして、Z軸方向位置データが測定用設定位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS110にて「Yes」と判定して、ステップS112に進む。
ステップS112においては、コントローラ200は、測定用レーザ駆動回路116を作動開始させる。これにより、測定用レーザ駆動回路116は、測定用レーザ光源30を駆動して測定用レーザ光を出射させる。この場合、測定用レーザ駆動回路116は、フォトディテクタ36からの受光信号を用いて測定用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、測定用レーザ光源30は常に適正な強度のレーザ光を出射する。
測定用レーザ光源30から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ32を通過してリレーレンズ33,34を介してガラス管Gに照射される。ガラス管Gに照射されたレーザ光は、まずガラス管Gの外周面で反射されてラインセンサ37によって受光される。また、ガラス管Gに照射されたレーザ光は、ガラス管Gの表面で屈折してガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの外周面に導かれる。ガラス管Gの外周面に導かれたレーザ光は、ガラス管Gの外周面でふたたび屈折して外部に導かれてラインセンサ37に到達する。
前記ステップS112の処理後、コントローラ200は、ステップS114にて、サーボ用レーザ駆動回路118を作動開始させる。これにより、サーボ用レーザ駆動回路118は、サーボ用レーザ光源40を駆動してサーボ用レーザ光を出射させる。この場合、サーボ用レーザ駆動回路118は、フォトディテクタ46からの受光信号を用いてサーボ用レーザ光の強度をフィードバック制御するので、サーボ用レーザ光源40は常に適正な強度のレーザ光を出射する。
サーボ用レーザ光源40から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ41で平行光に変換され、その大部分が偏光ビームスプリッタ42を通過して1/4波長板及び対物レンズ38を介してガラス管Gの外周面に照射される。サーボ用レーザ光のガラス管Gからの反射光は、対物レンズ44によって平行光に変換され、1/4波長板43を介して偏光ビームスプリッタ42に導かれて、偏光ビームスプリッタ42で反射される。偏光ビームスプリッタ42で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、ビームスプリッタ47を通過して2分割のフォトディテクタ48で受光される。残りの半分はビームスプリッタ47で反射して、集光レンズ49によって集光され、ナイフ51を介してフォトディテクタ50に導かれる。フォトディテクタ48で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はY軸方向エラー信号生成回路119に供給され、Y軸方向エラー信号生成回路119はこの受光信号に基づいてY軸方向エラー信号(a−b)を生成する。一方、フォトディテクタ50で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はZ軸方向エラー信号生成回路122に供給され、Z軸方向エラー信号生成回路122はこの受光信号に基づいてZ軸方向エラー信号(すなわち、フォーカスエラー信号)を生成する。
前記ステップS114の処理後、コントローラ200は、ステップS116にてY軸方向サーボ回路120に作動開始を指示する。これに応答して、Y軸方向サーボ回路120は、作動を開始して、Y軸方向エラー信号生成回路119から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいてY軸方向サーボ信号を作成し、Y軸方向ドライブ回路121を介して圧電アクチュエータ25を駆動して、上テーブル24をY軸方向にサーボ制御する。したがって、フォトディテクタ48に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるように光ヘッド100のY軸方向位置が制御されることとなり、ガラス管GがY軸方向に変位しても、その変位に応じて上テーブル24及び光ヘッド100が変位するので、測定用レーザ光の光軸が常にガラス管Gの中心軸と交差するように維持される。
前記ステップS116の処理後、コントローラ200は、ステップS118にてZ軸方向サーボ回路123に作動開始を指示する。これに応答して、Z軸方向サーボ回路123は、作動を開始して、Z軸方向エラー信号生成回路122から入力したZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を発生し、Z軸方向ドライブ回路124を介してフォーカスアクチュエータ44aを駆動して、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)する。これにより、対物レンズ44の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
前記ステップS118の処理後、コントローラ200は、ステップS120にて、センサ信号取出し回路117に対して作動開始を指示する。これに応答して、センサ信号取出し回路117は作動を開始し、予め決められた周期でラインセンサ37の各画素の信号を導き出し、各画素ごとに、信号強度に相当するディジタルデータと画素位置のディジタルデータとを対にしてコントローラ200に出力し始める。コントローラ200は、ステップS122にて前記ラインセンサ37から出力される信号強度と画素位置を表すディジタルデータを入力する。この場合、ラインセンサ37に入力される反射光は、図2に示すように、ガラス管Gの外周面の反射光とガラス管Gの内周面の反射光であり、信号強度は2つのピーク値を有する。そして、ステップS122においては、この2つのピーク値のうちの一方のピーク値が位置するラインセンサ37上の位置(ピーク位置)を計算する。本実施形態においては、ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光に関するピーク値、すなわち図2にてラインセンサ37の上側のピーク値が位置するラインセンサ37上の位置(ピーク位置)を計算する。
前記ステップS122の処理後、コントローラ200は、ステップS124にて、前記計算したピーク位置からラインセンサ37上の予め決められた設定位置を減算して、減算結果の絶対値が所定の小さな許容値以下であるかを判定する。この場合、予め決められた設定位置とは、ラインセンサ37の長尺方向の中心位置から、図2にて若干上方の位置である。そして、この位置は、フォーカスサーボ制御による対物レンズ44の変位が原点位置を中心に行われる位置である。前記絶対値が許容値以下であれば、コントローラ200は、ステップS124にて「Yes」と判定して、図4BのステップS132に進む。一方、前記絶対値が許容値よりも大きければ、コントローラ200は、ステップS124にて「No」と判定して、ステップS126に進む。
ステップS126においては、コントローラ200は、前記減算結果(ピーク位置−設定位置)からZ軸方向への移動距離を検出し、現在のZ軸方向位置に移動距離を加算して下テーブル23のZ軸方向移動位置を計算する。なお、この移動距離の計算においては、減算結果(ピーク位置−設定位置)に対する下テーブル23のZ軸方向への移動距離を示す変換関数又は変換テーブルを予め用意しておき、この変換関数又は変換テーブルを用いる。次に、コントローラ200は、ステップS128にて下テーブル23の移動位置をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の作動を制御するとともに、移動位置検出回路115から下テーブル23のZ軸方向位置を入力して、下テーブル23を前記入力された移動位置まで移動する。前記ステップS128の処理後、コントローラ200は、ステップS130にて、移動位置検出回路115から下テーブル23の移動位置を入力して、前記入力した移動位置が前記Z軸方向フィードモータ制御回路114に指示した移動位置に達したか否かを判定する。下テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達するまで、コントローラ200はステップS130にて「No」と判定し続けてステップS130の処理を続ける。一方、下テーブル23の移動位置が前記指示した移動位置に達すると、コントローラ200はステップS130にて「Yes」と判定して、前述したステップS122,S124の処理を実行する。これらのステップS122〜S130の処理により、ガラス管Gの外周面にて反射したレーザ光の光軸位置がラインセンサ37の長尺方向中央位置から若干だけ上に位置するようになる。そして、この状態では、ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光の光軸と、ガラス管Gの内周で反射したレーザ光の光軸の中央がラインセンサ37の長尺方向中央にほぼ位置する。なお、ステップS122からステップS130までの処理を行うのは、厚さ測定を行うガラス管Gの直径がガラス管Gによって多少変化するため、光ヘッド100からガラス管Gの表面までの距離を一定にして、サーボ用レーザ光が集光する位置に測定用レーザ光が照射されるようにするためである。
ステップS132においては、コントローラ200は、ガラス管Gの軸線周りの回転開始を指示するとともに、回転速度も指示する。スピンドルモータ制御回路112は、エンコーダ14aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したスピンドルモータ14の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された回転速度で回転するように、スピンドルモータ14を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された回転速度で軸線周りに回転し始める。次に、コントローラ200は、ステップS134にて、回転角度検出回路113に作動開始を指示する。これにより、回転角度検出回路113は、スピンドルモータ14の回転角度(ガラス管Gの軸線周りの回転角度)を表す回転角度データをコントローラ200に出力し始める。
前記ステップS134の処理後、コントローラ200は、ステップS136にて、X軸方向フィードモータ制御回路110にガラス管GのX軸方向への移動開始を指示するとともに、移動速度も指示する。X軸方向フィードモータ制御回路110は、エンコーダ11aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したX軸方向フィードモータ11の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された移動速度でX軸方向(図示下方向)に移動するように、X軸方向フィードモータ11を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された移動速度でX軸方向に移動し始める。次に、コントローラ200は、ステップS138にて、タイマによる時間計測を開始させる。
前記ステップS138の処理後、コントローラ200は、ステップS140にて計測時間が所定の短時間Tに変数nを乗算した乗算結果nT以上であるかを判定する。いま、変数nは「0」であるので、コントローラ200は、ステップS140にて「Yes」と判定して、ステップS142にてセンサ信号取出し回路117から最新のセンサ信号を取込み、ステップS144にて回転角度検出回路113から回転角度データを取込み、ステップS146にて移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、コントローラ200は、ステップS148にて、ガラス管Gの厚さを計算する。
このガラス管Gの計算においては、ラインセンサ37によって受光されたガラス管Gの外周面及び内周面での2つの反射レーザ光の各ピーク値の位置(ピーク位置)を検出する。この場合、ピーク値は、ガラス管Gの外周面及び内周面でそれぞれ反射したレーザ光の光軸にそれぞれ対応する。次に、前記検出した2つのピーク位置を用いて、2つのピーク位置間の距離を求める。そして、ピーク位置間の距離から、予め用意された変換関数又は変換テーブルを用いて、測定用レーザ光が照射されている位置のガラス管Gの厚さを計算する。この変換関数又は変換テーブルは、ガラス管Gの屈折率及び測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度が定まれば一義的に決まるものであり、ガラス管の屈折率が分かっていない場合には、ガラス管Gの屈折率を測定して入力することで定める。なお、測定用レーザ光のガラス管Gの軸線に対する角度は本実施形態による装置によって定まるものである。そして、このステップS148においては、計算されたガラス管Gの厚さを、前入力した回転角度データ及びX方向位置データと対応付けてメモリに記憶しておく。
前記ステップS148の処理後、コントローラ200は、ステップS150にて、前記取込んだX軸方向位置データによって表されたX軸方向位置が測定終了位置以上を示しているか、すなわちガラス管Gの長さから設定される測定終了位置以上にガラス管Gが既に移動されたかを判定する。また、コントローラ200は、ステップS152において、前記取込んだセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無いか、すなわち測定用レーザ光の照射位置がガラス管Gの端部を通り過ぎてしまったか、又はサーボ制御が行われていないかを判定する。X軸方向位置が測定終了位置以上を示しておらず、かつセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが有れば、コントローラ200は、ステップS150,S152にて共に「No」と判定して、ステップS154にて変数nに「1」を加算して、ステップS140に戻る。そして、計測開始されてからの時間がnT以上になるごとに、コントローラ200は、前述したステップS142〜S148の処理を繰り返し行う。これにより、メモリには、回転角度データによって表されたガラス管Gの軸線周りの角度及びX方向位置データによって表されたガラス管Gの軸線方向位置ごとに、ガラス管Gの厚さを表すデータが記憶されていく。
そして、X軸方向位置が測定終了位置以上を示し、又はセンサ信号中に設定値以上の強度を示す受光データが無くなると、コントローラ200は、ステップS150又はS152にて「Yes」と判定して、ステップS156以降に進む。コントローラ200は、ステップS156にてスピンドルモータ制御回路112にスピンドルモータ14の作動停止を指示する。これにより、スピンドルモータ制御回路112はスピンドルモータ14の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線周りの回転が停止する。つぎに、コントローラ200は、ステップS158にてX軸方向フィードモータ制御回路110にX軸方向フィードモータ11の作動停止を指示する。これにより、X軸方向フィードモータ制御回路110はX軸方向フィードモータ11の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動が停止する。次に、コントローラ200は、ステップS160にてY軸方向サーボ回路120に作動停止を指示し、ステップS162にてX軸方向サーボ回路123に作動停止を指示する。これらの処理により、光ヘッド100のY軸方向へのサーボ制御及び光ヘッド100の対物レンズ44のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)も停止する。
前記ステップS162の処理後、コントローラ200は、ステップS164にて測定用レーザ駆動回路116に測定用レーザ光源30の駆動停止を指示し、ステップS166にてサーボ用レーザ駆動回路118にサーボ用レーザ光源40の駆動停止を指示する。これにより、測定用レーザ光源30による測定用レーザ光のガラス管Gに対する照射も、サーボ用レーザ光源40によるサーボ用レーザ光のガラス管Gに対する照射も停止する。次に、コントローラ200は、ステップS168にて回転角度検出回路113の作動停止を指示し、ステップS170にてセンサ信号取出し回路117の作動停止を指示する。これにより、回転角度検出回路113が作動停止して角度データがコントローラ200に入力されなくなるとともに、センサ信号取出し回路117も作動停止してセンサ信号がコントローラ200に入力されなくなる。
前記ステップS170の処理後、コントローラ200は、ステップS172にてX軸方向フィードモータ制御回路110に移動体13のX軸方向駆動限界位置への移動を指示し、ステップS174にてZ軸方向フィードモータ制御回路114に下テーブル23のZ軸方向駆動限界値への移動を指示する。これらの移動指示により、X軸方向フィードモータ制御回路110は移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させ、Z軸方向フィードモータ制御回路114が下テーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。これにより、ガラス管Gの厚さ測定開始前と同じ状態になるので、作業者は固定具15からガラス管Gを取外し、次に測定したガラス管Gをセットして前述した厚さ測定をふたたび行うことができる。
上記説明からも理解できるように、上記実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置によれば、サーボ用レーザ光がガラス管Gに対してZ軸方向から照射され、フォトディテクタ48がガラス管Gによる反射光を受光して、サーボ用レーザ光(測定用レーザ光)のガラス管Gに対するY軸方向のずれを表す受光信号を出力する。この出力された受光信号に基いて、Y軸方向エラー信号生成回路119、Y軸方向サーボ回路120及びY軸方向ドライブ回路121は圧電アクチュエータ25を駆動することにより、測定用レーザ光がガラス管Gの中心軸(X軸)と交差するように光ヘッド100をY軸方向にサーボ制御する。その結果、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、測定用レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と交差させることができるので、短時間でガラス管Gの全域の厚さを測定することができる。
また、上記実施形態においては、Y軸方向サーボ制御及びZ軸方向サーボ制御のための光学素子が、ガラス管Gの厚さを測定するための測定用光学素子と一体的にY軸方向にサーボ制御されるので、サーボ制御をクローズドループで行うことができる。その結果、ガラス管Gの中心軸のY軸方向への変動を精度よく検出することができ、測定用レーザ光の光軸を高精度でガラス管Gの中心軸と交差させるように制御できる。また、Y軸方向サーボ制御及びZ軸方向サーボ制御のための光学素子を、ガラス管Gの厚さを測定するための測定用光学素子を光ヘッド100内に設けるようにしたので、装置をコンパクトにすることができ、装置のコストを抑制することができる。
また、上記実施形態においては、サーボ用レーザ光を集光レンズ49及びナイフ51を介してフォトディテクタ50で受光し、この受光に基づいて、Z軸方向エラー信号生成回路122、Z軸方向サーボ回路123及びZ軸方向ドライブ回路124がフォーカスアクチュエータ44aを駆動することにより、対物レンズ44をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカス制御)する。これにより、対物レンズ44の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位を精度よく検出することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
上記実施形態では、測定用レーザ光源30、測定用の光学素子、サーボ用レーザ光源40及びサーボ用の光学素子の全てを光ヘッド100内に備えるようにしたが、図5に示すようにサーボ用レーザ光源40及びサーボ用の光学素子を備えた制御用ヘッド150を設け、この制御用ヘッド150をガラス管Gの厚さ測定位置付近をサーボ用レーザ光の光軸が通るように位置させてもよい。なお、この場合には、測定用レーザ光源30及び測定用の光学素子は測定用ヘッド100A内に設けられている。そして、この場合には、測定用ヘッド100Aと制御用ヘッド150とを同一の支持体に固定し、測定用ヘッド100Aと制御用ヘッド150とが一体でY軸方向サーボ制御が行われるようにすればよい。なお、この変形例においても、サーボ用レーザ光源40とサーボ用の光学素子の構成、及び測定用レーザ光源30と測定用の光学素子の構成は、上記実施形態の場合と同じである。
この変形例によっても、上記実施形態の場合と同じ効果が得られる。なお、測定精度を高くする必要がなければ、測定用ヘッド100Aと制御用ヘッド150とを同一の支持体に固定せず、制御用ヘッド150に関しては上記実施形態と同様なZ軸方向サーボ制御のみを行い、測定用ヘッド100Aに関してのみY軸方向サーボ制御を行うようにしてもよい。この場合は、Y軸方向サーボ制御はクローズドループ制御にならないが、測定精度を高くする必要がなければこれでも測定は可能である。
また、上記実施形態では、サーボ用レーザ光を集光する対物レンズ44をZ軸方向に駆動するZ軸方向サーボ制御にナイフエッジ法を用いたが、Z軸方向サーボ制御が可能であれば、どのようなサーボ制御でもよい。例えば、非点収差法によるZ軸方向サーボ制御を行ってもよいし、SSD法によるZ軸方向サーボ制御を行ってもよい。さらに、測定精度を高くする必要がなければ、Z軸方向サーボ制御を行わなくてもよい。
また、上記実施形態では、サーボ用レーザ光の反射光を使用してY軸方向サーボ制御を行ったが、ガラス管Gの直径が小さい場合には、図6に示すように、直径がガラス管Gの直径より大きな平行光をサーボ用レーザ光として出射する制御用ヘッド160を設け、ガラス管Gの射影を用いてY軸方向サーボ制御を行ってもよい。この場合、制御用ヘッド160は、サーボ用レーザ光源60を有する。サーボ用レーザ光源60から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ61で平行光に変換され、その大部分がビームスプリッタ62を通過してリレーレンズ63,64を介してガラス管Gに照射される。レーザ光の光軸は、Z軸方向である。リレーレンズ63,64は、レーザ光の断面径をガラス管Gの直径よりも大きくするために利用される。一方、ビームスプリッタ62で反射された一部のレーザ光は、集光レンズ65によりフォトディテクタ66の受光面に集光される。フォトディテクタ66は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。この場合も、上記実施形態と同様に、フォトディテクタ66によって検出された光の強度に応じてサーボ用レーザ光源60をフィードバック制御することにより、サーボ用レーザ光源60は常に適正な強度のレーザ光を出射する。
また、この変形例では、リレーレンズ63,64を介したレーザ光は、ガラス管Gの反対側に設けたフォトディテクタ67により受光される。フォトディテクタ67は、Y軸方向に2分割された2分割のフォトディテクタで構成され、測定用ヘッド100A内に設けられている。なお、この変形例においても、制御用ヘッド160と測定用ヘッド100Aは同一の支持体に固定されているが、高い測定精度を必要としない場合には、前記変形例のように同一の支持体に固定されていなくてもよい。
この場合、サーボ用レーザ光は、ガラス管Gの直径よりも大きな直径の平行光であるため、フォトディテクタ67の受光面には、ガラス管Gの影である棒状の射影が映し出される。このガラス管Gによってできた影を射影と呼び、射影とその周囲の光とを合わせて射影光と呼ぶ。フォトディテクタ67は、図7に示すように、受光領域が左右に(Y軸方向)2分割された受光領域A,Bに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。このフォトディテクタ67は、受光したサーボ用レーザ光(射影光L)における棒状の射影Sが受光領域A,Bの分割線DIVと平行になるように、かつ、Z軸方向から見てガラス管Gの中心軸が測定用レーザ光の光軸と交わるときにガラス管Gの射影Sが受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
フォトディテクタ67から出力される受光信号(a,b)は、上記実施形態のY軸方向エラー信号生成回路119に入力されて、上記実施形態の場合と同様に、光強度の差(a−b)が計算されてY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路120に出力される。Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、ガラス管Gの中心軸と測定用レーザ光のY軸方向におけるずれ量を表すものである。そして、このY軸方向エラー信号(a−b)を用いて、上テーブル24及び測定用ヘッド100AがY軸方向サーボ制御される。
図8は、ガラス管Gの位置をY軸方向に変化させたときのY軸方向エラー信号(a−b)の波高値を表したものである。図示するように、Y軸方向エラー信号(a−b)は、S字状波形となる。従って、S字状波形の山(c位置)から谷(a位置)までの範囲r(S字検出範囲rと呼ぶ)においては、ガラス管GのY軸方向のずれ量とY軸方向エラー信号(a−b)の大きさとが一対一に対応する。このため、S字検出範囲r内において、Y軸方向エラー信号(a−b)に基づいてガラス管GのY軸方向のずれ量を検出することができる。
例えば、ガラス管Gの位置がY軸方向にずれていない場合、(b)に示すように、フォトディテクタ67に映し出される射影Sは、受光面の中央に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)はゼロとなる。一方、ガラス管Gの位置がY軸方向における一方側(左側と呼ぶ)にずれている場合には、(a)に示すように、フォトディテクタ67に映し出される射影Sが受光面の左側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は負の値をとる。また、ガラス管Gの位置がY軸方向における他方側(右側と呼ぶ)にずれている場合には、(c)に示すように、フォトディテクタ67に映し出される射影Sが受光面の右側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は正の値をとる。したがって、この変形例によっても、上記実施形態と同様な効果が期待できる。
また、上記実施形態及び変形例では、サーボ用レーザ光をガラス管Gの厚さ測定位置付近に照射したが、ガラス管Gの中心軸の変動が小さければ、ガラス管Gの厚さ測定位置から離れた位置に照射してもよい。そして、反射光によってサーボ制御を行う形態であれば、制御用ヘッドを測定用ヘッドとは別に設けてもよい。また、射影によってサーボ制御を行う形態であっても、射影が形成されるフォトディテクタを測定用ヘッド内とは別のところに設けてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、ガラス管Gを軸線周りに回転させながら軸線方向(X軸方向)に移動させて、ガラス管Gの全域の厚さを測定したが、中心軸方向の1ラインの測定のみでよければ、ガラス管Gを軸線周りに回転させずに、厚さ測定を行ってもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、ガラス管Gを軸線方向(X軸方向)に移動させたが、ガラス管Gを固定し、光ヘッド100、測定用ヘッド100A及び制御用ヘッド150,160をX軸方向に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、光ヘッド100、測定用ヘッド100A及び制御用ヘッド150,160をY軸方向に移動させてY軸方向サーボ制御を行ったが、光ヘッド100、測定用ヘッド100A及び制御用ヘッド150,160を固定して、ガラス管Gを固定する治具をY軸方向に移動させてY軸方向サーボ制御を行ってもよい。
さらに、上記実施形態及び変形例では、Z軸方向の移動機構を設けたが、Z軸方向の移動機構をなくし、X軸方向の駆動限界位置をさらに上側にしてガラス管Gをセットできるようにしてもよい。