以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置の全体構成図である。この厚さ測定装置は、ガラス管などのような透光性管状物体の厚さを、レーザ光を透光性管状物体に照射して、透光性管状物体からの反射光を受光することにより測定するものである。透光性管状物体は、本実施形態では、細いガラス管Gである。厚さ測定装置は、ガラス管Gを保持して移動させるワーク駆動装置10と、分光ユニット100Aと協働してガラス管Gの厚さを測定するための光ヘッド100Bと、ワーク駆動装置10及び光ヘッド100Bを支持する支持装置20を備えている。
支持装置20は、水平部20a及び垂直部20bからなるL字型に一体形成されている。水平部20aの図示左端部側には、X軸方向フィードモータ11が組み付けられている。X軸方向フィードモータ11は、その出力回転軸をX軸方向(図面の上下方向)に延設されたスクリューロッド12の下端に連結させて、回転によりスクリューロッド12をX軸線周りに回転させる。なお、Y軸方向は紙面の垂直方向とし、Z軸方向は図面の左右方向とする。スクリューロッド12の上端は、垂直部20bの上端にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド12には、移動体13がナットを介して螺合されている。移動体13は、スクリューロッド12に対する回転が規制され、スクリューロッド12の回転によりスクリューロッド12の軸線方向に移動する。すなわち、移動体13は、スクリューロッド12との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
X軸方向フィードモータ11内には、エンコーダ11aが組み込まれている。このエンコーダ11aは、X軸方向フィードモータ11が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、その出力がハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。なお、パルス列信号ΦA,ΦBは互いにπ/2だけ位相のずれた信号であり、この位相ずれによりX軸方向フィードモータ11の回転方向が判別される。エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、X軸方向フィードモータ制御回路110と移動位置検出回路111に入力される。移動位置検出回路111は、後述するコントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をX軸方向フィードモータ制御回路110に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ11aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をX軸方向フィードモータ11の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数から移動体13の移動位置を計算してコントローラ200及びX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動体13の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では上側の移動限界位置)となる。
X軸方向フィードモータ制御回路110は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路111から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでX軸方向フィードモータ制御回路110を駆動して移動体13を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、X軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路111から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ11への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路111から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでX軸方向フィードモータ11を駆動して移動体13を移動させる。
また、X軸方向フィードモータ制御回路110には、移動体13の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ200により入力される。そして、コントローラ200から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ11aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBのX軸方向フィードモータ11の回転方向を含む単位時間当たりのパルス数から移動体13の移動方向を含む移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにX軸方向フィードモータ11を駆動制御する。
移動体13には、スピンドルモータ14が組み付けられている。スピンドルモータ14の出力回転軸の先端には、ガラス管Gの一端(上端)を固定するための固定具15が組み付けられている。したがって、固定具15にガラス管Gを固定した状態で、スピンドルモータ14を回転させることにより、ガラス管Gは軸線周りに回転する。
スピンドルモータ14内には、エンコーダ14aが組み込まれている。エンコーダ14aは、X軸方向フィードモータ11の場合と同様に、スピンドルモータ14の回転方向の情報を含むパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。また、エンコーダ14aは、基準回転位置ごとにインデックス信号Indexも出力する。エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、スピンドルモータ制御回路112に入力される。スピンドルモータ制御回路112は、コントローラ200からの指示により作動開始し、エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBの単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ14の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ200によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ14の回転を制御する。
エンコーダ14aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦB及びインデックス信号Indexは、回転角度検出回路113に入力される。回転角度検出回路113は、インデックス信号Indexの到来によりカウント値を「0」にリセットし、パルス列信号ΦA又はΦBの到来ごとにカウント値をアップさせて、カウント値をスピンドルモータ14の回転角度を表す信号としてコントローラ200に出力する。
支持装置20の水平部20aの図示右端部には、Z軸方向フィードモータ21が組み付けられている。Z軸方向フィードモータ21は、その出力回転軸をZ軸方向に延設されたスクリューロッド22の右端に連結させて、回転によりスクリューロッド22をZ軸線周りに回転させる。スクリューロッド22の左端は、水平部20aの上面にて突出させた突出部に回転可能に支持されている。スクリューロッド22には、テーブル23がナットを介して螺合されている。テーブル23は、スクリューロッド22に対する回転が規制され、スクリューロッド22の回転によりスクリューロッド22の軸線方向に移動する。すなわち、テーブル23は、スクリューロッド22との組み合わせによりねじ送り機構を構成している。
Z軸方向フィードモータ21内には、エンコーダ21aが組み込まれている。このエンコーダ21aも、X軸方向フィードモータ11と同様なパルス列信号ΦA,ΦBを出力する。エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBは、移動位置検出回路115に入力される。移動位置検出回路115は、コントローラ200からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ21aから出力されるパルス列信号ΦA,ΦBが入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ21aが出力するパルス列信号ΦA,ΦBのパルス数をZ軸方向フィードモータ21の回転方向に応じてカウントアップ又はカウントダウンする。そして積算したカウント数からテーブル23の移動位置を計算してコントローラ200及びZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、テーブル23の移動位置を制御する原点位置(本実施形態では右側の移動限界位置)となる。
Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200からの指示により作動開始し、コントローラ200から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路115から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ200から入力した設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、Z軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路115から移動限界位置を表す信号を入力するとX軸方向フィードモータ21への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路115から出力される移動位置がコントローラ200から入力した移動位置の設定値になるまでZ軸方向フィードモータ21を駆動してテーブル23を移動させる。
分光ユニット100Aは、図2Aに詳細に示すように、広波長帯域のレーザ光を出射するスーパー・ルミネセント・ダイオード光源30(以下、SLD(Super Luminescent Diode)光源30という)を有する。SLD光源30から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、リレーレンズ32,33で断面径が小さくされて、偏光ビームスプリッタ34に導かれる。偏光ビームスプリッタ34は、リレーレンズ32,33からの入射光をそのまま透過し、光ファイバー40を介して光ヘッド100Bに導く。SLD光源30には、レーザ駆動回路116が接続されている。レーザ駆動回路116は、コントローラ200に指示されて、SLD光源30を駆動制御する。なお、SLD光源30の光量は実際にはフィードバック制御されるが、このフィードバック制御は図示省略されている。
また、光ヘッド100Bから光ファイバー40を介して偏光ビームスプリッタ34に導かれたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ34で反射されて、反射型の回折格子35に導かれて一連のスペクトルに分散されてラインセンサ36に導かれる。ラインセンサ36は、CCD、CMOS等で形成されている。なお、前記反射型の回折格子35に代えて透光型の回折格子を用い、偏光ビームスプリッタ34からの反射光を透光型の回折格子を介してラインセンサ36に導くようにしてもよい。
ラインセンサ36には、データ処理装置117が接続されている。データ処理装置117は、コントローラ200の指示により、設定された頻度でラインセンサ36の各画素が出力する信号を信号の大きさを表すディジタル形式の大きさデータにA/D変換して、A/D変換した大きさデータを画素位置に対応させて記憶する。そして、データ処理装置117は、この記憶した大きさデータ(すなわち、受光曲線)を処理することでガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータをコントローラ200に出力することを繰り返す。
このガラス管Gの厚さの計算について簡単に説明しておく。後述するシリンドリカルレンズ59によってガラス管Gに照射されたレーザ光は、ガラス管Gの表面と裏面との両面で反射して、前記両面での反射光は互いに干渉する。この場合、SLD光源30から出射されてガラス管Gに導かれたレーザ光は広波長帯域のレーザ光(すなわち波長の異なる成分を含むレーザ光)であり、前記干渉は同じ波長のレーザ光同士でのみ行われて、この干渉による波長ごとのレーザ光の強度はガラス管Gの厚さに依存する。なお、シリンドリカルレンズ59の開口数(NA)は小さく、焦点深度はガラス管Gの厚さ以上である。よって、ガラス管Gの表面と裏面とでのレーザ光の反射光は、元の光路を戻って干渉する。
一方、回折格子35は、入射するレーザ光の波長によって回折の仕方を異ならせるので、ラインセンサ36の受光位置とレーザ光の波長とは対応関係にある。すなわち、回折格子35は、前記ガラス管Gの厚さに依存する干渉によって強度の大きさが異なるレーザ光の反射角を異ならせることになるので、ラインセンサ36の位置と受光強度との関係を表す受光曲線は、ガラス管Gの厚さに関係する。その結果、ガラス管Gの厚さが異なれば、干渉の結果としての波長ごとの光強度が異なるため、ラインセンサ36による受光曲線も異なり、受光曲線を解析することでガラス管Gの厚さを計算することができる。したがって、データ処理装置117からコントローラ200には、ガラス管Gの厚さを表す厚さデータが供給される。なお、受光曲線からガラス管Gの厚さを計算できない場合には、データ処理装置117からコントローラ200に「測定不可」を表すデータが供給される。
光ヘッド100Bは、テーブル23に固定されており、図1では平面内に全ての部品を網羅した概念図により示されている。図2B及び図2Cは、この光ヘッド100Bを詳細に示しており、図2Bは光ヘッド100Bをガラス管Gの中心軸方向(X軸方向)から見た図であり、図2Cは図2Bの光ヘッド100Bを図2BのC−C線に沿って(Z軸方向から)見た図である。なお、図2Bにおいては、分かり易くするために、見た方向に重なっている部品に関しては適宜省略されている。具体的には、図2Bでは、光ファイバー40から入射してガルバノミラー54までのレーザ光の光路上にある部品、及びガルバノミラー56からガルバノミラー54に入射してガルバノミラー54で反射したレーザ光の光路上にある部品が省略されている。
光ヘッド100Bは、光ファイバー40によって伝播されたレーザ光の断面径を大きくするためのリレーレンズ51,52を有する。リレーレンズ51,52によって断面径の大きくされたレーザ光は、ビームスプリッタ53を通過してガルバノミラー54に入射する。ガルバノミラー54は、モータ55によってY軸線に平行な直線周りに回転駆動される。この場合のY軸は後述するガルバノミラー56による反射後の座標軸で見た場合であり、以降、ガルバノミラー54の回転駆動を説明する場合のY軸も同様である。ガルバノミラー54で反射されたレーザ光はガルバノミラー56に導かれる。ガルバノミラー56は、モータ57によってX軸線に平行な直線周りに回転駆動される。ガルバノミラー56に導かれたレーザ光はガルバノミラー56で反射され、1/4波長板58及びシリンドリカルレンズ59を介してガラス管Gの表面に照射される。シリンドリカルレンズ59は、X軸方向とZ軸方向に垂直であるY軸方向にのみレーザ光を集光する。したがって、レーザ光の焦点位置ではX軸方向にレーザ光の断面直径と同じ長さのラインが形成される。このようにレーザ光を照射する理由は、管状物体におけるY軸周りサーボを可能にするためである。なお、Y軸周りサーボに関しては、詳しく後述する。
レーザ光のガラス管Gからの反射光は、シリンドリカルレンズ59によって平行光に変換されて1/4波長板58を介してガルバノミラー56に入射し、ガルバノミラー56で反射されてガルバノミラー54に導かれる。ガルバノミラー54に導かれたレーザ光はガルバノミラー54で反射されて、ビームスプリッタ53に導かれる。ガルバノミラー54で反射されてビームスプリッタ53に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ53を透過して、リレーレンズ52,51によって断面径が小さくされて光ファイバー40内に導かれ、光ファイバー40を介して分光ユニット100Aに導かれて厚さ測定に用いられる。また、ガルバノミラー54で反射されてビームスプリッタ53に入射したレーザ光の一部はビームスプリッタ53で反射されて、ビームスプリッタ61に導かれてサーボ制御に用いられる。
ビームスプリッタ53で反射されたレーザ光は、その一部がビームスプリッタ61を透過し、その一部がビームスプリッタ61で反射する。ビームスプリッタ61を透過したサーボ用レーザ光は、4分割フォトディテクタ62で受光される。4分割フォトディテクタ62は、図3A及び図3Bに示すように、受光領域がX−Y平面において上下左右に4分割された4つの受光素子を備え、その受光領域A,B,C,Dに入射したサーボ用レーザ光の強度に比例した検出信号を受光信号a,b,c,dとしてそれぞれ出力する。
図3Aは、ガラス管GのY軸方向の変位と、光ヘッド100Bの4分割フォトディテクタ62における反射光の受光状態とを示した図である。なお、ガラス管Gとシリンドリカルレンズ59は、X軸方向から見た図である。ガラス管GがY軸方向の中立位置にあれば、図3A(b)に示すように、シリンドリカルレンズ59によって集光されるX軸方向に延びたライン状のレーザ光はガラス管Gの表面のY軸方向中心位置に位置する。そして、4分割フォトディテクタ62上に形成される光スポットは、図3A(b)に示すように、4分割フォトディテクタ62の4分割領域の少なくとも図示左右方向中心に位置し、少なくとも受光信号c,dの和(c+d)と受光信号a,bの和(a+b)とは等しくなる。一方、ガラス管Gが前記中立位置からY軸方向にずれると、図3A(a)(c)に示すように、シリンドリカルレンズ59によって集光されるX軸方向に延びたライン状のレーザ光はガラス管Gの表面のY軸方向中心位置からY軸方向にずれて位置する。そして、4分割フォトディテクタ62上に形成される光スポットは、図3A(a)(c)に示すように、中心位置から図示左右方向にずれて、受光信号c,dの和(c+d)が受光信号a,bの和(a+b)より大きくなるか、受光信号a,bの和(a+b)が受光信号c,dの和(c+d)より大きくなる。
図3Bは、ガラス管GのY軸周りの傾きの変化と、光ヘッド100Bの4分割フォトディテクタ62における反射光の受光状態を示した図である。なお、ガラス管Gとシリンドリカルレンズ59に関しては、Y軸方向から見た図である。ガラス管GがY軸周りに中立位置にあれば、すなわちガラス管GがX軸方向に平行であれば、図3A(b)に示すように、レーザ光はガラス管Gの延設方向に垂直に入射するとともに垂直に反射される。そして、4分割フォトディテクタ62上に形成される光スポットは、図3B(b)に示すように、4分割フォトディテクタ62の4分割領域の少なくとも図示上下方向中心に位置し、少なくとも受光信号b,cの和(b+c)と受光信号a,dの和(a+d)とは等しくなる。一方、ガラス管Gが前記中立位置からY軸方向周りに傾くと、図3B(a)(c)に示すように、レーザ光はガラス管Gの延設方向に対して傾いて入射し、かつ反対方向に傾いて反射される。そして、4分割フォトディテクタ62上に形成される光スポットは、図3B(a)(c)に示すように、中心位置から図示上下方向にずれて、受光信号b,cの和(b+c)が受光信号a,dの和(a+d)より大きくなるか、受光信号a,dの和(a+d)が受光信号b,cの和(b+c)より大きくなる。
4分割フォトディテクタ62から出力される受光信号a,b,c,dは、Y軸方向エラー信号生成回路118及びY軸周り角度エラー信号生成回路121に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路118は、受光信号a,b,c,dを増幅した後、Y軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)を演算によって生成する。このY軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)は、ガラス管Gの測定箇所におけるY軸方向の中立位置からのずれ量を表している(図3A(a)〜(c)参照)。このY軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)は、Y軸方向サーボ回路119に供給される。Y軸方向サーボ回路119は、前記Y軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)が「0」になるようにY軸方向サーボ信号を生成して、Y軸方向ドライブ回路120に出力する。Y軸方向ドライブ回路120は、このY軸方向サーボ信号に基づいてモータ57をサーボ制御して、ガルバノミラー56をX軸周りに回転させる。したがって、Y軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)が「0」になるように、ガルバノミラー56がX軸周りに回転制御される。これにより、レーザ光のガラス管Gに対する照射位置がY軸方向にサーボ制御される。
また、Y軸周り角度エラー信号生成回路121は、受光信号a,b,c,dを増幅した後、Y軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)を演算によって生成する。このY軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)は、ガラス管GのY軸線周りにおける中立位置からのずれ量(ずれ角度)を表している(図3B(a)〜(c)参照)。このY軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)は、Y軸周り角度サーボ回路122に供給される。Y軸周り角度サーボ回路122は、前記Y軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)が「0」になるようにY軸周り角度サーボ信号を生成して、Y軸周り角度ドライブ回路123に出力する。Y軸周り角度ドライブ回路123は、このY軸周り角度サーボ信号に基づいてモータ55をサーボ制御して、ガルバノミラー54をY軸周りに回転させる。したがって、Y軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)が「0」になるように、ガルバノミラー54がY軸周りに回転制御される。これにより、レーザ光のガラス管Gに対する照射方向がY軸周りにサーボ制御される。このようなY軸方向サーボ制御及びY軸周り角度サーボ制御により、レーザ光がガラス管Gの中心軸に垂直に照射されるようになる。
ここで、レーザ光をY軸方向にのみ集光する理由について、図4を用いて説明しておく。説明を分かり易くするために、ガラス管GのZ軸周りの傾きを誇張して示している。図4(a)は、Z軸周りの傾きが「0」である状態を、Z軸方向から見て示している。この状態では、ガラス管Gの表面と、ガラス管Gの中心線と交差するX軸に平行な線X1(この場合はガラス管Gの中心線と同じ)を含むX−Z面とが交差する線は直線状となる。図4(b)は、Z軸周りの傾きが「0」でない状態を、Z軸方向から見て示している。この状態では、ガラス管Gの表面と、ガラス管Gの中心線と交差するX軸に平行な線X1を含むX−Z面とが交差する線は楕円状となる。
ガラス管Gの傾きは、Y軸周りとZ軸周りの2方向とでそれぞれ起こる。いま、レーザ光を凸レンズ59xで集光した図4(c)の場合と、本実施形態のようにレーザ光をシリンドリカルレンズ59でY軸方向のみに集光した図4(d)の場合とを想定する。なお、図4(c)(d)は、共にY軸方向から見た図である。これらの図4(c)(d)において、ガラス管GのZ軸周りの傾きが「0」である場合(図4(a)参照)には、ガラス管Gの中心線と交差するX軸に変更な線X1を含むX−Z面でガラス管Gを切断した切断面は、実線で示す直線状となる。一方、ガラス管GのZ軸周りの傾きが「0」でない場合(図4(b)参照)には、ガラス管Gの中心線と交差するX軸に平行な線X1を含むX−Z面でガラス管Gを切断した切断面は、破線で示す楕円状となる。
ガラス管GのY軸周りの傾き及びZ軸周りの傾きが「0」である状態で、図4(c)に示すように、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにレーザ光を凸レンズ59xによりガラス管Gの表面に集光した場合、レーザ光の集光点はA点となる。なお、このA点は、ガラス管GのY軸周りの傾き及びZ軸周りの傾きが「0」である状態において、レーザ光の光軸がガラス管Gの表面と直交する点である。また、このA点は、Z軸周りの傾きが「0」である状態におけるガラス管G(図示実線で示すガラス管G)と、Z軸周りの傾きが「0」でない状態におけるガラス管G(図示破線で示すガラス管G)とが接する点でもある。そして、ガラス管GのZ軸周りの傾きを「0」に保った状態で、ガラス管GがY軸周りに傾いた場合、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにするためには、レーザ光を凸レンズ59xにより、ガラス管Gの表面のB点で集光させる必要がある。このB点は、レーザ光の光軸が実線で示すガラス管Gの表面と直交する点である。しかし、ガラス管GのZ軸周りの傾きが「0」でない場合、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにするためには、レーザ光を凸レンズ59xにより、ガラス管Gの表面のC点でレーザ光を集光させる必要がある。このC点は、レーザ光の光軸が破線で示すガラス管Gの表面と直交する点である。そして、B点とC点とはある程度の距離を有する。すなわち、ガラス管GのY軸周りの傾きが同一であって、前記演算(a+d)−(b+c)によるY軸周り角度エラー信号の大きさが同一であっても、ガラス管GのZ軸周りの傾きの程度により、レーザ光が移動されるべき距離は異なってくる。このことは、レーザ光を凸レンズ59xによって1点に集光した場合には、Y軸周り角度のサーボ制御は不可能であることを示している。
次に、図4(d)に示すように、シリンドリカルレンズ59により、レーザ光をY軸方向にのみにレーザ光を集光させてガラス管Gの表面にて照射した場合を考える。この場合も、ガラス管GのY軸周りの傾き及びZ軸周りの傾きが「0」である状態で、図4(d)に示すように、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにレーザ光をシリンドリカルレンズ59によりガラス管Gの表面に集光した場合、レーザ光の中心は前記図4(c)の場合と同様なA点となる。また、ガラス管GのZ軸周りの傾きを「0」に保った状態で、ガラス管GがY軸周りに傾いた場合、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにするためには、シリンドリカルレンズ59により、レーザ光をガラス管Gの表面で集光させてその中心を前記4(c)の場合と同様なB点とする必要がある。また、ガラス管GのZ軸周りの傾きが「0」でない場合、ガラス管Gに対する照射レーザ光の光軸と反射レーザ光の光軸とが同一となるようにするためには、シリンドリカルレンズ59により、レーザ光をガラス管Gの表面で集光させてその中心を前記4(c)の場合と同様なC点とする必要がある。この場合、B点とC点の距離は前記4(c)の場合より小さくなり、ガラス管GのZ軸周りの傾きが小さければ、B点とC点の距離は、極めて短く、ほぼ一致している。これは、シリンドリカルレンズ59によってY軸方向にのみ集光させたレーザ光すなわちX軸方向に延設されたレーザ光は、そのX軸方向の位置がレーザ光の光軸がガラス管Gの法線と一致する点(図4(c)のC点)から離れるほど反射角は大きくなるが、ガラス管GのX−Z面における表面である破線はA点に短軸のある楕円であるので図示下側より図示上側にいくほど、反射角度の大きくなる度合いが大きい。したがって、レーザ光の中心位置であるC点がレーザ光の光軸がガラス管Gの法線と一致する点(図4(c)のC点)にあると、Y軸周り角度エラー信号を計算するための演算(a+d)−(b+c)における項(a+d)の値が小さくなり、(a+d)−(b+c)は「0」にならない。(a+d)の値と(b+c)の値を等しくして(a+d)−(b+c)を「0」にするためには、レーザ光の中心位置であるC点をB点に近づけてやらなければならない。これは、ガラス管GのZ軸周りの傾きの程度によらず、Y軸周り角度エラー信号の大きさからレーザ光が移動されるべき距離はほぼ同一であることを示している。その結果、シリンドリカルレンズ59を用いてY軸方向にのみ集光されてX軸方向に延設されたレーザ光をガラス管Gの表面に照射すれば、Y軸周り角度のサーボ制御は可能である。
なお、レーザ光をX軸方向にライン状にしてガラス管Gに照射するために、測定されるガラス管の厚さは1点ではなく、ラインの箇所の平均になる。しかし、ガラス管Gの厚さがライン長さ(集光する前のレーザ光の断面直径)程度の小さな領域で大きく変動していることはないので、このようにしてもガラス管Gの厚さ測定には影響しない。
ビームスプリッタ61で反射されたサーボ用レーザ光の半分は、集光レンズ63にて2分割フォトディテクタ64に集光される。集光レンズ63と2分割フォトディテクタ64との間にはナイフ65が設けられている。これら集光レンズ63、2分割フォトディテクタ64及びナイフ65は、光ディスク装置でよく用いられる周知のナイフエッジ法によるフォーカスサーボに利用されるものである。2分割フォトディテクタ64は、領域ごとの入射したサーボ用レーザ光の強度を表す信号をそれぞれZ軸方向エラー信号生成回路124に出力する。
Z軸方向エラー信号生成回路124は、入力した2信号の差をZ軸方向エラー信号(フォーカスエラー信号)として、Z軸方向サーボ回路125に出力する。そして、Z軸方向サーボ回路125はZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路126に出力し、Z軸方向ドライブ回路126はこのZ軸方向サーボ信号に基づいてZ軸方向アクチュエータ59aを駆動制御する。Z軸方向アクチュエータ59aは、シリンドリカルレンズ59を光軸方向(Z軸方向)に変位させて、サーボ用レーザ光の焦点を光軸方向に変位させる。これにより、サーボ用レーザ光の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向位置及びY軸周りの傾き角度を精度よく検出することができる。ナイフエッジ法を用いるのは、2分割フォトディテクタ64が出力する2つの信号の差が、ガラス管GのY軸方向位置及び傾きによらず、Z軸方向の変位のみにより起こるようにするためである。
また、Z軸方向サーボ回路125には、直流成分検出回路127が接続されている。直流成分検出回路127は、Z軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を検出してスレッドサーボ回路128に出力する。スレッドサーボ回路128は、コントローラ200によって指示されて、直流成分検出回路127から出力される信号の直流成分が「0」になるように制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、コントローラ200からの移動位置の指示によるZ軸方向フィードモータ21の制御に加えて、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21をフィードバック制御する。これにより、光ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、シリンドリカルレンズ59が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
また、この透光性管状物体の厚さ測定装置は、コントローラ200、入力装置202及び表示装置204も備えている。コントローラ200は、CPU、ROM、RAM、タイマ及びハードディスクなどの大容量の不揮発性メモリを有するコンピュータ装置によって構成され、図4A及び図4Bに示す厚さ測定プログラムの実行により、各種回路を制御してガラス管Gの厚さを測定する。入力装置202は、キーボードからなり、作業者が種々の情報を入力するとともに、コントローラ200の作動に対して指示をする。表示装置204は、コントローラ200によって制御された各種情報を表示する。
次に、上記のように構成した厚さ測定装置の動作を説明する。まず、作業者は、ガラス管Gの上端部を固定具15に固定し、入力装置202を操作してガラス管Gの長さを入力する。そして、作業者は、入力装置202を操作することにより、コントローラ200に図5A及び図5Bの厚さ測定プログラムを実行させる。
コントローラ200は、この厚さ測定プログラムの実行を図5AのステップS100にて開始して、ステップS102にて変数nを「0」に設定する。この変数nは、データ処理装置117からの厚さデータ、回転角度検出回路113からの回転角度データ、及び移動位置検出回路111からのX軸方向位置データの取込みタイミングを規定するものである。
前記ステップS102の処理後、コントローラ200は、ステップS104にて、X軸方向フィードモータ制御回路110に対してガラス管Gを測定開始位置まで移動するように指示する。具体的には、レーザ光のX軸方向中心位置がガラス管Gの測定開始点に照射されるようなX軸方向位置を測定開始位置としてX軸方向フィードモータ制御回路110に出力する。測定開始位置は、以下のA,B,CからA−B+Cの計算を行うことで求められる。なお、A,Cは予めコントローラ200に記憶されている。
A:移動体13のX軸方向位置が原点位置にある状態(すなわち移動体13の上側移動限界位置にある状態)で、固定具15にガラス管Gを固定したときに固定具15内でガラス管Gの上側の先端位置からレーザ光のX軸方向中心位置までのX軸方向距離
B:入力装置202を用いて入力されたガラス管Gの長さ(B<A)
C:ガラス管Gにおける下側の先端位置から測定開始点までの距離
X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11を回転させることにより、スクリューロッド12を軸線周りに回転させて移動体13をX軸方向に移動させ、ガラス管GをX軸線方向に測定開始位置に向かって移動させる。このガラス管GのX軸方向への移動中、X軸方向フィードモータ制御回路110は、移動位置検出回路111から移動体13(すなわちガラス管G)のX軸方向位置を表すX軸方向位置データを入力している。そして、入力したX軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定開始位置を示すと、X軸方向フィードモータ制御回路110は、X軸方向フィードモータ11の回転を停止させて、移動体13及びガラス管GのX軸方向への移動を停止させる。
一方、コントローラ200も、前記ステップS104の処理後、ステップS106にて、移動位置検出回路111からX軸方向位置データを入力して、入力したX軸方向位置データが測定開始位置以上になったかを判定する。X軸方向位置データが測定開始位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS106にて「No」と判定し続けて、ステップS106の処理を繰り返し実行する。そして、X軸方向位置データが測定開始位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS106にて「Yes」と判定して、ステップS108に進む。
ステップS108においては、コントローラ200は、Z軸方向フィードモータ制御回路114に対して光ヘッド100Bを測定用設定位置まで移動するように指示する。具体的には、レーザ光がガラス管Gの外周面上にY軸方向に集光されてX軸方向に延びたライン状のレーザ光が形成されるようなZ軸方向位置を測定用設定位置としてZ軸方向フィードモータ制御回路114に出力する。Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21を回転させることにより、スクリューロッド22を軸線周りに回転させてテーブル23をZ軸方向に移動させ、テーブル23及び光ヘッド100BをZ軸方向に測定用設定位置に向かって移動させる。このテーブル23及び光ヘッド100BのZ軸方向への移動中、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、移動位置検出回路115からテーブル23(すなわち光ヘッド100B)のZ軸方向位置を表すZ軸方向位置データを入力している。そして、入力したZ軸方向位置データがコントローラ200から入力された測定用設定位置を示すと、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、Z軸方向フィードモータ21の回転を停止させて、テーブル23及び光ヘッド100BのZ軸方向への移動を停止させる。
一方、コントローラ200も、前記ステップS108の処理後、ステップS110にて、移動位置検出回路115からZ軸方向位置データを入力して、入力したZ軸方向位置データが測定用設定位置以上になったかを判定する。Z軸方向位置データが測定用設定位置以上にならなければ、コントローラ200はステップS110にて「No」と判定し続けて、ステップS110の処理を繰り返し実行する。そして、Z軸方向位置データが測定用設定位置以上になった時点で、コントローラ200は、ステップS110にて「Yes」と判定して、ステップS112に進む。ステップS112においては、コントローラ200は、レーザ駆動回路116を作動させて、SLD光源30を駆動することにより測定用及びサーボ用を兼用した広波長帯域のレーザ光を出射させる。この場合、レーザ光の強度に関するフィードバック制御が省略されている。
SLD光源30から出射された測定用レーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換され、リレーレンズ32,33によって断面径が小さくされて、光ファイバー40を伝播して、分光ユニット100Aから光ヘッド100Bに導かれる。光ヘッド100Bにおいては、光ファイバー40によって伝播されたレーザ光は、リレーレンズ51,52によって断面径が大きくされ、ビームスプリッタ53を介してガルバノミラー54に入射する。ガルバノミラー54は、この入射レーザ光を反射してガルバノミラー56に入射させる。ガルバノミラー56は、入射されたレーザ光を反射して1/4波長板58を介してシリンドリカルレンズ59に入射させる。シリンドリカルレンズ59は、入射したレーザ光をY軸方向に集光して、ガラス管Gの表面にX軸方向に延設されたライン状のレーザ光を照射する。ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、まずガラス管Gの外周面で反射され、シリンドリカルレンズ59に入射する。また、ガラス管Gに照射されたレーザ光の一部は、ガラス管Gの肉厚部分に侵入し、ガラス管Gの内周面で反射してガラス管Gの肉厚部を介してシリンドリカルレンズ59に入射する。したがって、ガラス管Gの外周面で反射したレーザ光と、ガラス管Gの内周面で反射したレーザ光は干渉し合って、シリンドリカルレンズ59に入射する。したがって、ガラス管Gの厚さにより、波長に応じて強度が異なる干渉レーザ光がシリンドリカルレンズ59に入射することになる。
シリンドリカルレンズ59に入射したレーザ光は、シリンドリカルレンズ59によって平行光に変換されて、1/4波長板58を介してガルバノミラー56に導かれて、ガルバノミラー56で反射してガルバノミラー54に入射する。ガルバノミラー54は、入射したレーザ光を反射してビームスプリッタ53に導く。ビームスプリッタ53は、入射したレーザ光の一部を透過してリレーレンズ52,51により断面径を小さくして、光ファイバー40を介して分光ユニット100Aに測定用レーザ光として導く。分光ユニット100Aにおいては、光ファイバー40によって伝播された測定用レーザ光を、偏光ビームスプリッタ34で反射させて、回折格子35に入射させる。回折格子35は、入射した測定用レーザ光を、波長に応じて反射角を異ならせてラインセンサ36に入射させる。
一方、ビームスプリッタ53は、ガルバノミラー54から入射したレーザ光の一部を反射して、サーボ用レーザ光としてビームスプリッタ61に入射させる。ビームスプリッタ61は、サーボ用レーザ光の半分を透過して4分割フォトディテクタ62で受光される。残りの半分はビームスプリッタ61で反射して、集光レンズ63によって集光され、ナイフ65を介して2分割フォトディテクタ64に導かれる。4分割フォトディテクタ62で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号a,b,c,dはY軸方向エラー信号生成回路118及びY軸周り角度エラー信号生成回路121に供給される。Y軸方向エラー信号生成回路118は、Y軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)を生成する。Y軸周り角度エラー信号生成回路121は、Y軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)を生成する。一方、2分割フォトディテクタ64で受光されたサーボ用レーザ光の受光量を表す受光信号はZ軸方向エラー信号生成回路124に供給され、Z軸方向エラー信号生成回路124はこの受光信号に基づいてZ軸方向エラー信号(フォーカスエラー信号)を生成する。
前記ステップS112の処理後、コントローラ200は、ステップS114にて、Y軸周り角度サーボ回路122に作動開始を指示する。これに応答して、Y軸周り角度サーボ回路122は、作動を開始して、Y軸周り角度エラー信号生成回路121から入力したY軸周り角度エラー信号(a+d)−(b+c)に基づいてY軸周り角度サーボ信号を作成し、Y軸周り角度ドライブ回路123を介してモータ55を駆動制御して、ガルバノミラー54のY軸方向に平行な直線周りの回転をサーボ制御する。したがって、4分割フォトディテクタ62に受光されたサーボ用レーザ光の反射光が、受光面の少なくとも上下方向の中央に維持されるようにガルバノミラー54のY軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなり、ガラス管GがY軸周りに傾いても、その傾き角度に応じてガルバノミラー54がY軸方向に平行な直線周りに回転制御され、X軸方向に延設されたライン状のレーザ光の中心軸がガラス管Gの中心軸と垂直に交差するように維持される。
次に、コントローラ200は、ステップS116にてY軸方向サーボ回路119に作動開始を指示する。これに応答して、Y軸方向サーボ回路119は、作動を開始して、Y軸方向エラー信号生成回路118から入力したY軸方向エラー信号(a+b)−(c+d)に基づいてY軸方向サーボ信号を作成し、Y軸方向ドライブ回路120を介してモータ57を駆動制御して、ガルバノミラー56のX軸方向に平行な直線周りの回転をサーボ制御する。したがって、4分割フォトディテクタ62に受光されたサーボ用レーザ光の反射光が、受光面の少なくとも左右方向の中央に維持されるようにガルバノミラー56のX軸方向に平行な直線周りの回転角がサーボ制御されることとなり、ガラス管GがY軸方向に変位しても、その変位に応じてガルバノミラー56がX軸方向に平行な直線周りに回転制御され、X軸方向に延設されたライン状のレーザ光の中心軸がガラス管GのY軸方向の中心位置に維持される。
次に、コントローラ200は、ステップS118にてZ軸方向サーボ回路125に作動開始を指示する。これに応答して、Z軸方向サーボ回路125は、作動を開始して、Z軸方向エラー信号生成回路124から入力したZ軸方向エラー信号に基づいてZ軸方向サーボ信号を発生し、Z軸方向ドライブ回路126を介してZ軸方向アクチュエータ59aを駆動して、シリンドリカルレンズ59をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカスサーボ制御)する。これにより、Y軸方向に集光させたライン状のレーザ光の焦点をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位及びY軸周りの傾きを精度よく検出することができる。
前記ステップS118の処理後、コントローラ200は、ステップS120にて、スレッドサーボ回路128に作動開始を指示する。スレッドサーボ回路128は、この作動開始に応答して作動を開始し、直流成分検出回路127によって検出された、Z軸方向サーボ回路125から供給されるZ軸方向サーボ信号に含まれる直流成分を「0」に制御するサーボ制御信号を生成して、生成したサーボ制御信号をZ軸方向フィードモータ制御回路114に供給する。そして、Z軸方向フィードモータ制御回路114は、このサーボ制御信号に応じてZ軸方向フィードモータ21の回転を制御して、テーブル23すなわち光ヘッド100BのZ軸方向にサーボ制御する。これにより、ガラス管Gの径によらず、光ヘッド100Bからガラス管Gまでの距離は、常に、シリンドリカルレンズ59が中立位置を中心にZ軸方向に変動する距離となる。
前記ステップS120の処理後、コントローラ200は、ステップS122にて、データ処理装置117に対して作動開始を指示する。これに応答して、データ処理装置117は、設定された頻度でラインセンサ36の各画素が出力する信号の大きさを表す信号を入力して、この入力した信号に基いてガラス管Gの厚さを計算し、計算した厚さを表す厚さデータを予め決められた周期でコントローラ200に出力し始める。
次に、コントローラ200は、ステップS124にて、スピンドルモータ制御回路112にガラス管Gの軸線周りの回転開始を指示するとともに、回転速度も指示する。スピンドルモータ制御回路112は、エンコーダ14aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したスピンドルモータ14の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された回転速度で回転するように、スピンドルモータ14を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された回転速度で軸線周りに回転し始める。次に、コントローラ200は、ステップS126にて、回転角度検出回路113に作動開始を指示する。これにより、回転角度検出回路113は、スピンドルモータ14の回転角度(ガラス管Gの軸線周りの回転角度)を表す回転角度データをコントローラ200に出力し始める。
前記ステップS126の処理後、コントローラ200は、ステップS128にて、X軸方向フィードモータ制御回路110にガラス管GのX軸方向への移動開始を指示するとともに、移動速度も指示する。X軸方向フィードモータ制御回路110は、エンコーダ11aからのパルス列信号ΦA,ΦBに基づいて計算したX軸方向フィードモータ11の回転速度を用いて、ガラス管Gが前記指示された移動速度でX軸方向(図示下方向)に移動するように、X軸方向フィードモータ11を回転させ始める。これにより、ガラス管Gは、前記指示された移動速度でX軸方向に移動し始める。
次に、コントローラ200は、図5BのステップS130にて、タイマによる時間計測を開始させる。そして、コントローラ200は、ステップS132にて計測時間が所定の短時間Tに変数nを乗算した乗算結果nT以上であるかを判定する。いま、変数nは「0」であるので、コントローラ200は、ステップS132にて「Yes」と判定して、ステップS134にてデータ処理装置117からガラス管Gの厚さを表す厚さデータを取込み、この取込んだ厚さデータをメモリに記憶する。次に、コントローラ200は、ステップS136にて回転角度検出回路113から回転角度データを取込み、ステップS138にて移動位置検出回路111からX軸方向位置データを取込む。そして、これらの取込んだ回転角度データ及びX方向位置データを、前記厚さデータと対応付けてメモリに記憶しておく。
前記ステップS138の処理後、コントローラ200は、ステップS140にて、前記取込んだX軸方向位置データによって表されたX軸方向位置が測定終了位置以上を示しているか、すなわちガラス管Gの長さから設定される測定終了位置以上にガラス管Gが既に移動されたかを判定する。また、コントローラ200は、ステップS144において、データ処理装置117から「測定不可」を表す信号を入力したかを判定する。X軸方向位置が測定終了位置以上を示しておらず、かつデータ処理装置117からも「測定不可」を表す信号を入力していなければ、コントローラ200は、ステップS140,S142にて共に「No」と判定して、ステップS144にて変数nに「1」を加算して、ステップS132に戻る。そして、計測開始されてからの時間がnT以上になるごとに、コントローラ200は、前述したステップS134〜S144の処理を繰り返し行う。これにより、メモリには、回転角度データによって表されたガラス管Gの軸線周りの角度及びX方向位置データによって表されたガラス管Gの軸線方向位置ごとに、ガラス管Gの厚さを表すデータが記憶されていく。
また、前記ステップS132〜S144からなる循環処理中、X軸方向位置が測定終了位置以上を示し、又はデータ処理装置117から「測定不可」を表す信号を入力した場合には、コントローラ200は、ステップS140又はステップS142にて「Yes」と判定してステップS146以降へ進む。
コントローラ200は、ステップS146にてスピンドルモータ制御回路112にスピンドルモータ14の作動停止を指示する。これにより、スピンドルモータ制御回路112はスピンドルモータ14の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線周りの回転が停止する。つぎに、コントローラ200は、ステップS148にてX軸方向フィードモータ制御回路110にX軸方向フィードモータ11の作動停止を指示する。これにより、X軸方向フィードモータ制御回路110はX軸方向フィードモータ11の回転を停止させ、ガラス管Gの軸線方向(X軸方向)の移動が停止する。次に、コントローラ200は、ステップS150にてY軸周り角度サーボ回路122に作動停止を指示し、ステップS152にてY軸方向サーボ回路119に作動停止を指示し、ステップS154にてZ軸方向サーボ回路125に作動停止を指示する。これらの処理により、ガルバノミラー54のY軸方向に平行な軸線周りの回転角のサーボ制御(Y軸周り角度サーボ制御)、ガルバノミラー56のX軸方向に平行な直線周りの回転角のサーボ制御(Y軸方向のサーボ制御)及びシリンドリカルレンズ59のZ軸方向へのサーボ制御(フォーカスサーボ制御)も停止する。
前記ステップS154の処理後、コントローラ200は、ステップS156にてレーザ駆動回路116にSLD光源30の駆動停止を指示する。これにより、SLD光源30によるレーザ光のガラス管Gに対する照射が停止する。次に、コントローラ200は、ステップS158にて回転角度検出回路113の作動停止を指示し、ステップS160にてデータ処理装置117の作動停止を指示する。これにより、回転角度検出回路113が作動停止して角度データがコントローラ200に入力されなくなるとともに、データ処理装置117も作動停止して厚さデータがコントローラ200に入力されなくなる。
前記ステップS160の処理後、コントローラ200は、ステップS162にてX軸方向フィードモータ制御回路110に移動体13のX軸方向駆動限界位置への移動を指示し、ステップS164にてZ軸方向フィードモータ制御回路114にテーブル23のZ軸方向駆動限界値への移動を指示する。これらの移動指示により、X軸方向フィードモータ制御回路110は移動体13をX軸方向駆動限界位置まで移動させ、Z軸方向フィードモータ制御回路114がテーブル23をZ軸方向駆動限界値まで移動させる。これにより、ガラス管Gの厚さ測定開始前と同じ状態になるので、作業者は固定具15からガラス管Gを取外し、次に測定したいガラス管Gをセットして前述した厚さ測定をふたたび行うことができる。そして、コントローラ200は、ステップS166にて前述したガラス管Gの厚さの測定結果を表示装置204に表示して、ステップS168にて厚さ測定プログラムの実行を終了する。
上記説明からも理解できるように、上記実施形態に係る透光性管状物体の厚さ測定装置によれば、分光ユニット100AのSLD光源30から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ31で平行光に変換されて、光ファイバー40を介して光ヘッド100Bに導かれる。そして、光ヘッド100Bにおいて、前記導かれたレーザ光がシリンドリカルレンズ59でガラス管Gの表面に集光され、ガラス管Gからの反射光が光ヘッド100B及び光ファイバー40を介して分光ユニット100Aに戻される。分光ユニット100Aにおいては、回折格子35を介してラインセンサ36に導かれ、ラインセンサ36に接続されたデータ処理装置117により、ガラス管Gの厚さが測定される。
この場合、4分割フォトディテクタ62は、ビームスプリッタ53,61を介してガラス管Gからの反射光の一部を分割して入射する。そして、Y軸方向エラー信号生成回路118は、4分割フォトディテクタ62によって検出された受光量を用いて、ガラス管Gに照射されるライン状のレーザ光の、ガラス管Gの中心軸に対するY軸線方向のずれ量を、Y軸方向エラー信号として検出する。また、Y軸周り角度エラー信号生成回路121は、4分割フォトディテクタ62によって検出された受光量を用いて、ガラス管Gに照射されるライン状のレーザ光の、ガラス管Gの中心軸とY軸線方向とに直交する垂線に対するY軸線周りの回転角のずれ量を、Y軸周り角度エラー信号として検出する。Y軸方向サーボ回路119及びY軸方向ドライブ回路120は、前記検出されたY軸方向エラー信号を用いて、ガラス管Gに照射されるライン状のレーザ光がガラス管Gの中心軸に照射されるようにガルバノミラー56を回転駆動するモータ57をサーボ制御する。また、Y軸周り角度サーボ回路122及びY軸周り角度ドライブ回路123は、前記検出されたY軸周り角度エラー信号を用いて、ガラス管Gに照射されるライン状のレーザ光がガラス管Gの中心軸に垂直に照射されるようにガルバノミラー54を回転駆動するモータ55をサーボ制御する。また、シリンドリカルレンズ59が、ガラス管Gに出射されるレーザ光をY軸線方向のみに集光させて、ガラス管GにX軸線方向に延びたライン状のレーザ光を照射することにより、ガラス管GのZ軸線周りの角度が一定でなくても、前記サーボ制御が有効に行われる。これにより、ガラス管Gの中心軸が設定された位置からずれている場合でも、レーザ光の光軸を常にガラス管Gの中心軸と垂直と交差させることができる。その結果、上記実施形態によれば、短時間でガラス管Gの全域の厚さを的確に測定することができる。
また、上記実施形態においては、2分割フォトディテクタ64は、ガラス管Gで反射されたレーザ光の一部を、ビームスプリッタ53,61及び集光レンズ63及びナイフ65を介して受光する。そして、Z軸方向エラー信号生成回路124は、2分割フォトディテクタ64によって検出された受光量を用いて、シリンドリカルレンズ59によるレーザ光の集光位置の、ガラス管Gの表面に対する第2軸線方向のずれ量をZ軸方向エラー信号として検出する。Z軸方向サーボ回路125及びZ軸方向ドライブ回路126がZ軸方向アクチュエータ59aを駆動することにより、シリンドリカルレンズ59をZ軸方向にサーボ制御(すなわちフォーカス制御)する。これにより、レーザ光の焦点位置をガラス管Gの表面に一致させることができ、ガラス管GのY軸方向の変位及びY軸周りの傾きを精度よく検出することができる。その結果、さらに高精度でレーザ光の光軸をガラス管Gの中心軸と垂直に交差させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
上記実施形態では、2つのガルバノミラー54,56を駆動することでY軸方向サーボとY軸周り角度サーボ制御を行った。しかし、これに代えて、ガルバノミラー56の駆動によるY軸方向サーボ制御を、光ヘッド100BをY軸方向に変位させるアクチュエータを用いたサーボ制御に変更してもよい。この場合、図6に示すように、光ヘッド100Bをテーブル23にY軸方向に変位可能に組み付け、テーブル23にリニアアクチュエータ25(例えば、圧電アクチュエータで構成したリニアアクチュエータ)を設けて、リニアアクチュエータ25により光ヘッド100BをY軸方向に変位させるようにすればよい。なお、この場合、リニアアクチュエータ25をY軸方向ドライブ回路120により制御するようにし、ガルバノミラー56及びモータ57を省略する。
また、上記実施形態では、レーザ光の光軸位置又は光軸方向の変化をガルバノミラー54,56を駆動することにより行ったが、レーザ光の光軸位置又は光軸方向を変化できれば、どのようなミラーを用いてもよい。例えば、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム・ミラー(MEMSミラー)でもよいし、アクチュエータによって反射面の角度を変化させることができる立上げミラーでもよいし、ポリゴンミラーでもよい。また、ミラーでなくても、AOD(音響光学偏向器)又はEOD(電気光学偏光器)によってレーザ光の光軸位置を変化させてもよい。
また、上記実施形態においては、広波長帯域のレーザ光をガラス管Gに照射し、ガラス管Gからの反射光を回折格子で分光したときの受光曲線からガラス管Gの厚さを求める方法を採用した。しかし、レーザ光をガラス管Gの中心軸に垂直に照射したときに生じる反射光を用いてガラス管Gの厚さを計算することができれば、他のどのような方法を採用することともできる。例えば、レーザ光の波長を高速で変化させながらガラス管Gに照射し、レーザ光の波長に対するガラス管Gからの反射光の光強度を検出し、この波長と光強度の関係からガラス管Gの厚さを計算する方法を採用してもよい。
また、低コヒーレント性で光路長が同一になったときにのみ干渉するレーザ光をビームスプリッタで分割し、一方をガラス管Gに照射して反射させ、他方を参照ミラーで反射させ、参照ミラーを駆動して双方が干渉して強度が大きくなる参照ミラーの2つの位置を検出することで、ガラス管Gの厚さを検出する方法を採用してもよい。
また、上記実施形態では、サーボ用のレーザ光を集光するシリンドリカルレンズ59をZ軸方向に駆動させるZ軸方向サーボにナイフエッジ法を用いた。しかし、Z軸方向サーボが可能であれば、他のどのようなサーボを行ってもよい。例えば、非点収差法によるZ軸方向サーボを行ってもよいし、スポット・サイズ・ディテクション法(SSD法)によるZ軸サーボを行ってもよい。また、測定精度を高くする必要がなければ、Z軸方向サーボを行わなくてもよい。
また、上記実施形態では、ガラス管Gを回転させながらX軸方向へ移動させ、ガラス管Gの全域の厚さを測定したが、中心軸方向の1ラインの測定のみでよければ、回転を伴わないで、ガラス管Gの厚さを測定するよういしてもよい。
また、上記実施形態では、ガラス管GをX軸方向へ移動させたが、ガラス管Gを固定して光ヘッド100BをX軸方向に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、Z軸方向の移動機構を設けたが、Z軸方向の移動機構をなくし、X軸方向の駆動限界位置をさらに上側にしてガラス管Gをセットできるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態及び変形例では、レーザ光の照射及び入射のために、分光ユニット100Aと光ヘッド100Bの分割した測定ヘッドを用いるようにした。これによれば、テーブル23に配置させる光ヘッド100Bを小型化することができるが、この小型化の問題がなければ、分光ユニット100Aと光ヘッド100Bと一体的に構成して、テーブル23上に配置するようにしてもよい。