以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図1は、本発明の実施形態に係る加飾部材の製造途中の全体構成の一例を示した側断面図である。図1において、本実施形態に係る加飾部材は、透明基材10と、印刷層20と、抜きパターン30と、反射体40とを有する。印刷層20が形成された印刷領域内に、印刷層20が存在せずに透明基材10が露出した抜きパターン30を含む部分が、抜きパターン表示部70を構成する。
本実施形態に係る加飾部材は、例えば、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの装飾用のガラス部材として用いることができる。このようなフラットパネルディスプレイにおいては、視聴者が視認する前面にパネル状の加飾ガラス部材が配置され、加飾ガラス部材に文字やマーク等のロゴが表示される場合が多い。かかる構成では、段差の無いフラットなガラスパネルにロゴが表示されるので、周囲の筐体にロゴが表示されている場合よりも、加飾性が高く、洗練された印象を視聴者に与えることができるが、ロゴに用いられている文字やマークに立体感を与えて表示することができれば、更に加飾性を高めることができる。本実施形態に係る加飾部材においては、そのようなロゴ等の抜きパターンに立体感を与えて表示する。
図1においては、そのような抜きパターン30を用いて透明基材10に所定の文字等を表示する基本構成を示している。図1において、上面を使用者が視認する視認面、下面を背面とすると、透明基材10の背面の所定領域に、印刷層20からなる印刷領域が形成される。印刷領域は、ロゴ等の所定の抜きパターンを表示するための背景を構成する領域であり、例えば、上述のフラットパネルディスプレイであれば、ディスプレイの下側の辺または左上の辺に沿って設けられる場合が多い。印刷領域は、種々の色で印刷して構成してよいが、例えば、黒色等の濃色を用いてもよい。そして、印刷領域には、文字、マーク等の所定の抜きパターン30が形成される。抜きパターン30は、印刷領域内で、印刷層20が存在しないパターン領域であり、透明基材10が露出した部分である。印刷層20の背面には、反射体40が、抜きパターン30を覆うように配置される。これにより、抜きパターン30が、反射体40による反射光で表示されることになる。
図2は、図1における抜きパターン表示部70を拡大した本実施形態に係る加飾部材の一例を示す断面構成図である。
図2において、本実施形態に係る加飾部材は、透明基材10と、印刷層20と、反射体40と、粘着剤層50とを有する。また、反射体40は、基材41と、反射層42とを有する。図2において、平坦な透明基材10の背面に、印刷層20と抜きパターン30が形成され、抜きパターン30を覆うように反射体40が配置されている点は、図1と同様である。図2においては、反射体40と透明基材10及び印刷層20との間に粘着剤層50が設けられ、粘着剤層50で反射体40が保持されている点と、反射体40が、基材41と反射層42で構成されている点が、更に詳細に示されている。また、図2においては、粘着剤層50が、透明基材10と印刷層20との段差形状部分31に追従するように段差形状を有し、更に、それに伴って、反射体40も段差形状に追従し、同様に段差形状を有する点で、図1と異なっている。
このように、本実施形態に係る加飾部材の完成時においては、透明基材10が露出した抜きパターン30は、印刷層20との段差形状部35を含めて粘着剤層50及び基材41が充填されて、空気層が存在しない状態となる。そして、基材41の表面に形成された反射層42及び粘着剤層50は、段差形状部35に追従する段差形状による歪みを生じる。この反射層42及び粘着剤層50の歪みは、加飾部材の視認面から入射する光の反射光に、異なる角度の反射を与え、これにより、抜きパターン30を周囲から浮かび上がるように表示させ、立体感を持たせることができる。
次に、個々の構成要素についてより詳細に説明する。
透明基材10は、用途に応じて、種々の材料、形状からなる透明基材を用いることができる。例えば、材料としては、ガラス、ポリカーボネート(Polycarbonate)等の種々の材料からなる透明基材を用いることができる。本実施形態においては、透明基材10は、平坦面を有するガラス基板を用いる場合を例に挙げて説明するが、例えば、多少曲率を有する曲面基材であっても、印刷層20の形成により段差が生じ、反射層42に段差形状を形成することは可能であるので、透明基材10は、必ずしも両面が平坦面を有する基板でなくてもよい。また、ガラス基材以外の材料の基材でも、透明性を有すれば、同様に構成することができる。
印刷層20は、用途に応じて種々のインキ、印刷方法により形成されてよいが、例えば、印刷方法は、スクリーン印刷が利用されてもよい。被印刷物の対象が広いので、ガラス基材や、ポリカーボネート基材にも良好に印刷を行うことができる。
印刷層20に用いられる印刷材料(インキ)は、無機系の印刷材料であってもよいし、有機系の印刷材料であってもよい。無機系の印刷材料としては、例えば、SiO2、ZnO、B2O3、Bi2O3、Li2O、Na2O、及びK2Oから選択される1種以上、CuO、Al2O3、ZrO2、SnO2、及びCeO2から選択される1種以上、Fe2O3、及びTiO2からなる組成物であってもよい。
また、有機系の印刷材料としては、樹脂を溶剤に溶解した種々の印刷材料を用いることができる。例えば、樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、オレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリエール等の樹脂からなる群から少なくとも1種を選択して用いるようにしてよい。また、溶媒としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤を用いてもよい。例えば、アルコール類としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等を用いることができ、エステル類としては酢酸エチル、ケトン類としてはメチルエチルケトンを用いることができる。また、芳香族炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等を用いることができ、脂肪族炭化水素系溶剤としてはヘキサン等を用いることができる。なお、これらは例として挙げたものであり、その他、種々の印刷材料を用いることができる。前記有機系の印刷材料は、透明基材10に塗布した後、溶媒を蒸発させて樹脂の層を形成することで印刷層20とすることができる。
印刷材料にはさらに着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、例えば印刷層20を黒色とする場合はカーボンブラックなどの黒色の着色剤を用いることができる。その他、所望の色に応じて適切な色の着色剤を用いることができる。
反射体40は、入射光を反射するための手段であり、光を反射する反射層42を備える。図2において、反射体40は、反射層42と、反射層42を支持する基材41とを備える。つまり、基材41の表面に反射層42が形成されている。
但し、反射体40は、反射層42を備えていれば、必ずしも基材41を備えていなくてもよく、例えば、反射テープのように、反射層42として機能する金属箔が直接粘着剤層50に付着した形態であってもよい。この場合には、独立した基材41が存在せず、反射層42の金属箔自体が基材41としても機能し、反射体40を構成することになる。なお、金属箔には、光を反射する種々の金属が用いられてよいが、例えば、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔を用いてもよい。
しかしながら、基材41が存在した方が、取り扱いが容易という利点があり、より一般的な実施形態と考えられるので、本実施形態に係る加飾部材においては、基材41が存在し、基材41の表面に反射層42が形成された反射体40を用いた場合を具体的な例に挙げて説明する。
基材41は、反射層42を支持するための支持体として機能する。反射層42は、印刷、スパッタリング、蒸着等により、層状又は膜状に形成され、硬度及び定まった形状を有しない。よって、そのままでは取り扱いが困難であるので、ある程度の硬度と、定まった形状を有する基材41に反射層42を形成し、基材41を媒体として全体を反射体40としている。これにより、反射層42の取り扱いを容易とすることができる。
基材41は、反射層42を適切に支持できれば、種々の材料で構成されてよい。例えば、基材41は、ポリエチレンテレフタラート(Poly-Ethylene Terephthalate、以下、「PET」と呼ぶ。)で構成されてもよい。
基材41は、独立して存在する場合には、フィルム状であることが好ましい。基材41は、薄く構成されることが好ましく、耐久性も必要とされるので、フィルム基材であれば、かかる条件を満たすことができる。上述のPETを用いる場合には、基材41をフィルム状に構成することができる。
反射層42は、基材41の背面(図2において下面)側にも視認面側にも設けることができるが、図2に示すように、基材41の背面側に設ける場合には、基材41は、光を透過させる透明基材又は透過性基材であることが必要とされる。抜きパターン30は、光を反射することにより表示されるので、反射層42が基材41の背面側にある場合には、光の透過を遮らない材料で構成される。上述のPETは、透明であるので、図2に示すように、反射層42を基材41の背面に配置することが可能である。
反射層42は、視認面側から入射する光を反射し、抜きパターン30を反射表示するために設けられる。反射層42は、光を反射する材料で構成される。例えば、抜きパターン30を銀色表示する場合には、反射層42には銀色の材料が用いられ、Ag、Al、Sn、Cr等を用いることができる。また、抜きパターン30を金色表示する場合には、反射層42には金色の材料が用いられ、例えば、Au、Cu等を用いることができる。反射層42には、光を反射する金属等の材料を、用途に応じて選択して用いることができる。
反射層42は、反射率が15%以上であることが好ましい。反射率が15%以上であることで、抜きパターン30を十分な立体感を有して表示することができる。反射率は、15%以上であれば、適宜反射率を選択することができる。用途等に応じて好ましい反射率を選択することで、抜きパターン30の質感等を所望の外観とすることができる。なお、反射率の詳細な範囲については、具体的な実施例を用いて後述する。
反射層42は、上述のように、印刷、スパッタリング、蒸着等により、基材41の表面に層状又は膜状に形成されてよい。反射層42は、被膜のように基材41の表面にコーティングされた状態で形成されるので、反射コーティングと呼んでもよい。
粘着剤層50は、反射体40を、抜きパターン30を含む印刷層30及び透明基材10に貼り合わせて、付着固定させるための手段である。粘着剤層50は、未硬化の接着剤等の流動体とは異なり、シート状の形状を有して構成される。これにより、抜きパターン30の端部の、印刷層20と透明基材10とで形成する抜きパターン30の段差形状の窪みと周囲を平坦に充填してしまうのではなく、段差形状部35に沿うような状態で、段差形状を有して印刷層20及び透明基材10に付着することができる。かかる段差形状を有する粘着剤層50により貼り合わせられる基材41は、やはり粘着剤層50の段差形状に追従し、段差形状を有して、歪みを生じた状態で抜きパターン30に貼り合わせられる。すると、基材41の表面に形成された反射層42にも当然に段差形状による歪みが発生する。このようにして粘着剤層50と反射層42に光学歪みが発生する。かかる光学歪みが、透明基材10の視認面側から入射する光に歪みを与えて反射させ、反射光の歪みから、抜きパターン30が立体的に表示される。
なお、反射体40に独立した基材41が存在しない場合も、シート状の粘着剤層50の段差形状は、基材を介さずに反射層42に伝達され、反射層42が粘着剤層50の段差形状に追従するので、原理的には基材41が存在する場合と同様である。
図3は、本実施形態に係る加飾部材の抜きパターン30の一例を示す拡大断面構成図である。図3において、図2とは上下関係が反対に、透明基材10の上に印刷層20、印刷層20及び透明基材10の上に粘着剤層50、粘着剤層50の上に反射体40が形成された断面構成が示されている。
図3に示すように、透明基材10と印刷層20とで形成する抜きパターン30の段差形状に沿うように、粘着剤層50が存在する。なお、粘着剤層50は、シート状ではあるが、弾力性を有するシートであるので、段差形状部35に対して、若干の丸みを帯びて沿った状態となっている。しかしながら、透明基材10の平坦部分Aと印刷層20の平坦部分Bでは、同じシート厚を維持し、基本的に、段差形状部35に追従するような形状で付着している。そして、粘着剤層50の上面に貼り付いている反射体40は、図示していないが基材41と反射層42とから構成されており、基材41も、粘着剤層50の段差形状に追従し、やはり段差形状を有して付着している。同様に、基材41の表面に形成されている反射層42にも段差形状が発生し、段差形状部35の上方に、光学歪みが発生した状態となっている。
このように、シート状の粘着剤を用いることにより、抜きパターン30の段差形状を利用して抜きパターン30のエッジ部分である段差形状部35に光学歪みを発生させ、抜きパターンに立体感を持たせることができる。
図4は、本実施形態に係る加飾部材の抜きパターン表示部70の一例を示した図である。図4において、印刷層20が形成された印刷領域中に、抜きパターン30の文字が表示されているが、文字「AG」は、文字内で輝度差を生じ、立体感を有して表示されている。これは、文字「AG」が、均一ではなく、段差形状部35に対応するエッジ部分で光学的歪みを有し、入射する光を反射しているからである。このように、本実施形態に係る加飾部材においては、印刷領域内に形成された抜きパターン30を、立体感をもって表示することができる。
図5は、比較例として、従来の加飾部材の抜きパターン表示部270の一例を示した図である。図5において、図5と同様に、印刷層220が形成された印刷領域内に、抜きパターン230が形成され、文字「AG」が表示されている。しかしながら、図5の場合に、文字「AG」の総ての箇所の輝度が一様であり、平坦な文字パターン230として表示されている。
このように、本実施形態に係る加飾部材によれば、抜きパターン30に、位置による輝度差、特に段差形状を有するエッジ部に輝度差を生じさせ、立体感のある抜きパターン表示を行うことができる。これにより、加飾部材の加飾性を高め、意匠的価値を向上させることができる。
図6は、比較例として、反射体40の付着に接着剤を用いた従来の加飾部材の一例を示す断面構成図である。図6において、透明基材10の下面に部分的に印刷層20が形成されて抜きパターン30が形成されており、反射体40が抜きパターン30を覆うように接着されている。ここで、反射体40の抜きパターン30への接着は、接着剤250を用いて行われている。接着剤250は、未硬化の状態では液体又は流動体であり、抜きパターン30の段差形状を総て充填し、段差の無い平坦面を形成して反射体40を固定保持している。これは、接着剤250が未硬化の状態では液体又は流動体であるため、凹形状が存在したとしても、これを埋め込んで充填し、周囲の平坦部では、押圧力が加わると、未硬化の接着剤250が外側に逃げて移動してしまうからである。この場合には、反射体40は接着剤250に平坦な状態で保持されるので、反射体40には何ら段差形状は発生せず、よって基材41の表面に形成された反射層42には、何ら光学的歪みは発生しない。従って、図5に示したような、全体として一様な輝度を有する平坦な文字パターンとなってしまう。
次に、図7A〜図7Fを用いて、本発明の実施形態に係る加飾部材の製造方法について説明する。なお、図7A〜図7Fにおいて、今まで説明した構成要素と同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略又は簡略化するものとする。
図7Aは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の印刷工程の一例を示した図である。印刷工程においては、透明基材10の所定の印刷領域に、印刷層20が印刷される。その際、抜き文字、ロゴマーク等の抜きパターン30を形成する箇所には、印刷層20が形成されないようにして印刷を行う。
印刷は、種々の印刷方法が利用されてよいが、例えば、スクリーン印刷により印刷を行うようにしてもよい。スクリーン印刷は、孔を用いた印刷であり、印刷対象を問わず、また、多少の曲面に対しても印刷が可能であるので、透明基材10への印刷に好適に用いることができる。また、印刷材料については、図2において説明した種々の印刷材料を用いることができる。
なお、抜きパターン表示部70以外の箇所で、印刷が必要な箇所は、ベタ膜として印刷層20が形成される、例えば、ディスプレイ用フィルタに本実施形態に係る加飾部材を用いる場合には、ディスプレイの前面ガラスの周囲が黒い帯で囲まれている場合があるが、そのような加飾を行う場合には、抜きパターン表示部70以外をベタ膜として印刷する。
図7Bは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の反射体用意工程の一例を示した図である。図7Bにおいて、上面が視認側、下面が背面側を示している。反射体用意工程においては、抜きパターン30を覆う反射体40を用意する。反射体40の基材41には、PET等のフィルム基材が用いられることが好ましい。基材41の表面には、反射層42が形成されているが、反射層42は、印刷やスパッタリング、蒸着、金属箔の貼り合わせ等で形成されてよく、印刷の場合はミラーインク、スパッタリングや蒸着の場合には、種々の金属膜が用いられてよいことは、図2で説明した通りである。
粘着剤層50は、シート状であり、下面は、反射体40の上面に粘着している。粘着剤層50の上面には、離型シート51が粘着し、離型シート51を剥がすことにより、反射体40を抜きパターン30に貼り合わせることが可能となる。
反射層42の下面には、必要に応じて、黒色層43が設けられてよい。これは、反射層42による反射効率を高めるためのものであり、必要に応じて設けられる。黒色層43は、種々の方法により形成されてよいが、例えば、印刷により形成されてもよい。また、黒色層43は、黒以外にも、濃色系で黒色に近い色であれば、代用することができ、例えば、濃紺や、黒に近い茶色等で黒色層43を代用することも可能である。その意味では、黒色層43を濃色層43と呼んでもよい。なお、基材41、反射層42、離型シート51を含む粘着剤層50、必要に応じて設ける黒色層43をまとめて、反射シール60と呼んでもよいこととする。
また、図7Bにおいて、反射層42は基材41の背面側に形成されているが、基材41の視認面側に設けることも可能であり、更に黒色層43は、反射層42に対して背面側であれば、種々の位置に設けることが可能である。
図8は、反射シール60の第1変形例に係る反射シール61を示した図である。図8において、反射層42は、基材41よりも視認面側に設けられており、粘着剤層50は、反射層42の表面に設けられている。黒色層43は、反射層42よりも背面側で、反射層42と基材41との間に挿入するように設けられている。このように、反射層42及び黒色層43を、基材41の視認面側に設けるようにしてもよい。
図9は、反射シール60の第2変形例に係る反射シール62を示した図である。図9においては、基材41の視認面上に、反射層42が直接形成されている。そして、黒色層43は、基材41の背面に形成されている。このように、黒色層43は、反射層42よりも背面側であれば、種々の位置に設けることができる。
なお、図8及び図9において、黒色層43を設けるか否かは、必要に応じて定めてよく、黒色層43が不要な場合には、図8及び図9から、黒色層43を除去すればよい。この場合、図8と図9の構成は同じ構成となる。
図7Bに戻る。このように、反射層42と黒色層43は、反射層42が入射光を反射でき、黒色層43が反射層42よりも背面に設けられて反射効率の向上や隠蔽性の向上に寄与する配置であれば、種々の配置とすることができる。
図7Cは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の反射体貼り合わせ工程の一例を示した図である。反射体貼り合わせ工程においては、透明基材10と印刷層20とで形成する抜きパターン30を覆うように、反射体40が透明基材10及び印刷層20に貼り合わせられる。具体的には、図7B、図8、図9に示した反射シール60、61、62のいずれかについて、離型シート51が剥がされ、露出した粘着剤層50が、抜きパターン30に対向するように配置され、反射体40が抜きパターン30に貼り合わせられる。
図7Cに示すように、貼り合わせ直後は、抜きパターン30の段差形状の溝部分は、粘着剤層50が接触せず、空気層33のような状態となる。
図7Dは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の押圧貼り付け工程の一例を示した図である。押圧貼り付け工程においては、反射体40の背面側から、ローラ等により押圧力が加えられ、抜きパターン30の段差形状にも反射体40を貼り付けるようにする。しかしながら、反射体40の背面側から押圧力を印加しただけでは、段差形状の溝部分の中央部分には粘着剤層50が付着するものの、段差形状部35には、粘着剤層50は付着しない状態となってしまう。
図7Eは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法のオートクレーブ処理工程の一例を示した図である。オートクレーブ処理工程においては、反射体40が付着した透明基材10をオートクレーブ処理する。具体的には、オートクレーブ処理装置80を用いて、チャンバ81の中に反射体40が貼り付けられた透明基材10を収容し、コンプレッサ等の加圧手段82でチャンバ81内を加圧するとともに、ヒータ等の加熱手段83を用いて、透明基材10を加熱する。かかるオートクレーブ処理により、抜きパターン30の段差形状における溝部分から空気層33が消失してゆき、段差形状に沿うように粘着剤層50が付着してゆき、段差形状部35まで粘着剤層50が付着する。そして、最終的には、抜きパターン30の段差形状に沿った段差形状で粘着剤層50が付着する。このとき、反射体40は、粘着剤層50に追従して段差形状に変形し、基材41及び反射層42の両方とも、段差形状を有する形状に変形してゆく。
図7Fは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の完成時の状態の一例を示した図である。具体的な構成及び機能は、図2において説明した通りであるが、最終的に、粘着剤層50が、段差形状部35に沿う段差形状となり、これに追従して、基材41及び反射層42の双方を含む反射体40も、段差形状部35に追従する段差形状に変形し、歪んだ形状となる。そして、反射層42及び粘着剤層50の歪みが、光学歪みを発生させ、抜きパターン30に立体感を与える。
なお、反射体40に黒色層43が形成されている場合には、黒色層43も同様に形状変化の影響を受けることになる。
また、図7A〜図7Fにおいては、基材41を有する反射体40の例を挙げて説明したが、反射テープのような反射体40の場合でも、図7A〜図7Fにおいて説明した加飾部材の製造方法をそのまま適用することができる。反射テープを用いた場合でも、粘着剤層50を用いていることには変わり無いので、貼り合わせて押圧しただけでは、段差形状部35に沿うような付着ができない。よって、オートクレーブ処理工程が必要となり、本実施形態に係る加飾部材の製造方法をそのまま適用することができる。
図10A〜図10Cは、本実施形態に係る加飾部材の製造方法の途中段階における抜きパターン表示部70の視認面側からの表示例を示した図である。
図10Aは、図7Aに示した印刷工程終了時における抜きパターン表示部70の表示の一例を示した図である。印刷工程では、印刷層20のみが透明基材10に形成された状態であるので、抜きパターン30は、透明基材10が透過した状態となり、空気層33が存在する白い表示状態となっている。この状態では、抜きパターン30の文字「AG」に立体感は無い。
図10Bは、図7Cに示した反射体貼り合わせ工程、図7Dに示した押圧貼り付け工程の段階における抜きパターン表示部70の表示の一例を示した図である。図10Bにおいて、反射体40の存在により、抜きパターン30は銀色を帯びてきているが、文字「AG」に立体感は無い状態である。
図10Cは、オートクレーブ処理工程終了時における抜きパターン表示部70の表示の一例を示した図である。オートクレーブ処理により、反射体40は段差形状部35の形状に追従した形状となり、反射層42及び粘着剤層50に光学歪みが生じているので、抜きパターン30に立体感が生じ、文字「AG」が浮かび上がったように見える。
このように、加圧により、反射体40を抜きパターン30の段差形状に沿った形状に変形させ、反射層42及び粘着剤層50に光学歪みを生じさせることにより、抜きパターン30に立体感を与えて表示でき、単なる平坦な抜きパターン表示よりも、加飾性を向上させることができる。
図11は、比較例として、本実施形態に係る加飾部材の製造方法が適切に実行されなかった一例を示した図である。図11において、基材241の貼り合わせには、粘着剤層50が用いられているものの、基材241の硬度が高く、基材241が抜きパターン30の段差形状に追従しなかった場合が示されている。例えば、基材241の材質が硬すぎて弾力性が乏しい場合や、PET等の材料を用いても、厚さが厚すぎて、基材241の弾力性が不足している場合には、図11に示すように、基材241が歪みを生ぜず、平坦な状態で保持されてしまう。このような場合には、図10Bにおいて説明したように、抜きパターン30は、単なる平坦な文字となってしまう。このように、本実施形態に係る加飾部材を適切に構成するためには、各構成要素の厚さが関係する場合がある。なお、この点については、具体的な実施例において後述する。
図12は、本実施形態に係る加飾部材を種々のパラメータ条件で実施した実施例及びその比較例を示した表である。なお、本実施例において、今まで説明した構成要素に対応する構成要素については、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図12において、変化させるパラメータとしては、印刷層20の厚さ〔μm〕、印刷層20の色、粘着剤層50の厚さ〔μm〕、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)、基材41の厚さ〔μm〕、反射層42の反射率、基材41の種類、反射層42の生成方法、立体感の結果が挙げられている。これらの条件を変化させて、実施例1〜10、比較例1〜5について示している。なお、透明基材10としては、2.5mmの厚さのフロートガラス板を用いた。
実施例1においては、印刷層20の厚さを15μm、印刷層20の色を黒、粘着剤層50の厚さを25μmとした。その結果、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)は、1.7となった。また、反射体40の厚さを100μm、反射率を61%とし、基材にはPETを用いた。また、反射層42は、ミラーインクの印刷品で形成した。反射体40を、粘着剤層50を介して透明基材10の表面の抜きパターン30上に貼り合わせた。次いで反射体40が貼着された透明基材10をオートクレーブ処理した。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。
実施例2においては、印刷層20の厚さを10μm、印刷層20の色を黒、粘着剤層50の厚さを25μmとし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を、2.5とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。
実施例3においては、反射体40の厚さを薄く25μmとし、その他の条件は、実施例2と同様にした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。このことから、反射体40の厚さを薄くしても、抜きパターン30を立体的に表示できることが分かる。
実施例4においては、反射体40の厚さを厚く250μmとし、その他の条件は、実施例2と同様とした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。このことから、反射体40の厚さを厚くしても、抜きパターン30を立体的に表示できることが分かる。
実施例5においては、印刷層20の厚さを10μm、粘着剤層50の厚さを100μmとし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を、10とした。また、反射体40の厚さを100μmとし、その他の条件は、実施例1と同様とした。その結果、抜きパターン30の文字は、品位は低下したが、何とか立体感を出すことはできた。このことから、粘着剤層50の厚さを厚くしてゆくと、抜きパターン30の立体感が徐々に低下することが分かる。
実施例6においては、印刷層20の厚さを5μmと薄くし、粘着剤層50の厚さを25μmとし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を5とした。また、その他の条件は、実施例1と同様とした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。
実施例7においては、印刷層20の厚さを20μmと厚くし、粘着剤層50の厚さを25μmとし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を1.25と低く設定した。また、反射率も18%と低くするとともに、反射層42の材料及び形成方法は、Agを用いたスパッタリングとした。その他の条件は、実施例1と同様とした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。このことから、反射率が相当に低い場合であっても、立体的な表示は可能であることが分かる。
実施例8においては、印刷層20の厚さ、印刷層20の色、粘着剤層50の厚さ、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)については、実施例2と同様の設定とした。一方、反射率を37%とし、反射層42は、圧延アルミ箔を、接着剤層を介して基材41に貼り合わせたものを用いた。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。
実施例9においては、反射層42をアルミ蒸着膜とした以外は、実施例8と同様の条件とした。その結果、抜きパターン30の文字は立体的に表示された。このことから、加飾効果は、反射層42の形成方法には大きな影響を受けないことが分かる。
実施例10においては、印刷層20の厚さを10μm、粘着剤層50の厚さを10μmと薄くし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を1.0と、実施例6よりも小さく設定した。また、その他の条件は、実施例1及び2と同様の条件とした。その結果、抜きパターン30の文字を立体的に表示することができた。このことから、粘着剤層50の厚さは、相当に薄くしても立体表示が可能であることが分かる。
比較例1においては、印刷層20の厚さ、印刷層20の色、粘着剤層50の厚さ、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)、反射体40の厚さ、反射層42の形成方法、基材41の材質については、実施例2と同様の設定とした。一方、反射率を8%と低く設定した。その結果、抜きパターン30の文字は平面的にしか表示できなかった。このことから、反射率をあまりに低下させ過ぎると、抜きパターン30の立体表示が困難になることが分かる。
比較例2においては、印刷層20の厚さ、印刷層20の色、粘着剤層50の厚さ、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)、反射体40の厚さ、基材41の材質については、実施例2と同様の設定とした。一方、反射率は10%と、比較例1よりも若干高く設定した。また、反射層42は、電解銅箔を、接着剤層を介して基材41に貼り合わせて形成した。その結果、抜きパターン30の文字は平面的にしか表示できなかった。このことから、反射率を低下させ過ぎた場合、反射層42の形成方法を変えても、やはり抜きパターン30の立体表示が困難であることが分かる。
比較例3においては、印刷層20の厚さ、印刷層20の色、粘着剤層50の厚さ、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)、反射層42の形成方法、反射層42の反射率については、実施例2と同様の設定とした。一方、反射体40の厚みを350μmと厚くした。その際、PETで厚みを350μmとするのは困難なので、基材41にはポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)を用いた。その結果、反射体40が段差形状に追従することができず、段差形状の溝内に気泡が残り、抜きパターン30は平面的にしか表示されなかった。このことから、反射体40が厚くなると、反射体40の剛性が大きくなり、段差形状に追従できなくなるため、立体的な表示は困難になることが分かる。
比較例4においては、印刷層20の厚さを10μm、粘着剤層50の厚さを5μmと薄くし、(粘着剤層50の厚さ/印刷層20の厚さ)を0.5と、実施例10よりも更に小さく設定した。また、その他の条件は、実施例1及び2と同様の条件とした。その結果、段差形状への粘着剤層50の入り込みが不足し、気泡が残ってしまい、実用的な品位での立体表示はできなかった。このことから、粘着剤層50があまりに薄すぎると、立体表示が困難となることが分かる。
比較例5においては、印刷層20の厚さを15μmとし、粘着剤層50の代わりに、接着剤250を用いた。このとき、(接着剤層250の厚さ/印刷層20の厚さ)は、2となった。また、その他の条件は、実施例1及び2と同様の条件とした。その結果、反射層42に光学的な歪みが生じず、従って抜きパターン30の文字は、平面的にしか表示されなかった。
図12の実施例から、適切に抜きパターン30を立体表示するための各パラメータの好ましい範囲については、以下のことが言える。
印刷層20の厚さは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。印刷層20が5μm以上であると、印刷透けやピンホールが発生せず品位が低下するおそれがないからであり、50μm以下であると、段差が適度な高さとなりオートクレーブ処理により気泡が消滅されやすくなり、また多数回の印刷を必要とせず、製造コストを低く抑えることができるからである。なお、印刷回数を1回で済ますためには、上限を25μmにし、印刷層20を25μm以下に構成することがより好ましい。
粘着剤層50のシート厚は、印刷層20の厚さの1倍以上10倍以下である。言い換えると、印刷層20の厚さに対する粘着剤層50の厚さの比は、1以上10以下である。これは、図12の表でも示されていたように、印刷層20の厚さに対する粘着剤層50の厚さの比が1未満であると、粘着剤層50により段差の埋め込みが悪く、オートクレーブ処理後も気泡が残り、品位が低下するからである。また、印刷層20の厚さに対する粘着剤層50の厚さの比が10を超えると、段差形状部分35に歪みが生じにくくなり、立体感が乏しくなるからである。また、粘着剤層50の製造コストも増加するため、この点からも好ましくない。なお、粘着剤層50のシート厚とは、貼り合わせる前のシート状の粘着剤層の厚さのことである。
その他の貼り合わせ手段としては、接着性樹脂、いわゆる接着剤250が挙げられるが、段差形状の溝部分を埋めたときに、反射体40に段差形状が生じないため、反射層42に光学的歪みが発生せず、抜きパターン30に立体感は生じない。また、段差形状を充填せず、隙間を残して空気層33を存在させた場合も、やはり反射層42に光学的な歪みが発生せず、立体感は生じない。
反射体40の厚さは、250μm以下であり、25μm以上250μm以下であることが好ましい。反射体40は、機能的には、薄ければ薄いほどよく、この意味においては、下限はない。しかしながら、反射体40が薄すぎると、基材41を備える反射体40の場合には、基材41へ粘着剤層50を形成する際に基材41にしわが入ったり、反射体40を抜きパターン30に貼り合わせるときに、基材41が折れたりするおそれがあり、取り扱いが難しくなるので、反射体40の厚さは、25μm以上であることが好ましい。
また、反射体40が250μmを超えると、反射体40の段差形状への追従性が悪化し、オートクレーブ処理後も段差形状部分35に気泡が残りやすくなるので、反射体40の厚さは、250μm以下である。
なお、反射体40が、基材41を有せず、反射層42が金属箔で基材41を兼ねている金属箔テープである場合でも、反射体40の厚さは、50μm、100μm程度のものが多く、25μm以上250μmの範囲内に入っている場合が多い。よって、この範囲は、反射体40が金属箔テープの場合も適用できるが、25μm未満の金属箔テープで、取り扱いが容易なものがあれば、それらを用いてもよく、25μm未満の反射体40の使用を除外する趣旨ではない。
反射層42の反射率は、15%以上である。反射率が15%未満の場合には、反射光が少ないため、粘着剤層50の光学歪みが視認し難くなり、立体感が発現し難くなるからである。なお、反射層42の反射率は、高い方が好ましく、18%以上であることがより好ましく、37%以上であることが更に好ましく、61%以上であればより一層好ましい。かかる観点から、反射率の上限は無く、用途に応じて、好ましい反射率や色合いを適宜選択して用いることができる。但し、現実的には、反射率が100%を超える反射層42を構成することは困難であるので、反射層42の反射率の範囲は、15%以上100%以下であることが好ましく、18%以上100%以下であることがより好ましく、37%以上100%であることが更に好ましく、61%以上100%以下であることが一層好ましい。
以上、実施例に示したように、印刷層20の厚さ、粘着剤層50の印刷層20に対する厚さの比、反射体40の厚さ、反射層42の反射率の範囲を適切に設定することにより、確実に高品位で抜きパターン30を立体的に表示することができ、加飾部材の加飾効果を高めることができる。
次に、本実施形態に係る加飾部材を、ディスプレイ用のフィルタに用いて応用した場合の実施形態について説明する。
図13Aは、本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100の一例を示した平面構成図である。本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100は、ガラス基板11と、抜きパターン31を含む印刷層21とを有する。印刷層21と抜きパターン31とで、抜きパターン表示部71を構成している。図13Aにおいて、本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100は、視認面から視認した状態で示されている。よって、印刷層21は、ガラス基板11の背面に形成され、ガラス基板11の視認面は、フラットな状態に構成されている。
印刷層21は、ディスプレイ用フィルタ100の4辺を縁取るように、枠状に形成されている。印刷層21の下辺中央部分に設けられた抜きパターン表示部71には、文字「AG」が抜きパターン31として表示されている。このような形態で、抜きパターン31を立体表示すれば、ディスプレイの前面側(視認面側)に加飾表示を行うことができる。
図13Bは、図13Aの本実施形態に係るディスプレイ用フィルタの側面構成の一例を示した図である。図13Bにおいて、ガラス基板11の視認面の表面には、反射防止フィルタ101が形成されている。また、ガラス基板11の背面には、印刷層21以外に、近赤外線吸収フィルム102と、電磁波遮蔽フィルム103が設けられている。
反射防止フィルタ101は、視聴者に光が反射するのを防止するフィルムであり、近赤外線吸収フィルムは、ディスプレイパネル側で発生した近赤外線を吸収するフィルムである。また、電磁波遮蔽フィルム103は、ディスプレイパネル側で発生した電磁波を遮蔽するフィルムである。かかる機能フィルタ101、102、103を本実施形態に係る加飾部材の表面に形成することにより、ディスプレイ用の機能フィルタを構成することができる。なお、各フィルム101、102、103は、用途に応じて、透過率補正、色調補正、コントラスト向上等の機能を有するフィルムに交換されたり、またこれらのフィルムが追加されたりしてもよい。フィルム101、102、103については、用途に応じて適宜適切な種類のフィルムを選択することができる。
なお、本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100を製造するには、図7A〜図7Fにおいて説明した加飾部材の製造方法により加飾ガラス基材を製造した後、加飾ガラス部材の視認面に反射防止フィルム101による反射防止層を形成する工程を設けるようにすればよい。また、必要に応じて、加飾ガラス部材の背面にも、必要な機能層を形成する工程を設けることにより、用途に応じた種々の機能を有するディスプレイ用フィルタ100を製造することができる。
図14は、本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100を、プラズマディスプレイ装置120の機能フィルタとして用いた一例を示した側面構成図である。図14において、本実施形態に係るディスプレイ用フィルタ100が、プラズマディスプレイパネル110の前面に取り付けられ、プラズマディスプレイ装置120の機能フィルタとして用いられている。ディスプレイ用フィルタ100は、図13Bで説明したように、各種の機能を有するフィルム101、102、103が形成されているので、プラズマディスプレイ装置120の機能フィルタとして、画質向上の役割を果たすことができる。また、図13Aで説明したように、ディスプレイ用フィルタ100の視認面には、抜きパターン30のロゴ文字「AG」が、平坦なガラス基板11に立体的に表示され、加飾効果により審美性を向上させることができる。
なお、図14においては、プラズマディスプレイ装置120の機能フィルタとして用いた例を挙げて説明したが、反射防止フィルタ101のみを形成し、液晶表示装置のフィルタとして用いることも可能である。その他、他の種類のディスプレイや、車両や商業施設の窓、各種の成型品等にも応用することができ、本実施形態に係る加飾部材は、広い用途に用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。