JP5508076B2 - 硬化剤及びこれを用いた接着剤並びに塗料 - Google Patents

硬化剤及びこれを用いた接着剤並びに塗料 Download PDF

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Description

本発明は、硬化剤に関する。さらに詳しくは、接着剤において主剤と反応させて硬化させるための硬化剤、並びに、塗料中の主剤と反応させて硬化させるための硬化剤として好適に用いることのできる硬化剤に関する。
近年、塗料、接着剤、コーティング剤等の分野では、環境汚染の少ない水系樹脂が広く検討、採用されている。一方、技術的な問題や経済上の理由等から有機溶剤系樹脂も、広く使用されている。
一般的に、水系樹脂又は溶剤系樹脂単独では、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等が不十分であるため、硬化剤を用いて諸物性を向上させる手段が広く用いられている。
例えば、環境汚染の少ないカルボキシル基保有水系樹脂の硬化剤として、架橋性と乳化性能を並立させるため、エチレンオキシドユニットと脂肪族ポリイソシアネートとの反応生成物が乳化されてなる水中分散性のポリイソシアネート組成物(特許文献1)、表面活性成分のポリアルキレンオキシド残基を分子構造中に含む易乳化性の表面活性ポリカルボジイミド(特許文献2)、ウレタン結合を介して自己乳化性ポリエチレングリコールユニットの結合したポリカルボジイミド化合物(特許文献3)等が提案されている。
しかし、特許文献1で提案されている組成物は、水中分散性ではあるが、イソシアネート基を含むためポットライフが短く、実用性に問題がある。
また、特許文献2、3で提案されているポリカルボジイミドは、線状構造を有するポリカルボジイミドであり、高分子量ポリアルキレンオキシド残基あるいはポリエチレングリコール残基を分子構造中に含有するため、硬化効率に問題がある。
すなわち十分な硬化特性を実現するには、カルボジイミド基量を増大する必要があるが、これにより硬化剤の分子量、剛直性が増大して、水あるいは溶剤への溶解性、分散性が低下、とりわけ水分分散工程などの作業性に問題が発生することがある。
さらに硬化剤の分子量の増大は、樹脂の架橋密度を低下させ、硬化樹脂の耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等に問題が生じる場合がある。
また、アニオン性親水基、具体的にはカルボキシル基を含有する水性高分子主剤中にカルボジイミド基と界面活性成分を組み込むことにより、架橋樹脂と硬化剤の分散の問題を解決することが提案されている(例えば、特許文献4)が、架橋密度低下を防ぐ有効な解決とはなっていない。
特開昭61−291613号公報 特開昭63−264128号公報 特開平10−060272号公報 特開2005−15734号公報
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、カルボキシル基を含有する水系樹脂や有機溶剤系樹脂を効率的に硬化させることのできる硬化剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を進め、硬化成分として、特定の構造を有するカルボジイミド化合物を含む硬化剤が、カルボキシル基含有樹脂を効率よく硬化させ、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等の改善された硬化樹脂を与えることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の目的は、
下記一般式で表されるカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含む硬化剤によって達成することができる。
Figure 0005508076
(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。)
本発明によれば、カルボキシル基を含有する水系樹脂や有機溶剤系樹脂を効率的に硬化させることのできる硬化剤を提供することができる。
また、本発明の硬化剤によって硬化されたカルボキシル基含有樹脂(硬化物)は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等に優れているので、カルボキシル基含有樹脂(硬化前)と硬化剤との組成物は、塗料、接着剤として好適に用いることが可能である。
本発明の硬化剤は、下記一般式で表されるカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含む。
Figure 0005508076
(式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。)
カルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含有することにより、硬化対象とするカルボキシル基含有樹脂を効率よく硬化させ、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等の改善された硬化物、塗膜を与えることができる。
ここで、上記カルボジイミド化合物(B)は、カルボジイミド基(−N=C=N−))が環中に含まれる形で環状構造を形成し、カルボジイミド基を環構造中に1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。
一分子中に複数個の環構造を有している場合には、少なくとも1つの環構造に、カルボジイミド基が含まれていればよいが、複数の環構造が、カルボジイミド基を1つ含んで形成されていてもよい。
本発明の硬化剤の架橋効率、得られる樹脂(硬化物)の耐熱性、水分に対する耐久性の観点からカルボジイミド化合物(B)における環構造は、8から50員環で形成されていることが好ましい。8員環より小さいと、環状構造の安定性が悪く、硬化剤としたとき、カルボキシル基含有樹脂の架橋形成が好適に進行しない場合があり、また50員環より大きいと、従来の線状構造を有するカルボジイミド化合物と本発明のカルボジイミド化合物(B)との差が小さくなり、本発明の意義が失われることがあるとともに、これを硬化成分として含む硬化剤の粘度が上昇して、カルボキシル基含有樹脂との均一エマルジョン形成が困難となる場合がある。
かかる観点において、より好ましくは10から30員環、さらに好ましくは10から20員環、特に好ましくは10から15員環である。
カルボジイミド化合物(B)の分子量は、好ましくは100〜1,000である。100より低いと、カルボジイミド化合物(B)について構造の安定性や揮発性が問題となる場合がある。また1,000より高いと、カルボジイミド化合物(B)の製造上、希釈系での合成が必要となったり、収率が低下したりするため、コスト面で問題となる場合がある。
かかる観点より、カルボジイミド化合物(B)の分子量は、より好ましくは100〜750であり、さらに好ましくは250〜750である。
次いで、環状構造におけるQについて説明する。
上記一般式、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
この結合基の価のうち2つの価は環状構造を形成するために使用される。Qが3価あるいは4価の結合基である場合、単結合、二重結合、原子、原子団を介して、ポリマーあるいは他の環状構造と結合している。
結合基は、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基またはこれらの組み合わせであることが好ましい。結合基として、環状構造を形成するための必要炭素数を有するものが選択される。組み合わせの例としては、アルキレン基とアリーレン基が結合した、アルキレン−アリーレン基のような構造などが挙げられる。
結合基を構成する脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、各々ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。ヘテロ原子とは、O、N、S、Pを指す。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
本発明においてハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
結合基(Q)は、下記式(i−1)、(i−2)または(i−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
Figure 0005508076
式中、ArおよびArは各々独立に、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
芳香族基として、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。
これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。またこれらの芳香族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
およびRは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、これらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせであり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。またこれらの脂肪族基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。シクロアルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。シクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの脂環族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
芳香族基として、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。
これら芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
また、これらの芳香族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
およびXは各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。またこれらの脂肪族基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの脂環族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
芳香族基として、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。
これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの芳香族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
s、kは各々独立に、0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜1の整数である。sおよびkが10を超えると、環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より整数は好ましくは0〜3の範囲が選択される。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX、あるいはXが、他のX、あるいはXと異なっていてもよい。
は、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの脂肪族基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。
これら脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの脂環族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
芳香族基として、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。
これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。また、これらの芳香族基はヘテロ原子を含んで複素環構造を有していてもよい。ヘテロ原子として、O、N、S、Pが挙げられる。
以上のように、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXはヘテロ原子を含有していてもよい。
また、Qが2価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXは全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar、Ar、R、R、X、XおよびXの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
本発明のカルボジイミド化合物(B)としては、例えば、以下の化合物が例示される。
Figure 0005508076
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かかるカルボジイミド化合物(B)は、単一であるいは二種以上を組み合わせて、本発明の硬化剤における硬化成分として用いることができる。
カルボキシル基含有樹脂の硬化効率、硬化樹脂の耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等の観点より本発明の硬化剤には、硬化剤100重量部あたり、カルボジイミド化合物(B)の含有量は5から90重量部、好ましくは7から80重量部、より好ましくは10から70重量部である。
本発明のカルボジイミド化合物(B)を含む硬化剤には、樹脂を架橋させるという観点から、一分子中に、“−N=C=N−”で表されるカルボジイミド基を1つ含む環構造を複数含むカルボジイミド化合物(以下、多価環状カルボジイミド化合物と略記することがある。)を含有することが好ましい。
多価環状カルボジイミド化合物の価数(化合物中に存在するカルボジイミド基を1つ含む環構造の数)は製造コストと硬化特性の物性とのバランスより、2から4であり、より好ましくは2から3である。
さらに、同様の観点より多価環状カルボジイミド化合物の含有量はカルボジイミド化合物(B)の合計重量を基準にして、1から90wt%、より好ましくは10から50wt%、さらに好ましくは20から50wt%である。
本発明において、上記多価環状カルボジイミド化合物としては、例えば、以下の化合物が例示される。
Figure 0005508076
Figure 0005508076
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Figure 0005508076
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かかる多価環状カルボジイミド化合物は、単一であるいは二種以上を組み合わせて、本発明の硬化剤における硬化成分として含有させることができる。
本発明のカルボジイミド化合物(B)および多価環状カルボジイミド化合物の製造法は特に限定はなく、従来公知の方法を改変、組み合わせることで、好適に製造される。
かかる製造方法としては、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
製造する化合物に応じて、適切な製法を採用すればよいが、例えば、(1)下記式(a−1)で表されるニトロフェノール類、下記式(a−2)で表されるニトロフェノール類および下記式(b)で表される化合物を反応させ、下記式(c)で表されるニトロ体を得る工程、
Figure 0005508076
Figure 0005508076
(2)得られたニトロ体を還元して下記式(d)で表わされるアミン体を得る工程、
Figure 0005508076
(3)得られたアミン体とトリフェニルホスフィンジブロミドを反応させ下記式(e)で表されるトリフェニルホスフィン体を得る工程、および
Figure 0005508076
(4)得られたトリフェニルホスフィン体を反応系中でイソシアネート化した後、直接脱炭酸させることによって製造したものは、本願発明に用いる環状カルボジイミド化合物として好適に用いることができる。
(上記式中、ArおよびArは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。EおよびEは各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Arは、フェニル基である。Xは、下記式(e−1)から(e−3)から選ばれる結合基である。)
Figure 0005508076
(式中、nは1〜6の整数である。)
Figure 0005508076
(式中、mおよびnは各々独立に0〜3の整数である。)
Figure 0005508076
(式中、RおよびRは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表す。)
本発明の硬化剤には、硬化成分の水に対する溶解性、あるいは分散性を向上させるため、界面活性剤(C)を含有することが好ましい。
界面活性剤(C)としては両親媒性を有する、界面活性剤として公知のいずれの化合物を用いることもできるが、少なくとも一個のカルボジイミド基を含有する界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤(C)を含有することによって硬化成分の、溶剤、水に対する溶解性、あるいは分散性をより高めることができるが、上記のように、界面活性剤内に少なくとも1個のカルボジイミド基を含有していると、硬化(架橋反応)の際、硬化物(架橋樹脂マトリックス)に結合されるので、硬化物表面に界面活性剤が付着し白化してしまう等の現象を好適に抑制できる利点を有する。
本発明の硬化剤において、かかるカルボジイミド基を保有する界面活性剤(C)を含有させる場合には、その含有量は硬化剤の全重量を基準にして、5から90重量部であることが好ましい。5重量部より少ないと、添加効果を発揮せず、硬化成分の溶解性、あるいは水中分散性を効率的に高めることができない場合があり、90重量部より多いと、得られる硬化物(架橋樹脂)の耐熱性、耐久性が低下することがある。
かかる観点において、好ましくは上記基準において、10から80重量部、より好ましくは15から70重量部である。
少なくとも一個のカルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)としては、例えば、分子内にカルボジイミド基を少なくとも二個保有するカルボジイミド化合物と、前記カルボジイミド化合物におけるカルボジイミド基と反応性を有する官能基を分子内に少なくとも一個保有する界面活性剤成分とが、前記カルボジイミド基と、カルボジイミド基と反応性を有する官能基との反応により生成する基を介して結合してなる化合物、あるいは、分子内にカルボジイミド基と少なくとも一個のイソシアネート基とを保有する化合物と、前記イソシアネート基と反応性を有する官能基を少なくとも一個保有する界面活性剤成分とが、前記イソシアネート基とイソシアネート基と反応性を有する官能基との反応のより生成する基を介して結合してなる化合物などが例示される。
前記のカルボジイミド基と反応性を有する官能基としては、たとえばカルボキシル基、一級または二級アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、チオール基などが例示される。中でも、カルボジイミド基との反応性、生成した界面活性剤の分散能などより、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、カルボキシル基、ヒドロキシル基がより好ましく、原料コスト、供給の容易さよりヒドロキシル基がとりわけ好ましい。
またイソシアネート基と反応性を有する官能基としては、例えば一級または二級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオール基等が例示される。中でも一級または二級アミノ基、ヒドロキシル基が好ましく、ヒドロキシル基とりわけ脂肪族ヒドロキシル基が、原料コスト、反応性の観点より好ましい。
また、上述の分子内に少なくとも二個カルボジイミド基を保有する化合物としては、例えば、前述の多価環状カルボジイミド化合物が例示されるが、従来公知のジカルボジイミドやポリカルボジイミドの多価カルボジイミド、すなわち多分散線状あるいは単分散線状多価カルボジイミド化合物等も使用することが可能である。
ここにおいて、多分散とは、高分子化学における分散であって、重合度に広がりのある混合物との意味であり、単分散とは、単一の分子量を有することを意味する。
かかる化合物としては、例えば特開昭63−264128号公報に記載の単分散多価カルボジイミド化合物などが例示されるが、ジイソシアネート化合物の脱カルボニル縮合により生成する多分散多価カルボジイミド化合物が、コストの点で好ましい。
前記多分散多価カルボジイミド化合物としては、例えば、米国特許第2941966号明細書、特開2005−15734号公報あるいはChem.Rev.vol.81,589(1981)等に記載の方法などにより製造することができる。
ジイソシアネートの脱炭酸カルボジイミド化に際しては、例えば特開平11−80522号公報などに記載の触媒類、とりわけ反応活性の点よりホスフォレンオキシド類、例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−ホスフォレン−1−オキシドおよびこれらの二重結合異性体などカルボジイミド化触媒として使用することが好ましい。より好ましくは、工業的に入手の容易な3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシドが挙げられる。
これらカルボジイミド化触媒は、単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。カルボジイミド化触媒の使用割合はイソシアネート化合物の合計;100重量部に対して0.01から10 重量部、好ましくは、0.05から5重量部である。
上記カルボジイミド化は、前述のカルボジイミド化触媒の存在下、例えば、不活性ガス雰囲気下において30から200℃好ましくは60から180℃で1から50時間、好ましくは、2から40時間反応させる。
反応は、溶媒の使用が好ましく、従来公知のカルボジイミド化反応に使用される非プロトン性溶媒が使用される。かかる溶剤としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼンなどのアルキルトルエン、アルキルベンゼン、ナフタレン、アセトン、ブタノン、パークレン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、トルエン、キシレン、パークレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、ナフタレン及びシクロヘキサンが好ましく、トルエンがさらに好ましい。これらは単独で使用されても、二種類以上併用してもよい。
非プロトン性溶媒は、溶液中の固形分の濃度が1から90wt%になるように使用されることが好ましい。固形分の濃度が90wt%以下であれば、粘度が高くなったり、溶液の保存安定性が低下したりすることを防止できる。一方、固形分の濃度が1wt%以上であれば、多分散多価カルボジイミド化合物をスラリーとして容易に得ることができる。
脱炭酸カルボジイミド化による多分散多価カルボジイミド化合物の製造に使用されるジイソシアネート化合物は、特に制限されず、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用されるジイソシアネート類、例えば脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよびこれらの混合物などが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどが例示される。
また、脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート等などが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
また、ジイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのダイマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレットジオン、オキサジアジントリオンなどが挙げられる。
これらジイソシアネートは、単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。また、これらジイソシアネートのうち、好ましくは、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
かかる反応で得られた多分散多価カルボジイミド化合物は、末端にイソシアネート基を保有するが、分子量調整剤あるいは末端封止剤として、モノイソシアネート化合物あるいは前記イソシアネート基と反応性の官能基を保有する化合物を併用することにより、末端イソシアネート基の濃度を減少させることが可能であるが、イソシアネート基と反応性の官能基を保有する界面活性剤を反応させることにより、効率的にカルボジイミド基保有界面活性剤(C)を得ることができる。
なお、末端封止剤として使用できるモノイソシアネートとしては、例えば、ブタンイソシアネート、ヘキサンイソシアネート、デカンイソシアネート、ヘキサデカンイソシアネート、シクロペンタンイソシアネート、シクロヘキサンイソシアネート、イソホロンモノイソシアネート)、4−シクロへキシルメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−メチルシクロヘキサンイソシアネート、2,6−ジメチルシクロヘキサン‐4‐イソシアネート、ノルボルナンイソシアネート、2,4−ジメチルフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、2‐イソシアナトエチル‐4−エチルベンゼン、2‐イソシアナトエチル‐3−エチルベンゼン、1‐イソシアナトエチル‐4−エチルベンゼン、1‐イソシアナトエチル‐3−エチルベンゼン、1‐イソシアナト‐4‐フェニルベンゼン、1‐イソシアナト‐3‐フェニルベンゼン、1‐イソシアナトナフタレン、2‐イソシアナトナフタレン、1−イソシアナト‐4‐(フェニルメチル)ベンゼン、1−イソシアナト‐3‐(フェニルメチル)ベンゼンなどが挙げられる。
前記多分散多価カルボジイミドは、その名称のごとく、重合度の広がりを保有するため、若干のモノカルボジイミド成分を含んでいても問題ないが、少なくと二個以上のカルボジイミドを保有する成分が、50wt%を超えていることが好ましい。
かかる多分散多価カルボジイミド化合物は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定される数平均分子量を単位成分の分子量で除した平均重合度が1.5から10、より好ましくは1.7から7、さらに好ましくは1.8から5の範囲にあることが、分散能の観点より好ましい。
本発明において、カルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)の界面活性成分は、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤であることが好ましく、特に好ましくは下記一般式で表されるポリアルキレンオキシド系化合物である。
Figure 0005508076
(式中、Arは炭素数2から4のアルキレン基を、Fは、前述したカルボジイミド基あるいはイソシアネート基と反応性の官能基であり、WはFとポリアルキレングリコールの酸素原子とを結合する2価の有機基を表す。Yは、前記“F−W−”と同一であるか、炭素数2から20の脂肪族アシル基またはアルキル基あるいは炭素数6から20の脂環族あるいは芳香族アシル基または炭化水素基を、nは2から60の整数を表す。)
本発明においてカルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)は、前述したごとく、多価カルボジイミドの製造の際、イソシアネートと反応性の官能基を含有する上記式で表されるポリオキシアルキレン系化合物を併用することにより、好適に製造することができるが、別途製造した、多価カルボジイミド化合物あるいはイソシアネート基を保有するカルボジイミド化合物と上記式で表されるポリアルキレンオキシド系化合物とを反応させることによって製造することもできる。
また、かかるカルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)の原料として、市販のカルボジイミドも好適に使用できる。かかる剤としては、例えば日清紡ケミカル(株)より、「カルボジライト」の商品名で水性樹脂用架橋剤として販売されている、品名SV−02、V−02、V−02−L2、V−04、E−01、E−02などが例示される。
カルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)を製造する場合、多価カルボジイミド化合物のカルボジイミド基:1当量あたり、上記式で表されるポリアルキレンオキシド系化合物を0.5から1.5モル反応させることにより、あるいはイソシアネート基を保有するカルボジイミド化合物のイソシアネート基:1当量あたり、上記式で表されるポリアルキレンオキシド系化合物を0.5から1.5モル反応させることにより製造することができる。
反応は50から200℃、より好ましくは60から150℃、さらに好ましくは60から120℃で、1から20時間、より好ましくは1から15時間、さらに好ましくは2から10時間反応させる。
反応は溶媒の使用が好ましく、非プロトン系溶媒が好適であり、具合的には、例えば前記、カルボジイミド化に使用した溶媒が好適に使用できる。
上記式で表され、カルボジイミド基あるいはイソシアネート基と反応性を有する官能基として、ヒドロキシル基を含有する化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのホモあるいは共重合されたポリアルキレングリコール類さらにメトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリブチレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル等の前述したポリアルキレングリコール類の片末端ヒドロキシル基が炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20の脂環族基、芳香族基あるいは炭素数7から20のアラルキル基で封止されたポリアルキレングリコール類(以下これらを総称してアルコキシポリアルキレングリコール類と呼ぶことがある。)、さらにアセトキシポリエチレングリコール、プロピオニルオキシポリエチレングリコール、デシルカルボニルオキシポリプロピレングリコール、オレイルオキシポリブチレングリコール、モノアセトキシポリオキシエチレングリコール、シクロヘキシルカルボニルオキシポリエチレングリコール等の前述したポリアルキレングリコール類の片末端ヒドロキシル基が炭素数1から20の脂肪族アシル基、炭素数6から20の脂環族アシル基、芳香族アシル基あるいは炭素数7から20のアラルキルアシル基で封止されたポリアルキレングリコール類(以下これらを総称してアシル化ポリアルキレングリコール類と呼ぶことがある。)等が例示される。
カルボジイミド基あるいはイソシアネート基と反応性を有する官能基としてカルボキシル基を保有する上記式で表される化合物としては、例えば、前述のポリアルキレングリコール類、アルコキシポリアルキレングリコール類あるいはアシル化ポリアルキレングリコール類と酸無水物とを反応させた化合物(以下カルボキシル化ポリアルキレングリコール類と呼ぶことがある。)とを例示できる。
ここで、酸無水物としては、例えばコハク酸無水物、フマル酸無水物、フタル酸無水無水物、ピロメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸無水物、ビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン無水物、4,4’−(P−フェニレンジオキシ)ジフタル酸無水物、無水4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸無水物、ナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸無水無水物などが例示される。これらのうちコハク酸無水物、フマル酸無水物、フタル酸無水物などが、反応性、工業的利便性などより好適に選択される。
本発明において、カルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)の製造に使用でき、分子内にカルボジイミド基とイソシアネート基とを含有する化合物としては、例えば前述のジイソシアネート化合物の脱炭酸カルボジイミド化による多分散多価カルボジイミド化合物が好ましく例示される。
かかる多分散多価カルボジイミド化合物の重合度は、広がりを持ち、本発明の主旨に反しない範囲において、若干量のジイソシアネート化合物を含有していてもよい。
したがって、前記多分散カルボジイミドの平均重合度は0.7から5、より好ましくは0.8から4、さらに好ましくは0.9から3の範囲にあることが、分散性能の観点より好ましい。
かかる多分散カルボジイミド化合物の原料、製造法は、前述した剤、方法に従って製造する。
本発明のカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含む硬化剤により、カルボキシル基含有樹脂(A)を主剤として含む接着剤、あるいは塗料を硬化させて、硬化物あるいは塗膜を得るためには、主剤に本発明の硬化剤を配合あるいは主剤を本発明の硬化剤に配合したのちに、塗布、散布の後、硬化剤中の溶媒を揮散すればよく、具体的に接着剤として使用する場合には接着対象表面に、本発明の接着剤を塗布・散布した後に接着面を貼り合わせ、1から30分間程度室温あるいは加温条件に放置することにより十分な物性をもつ硬化物を得ることができ、塗料として用いる場合にも、塗膜を形成しようとする表面に塗布あるいは散布した後に1から30分間程度室温あるいは加温条件に放置することにより十分な物性をもつ塗膜を得ることができる。
アフターキュアさせる場合は、室温から加熱条件下、数時間から数日静置する。硬化速度が速すぎる場合は、カルボキシル基含有樹脂(A)に塩基性物質、例えば、アミンやアルカリ、具体的にはトリエチルアミンや水酸化ナトリウム等を添加することで、反応速度を調整することができる。
本発明において、接着剤、塗料に含まれる主剤の樹脂は、カルボキシル基を含有していれば、その種類を問わない。樹脂のカルボキシル基の含有量は、0.01から10.0mmol/gが好ましい。
カルボキシル基の含有量が0.01mmol/g未満のときは、架橋密度が小さいために、満足できる物性が得られない。10mmol/gを越える場合は、主剤/硬化剤間の反応が、“分子間”架橋ではなく、“分子内”架橋の割合が多くなるため、十分な物性が得られなくなる。カルボキシル基の含有量はより好ましくは0.03から8.0mmol/gである。
カルボキシル基含有樹脂(A)の数平均分子量は、5,000から100,000が好ましく、より好ましくは、10,000から90,000である。分子量が5,000未満の場合は、良好な物性が得られにくい。100,000を越える場合は、主剤と硬化剤との配合に手間がかかる等、作業性が劣る。
カルボキシル基含有樹脂(A)としては、特に限定はなく、従来公知のカルボキシル基を含有するポリエステル、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、末端カルボキシル化のポリオレフィンやポリジエンなどが例示される。
具体的には、例えば特開平11−315263号公報記載のカルボキシル基含有ポリクロロプレンゴム共重合体ラテックス、特開2001−172396号公報記載のカルボキシル基含有ポリエチレン系樹脂分散液、あるいは市販の剤としては、例えば、ポリアクリル酸樹脂あるいはカルボキシル基含有アクリル系樹脂としては((株)日本触媒製)「アクアリック」AS‐58、(日本カーバイド工業(株)製)「ニカライト」HA−401、(東亞合成(株)製)「アロニックス」M−5600などが、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂としては(互応化学工業(株)製)プラスコート品番Z−561、Z−730、RZ−142、(高松油脂(株)製)ペスレジン品番A−110、A−210、A−620、(東洋紡績(株)製)「バイロナール」品番MD−1200、MD−1220、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500などが、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルとしては(東洋インキ製造(株)製)「ダイナレオ」VA9023などが、カルボキシル基含有ポリエチレン系ディスパージョンとしては、(東邦化学工業(株)製)、ハイテック品番S−3121、S−7024などが、カルボキシル基含有水分散型ポリウレタンとしては(保土谷化学工業(株)製)「アイゼラックス」S−1060などが、カルボキシル基含有スチレン/ブタジエン系ラテックスとしては、(日本ゼオン(株)製、「NIPOL」LX430、LX433C、LX421などが例示される。
本発明のカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含む硬化剤により、カルボキシル基含有樹脂(A)を主剤として含む接着剤、あるいは塗料を硬化させて、硬化物あるいは塗膜を得るために、主剤に本発明の硬化剤を配合あるいは主剤を本発明の硬化剤に配合するにあたっては、特に限定無く、従来公知の方法、例えば主剤に硬化用組成物を添加して混練する方法、もしくは主剤の水溶液、水分散液、有機溶剤の溶液または分散液に、硬化用組成物の水溶液、水分散液、溶剤の溶液や分散液を添加、撹拌する等の方法を用いることができる。
また、硬化成分の水中分散方法としては、カルボジイミド化合物(B)とカルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)を水中に投入、もしくはカルボジイミド化合物(B)とカルボジイミド基を含有する界面活性剤(C)のそれぞれに水を投入して強制的に攪拌、分散させる方法、いったんアセトン等の有機溶剤に溶解させた後、水を投入、脱溶剤するといった方法を用いることができる。
また、硬化成分を、有機溶剤を用いて溶液とする場合に使用できる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の単品又は2種類以上の混合溶剤が使用可能である。
なお、本発明において、主剤となるカルボキシル基含有樹脂(A)と硬化剤との混合割合は、カルボキシル基保有樹脂(A)のカルボキシル基含有量、硬化剤中に含まれる硬化成分の種類、量によって適宜設定すればよいが、一般的には、硬化剤の添加量は、カルボキシル基含有樹脂(A)100重量部に対して、硬化剤1から100重量部、好ましくは5から60重量部、さらに好ましくは7から50重量部程度とすればよい。
硬化剤の添加量が1重量部未満の場合は、架橋密度が小さすぎるために架橋樹脂が十分な耐久性を有しないことがある。また、100重量部を越える場合は、架橋反応に関与しなかった硬化剤により、硬化樹脂が希釈されることになり、機械的物性などが低下することがある。
なお、接着剤として使用する場合には、上記の主剤と硬化剤との他に、必要に応じて着色顔料や艶消し剤、充填剤、充填材、可塑剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤等の接着剤に含有することが知られているいずれの剤を、本発明の目的を達成する範囲で添加してもよい。
また、塗料として使用する場合には、上記の主剤と硬化剤とを用いてクリヤー塗装の塗料として使用できる他、必要に応じて着色顔料や艶消し剤などの配合塗料、アルミフレークを含有するメタリック塗料等の各種塗料に適用でき、家庭用電化製品のハウジング、大型構造物、自動車等の広い用途でのプラスチック形成品に使用することができる。
また、必要に応じて、例えば、光輝材、充填剤、可塑剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等の塗料用添加物等を添加してもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。なお、本実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
1.軟化温度測定:
硬化剤で硬化させた樹脂をJIS K−6253に準拠して軟化温度を求めた。
2.ゲル分率測定:
フィルム状に硬化させて得た樹脂を更に細かくカットし、あらかじめ秤量し、円筒濾紙に入れてソックスレー抽出装置にて、抽出溶媒としてメチルエチルケトンを用い、10時間に可溶性分を抽出した後、乾燥、秤量してゲル化率を求めた。
3.接着性評価:
接着対象として、表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを2枚準備した。
一方、接着剤として、カルボキシル基を含有する有機溶剤系樹脂(固形分50wt%)あるいは水系樹脂(固形分50wt%)と硬化剤とを混合・調整し、調整後5分間以内に、上記準備したPETフィルム2枚のコロナ処理面(片面)に、乾燥後の塗布量が3g/mとなるように塗布した。
次いで80℃にて10秒間加温した後、2枚のPETフィルムの接着剤塗布面同士が接触するように重ね合わせ(貼り合わせ)、25℃にて3日間静置した。その後、PETフィルムを15mm幅の短冊状にカットして、評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルは、引張り速度200m/分、剥離方向180度にて剥離強度を評価した。
接着界面での剥離が生じず、フィルム自体が破壊された試料を特に優秀合格(◎)、
剥離強度が18.6N/15mm以上の試料を合格(○)、
剥離強度が18.6N/15mm未満の試料を不合格(×)と判定した。
4.塗料性能試験
塗料として、カルボキシル基を含有する溶剤系樹脂(固形分50wt%)100重量部に対して、酸化チタン33重量部、メチルエチルケトン33重量部を配合し、ボールミルにて分散させて、有機溶剤系の塗料(硬化剤添加前)を調整した。
また、カルボキシル基を含有する水系樹脂の水溶液(固形分50%)100重量部に対して、酸化チタン33重量部、水20重量部、イソプロピルアルコール13重量部を配合し、ボールミルにて分散させて、水系の塗料(硬化剤添加前)を調整した。
上記の塗料(硬化剤添加前)100重量部に対して、硬化剤3重量部を配合し、よく混合した。
これを板状のアルミニウム表面に乾燥後膜厚が50μmとなるように塗布し、80℃にて1分間加温、25℃で3日静置して塗装サンプルを得た。
得られた塗装サンプルを、JIS K−5600記載の碁盤目テープ法にて評価した。
[製造例]原料の準備:
カルボジイミド化合物として以下の化合物B1、B2、C1、C2、C3を合成し、準備した。
[製造例1]カルボジイミド化合物(B1)の合成:
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去して中間生成物B(アミン体)が得た。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌した。そこに中間生成物B(0.05mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物C(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌した。そこに、25℃で中間生成物C(0.05mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、下記構造式にて示されるカルボジイミド化合物(B1)を得た(MW=252)。構造はNMR,IRにより確認した。カルボジイミド化合物(B1)は一分子中に“−N=C=N−”で表されるカルボジイミド基をひとつ含む環構造(員数11)を1つ有している。
Figure 0005508076
[製造例2]カルボジイミド化合物(B2)の合成:
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物E(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌した。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、下記構造式にて表されるカルボジイミド化合物(B2)を得た(MW=516)。構造はNMR、IRにより確認した。カルボジイミド化合物(B2)は、一分子中に“−N=C=N−”で表されるカルボジイミド基を含む環構造(員数12)を二つ有し、各々の環構造中にはカルボジイミド基は1つのみ含んで形成されている。
Figure 0005508076
[製造例3]カルボジイミド化合物(C1)の合成:
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート250重量部とカルボジイミド化触媒(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスホレン‐1‐オキシド)3重量部とを170℃で10時間、窒素ガス雰囲気下、反応させた後、600重量部の数平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを配合し、120℃で3時間反応させて末端のイソシアネート基をウレタン化し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの連結したカルボジイミド基含有ポリエチレングリコールを得た(カルボジイミド重合度=5.5)。
[製造例4]カルボジイミド化合物(C2)の合成:
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート250重量部とカルボジイミド化触媒(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスホレン‐1‐オキシド)3重量部とを170℃で10時間反応させた後、600重量部の数平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを60重量部の無水コハク酸でエステル化して配合し、120℃で3時間反応させてカルバミン酸エステル化し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの連結したカルボジイミド基含有ポリエチレンオキシドを得た(カルボジイミド重合度=4.2)。
[製造例5]カルボジイミド化合物(C3)の合成:
イソホロンジイソシアネート476重量部と数平均分子量700のポリエチレングリコールモノメチルエーテル600重量部とを、窒素ガス雰囲気下、90℃、3時間反応させた。次いで(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスフォレン‐1‐オキシド)3重量部を添加し、窒素ガス雰囲気下、170℃、15時間反応させて、カルボジイミド化合物(C3)(カルボジイミド重合度=4.5)を得た。
[実施例1]
カルボジイミド化合物(B1)25重量部、カルボジイミド化合物(B2)25重量部、カルボジイミド化合物(C1)50重量部をホモジナイザーで混合、さらにアセトン100重量部を添加して硬化剤を作成した。
一方、主剤としてカルボキシル基含有アクリル樹脂(日本カーバイド工業(株)製「ニカライト」HA−401を、メチルエチルケトンを用いて、固形分50wt%に希釈して得たアクリル樹脂溶液100重量部に上記の硬化剤10重量部を添加しよく混合した。
この混合液を離形紙上にキャストして、60℃で30分間キュア、ついで、120℃、1時間でキュアして硬化物を得た。
硬化物の軟化温度は200℃以上、ゲル化率は99%以上であって、良好な硬化効率(ゲル化率)と、耐熱性(軟化温度)とを示した。
また、上記混合液を使用して、接着性を評価したところ接着力に関してはフィルム破壊を起こし、優秀合格、また碁盤テープ法による塗料性能試験は10(点)であった。結果を表1に記載する。
[実施例2〜3、比較例1〜4]
実施例1と同様にして、ただし組成は表1に記載の通りとして接着剤を得た。結果と併せて表1に記載する。
Figure 0005508076
表1により容易に理解されるように、本発明の硬化剤は、溶剤系樹脂に対する硬化効率が高く、得られる硬化物の耐熱性に優れる他、接着剤としての性能、塗料としての性能も高いことが容易に理解される。
なお、線状ポリカルボジミドイミドを使用した場合、ゲル化分率は95%までしか到達しなかった。
[実施例4]
実施例1と同様にして、ただし表2中記載の各成分にて硬化剤を製造し、主剤としては、カルボキシル基を含有する水分散型ウレタン樹脂溶液(保土谷化学工業(株)製「アイゼラックス」S−1060を水で固形分50wt%に調整して得たウレタン樹脂溶液100重量部に表2記載の組成の硬化剤10重量部を添加しよく混合した。
この混合液をテフロン(登録商標)紙上にキャストして、60℃で30分間キュア、ついで、120℃、1時間キュアして硬化物を得た。
硬化物の軟化温度は、200℃以上、ゲル化率、99%以上の良好な硬化効率(ゲル化率)と、耐熱性(軟化温度)を示した。結果と合わせて表2中に記載する。
また、上記混合液を使用して、接着性を評価したところ接着力に関してはフィルム破壊を起こし、優秀合格、また碁盤テープ法による塗料性能試験は10(点)であった。結果を表2に記載する。
[実施例5〜6、比較例5〜8]
実施例4と同様にして、ただし表2中記載のカルボジイミド成分、界面活性剤よりなる硬化剤を製造し、評価を行った。結果とあわせて表2中に記載する。
Figure 0005508076
表2により容易に理解されるように、本発明の硬化剤は、前記の溶剤系樹脂の場合と同等に、水系樹脂に対しても有効であることが容易に理解される。
なお、線状ポリカルボジミドイミドを使用した場合、ゲル化分率は93%、あるいは94%までしか到達しなかった。
本発明の硬化剤はカルボキシル基含有樹脂を効率的に硬化することが可能であり、接着剤、塗料の硬化剤として好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式で表されるカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含みカルボジイミド化合物(B)は、一分子中に“−N=C=N−”で表されるカルボジイミド基をひとつ含む環構造を複数有する化合物を含む、硬化剤。
    Figure 0005508076
    (式中、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。)
  2. 界面活性剤(C)を含む請求項1に記載の硬化剤。
  3. 界面活性剤(C)がカルボジイミド基を含有する、請求項2に記載の硬化剤。
  4. 主剤と硬化剤とを含む接着剤であって、主剤がカルボキシル基含有樹脂(A)であり、硬化剤が、請求項1〜3のいずれか記載の硬化剤である接着剤。
  5. 請求項4に記載の接着剤を硬化してなる硬化物。
  6. 主剤と硬化剤とを含む塗料であって、主剤がカルボキシル基含有樹脂(A)であり、硬化剤が、請求項1〜3のいずれか記載の硬化剤である塗料。
  7. 請求項6に記載の塗料を硬化してなる塗膜。
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