JP5508076B2 - 硬化剤及びこれを用いた接着剤並びに塗料 - Google Patents
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Description
一般的に、水系樹脂又は溶剤系樹脂単独では、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等が不十分であるため、硬化剤を用いて諸物性を向上させる手段が広く用いられている。
しかし、特許文献1で提案されている組成物は、水中分散性ではあるが、イソシアネート基を含むためポットライフが短く、実用性に問題がある。
すなわち十分な硬化特性を実現するには、カルボジイミド基量を増大する必要があるが、これにより硬化剤の分子量、剛直性が増大して、水あるいは溶剤への溶解性、分散性が低下、とりわけ水分分散工程などの作業性に問題が発生することがある。
また、アニオン性親水基、具体的にはカルボキシル基を含有する水性高分子主剤中にカルボジイミド基と界面活性成分を組み込むことにより、架橋樹脂と硬化剤の分散の問題を解決することが提案されている(例えば、特許文献4)が、架橋密度低下を防ぐ有効な解決とはなっていない。
下記一般式で表されるカルボジイミド化合物(B)を硬化成分として含む硬化剤によって達成することができる。
また、本発明の硬化剤によって硬化されたカルボキシル基含有樹脂(硬化物)は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等に優れているので、カルボキシル基含有樹脂(硬化前)と硬化剤との組成物は、塗料、接着剤として好適に用いることが可能である。
ここで、上記カルボジイミド化合物(B)は、カルボジイミド基(−N=C=N−))が環中に含まれる形で環状構造を形成し、カルボジイミド基を環構造中に1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。
かかる観点において、より好ましくは10から30員環、さらに好ましくは10から20員環、特に好ましくは10から15員環である。
かかる観点より、カルボジイミド化合物(B)の分子量は、より好ましくは100〜750であり、さらに好ましくは250〜750である。
上記一般式、Qは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基であり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
この結合基の価のうち2つの価は環状構造を形成するために使用される。Qが3価あるいは4価の結合基である場合、単結合、二重結合、原子、原子団を介して、ポリマーあるいは他の環状構造と結合している。
結合基(Q)は、下記式(i−1)、(i−2)または(i−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
芳香族基として、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。
X1およびX2は各々独立に、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであり、ヘテロ原子、置換基を含んでいてもよい。
以上のように、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3はヘテロ原子を含有していてもよい。
カルボキシル基含有樹脂の硬化効率、硬化樹脂の耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐熱性、接着性等の観点より本発明の硬化剤には、硬化剤100重量部あたり、カルボジイミド化合物(B)の含有量は5から90重量部、好ましくは7から80重量部、より好ましくは10から70重量部である。
さらに、同様の観点より多価環状カルボジイミド化合物の含有量はカルボジイミド化合物(B)の合計重量を基準にして、1から90wt%、より好ましくは10から50wt%、さらに好ましくは20から50wt%である。
かかる製造方法としては、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からトリフェニルホスフィン体を経由して製造する方法、アミン体から尿素体を経由して製造する方法、アミン体からチオ尿素体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法、ラクタム体を誘導して製造する方法などが挙げられる。
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(e−1)から(e−3)から選ばれる結合基である。)
界面活性剤(C)としては両親媒性を有する、界面活性剤として公知のいずれの化合物を用いることもできるが、少なくとも一個のカルボジイミド基を含有する界面活性剤を用いることが好ましい。
かかる観点において、好ましくは上記基準において、10から80重量部、より好ましくは15から70重量部である。
ここにおいて、多分散とは、高分子化学における分散であって、重合度に広がりのある混合物との意味であり、単分散とは、単一の分子量を有することを意味する。
前記多分散多価カルボジイミド化合物としては、例えば、米国特許第2941966号明細書、特開2005−15734号公報あるいはChem.Rev.vol.81,589(1981)等に記載の方法などにより製造することができる。
上記カルボジイミド化は、前述のカルボジイミド化触媒の存在下、例えば、不活性ガス雰囲気下において30から200℃好ましくは60から180℃で1から50時間、好ましくは、2から40時間反応させる。
中でも、トルエン、キシレン、パークレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、ナフタレン及びシクロヘキサンが好ましく、トルエンがさらに好ましい。これらは単独で使用されても、二種類以上併用してもよい。
反応は溶媒の使用が好ましく、非プロトン系溶媒が好適であり、具合的には、例えば前記、カルボジイミド化に使用した溶媒が好適に使用できる。
したがって、前記多分散カルボジイミドの平均重合度は0.7から5、より好ましくは0.8から4、さらに好ましくは0.9から3の範囲にあることが、分散性能の観点より好ましい。
かかる多分散カルボジイミド化合物の原料、製造法は、前述した剤、方法に従って製造する。
また、必要に応じて、例えば、光輝材、充填剤、可塑剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等の塗料用添加物等を添加してもよい。
硬化剤で硬化させた樹脂をJIS K−6253に準拠して軟化温度を求めた。
フィルム状に硬化させて得た樹脂を更に細かくカットし、あらかじめ秤量し、円筒濾紙に入れてソックスレー抽出装置にて、抽出溶媒としてメチルエチルケトンを用い、10時間に可溶性分を抽出した後、乾燥、秤量してゲル化率を求めた。
接着対象として、表面をコロナ処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを2枚準備した。
一方、接着剤として、カルボキシル基を含有する有機溶剤系樹脂(固形分50wt%)あるいは水系樹脂(固形分50wt%)と硬化剤とを混合・調整し、調整後5分間以内に、上記準備したPETフィルム2枚のコロナ処理面(片面)に、乾燥後の塗布量が3g/m2となるように塗布した。
次いで80℃にて10秒間加温した後、2枚のPETフィルムの接着剤塗布面同士が接触するように重ね合わせ(貼り合わせ)、25℃にて3日間静置した。その後、PETフィルムを15mm幅の短冊状にカットして、評価サンプルを得た。
得られた評価サンプルは、引張り速度200m/分、剥離方向180度にて剥離強度を評価した。
接着界面での剥離が生じず、フィルム自体が破壊された試料を特に優秀合格(◎)、
剥離強度が18.6N/15mm以上の試料を合格(○)、
剥離強度が18.6N/15mm未満の試料を不合格(×)と判定した。
塗料として、カルボキシル基を含有する溶剤系樹脂(固形分50wt%)100重量部に対して、酸化チタン33重量部、メチルエチルケトン33重量部を配合し、ボールミルにて分散させて、有機溶剤系の塗料(硬化剤添加前)を調整した。
また、カルボキシル基を含有する水系樹脂の水溶液(固形分50%)100重量部に対して、酸化チタン33重量部、水20重量部、イソプロピルアルコール13重量部を配合し、ボールミルにて分散させて、水系の塗料(硬化剤添加前)を調整した。
上記の塗料(硬化剤添加前)100重量部に対して、硬化剤3重量部を配合し、よく混合した。
これを板状のアルミニウム表面に乾燥後膜厚が50μmとなるように塗布し、80℃にて1分間加温、25℃で3日静置して塗装サンプルを得た。
得られた塗装サンプルを、JIS K−5600記載の碁盤目テープ法にて評価した。
カルボジイミド化合物として以下の化合物B1、B2、C1、C2、C3を合成し、準備した。
o−ニトロフェノール(0.11mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート250重量部とカルボジイミド化触媒(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスホレン‐1‐オキシド)3重量部とを170℃で10時間、窒素ガス雰囲気下、反応させた後、600重量部の数平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを配合し、120℃で3時間反応させて末端のイソシアネート基をウレタン化し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの連結したカルボジイミド基含有ポリエチレングリコールを得た(カルボジイミド重合度=5.5)。
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート250重量部とカルボジイミド化触媒(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスホレン‐1‐オキシド)3重量部とを170℃で10時間反応させた後、600重量部の数平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを60重量部の無水コハク酸でエステル化して配合し、120℃で3時間反応させてカルバミン酸エステル化し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの連結したカルボジイミド基含有ポリエチレンオキシドを得た(カルボジイミド重合度=4.2)。
イソホロンジイソシアネート476重量部と数平均分子量700のポリエチレングリコールモノメチルエーテル600重量部とを、窒素ガス雰囲気下、90℃、3時間反応させた。次いで(3‐メチル‐1‐フェニル‐2‐ホスフォレン‐1‐オキシド)3重量部を添加し、窒素ガス雰囲気下、170℃、15時間反応させて、カルボジイミド化合物(C3)(カルボジイミド重合度=4.5)を得た。
カルボジイミド化合物(B1)25重量部、カルボジイミド化合物(B2)25重量部、カルボジイミド化合物(C1)50重量部をホモジナイザーで混合、さらにアセトン100重量部を添加して硬化剤を作成した。
一方、主剤としてカルボキシル基含有アクリル樹脂(日本カーバイド工業(株)製「ニカライト」HA−401を、メチルエチルケトンを用いて、固形分50wt%に希釈して得たアクリル樹脂溶液100重量部に上記の硬化剤10重量部を添加しよく混合した。
この混合液を離形紙上にキャストして、60℃で30分間キュア、ついで、120℃、1時間でキュアして硬化物を得た。
硬化物の軟化温度は200℃以上、ゲル化率は99%以上であって、良好な硬化効率(ゲル化率)と、耐熱性(軟化温度)とを示した。
また、上記混合液を使用して、接着性を評価したところ接着力に関してはフィルム破壊を起こし、優秀合格、また碁盤テープ法による塗料性能試験は10(点)であった。結果を表1に記載する。
実施例1と同様にして、ただし組成は表1に記載の通りとして接着剤を得た。結果と併せて表1に記載する。
なお、線状ポリカルボジミドイミドを使用した場合、ゲル化分率は95%までしか到達しなかった。
実施例1と同様にして、ただし表2中記載の各成分にて硬化剤を製造し、主剤としては、カルボキシル基を含有する水分散型ウレタン樹脂溶液(保土谷化学工業(株)製「アイゼラックス」S−1060を水で固形分50wt%に調整して得たウレタン樹脂溶液100重量部に表2記載の組成の硬化剤10重量部を添加しよく混合した。
この混合液をテフロン(登録商標)紙上にキャストして、60℃で30分間キュア、ついで、120℃、1時間キュアして硬化物を得た。
硬化物の軟化温度は、200℃以上、ゲル化率、99%以上の良好な硬化効率(ゲル化率)と、耐熱性(軟化温度)を示した。結果と合わせて表2中に記載する。
また、上記混合液を使用して、接着性を評価したところ接着力に関してはフィルム破壊を起こし、優秀合格、また碁盤テープ法による塗料性能試験は10(点)であった。結果を表2に記載する。
実施例4と同様にして、ただし表2中記載のカルボジイミド成分、界面活性剤よりなる硬化剤を製造し、評価を行った。結果とあわせて表2中に記載する。
なお、線状ポリカルボジミドイミドを使用した場合、ゲル化分率は93%、あるいは94%までしか到達しなかった。
Claims (7)
- 界面活性剤(C)を含む請求項1に記載の硬化剤。
- 界面活性剤(C)がカルボジイミド基を含有する、請求項2に記載の硬化剤。
- 主剤と硬化剤とを含む接着剤であって、主剤がカルボキシル基含有樹脂(A)であり、硬化剤が、請求項1〜3のいずれか記載の硬化剤である接着剤。
- 請求項4に記載の接着剤を硬化してなる硬化物。
- 主剤と硬化剤とを含む塗料であって、主剤がカルボキシル基含有樹脂(A)であり、硬化剤が、請求項1〜3のいずれか記載の硬化剤である塗料。
- 請求項6に記載の塗料を硬化してなる塗膜。
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