JP6894488B2 - ポリカルボジイミド化合物、水性樹脂架橋剤、水性樹脂組成物及びポリカルボジイミド化合物の製造方法 - Google Patents
ポリカルボジイミド化合物、水性樹脂架橋剤、水性樹脂組成物及びポリカルボジイミド化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
そのような水性樹脂架橋剤に用いられるポリカルボジイミド化合物としては、構成単位にグリコール化合物に由来する基を含むものや(特許文献1)、ポリエステルジオールに由来する基を含むものが知られている(特許文献2)。
また、特定の2種類の置換基を有するポリカルボジイミド化合物を組み合わせて用いる水性樹脂架橋剤も知られている(特許文献3)。
一方で、特許文献2に記載の発明では、ポリエステル樹脂の加水分解を防ぐことを目的としてポリカルボジイミド化合物の分子設計がされている。
また、特許文献3に記載の発明は、長期間保存しても水性樹脂架橋剤としての機能を発揮できるようにするためになされたものである。
しかしながら、特許文献1〜3のいずれにも、塗膜を形成したときの耐溶剤については言及がない。
そこで、本発明は、耐溶剤性に優れた塗膜の形成に用いられる水性樹脂架橋剤と、その水性樹脂架橋剤に用いることができるポリカルボジイミド化合物等を提供することを課題とする。
[1] 下記式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-[X3-R4-X3-(R3-N=C=N)n-R3]p-X2-R2 (1)
式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、複数のR4は、互いに同一又は異なり、
R1、R2及びR4の少なくとも一つが、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1、X2及びX3は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは0〜20の数を表す。
[2]下記式(1−2)で表される、[1]に記載のポリカルボジイミド化合物。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-X2-R2 (1−2)
式(1−2)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含み、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
mは、1〜20の数を表す。
[3] 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、さらに、下記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、[2]に記載のポリカルボジイミド化合物。
R5−(O−CH2−CHR6)p−Z1 (2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子又はメチル基であり、Z1はOH又はNH2である。pは4〜30の整数である。)
(R7)2N−R8−OH (3)
(式中、R7は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
(R9)2N−R10−NH2 (4)
(式中、R9は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R10は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
Z2−R11−SO3M (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基、Mはアルカリ金属であり、Z2はOH又はNH2である。)
[4] 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体のみを含む、[2]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[5]前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重
合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表し、
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する有機化合物が、下記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である、[1]に記載のポリカルボジイミド化合物。
R5−(O−CH2−CHR6)p−Z1 (2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子又はメチル基であり、Z1はOH又はNH2である。pは4〜30の整数である。)
(R7)2N−R8−OH (3)
(式中、R7は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
(R9)2N−R10−NH2 (4)
(式中、R9は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R10は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
Z2−R11−SO3M (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基、Mはアルカリ金属であり、Z2はOH又はNH2である。)
[6] 前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、[1]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[7] 前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、該有機化合物はイソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含み、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する2価の有機化合物から、前記官能基を除いた官能基であり、該2価の有機化合物はグリコール化合物またはジカルボン酸化合物であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、ウレタン結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、[1]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[8] 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する2価の有機化合物がグリコール化合物であり、該グリコール化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上である、[7]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[9] 前記X3が、下記式(6)〜(8)で表されるいずれかの基である、[1]、[5]及び[6]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物。
[10] 前記X1及びX2が、下記式(6)〜(8)で表されるいずれかの基である、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物。
[11] 前記ジイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、及び2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンからなる群から選択される1種以上である、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物と水性媒体とを含む、水性樹脂架橋剤。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物と、水性樹脂とを含む、水性樹脂組成物。
[14] 下記工程(A)と工程(B)とを有する、下記式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物の製造方法であって、
工程(A):ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミド前駆体を得る工程
工程(B):イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基及び/またはイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基を、前記ポリカルボジイミド前駆体に導入するための反応工程
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-[X3-R4-X3-(R3-N=C=N)n-R3]p-X2-R2 (1)
式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少
なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、複数のR4は、互いに同一又は異なり、
R1、R2及びR4の少なくとも一つが、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1、X2及びX3は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは0〜20の数を表す。
を提供できる。
本発明は、下記式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物に関するものである。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-[X3-R4-X3-(R3-N=C=N)n-R3]p-X2-R2 (1)
式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、複数のR4は、互いに同一又は異なり、
R1、R2及びR4の少なくとも一つが、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1、X2及びX3は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは0〜20の数を表す。
式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
このピーク強度比は、式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物における、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を
除いた残基の割合の指標となるものである。このピーク強度比は以下の他の実施形態でも同様の意味を有する。
R1及びR2の一方または両方が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基になるものを含むものとして、下記の実施形態1、2、4及び5を挙げることができる。
R4がイソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基になるものを含むものとして、下記の実施形態3及び4を挙げることができる。
R1、R2及びR4の全てがイソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基になるものを含むものとして、下記の実施形態4を挙げることができる。
R1及びR2の一方または両方が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基である場合、当該(メタ)アクリル重合体が有する前記官能基の数は少なくとも1つである。
R4がイソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基を含む場合、当該(メタ)アクリル重合体が有する前記官能基の数は2つである。
式(1)において、pが0の場合、下記の実施形態1で示す式(1−2)で表される化合物になる。
R5−(O−CH2−CHR6)p−Z1 (2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子又はメチル基であり、Z1はOH又はNH2である。pは4〜30の整数である。)
上記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基が挙げられる。
R5としてはメチル基が好ましく、R6としては水素原子が好ましい。
pは4〜30の整数であり、ポリカルボジイミド化合物とカルボキシル基含有水性樹脂との親和性を向上させる観点から、7〜25の整数が好ましく、8〜20の整数がより好ましい。
(R7)2N−R8−OH (3)
(式中、R7は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
R7の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基が好ましい。
R8の炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、及びデカメチレン基等が挙げられる。アルキレン基の水素原子はメチル基等の一価炭化水素基により置換されていてもよい。
R8としては、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が好ましい。
(R9)2N−R10−NH2 (4)
(式中、R9は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R10は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
R9の炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R7と同じものが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基が好ましい。
R10の炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記R8と同じものが挙げられる。
R10としては、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が好ましい。
Z2−R11−SO3M (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基、Mはアルカリ金属であり、Z2はOH又はNH2である。)
R11の炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記R8と同じものが挙げられる。中でも、メチレン基、エチレン基が好ましい。
前記一般式(1)中、R1及びR2の残基を形成することができる、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体と、式(1)において、R4の残基を形成することができる、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体について説明する。
上記官能基として、例えば水酸基またはカルボキシル基を挙げることができる。
これらの重合体において、イソシアネート基との反応性を有する官能基が、水酸基またはカルボキシル基である場合、例えば以下の製造方法により得ることができる。
例えば、国際公開第2017/043373号に記載のように、酸素を0.01〜6.0体積%含有する不活性ガスの存在下に、イソシアネート基との反応性を有する官能基とチオール基とを有する化合物を開始種として、(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合反応させて、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体を製造する方法を挙げることができる。
上記の製造方法において、(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物の重合反応を、メタロセン系触媒の存在下で行い、前記メタロセン系触媒が(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物および、イソシアネート基との反応性を有する官能基とチオール基とを有する化合物の合計100質量部に対して0.001〜5.0質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、上記の製造方法において、(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物および、前記イソシアネート基との反応性を有する官能基とチオール基とを有する化合物の合計100質量部に対して、上記イソシアネート基との反応性を有する官能基とチオー
ル基とを有する化合物を0.1〜50質量部の範囲内の量で使用することが好ましい。
また、上記の製造方法は塊状重合法により重合反応を行うものであることが好ましい。この重合反応は、通常は常圧条件で行われるが、加圧条件下あるいは減圧条件下で行ってもよい。
反応温度は、通常は60〜200℃の範囲内の温度に設定される。反応時間は、通常は30分〜24時間の範囲内に設定される。
上記開始種として用いる、イソシアネート基との反応性を有する官能基がカルボキシル基である場合、カルボキシル基とチオール基とを有する化合物としてα−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、2,3−ジメルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、o−メルカプト安息香酸、m−メルカプト安息香酸、チオリンゴ酸、チオール炭酸、o−チオクマル酸、α−メルカプトブタン酸、β−メルカプトブタン酸、γ−メルカプトブタン酸、チオヒスチジンおよび11−メルカプトウンデカン酸のようなカルボキシル基含有化合物を挙げることができる。
(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物が含有する(メタ)アクリルモノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル鎖は、直鎖状または分岐状であってもよく、例えば、炭素原子数1以上36以下のアルキル鎖が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等を挙げることができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及び8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記水酸基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等が挙げられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマーとしては、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステルおよびω
−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。前記カルボキシル基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体として、前記官能基を1つ有するものを好ましく例示できる。これは以降の具体的な実施形態でも同様である。また、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体として、前記官能基の数の上限として、例えば4を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル重合体について、前記官能基を少なくとも1つ有するものにするか、前記官能基を2つ有するものにするか、という点については、モノマーを適宜選択することにより調整することができる。
前記一般式(1)中、R3を形成するジイソシアネート化合物について説明する。
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有する。複数のR3は、互いに同一又は異なる。
前記ジイソシアネート化合物の具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、及び2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
これらの中でも、ポリカルボジイミド化合物の合成の容易さ、及び合成したポリカルボジイミド化合物の保存安定性、入手容易の観点から、ジシクロヘキシルメタン−4,4’
−ジイソシアネートが好ましい。
X1及びX2は、R1及びR2を形成する有機化合物との反応により生成する基であり、X3はR4を形成する有機化合物との反応により生成する基である。
例えば、X1及びX2を形成する有機化合物として、水酸基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体または式(3)で表される化合物を用いる場合、これらの有機化合物が有する官能基は水酸基なので、ジイソシアネート基とが反応すると、X1、X2として、以下の式(6)で表されるウレタン結合が形成される。式(2)及び(5)で表される化合物として、それぞれZ1及びZ2のそれぞれが、OHであるものを用いる場合も上記と同様である。
一方、X3を形成する有機化合物として、水酸基を2つ有する(メタ)アクリル重合体、または他の2価のグリコール化合物を用いる場合、これらの有機化合物が有する官能基は水酸基なので、ジイソシアネート基とが反応すると、X3として、上記の式(6)で表されるウレタン結合が形成される。
また、X3を形成する有機化合物として、カルボキシル基を2つ有する(メタ)アクリル重合体、または他のジカルボン酸化合物を用いる場合、これらの有機化合物が有する官能基はカルボキシル基なので、これとジイソシアネート基とが反応すると、X3として、上記の式(8)で表されるアミド結合が形成される。
<第一の実施形態>
本発明のポリカルボジイミドの第一の実施形態として、以下の式(1−2)で表される化合物を挙げることができる。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-X2-R2 (1−2)
式(1−2)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含み、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
mは、それぞれ、1〜20の数を表す。
とも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含む。イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する有機化合物は、当該(メタ)アクリル重合体のみでもよいし、それ以外の有機化合物を含んでもよい。
イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体については上記<イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体>で説明したものを用いることができる。当該(メタ)アクリル重合体が有する官能基は、水酸基またはカルボキシル基であることが好ましい。
第一の実施形態において、ポリカルボジイミド化合物の合成時における、前記(メタ)アクリル重合体と、必要に応じて添加するその他の有機化合物の仕込み比率を変えることで、式(1)におけるR1及びR2における、それぞれの残基の比率を変えることができる。
第一の実施形態における式(1−2)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
第一の実施形態において、式(1−2)のR1及びR2は、これらを形成する有機化合物の種類に応じて以下のようになる。
上記(メタ)アクリル重合体が有するイソシアネート基との反応性を有する官能基が水酸基の場合、その(メタ)アクリル重合体の水酸基を1つ除いた残基、
上記(メタ)アクリル重合体が有するイソシアネート基との反応性を有する官能基がカルボキシル基の場合、その(メタ)アクリル重合体のカルボキシル基を1つ除いた残基を示す。
イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、上記(メタ)アクリル重合体以外の化合物である場合は、その官能基を除いた残基を示す。
第一の実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、上記で説明したとおり、R1及びR2を形成する化合物の種類に応じて、式(6)〜(8)で表されるいずれか基になる。すなわち、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合であり、前記官能基がアミノ基である場合にはウレア結合である。
第一の実施形態において、mは2〜20であることがより好ましい。
本発明の第二の実施形態は、前記式(1−2)において、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する有機化合物として、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体に加えて、それ以外の有機化合物として上記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物とを含む態様である。
イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体については上記で説明したものを用いることができる。当該(メタ)アクリル重合体が有する官能基は、水酸基またはカルボキシル基であることが好ましい。
第二の実施形態では、式(1−2)のR1及びR2は、これらを形成する化合物の種類に応じて以下のようになる。
上記(メタ)アクリル重合体が有するイソシアネート基との反応性を有する官能基が水酸基の場合、その(メタ)アクリル重合体の水酸基を1つ除いた残基、
上記(メタ)アクリル重合体が有するイソシアネート基との反応性を有する官能基がカルボキシル基の場合、その(メタ)アクリル重合体のカルボキシル基を1つ除いた残基、
上記式(3)で表される化合物を用いる場合は、それぞれの構造から水酸基を1つ除いた残基、
上記式(4)で表される化合物を用いる場合は、アミノ基を除いた残基、
上記式(2)または式(5)で表される化合物を用いる場合、それぞれZ1、Z2が水酸基である場合は、その水酸基を除いた残基、Z1、Z2がアミノ基である場合は、そのアミノ基を除いた残基を示す。
第二の実施形態において、ポリカルボジイミド化合物の合成時における、前記(メタ)アクリル重合体と、式(2)〜(5)からなる群から選択される1種以上の化合物の仕込み比率を変えることで、式(1)におけるR1及びR2における、それぞれの残基の比率を変えることができる。
第二の実施形態における式(1−2)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
第二の実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、上記で説明したとおり、R1及びR2を形成する化合物の種類に応じて、式(6)〜(8)で表されるいずれか基になる。すなわち、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合であり、前記官能基がアミノ基である場合にはウレア結合である。
第二の実施形態において、mは2〜20であることがより好ましい。
本発明の第三の実施形態は、前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表し、
上記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、上記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である、ポリカルボジイミド化合物である。
本発明の第三の実施形態において、R3を形成するジイソシアネート化合物として、上記<ジイソシアネート化合物>で挙げた化合物を用いることができる。
本発明の第三の実施形態において、R4を形成する有機化合物は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体である。そのような(メタ)アクリル重合体として、上記の<イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体>で説明したものを用いることができる。当該(メタ)アクリル重合体が有する官能基は、水酸基またはカルボキシル基であることが好ましい。
本発明の第三の実施形態における、式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
本発明の第三の実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立に、上記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表されるからなる群から選択される1種以上の化合物に由来する官能基と、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応により形成される結合である。
本発明の第三の実施形態において、X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合である。
本発明の第四の実施形態は、前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、ポリカルボジイミド化合物である。
本発明の第四の実施形態において、R3を形成するジイソシアネート化合物として、上記<ジイソシアネート化合物>で挙げた化合物を用いることができる。
本発明の第四の実施形態において、R4を形成する有機化合物は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体である。当該(メタ)アクリル重合体が有する官能基は、水酸基またはカルボキシル基であることが好ましい。そのような(メタ)アクリル重合体として、上記の<イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体>で説明したものを用いることができる。
本発明の第四の実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体に由来する基であり、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合である。
本発明の第四の実施形態において、X3は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合である。
本発明の第四の実施形態における、式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
本発明の第五の実施形態は、前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、該有機化合物は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含み、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する2価の有機化合物から、前記官能基を除いた官能基であり、該2価の有機化合物はグリコール化合物またはジカルボン酸化合物であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、ウレタン結合またはアミド結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、ポリカルボジイミド化合物である。
本発明の第五の実施形態における、式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物において、赤外吸収(IR)スペクトル測定により測定されるカルボジイミド基(2112cm−1)のピーク強度比に対する、カルボニル基(1720cm−1)のピーク強度比が0.2〜8であることが好ましい。
本発明の第五の実施形態において、R3を形成するジイソシアネート化合物として、上記<ジイソシアネート化合物>で挙げた化合物を用いることができる。
本発明の第五の実施形態において、R4を形成する有機化合物は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物であり、該有機化合物はグリコール化合物またはジカルボン酸化合物である。
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物がグリコール
化合物である場合、該グリコール化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
なお、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、水又は親水性溶剤への溶解又は分散を容易にさせる観点から、好ましくは2,000以下であることが好ましい。
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物がジカルボン酸化合物である場合、該ジカルボン酸化合物は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸及びアゼライン酸からなる群から選ばれる1種以上の飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる1種以上の芳香族ジカルボン酸を例示できる。
本発明の第五の実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物に由来する基であり、前記官能基が水酸基である場合にはウレタン結合であり、前記官能基がカルボキシル基である場合にはアミド結合であり、前記官能基がアミノ基である場合にはウレア結合である。
本発明の第五の実施形態において、X3は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、該有機化合物がグリコール化合物である場合にはウレタン結合であり、該有機化合物がジカルボン酸化合物である場合にはアミド結合である。
本発明の水性樹脂架橋剤は、上記ポリカルボジイミド化合物を含有する。
上記ポリカルボジイミド化合物以外には、その後の使用を考慮して、水性媒体を含むことが好ましい。
本発明の水性樹脂架橋剤は、上記のポリカルボジイミド化合物と、必要に応じて水性媒体とを混合することにより製造することが可能である。
本発明の水性樹脂架橋剤における固形分含有量は、水性樹脂架橋剤100質量部に対して、5〜65質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましく、20〜55質量部が更に好ましく、30〜50質量部が特に好ましい。
本発明の水性樹脂架橋剤に用いることができる水性媒体としては、例えば、水、及び水とその他の溶媒との混合溶媒を挙げることができる。その他の溶媒としては、水と相溶性を示すものであれば特に限定されず、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、及びエステル類等が挙げられる。
アルコール類としては、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノール等が挙げられる。
エーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、及びアセチルアセトン等が挙げられる。
エステル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが挙げられる。
これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水性媒体としては、水のみからなる完全水系であることが、環境面から好ましい。
本発明の水性樹脂架橋剤は、ポリカルボジイミド化合物の水性媒体中での保存安定性、及び水性樹脂と併存させた場合での保存安定性をより一層向上させることを目的として、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤等が挙げられ、カルボジイミド系水性樹脂架橋剤の水性樹脂と併存させた状態での保存安定性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びアルケニルコハク酸ジカリウム等が挙げられ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、本発明の水性樹脂架橋剤及び水性樹脂を含有する。本発明の水性樹脂組成物は、本発明の水性樹脂架橋剤を含有するものであるため、これを用いると耐溶剤性に優れる塗膜を作製できる。
本発明で用いる水性樹脂はカルボキシル基含有樹脂であり、カルボキシル基を有すれば特に限定されない。例えば、水性ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム系ラテックス樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を好ましく用いることができる
これらの樹脂は、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボキシル基含有ポリオール類としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。中でも、入手の容易さの観点から、ジメチロールアルカン酸が好ましく、2,2−ジメチロールプロピオン酸がより好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリイソシアネート化合物の中でも、反応性の制御と強度付与等の観点から、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)が好ましい。
ミン類であり、より好ましくは3級アミンであり、トリエチルアミンや2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノールが特に好ましい。
具体的な重合性不飽和カルボン酸及びそれらの無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸及びそれらの無水物等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸以外のアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の実施形態にかかるポリカルボジイミド化合物の製造方法は、
工程(A):ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミド前駆体を得る工程と、
工程(B):イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基及び/またはイソシアネート基と反応し得る官
能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基を、前記ポリカルボジイミド前駆体に導入するための反応工程を含む、前記製造方法である。
工程(A)では、ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミド前駆体を得る。
ジイソシアネート化合物としては、<ジイソシアネート化合物>の項で挙げた化合物を用いることができる。
カルボジイミド化反応で用いられる触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を挙げることができ、これらの中でも、反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物の製造方法における上記触媒の使用量は、カルボジイミド化に用いられるジイソシアネート化合物100質量部に対して、通常0.01〜2.0質量部である。
溶媒中で反応を行う場合、ジイソシアネート化合物の濃度は、5〜55質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
工程(B)では、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基及び/またはイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基を、前記ポリカルボジイミド前駆体に導入するための反応を行う。
ここで、工程(B)では、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体またはイソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体を必ず用いる。
工程(B)における反応方法は特に限定されず、例えば、
(i)上記ポリカルボジイミド前駆体と、ポリカルボジイミドの末端を構成する、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する有機化合物とを反応させ(工程(B1))、必要に応じて、得られた化合物と、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体とを反応させる(工程(B2))方法
(ii)上記ポリカルボジイミド前駆体と、ポリカルボジイミドの末端を構成する、イソ
シアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する有機化合物とを反応させ(工程(B3))、得られた化合物と、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物とを反応させて該ポリカルボジイミドを鎖延長する(工程(B4))方法
(iii)上記ポリカルボジイミド前駆体、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する第一の有機化合物、及び、イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物を同時に反応させ(工程(B5))、さらに、得られた化合物と、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する第二の有機化合物とを反応させる(工程(B6))方法
(iv)上記ポリカルボジイミド前駆体と、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物とを反応させ(工程(B7))、得られた化合物に、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する有機化合物を反応させる(工程(B8))方法等が挙げられる。
中でも、局所的に反応が進み高分子量化することを制御する観点から、(i)、(ii)、(iii)による方法が好ましい。
(ii)による方法では、工程(B3)において、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を少なくとも用いるか、工程(B4)において、イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体を少なくとも用いるか、またはその両方であってもよい。
(iii)による方法では、工程(B5)または工程(B6)で用いる第一の有機化合物及び第二の有機化合物の少なくとも一方が、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含むか、工程(B5)でイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体を用いるか、またはその両方であってもよい。第一の有機化合物および第二の有機化合物は同一であっても異なっていてもよい。
(iv)による方法では、工程(B7)でイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体を用いるか、工程(B8)でイソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を用いるか、またはその両方であってもよい。
また、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物としては、[イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体]の項で挙げたイソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体、上記<第五の実施形態>の項で挙げた、グリコール化合物及びジカルボン酸化合物を挙げることができる。
工程(B1)、(B3)、(B5)、(B7)では、工程(A)で得られたポリカルボジイミド前駆体が両末端に有するイソシアネート基全量に対して例えば0.1〜0.9当量となるように、上記イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する有機化合物及び/または上記イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物の使用原料の量を調整することが好ましい。
上記イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する有機化合物及び/または上記イソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する有機化合物の使用量は、上記
ポリカルボジイミド前駆体が両末端に有するイソシアネート基全量の官能基当量に対して、好ましい一態様としては0.2〜0.9当量、別の好ましい一態様では0.25〜0.85当量である。これらの範囲とすることで、耐溶剤性に優れる塗膜の形成に用いられるポリカルボジイミド化合物を得ることができる。
上記工程(B2)、工程(B4)、工程(B6)、工程(B8)の反応の条件は、特に限定されないが、反応温度としては80〜200℃程度が好ましく、反応時間としては0.5〜5時間程度が好ましい。
なお、上記の方法(i)〜(iii)のいずれの方法においても、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体及び/またはイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体を用いる場合、これらの(メタ)アクリル重合体が有する官能基とイソシアネート基との反応が最後の反応になるように工程を組むことが好ましい。また、この際の反応温度として例えば60〜120℃のような比較的低温の温度で行うことが好ましい。これらの条件を満たすと、生成するポリカルボジイミド化合物の溶媒への分散性が良好になる。
以下の手順にしたがって、実施例及び比較例で用いるポリカルボジイミドを合成した。
<合成例1>
ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート1000質量部とカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)5質量部とを、還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下180℃で17時間撹拌した後、テフロンシートに取り出しイソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンポリカルボジイミドを得た。そのNCO%を測定した結果9.93%(重合度=2.68)であった。
<合成例2>
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂21.2質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、これにポリエチレングリコールモノメチルエーテル(
分子量557。以下、「MPEG550」ともいう。)13.9質量部を加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却し、1価の水酸基を持つアクリル樹脂(綜研化学製、製品名UMM−1001、水酸基価600g/eq)15.0質量部と、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン−7(以下「DBU」ともいう)0.11質量部とを加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「MFG」ともいう。)を62.8質量部、イオン交換水を12.6g加えて1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
<合成例3>
ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート1000質量部とカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)5質量部とを、還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下190℃で16時間撹拌した後、テフロンシートに取り出しポリカルボジイミド樹脂を得た。そのNCO%を測定した結果6.11%(重合度=5.10)であった。
<合成例4>
得られたポリカルボジイミド樹脂27.3質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、これにMPEG550を11.1質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却しUMM−1001を12.0質量部、DBUを0.10質量部加え100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFGを63.2質量部、イオン交換水を12.6g加えて1時間撹拌したのち、室温まで冷却することで得た。
<合成例5>
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂21.0質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、次に100℃まで冷却し、UMM-1001を29.8質量部、DBUを0.11質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「MFTG」ともいう。)を76.2質量部投入後1時間撹拌したのち、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂21.0質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、MPEG550を6.86質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却しUMM-1001を22.2質量部、DBUを0.11質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFTGを75.3質量部投入後1時間撹拌したのち、室温まで冷却することで得た。
合成例2で得られたポリカルボジイミド樹脂27.3質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、MPEG550を5.58質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却しUMM-1001を18.0質量部、DBUを0.11質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFTGを75.4質量部投入後1時間撹拌したのち、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂25.4質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、これにMPEG550を16.5質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却し、2価の水酸基を持つアクリル樹脂(綜研化学製、製品名UT1001、水酸基価970g/eq)を29.2質量部、DBUを0.11質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFG83.9質量部、1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂25.0質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、MPEG550を8.2質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却しUT1001を57.4質量部、DBUを0.11質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFGを135.4質量部投入後、1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂20.5質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、これにMPEG550を6.7質量部と、2価の水酸基を持つプロピレングリコールを0.92質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
次に100℃まで冷却しUMM−1001を7.29質量部、DBUを0.10質量部加え、100℃で加熱撹拌しながら1時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「MFDG」ともいう。)を53.1質量部加えて1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂21.0質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、MPEG550を27.8質量部とDBUを0.11質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFGを61.0質量部、イオン交換水を12.2g加えて1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
合成例1で得られたポリカルボジイミド樹脂20.0質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ150℃まで加熱し、MPEG550を16.3質量部とDBUを0.11質量部加え、150℃で加熱撹拌しながら2時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、70℃まで冷却した後、溶媒としてMFGを45.4質量部、イオン交換水を9.08g加えて1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで得た。
ポリカルボジイミド(B6)の合成例においてUT1001の代わりに、2価の水酸基を持つポリエチレングリコール(分子量400)を6.0質量部、溶媒としてMFDGを71.9質量部使用し、その他は同様の操作を行うことで得た。
ポリカルボジイミド(B8)の合成操作においてUT1001の代わりに、2価の水酸基を持つ水素化ポリブタジエン(GI−1000、分子量1556)を23.4質量部、溶媒としてMFDGを97.9質量部使用し、その他は同様の操作を行うことで得た。
ポリカルボジイミド(B8)の合成操作においてUT1001の代わりに、2価の水酸基を持つポリエステルポリオール(RFK−505、分子量456)を6.85質量部、溶媒としてMFDGを73.1質量部使用し、その他は同様の操作を行うことで透明な液体を得た。
<合成例6>
テトラメチルキシリレンジイソシアネート50質量部と、MPEG550を32.0質量部と、UMM-1001 34.5質量部とを、還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下60℃で2時間撹拌した後、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)を2質量部加えて80℃で7時間反応させた。
IR測定によりイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、溶媒としてMFDGを159.5質量部投入後、1時間撹拌することで樹脂を溶解させ、室温まで冷却することで理論上重合度4のカルボジイミドを得た。
表2に示す重量比でサンプル瓶に計量し、撹拌子とマグネティックスターラーにて1時間撹拌した後、調製した直後の水性樹脂組成物を、アルミ板の基材上に、バーコーターを用いて、厚さ約60μmで塗工し、25℃の室内で1日間乾燥することで塗膜試料を得た。
(表4は25℃の室内で1日間乾燥の代わりに120℃のオーブンで30分加熱した)
得られた塗膜試料の上にメチルエチルケトンをしみ込ませたコットンを置き、蓋を被せた状態で30分放置した後、コットンを取り外し塗膜のダメージを5段階評価した。
(表3、4に記載の条件ではメチルエチルケトンの代わりに70%イソプロピルアルコールを用いた)
5:変化なし
4:僅かに後が残る
3:白色に変色
2:塗膜が一部溶解し、アルミ基材の一部が露出
1:塗膜が溶解し、アルミ基材の全体が露出
また、表2〜4の結果から、水性樹脂として異なる種類(アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂)のものを用いた場合でも、同様に耐溶剤性に優れた塗膜が得られた。
なお、ポリカルボジイミド化合物の分子を合成する際に用いるジイソシアネート化合物が、芳香族ジイソシアネートの場合(比較例6)の場合には、塗膜の耐溶剤が劣っていた。
Claims (18)
- 下記式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-[X3-R4-X3-(R3-N=C=N)n-R3]p-X2-R2 (1)
式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、複数のR4は、互いに同一又は異なり、
R1、R2及びR4の少なくとも一つが、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1、X2及びX3は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは0〜20の数を表す。 - 下記式(1−2)で表される、請求項1に記載のポリカルボジイミド化合物。
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-X2-R2 (1−2)
式(1−2)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル
重合体を含み、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
mは、1〜20の数を表す。 - 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、さらに、下記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項2に記載のポリカルボジイミド化合物。
R5−(O−CH2−CHR6)p−Z1 (2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子又はメチル基であり、Z1はOH又はNH2である。pは4〜30の整数である。)
(R7)2N−R8−OH (3)
(式中、R7は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
(R9)2N−R10−NH2 (4)
(式中、R9は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R10は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
Z2−R11−SO3M (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基、Mはアルカリ金属であり、Z2はOH又はNH2である。) - 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物が、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体のみを含む、請求項2に記載のポリカルボジイミド化合物。
- 前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表し、
前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する有機化合物が、下記式(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1に記載のポリカルボジイミド化合物。
R5−(O−CH2−CHR6)p−Z1 (2)
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子又はメチル基であり、Z1はOH又はNH2である。pは4〜30の整数である。)
(R7)2N−R8−OH (3)
(式中、R7は独立して、炭素数1〜6のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
(R9)2N−R10−NH2 (4)
(式中、R9は独立して、「炭素数1〜6のアルキル基、R10は炭素数1〜10のアルキレン基、又はポリオキシアルキレン基である。)
Z2−R11−SO3M (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基、Mはアルカリ金属であり、Z2はOH又はNH2である。) - 前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、請求項1に記載のポリカルボジイミド化合物。 - 前記式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、該有機化合物はイソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体を含み、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する2価の有機化合物から、前記官能基を除いた官能基であり、該2価の有機化合物はグリコール化合物またはジカルボン酸化合物であり、
X1及びX2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
X3は、ウレタン結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは1〜20の数を表す、請求項1に記載のポリカルボジイミド化合物。 - 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する2価の有機化合物がグリコール化合物であり、該グリコール化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上である、請求項7に記載のポリカルボジイミド化合物。
- 前記ジイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、及び2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物。
- 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び/又は、水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸またはそれらのエステルを含むモノマー混合物の重合体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物。
- 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体は、重量平均分子量が300〜4000である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物と水性媒体とを含む、水性樹脂架橋剤。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物と、水性樹脂とを含む、水性樹脂組成物。
- 下記工程(A)と工程(B)とを有する、下記式(1)で表されるポリカルボジイミド化合物の製造方法であって、
工程(A):ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミド前駆体を得る工程
工程(B):イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基及び/またはイソシアネート基と反応し得る官能基を2つ有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基を、前記ポリカルボジイミド前駆体に導入するための反応工程
R1-X1-(R3-N=C=N)m-R3-[X3-R4-X3-(R3-N=C=N)n-R3]p-X2-R2 (1)
式(1)において、
R1およびR2は、それぞれ独立に、イソシアネート基との反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する有機化合物から前記官能基を1つ除いた残基であり、
R3は、ジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた2価の残基であり、前記ジイソシアネート化合物は、前記2つのイソシアネート基と直接結合する、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を有し、複数のR3は、互いに同一又は異なり、
R4は、イソシアネート基との反応性を有する官能基を2つ有する有機化合物から前記官能基を除いた残基であり、複数のR4は、互いに同一又は異なり、
R1、R2及びR4の少なくとも一つが、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体から前記官能基を除いた残基であり、
X1、X2及びX3は、それぞれ独立に、前記有機化合物の前記官能基と、前記ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応により形成される結合であり、
m及びnは、それぞれ、1〜20の数を表し、
pは0〜20の数を表す。 - 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び/又は、水酸基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸またはそれらのエステルを含むモノマー混合物の重合体である、請求項16に記載のポリカルボジイミド化合物の製造方法。
- 前記イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する(メタ)アクリル重合体は、重量平均分子量が300〜4000である、請求項16又は17に記載のポリカルボジイミド化合物の製造方法。
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