JP5508071B2 - 照明機器反射部材用フィルム - Google Patents

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本発明は、照明機器の反射部材として用いられるフィルム、すなわち照明機器反射部材用フィルムに関する。なお、照明機器は、屋内または屋外の照明に用いる機器である。
近年、長寿命化や発光効率技術の進歩から、発光ダイオードが注目されている。発光ダイオードとは順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子であり、LED(Light Emitting Diode)とも呼ばれ(以下、LEDと略す)、発光原理はエレクトロルミネセンス(EL)を利用している。近年、LED照明が次世代の省エネルギー照明といて注目されている。LEDの寿命は白熱電球に比べて長い。LEDが使用できなくなる原因のほとんどは、LEDの電極部分における金属の酸化による劣化、過熱や衝撃による金属配線の断線であり、LED素子そのものは半永久的に使用できる。
LEDは省エネルギー光源としても非常に有望である。さらに、LEDの発光色は材料により異なり、赤外線領域から可視光域、さらには紫外光領域で発光するものまである。しかしながら、LED光源に対応する有効な反射部材の開発はまだ十分になされておらず、白色顔料を塗布した金属板、鏡面仕上げした金属板、一体成形の白色プラスチック製反射板が知られている程度である。
このため、LED光源自体の発光効率は向上しているものの、照明機器全体としての性能である照度は不十分である。そして、特定の波長の反射率を向上させ、特定の色合いを出すための反射フィルムは無かった。
特許第3498290号公報 特許第4096927号公報
本発明は、経時的な変色が抑制され、照明機器に用いられたときに高い輝度を得ることのできる高い光線反射率を備えるとともに、特定波長の反射率を向上することにより照明を用いる状況に応じて特定の色合いを強めることのできる、照明機器反射部材用フィルムを提供することを課題とする。
すなわち本発明は、ボイド体積率40〜70%の範囲で微細なボイドを含有する熱可塑性芳香族ポリエステルフィルムからなり、
少なくとも一方の面に蛍光体を4〜40重量%含有する塗布層としての蛍光体含有層を備えるか、または、上記熱可塑性芳香族ポリエステルフィルム中に蛍光体を2〜20重量%含有し、
波長380nm〜780nmの範囲における光線反射率の最大値と最小値との差が10%以上であることを特徴とする、屋内または屋外の照明に用いる照明機器反射部材用フィルムである。
本発明によれば、経時的な変色が抑制され、照明機器に用いられたときに高い輝度を得ることのできる高い光線反射率を備えるとともに、特定波長の反射率を向上することにより照明を用いる状況に応じて特定の色合いを強めることのできる、照明機器反射部材用フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂フィルム]
本発明の照明機器反射部材用フィルムは、微細なボイドを含有する熱可塑性樹脂フィルムからなる。
フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、高熱や高湿度での形状安定性、製膜のしやすさの観点から、熱可塑性芳香族ポリエステルが好ましい。熱可塑性芳香族ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。熱可塑性芳香族ポリエステルには共重合成分が共重合されていてもよい。共重合成分の割合は、例えば20モル%以下の割合である。
[微細なボイド]
本発明における熱可塑性樹脂フィルム中のボイドの含有量は、ボイド体積率で40〜70%、好ましくは45〜65%、さらに好ましくは50〜60%の範囲である。ボイド体積率は、熱可塑性樹脂フィルムにおいてボイドが占める空間の割合であり、これが40%未満であると高い輝度を得ることができない。他方、70%を超えると製膜性が劣り、高い生産性でフィルムを製造することができない。
微細なボイドは、熱可塑性樹脂中に該樹脂と非相溶な物質を分散含有させた組成物をシート状に押し出し、これを延伸することで延伸時にフィルムに掛かる応力により熱可塑性樹脂と非相溶物質との界面を剥離させて形成することができる。
熱可塑性樹脂フィルムは、微細なボイドを含有する層のみからなる単層フィルム、微細なボイドを含有する層が複数積層された積層フィルム、微細なボイドを含有する層と微細なボイドを含有しない層が積層された積層フィルムのいずれであってもよい。
[非相溶物質]
熱可塑性樹脂中に微細なボイドを形成するために含有させる非相溶物質は、フィルムの熱可塑性樹脂と非相溶な物質であればよく、例えば、非相溶樹脂、無機粒子を用いることができる。
[非相溶樹脂]
ボイドを形成する物質として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、具体的には、例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができ、特に好ましくはポリプロピレン、ポリメチルペンテンを用いる。これらポリプロピレン、ポリメチルペンテンは、樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることができ最適である。
非相溶樹脂の含有量は、ボイドを形成する熱可塑性樹脂フィルムの非相溶樹脂を含む合計重量を基準に、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは8〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。この範囲で非相溶樹脂を含有させることで、フィルムが破断し易くなることなく、十分なボイド率で微細なボイドを形成することができる。
[無機粒子]
ボイドを形成する物質として無機粒子を用いる場合、高い反射性能を得る観点から白色顔料を用いることが好ましい。この白色顔料として、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素の粒子を用いることができ、好ましくは硫酸バリウム粒子を用いる。硫酸バリウム粒子は、板状、球状いずれの形状をとる粒子であってもよい。硫酸バリウム粒子を用いることで特に良好な反射率を得ることができる。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.4〜8μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。平均粒径が0.3μm未満であると凝集が生じ易く好ましくない。また10μmを超えるとフィルムの破断に繋がりかねず、また微細なボイドが形成され難く好ましくない。
無機粒子の含有量は、ボイドを形成する熱可塑性樹脂フィルムの無機粒子を含む合計重量を基準に、好ましくは31〜60重量%、さらに好ましくは35〜55重量%、特に好ましくは37〜50重量%含有させる。この範囲で無機粒子を含有させることで、高い反射率得るとともに、紫外線に因る劣化を抑制することができ、フィルムが破れやすくなることなく製膜できる。
[光線反射率]
本発明の照明機器反射部材用フィルムは、波長380nm〜780nmの範囲における光線反射率の最大値と最小値との差が5%以上、好ましくは7%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは20%である。5%未満であると、照明機器反射部材として用いたときに、特定の色合いを強めた照明用に適した反射光を得ることができない。
本発明の照明機器反射部材用フィルムの光線反射率は、波長380nm〜780nmの範囲における平均光線反射率として、例えば96%以上、好ましくは97%以上である。
[蛍光体]
光線反射率の最大値と最小値との差を5%以上とするために、また、高い輝度を得るために、本発明の照明機器反射部材用フィルムは、上記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に蛍光体含有層を備えるか、熱可塑性樹脂フィルム中に蛍光体を含有することが好ましい。
本発明における蛍光体は、その励起波長が300〜650nmにあるものが好ましい。励起波長がこの範囲にないと、LEDから発光される光が殆どなく励起光として利用することが難しく、または可視光域において有効に光エネルギーを利用することが難しい。
本発明における蛍光体は、その発光波長が380〜780nmにあるものが好ましい。この範囲に発光波長であることで、反射板として用いたときに高い照度と色補正効果を得ることができて好ましい。
本発明における蛍光体は、無機物質、有機物質のいずれでもよい。
[無機蛍光体]
上記の励起波長および発光波長の要件を満足する無機蛍光体として、岩塩型結晶構造をもつアルカリ土類金属硫化物、例えば硫化亜鉛(ZnS)、硫化ストロンチウム(SrS)、酸化イットリウム(Y)を母体とし、賦活剤としてユウロピウム(Eu)や銅(Cu)を含有する蛍光体を用いることができる。また、バリウム・マグネシウム・アルミニウム複合酸化物(BaMgAl1017)を母体とし、賦活剤としてユウロピウム(Eu)やマンガン(Mn)を含有する蛍光体を用いることができる。また、リン酸ランタン(LaPO)を母体として、賦活剤としてCe、Tbを含有する蛍光体を用いることができる。)
無機蛍光体として市販のものでは、例えば、緑色発光無機蛍光体2210(化成オプトロニクス社製、ZnSを母体として、Cuを賦活物質としてなる)、赤色無機蛍光体D1110(根本特殊化学(株)製、Yを母体として、Euを賦活物質としてなる)、青色無機蛍光体D1230(根本特殊化学(株)製、SrSを母体として、Euを賦活物質としてなる)、緑色無機蛍光体KX732A(化成オプトロニクス社製、バリウム・マグネシウム・アルミニウム複合酸化物(BaMgAl1017)を母体として、EuおよびMnを賦活物質としてなる)、緑色無機蛍光体LP−G2(根本特殊化学(株)製、リン酸ランタン(LaPO)を母体として、Ce、Tbを賦活物質としてなる)を用いることができる。
[有機蛍光体]
上記の励起波長および発光波長の要件を満足する有機蛍光体として、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル・オキサゾール系、ピレン・オキサゾール系、クマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、アミノクマリン系、ジスチリル−ビフェニル系、ナフタルイミド系化合物を例示することができる。中でも耐久性と輝度向上の観点から、イーストブライト OB−1(イーストマン社製:ベンゾオキサゾール系)、Uvitex−OB(チバガイギー社製:スチリル・オキサゾール系)、ルモゲングリーン850(BASF社製:ナフタルイミド系)が好ましい。
[塗布層]
上記熱可塑性樹脂フィルムに蛍光体含有層を設ける場合、蛍光体含有層は、塗布層として設けることが好ましい。この場合、紫外線により蛍光体が分解されるとフィルムが黄変する可能性がある。このため、蛍光体としては、有機蛍光体より紫外線により分解されずらい無機蛍光体が好ましい。
塗布層は蛍光体を例えば4〜40重量%、好ましくは5〜35重量%含有する。含有量が4重量%未満であると高い照度を得ることができない。他方、40重量%を越えると塗布層中の蛍光体の分散が困難となり、均一な塗布層を得ることができず、またフィルム製膜の際の延伸性も悪くなることがあり好ましくない。
[紫外線吸収剤]
塗布層には、紫外線吸収剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤として、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系、サリチル酸系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系、ゾルゲルなどの無機系の紫外線吸収剤を用いることができる。またこれらの紫外線吸収剤を共重合成分として含む高分子を用いてもよい。さらに、ヒンダードアミン系の光安定剤してもよい。
[製造方法]
以下、本発明の照明機器反射部材用フィルムを製造する方法を説明する。
ボイドを含有する熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂に対する非相溶物質を含有させた組成物を熱可塑性樹脂の融点以上の温度で溶融してダイからシート状に押し出し、これを熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度の冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂シートとし、このシートをガラス転移温度以上の温度で一軸または二軸延伸することで製造することができる。延伸倍率は、二軸延伸の場合、縦横方向ともに例えば2〜4倍であり、一軸延伸の場合、例えば3〜10倍である。延伸の際に、熱可塑性樹脂と非相溶物質との界面が剥離して微細なボイドが形成される。
以下、熱可塑性樹脂フィルムが、微細なボイドを含有する層と微細なボイドを含有しない層が積層された積層フィルムである場合について、特に、熱可塑性樹脂として熱可塑性結晶性ポリエステルを、非相溶物質といて無機粒子を用いた場合を例に説明する。
まず、無機粒子を含有するポリエステル組成物を作成する。このとき無機粒子のポリエステルへの配合は、ポリエステルの重合時に行ってもよく、重合後に行ってもよい。重合時に行う場合、エステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に配合してもよく、重縮合反応開始前に配合してもよい。重合後に行う場合、重合後のポリエステルに無機粒子を添加し溶融混練すればよい。この場合、無機粒子を比較的高濃度で含有するマスターペレットを製造し、これを無機粒子を含有しないポリエステルのペレットに配合することで所望の含有率で無機粒子を含有するポリエステル組成物を得ることができる。
製膜時に溶融したポリエステル組成物の濾過に用いるフィルターとして、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いる。濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。ダイから溶融したポリエステル組成物を、フィードブロックを用いた同時多層押出法により押し出しキャスティングドラム上で冷却固化して積層未延伸シートを製造する。すなわちボイド含有層を構成するポリエステル組成物の溶融物と、ボイド不含有層を構成するポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて含有層/不含有層となるように積層し、ダイに展開してキャスティングドラム上に押出す。この時、フィードブロックで積層されたポリエステル組成物は、積層された形態を維持して、未延伸シートとなる。
この未延伸状シートを、ロール加熱、赤外線加熱等の方法で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移温度(以下、Tgということがある)以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70℃)の温度とすることが好ましい。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのTgより高い温度から始め、Tg+(5〜70℃)の温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。
横延伸後のフィルムは、両端を把持したままTm−(20℃〜100℃)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度が(Tm−80)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程でTm−(20℃〜100℃)以下の領域の熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。
弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2% 、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
塗布層は、熱可塑性樹脂フィルムのうえに直接設けてもよいが、接着性が不足する場合には、熱可塑性樹脂フィルムの表面に予めコロナ放電処理や下引き処理をおこなっておくことが好ましい。下引き処理は、熱可塑性樹脂フィルムの製造工程内で塗設する方法(インラインコーティング法)でもよいし、また、熱可塑性樹脂フィルムを製造後、別途塗設する方法(オフラインコーティング法)でもよい。下引き処理に適用する材料は適宜選択すればよいが、好適なものとしては共重合ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、各種カップリング剤が適用できる。
塗布層は、塗布層の構成成分を含有する塗液を任意の方法で塗布して塗膜を硬化させることで塗設することができる。塗布方法として、例えばグラビア、ロール、スピン、リバース、バー、スクリーン、ディッピング等の方法を用いることができる。塗布後の硬化方法として、例えば熱硬化、紫外線、電子線、放射線などの活性線を用いる方法などを用いることができる。
塗布層を熱可塑性樹脂フィルムのうえに直接設ける場合、インラインコーティング法、オフラインコーティング法のいずれで塗布してもよい。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
(2)各層の厚み
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を薄膜切片にした後、光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚み比を測定し、フィルム全体の厚みから計算して、各層の厚みを求めた。
(3)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときのフィルムの光線反射率を波長380〜780nmの領域にわたり1nmピッチにて測定し、この波長領域における光線反射率の平均値を算出してフィルムの光線反射率とした。また、この波長領域の光線反射率の最大値と最小値との差を求めた。なお、フィルムの一方の面を構成する層のみが蛍光体を含む場合、光線反射率の測定は、その面を対象に行った。
(4)延伸性
縦方向および横方向に延伸して二軸延伸フィルムを製膜したときの製膜の安定性を観察し、下記基準で評価した。
○: 1時間以上安定に製膜できる。
×: 1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない。
(5)経時的な黄変
高圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製「トスキュア401」 ガラスフィルタ付き)による光照射(放射照度18mW/cm)を50時間行う前後でのフィルムの色変化評価した。
初期のフィルム色相(L 、a 、b )と、光照射後のフィルム色相(L 、a 、b )とを、色差計(日本電色工業製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にて測定し、下記式で表される色相変化dEを算出し、下記の基準で評価した。なお、光照射と測定は、蛍光体を含む層のある面から行った。
dE
={(L −L*)+(a −a +(b −b 1/2
◎: dE ≦ 5
○: 5 < dE ≦ 10
△: 10 < dE ≦ 15
×: 15 < dE
(6)相対照度および色度
三菱電機社製LED照明AKLD1000WNを、25℃、50%RHに整えられた室内で点灯させ、光源から50cm離れた位置にて真正面の照度をSanwa電気計器社製照度計LX2にて測定した。この際の75lxであった。次に、LED照明AKLD1000WNの本体、枠(アルミ板+白色塗装)とプラスチック反射板の部分とを、サンプルフィルムで全て置き換え、同様に照度を測定し、下記の式でサンプルフィルムでの相対照度を求めた。なお、オリジナル照度は、LED照明AKLD1000WNの照度である。
相対照度=100×(サンプルフィルムでの照度)/(オリジナル照度)
色度
(x,y)についても照度と同様にして、輝度計(トプコン社BM−7)を用いて測定した。測定した色度を用いて、下記の式を用いて基準色との差異である色度差を算出した。
Δx=基準座標(x=0.300)−測定座標(x)
Δy=基準座標(y=0.310)−測定座標(y)
Δxy=(Δx+Δy(1/2)
(7)ボイド体積率
ボイド体積率は、フィルムの単位体積中に含まれるボイドの体積の割合である。ボイド含有層のポリエチレンテレフタレートの密度および配合割合、硫酸バリウム粒子の密度および配合比率、ならびにボイド含有層の実密度から算出した。
ボイド含有層の実密度は、フィルムからボイド含有層のみを分離し、下記式でボイド含有層の単位体積あたりの重量として算出した。
実密度=ボイド含有層の重量/ボイド含有層の体積
なお、ポリエチレンテレフタレート(2軸延伸後)の密度を1.39g/cm、硫酸バリウム 粒子の密度を4.5g/cmとした。ボイド含有層の体積は、フィルムから1cm×3cmの大きさでボイド含有層サンプルを切り出し、このサンプルの厚みをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点測定しその平均値を厚みとしてサンプルの体積を算出した。他方、ボイド含有層の重量は、サンプルを電子天秤にて秤量した。
(8)平均粒径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒径とした。
比較例11
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温して重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5重量%、ゲルマニウム元素含有量は50ppm、リチウム元素含有量は5ppmであった。この共重合ポリエステルをボイド含有層(層A)の原料として用い、平均粒子径1.0μmの硫酸バリウム粒子をボイド形成用の非相溶物質として用い、樹脂組成物の合計重量を基準に48重量%添加したマスターバッチを用意した。
上述の硫酸バリウム粒子を48重量%含有するマスターバッチと、硫酸バリウム粒子を添加していない上記共重合ポリエステルを用い、硫酸バリウム粒子の含有量が5重量%となるように希釈して、ボイド含有層(層B)の原料として用いた。
それぞれ275℃に加熱された2台の押出機に供給し、層Aに用いる組成物(硫酸バリウム濃度48重量%)と層Bに用いる組成物(硫酸バリウム濃度5重量%)とを、A/Bとなるような2層フィードブロック装置を用いて合流させ、両者が積層した状態を保持しながらダイから押し出してシート状に成形し、これを表面温度25℃の冷却ドラムで固化して未延伸フィルムとし、これを80℃にて加熱し長手方向(縦方向)に2.9倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.4倍延伸した。その後テンター内で195℃にて熱固定を行い、室温まで冷やしてボイドを含有する二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを得た。
得られた二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムのうえの層A側に、塗剤を乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、120℃で2分間、熱風で乾燥して、蛍光体含有塗布層を備える照明機器反射部材用フィルムを得た。
なお、塗剤は、バインダーの“ユーダブルS2740”(日本触媒製)、イソシアネート系架橋剤の“コロネートHL”(日本ポリウレタン製)、無機蛍光体の“2210”(三菱化学社製)を酢酸ブチル中に分散含有させた塗液(塗液固形分濃度が45重量%)を用いた。なお、塗膜の固化後の固形分重量比は、バインダー/イソシアネート架橋剤/無機蛍光体=85/11/4の割合であった。評価結果を表1に示す。
[実施例2、3、5〜8、比較例12
バインダーとイソシアネート架橋剤との固形分重量比を比較例11の割合(85/11)に保ち、蛍光体の種類および量を表1に示す組成に変更した以外は、比較例11同様にして、照明機器反射部材用フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例9および10]
層Aに硫酸バリウム48重量%および蛍光体20重量%を配合する以外は比較例11と同様にして、層A/層Bからなる2層積層熱可塑性樹脂フィルムを作成した。このフィルムにハ塗布層を設けなかった。評価結果を表1に示す。なお、蛍光体の配合は、層Aの押出機のフィード口から供給することで行った。評価結果を表1に示す。
[実施例11]
フィルムの層Aの組成を表1に記載のとおりに変更し、比較例11と同様にして2層積層熱可塑性樹脂フィルムを作成し、層Aの表面に表1に示す蛍光体を含有する層を比較例11と同様にして塗設した。評価結果を表1に示す。なお、蛍光体の配合は、層Aの押出機のフィード口から供給することで行った。
[実施例12]
フィルムの層Aの組成を表1に記載のとおりに変更し、比較例11と同様にして2層積層熱可塑性樹脂フィルムを作成した。評価結果を表1に示す。なお、有機蛍光体の配合は、層Aの押出機のフィード口から供給することで行った。
比較例13]
フィルムの層Aの組成を表1に記載のとおりに変更し、比較例11と同様にして2層積層熱可塑性樹脂フィルムを作成し、層Aの表面に表1に示す蛍光体を含有する層を比較例11と同様にして塗設した。評価結果を表1に示す。
[比較例1〜10]
表1に示す蛍光物質および添加量とする以外は比較例11と同様にして実施した。比較例10では延伸性が悪くサンプル採取ができなかったが、採取できた比較例1〜9はいずれも照度に劣るものであった。
Figure 0005508071
本発明の照明機器反射部材用フィルムは、特定波長の光を強調することができるので、光源としてLEDを用いる照明機器の反射部材として好適に用いることができる。また、屋内または屋外の照明機器の光源の反射部材として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. ボイド体積率40〜70%の範囲で微細なボイドを含有する熱可塑性芳香族ポリエステルフィルムからなり、
    少なくとも一方の面に蛍光体を4〜40重量%含有する塗布層としての蛍光体含有層を備えるか、または、上記熱可塑性芳香族ポリエステルフィルム中に蛍光体を2〜20重量%含有し、
    波長380nm〜780nmの範囲における光線反射率の最大値と最小値との差が10%以上であることを特徴とする、屋内または屋外の照明に用いる照明機器反射部材用フィルム。
  2. 熱可塑性芳香族ポリエステルフィルムが、熱可塑性結晶性樹脂および該樹脂と非相溶な物質とからなる請求項1記載のフィルム。
  3. 照明機器が光源としてLEDを用いる、請求項1記載のフィルム。
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