JP2010043208A - 積層フィルム - Google Patents

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太郎 大宅
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博 楠目
Shinya Togano
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Abstract

【課題】液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として用いられたときに高い反射率を得ることができ、したがって高い輝度を得ることができ、かつ、色ずれが少なく、経時的な黄変が抑制された積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられた塗布層からなり、塗布層は400〜450nmの波長の光で励起し500〜600nmの波長の光を発光する有機蛍光剤を1〜10重量%および有効量の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗布層を有するポリエステルからなる積層フィルムに関する。
液晶表示装置のバックライトユニットに用いられるリクレクターや反射板には、高い反射性能が要求される、従来、白色顔料を添加した白色フィルム(特開2004−50479号公報、特開2004−330727号公報)や、内部に微細な気泡を含有させた白色フィルム(特開平6−322153号公報、特開平7−118433号公報)が用いられてきた。特に、内部に白色顔料を含有するフィルムは輝度の高さや均一性に優れる。
輝度を向上する方策としては、フィルム自体の反射率を向上させる他に、蛍光増白剤を用いることが検討されており、蛍光増白剤を反射フィルムの表面にコーティングすることが提案されている(特開2002−40214号公報)。
特開昭63−62104号公報 特開2004−50479号公報 特開2004−330727号公報 特開平6−322153号公報 特開平7−118433号公報 特開2002−40214号公報
しかし、液晶表示装置のバックライトには一般的に冷陰極管が使われていることから、白色フィルムの表面に蛍光増白剤をコーティングしても、蛍光増白剤が冷陰極線管から放射される紫外線によって劣化してしまうため、反射率を高くする効果は経時的に失われてしまう。紫外線による蛍光増白剤の劣化を紫外線吸収剤によって防止しようにも、そもそも蛍光増白剤は紫外線によって励起され青色の発光を示すものであるため、紫外線吸剤を配合してしまっては蛍光増白剤による反射率向上の効果を得ることができない。
本発明は液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として用いられたときに高い反射率を得ることができ、したがって高い輝度を得ることができ、かつ、色ずれが少なく、経時的な黄変が抑制された積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
すなわち本発明は、ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられた塗布層からなり、塗布層は400〜450nmの波長の光で励起し500〜600nmの波長の光を発光する有機蛍光剤を1〜10重量%および紫外線吸収剤を含有することを特徴とする積層フィルムである。
本発明によれば、本発明は液晶表示装置バックライトユニットの反射板として用いられたときに高い反射率を得ることができ、したがって高い輝度を得ることができ、かつ、色ずれが少なく、経時的な黄変が抑制された積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[塗布層]
塗布層は、有機蛍光剤および紫外線吸収剤を含有する。塗布層はこれらの剤をフィルム上に支持するためのバインダーを含有する。
[有機蛍光剤]
塗布層は、有機蛍光剤を1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%含有する。1重量%未満であると高い反射率を得る効果が得られない。10重量%を超えるとフィルムの着色が大きく、液晶表示装置の反射板として用いたときに色ずれが起こる。
本発明における有機蛍光剤は、400〜450nmの波長の光で励起し、500〜600nmの波長の光を発光する有機蛍光剤である。これは、本発明における有機蛍光剤の励起波長が400〜450nmの帯域にあり、かつその発光波長が500〜600nmにあることを意味する。励起波長がこの範囲にないか、発光波長がこの範囲にないと、着色がなく高い反射率を示す積層フィルムを得ることができない。励起波長が400〜450nmの領域になく、400nm未満の領域にのみあると反射板として用いたときに高い反射率を得ることができず、450nmを超える領域にのみあると可視光の吸収による着色が見られ、透明な積層フィルムや白色の積層フィルムを得ることができない。発光波長が500〜600nmの領域になく、500nm未満または600nmを超える領域にあると、液晶表示装置の反射板として用いたときに反射率の向上の効果が得られず、輝度向上の効果を得ることができない。
上記の励起波長および発光波長についての要件を満足する有機蛍光剤としては、例えば、スチルベン系蛍光剤、ジスチルベン系蛍光剤、ベンゾオキサゾール系蛍光剤、スチリル・オキサゾール系蛍光剤、ピレン・オキサゾール系蛍光剤、クマリン系蛍光剤、イミダゾール系蛍光剤、ベンゾイミダゾール系蛍光剤、ピラゾリン系蛍光剤、アミノクマリン系蛍光剤、ジスチリル−ビフェニル系蛍光剤、ナフタルイミド系蛍光剤を用いることができる。これらの中でも、耐久性が高く、反射率を向上する効果が高いことから、ベンゾオキサゾール系蛍光剤、スチリル・オキサゾール系蛍光剤、ナフタルイミド系蛍光剤が好ましく、具体的には、イーストブライト OB−1(イーストマン社製 ベンゾオキサゾール系蛍光剤)、Uvitex−OB(チバガイギー社製 スチリル・オキサゾール系蛍光剤)、ルモゲングリーン850(BASF社製 ナフタルイミド系蛍光剤)を用いることが好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明における紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有する物質を用いる。これは有機化合物でも無機化合物でもよく、有機化合物である場合、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤を用いることができる。無機化合物である場合、例えば、アルコキシシリルまたはアルカノイルシリルのアルキルカルバミル付加物といったシリル化変性物や、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族系紫外線吸収剤の水酸基とエポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基とを反応させたシリル化変性の紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤として用いることのできる化合物を以下に例示する。
サリチル酸系紫外線吸収剤として、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートを例示することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタンを例示することができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2’ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールを例示することができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤として、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートを例示することができる。
上記以外に、紫外線吸収剤として、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを用いることができる。
塗膜における紫外線吸収剤の含有量は、有機蛍光体の劣化を防止することができる量であればよく、このために必要な量の紫外線吸収剤を含有していればよい。この量は、紫外線吸収剤が低分子タイプのものである場合、例えば1〜15重量%、好ましくは2〜5重量%である。この範囲で含有することによって、有機蛍光体が紫外線によって劣化することを効果的に防止するとともに、着色のない塗膜を得ることができる。
紫外線吸収剤としては、高分子タイプのものを用いてもよい。この場合、紫外線吸収能を有する置換基をもつモノマー成分を他のモノマー成分と共重合した共重合ポリマーを、例えば用いることができる。この共重合ポリマーとして、例えばベンゾトリアゾール系反応性モノマーとアクリル系モノマーの共重合によって得られる重合体を好ましく用いることができる。
このベンゾトリアゾール系モノマーとしては、基体骨格にベンゾトリアゾールを有し、かつ不飽和結合を有するモノマーであればよく、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−アクリロイルエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールを例示することができる。
このモノマー成分と共重合されるモノマーとしてアクリルモノマーが好ましい。アクリルモノマーはオリゴマーの形態で用いてもよい。オリゴマーとしては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基など)、および架橋性官能基を有するモノマー、例えばカルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、メチロール化されたアミド基、アミノ基、アルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などを有するモノマーを例示することができる。さらに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ブチルビニルエーテル、マレイン酸、イタコン酸およびそのジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル基を有するアルコキシシラン、不飽和ポリエステルなどの共重合体としてもよい。
紫外線吸収剤が高分子タイプのものであって、上述の共重合ポリマーである場合、紫外線吸能を有する置換基をもつモノマーは、共重合ポリマーを構成する全てのモノマーの合計量を基準として、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、特に好ましくは35重量%以上である。もちろん、紫外線吸収能を有する置換基をもつモノマーの単独重合体であってもよい。10重量%未満であると、有機蛍光剤の紫外線による劣化を防止することができない。共重合ポリマーの分子量は強靭な塗膜を得る観点から、好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上である。これらの共重合ポリマーは、有機溶媒あるいは水に溶解もしくは分散した状態で塗液として使用することができる。また、これら以外にも市販のハイブリッド系紫外線吸収ポリマー、例えば、“ユーダブル”(日本触媒社製)も紫外線吸収剤として用いることができる。
[光安定剤]
塗布層の紫外線吸収剤には、光安定剤を併用することが、優れた耐久性を得る観点から好ましい。この場合、光安定剤の配合量は塗布層の重量を基準として、例えば0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、具体的には例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物を用いるこいとができる。
光安定剤として、上記以外には、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2−チオビス(4−tーオクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ・t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエートを用いることができる。
[バインダー]
塗布層において有機蛍光剤および紫外線吸収剤をフィルム上に保持するために、塗布層にはバインダーが含有されていてもよい。特に、紫外線吸収剤として低分子タイプのものを用いる場合、塗布層はバインダーを含有することが好ましい。
バインダーとしては、有機溶媒または水に溶解もしくは分散させることのできる高分子を用いることができる。バインダーとして、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素系樹脂、およびこれらの共重合体を例示することができる。これらは2種以上の混合物として用いてもよい。
[ポリエステルフィルム]
ポリエステルフィルムとしては、熱可塑性芳香族ポリエステルからなるフィルムを用いる。熱可塑性芳香族ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートを挙げることができる。ポリエステルフィルムは、共重合成分が共重合されていてもよい。共重合成分の割合は、例えば20モル%以下の割合である。
本発明の積層フィルムを反射板として用いる場合には、ポリエステルフィルムとして白色ポリエステルフィルムを用いる。白色ポリエステルフィルムとしては、ポリエステルに、例えば無機粒子、非相溶樹脂粒子を配合し、延伸時に粒子とポリエステルとの界面での剥離によってフィルム内部に微細なボイドを形成した白色ポリエステルフィルムを、例えば用いることができる。
[白色フィルム]
白色ポリエステルフィルムはとしては、反射層とこれを支持する支持層からなる白色積層フィルムを用いることが好ましい。この場合、反射面の黄変を抑制するために塗布層は反射層のうえに設けられる。
[反射層]
白色ポリエステルフィルムとして反射層とこれを支持する支持層からなる白色積層フィルムを用いる場合、反射層は、ボイド体積率が例えば30〜80%、好ましくは35〜75%、さらに好ましくは38〜70%のポリエステルの組成物から構成される。ボイド体積率は、ポリエステルと、非相溶樹脂または無機粒子との界面が延伸の際に剥離してボイドが生じることによって達成される。
[非相溶樹脂]
ボイドを形成する物質として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、具体的には例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができ、特に好ましくはポリプロピレン、ポリメチルペンテンを用いる。これらポリプロピレン、ポリメチルペンテンは樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることができ最適である。
非相溶樹脂を用いる場合、反射層のポリエステル組成物100重量%あたり、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは8〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%用いる。この範囲で含有させることで高い反射率を得ることができる。
[無機粒子]
ボイドを形成する物質として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、好ましくは0.3〜3.0μm、さらに好ましくは0.4〜2.5μm、特に好ましくは0.5〜2.0μmの無機粒子を用いる。平均粒径が0.3μm未満であると凝集が生じ易く好ましくなく、3.0μmを超えるとフィルムの破断に繋がりかねず好ましくない。
無機粒子を用いる場合、反射層のポリエステル組成物100重量%あたり、好ましくは31〜60重量%、さらに好ましくは35〜55重量%、特に好ましくは37〜50重量%含有させる。この範囲で含有させることで、高い反射率を得ることができる。
無機粒子としては、高い反射性能を得る観点から白色顔料を用いることが好ましい。この白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素の粒子、好ましくは硫酸バリウム粒子を用いる。この硫酸バリウム粒子は、板状、球状いずれの形状をとる粒子であってもよい。硫酸バリウム粒子を用いることで特に良好な反射率を得ることができる。
[支持層]
白色ポリエステルフィルムとして反射層とこれを支持する支持層からなる白色積層フィルムを用いる場合、支持層はポリエステル組成物からなり、このポリエステル組成物は無機粒子を0.5〜30重量%、好ましくは1〜27重量%、さらに好ましくは2〜25重量%含有することが好ましい。0.5重量%未満であると十分な滑り性を得ることができず好ましくなく、30重量%を超えると反射層を支える支持層としての強度を保つことができず、フィルムの破断に繋がりかねず好ましくない。無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5.0μm、好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは0.6〜2μmである。0.1μm未満であると粒子の凝集が生じ易く好ましくなく、5μmを超えると粗大突起となりフィルム破断に繋がることがあり好ましくない。
[製造方法]
以下、本発明の積層フィルムを製造する方法を、硫酸バリウムを含有する反射層を支持層の一方の面に設けた白色フィルムに塗布層を設けた積層フィルムを得る場合を例に説明する。
[白色フィルムの製造]
硫酸バリウム粒子のポリエステル組成物への配合は、ポリエステルの重合時に行ってもよく、重合後に行ってもよい。重合時に行う場合、エステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に配合してもよく、重縮合反応開始前に配合してもよい。
重合後に行う場合、重合後のポリエステルに添加し溶融混練すればよい。この場合、硫酸バリウム粒子を比較的高濃度で含有するマスターペレットを製造し、これを硫酸バリウム粒子を含有しないポリエステルペレットに配合することで所望の含有率で硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物を得ることができる。
製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用い、ポリエステル組成物を濾過することが好ましい。この濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。
ダイから溶融したポリエステル組成物をフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、積層未延伸シートを製造する。すなわち反射層を構成するポリエステル組成物の溶融物と、支持層を構成するポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて反射層/支持層となるように積層し、ダイに展開して押出しを実施する。この時、フィードブロックで積層されたポリエステル組成物は、積層された形態を維持している。
ダイより押出された未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸フィルムとなる。
塗布層の塗設に用いる塗液は、この未延伸フィルムに対して、もしくは、この後の縦延伸を経た縦延伸フィルムに対して、塗布することが好ましい。
未延伸状フィルムを、ロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、さらにはTg〜70℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、用途の要求特性にもよるが、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始める。そしてTgより(5〜70)℃高い温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−20〜100)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度が(Tm−80)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm−20〜100)℃以下の領域の熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2%、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
ここでは、逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、本発明の積層フィルムは逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよい。
[塗布層の塗設]
本発明において塗布層は、基材の白色フィルム上に直接設けてもよいが、接着性が不足する場合には、基材フィルムのコロナ放電処理や下引き処理などを設けることが好ましい。下引き処理は、白色フィルム製造工程内で設ける方法(インラインコーティング法)でもよいし、また、白色フィルムを製造後、別途塗布でもよい。下引き処理に適用する材料は特に限定するものではなく、適宜選択すればよいが、好適なものとしては共重合ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、各種カップリング剤などが適用できる。
塗布層は、任意の方法で塗布することができる。例えばグラビア、ロール、スピン、リバース、バー、スクリーン、ディッピングなどの方法を用いることができる。塗布後の硬化方法は、公知の方法をとりうる。例えば熱硬化、紫外線、電子線、放射線などの活性線を用いる方法など、およびこれらの組み合わせによる方法などが適用できる。塗布は、基材フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、結晶配向完了後の基材フィルムの塗布(オフラインコーティング)してもよい。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
(2)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を薄膜切片にした後、光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚み比を測定し、フィルム全体の厚みから計算して、各層の厚みを求めた。
(3)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときの光線反射率を400〜700nmにわたって測定し、得られたチャートより2nm間隔で光線反射率を読み取った。フィルムの構成が支持層の片側に反射層を設けたものである場合、反射層側から測定を行った。
(4)延伸性
縦方向2.5〜3.4倍、横方向3.5〜3.7倍に延伸して製膜し、安定に製膜できるか否かを観察し、下記基準で評価した。
○: 1時間以上安定に製膜できる
×: 1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない
(5)経時的な黄変
高圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製 「トスキュア401」:ガラスフィルタ付き)照射にて照射時間50時間にて前後の色変化をみた。このときの放射照度は約18mW/cmであった。フィルムの構成が支持層の片側に反射層を設けたものである場合、反射層側から測定を行った。
初期のフィルム色相(L 、a 、b )と、照射後のフィルム色相(L 、a 、b )とを、色差計(日本電色工業製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にてそれぞれ測定し、下記式で表される色相変化dEを算出し、下記の基準で評価した。
dE
={(L −L +(a −a +(b −b 1/2
◎: dE ≦ 5
○: 5 < dE ≦ 10
△: 10 < dE ≦ 15
×: 15 < dE
(6)400〜450nmの光による励起発光の有無と発光ピーク波長
有機蛍光材を塗工した面に光を入射して蛍光スペクトルを測定した。測定は蛍光分光光度計F−4500(日立製)を用い、励起波長400〜450nm、発光波長380〜780nmの領域について行い、励起による蛍光発光の有無を観察し、蛍光発光がある場合には発光スペクトルから発光ピーク波長を求めた。
(7)反射板としての輝度向上率および色度差
バックライトにフィルムを組み込み測定、評価した。使用したバックライトは、評価用に用意した液晶テレビ(SHARP社製AQUOS−20V)に使用される直下型バックライト(対角線20インチ)ユニットであり、元々組み込まれていた光反射シートに替えて、測定対象とする光反射シートを組み込んだ。測定は、バックライト面を2×2の4区画に分け、点灯1時間後の正面輝度を求めることによって行った。輝度および色度はトプコン社製のBM−7を用いて測定した。測定角は1°、輝度計とバックライトの距離は50cmである。バックライト面を、バックライト面の中心を通りバックライト面の幅方向に平行な直線と、バックライト面の中心を通りバックライト面の縦方向に平行な直線とで4分割し、分割されたそれぞれの領域の中心を測定点とした。
測定点4箇所における輝度をそれぞれ測定し単純平均を求め、平均輝度とした。輝度向上率は、蛍光材料の塗工前後でのフィルムで求めた平均輝度を用いて、下記の式で算出した。
輝度向上率
=(蛍光材料塗工後の平均輝度)/(蛍光材料塗工前の平均輝度)×100(%)
色度差は、測定点4箇所における色度(x、y)を輝度と同じ方法で測定し、単純平均を求め、平均色度(x、y)とした。平均色度(x、y)と基準色(x=0.300、y=0.310)との距離を算出して色度差Δxyを算出した。
Δx=基準座標(x=0.300)−測定座標(x)
Δy=基準座標(y=0.310)−測定座標(y)
Δxy=(Δx+Δy1/2
算出されたΔxyを、下記の基準で評価した。
◎: Δxy < 0.05
○: 0.05 ≦ Δxy < 0.10
×: 0.10 ≦ Δxy
(8)耐久性試験による輝度維持率および色度差
評価対象のフィルムを組み込んだ状態で上記のバックライトを点灯したさせたまま3000時間経時したのち、平均輝度および平均色度を上記(7)の測定方法に準じて測定した。
輝度維持率を下記の式にて算出した。
輝度維持率
=(耐久性試験後の平均輝度)/(耐久性試験前の輝度)×100(%)
色度差は、測定点4箇所における耐久性試験前の色度をそれぞれ、上記(7)と同様の方法で測定し、単純平均を求めた耐久性試験前の色度(x、y)と、耐久性試験後の色度から同様に算出した耐久性試験後の色度(x、y)から、下記式で相互の距離を算出し、上記(7)と同じ基準で評価した。
Δx=耐久性試験前座標(x)−耐久性試験後座標(x)
Δy=耐久性試験前座標(y)−耐久性試験後座標(y)
Δxy=(Δx+Δy1/2
[実施例1]
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02−225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、紫外線吸収能を有する物質としてUVA−5080(伸中村化学工業(株)製:紫外線吸収能を有する置換基をもつモノマー成分を全モノマー成分の合計重量を基準に50重量%共重合したメタクリル酸エステル共重合体)96.6重量%、蛍光物質として緑色発光有機蛍光材料イーストブライトOB−1(イーストマンコダック社製)3.4重量%からなる組成物を酢酸エチルに溶解した塗液(固形分濃度40重量%)を、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布した。乾燥は150℃で2分間熱風乾燥し、塗工フィルムを得た。このときの反射板としての輝度上昇率は107%であった。
[実施例2]
表1に示す蛍光物質を緑色発光有機蛍光材料ルモゲン グリーン850(BASF社製)に変更し、添加量を2.3重量%にした以外は実施例1と同様にして塗工フィルムを得た。
[実施例3]
表1に示す蛍光物質を青色有機蛍光材料ルモゲン ブルー650(BASF社製)に変更し、添加量を2.3重量%にした以外は実施例1と同様にして塗工フィルムを得た。
[実施例4]
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02−225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、紫外線吸収能を有する物質としてベンゾトリアゾール系UV吸収剤TINUVIN900(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)3重量%、蛍光物質として緑色発光有機蛍光材料イーストブライトOB−1(イーストマンコダック社製)3.4重量%、アクリルバインダーとしてユータブルS−2840(日本触媒製)93.6重量%からなる組成物をトルエン/酢酸ブチル(1:1)混合溶媒に溶解した塗液(固形分濃度50重量%)を、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布した。乾燥は150℃で2分間熱風乾燥し、塗工フィルムを得た。このときの反射板としての輝度上昇率は107%であった。
[比較例1]
表1に示す蛍光物質イーストブライト OB−1の添加量を11.2重量%にした以外は実施例1と同様にして塗工フィルムを得た。輝度上昇率は111%を示したものの。着色による色度差が大きいフィルムであり実用上使用困難であった。
[比較例2]
表1に示す蛍光物質を橙色有機蛍光材料ルモゲン オレンジ240(BASF社製)に変更した以外は実施例2と同様にして塗工フィルムを得た。可視光吸収により、輝度向上率は92%となり輝度低下が確認された。
[比較例3]
表1に示す蛍光物質を紫色有機蛍光材料ルモゲン バイオレット570(BASF社製)に変更した以外は実施例2と同様にして塗工フィルムを得た。輝度向上率は100%で輝度の向上は確認されなかった。
Figure 2010043208
本発明の積層フィルムは広く光学用途に、特に液晶表示装置の反射フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられた塗布層からなり、塗布層は400〜450nmの波長の光で励起し500〜600nmの波長の光を発光する有機蛍光剤を1〜10重量%および紫外線吸収剤を含有することを特徴とする積層フィルム。
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