JP2015174397A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル樹脂からなりA層/B層またはA層/B層/A層でB層は空洞を含有し、蛍光着色剤を含有し下記の(1)〜(3)の要件を満たすことを特徴とする積層ポリエステルフィルム。(1)B層を構成するポリエステルに非相溶な樹脂または無機粒子のうち選択された1種以上をB層質量を基準として10質量%〜40質量%含有し、かつ気泡を有すること(2)B層は吸収波長が350nmより大きく550nm未満、発光波長帯が390nmより大きく620nm未満である蛍光着色剤をB層質量を基準として0.1μg/g以上1μg/g未満含有すること(3)A層は無機粒子を含有しており、その含有量がA層質量を基準として0.01質量%〜30質量%である事
【選択図】なし
Description
ポリエステル樹脂からなり、A層/B層またはA層/B層/A層のフィルム構成を有し、B層は空洞を含有し、蛍光着色剤を含有する積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムが、下記の(1)〜(3)の要件をすべて満たすことを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
(2)B層は吸収波長が350nmより大きく550nm未満、発光波長帯が390nmより大きく620nm未満である蛍光着色剤をB層質量を基準として0.1μg/g以上1μg/g未満含有すること
(3)A層は無機粒子を含有しており、その含有量がA層質量を基準として0.01質量%〜30質量%であること、
である。
[ポリエステル]
本発明において、好適に用いられるポリエステルは、融点が250℃以上のポリエステルであることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。
〔A層〕
本発明においてA層は表層となる層である。背面への光漏洩を防ぐ役割、製膜を安定化させる支持層の役割を持たせるため、A層はポリエステルに無機粒子をA層質量に対して0.01−30質量%含有させることが必要で有り、光を散乱させる役割がある。A層の光散乱性は主に表面粗さを制御することにより調整することができ、他の方法としては、例えば、ポリエステル樹脂に屈折率の異なる粒子を添加する方法が挙げられる。ここで、A層に含有させる無機微粒子の種類としては、特に限定されるものではないがモース硬度3.0以上であることが好ましく、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ、タルクなどが挙げられる。これらの無機粒子は、光沢度調整や白色度調整、耐光性付与などといった表面機能の付与の必要性に応じて、単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
〔B層〕
B層はフィルム内部に微細な気泡を含有することによって白色化されている。微細な気泡の形成は、フィルム母材、たとえばポリエステル中に、ポリエステルとは非相溶な樹脂または、無機粒子を分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成できる。
本発明においてB層はB層を構成するポリエステルに非相溶な樹脂または無機粒子のうち選択された1種以上を含有することが必要である。ポリエステルに非相溶な樹脂(以下、非相溶樹脂と略すことがある)としては、単独重合体であっても共重合体であってもよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂などが好適に用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。特にポリエステルとの臨界表面張力差が大きく、延伸後の熱処理によって変形しにくい樹脂が好ましく、具体的には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、および、これらの共重合体を挙げることができる。これらの中でも特に環状オレフィン共重合体であるエチレンとビシクロアルケンの共重合体が好ましい。非相溶樹脂を含有することにより、延伸時に非相溶樹脂を核とした気泡が生まれ、この気泡界面により光反射が起きる。
また、無機粒子としては、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウムなどが挙げられるが、これらの中で、400〜700nmの可視光域において吸収の少ない炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタンなどが反射特性や隠蔽性、製造コスト等の観点で好ましい。本発明において、フィルムの巻取り性、長時間の製膜安定性、反射特性向上の観点から、硫酸バリウム、二酸化チタンが最も好ましい。無機粒子の粒径としては、数平均粒径で0.1μm以上3.0μm以下のものを使用することが優れた反射性、隠蔽性を実現する上で好適である。
B層はB層を構成するポリエステルに非相溶な樹脂または無機粒子のうち選択された1種以上をB層の質量に対して、10質量%〜40質量%含有し、かつ気泡を有することが必要である。10質量%未満では所望の気泡が発現せず、高い輝度を得ることが出来ない。一方40質量%を超えると、製膜性が悪化することがある。
〔蛍光着色剤〕
本発明における蛍光着色剤の含有量はB層質量を基準として0.1μg/g以上1μg/g未満であることが必要である。蛍光着色剤の含有量が0.1μg/g未満であると蛍光着色剤の発光が少なく輝度を高める効果が出ない。1μg/g未満の場合、バックライトでの色度差が特に少なくなるので、液晶ディスプレイでの色補正が必要なくなる。
また、正確な色再現をするには、バックライトでの色度差Δx、Δy値が3/1000以内であることが好ましい。上記範囲を達成するには蛍光着色剤の含有量を0.1μg/g以上1μg/g未満であることが必要である。
発光波長は390nm以上520nm未満であることが好ましい。発光波長がこの範囲にあることによって、液晶ディスプレイで使用した際、着色が少なく、かつ高輝度な反射フィルムを得ることが出来る。
[全厚み]
本発明において、積層ポリエステルフィルムの全厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以上350μm以下である。白色ポリエステルフィルムの全厚みを50μm以上とすることは反射率の点で好ましい。また、上限は特に制限する必要はないが、反射率、作業性、コストの点から500μm以下、より好ましくは350μm以下とすることが好ましい。500μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めず、またバックライトに組み込むために枚葉にして作業する際に高質量化により作業性(ハンドリング性)が悪化する。
本発明の積層フィルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない
添加剤(1)ポリエステル組成物と、白色粒子を含有してなるポリエステル組成物の製造方法(マスターペレット法)
ポリエステルと、白色粒子と、表面処理剤とを混合し、該混合物を押出機に投入し、溶融混練押出し、ペレタイズを行い、マスターペレットを得る。
ポリエステルと、蛍光着色剤を混合し、該混合物を押出機に投入し、溶融混練押出し、ペレタイズを行い、マスターペレットを得る。
押出機Aと押出機BとTダイ3層口金を有する押出機を用いて、原料を押出機Aと押出機Bに投入し、溶融混練せしめ、A層/B層/A層からなる溶融押出シートを作成する。
また、二層積層フィルムの製造方法は、Tダイ二層口金を有する押出機を用いて、原料を押出機Aと押出機Bに投入し、溶融混練せしめ、A層/B層からなる溶融押出シートにつき上述の三層積層と同じ手法で製膜を行い、本発明の積層フィルムを得る。
(1)フィルム厚み・層厚み
フィルムの厚みは、JIS C2151−2006に準じて測定した。
フィルムをミクロトームを用いて厚み方向に潰すことなく切断し、切片サンプルを得た。
該切片サンプルの断面を日立製作所製走査型電子顕微鏡(FE−SEM)S−2100A形を用いて、3000倍の倍率で撮像し、撮像から積層厚みを採寸し各層厚みと厚み比を算出した。
フィルムを100×100mm角に切取り、ダイアルゲージ(三豊製作所製No.2109−10)に、直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読み取る。下記の式で計算される値を見かけ密度とする。
見かけ密度=w/d×100 (g/cm3)。
図1に示したように181BLM07(NEC(株)製)のバックライト内に張り合わせてある反射フィルムを基準サンプルもしくは評価サンプルに変更し、点灯させた。その状態で1時間待機して光源を安定化させた後、液晶画面部をCCDカメラ(SONY製DXC−390)にて撮影し画像解析装置アイシステム製アイスケールで画像を取り込んだ。その後、撮影した画像の輝度レベルを3万ステップに制御し自動検出させ、輝度、および色度に変換した。
輝度および色度評価として、東レ株式会社製#250E6SLを基準サンプルを用いた。下記の式でフィルムサンプルの相対輝度を求めて、この数値を輝度として評価した。
輝度(%)=(フィルムサンプルの輝度(%))/(基準サンプルの輝度(%))×100 。
また、輝度の評価は下記の基準で評価した。
◎:103%以上
○:101%以上103%未満
×:101%未満
上記の◎および○を合格とした。
また、色度差は下記の式を用いて評価した。
色度差Δx=(フィルムサンプルのx値)―(基準サンプルのx値)
色度差Δy=(フィルムサンプルのy値)―(基準サンプルのy値)
◎:優良 0.000以上0.002未満
○:良好 0.002以上0.003未満
×:劣る 0.003を超える
上記の◎および○を合格とした。
ここで、x値、y値は色度図(CIE1931)における座標を表す指数である。
フィルム破れの発生回数で評価を行った。評価は1日あたりの破れ回数にて行い、以下の基準で判定をした。なお、○、△が合格である。
○:良好 (破れ発生がほとんどない(1回/日未満))
△:やや劣る (破れが時々発生(1〜2回/日))
×:劣る (破れが多発(2回/日以上))。
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS Z−8722(2000)に準じてA層側の反射モードの光線反射率を測定した。サンプル数はn=5とし、それぞれの光線反射率を測定して、その平均値を算出した。試料測定径は30mmφである。光線反射率の測定方法を以下に示す。酸化アルミニウム製の標準白色板(日本電色工業(株)製、部品No.SE−11628)を100%としたときのA層側の面における光線反射率を350nm以上900nm以下にわたって測定する。得られた反射率チャートより5nm間隔で反射率を読み取り、算術平均値を計算し、反射率を求めた。また、発光波長は、A層側から分光反射率を測定した波長の範囲の反射率のチャートから数値を読み取り、蛍光着色剤に特有の発光波長に従って、ピーク値が0.5%以上出ていたときに発光があると判定し、その最大値を最大吸収波長とした。一方、吸収波長は上記同様に、ピーク値が0.5%以上下がっていた時に、吸収があると判定し、その最小値を最大吸収波長とした。
本発明に使用する蛍光着色剤に特有の吸収・発光波長を特定するには、予め、各種の蛍光着色剤試料で、単独の吸収・発光波長を測定することによって、各種蛍光着色剤の吸収・発光波長と可視光波領域の位置が決められる。これを用いて、サンプルの吸収・発光波長と可視光波長域の位置を取って、照らし合わせて特定する。
なお、本発明で使用した蛍光着色剤の吸収・発光波長は表1の通りである。
分子量4000のポリエチレングリコールを使用し、重合後のポリエチレンテレフタレートの色調(JIS K7105−1981、刺激値直読方法で測定)がL値62.8、b値0.5、ヘイズ0.2%であるポリエチレンテレフタレートを使用し、ポリエチレンテレフタレート53質量部、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの(PBT/PTMG)共重合物を8質量部(商品名:東レデュポン社製ハイトレル)、エチレングリコールに対し1,4−シクロヘキサンジメタノールが33mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート(33mol%CHDM共重合PET)8質量部、ポリ(5−メチル)ノルボルネン10質量部、硫酸バリウム20質量部、蛍光着色剤マスターペレット(マスターペレット総量に対してルモゲンFYellow083:BASF社製を10μg/g含有)1質量部を調整混合し、180℃で3時間乾燥させた後、270〜300℃に加熱された押出機Bに供給(B層)した。一方、ポリエチレンテレフタレート99質量部、数平均粒径0.6μmの二酸化珪素粒子含有ポリエチレンテレフタレートマスター1質量部(マスターチップ総量に対して二酸化珪素1質量%含有)とを180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給し(A層)、これらポリマーをA層/B層/A層となるように積層装置を通して積層し、Tダイよりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.6倍縦延伸し、21℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で200℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却し二軸延伸された積層フィルムを得た。光反射用基材としての物性は表2の通りである。
A層、B層の原料組成、A層の厚み、フィルム全厚みを表2、3に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。いずれの実施例も相対輝度、色度差、製膜安定性は良好であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み225μmのフィルムを得た。色度差Δx、Δy値は3/1000以内であったが、蛍光着色剤の濃度が低かったため、相対輝度は100.9%と不十分であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み225μmのフィルムを得た。蛍光着色剤の濃度が高かったため、相対輝度は高輝度であったが、色度差が不十分であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み225μmのフィルムを得た。蛍光着色剤を添加しなかったため、色度差Δx、Δy値は3/1000以内であったが、相対輝度が不十分であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み225μmのフィルムを得た。色度差Δx、Δy値は3/1000以内、相対輝度は高輝度であったが、B層の無機粒子の含有量が高く、製膜安定性が不十分であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み225μmのフィルムを得た。蛍光増白剤を添加したので、色度差Δx、Δy値は3/1000以内であったが、相対輝度が不十分であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法を実施したが、A層の無機粒子の含有量が高く、製膜不可であった。
積層構成および原料組成を表4に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚み150μmのフィルムを得た。色度差Δx、Δy値は3/1000以内であったが、A層の無機粒子の含有量が低く、相対輝度が不十分であった。
2;冷陰極管
3;乳白板
4;拡散板
5;プリズムシート
6;偏光プリズムシート
7;CCDカメラ
8;画像解析装置(アイスケール)
Claims (4)
- ポリエステル樹脂からなり、A層/B層またはA層/B層/A層のフィルム構成を有し、B層は空洞を含有し、蛍光着色剤を含有する積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムが、下記の(1)〜(3)の要件をすべて満たすことを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
(1)B層はB層を構成するポリエステルに非相溶な樹脂または無機粒子のうち選択された1種以上をB層質量を基準として、10質量%〜40質量%含有し、かつ気泡を有すること
(2)B層は吸収波長が350nmより大きく550nm未満、発光波長帯が390nmより大きく620nm未満である蛍光着色剤をB層質量を基準として0.1μg/g以上1μg/g未満含有すること
(3)A層は無機粒子を含有しており、その含有量がA層質量を基準として0.01質量%〜30質量%であること - 前記蛍光着色剤がスチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル・オキサゾール系、ピレン・オキサゾール系、クマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、アミノクマリン系、ナフタルイミド系、ペリレン系化合物のうちから選択された1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 積層ポリエステルフィルムの全厚みが50μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 液晶ディスプレイ装置や液晶表示装置のバックライト反射フィルム、ブルーカット用の反射板フィルム、照明装置のバックシート、表示板用バックシート、壁紙フィルム、または波長変換用フィルムに用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
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