JP2018079664A - 積層フィルム、それを含むバックライトユニットおよび液晶表示装置 - Google Patents

積層フィルム、それを含むバックライトユニットおよび液晶表示装置 Download PDF

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【課題】液晶表示装置の表示において、色再現性を向上させることができる積層フィルムを提供すること。【解決手段】反射率90%以上のポリエステルフィルムおよびその少なくとも一方の面上に蛍光体含有層を有する積層フィルムであって、該蛍光体含有層は、励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在する蛍光体A、および励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する蛍光体Bを含有する、積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面上に蛍光体含有層を有する積層フィルム、それを含むバックライトユニットおよび液晶表示装置に関する。
近年、液晶テレビに代表される液晶表示装置が急速に普及している。液晶表示装置は、通常、サイド型ライト方式または直下型ライト方式のバックライトユニットを備え、バックライトユニットに用いられる反射板には、高い反射性能が要求される。
従来、この反射板として、白色顔料を含有する白色反射フィルムや、内部に微細な気泡を含有する白色反射フィルムが使用されてきた。内部に白色顔料を含有するフィルムは、高い輝度と、均一な輝度を得ることができることから広く使用されており、例えば特許文献1,2に開示されている。また、内部に微細な気泡を含有するフィルムは、例えば特許文献3,4に開示されている。
一方で、白色反射フィルムとは別に鏡面反射フィルムもまた、バックライトユニットの反射板として使用されてきた。この例としては、PETフィルム上に銀の薄膜を蒸着したフィルムや、屈折率の異なる熱可塑性樹脂を積層延伸した多層延伸フィルムなどがある。
近年、液晶表示装置の色再現性の向上の為、発光ダイオード(LED)の3原色化やカラーフィルタの改良など様々な方策が検討されているが、LEDの3原色化はLEDの小型化が難しいため高精細化が困難であり、カラーフィルタの改良は光の吸収が大きくなる為、省電力化が図れないといった課題があった。
特開2004−050479号公報 特開2004−330727号公報 特開平6−322153号公報 特開平7−118433号公報
上記背景技術を鑑み、本発明の課題は、液晶表示装置の表示において、色再現性を向上させることができる積層フィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用するものである。
1.反射率90%以上のポリエステルフィルムおよびその少なくとも一方の面上に蛍光体含有層を有する積層フィルムであって、該蛍光体含有層は、励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在する蛍光体A、および励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する蛍光体Bを含有する、積層フィルム。
2.前記ポリエステルフィルムが、層Aと層Bとが交互に11層以上積層され、層Aおよび層Bの少なくともいずれか一方の層厚みが0.06〜0.3μmの範囲にあり、層Aはナフタレンジカルボン酸成分を含むポリエステルから主になり、層Bは平均屈折率1.58以下の熱可塑性樹脂から主になる鏡面多層積層ポリエステルフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
3.前記鏡面多層積層ポリエステルフィルムを構成する層Aがエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステルから主になり、層Bがイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートから主になる、上記2に記載の積層フィルム。
4.前記鏡面多層積層ポリエステルフィルムを構成する層Aがトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステルから主になり、層Bが融点が150〜220℃の範囲にあるポリ乳酸組成物からなる、上記2に記載の積層フィルム。
5.前記ポリエステルフィルムが白色ポリエステルフィルムである、上記1に記載の積層フィルム。
6.液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として用いられる、上記1〜5のいずれか1に記載の積層フィルム。
7.上記6に記載の積層フィルムおよび青色発光ダイオードを含むバックライトユニット。
8.上記6に記載の積層フィルムを含む液晶表示装置。
9.上記7に記載のバックライトユニットを含む液晶表示装置。
10.液晶セルと、液晶セルのバックライトユニット側に配した偏光板とをさらに有し、該バックライトユニットと該偏光板との間に反射偏光フィルムを有する、上記9に記載の液晶表示装置。
11.光源と反射率90%以上のポリエステルフィルムとを含むバックライトユニット、そのうえに液晶セルと、該液晶セルのバックライトユニット側に配した偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置において、上記光源として青色発光ダイオードを用いるとともに、前記ポリエステルフィルムの少なくとも偏光板側の面上に蛍光体含有層を設け、該蛍光体含有層は、励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在する蛍光体A、および励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する蛍光体Bを含有する、液晶表示装置の色再現域改善方法。
12.前記蛍光体含有層と前記偏光板との間に反射偏光フィルムを設ける、上記11に記載の液晶表示装置の色再現域改善方法。
本発明の積層フィルムによれば、液晶表示装置の表示において、色再現性を向上させることができる。
本発明の積層フィルムは、反射率90%以上のポリエステルフィルムの少なくとも一方の面上に蛍光体含有層を有するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<蛍光体含有層>
本発明においては、蛍光体含有層に蛍光体Aと蛍光体Bの少なくとも2種の蛍光体を含み、該蛍光体Aは励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在し、該蛍光体Bは励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する。
蛍光体含有層は、蛍光体含有層100重量%あたり、蛍光体AおよびBをそれぞれ0.2〜5重量%含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%、さらに好ましくは0.7〜2.5重量%、特に好ましくは1.0〜2.0重量%含有する。含有量が少ないと輝度の向上効果が低くなる傾向にある。また、色再現性も低くなる傾向にある。他方、含有量が多いと濃度消光による発光効率の低下が生じ易くなる傾向にあり、輝度向上効果が低くなる傾向にあり、また、色再現性も低くなる傾向にある。
蛍光体の含有量の他の態様は、蛍光体Aの含有量が、蛍光体含有層100重量%あたり、好ましくは0.5〜2.0重量%、より好ましくは0.7〜1.8重量%、さらに好ましくは0.9〜1.6重量%である。また、蛍光体Bの含有量が、蛍光体含有層100重量%あたり、好ましくは1.5〜3.0重量%、より好ましくは1.7〜2.8重量%、さらに好ましくは1.9〜2.6重量%である。
本発明における蛍光体含有層は、上記蛍光体がバインダー樹脂により保持された態様であることができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素系樹脂、およびこれらの共重合体、2種以上の混合物などが使用できる。その中でも紫外線硬化樹脂が好ましく、特に無溶剤型の紫外線硬化樹脂が好ましい。
蛍光体含有層の厚みは2〜10μmであることが好ましい。この範囲の厚みとすることで、色再現性の向上効果をより高くすることができる。また、蛍光体が脱落し難くなる傾向にあり、しかも良好な滑り性を備える積層フィルムを得易くなる傾向にある。
(蛍光体)
本発明における蛍光体は、励起波長が400〜500nmに存在するものが必要である。この範囲の励起波長の蛍光体を用いることによって青色LEDから発光される光を緑色および赤色に変換することができ、これによりカラーフィルタによる吸収ロスを防ぎ輝度向上すると同時に色再現性の改善も実現できる。
本発明における蛍光体は、上述の観点から、発光ピーク波長が500〜570nmにあるもの(蛍光体A)および発光ピーク波長が580〜680nmにあるもの(蛍光体B)を少なくとも2種組み合わせることが必要である。これにより色再現性に優れる。蛍光体Aの発光ピーク波長は、500〜550nmに存在することが好ましく、500〜540nmに存在することがより好ましく、505〜535nmに存在することがさらに好ましい。蛍光体Bの発光ピーク波長は、590〜650nmに存在することが好ましく、595〜630nmに存在することがより好ましく、600〜625nmに存在することがさらに好ましい。
(無機蛍光体)
本発明における蛍光体Aおよび蛍光体Bは、無機物質からなることが好ましい。蛍光体として無機物質からなる蛍光体を用いることで、経時での色ずれの少ない積層フィルムを得ることができる。他方、蛍光体として有機物質からなる蛍光体を用いると、紫外線で蛍光体が分解され易い傾向にあり、長期間の使用において紫外線で積層フィルムが黄変し易い傾向にある。以下、「無機物質からなる蛍光体」を「無機蛍光体」という場合がある。
上記の励起波長および発光ピーク波長についての要件を満足する無機蛍光体として、アルカリ土類金属複合酸化物としては、例えばバリウム・マグネシウム・アルミニウム複合酸化物(BaMgAl1017)などがあげられる。アルカリ土類金属窒化化合物としては、例えばアルミニウム窒化化合物(AlSiN)やカルシウム・アルミニウム窒化珪素化合物(CaAlSiN)、ストロンチウム・カルシウムなどがあげられる。アルカリ土類、希土類金属酸化珪素化合物としては、バリウム・ストロンチウム酸化珪素化合物((Ba、Sr)SiO)などがあげられる。アルカリ土類金属窒化化合物としては、珪素・アルミニウム窒化化合物(SiAlON)などがあげられる。希土類アルミニウム酸化物としては、ルテチウム・アルミニウム酸化物(LuAl12)などがあげられる。これらは母体となる。賦活物質としては、例えば、Eu、Cu、Mn、Al、Ce、Tb、Ba、Sr、Agを用いることができ、さらに組合せとして、例えば、Eu、CuとAlとの組合せ、CeとTbとの組合せ、BaとEuとの組合せ、BaとSrとEuとの組合せを用いることができる。
特に好ましい無機蛍光体は、SiAlONや(Ba,Sr)SiOを母体としてなり、賦活物質としてユウロピウム(Eu)および/またはセリウム(Ce)を含有する無機蛍光体、CaAlSiN、(Sr、Ca)AlSiNを母体としてなり、賦活物質としてユウロピウム(Eu)を含有する無機蛍光体、LuAl12を母体としてなり、賦活物質としてCeおよび/またはTbを含有する無機蛍光体である。
賦活物質がEuの場合、賦活剤として例えばEuを用いることができる。この場合、無機蛍光体における賦活剤Euの含有量は、無機蛍光体の合計重量を基準として、例えば0.01〜10重量%である。
賦活物質がCeの場合、賦活剤として例えばCePOを用いることができる。この場合、無機蛍光体における賦活剤CePOの含有量は、無機蛍光体の合計重量を基準として、例えば0.01〜35重量%である。
無機蛍光体は、例えば粒子状のものを用い、粒子の形状は問わないが、例えば球状のものを用いることができる。粒子の平均粒径は、例えば2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。この範囲の平均粒径の粒子状の無機蛍光体を用いることで、塗液中で均一に分散させることができ、均一に蛍光体が分布した蛍光体含有層を得ることができる。
無機蛍光体は市販されており、例えば次のものを用いることができる。緑色発光無機蛍光体としては、BG201B、BG601B、BG801A(三菱化学社製)、D1164(根本特殊化学社製)を用いることができる。赤色発光無機蛍光体としては、BR101A、BR102D、BR102J、BR103A(三菱化学社製)、D1120(根本特殊化学社製)を用いることができる。
(その他の蛍光体)
無機蛍光体以外の材料としては、耐久性の高い有機蛍光色素であるBASF社LumogenF Yellow083、Orange240、Red305等が挙げられる。また、量子ドット粒子などの材料を使用することもできる。量子ドット粒子は、例えばCdSeまたはZnSを含むものが挙げられる。より好適な量子ドット粒子としては、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、またはCdTe/ZnSを含む、コア/シェル発光性ナノ結晶が挙げられる。
(蛍光体含有層の形成方法)
蛍光体含有層は、加工の容易さや耐熱性の観点から、蛍光体含有層を構成する成分を含有する塗液を得て、それを基材のポリエステルフィルムに塗布することにより形成することが好ましい。
本発明において蛍光体含有層は、基材のポリエステルフィルム上に直接設けてもよいが、接着性が不足する場合には、ポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理や下引き処理を行うことが好ましい。下引き処理は、ポリエステルフィルム製造工程内で設けてよく(インラインコーティング法)、ポリエステルフィルムを製造後に別途塗布により設けてもよい(オフラインコーティング法)。下引き処理に用いる材料は適宜選択すればよいが、好適なものとしては、共重合ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、各種カップリング剤を用いることができる。
蛍光体含有層を形成するための塗液は、任意の方法で塗布することができる。例えばグラビア、ロール、スピン、リバース、バー、スクリーン、ディッピングなどの方法を用いることができる。塗布後の硬化方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、熱硬化、紫外線、電子線、放射線などの活性線を用いる方法を適用できる。塗布は、ポリエステルフィルムの製造時にフィルムの結晶配向化完了前に行ってもよく、ポリエステルフィルムの製造時または製造後にフィルムの結晶配向完了後に行ってもよい。
<ポリエステルフィルム>
本発明におけるポリエステルフィルムは、反射率90%以上のポリエステルフィルムである。かかるポリエステルフィルム自体が積層構成を具備する積層ポリエステルフィルムの態様も好ましい。
(態様1)白色ポリエステルフィルム
本発明においては、反射率90%以上のポリエステルフィルムとして、白色ポリエステルフィルムを用いる態様を、好ましい態様として挙げることができる。
白色ポリエステルフィルムとしては、ポリエステルに粒子および/またはポリエステルとは非相溶な樹脂(以下、非相溶樹脂という場合がある。)を配合した組成物のシートを延伸し、延伸時にポリエステルと粒子との界面、またはポリエステルと非相溶樹脂との界面で剥離を発生させフィルム内部に微細なボイドを形成した白色ポリエステルフィルムを好ましく用いることができる。かかる粒子としては、例えば無機粒子、有機粒子、これらの複合粒子を用いることができる。白色ポリエステルフィルムが単層からなる場合は、後述する反射層からなるフィルムとすることができる。
白色ポリエステルフィルムとしては、反射層とこれを支持する支持層とを有する白色積層ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。なお、ここで反射層とは、上述のようにポリエステルに粒子や非相溶樹脂を配合した組成物から形成されてなる内部に微細なボイドを有する層であり、支持層は、かかる反射層よりもボイドが少ないか、ボイドを有しない層を指す。
反射層のボイド体積率(層の体積に対するボイドの体積の割合)は、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは35〜75%、特に好ましくは38〜70%である。このボイド体積率は、粒子や非相溶樹脂の含有量を多くしたり、粒径を大きくしたり、延伸倍率を高めたり、十分に熱処理したりすることで高くなる傾向にあり、これらにより調整することができる。
ボイドを形成する物質として粒子を用いる場合、粒子の平均粒径は、好ましくは0.3〜3.0μm、さらに好ましくは0.4〜2.5μm、特に好ましくは0.5〜2.0μmである。平均粒径が小さいと凝集が生じ易くなる傾向にあり、大きいとフィルムが破断し易くなる傾向にある。
粒子は、反射層のポリエステル組成物100重量部あたり、好ましくは31〜60重量部、さらに好ましくは35〜55重量部、特に好ましくは37〜50重量部含有させる。粒子の含有量が少ないと反射率が低下したり、紫外線による劣化がし易くなる傾向にある。多いとフィルムが破れやすくなる傾向にある。
粒子としては無機粒子が好ましく、特に高い反射性能を得る観点から白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素の粒子を用い、好ましくは硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子を用いる。これら粒子を用いることで特に良好な反射率を得ることができる。また粒子は、板状、球状のいずれの形状であってもよい。
有機粒子としては、例えば、以下に説明する非相溶樹脂の粒子を用いることができる。
ボイドを形成する物質として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂を用いることができ、具体的には、例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができ、特に好ましくはポリプロピレン、ポリメチルペンテンを用いる。ポリプロピレン、ポリメチルペンテンは樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることができ最適である。
非相溶樹脂は、反射層のポリエステル組成物100重量部あたり、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは8〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部の割合で用いる。非相溶樹脂の含有量が多いとフィルムが破断し易くなる傾向にある。少ないと十分なボイド形成が成され難くなる傾向にあり、フィルムの反射率が低くなる傾向にあり、また紫外線に対する耐性がより劣る傾向にある。
白色積層ポリエステルフィルムにおける支持層は、ポリエステル組成物からなり、このポリエステル組成物100重量部あたり無機または有機の粒子を含有しないか、或いは好ましくは30重量%以下、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜27重量%、特に好ましくは2〜25重量%で含有する。非相溶樹脂を含有してもよい。粒子の含有量が少ないと十分な滑り性が得難くなる傾向にあり、多いと反射層を支える支持層としての強度を保つことが困難となる傾向にあり、フィルムの破断が生じ易くなる傾向にある。
支持層における粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.6〜2μmである。平均粒径が小さいと粒子の凝集が生じ易くなる傾向にあり、大きいと粗大突起を形成し易くなる傾向にあり、フィルム破断が生じ易くなる傾向にある。
(光学特性)
本発明の白色ポリエステルフィルムは、反射率はより好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。反射率を高く保つことで、バックライトの光源として青色LEDを用い、蛍光体含有層による励起によって赤色光、緑色光を発光させて画像を得る方式の表示装置の反射フィルムとして用いた場合に、蛍光体からバックライト側に発せられた光を効率よく反射して表示装置の外部に光を出射させ、表示装置の光利用効率を上げることができる。
(白色ポリエステルフィルムの製造方法)
以下、本発明における白色ポリエステルフィルム、もしくは白色積層ポリエステルフィルムを製造する方法の一例を説明する。
粒子や非相溶樹脂のポリエステルへの配合は、ポリエステルの重合時に行ってもよく、重合後に行ってもよい。重合時に行う場合、エステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に配合してもよく、重縮合反応開始前に配合してもよい。重合後に行う場合、重合後のポリエステルに添加し溶融混練すればよい。この場合、粒子や非相溶樹脂を比較的高濃度で含有するマスターペレットを製造し、これを粒子や非相溶樹脂を含有しないポリエステルペレットに配合することで所望の含有率で粒子や非相溶樹脂を含有するポリエステル組成物を得ることができる。
製膜前に、フィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用い、ポリエステル組成物を濾過することが好ましい。この濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。
本発明においては、フィードブロックを用いた同時多層押出し法を採用することが好ましい。すなわち反射層を形成するためのポリエステル組成物の溶融物と支持層を形成するためのポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて所望の積層構成(例えば反射層/支持層の2層積層構成や支持層/反射層/支持層の3層積層構成など)となるように積層し、ダイに展開して押出しを実施し、未延伸シートを製造する。この時、フィードブロックで積層されたポリエステル組成物は、積層された形態を維持している。
ダイより押し出された未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸フィルムとなる。
フィルムの製膜中に塗液の塗布によって蛍光体含有層を形成する場合は、この未延伸フィルムに対して、もしくはこの後の縦延伸を経た縦延伸フィルムに対して、塗液を塗布することが好ましい。
未延伸フィルムを、ロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向(製膜機械軸方向のこと。長手方向、MDともいう。)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はフィルムのポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度とすることが好ましく、さらにはTg〜(Tg+70℃)の温度とするのが好ましい。延伸倍率は、用途の要求特性にもよるが、縦方向、縦方向と直交する方向(横方向、幅方向、TDともいう。)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はフィルムのポリエステル、好ましくは反射層のポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始め、(Tg+5)〜(Tg+70)℃の温度に昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的でもよいが通常段階的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−20)〜(Tm−100)℃(ここでTmはフィルムのポリエステル、好ましくは反射層のポリエステルの融点である。)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。熱処理温度が(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなる傾向にある。
熱処理後、フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm−20)〜(Tm−100)℃の温度領域にて、フィルムの熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させてもよい。弛緩するには、テンター出側のロール群の速度を調整すればよい。弛緩は、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2%、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施することで行うことができる。このようにフィルムを弛緩することによって縦方向の熱収縮率を調整することができる。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
ここでは、逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、本発明の積層フィルムは逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよい。
(態様2)鏡面多層積層ポリエステルフィルム
本発明においては、反射率90%以上のポリエステルフィルムとして、鏡面多層積層ポリエステルフィルムを用いる態様を、好ましい態様として挙げることができる。
本発明における鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、層Aと層Bとが交互に積層され、11層以上のフィルムであって、層Aおよび層Bのいずれか一方の層厚みが0.06〜0.3μmの範囲にあり、層Aはナフタレンジカルボン酸成分を含むポリエステルから主になり、層Bは、平均屈折率1.58以下、好ましくは1.55以下の熱可塑性樹脂から主になる。ここで「主に」とは、層の重量に対して90重量%以上、好ましくは95重量%以上であることをいう。また平均屈折率とは、フィルムの縦方向、横方向、厚み方向のそれぞれの屈折率の平均をいう。多層積層フィルムから求め難い場合は、例えば対象の層と同様の配向となる適度な厚みの単層フィルムを得て、その平均屈折率の値が採用され得る。
(層A)
本発明において層Aは、ナフタレンジカルボン酸成分を含むポリエステルから主になるものであるが、以下の態様A1および態様A2をそれぞれ好ましい態様として挙げることができる。
態様A1:層Aが、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰返し単位とする芳香族ポリエステルから主になる態様。
態様A2:層Aが、トリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰返し単位とする芳香族ポリエステルから主になる態様。
なお、ここで「主に」とは、層の重量に対して90重量%以上、好ましくは95重量%以上であることをいう。
態様A1として、本発明における層Aは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰返し単位とする芳香族ポリエステルからなることが好ましい。なお、ここでいう「主たる」とは、層Aにおける芳香族ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、80モル%以上を占めることを意味し、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくは共重合成分を含まないホモポリエステルである。エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が80モル%未満の場合には、後述するB層との間に十分な屈折率差を付与し難くなって、十分な反射特性を発現させることが難しくなることがある。
態様A2として、本発明における層Aは、トリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステルからなることが好ましい。なお、ここでいう「主たる」とは、層Aにおける芳香族ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、80モル%以上を占めることを意味し、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。トリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が80モル%未満の場合には、後述するB層との間に十分な屈折率差を付与し難くなって、十分な反射特性を発現させることが難しくなることがある。
本発明における層Aを構成するポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で公知の共重合成分を共重合してもよいが、共重合する場合はポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分を基準として20モル%以下に抑えておくことが、特性の変化を一定範囲内に抑えるという観点から好ましい。共重合成分が多すぎる場合には、融点が低下して結晶性が低下し、延伸時に高屈折率が発現し難くなることがある。
用いられる共重合成分としては、従来公知のものを使用でき、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸を除く)、ビフェニルジカルボン酸の如き芳香族カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等の酸成分や、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。中でもイソフタル酸、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールが好ましく、特にイソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。これらの共重合成分は、単独で用いてもよく、また2成分以上併用することもできる。
層Aのポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃で測定)は、好ましくは0.40〜0.80dl/gであり、さらに好ましくは0.45〜0.75dl/gである。固有粘度がかかる範囲内にあれば、後述する層Bとの多層積層構造部を有するフィルムを形成する際の製膜性が良好となる。
層Aのポリエステルの融点は、170〜230℃の範囲であることが、高屈折率発現の観点から好ましい。より好ましくは190〜230℃の範囲、さらに好ましくは210〜230℃の範囲である。本発明においては、鏡面多層積層ポリエステルフィルムが所望の光学特性を奏しやすいように、層Aが層Bよりも高屈折率層であることが好ましい。
なお、本発明における層Aには、本発明の目的を損なわない範囲で他のポリマーや添加剤を少量含有していてもよく、例えば不活性粒子などの滑剤、顔料、染料などの着色剤、安定剤、難燃剤、発泡剤、紫外線吸収剤などの添加剤が例示される。
(層B)
本発明において層Bは、熱可塑性樹脂からなるものであるが、以下の態様B1および態様B2をそれぞれ好まし態様として挙げることができる。
態様B1:層Bが、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートから主になる態様。
態様B2:層Bが、融点が150〜220℃の範囲にあるポリ乳酸組成物からなる態様。
なお、ここで「主に」とは、層に対して90質量%以上、好ましくは95質量%以上であることをいう。
態様B1として、本発明における層Bは、ポリエステルを構成する全繰返し単位を基準としてエチレンテレフタレート単位の割合が50〜95モル%、好ましくは60〜90モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエステル(B)と称することがある。)からなることが好ましい。エチレンテレフタレート単位の割合が上限を超える場合には、製膜時に結晶、配向化しやすくなって層Aとの間に屈折率差がつきにくくなり、反射特性が低下する傾向にある。一方、エチレンテレフタレート単位の割合が下限未満の場合には、製膜時(特に押出時)の耐熱性や製膜性が低下する傾向にある。エチレンテレフタレート単位の割合が上記の範囲内にあることにより、良好な耐熱性、製膜性を維持しつつ、層Aとの屈折率差を確保することがし易くなり、十分な反射率を付与し易くなる。
なお、層Aとの屈折率差を確保し、反射特性を高めるためには、後述する製膜時の熱固定温度をポリエステル(B)の融点以上にして、層Aの配向を維持しながら層Bのポリエステル(B)を溶融し、層Bの配向を低下させて層Aと層Bとの屈折率差をより大きくすることが好ましい。かかる観点から、ポリエステル(B)の融点は、前記の層Aのポリエステルの融点より10℃以上、特に30℃以上低いことが好ましい。
本発明における層Bは、結晶性であることが、得られるフィルムの熱寸法安定性の観点から好ましい。ここで結晶性とは、鏡面多層積層ポリエステルフィルムを昇温速度20℃/分でDSC測定したときに層Bに由来する融点が観察されることをいう。
ポリエステル(B)の固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃で測定)は、好ましくは0.40〜1.0dl/gであり、さらに好ましくは0.45〜0.95dl/gである。固有粘度がかかる範囲内にない場合には、層Aを構成するポリエステルの固有粘度との差が大きくなることがあり、その結果交互積層構成とした場合に層構成が乱れたり、製膜はできたとしても製膜性が低下することがある。
態様B2として、本発明における層Bは、融点が150〜220℃の範囲にあるポリ乳酸組成物からなることが好ましい。ここで本発明における層Bとは、層Aよりも低屈折率層である。相対的に高屈折率な層Aとして上記の層Aのポリエステルを用い、かつ相対的に低屈折率な層Bとしてポリ乳酸組成物を用いることにより、従来の樹脂の組み合わせの光線選択反射フィルムよりも層間の屈折率差を高めることができ、薄肉化できる。また両層の融点が近いため、層Aとの積層状態を均質に保持しながら1軸延伸あるいは2軸延伸を行うことができる。
ポリ乳酸組成物の融点が上記範囲外であると、層Aとの積層状態を均質に保持することが困難となる傾向にある。上記範囲内の融点を示すポリ乳酸としては、光学純度が90%以上のポリL−乳酸、光学純度が90%以上のポリD−乳酸、ステレオコンプレックス結晶を形成しているステレオコンプレックスポリ乳酸(sc−PLA)などを好適に用いることができ、ポリ乳酸としては、L−乳酸及び/又はD−乳酸が、全繰り返し単位中の50モル%以上を占めているものを用いればよい。
層Bのポリ乳酸組成物におけるポリ乳酸成分の含有量は50重量%以上であり、好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%である。ポリ乳酸成分の含有量が下限に満たないとポリ乳酸による層Bの屈折率特性が十分に発現しないことがある。ポリ乳酸以外の樹脂を含有させる場合には、フィルム成形性の観点から熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ポリ乳酸以外の熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ乳酸樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族のポリケトン樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができるが、これらのうち、ポリメタクリル酸メチルはポリ乳酸との相溶性が良く、また屈折率が近いという観点から好ましい。
本発明において、ポリD−乳酸成分はD−乳酸単位が全繰り返し単位中の50モル%以上であり、好ましくはD−乳酸単位90〜100モル%およびD−乳酸以外の共重合単位0〜10モル%からなる。また本発明において、ポリL−乳酸成分はL−乳酸単位が全繰り返し単位中の50モル%以上であり、好ましくはL−乳酸単位90〜100モル%およびL−乳酸以外の共重合単位0〜10モル%からなる。また、上記のポリD−乳酸成分あるいはポリL−乳酸成分において、D−乳酸単位、L−乳酸単位はそれぞれ95〜100モル%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは98〜100モル%の範囲が選択される。さらに上記のポリD−乳酸成分あるいはポリL−乳酸成分において、L−乳酸単位、D−乳酸単位以外の共重合単位は、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%の範囲が選択される。
上記のポリD−乳酸成分あるいはポリL−乳酸成分において、L−乳酸単位、D−乳酸単位以外の共重合単位は、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール類あるいはビスフェノールにエチレンオキシドが付加させたものなどの芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、従来公知の方法で製造することができる。
例えば、L−ラクチドまたはD−ラクチドを金属含有触媒の存在下、開環重合することにより製造することができる。また金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を、所望により結晶化させた後、あるいは結晶化させることなく、減圧下または常圧から加圧化、不活性ガス気流の存在下、あるいは非存在下、固相重合させ製造することもできる。さらに有機溶媒の存在または非存在下、乳酸を脱水縮合させる直接重合法により製造することができる。
重合反応は、従来公知の反応容器で実施可能であり、例えば開環重合あるいは直接重合法においてはヘリカルリボン翼等、高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列して使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。
重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトールなどを好適に用いることができる。
固相重合法で使用する低分子量のポリ乳酸(プレポリマー)は、予め結晶化させることが、樹脂ペレット融着防止の面から好ましい実施形態と言える。プレポリマーは固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中、プレポリマーのガラス転移温度から融点未満の温度範囲で固体状態にて重合される。
金属含有触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、チタン等の脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート等が例示される。なかでもスズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種の金属を含有する脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラートが好ましい。
触媒活性、副反応の少なさからスズ化合物、具体的には塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ等のスズ含有化合物が好ましい触媒として例示でされる。
なかでも、スズ(II)化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ステアリン酸スズ(II)、塩化スズ(II)などが好適に例示される。
触媒の使用量は、ラクチド1Kg当たり0.42×10−4から100×10−4(モル)であり、さらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性を考慮すると1.68×10−4から42.1×10−4(モル)、特に好ましくは2.53×10−4から16.8×10−4(モル)使用される。
ポリ乳酸重合に使用される金属含有触媒は、ポリ乳酸使用に先立ち、従来公知の失活剤で不活性化しておくのが好ましい。
触媒失活能から、式xHO・yPで表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部を残した網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステルリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体及び上記のメタリン酸系化合物が好適に使用される。
本発明で使用するメタリン酸系化合物は、3から200程度のリン酸単位が縮合した環状のメタリン酸あるいは立体網目状構造を有するウルトラ領域メタリン酸あるいはそれらの(アルカル金属塩、アルカリ土類金属塩、オニウム塩)を包含する。なかでも環状メタリン酸ナトリウムやウルトラ領域メタリン酸ナトリウム、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体のジヘキシルホスホノエチルアセテート(以下、DHPAと略称することがある)などが好適に使用される。
本発明で使用するポリ乳酸は、含有ラクチド量が1〜5000(wtppm)のものが好ましい。ポリ乳酸中に含有するラクチドは溶融加工時、樹脂を劣化させ、色調を悪化させ、場合によっては製品として使用不可能にする場合がある。ポリ乳酸成分がかかる範囲のラクチド含有量を有することにより、本発明におけるフィルムの溶融製膜時の樹脂の安定性を向上でき、フィルムの製造を効率よく実施できる利点及びフィルムの耐湿熱安定性、低ガス性を高めることができる。
本発明に使用されるポリ乳酸の重量平均分子量は、成形加工性と得られる成形品の機械的、熱的物性との関係を考察して選択され、好ましくは8万以上、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは13万以上である。また、ポリ乳酸組成物の重量平均分子量の上限は、好ましくは50万以下、より好ましくは40万以下、さらに好ましくは30万以下である。
また本発明においては、ポリ乳酸組成物は、耐熱性が必要な場合にはステレオコンプレックス結晶を有するステレオコンプレックスポリ乳酸を用いることが好ましい。ステレオコンプレックス結晶を有するポリ乳酸を用いることにより、光学純度が90%以上のポリL−乳酸あるいは光学純度が90%以上のポリD−乳酸からなる層を用いた積層フィルムよりもさらに耐熱性を向上させることが可能となる。
本発明において、ステレオコンプレックスポリ乳酸とは、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分とを含み、ステレオコンプレックス結晶を有するものであって、次式(1)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が90%以上であるポリ乳酸組成物であることが好ましい。
(S)=〔△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)〕×100 ・・・(1)
式中、Sはステレオコンプレックス結晶化度を表し、示差走査熱量計(DSC)測定で190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(△Hmsc)より、式(1)により求めたものである。
ステレオコンプレックス結晶化度(S)は、特に好ましくは93%から100%、より好ましくは95%から100%の範囲が選択される。特に好ましくはステレオコンプレックス結晶化度(S)が100%の時である。
ステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は190℃以上であることが好ましい。該融点が190℃未満であると、ステレオコンプレックス結晶形成の意義が小さなものとなってしまう。
かかるステレオコンプレックス結晶化度、さらに上述の各種結晶性のパラメーターを好適に満たすために、ポリ乳酸におけるポリD−乳酸成分とポリL−乳酸成分との重量比は90/10〜10/90であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは30/70〜70/30、とりわけ好ましくは40/60〜60/40の範囲であり、理論的には1/1にできるだけ近い範囲が好ましく選択される。
本発明における層Bのポリ乳酸組成物としてステレオコンプレックスポリ乳酸を用いる場合、ポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分とを前述した重量比の範囲で接触させることにより得ることができ、好ましくは溶融接触させることにより、より好ましくは溶融混練接触させることにより得ることができる。
このポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分との接触させる際の温度はポリ乳酸の溶融時の安定性及びステレオコンプレックス結晶化度の向上の観点より220℃〜290℃、好ましくは220℃〜280℃、さらに好ましくは225℃〜275℃の範囲が選択される。
溶融混練方法は特に限定されるものではないが、従来公知のバッチ式あるいは連続式の溶融混合装置を好適に使用でき、たとえば、溶融攪拌槽、一軸、二軸の押出機、ニーダー等が挙げられる。
本発明の層Bも、前述の層Aと同じく、本発明の目的を損なわない範囲で他のポリマーや添加剤を少量含有していてもよく、例えば不活性粒子などの滑剤、顔料、染料などの着色剤、安定剤、難燃剤、発泡剤、紫外線吸収剤などの添加剤が例示される。
かかる層A、層Bの組合せの中でも、屈折率差、押出温度、溶融粘度、ガラス転移温度などの観点から、以下の組合せが好ましい。
層Aとして態様A1を採用し、層Bとして態様B1を採用した態様。
層Aとして態様A2を採用し、層Bとして態様B2を採用した態様。
(積層構成)
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、上述の層Aおよび層Bを交互に11層以上積層したものであるが、積層数を161層以上とすることで所望の光の反射率をさらに向上させることができる。積層数は好ましくは231層以上、より好ましくは275層以上である。積層数が多くなるに従って、多重干渉による選択反射が大きくなり、反射率を高めていくことができるが、得ようとする反射特性が得られれば、生産性を高めたり薄いフィルムを得るためには積層数を減らしてもよく、例えば2001層以下、好ましくは1001層以下であってもよい。
(各層厚み)
本発明においては、所望の反射特性を得るために、層Aおよび層Bの少なくともいずれか一方の層厚みが0.06〜0.3μmの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、少なくとも層Aの層厚みが0.06〜0.3μmの範囲内にある態様であり、さらに好ましくは、層Aおよび層Bの層厚みが0.06〜0.3μmの範囲内にある態様である。
層Aおよび層Bに、上述のポリエステルをそれぞれ用い、かつ層厚みを上記のようにすることで、青色光を透過し、赤色光および緑色光を反射する鏡面多層積層ポリエステルフィルムを得ることができる。層Aおよび層Bともに下限未満の層厚みの層が存在すると、反射波長が青色光領域となり、青色光の透過率が低下するため、青色光を透過する機能を有する鏡面多層積層ポリエステルフィルムを得ることが難しくなる。また、層Aおよび層Bともに上限を超える層厚みの層が存在すると、以下に述べる厚み比の調整によって2次ピーク(主反射ピークの1/2の波長)を除去しても、3次ピーク(主反射ピークの1/3の波長)が青色光領域に生じるため、青色光の透過率が損なわれ、青色光を透過する機能を有する鏡面多層積層ポリエステルフィルムを得ることが難しくなる。そして層A、層Bの層厚みがそれぞれ0.06〜0.3μmの範囲内にあることにより、赤色光および緑色光について、多層積層構成による多重干渉により、より望ましく選択的に反射させることができる。層A、層Bの層厚みは、より好ましくは0.07〜0.2μmの範囲内である。
本発明における鏡面多層積層ポリエステルフィルムの反射波長は、隣り合った層Aと層Bの光学厚みの合計の2倍に対応する。かかる光学厚みは、各層の屈折率と各層の厚みの積で表される。この知見により反射波長の調整が可能である。
また、ラドフォードらの「Reflectivity of Iridescent Co extruded Multilayered Plastic Films」や、Polymer Engineering and Science、Vol.13、No.3、1973年5月号にあるように、四分の一波長による多層干渉を利用した多層フィルムは、主反射ピークが青色光領域に生じない場合でも、高次反射ピークが可視光領域に生じると、高次反射による着色を示すことがあるため、高次反射を除くための適切な光学厚みとすることが必要である。
また、本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムにおいては、隣接する層Aと層Bについて層Aの光学厚みに対する層Bの光学厚みの比が1.0の場合には、高次のピークのうち、2次(主反射ピークの1/2波長)、4次(主反射ピークの1/4波長)を除去することができる。
本発明における鏡面多層積層ポリエステルフィルムの場合、光学厚みの関係および各層の屈折率を考慮し、隣接する層Aの厚みに対する層Bの厚みの比(層A/層B、実厚み比)が0.6〜1.1の範囲内となる組み合わせをより多くすることにより、青色光領域に生じる高次のピークを減らすことができ、青色光の透過率をより大きくすることができる。
この関係は積層フィルムの層の大部分について成立していればよく、積層構成部の総層数の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上について成立していればよい。
また、層Aおよび層Bにおいて、各層の厚みは、赤色光および緑色光領域での反射率を向上させるため、層Aにおける最大厚みと最小厚みの比が最大/最小で好ましくは1.2〜4.0、より好ましくは1.5〜3.6、さらに好ましくは1.8〜3.3で連続的に変化させるとよい。また、層Bの各層の厚みも赤色光および緑色光領域での反射率を向上させるため、最大厚みと最小厚みの比が最大/最小で好ましくは1.2〜4.0、より好ましくは1.5〜3.6、さらに好ましくは1.8〜3.3で連続的に変化させるとよい。
なお、本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、層A、層B以外にも積層構成部(光干渉層と称することがある)の表層や中間層に0.5μmを越える厚膜層が存在してもよい。かかる厚みの層を層Aと層Bとの交互積層構成の一部に有することにより、反射機能に影響をおよぼすことなく、層Aおよび層Bの層厚みを調整しやすくなる。かかる厚膜層は、層A、層Bのいずれかと同じ組成、またはこれらの組成を部分的に含む組成であってもよく、層厚みが厚いため反射特性には寄与しない。かかる厚膜層が表層に存在する場合、保護層と称することがある。
(フィルム厚み)
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムのフィルム厚みは、取り扱い性等を考慮し、下限は10μm以上、さらには20μm以上であることが好ましく、上限は200μm以下、さらには175μm以下であることが好ましい。
(延伸フィルム)
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、さらに二軸方向に延伸された二軸延伸フィルムであることが好ましい。延伸フィルムとすることにより、延伸方向における層Aの屈折率を高めることができ、層Aと層Bの層間の屈折率差をより高めることができ、層数を減らすことができるため、十分な反射特性を備えながらフィルム厚みを薄くすることができる。
(光学特性)
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、青色光、赤色光および緑色光を反射する光学特性を有する。
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムは、反射率はより好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。反射率を高く保つことで、バックライトとして青色光を用い、蛍光体層による励起によって赤色光、緑色光を発光させて画像を得る方式の表示装置の反射フィルムとして用いた場合に、蛍光体からバックライト側に発せられた光を効率よく反射して表示装置の外部に光を出射させ、表示装置の光利用効率を上げることができる。
(添加剤)
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムには、発明の目的の範囲内で各種添加剤を用いてもよく、例えばフィルムの巻取り性を向上させるために、少なくとも一方の最外層に平均粒径が0.01〜2μmの不活性粒子を、層の重量を基準として0.001〜0.5重量%含有させてもよい。不活性粒子の平均粒径が下限値よりも小さいか、含有量が下限値よりも少ないと、フィルムの巻取り性を向上させる効果が十分に発現しないことがあり、他方、不活性粒子の含有量が上限値を超えるか、平均粒径が上限値を超えると、フィルムの光学特性の低下が生じることがある。
好ましい不活性粒子の平均粒径は、0.02〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。また、好ましい不活性粒子の含有量は、0.02〜0.2重量%の範囲である。
本発明の鏡面多層積層ポリエステルフィルムに含有させる不活性粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カオリン、タルクのような無機不活性粒子、シリコーン、架橋ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のような有機不活性粒子を挙げることができる。粒子形状は、凝集状、球状など一般的に用いられる形状であれば特に限定されない。
なお、不活性粒子は、本発明の目的を奏する限りにおいて、最外層以外に含有させてもよく、たとえば最外層と同じ樹脂で構成される内部の層中に含まれていてもよい。
(鏡面多層積層ポリエステルフィルムの製造方法)
以下、本発明における鏡面多層積層ポリエステルフィルムを製造する方法の一例を説明する。
粒子等のポリエステルへの配合は、上述の白色ポリエステルフィルムの製造方法と同様である。また、粒子を用いる場合における濾過も、同様である。
鏡面多層積層ポリエステルフィルムを得るには、層Aを形成するための樹脂組成物と層Bを形成するための樹脂組成物とを、溶融状態で所望の積層数に重ね合わせた状態で押出し、キャスティングドラムで冷却固化し、積層未延伸フィルムとする。このとき、層Aおよび層Bの膜厚みが、それぞれについてフィルムの厚み方向に段階的または連続的に変化するように積層させることが、幅広い波長範囲の光を反射でき好ましい。なお、このような積層を行うにあたっては、白色ポリエステルフィルムの製造方法の項で述べたフィードブロックを用いた同時多層押出し法を採用することが好ましい。
フィルムの製膜中に塗液の塗布によって蛍光体含有層を形成する場合は、この積層未延伸フィルムに対して、もしくはこの後の縦延伸を経た縦延伸フィルムに対して、塗液を塗布することが好ましい。
このようにして得られた積層未延伸フィルムは、製膜機械軸方向(縦方向、長手方向、MDともいう。)、および/またはそれに直交する幅方向(横方向、TDともいう。)に延伸される。一軸延伸フィルムを得る場合は、どちらか一方向に延伸すればよいし、二軸延伸フィルムを得る場合は、逐次または同時に両方向に延伸すればよい。延伸温度は、層Aの樹脂のガラス転移温度(Tg)〜(Tg+50)℃の範囲が好ましい。このときの延伸倍率は2〜6倍であることが好ましく、さらに好ましくは2.5〜5倍、さらに好ましくは3〜5倍である。延伸倍率が大きい程、延伸による薄膜化により、層Aおよび層Bにおける個々の層の面方向バラツキが小さくなるため、光干渉が面方向に均一になる他、層Aと層Bとの延伸方向の屈折率差、およびフィルム厚み方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。また、延伸倍率が大きい程、層Aおよび層Bの配向が進み、熱膨張率が低くなる効果もある。
このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
また、延伸後にさらに熱固定処理を施すことが好ましい。かかる熱固定処理は、層Aは結晶配向が適切に維持された結晶配向性を有する配向層となり、層Bは結晶配向が緩和し、等方性である等方層となるような条件を採用することが好ましい、例えば、層Aを構成する樹脂の融点よりも低く、層Bを構成する樹脂の融点よりも高い温度条件とすることが挙げられる。
さらに、白色ポリエステルフィルムの製造方法の項で述べたような弛緩処理を行い、熱収縮率を調整することもできる。
<用途>
本発明の積層フィルムは、液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として好適に用いることができる。このバックライトユニットは、光源として青色発光ダイオードを具備するものであることが好ましい。かかる青色発光ダイオードは、蛍光体方式の青色発光ダイオードが好ましい。
上記のバックライトユニットを用いて、それを含む液晶表示装置を得ることができる。かかる液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、反射偏光フィルムを有することができる。好ましくは、液晶セルのバックライト側に偏光板を配する。また、好ましくは、バックライトユニットと偏光板との間に反射偏光フィルムを配する。このように反射偏光フィルムを用いることで、輝度向上の効果が望める。
本発明においては、好ましくは、光源と反射率90%以上のポリエステルフィルムを含むバックライトユニットを有し、そのうえに液晶セルを有し、かかる液晶セルのバックライトユニット側に偏光板を有する液晶表示装置において、光源として青色発光ダイオード、好ましくは蛍光体方式の青色発光ダイオードを用い、バックライトユニットが有するポリエステルフィルムの少なくとも偏光板側の面上に、上述した本発明における蛍光体含有層を有することにより、色再現域を改善することができ、それにより色再現性を向上することができる。さらに、反射偏光フィルムを、蛍光体含有層と偏光板との間となるように有することが好ましく、輝度向上の効果が望める。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、測定および評価は以下の方法で行った。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点厚みを測定して平均値を求め、フィルム厚みとした。
(2)蛍光体含有層の厚み、ポリエステルフィルムの各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を薄膜切片にした後、光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から蛍光体含有層と基材としてのポリエステルフィルムとの厚み比を測定し、フィルム全体の厚みから計算して蛍光体含有層の厚みを求めた。
ポリエステルフィルムの各層の厚みも同様にして求めた。なお、鏡面多層積層ポリエステルフィルムの場合は、光学顕微鏡に代えて透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用い、加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを求めた。
(3)励起波長400〜500nmでの発光および発光ピーク波長
蛍光分光光度計F−4500(日立製)を用いて、励起波長400〜500nmの範囲において、発光波長300から800nmの範囲における励起発光スペクトルを採取して蛍光発光の有無を下記の基準で評価した。
◎:蛍光発光ピーク有り
○:ピーク波長ではないが蛍光発光あり
×:蛍光発光無し
(4)平均粒径
ポリエステルに添加する前の粉体状態の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)試料台に両面テープを張り、その上に粒子を薄くのせ、カーボン蒸着後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒径(μm)を求めた。
(5)輝度および色度
下記(5−1)から(5−5)に記載の方法で評価した。
(5−1)評価用液晶テレビの作成
評価用に用意した液晶テレビ(SHARP社製AQUOS LC−20E90)から、エッジライト型バックライトユニット(20インチ)を取り出し、かかるバックライトユニットに元々組み込まれていた光反射シートに替えて、測定対象のフィルムを組み込み、かつ光源である白色発光ダイオードを青色発光ダイオードに変更し、評価用バックライトユニットを作成した。なお、反射偏光フィルムを有する水準では、その後に液晶パネルの光源側に参考例4の反射偏光フィルムを、光学粘着剤を介して貼合して用いた。
次いで、液晶パネルとバックライトユニットを接続して、評価用液晶テレビを作成した
評価用液晶テレビを用いて白色、赤色、緑色、青色表示をさせ、それぞれの際の正面の輝度(白色の場合はWY、赤色の場合はRY、緑色の場合はGY、青色の場合はBYとする。)および色度(白色の場合はWxおよびWy、赤色の場合はRxおよびRy、緑色の場合はGxおよびGy、青色の場合はBxおよびByとする。)を測定した。測定はトプコン社製BM−7輝度計を用い、測定角を1°、輝度計とバックライトとの距離を50cmとして測定した。測定は、バックライト面の4区画それぞれについて行い、輝度の単純平均を求めて平均輝度とし、色度の単純平均を求めて平均色度とした。
(5−2)比較用液晶テレビの作成
液晶テレビ(SHARP社製AQUOS LC−20E90)をそのまま用いて比較用液晶テレビとした。
なお、反射偏光フィルムを有する水準では、かかる液晶テレビから液晶パネルを取り出し、液晶パネルの光源側に参考例4の反射偏光フィルムを、光学粘着剤を介して貼合し、次いで本液晶パネルをバックライトユニットと再度接続して、比較用液晶テレビを作成した。
平均輝度と平均色度は、評価用液晶テレビと同様にして測定した。但し、正面の輝度は、白色の場合はWY0、赤色の場合はRY0、緑色の場合はGY0、青色の場合はBY0とした。また、色度は、白色の場合はWx0およびWy0、赤色の場合はRx0およびRy0、緑色の場合はGx0およびGy0、青色の場合はBx0およびBy0とした。
(5−3)輝度向上率
輝度向上率は、上記で得られたWYおよびWY0の値から、以下の式で輝度向上率を算出し、評価した。
輝度向上率(%)=(WY)/(WY0)×100
◎:輝度向上率が130%以上
○:輝度向上率が110%以上130%未満
△:輝度向上率が100%以上110%未満
×:輝度向上率が100%未満
(5−4)色座標
評価用および比較用液晶テレビにおいて求めた赤色、緑色、青色表示の際の輝度及び色度座標を求めて、評価用液晶テレビの色再現域(S1)を算出し、以下の基準で評価した。
色度変化ΔWxy=(ΔWx+ΔWy)^(1/2)
ΔWx=Wx−Wx0
ΔWy=Wy−Wy0
得られたΔWxyを用いて、下記の基準で評価した。
◎: ΔWxy<0.05
○:0.05≦ΔWxy<0.10
×:0.10≦ΔWxy
(5−5)色再現域拡大率
評価用および比較用液晶テレビにおいて求めた赤色、緑色、青色表示の際の輝度及び色度座標を求めて、NTSC比としての評価用液晶テレビの色再現域(S1)および比較用液晶テレビの色再現域(S0)を算出し、以下の基準で評価した。
色再現域拡大率(%)=(S1)/(S0)×100
◎:色再現域拡大率が130%以上
○:色再現域拡大率が110%以上130%未満
△:色再現域拡大率が100%以上110%未満
×:色再現域拡大率が100%未満
(6)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。
[参考例1](白色ポリエステルフィルムの製造)
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの全ジカルボン酸成分を基準に12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5重量%、ゲルマニウム元素含有量は50ppm、リチウム元素含有量は5ppmであった。
このポリエステルに平均粒径1.5μmの硫酸バリウム粒子を50重量%添加して反射層用のポリエステル組成物を得た。また、このポリエステルに平均粒径1.5μmの硫酸バリウム粒子を5重量%添加して支持層用のポリエステル組成物を得た。それぞれの組成物を、280℃に加熱された2台の押出機に供給し、支持層/反射層/支持層の厚み比率が1/6/1となるように3層フィードブロック装置を用いて合流させて3層に積層し、この積層状態を保持したままダイスより押し出して3層シート状に成形した。これを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムとし、さらに95℃に加熱して長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で200℃の温度で熱固定を行い、縦方向の弛緩および横方向の幅入れを130℃の温度でそれぞれ0.5%、1%ずつ行い、室温まで冷やして、総厚み100μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
フィルムの反射率は90%以上であった。
[参考例2](鏡面多層積層ポリエステルフィルムの製造1)
層A用の樹脂として融点267℃、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃で測定)0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)を用い、層B用の樹脂として融点224℃、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃で測定)0.65dl/gのイソフタル酸成分12モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(IA12PET)を用い、それぞれを十分に乾燥させた後、押出機に供給し、PENは300℃、IA12PETは280℃まで加熱して溶融状態とし、層A用PENを136層、層B用IA12PETを137層に分岐させた後、層Aと層Bとが交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して積層し、その積層状態を保持し、さらに第3の押出機よりPENを供給して、総数273層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。その際、層Aおよび層Bは、それぞれの層の最大層厚みと最小層厚みの比が最大/最小で2.0倍まで連続的に変化するように、かつ、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの膜厚比が0.9:1になるように押出量を調整した。また、両側のバッファ層の厚みの合計が全体の25%となるように第3の押出機の供給量を調整した。
その積層状態を更にレイヤーダブリングブロックにて、3分岐して1:1:1の比率で積層し、内部に2つの中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数823層の積層状態とし、それを保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、全層数823層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この未延伸多層積層フィルムを130℃の温度で縦方向に4.5倍延伸し、さらに135℃の温度で横方向に4.5倍に延伸し、235℃で30秒間熱固定処理を行い、厚み150μmの二軸延伸積層フィルム(鏡面多層積層ポリエステルフィルム)を得た。このときの層Bのポリエステルの屈折率は、nMD/nTD/nZ=1.58/1.58/1.56であった。なお、nMDは縦方向の屈折率、nTDは横方向の屈折率、nZは厚み方向の屈折率をそれぞれ指す。また層Aおよび層Bの層厚みは、0.06〜0.3μmの範囲にあった。
フィルムの反射率は90%以上であった。
[参考例3](鏡面多層積層ポリエステルフィルムの製造2)
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。得られたポリL−乳酸(PLLA1)の重量平均分子量(Mw)は15.2万、ガラス転移温度(Tg)は62℃、融点は175℃であった。
上記PLLA1の製造において、L−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更したこと以外は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA1)を得た。得られたポリD−乳酸(PDLA1)の重量平均分子量(Mw)は15.1万、ガラス転移温度(Tg)は62℃、融点は175℃であった。
上記操作で得られたPLLA1とPDLA1とを各50重量部およびリン酸金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」(登録商標)NA−71:0.1重量部)を、2軸混練装置の第一供給口より供給、シリンダー温度250℃で溶融混練し、ステレオコンプレックスポリ乳酸(SCPLA1)を得た。ガラス転移温度(Tg)は62℃、融点は216℃であり、ステレオコンプレックス結晶化度(S)は100%であった。
層A用の樹脂として融点205℃、固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃で測定)0.52dl/gのポリトリメチレン−2,6−ナフタレート(PPN)を用い、層B用の樹脂として上記操作で得たSCPLA1を用い、それぞれ160℃で3時間(PPNについて)、100℃で4時間(SCPLA1について)保持して乾燥させた後、押出機に供給し、240℃まで加熱して溶融状態とし、層A用PPNを136層、層B用SCPLA1を137層に分岐させた後、層Aと層Bとが交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、その積層状態を保持し、さらに第3の押出機よりPPNを供給して、総数273層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。その際、層Aおよび層Bは、それぞれの層の最大層厚みと最小層厚みの比が最大/最小で2.4倍まで連続的に変化するように、かつ、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの膜厚比が0.8:1になるように押出量を調整した。また、両側のバッファ層の厚みの合計が全体の30%となるよう第3の押出機の供給量を調整し、全層数275層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この未延伸多層積層フィルムを70℃の温度で縦方向に3.0倍延伸し、さらに75℃の温度で横方向に3.0倍に延伸し、180℃で3秒間熱固定処理を行い、厚み50μmの二軸延伸積層フィルム(鏡面多層積層ポリエステルフィルム)を得た。このときの層Bのポリエステルの屈折率は、nMD/nTD/nZ=1.46/1.46/1.46であった。なお、nMDは縦方向の屈折率、nTDは横方向の屈折率、nZは厚み方向の屈折率をそれぞれ指す。また層Aおよび層Bの層厚みは、0.06〜0.3μmの範囲にあった。
フィルムの反射率は90%以上であった。
[参考例4](反射偏光フィルムの製造)
層A用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の95モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(PEN)、酸成分の5モル%がテレフタル酸成分(DMT)、グリコール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステル(DMT5PEN)(固有粘度0.64dl/g)を準備した。
また、層B用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールとトリメチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の50モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(PEN)、酸成分の50モル%がテレフタル酸成分(DMT)、グリコール成分の15モル%がトリメチレングリコールである共重合ポリエステル(DMT50C3G15PEN)(固有粘度0.63dl/g)を準備した。
上記で準備した層A用ポリエステルを170℃で5時間乾燥、層B用ポリエステルを85℃で8時間乾燥後、それぞれ第1、第2の押出機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、層A用ポリエステルを138層、層B用ポリエステルを137層に分岐させた後、層Aと層Bとが交互に積層され、かつ層Aと層Bにおけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比が最大/最小で3.1倍まで連続的に変化するような多層フィードブロック装置を使用して、層Aと層Bとが交互に積層された総数275層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その積層方向の両側に第3の押出機から層B用ポリエステルと同じポリエステルをフィードブロックへと導き、総数275層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層した。両側のバッファ層の厚みの合計が全体の47%となるよう第3の押出機の供給量を調整した。
その積層状態を更にレイヤーダブリングブロックにて、2分岐して1:1の比率で積層し、内部に1つの中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数553層の積層状態とし、それを保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、層Aと層Bの平均層厚み比が1.0:1.3になるように調整し、全層数553層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この未延伸多層積層フィルムを130℃の温度で横方向に5.5倍に延伸した。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは85μmであった。
[実施例1]
無溶剤型紫外線硬化アクリル樹脂(Z−953−5:アイカ工業社製)60重量部に緑色発光無機蛍光体D1164(根本特殊化学社製)5重量部、赤色発光無機蛍光体BR102J(三菱化学社製)25重量部、を分散して、参考例1で得た白色ポリエステルフィルムの反射層の上に、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、メタルハライドランプで600mJの光線強度で硬化させ、塗工フィルムを得た。
なお、緑色発光無機蛍光体D1164(根本特殊化学社製)は、BaMgAl1627を母体として、EuおよびMnを賦活物質としてなる無機蛍光体であり、赤色発光無機蛍光体BR102J(三菱化学社製)は、(Sr,Ca)AlSiNを母体として、Euを賦活物質としてなる無機蛍光体である。
[実施例2、3]
基材としてのポリエステルフィルムを表1に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得た。
[実施例4]
無溶剤型紫外線硬化アクリル樹脂(Z−953−6:アイカ工業社製)70重量部に緑色発光無機蛍光体BG801A(三菱化学社製)10重量部、赤色発光無機蛍光体BR101A(三菱化学社製)20重量部、を分散して、参考例1で得た白色ポリエステルフィルムの反射層の上に、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、メタルハライドランプで600mJの光線強度で硬化させ、塗工フィルムを得た。
なお、緑色無機蛍光体BG801A(三菱化学社製)は、LuAl12を母体として、Ceを賦活物質としてなる無機蛍光体であり、赤色無機蛍光体BR101A(三菱化学社製)は、CaAlSiNを母体として、Euを賦活物質としてなる無機蛍光体である。
[実施例5、6]
基材としてのポリエステルフィルムを表1に示す通りに変更する以外は、実施例4と同様にして塗工フィルムを得た。
[比較例1]
下記の組成物をトルエン/酢酸ブチル混合溶液に溶解して、45重量%の固形分濃度の塗液を作成した。なお、トルエン/酢酸ブチル混合溶液として重量比で1:1のものを用いた。
塗液固形分組成:紫外線吸収物質 ユータブルUV6010(日本触媒社製)
この塗液を、参考例1で得た白色ポリエステルフィルムの反射層の上に、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、150℃で2分間熱風乾燥し、塗工フィルムを得た。
[比較例2,3]
蛍光体の態様を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得た。
Figure 2018079664
本発明の積層フィルムは、液晶表示装置の表示において、色再現域を拡大でき、それにより色再現性を向上することができる。よって、バックライトユニットの部材として、特に液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として好適に用いることができる。また、LEDの3原色化をしなくてもよいため、高精細化をすることができる。さらに、光の吸収が大きくなるような改良をしたカラーフィルタを用いなくてもよいため、省電力化を図ることができる。

Claims (12)

  1. 反射率90%以上のポリエステルフィルムおよびその少なくとも一方の面上に蛍光体含有層を有する積層フィルムであって、該蛍光体含有層は、励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在する蛍光体A、および励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する蛍光体Bを含有する、積層フィルム。
  2. 前記ポリエステルフィルムが、層Aと層Bとが交互に11層以上積層され、層Aおよび層Bの少なくともいずれか一方の層厚みが0.06〜0.3μmの範囲にあり、層Aはナフタレンジカルボン酸成分を含むポリエステルから主になり、層Bは平均屈折率1.58以下の熱可塑性樹脂から主になる鏡面多層積層ポリエステルフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記鏡面多層積層ポリエステルフィルムを構成する層Aがエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステルから主になり、層Bがイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートから主になる、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記鏡面多層積層ポリエステルフィルムを構成する層Aがトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる繰り返し単位とする芳香族ポリエステルから主になり、層Bが融点が150〜220℃の範囲にあるポリ乳酸組成物からなる、請求項2に記載の積層フィルム。
  5. 前記ポリエステルフィルムが白色ポリエステルフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  6. 液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 請求項6に記載の積層フィルムおよび青色発光ダイオードを含むバックライトユニット。
  8. 請求項6に記載の積層フィルムを含む液晶表示装置。
  9. 請求項7に記載のバックライトユニットを含む液晶表示装置。
  10. 液晶セルと、液晶セルのバックライトユニット側に配した偏光板とをさらに有し、該バックライトユニットと該偏光板との間に反射偏光フィルムを有する、請求項9に記載の液晶表示装置。
  11. 光源と反射率90%以上のポリエステルフィルムとを含むバックライトユニット、そのうえに液晶セルと、該液晶セルのバックライトユニット側に配した偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置において、上記光源として青色発光ダイオードを用いるとともに、前記ポリエステルフィルムの少なくとも偏光板側の面上に蛍光体含有層を設け、該蛍光体含有層は、励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が500〜570nmに存在する蛍光体A、および励起波長が400〜500nmに存在し発光ピーク波長が580〜680nmに存在する蛍光体Bを含有する、液晶表示装置の色再現域改善方法。
  12. 前記蛍光体含有層と前記偏光板との間に反射偏光フィルムを設ける、請求項11に記載の液晶表示装置の色再現域改善方法。
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