JP5507244B2 - 細胞培養容器及び細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養容器及び細胞培養方法に関する。
組織から単離した細胞を試験、検査に用いる手法は、バイオテクノロジー関連分野では欠かせない方法となっている。疾病、病態の診断、新薬の探索及び薬効の判定、あるいは動物検査、植物検査、環境汚染物質の試験などに幅広く用いられている。そのため、バイオテクノロジー分野で使用される細胞類は、極めて多様化してきている。
単離した細胞は、直ちに試験に用いられる場合もあるが、多くの場合、培養皿や試験管のなかで細胞培養が行われる。この培養細胞を用いて、種々の検査が行われる。細胞培養試験に用いられる細胞培養株には、生体内での試験いわゆるin vivo試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すことが要求される。すなわち、細胞培養容器の表面で規則性を有して配列された細胞間のネットワークを構築できることが必要とされる。ここで、細胞間のネットワークとは、細胞同士が結合し相互作用を行える状態を指し、細胞が集積し細胞塊を形成した形態や網目状に細胞が結合した形態のことをいう。また、細胞培養試験に用いられる細胞培養株は極めて高額であるため、細胞の生存率及び増殖速度の向上が望まれている。
上記細胞培養試験は、同一条件下、評価する薬物等の量、濃度などを変量し、その効果を測定するものである。そのため、細胞培養容器の材質、形状等も同一にする必要がある。この細胞培養容器としては、プラスチック製シャーレ、ガラス製シャーレ、容器内に固定されたガラスプレート、ウェルプレート等が一般的に用いられる。ウェルプレートには、6ウェル、12ウェル、48ウェル、96ウェルの各プレート又はシャーレがある。これらは、一般に、プレート全体の大きさはほぼ同じであり、ウェル数が大きくなるほど、1ウェルのサイズが小さくなる。この1ウェルが1培養皿に相当する。また、最近の微量化への流れから、さらに小口径で多数の培養皿からなる384ウェルプレートも使用され始めている。これらの培養皿の底面は平坦な平板状であり、この底面を培養面として用いている。
しかしながら、組織細胞の培養に、従来の細胞培養容器を用いると、細胞が薄く伸びて方向性のない形態となる。また、細胞培養容器の表面にランダムに配置されるため、細胞間のネットワークは、複雑に交錯して形成される。そのため、生体内での細胞機能を再現できないという問題があった。
上記問題を解決し、立体的に細胞を培養する方法として、数100μmオーダーの大きさの細胞培養チャンバーを利用し細胞を培養する方法(特許文献1参照)、細胞配置部と流路を備えたマイクロパターンを利用し細胞を培養する方法(特許文献2参照)などが開示されている。
特開2004−154027号公報 特開2006−191809号公報
特許文献1及び2ともに細胞を培養するための空間を区画化するための凸部が設けられているが、特許文献1では、凸部上面の幅が細胞の2〜3倍程度あるため、その上面へ細胞が接着してしまい、上記培養空間内において細胞間のネットワークが効率的に構築されない問題があった。他方、特許文献2では、凸部の幅は細胞よりも小さいものの、凸部の高さが低いために、細胞が乗り上げてしまい、上記培養空間内において細胞間のネットワークが効率的に構築されない問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、培養空間内において細胞間のネットワークを効率的に構築させることができる細胞培養容器及び細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明に係る細胞培養容器は、表面に複数のマイクロ容器を有する細胞培養容器であって、隣接する前記マイクロ容器同士を区画する凸部が形成されており、前記凸部の上面に細胞が接着しないようにしたことを特徴とするものである。凸部が多段階構造であって、各段階の上面に細胞が接着しないようにしてもよい。また、凸部の上面の短辺幅が0.5〜15μmであって、前記凸部の高さが前記短辺幅の3倍以上であるものであることが好ましく、前記凸部の高さが30〜300μmであることが好ましい。
また、前記マイクロ容器水平面を基準面とした前記側壁の高さ方向の上部50%以上において、水平面と該側壁の各側面がなす角度が80°〜90°であることが好ましい。
また、マイクロ容器の底面面積が6.25×10−4mm〜0.563mmであることが好ましい。そして、培養細胞が肝細胞である場合、底面の長径が短径の1〜1.5倍であることが好ましい。一方、細胞の遊走性を評価する場合、底面の長径が短径の1.5〜50倍であることが好ましい。
さらに、前記マイクロ容器が隣接するマイクロ容器の少なくとも1つと連通しており、そのための開口部の底面幅が1μm〜25μmであることが好ましい。
また、前記マイクロ容器が設けられた領域に表面処理が行われており、前記表面処理により形成される積層膜が2層以上であり、少なくとも1層が無機膜、少なくとも1層が有機膜であることが好ましい。さらに、その領域が透明であることが好ましい。
本発明に係る細胞培養方法は、上記の細胞培養容器において、細胞培養容器に設けられた前記マイクロ容に細胞を注入して、前記細胞を培養するものである。前記細胞が、肝細胞、脂肪細胞、骨芽細胞、歯髄細胞、軟骨細胞、幹細胞、神経細胞、心筋細胞のいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、培養空間内において細胞間のネットワークを効率的に構築させることができる細胞培養容器及び細胞培養方法を提供することができる。
実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す断面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す断面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す断面図である。 実施例1に係る細胞培養容器での培養細胞の光学顕微鏡像である。 実施例1に係る細胞培養容器での培養細胞の光学顕微鏡像である。 比較例1に係る細胞培養容器での培養細胞の光学顕微鏡像である。 比較例1に係る細胞培養容器での培養細胞の光学顕微鏡像である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す断面図である。 実施例2に係る細胞培養容器での培養細胞の光学顕微鏡像である。
符号の説明
10 細胞培養容器
11 マイクロ容器
12 側壁
121 第1の側壁
122 第2の側壁
13 開口部
本発明に係る細胞培養容器には凹凸パターンすなわち複数のマイクロ容器すなわち培養空間が形成されている。このマイクロ容器を仕切る側壁(凸部)の幅及び高さを最適化することで、マイクロ容器内のみで細胞を培養し、細胞間のネットワークを効率的に構築させることができる。
側壁により囲まれたマイクロ容器の寸法は、細胞を培養するために最適な範囲とする必要がある。マイクロ容器の底面面積が大きすぎると、平板上での培養と同様、細胞は薄く伸び、立体構造とならない。一方、マイクロ容器の底面面積が小さすぎると、細胞を収容できなくなる。従って、空間の寸法は、培養する細胞種に応じて、一又は複数個が収容できる範囲とすることが好ましい。細胞が複数個集積した細胞塊を形成させる場合、その細胞塊が収納できる範囲とすることが好ましい。
また、マイクロ容器の側壁も細胞を培養するために最適な範囲とする必要がある。側壁の幅が広すぎると、側壁の上面へ細胞が接着してしまい、培養に適さない。側壁の幅が狭すぎると、作製が困難となる。側壁の高さは低すぎると、細胞が側壁を乗り越えてしまい、培養に適さない。側壁の高さが高すぎると、作製が困難な上、物質拡散がしにくくなり培養環境が悪化してしまう。
さらに、側壁に開口部を設け、複数のマイクロ容器を連通した構造とするにより、細胞への酸素や栄養分の供給及び細胞からの老廃物の除去を効率良く行うことができる。なお、培養する細胞種に応じ、側壁の高さ、マイクロ容器寸法、開口部の幅を適宜設定することにより、多様な培養系に適用することもできる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
実施の形態
実施の形態に係る細胞培養容器の構成について図1、2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1に示すように、細胞培養容器10はマイクロ容器11、側壁12、開口部13を備える。細胞培養容器10の培養面には、複数の側壁12が網目状に形成されており、この側壁12に四方を囲われた空間がマイクロ容器11となる。また、矩形状の各マイクロ容器11の四辺に形成された側壁12の各辺の中央部に、開口部13が形成されている。
図1において、マイクロ容器11の底面の幅a、マイクロ容器11を区画するための側壁12の幅b、高さc、隣接するマイクロ容器11が互いに連通するための開口部13の幅dを示した。ここで、0.5μm≦b≦15μm、かつ、c/b≧3とする必要がある。側壁12の幅bが15μmを越えると、側壁の上面へ細胞が接着してしまい、培養に適さない。一方、側壁12の幅bが0.5μm未満では、作製が困難となる。側壁の高さは低すぎると、細胞が側壁を乗り越えてしまい、培養に適さない。側壁12の高さcが側壁12の幅bの2倍未満であると、マイクロ容器11で培養する細胞が乗り上げ隣接するマイクロ容器11へ移動してしまう。また、側壁12の高さcは、30μm〜300μmの範囲内にあるのが好ましい。具体的には、相当直径100μmの細胞塊を形成させる場合、側壁12の高さcは50μm〜150μmが好ましい。ここで、側壁の高さcが高すぎると、作製が困難な上、物質拡散がしにくくなり培養環境が悪化してしまう。側壁12は多段階形状であってもよい。
マイクロ容器11の底面形状は特に制限されるものではなく、正方形、円、多角形以外にも種々の形状を採用することができる。この底面面積は、6.25×10−4mm〜0.563mmが好ましい。具体的には、生体内での肝機能を再現する細胞培養には、この底面面積は0.01mm〜0.1mmが好ましい。この場合、底面の長径が短径の1〜1.5倍であることが好ましい。さらに、等方的形状が好ましく、正方形であれば、例えば、相当直径100μmの細胞塊を形成させる場合、一辺の長さが100μm〜300μmが好ましい。
また、生体内での神経ネットワークを再現するために神経細胞の配向を行う培養には、長方形や開口部を有するマイクロ容器を採用することができる。例えば、マイクロ容器短辺幅が20μmで、長辺の長さが100μm以上であること好ましい。すなわち,底面の長径が短径の5倍以上が好ましい。
生体内での細胞の機能を調べるために細胞の遊走性評価を行う場合には、長方形の形状を採用することができる。例えば、マイクロ容器短辺幅が15μmで、長辺の長さ22.5〜750μmが好ましい。すなわち、底面の長径が短径の1.5〜50倍が好ましい。
マイクロ容器11の水平面と側壁12とがなす角度は、細胞が乗り上げない角度でなければならないため、側面の上部から50%以上の部分は80〜90°が好ましく、特に、85°〜90°であることが好ましい。
隣接するマイクロ容器11を互いに連通するための開口部13の幅dは、培養細胞が最初に播種されたマイクロ容器11から隣接するマイクロ容器11に移動できない程度でが好ましい。例えば、培養細胞の相当直径が20μmであれば、5〜15μmであることが好ましい。また、図11、12に示す凹凸パターン形状のように、開口部13は、マイクロ容器11の中央ではなく、コーナー部分(矩形の角の部分)であってもよい。ここで、図11は、本実施の形態に係る他の細胞培養容器の構成を示す平面図であり、図12は図11のXI−XI断面図である。なお、開口部13は必須ではなく、図3及び図4に示すように、マイクロ容器11の四辺が側壁12により完全に囲まれていてもよい。ここで、図3は、本実施の形態に係る他の細胞培養容器の構成を示す平面図であり、図4は図3のIV−IV断面図である。
また、図5及び図6に示すように、円形状のマイクロ容器11が第1の側壁121により完全に囲まれ、さらに第1の側壁121上に第2の側壁122が形成されていてもよい。すなわち、第1の側壁121及び第2の側壁122から多段階の側壁(凸部)12が形成されている。ここで、図5は、本実施の形態に係る他の細胞培養容器の構成を示す平面図であり、図6は図5のVI−VI断面図である。
本発明の細胞培養容器上の凹凸パターンを作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、モールドを用いた転写成形、3次元光造形、精密機械切削、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、放電加工等の方法が挙げられる。細胞培養容器の用途、要求される加工精度、コスト等を考慮してこれらの製造方法を適宜選択することが好ましい。
モールドを用いて転写成形方法の具体例としては、金属構造体を型として樹脂成形で凹凸パターンを形成する方法が挙げられる。この方法は金属構造体の形状を高い転写率で樹脂へ凹凸パターンに再現することが可能であり、また汎用の樹脂材料を使用することにより材料コストを低くできるので好ましい。このような金属構造体の型を用いる方法は、低コストであり、高い寸法精度を満足できる点で優れている。
上記金属構造体の製造方法としては、例えば、フォトリソグラフィによって作製されたレジストパターンや3次元光造形によって作製された樹脂パターンへのメッキ処理、精密機械切削、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、放電加工等が挙げられる。用途、要求される加工精度、コスト等を考慮して適宜選択すればよい。
上記で得られた金属構造体を型として用いて樹脂へ凹凸パターンを成形する方法としては、例えば、射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホットエンボス成形、押出成形によるロール転写等の方法を挙げることができる。生産性及び型転写性の観点から射出成形を採用することが好ましい。
本発明の細胞培養容器を構成する材料としては、自己支持性を有するものであれば特に制限されず、例えば、合成樹脂、シリコン、ガラス等が挙げられる。コスト面や顕微鏡観察による細胞視認性の観点から、透明な合成樹脂を材料とすることが好ましい。透明な合成樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、シクロオレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のエステル系樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。このような樹脂には、透明性を損なわない範囲で着色剤、拡散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の細胞培養容器は、容器表面の親水性、生体適合性、細胞親和性等を向上させることを目的として、凹凸パターン表面側に表面処理を行い、改質層及び/又はコーティング層が配されていてもよい。上記改質層を設ける方法としては、自己支持性を失う方法や10μm以上の極端な表面荒れを起こす方法でなければ特に制限はないが、例えば、薬品処理、溶剤処理、表面グラフト重合によるグラフトポリマーの導入等の化学的処理、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理等の物理的処理等の方法が挙げられる。またコーティング層を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、スパッタ、蒸着等のドライコーティング、無機材料コーティング、ポリマーコーティング等のウェットコーティング等の方法が挙げられる。凹凸パターン上には、気泡の混入することなく培養液を注入するために親水性を付与することが望ましく、均一な親水性膜を形成させる方法として、無機蒸着が好ましい。
また、細胞親和性を考慮した場合には、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン等の細胞親和性タンパク質をコーティングすることがより好ましい。コラーゲン水溶液等を均一にコートするために、上述の親水性膜を形成させた後、コートすることが好ましい。通常、細胞培養においては、生体内環境を模倣して細胞外マトリックス表面での培養が望ましいため、上記のように均一な親水性無機膜を配した後に、培養細胞に適した細胞外マトリックスからなる有機膜を配することが特に好ましい。
本発明の細胞培養方法は、細胞を培養するマイクロ容器のみに細胞を配置させ、その空間内で生体内に類似した形態や機能を発現させるため、適切な細胞数を播種する必要があり、細胞播種密度1.0×10〜1.0×10細胞/cmが好ましい。例えば、マイクロ容器が正方形で、1辺が200μmの場合、5.0×10〜5.0×10細胞/cmが好ましい。このような条件のもと、直径が30〜200μmに及ぶ細胞塊を得ることができる。
次に本発明に係る細胞培養容器の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<肝細胞の調製>
培養に用いる初代ラット肝細胞は以下のように調製した。6週齢のウィスター系ラットの門脈にサーフロー留置針を挿入し、EDTA含有溶液を流して脱血液を行った後、コラゲナーゼ溶液を灌流した。その後、コラゲナーゼ溶液で処理された肝臓を培養液へ入れ、メスピペットによるピペッティングで細胞を分散させた。細胞懸濁液を3回洗浄し、細胞以外の細胞を除去し、単離した細胞を培養に用いた。
<培養方法>
培養に用いる培養液は以下のように調製した。
DMEM/F12培地に10% ウシ胎児血清、1μg/ml インシュリン、1×10−7M デキサメタゾン、10mM ニコチンアミド、2mM L−グルタミン、50μm β−メルカプトエタノール、5mM HEPES、59μg/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、25ng/ml HGF、20ng/ml EGFを添加した。
凹凸パターン基材上に、1.0×10細胞/cmの濃度で肝細胞を播種し、5%CO、37℃で所定時間培養した。また、同組成の新鮮培地0.5mLを用い、1日から2日毎に培地交換を行った。
[実施例1]
図3に示す凹凸パターン形状であって、a=100um、b=10um、c=50umのパターンをフォトリソグラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応する凹凸形状を有する金型を得た。その金型を用い、ホットエンボス成形によりポリスチレン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ真空蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成させ、γ線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上で肝細胞を培養した。
[比較例1]
図3に示す凹凸パターン形状であって、a=100um、b=20um、c=50umのパターンをフォトリソグラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応する凹凸形状を有する金型を得た。その金型を用い、ホットエンボス成形によりポリスチレン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ真空蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成させ、γ線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上で肝細胞を培養した。
実施例1の条件で細胞播種し、4時間培養後の、光学顕微鏡写真を図7に、4日培養後の、光学顕微鏡写真を図8に示す。培養空間を区画する凸部上面には細胞は付着せず、本来の培養空間である凹部のみで培養ができている。このため、培養空間内において細胞間のネットワークを構築させることができ、生体に近い機能を発現することができた。
比較例1の条件で細胞播種し、4時間培養後の、光学顕微鏡写真を図9に、4日培養後の、光学顕微鏡写真を図10に示す。培養空間を区画する凸部上面にも細胞が付着し、培養されている。また、隣接する培養空間との明確な区画もできず、培養空間内のみで細胞を培養することができなかった。このため、培養空間内において細胞間のネットワークを構築させることができず、生体に近い機能を発現することができなかった。
[実施例2]
図11、12に示す凹凸パターン形状であって、a=80um、b=15um、c=50umのパターンをフォトリソグラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応する凹凸形状を有する金型を得た。その金型を用い、ホットエンボス成形によりポリスチレン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ真空蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成させ、γ線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上で肝細胞を培養した。
実施例2の条件で細胞播種し、4時間培養後の、光学顕微鏡写真を図13に示す。培養空間を区画する凸部上面には細胞は付着せず、本来の培養空間である凹部のみで培養ができている。このため、培養空間内において細胞間のネットワークを構築させることができ、生体に近い機能を発現することができた。

Claims (13)

  1. 表面に複数のマイクロ容器を有する細胞培養容器であって、
    隣接する前記マイクロ容器同士を区画する凸部が形成されており、
    細胞が前記マイクロ容器に播種されたときに前記凸部の上面に前記細胞が接着しないように、前記凸部の上面の短辺幅が0.5〜15μmであって、前記凸部の高さが前記短辺幅の3倍より大きく、
    前記凸部の高さが30〜300μmであることを特徴とする細胞培養容器。
  2. 前記凸部は多段階構造であり、各段階の上面に細胞が接着しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 前記細胞が肝細胞であることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記マイクロ容器の底面を基準面とした前記凸部の高さ方向の上部50%以上において、前記底面と前記凸部各側面のなす角度が80°〜90°であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  5. 前記マイクロ容器の底面面積が6.25×10−4mm〜0.563mmであることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  6. 前記マイクロ容器の底面の長径が短径の1〜1.5倍であることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  7. 前記マイクロ容器の底面の長径が短径の1.5〜50倍であり、細胞の遊走性を評価することを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  8. 前記マイクロ容器が隣接するマイクロ容器の少なくとも1つと連通していることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  9. 前記マイクロ容器が隣接するマイクロ容器の少なくとも1つと連通するための開口部の幅が1〜25μmであることを特徴とする請求項に記載の細胞培養容器。
  10. 前記マイクロ容器が設けられた領域に表面処理が行われていることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  11. 前記表面処理により形成される積層膜が2層以上であり、すくなくとも1層が無機膜であり、少なくとも1層が有機膜であることを特徴とする請求項10に記載の細胞培養容器。
  12. 前記マイクロ容器が設けられた領域が透明であることを特徴とする請求項1〜11いずれか一項に記載の細胞培養容器。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の細胞培養容器に設けられた前記マイクロ容器に細胞を注入して、前記細胞を培養する細胞培養方法。
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