JP4238972B2 - 細胞培養チャンバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は組織工学分野等において応用上有用な細胞培養チャンバーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、組織工学分野においては、細胞を、長時間活性を保ちながら連続的に培養することができる細胞培養チャンバーの研究が行われている。このような細胞培養チャンバーは、バイオリアクターとして、医療分野や薬学分野において、薬剤スクリーニング、動物実験の代替実験などへの利用が期待されているほか、近い将来、ハイブリッド型人工臓器の構築にも有用であると考えられている。
【0003】
細胞培養チャンバーをバイオリアクター、特に人工臓器等として利用するためには、高密度に多量の細胞を培養できることが必要である。
従来、細胞培養には、ペトリ皿などの培養容器が用いられている。このような培養容器の平滑な表面に細胞を付着させ、そこに栄養成分や酸素を含んだ培養液を供給することにより栄養成分及び酸素の供給が行われ、培養細胞から排出された老廃物を含む培養液を回収することにより老廃物の除去が行われる。
しかしながら、ペトリ皿のような細胞培養チャンバーの場合、表面が平坦であるため、表面に付着できる細胞の量に限度があり、多量の細胞を高密度に培養することは困難であった。
【0004】
これに対し、多量の細胞を高密度に培養するために、表面に凹凸を設けるなどして培養面積の広い細胞培養チャンバーを作成することが提案されている。
しかしながら、このような細胞培養チャンバーを、例えば人工臓器として移植等に利用することは困難であった。これは、上述のような細胞培養チャンバーは、表面に凹凸を設けた構造とするために、ポリジメチルシロキサン(以下、PDMSという)等の外来性の生分解性でない材料を用いる必要があるためである。外来性の材料を用いた人工臓器は、患者の負担が大きいため好ましくない。また、生分解性でない材料を用いた人工臓器は、患者の生体内に埋め込んだ後、再度取り出す必要があり、外来性の材料を用いた場合と同様、患者にかかる負担が大きい。
【0005】
これに対し、生分解性材料を用いた、単純な構造(シート状、塊状など)の細胞培養チャンバーも提案されている。
しかしながら、従来の技術では、生分解性材料の表面に微細な三次元構造を形成することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、多量の細胞を高密度で培養することができ、人工臓器等に応用可能な細胞培養チャンバーを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、生分解性材料の表面及び/又は内部に微細な三次元構造を形成することができ、そのような微細な三次元構造が設けられた細胞培養チャンバーは、多量の細胞を高密度で培養するのに適していることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決する本発明の細胞培養チャンバーは、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーであって、
表面に三次元構造が形成されたモールド上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより得られることを特徴とする。
別の態様の本発明の細胞培養チャンバーは、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーであって、
基板上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、該未重合の生分解性ポリマー層に、表面に三次元構造が形成されたモールドを積層し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより得られることを特徴とする。
前記生分解性ポリマーは、特に、モノマーとして、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有するポリマーが好ましい。
さらに、前記細胞固着部に培養液を灌流させるための流路が設けられていることが好ましい。
本発明の細胞培養チャンバーの製造方法は、表面に三次元構造が形成されたモールド上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーを得ることを特徴とする。
別の態様の本発明の細胞培養チャンバーの製造方法は、基板上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、該未重合の生分解性ポリマー層に、表面に三次元構造が形成されたモールドを積層し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーを得ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
本発明の細胞培養チャンバーは、生分解性ポリマーからなる支持体の表面及び/又は内部に、微細な三次元構造の細胞固着部が形成されているものである。
図1は、本発明の第1実施形態における細胞培養チャンバーの細胞固着部を示す図である。本実施形態において、細胞培養チャンバーの表面には、略正方形(約700μm×700μm)の四隅の部分に小さな略正方形(約100μm×100μm)の切り欠きのある突起が複数、規則的に配置されている。
図2は、本発明の第2実施形態における細胞培養チャンバーの細胞固着部を示す図である。本実施形態において、細胞培養チャンバーの表面には、比較的幅の大きい(約700μm程度)溝と、その溝から枝状に分岐した2本の溝(幅約100μm)が形成されている。
図3は、本発明の第3実施形態における細胞培養チャンバーの細胞固着部を示す図である。本実施形態において、細胞培養チャンバーの表面には、略正方形(約700μm×700μm)の四隅の部分に小さな略正方形(約100μm×100μm)の切り欠きのある溝が複数、規則的に配置されている。
図4は、本発明の第4実施形態における細胞培養チャンバーの細胞固着部を示す図である。本実施形態において、細胞培養チャンバーの表面には、約1mm×1mmの格子状の枠の内側に、その深さが3段階で深くなっていっている複雑な形状の溝が複数形成されている。
図5は、本発明の第5実施形態における細胞培養チャンバーの細胞固着部を示す図である。本実施形態において、細胞培養チャンバーの表面には、比較的大きな略正方形(約1mm×1mm)の溝が均等に配置された部分と、図4に示したのと同様の複雑な形状の溝が配置された部分が形成されている。
【0009】
本発明の細胞培養チャンバーは、細胞固着部としてこれらの突起や溝が形成されていることにより細胞固着部の表面積が増大し、多量の細胞が固着できるようになっている。
【0010】
支持体に使用される生分解性ポリマーは、培養する細胞に対して適合性を有するものであれば、既知の任意の生分解性ポリマーが利用可能であるが、好ましくは紫外線(UV)硬化型又は熱硬化型、特に好ましくは紫外線硬化型のものが用いられる。
熱硬化型の生分解性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリ−(グリコール酸(GA)−DL−酪酸(LA))(以下、pGALAという)が挙げられる。pGALAには、任意の配合比率でco−カプロラクトン(CL)が配合されていて良く、CLの配合比率が高いほど柔らかい材料となる。また、ポリ(LA−CL)(モル比:86/14〜60/40)も使用可能である。
UV硬化型の生分解性ポリマーとしては、具体的には、イニシエーターとしてペンタエリスリトールを用いたLAの開環反応と、4つのCL−LA鎖の末端へのアクリロイル基の付加とによって合成される、ポリ−(CL−LA)テトラアクリレート(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を高分子量の光架橋性モノマーとして含有するポリマーが挙げられる。このタイプの光架橋性モノマーから得られるポリマーとしては、特に、分子量が約10000、CL:LA(モル比)がおよそ50:50のものが好適に用いられる。また、このようなUV硬化型の生分解性モノマーとしては、日本化薬社からKayarad DCPA-60、Kayarad DCPA-120等が市販されている。このようなカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを重合させて得られるポリマーは、UV照射により素早く硬化すること、透明であるため培養時に細胞の形態を観察しやすいこと等の利点を有する。
【0011】
本発明の細胞培養チャンバーを用いて培養可能な細胞は、その活性の維持に酸素を必要とする細胞であれば特に制限はなく、動物、特にヒト由来の肝細胞や繊維芽細胞など、応用上、非常に有用な細胞についても、長時間、その活性を維持しながら培養することができる。
また、細胞を固着させる前に予め、細胞固着部の表面をI型コラーゲン等でプレコーティングしておくと、細胞がより強固に固着するので好ましい。
【0012】
本発明の細胞培養チャンバーは、静置培養にも、灌流培養にも用いることができる。特に、灌流培養は、細胞固着部に栄養成分や酸素を含んだ培養液を灌流させることにより栄養成分及び酸素の供給と老廃物の除去を同時に行うことができるので好ましい。
培養液は、培養液中に排出された老廃物や細胞の分泌物(例えばHep G2細胞培養時のアルブミン)を除去するために、少なくとも3〜4日毎に交換することが好ましい。
【0013】
本発明の細胞培養チャンバーを用いて灌流培養を行う場合、特に、図4や図5に示すような複雑な3次元構造が細胞固着部として設けられている場合には、従来に比べて細胞固着が促進される。これは、3次元構造であることによって、溝の中で流速が遅くなる部分が生じるためと考えられる。
灌流培養に用いる場合は、細胞固着部に培養液を灌流させるための流路を設けることが好ましい。流路を設けることにより、細胞固着部全体に培養液を灌流させることができ、培養液中の栄養成分や酸素の供給や、培養液を介した老廃物の回収除去が偏りなく行われる。
灌流培養時の培養液の灌流速度は、流路構造部に固着した細胞が剥がれない程度より遅ければ特に制限はなく、培養する細胞によって適宜設定すればよいが、5〜30μL/minとすることが好ましい。流速がこの範囲内にあると、流れによって生じる剪断応力によって細胞の固着や流路構造部への分布が妨げられず、また、死んだ細胞を除去することもできる。
【0014】
上記細胞培養チャンバーは、組織工学分野等において応用上有用な肝細胞や繊維芽細胞等の細胞について、多量かつ高密度に培養し、臓器類の応答を再現可能なレベルの細胞数を達成できすることができるので、バイオリアクターとして、動物実験の代替、薬剤スクリーニング等に利用することができる。特に、生分解性を有するので、ハイブリッド型人工臓器等に用いた場合、移植後に再度取り出す必要がなく、有用であると考えられる。
【0015】
本発明の細胞培養チャンバーは、下記(1)〜(4)のようなフォトリソグラフィー技術を用いたプロセスにより作成することができる。
【0016】
[(1)モールディングプロセス]
この方法は、以下の工程を含有する。
(1a)基板上にフォトレジスト層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光・現像を行って該基板上にパターンを転写して、微細な三次元構造のモールドを作成する工程。
(1b)任意に、得られたパターンをマスクにしてイオンエッチングを行い、モールドの表面をコーティングする工程。この工程を設けることにより、モールドから、その上に形成される生分解性の支持体を剥離しやすくなる。
(1c)モールド上に、未重合の生分解性ポリマーを堆積して生分解性ポリマー層を形成し、重合させて生分解性の支持体を得る工程。
(1d)得られた支持体を剥離して、表面に微細な三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを得る工程。
【0017】
より具体的には、例えば図6に示すように
i)まず、ガラスウェーハ61を用意し、
ii)該ウェーハ61上に、スピンコーティングによりSU−8製の膜(以下、SU−8膜という)62を形成する。次いで、
iii)所定のマスクパターン(すなわち三次元構造のパターン)63を介して露光・現像を行い、ウェーハ61上にパターン64を転写して、三次元構造のモールド65を作成する。
iv)得られたパターン64をマスクにして、イオンエッチング処理を行うことにより、ポリテトラフルオロエチレン等のフルオロカーボンポリマーの膜を形成し、表面をコーティングする。
v)得られたモールド65上に、未重合のUV硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを塗布して生分解性ポリマー層66を形成し、UV照射又は加熱により重合させる。
vi)生分解性ポリマー層66を剥離し、表面に三次元構造のパターンが形成された支持体67を得る。得られた支持体67は、そのまま細胞培養チャンバーとして用いてもよいし、また、
vii)三次元構造が内側になるようにして別の生分解性シート68上に積層し、内部に細胞固着部を有する細胞培養チャンバー69としてもよい。このとき、別の生分解性シート68の表面は、平坦であってもよく、また、上記と同様の方法によって三次元構造が設けられていてもよい。このように、表面に三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを、その三次元構造が内側になるようにして基板や別の細胞培養チャンバー上に積層することにより、内部に三次元構造を有する細胞培養チャンバーが得られる。
【0018】
[(2)直接フォトリソグラフィープロセス]
このプロセスは、以下の工程を含有する。
(2a)基板上に、UV照射により可溶化する未重合の生分解性ポリマーを堆積し、重合させて、生分解性ポリマー層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光・現像を行って該基板上にパターンを転写することによって、表面に微細な三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを得る工程。
【0019】
より具体的には、例えば図7に示すように
i)まず、ガラスウェーハ71を用意し、
ii)該ウェーハ71上に、スピンコーティングにより、未重合のUV硬化型の生分解性ポリマー層72を形成する。次いで、
iii)所定のマスクパターン(すなわち三次元構造のパターン)73を介して、UV(例えば250Wの光(波長ピーク:345nm、345nm))で露光し、現像して、ウェーハ71上にパターン74を転写する。このようにして、表面に三次元構造のパターンが形成された細胞培養チャンバー75が得られる。このプロセスでは、非常に素早く簡単に、細胞培養チャンバーを得ることができる。
【0020】
[(3)スタンピングプロセス]
このプロセスは、以下の工程を含有する。
(3a)基板上に、未重合の生分解性ポリマーを堆積する工程。
(3b)三次元構造のモールドを、前記未重合の生分解性ポリマーの層に積層し、型押し(スタンピング)する工程。
(3c)前記生分解性ポリマーを硬化させ、表面に微細な三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを得る工程。
【0021】
このプロセスは、生分解性ポリマーとして熱硬化型のものを用いる場合、例えば図8に示すようにして行うことができる。
i)まず、ガラスウェーハ81上に、未重合の熱硬化型の生分解性ポリマー(PLGAなど)を塗布して生分解性ポリマー層82を形成する。
ii)耐熱性の材料(例えばPDMS)を用いて作成した三次元構造のモールド83を未重合の生分解性ポリマー層82に積層し、そのまま加熱して生分解性ポリマーを重合させる。
iii)モールド83を剥離し、表面に三次元構造を有する細胞培養チャンバー84を得る。
【0022】
また、生分解性ポリマーとしてUV硬化型のものを用いてスタンピングプロセスを行う場合、例えば、モールドの材料としてUV透過性の材料(例えばPDMS)を用いることにより、図9に示すようにして細胞培養チャンバーを製造することができる。
i)まず、ガラスウェーハ91上に、未重合のUV硬化型の生分解性ポリマーを塗布して生分解性ポリマー層92を形成する。
ii)PDMSを用いて作成した三次元構造のモールド93を、未重合の生分解性ポリマー層92に積層する。
iii)積層したモールド93の上方から、モールド93を介してUVを照射して、生分解性ポリマーを硬化させる。
iv)モールド93を剥離し、表面に三次元構造を有する細胞培養チャンバー94を得る。
【0023】
本発明においては、UV硬化型の生分解性ポリマーが好ましく用いられる。これは、上述の熱硬化型のポリマーを用いた場合、支持体が熱により反ったり変形するなどの問題があり、また、硬化と硬化後の冷却にも多くの時間が必要なため生産性が劣るという問題が生じやすいが、UV硬化型のポリマーを用いれば、このような問題は見られないためである。
【0024】
[(4)プラズマエッチングプロセス]
この方法は、以下の工程(4a)〜(4c)を含有する。
(4a)基板上にフォトレジスト層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光・現像を行って該基板上にパターンを転写して、微細な三次元構造のモールドを作成するモールド作成工程。
(4b)任意に、得られたパターンをマスクにしてプラズマエッチングを行い、モールドの表面をコーティングする工程。この工程を設けることにより、モールドから、その上に形成される生分解性の支持体を剥離しやすくなる。
(4c)モールド上に、未重合の生分解性ポリマーを堆積して生分解性ポリマー層を形成し、重合させて生分解性の支持体を得る工程。
(4d)得られた支持体を剥離して、表面に微細な三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを得る工程。
【0025】
より具体的には、例えば図6に示すように
i)まず、ガラスウェーハ61を用意し、
ii)該ウェーハ61上に、スピンコーティングによりSU−8膜62を形成する。次いで、
iii)所定のマスクパターン(すなわち三次元構造のパターン)63を介して露光・現像を行い、ウェーハ61上にパターン64を転写して、三次元構造のモールド65を作成する。
iv)得られたパターン64をマスクにして、プラズマエッチング処理を行うことにより、ポリテトラフルオロエチレン等のフルオロカーボンポリマーの膜を形成し、表面をコーティングする。
v)得られたモールド65上に、未重合のUV硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを塗布して生分解性ポリマー層66を形成し、UV照射又は加熱により重合させる。
vi)生分解性ポリマー層66を剥離し、表面に三次元構造のパターンが形成された支持体67を得る。
vii)得られた支持体67を三次元構造が内側になるようにして別の生分解性シート68上に積層し、内部に細胞固着部を有する細胞培養チャンバー69とする。
【0026】
本発明の細胞培養チャンバーは、上述のような簡単な製造方法により得ることができ、設計上の自由度が大きく、様々なデザインの三次元構造に対応可能である。
【0027】
【実施例】
<細胞培養チャンバーの製造>
下記製造例では、生分解性ポリマーとして、以下の化合物を用いた。
・ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(以下、PLGAという)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのヘキサアクリレート(商品名:Kayarad DCPA-60)を重合させて得られるポリマー(以下、pCLLAという)pCLLAは、UV照射により素早く硬化する、透明であるため培養時に細胞の形態を観察しやすい等の利点を有する生分解性ポリマーである。
【0028】
製造例1
図1に示すデザインの細胞培養部を有する細胞培養チャンバーを、上述したモールディングプロセスを用いて、以下のようにして製造した。
まず、ガラスウェーハを用意し、該ウェーハ上に、スピンコーティングによりSU−8膜を形成した。次いで、図1に示すデザインのマスクパターンを介して露光・現像を行い、ウェーハ上にパターンを転写して、図10に示すような三次元構造のモールドを作成した。次いで、イオンエッチング処理を行うことにより、ポリテトラフルオロエチレン膜を形成し、表面をコーティングした。得られたモールド上に、未重合のpCLLAを塗布して生分解性ポリマー層を形成し、UV照射により重合させた。硬化後、生分解性ポリマー層を剥離し、表面に三次元構造のパターンが形成された細胞培養チャンバーを得た。
【0029】
また、比較例として、pCLLAの代わりにPDMSを用いた以外は同様の方法で細胞培養チャンバーを作成し、その細胞固着部の形状を製造例1と比較した。その結果、製造例1の細胞固着部の形状は、PDMS製のもの(図11参照)と比べてなんら遜色のない良好な形状であった。
【0030】
製造例2(参考例)
図2に示すデザインの細胞培養部を有する細胞培養チャンバーを、上述した直接フォトリソグラフィープロセスを用いて、以下のようにして製造した。
まず、ガラスウェーハを用意し、該ウェーハ上に、スピンコーティングにより、未重合のpCLLAを塗布し、pCLLA層を形成した。次いで、図2に示すデザインの三次元構造のマスクパターンを介して、250Wの光(波長ピーク:345nm、345nm)で露光し、現像して、ウェーハ上にパターンを転写した。このようにして、表面に三次元構造が形成された細胞培養チャンバーを得た。形成された三次元構造は、微細な部分まではっきりと形成されていた。
【0031】
製造例3
モールドとして、製造例1で製造した細胞培養チャンバーをモールドとして用いてPDMS製のモールドを作成し、このPDMS製のモールドを用いて上述したスタンピングプロセスにより細胞培養チャンバーを製造した。
まず、ガラスウェーハ上に、未重合のPLGAを塗布してPLGA層を形成した。PDMS製のモールドを、未重合のPLGA層に積層した。積層したモールドの上方から、モールドを介してUVを照射して、PLGAを硬化させた。モールドを剥離し、表面に三次元構造を有する細胞培養チャンバーを得た。形成された三次元構造は、図3に示すように、微細な部分まではっきりと形成されていた。
【0032】
また、同様の方法によりず図2に示すような溝を有する細胞培養チャンバーを、作成し、これを、三次元構造を内側にしてガラス基板上に積層し、その間の空間にインクを流したところ、その溝以外の部分へのインクの漏れはほとんど確認されなかった。このことは、得られた細胞培養チャンバーに反りや変形がほとんどなかったことを示している。
【0033】
製造例4
まず、ガラスウェーハを用意し、該ウェーハ上に、スピンコーティングによりSU−8膜を形成した。次いで、マスクパターンを介しての露光・現像とパターンの転写を3回繰り返すことにより、図4に示すような三次元構造のモールドを作成した。次いで、イオンエッチング処理を行うことにより、ポリテトラフルオロエチレン膜を形成し、表面をコーティングした。得られたモールド上に、未重合のPDMSを塗布、硬化させて、図12に示すようなモールドを作成した。このPDMS製のモールドを用いて上述したスタンピングプロセスにより、PLGA製の細胞培養チャンバーを製造した。
【0034】
【発明の効果】
本発明の細胞培養チャンバーは、生分解性材料で、微細な三次元構造の細胞固着部が形成されているので、多量の細胞を高密度で細胞することが可能である。そのため、外来性の材料を含まない人工臓器の製造に応用することが可能であり、そのような人工臓器は、生体内に埋め込む、埋め込まないにかかわらず、患者への負担の小さいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の細胞培養チャンバーの第一実施形態を示す図である。
【図2】 本発明の細胞培養チャンバーの第二実施形態を示す図である。
【図3】 本発明の細胞培養チャンバー第三実施形態を示す図である。
【図4】 本発明の細胞培養チャンバー第四実施形態を示す図である。
【図5】 本発明の細胞培養チャンバー第五実施形態を示す図である。
【図6】 本発明の細胞培養チャンバーの製造プロセスの一例を示す図である。
【図7】 本発明の細胞培養チャンバーの製造プロセスの一例を示す図である。
【図8】 本発明の細胞培養チャンバーの製造プロセスの一例を示す図である。
【図9】 本発明の細胞培養チャンバーの製造プロセスの一例を示す図である。
【図10】 図3に示した細胞培養チャンバーの製造に用いられるSU−8製モールドのSEM図である。
【図11】 図10に示したモールドを用いて得られるPDMS製モールドのSEM図である。
【図12】 図4に示した細胞培養チャンバーの製造に用いられるPDMS製モールドのSEM図である。
【符号の説明】
61…ガラスウェーハ、62…SU−8膜、63…マスクパターン、64…パターン、65…モールド、66…生分解性ポリマー層、67…支持体、68…生分解性シート、69…細胞培養チャンバー、71…ガラスウェーハ、72…生分解性ポリマー層、73…マスクパターン、74…パターン、75…細胞培養チャンバー、81…ガラスウェーハ、82…生分解性ポリマー層、83…モールド、84…細胞培養チャンバー、91…ガラスウェーハ、92…生分解性ポリマー層、93…モールド、94…細胞培養チャンバー

Claims (6)

  1. 生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーであって、
    表面に三次元構造が形成されたモールド上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより得られることを特徴とする細胞培養チャンバー。
  2. 生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーであって、
    基板上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、該未重合の生分解性ポリマー層に、表面に三次元構造が形成されたモールドを積層し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより得られることを特徴とする細胞培養チャンバー。
  3. 前記生分解性ポリマーが、モノマーとして、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有するポリマーである請求項1又は2記載の細胞培養チャンバー。
  4. 前記細胞固着部に培養液を灌流させるための流路が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養チャンバー。
  5. 表面に三次元構造が形成されたモールド上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーを得ることを特徴とする細胞培養チャンバーの製造方法。
  6. 基板上に、未重合の紫外線硬化型又は熱硬化型の生分解性ポリマーを堆積することにより未重合の生分解性ポリマー層を形成し、該未重合の生分解性ポリマー層に、表面に三次元構造が形成されたモールドを積層し、紫外線照射又は加熱により重合させた後、該生分解性ポリマー層を前記モールドから剥離することにより、生分解性ポリマーからなる支持体の表面に三次元構造の細胞固着部が形成されている細胞培養チャンバーを得ることを特徴とする細胞培養チャンバーの製造方法。
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