JP4806576B2 - 細胞培養容器、その製造方法および細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養容器、その製造方法および細胞培養方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞培養容器、その製造方法および細胞培養方法に関する。
組織から単離した細胞を試験、検査に用いる手法は、バイオテクノロジー関連分野では欠かせない方法となっている。疾病、病態の診断、新薬の探索および薬効の判定、あるいは動物検査、植物検査、環境汚染物質の試験などに幅広く用いられている。そのため、バイオテクノロジー分野で使用される細胞類は、極めて多様化してきている。
単離した細胞は、直ちに試験に用いられる場合もあるが、多くの場合、培養皿や試験管のなかで細胞培養が行われる。この培養細胞を用いて、種々の検査が行われる。細胞培養試験に用いられる細胞培養株には、生体内での試験いわゆるin vivo試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すことが要求される。また、細胞培養試験に用いられる細胞培養株は極めて高額であるため、細胞の生存率および増殖速度の向上が望まれている。
上記細胞培養試験は、同一条件下、評価する薬物等の量、濃度などを変量し、その効果を測定するものである。そのため、細胞培養容器の材質、形状等も同一にする必要がある。この細胞培養容器としては、プラスチック製シャーレ、ガラス製シャーレ、容器内に固定されたガラスプレート、ウェルプレート等が一般的に用いられる。ウェルプレートには、6ウェル、12ウェル、48ウェル、96ウェルの各プレートまたはシャーレがある。これらは、一般に、プレート全体の大きさはほぼ同じであり、ウェル数が大きくなるほど、1ウェルのサイズが小さくなる。この1ウェルが1培養皿に相当する。また、特許文献1に示されるように、最近の微量化への流れから、さらに小口径で多数の培養皿からなる384ウェルプレートも使用され始めている。
特開平11−169166号公報
しかしながら、組織細胞の培養に、従来の細胞培養容器を用いると、細胞が薄く伸びて方向性のない形態となり、生体内での細胞機能を再現できないという問題点があった。これは、ウェルサイズが小口径したとはいえ、数μmから数10μmのサイズである細胞にとっては、平板上での培養と変わらないためと考えられる。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、細胞の培養密度を高め、生体内での細胞機能を再現することができる細胞培養容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる細胞培養容器は、細胞が培養される面に、幅または直径5μm〜1000μm、深さ5μm〜1000μmの複数のマイクロ容器を備え、3cells/1000μm〜20cells/1000μmの培養密度を達成しうるものである。
本発明にかかる細胞培養方法は、細胞が培養される面に、幅または直径5μm〜1000μm、深さ5μm〜1000μmの複数のマイクロ容器を備えた細胞培養容器を用い、3cells/1000μm〜20cells/1000μmの培養密度を達成しうるものである。
本発明にかかる細胞培養容器の製造方法は、基板上にパターンを形成するステップと、前記基板上に形成されたパターンまたはその転写パターンにしたがって金属を付着させ、金属構造体を形成するステップと、前記金属構造体のパターンを転写して細胞培養容器を形成するステップとを備えたものである。
本発明によれば、細胞の培養密度を高め、生体内での細胞機能を再現することができる細胞培養容器およびその製造方法を提供することができる。
本発明者らは、鋭意研究した結果、プレート、シャーレ等の細胞培養容器において、細胞が培養される面に所望の寸法のマイクロ容器を形成することにより、細胞の培養密度を高め、生体内での細胞機能を再現するのに最適な細胞培養容器を提供できることを見出した。以下に、本発明の実施の形態について説明する。
通常、in vivo試験は、ラット等の実験動物を用い、薬剤等に対する毒性判定を行っている。実験動物を用いた試験は、試験結果の信頼性が高いが、実験動物を用いることによるコストおよび倫理的な問題が指摘されている。このため、細胞培養容器を用いたin vitro試験において、in vivo試験結果を再現できるような細胞培養形態が望まれている。
平板上での培養と比較し、マイクロ容器を有する細胞培養容器で培養することにより、細胞が薄く伸びて方向性のない形態となることが防止できる。マイクロ容器内に配置された細胞は、その中で立体的に増殖し、容器の深さが深ければ、多層化した状態となる。また、平板上での培養と比較し、増殖速度も速くなる。
実施の形態
実施の形態にかかる細胞培養容器の構成について図1(a)および図1(b)を用いて説明する。図1(a)は、実施の形態にかかる細胞培養容器の構成を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A'断面図である。
細胞培養容器には、図1(a)に示すように、複数のマイクロ容器を構成する凹凸パターンが形成されている。凹凸パターンは、図1(b)に示すように、2段の階段状に形成されている。すなわち、細胞培養容器の細胞を培養する面に、格子状に形成された第1の凸部2と、その上に形成された直方体状の第2の凸部3からなる2段の凸部4が形成されている。この2段の凸部4により形成される空間がマイクロ容器1である。すなわち、マイクロ容器1は、第1の凸部2により完全に囲まれた凹部と第2の凸部3により形成される凹部とからなる。第1の凸部2の側壁5および第2の凸部3の側壁6は底面に対して略垂直に形成されている。
第1の凸部2は、図1(a)に示すように矩形状のマイクロ容器1の四辺を囲むよう格子状に配置されている。第2の凸部3は、隣接するマイクロ容器1の間の第1の凸部2の上に島状に配置されている。第2の凸部3は、矩形状のマイクロ容器1の四辺のそれぞれに設けられている。そのため、マイクロ容器1は完全には仕切られておらず、矩形状のマイクロ容器1の4つの頂点部分において、隣接するマイクロ容器1と連通している。なお、凹凸パターンは2段以上の階段状でもよく、また、1段でもよい。
マイクロ容器の幅または直径は、5〜1000μmが好ましく10μm〜600μmがより好ましい。実施の形態の場合、マイクロ容器1の幅は対向する第2の凸部3の間隔に相当する。なお、マイクロ容器は矩形状に限らず、円形状およびそれらの複合形状であってもよい。また、側壁は傾斜していてもよく、段階状であってもよい。側壁が傾斜しているまたは階段状である場合、マイクロ容器の幅とは対向する側壁の間隔の最も広い部分を言う。容器幅または直径が5μmより小さくなると、細胞を配置できる数が少なくなり、培養に必要な細胞密度を得ることが困難となる。1000μmより大きくなると、平板上での培養と同様、細胞が薄く伸びて方向性のない形態となり、培養に必要な細胞密度を得ることが困難となる。
マイクロ容器の深さは、5〜1000μmが好ましい。マイクロ容器の深さが5μmよりも浅いと、細胞が多層化することができなくなり、培養密度が低下するとともに、培養速度も低下する。マイクロ容器深さが1000μmよりも深くなると、培養細胞の多層化が進行することで、最表層の細胞から遠い内部の細胞は、培養液の供給が遮断され、細胞から排出される老廃物の置換ができなくなるため、細胞死を発生させる結果となる。なお、マイクロ容器の深さとは、底面を基準とした側壁の高さとも言える。実施の形態の場合、マイクロ容器の深さは、2段の凸部4の高さに相当する。
平板よりも高い培養密度を実現するためには、細胞の培養密度が、3cells/1000μm〜20cells/1000μmであることが好ましく、4cells/1000μm〜15cells/1000μmであることがより好ましい。3cells/1000μm以下になると、平板上の培養密度と同等となり、培養速度も低下する。20cells/1000μm以上になると、培養細胞の多層化により、内側の細胞への培養液の供給が困難となり、細胞死の発生が懸念される。
培養するために散布する細胞の密度は、8cells/1000μm以下、好ましくは6cells/1000μm以下であることが好ましい。細胞培養株は極めて高額であるため、散布する細胞の密度は低いほど良い。他方、散布する細胞の密度が低くなると、培養速度が遅くなる。このため、細胞形態の観察、薬剤感受性試験等の目的用途に応じて、散布する細胞の密度を設定することが望ましい。本発明にかかる細胞培養容器は、マイクロ容器を有することにより、散布する細胞の密度が比較的低い場合にも、培養密度を高めることができるものである。
細胞密度が増すことにより、細胞培養容器内での試験に加え、細胞を溶解または剥離して、比色試験等に用いることも可能となる。また、細胞培養試験に用いられる細胞株は、極めて高額である。通常の平板上での培養と比較し、数倍の培養密度が得られることで、細胞株購入費用を低減でき、実験効率向上も可能となる。
マイクロ容器間の間隔は、可能な限り近接することが、細胞数を増すうえで好ましいが、マイクロ容器間の間隔が狭くなることにより、工業的な微細加工が難しくなり、高コストとなるため、必要とする用途に応じて選択することが望ましい。
透過光観察を可能にするため、樹脂プレートをガラスプレートと同等の光透過率とするには、紫外線領域を含む波長300nm〜800nmの光透過率を80%以上、ヘイズ値を10%以内とすることが好ましい。上記要求を満たすため、細胞培養容器には、紫外線吸収剤が含まれないアクリル樹脂を用いるか、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有さない材料を選択する必要がある。また、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物には、紫外線吸収剤が含まれていない必要がある。
蛍光観察法では、蛍光色素を光らせるための光(励起光)は、細胞培養容器を透過しなければ、それにより発生した蛍光(蛍光放射光)を識別できない。したがって、高い光透過性が要求される。蛍光(蛍光放射光)を識別するために必要な透明性は、可視光の全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以内とする必要がある。上記要求を満たすため、細胞培養容器には、例えば、ポリメチルメタクリレート等の光学特性に優れる材料を用いることが好ましく、結晶性樹脂であるポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、非結晶状態で用いることが好ましい。
自家蛍光とは、ポリマー分子が紫外・可視光を吸収した後、光を放出して自ら蛍光を発することをいう。ガラスプレートは自家蛍光を発しないのに対し、樹脂プレートの多くは自家蛍光するため、サンプルから発生した蛍光(蛍光放射光)を識別できなくなり、蛍光分析の特徴である微量分析が困難となる。
自家蛍光の影響を受けないためには、波長230nm〜800nmの光を照射することで自家蛍光しないことが要求される。そのため、細胞培養容器には、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有しない樹脂材料を選択する必要がある。また、自家蛍光の可能性を極力排除するため、酸化防止剤、粘度向上剤、耐熱安定剤、膠着防止剤等の添加物は、できる限り少量とするか、添加しないことが好ましい。
微分干渉観察法のコントラストを低下させずに、偏光顕微鏡や微分干渉顕微鏡により観察するために、光学ひずみの小さい材料が要求される。そのため、細胞培養容器には、PC(ポリカーボネイト)、ポリスチレン等の化学構造に環構造を有しない樹脂材料を選択する必要がある。
細胞培養容器に有機膜または無機膜を被覆することで、親水化または疎水化することができる。これにより、微細な突起への気泡の付着防止や細胞の接着度合いを制御することができる。例えば、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射等を用いる方法、細胞の接着を促すタンパク質であるコラーゲン等を塗布する方法がある。また、一部分をマスクすることにより、他の部分のみを有機膜または無機膜により被覆することもできる。これにより、培養試験条件の幅をさらに広くすることができる。
スパッタリング法、蒸着法等の無機膜形成法は、油浸レンズ観察法への適用もできる。通常、油浸レンズに用いるオイルには、細胞を培養するガラスプレートおよび光学レンズと光学物性を適合させるため、有機溶剤が配合されている。有機溶剤は、樹脂製細胞培養容器に浸透し、白化や溶解の問題を発生させるため、適用できない可能性がある。無機材料は、ガスバリヤー効果と同時に、耐有機溶剤性を有するため、油浸レンズのオイルが接触する細胞培養容器の底面に、無機膜を形成することで、油浸レンズ観察法への適用も可能となり、樹脂製細胞培養容器の適用範囲を広げることができる。透過光観察を行う場合、膜厚を400nm以下とするか、SiO等の透明無機材料を用いることが好ましい。
上記の複数のマイクロ容器を有する樹脂製の細胞培養容器の製造方法について説明する。この製造方法は、基板上にマイクロ容器に相当するマイクロ空間構造を形成するステップと、基板上に形成されたマイクロ空間構造パターンまたはその転写パターンにしたがって金属を付着させ、前記樹脂プレートの構造パターンの反対パターンを有する金属構造体を形成するステップと、前記金属構造体のパターンを転写して樹脂プレートを形成するステップとを備える。
詳細には以下の通りである。
(i)基板上への第1レジスト層の形成
(ii)基板とマスクAとの位置合わせ
(iii)マスクAを用いた第1レジスト層の露光
(iv)第1レジスト層の熱処理
(v)第1レジスト層上への第2レジスト層の形成
(vi)基板とマスクBとの位置合わせ
(vii)マスクBを用いた第2レジスト層の露光
(viii)第2レジスト層の熱処理
(ix)レジスト層の現像
を行い、所望のレジストパターンを形成する。
(x)さらに、形成されたレジストパターンを導電化処理した後、形成されたレジストパターンにしたがって、基板上に金属構造体をメッキにより堆積させる。
(xi)この金属構造体を型として、樹脂成形品を形成する
ことによって、細胞培養容器が製造される。
(v)〜(viii)の工程は任意であり、省略できる。一方、(v)〜(viii)の工程を複数回繰り返すこともできる。
レジストパターン形成処理についてさらに詳細に説明する。
基板上に、例えば、深さ30μmと深さ100μmの構造体を得ようとした場合、第1レジスト層(厚さ70μm)、第2レジスト層(厚さ30μm)順に形成し、各層に露光、または露光、熱処理を行う。現像工程では、最初に第2レジスト層である深さ30μmのパターンが得られ、次に第1レジスト層と第2レジスト層を合わせた深さ100μmのパターンが得られる。深さ100μmのパターンが得られた時点で、第2レジスト層である深さ30μmのパターンを現像液に溶解、または変形させないためには、各層の現像液への溶解性を制御させることが要求される。
光分解型のポジ型レジストを用いて、耐アルカリ性を発現させる方法の一つとして、ベーク時間(溶剤の乾燥時間)を長くし、レジストを硬化させることがあげられる。通常、レジストは膜厚、シンナー等の溶剤濃度および感度に応じてベーク時間を設定している。この時間を長くすることによって耐アルカリ性を持たせることができる。また、第1レジスト層のベークが進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像において光が照射された部分を溶解させパターンを形成することが困難になることから、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。ベークに用いる装置は、溶剤を乾燥できれば特に限定されるものではなく、オーブン、ホットプレート、熱風乾燥機等があげられる。光架橋型のネガ型レジストと比較して、耐アルカリ性の発現幅は制限されるため、設定するレジスト厚さは、各層を合わせて5〜200μmの範囲内が好ましく、10〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
光架橋型のネガ型レジストを用いて耐アルカリ性を発現させる方法として、ベーク時間の最適化の他に、架橋密度の最適化があげられる。通常、ネガ型レジストの架橋密度は、露光量によって設定することができる。化学増幅系ネガ型レジストの場合、露光量および熱処理時間によって架橋密度を設定することができる。この露光量、または熱処理時間を長くすることによって、耐アルカリ性を発現させることができる。光架橋型のネガ型レジストの場合、設定するレジスト厚さは、各層を合わせて5〜500μmの範囲内が好ましく、10〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
(i)基板11上への第1レジスト層12の形成について説明する。
図2(a)に基板11上に第1レジスト層12が形成された状態を示す。成形品形成ステップで得られる樹脂製細胞容器の平面度は、基板11上へ第1レジスト層12を形成する工程で決定づけられる。すなわち、基板上に第1レジスト層を形成した時点の平面度が金属構造体、ひいては細胞培養容器の平面度に反映される。
基板11上に第1レジスト層12を形成する方法は何ら限定されないが、一般的にスピンコート方式、ディッピング方式、ロール方式、ドライフィルムレジストの貼り合わせ等を挙げることができる。なかでも、スピンコート方式は、回転しているガラス基板上にレジストを塗布する方法で、直径300mmを超えるガラス基板にレジストを高い平面度で塗布する利点がある。従って、高い平面度を実現できる観点から、スピンコート方式が好ましい。
第1レジスト層12として用いられるレジストは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれもでもよい。いずれの場合も、レジストの感度、露光条件により、レジストの焦点深度が変わる。そのため、例えば、UV露光装置を用いた場合、露光時間、UV出力値をレジスト厚さ、感度に応じて種類を選択するのが好ましい。
第1レジスト層12として用いるレジストがウェットレジストの場合、例えば、スピンコート方式で所定のレジスト厚さを得る方法としては、スピンコート回転数の変更や粘度調整による方法がある。スピンコート回転数の変更による方法は、スピンコーターの回転数を適宜設定することによって所望のレジスト厚さを得るものである。粘度調整による方法は、レジスト厚さが厚い場合や塗布面積が大きい場合に、平面度が低下することが懸念されるため、実際使用上で要求される平面度に応じて粘度を調整するものである。
例えばスピンコート方式の場合、1回で塗布するレジスト層の厚さは、高い平面度を保持することを考慮し、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmの範囲内であることが好ましい。高い平面度を保持したうえで、所望のレジスト層の厚さを得るためには、レジスト層を複数回に分けて形成することができる。
第1レジスト層12にポジ型レジストを用いた場合、ベーク時間(溶剤の乾燥)が過度に進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像においてパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。
(ii)基板11とマスクA13との位置合わせについて説明する。
第1レジスト層12のパターンと、第2レジスト層14のパターンにおける位置関係を所望の設計通りにするためには、マスクA13を用いた露光時に、正確な位置合わせを行うことが必要となる。位置合わせには、基板とマスクAの同位置に切削加工を施しピン固定する方法、レーザー干渉計を用い位置だしする方法、基板11とマスクA13の同位置に位置マークを作製、光学顕微鏡で位置合わせをする方法等があげられる。光学顕微鏡で位置合わせをする方法は、例えば、フォトリソグラフ法にて基板に位置マークを作製し、マスクAにはレーザー描画装置で位置マークを描画する。光学顕微鏡を用いた手動操作においても、5μm以内の精度が簡単に得られる点で有効である。
(iii)マスクA13を用いた第1レジスト層12の露光について説明する。
図2(b)に示される工程で用いるマスクA13は何ら限定されないが、エマルジョンマスク、クロムマスク等を挙げることが出来る。レジストパターン形成ステップでは、用いるマスクA13によって寸法、および精度が左右される。そして、その寸法、および精度は、樹脂製細胞培養容器にも反映される。したがって、樹脂製細胞培養容器の各寸法、および精度を所定のものとするためには、マスクA13の寸法、および精度を規定する必要がある。マスクA13の精度を高める方法は何ら限定されないが、例えば、マスクA13のパターン形成に用いるレーザー光源をより波長の短いものに変えることを挙げることができるが、設備費用が高額であり、マスクA13製作費が高額となるため、樹脂製細胞培養容器が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが好ましい。
マスクA13の材質は温度膨張係数、UV透過吸収性能の面から石英ガラスが好ましいが比較的高価であるため、樹脂成形品が実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが好ましい。設計通りの所望の深さまたは高さが異なる構造体、あるいは、第1レジストパターンと第2レジストパターンが異なる構造体を得るには、第1レジスト層12および第2レジスト層14の露光に用いるマスクのパターン設計(透過/遮光部)が確実であることが必要であり、CAE解析ソフトを用いたシミュレーションもその解決策の一つである。
露光に用いられる光源は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。シンクロトロン放射光は、設備費用が高額であり、実質的に樹脂プレートの価格が高額となるものの、露光深度が深いものを得たい場合などに用いることができる。
露光時間や露光強度等の露光条件は第1レジスト層12の材質、厚み等により変化するため、得られるパターンに応じて適宜調節することが好ましい。特に空間構造パターンの寸法、および精度に影響を与えるため、露光条件の調節は重要である。また、レジストの種類により焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を用いた場合、露光時間、UV出力値をレジストの厚さ、感度に応じて選択するのが好ましい。
(iv)第1レジスト層12の熱処理について説明する。
露光後の熱処理は、レジストパターンの形状を補正するためにアニールといわれる熱処理が知られている。ここでは、化学架橋を目的とし、化学増幅系ネガレジストを用いた場合のみに行う。化学増幅系ネガレジストとは、主に、2成分系または3成分系からなり、露光時の光によって、例えば、化学構造の末端のエポキシ基が開環し、熱処理によって架橋反応させるものである。熱処理時間は、例えば膜厚100μmの場合、設定温度100℃の条件下においては数分で架橋反応は進行する。
第1レジスト層12の熱処理が進行しすぎると、後の現像において未架橋部分を溶解させパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、熱処理時間を短くする、または後の第2レジスト層14の熱処理のみとする等、適宜選択することが好ましい。
(v)第1レジスト層12上への第2レジスト層14の形成について説明する。
図2(c)に第2レジスト層14が形成された状態を示す。この第2レジスト層14の形成は、上記(i)において説明した第1レジスト層12の形成と同様の方法による。また、スピンコート方式にて、ポジ型レジストを使用してレジスト層を形成する場合、ベーク時間を通常の1.5〜2.0倍程度とすることで、耐アルカリ性を発現させることができる。これにより、第1レジスト層12と第2レジスト層14の現像終了時、第2レジスト層14のレジストパターンの溶解、または変形を防止することができる。
(vi)基板1とマスクB15との位置合わせについて説明する。基板1とマスクB15との位置合わせは、上記(ii)について説明した、基板1とマスクA13との位置合わせと同様の方法による。
(vii)マスクB15を用いた第2レジスト層14の露光について説明する。マスクB15を用いた第2レジスト層14の露光は、上記(iii)において説明したマスクA13を用いた第1レジスト層12の露光と同様の方法による。図2(d)に第2レジスト層14の露光の様子を示す。
(viii)第2レジスト層14の熱処理について説明する。第2レジスト層14の熱処理は、上記(iv)において説明した第1レジスト層12の熱処理と同様の方法による。また、第2レジスト層14の熱処理は、後の現像において第1レジスト層12のパターンが得られた時点で、第2レジスト層14のパターンが溶解、または変形させないために行う。熱処理によって化学架橋が進行し、架橋密度を高めることで耐アルカリ性が発現する。耐アルカリ性を発現させるための熱処理時間は、通常の1.1〜2.0倍の範囲からレジストの厚さに応じて適宜選択することが好ましい。
(ix)レジスト層12および14の現像について説明する。図2(e)に示す現像工程では、用いたレジストに対応する所定の現像液を用いることが好ましい。現像時間、現像温度、現像液濃度等の現像条件はレジスト厚みやパターン形状に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、必要な深さを得るために現像時間を長くしすぎると、所定の寸法よりも大きくなってしまうため、適宜条件を設定することが好ましい。この現像工程により、レジストパターン16が形成される。
細胞培養容器の上面、または微細パターン底部の平面精度を高める方法としては、例えば、レジスト塗布で用いるレジスト種類(ネガ型、ポジ型)を変更する方法、金属構造体の表面を研磨する方法などがあげられる。
なお、所望の造型深さを得るために複数のレジスト層を形成する場合、それら複数のレジスト層を同時に露光・現像処理する、あるいは、一つのレジスト層を形成および露光処理した後、さらにレジスト層の形成および露光処理を行い、2つのレジスト層を同時に現像処理することができる。
(x)金属構造体形成ステップについてさらに詳細に説明する。
金属構造体形成ステップとはレジストパターン形成ステップで得られたレジストパターン16に沿って金属を堆積させ、金属構造体18のマイクロ空間構造面をレジストパターン16に沿って形成することにより、金属構造体18を得る工程である。
図2(f)に示すように、この工程では予めレジストパターン16に沿って導電性膜17を形成する。導電性膜17の形成方法は、特には限定されないが、好ましくは、真空蒸着法、スパッタリング法等による。導電性膜17に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、アルミニウムなどを挙げることができる。
図2(g)に示すように、導電性膜17を形成した後、レジストパターン16に沿って金属をメッキにより堆積させ、金属構造体18を形成する。メッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。
金属構造体18はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。また、金属構造体18はその表面状態を改善するために、離型剤等で表面処理しても構わない。なお、金属構造体18の深さ方向の傾斜角度は、樹脂成形品の形状から50°〜90°であることが望ましく、より望ましくは60°〜87°である。メッキにより堆積した金属構造体18はレジストパターン16から分離される。
(xi)成形品形成ステップについて詳細に説明する。
成形品形成ステップは、図2(h)に示すように、前記金属構造体18を型として、樹脂成形品19を形成する工程である。樹脂成形品19の形成方法は特に限定されないが、例えば射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができ、生産性、型転写性の観点から射出成形が好ましく用いられる。所定の寸法を選択した金属構造体18を型として射出成形で樹脂成形品19を形成する場合、金属構造体18の形状を高い転写率で樹脂成形品19に再現することができる。転写率を確認する方法としては、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)等を用いる方法がある。
樹脂成形品19の平面度の最小値は、工業的に再現し易い観点から1μm以上であることが好ましい。樹脂成形品19の平面度の最大値は、例えば、該成形品に反り等が発生して光学系ユニットと接触しない等、支障とならない観点から200μm以下であることが好ましい。樹脂成形品の造形部に対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
以下に、本発明にかかる実施例および比較例を示す。これらの実施例および比較例は、マイクロ容器の寸法を変量し、細胞の培養密度およびALP(アルカリフォスターゼ)活性を評価したものである。光学物性値である全光透過率およびヘイズ値は、株式会社スガ試験機製の可視光線透過率計(型式:HA−TR)を用いて測定した。具体的には、全光線透過率をJIS K6714に準拠した方法で2回測定し、その平均値を求めた。また、蒸着膜の厚さは、株式会社アルバック製の表面形状測定器(DEKTAK3030)による触針法にて測定した。
培養密度測定方法は、以下の通りである。密度にして0.4cells/1000μmおよび1.1cells/1000μmのラット切歯歯髄由来の歯髄細胞(RPC−C2A)を散布し、48時間および96時間培養した後、細胞染色用蛍光色素であるプロピウムイオダイド(PI:Propidium Iodide)により、細胞核を染色した。カールツァイス社製の共焦点レーザースキャン顕微鏡(型式:LSM 510 META)を用いて、1000μmにおける染色された細胞数を計測した。1条件につき、10視野の観察を行い、その平均値を求めた。
ALPは、体内のあらゆる臓器や組織に存在するリン酸酵素である。ALP陽性細胞であるラット切歯歯髄由来の歯髄細胞(RPC−C2A)は、高密度状態で陽性反応を示すことが知られている。密度にして0.4cells/1000μmおよび1.1cells/1000μmのラット切歯歯髄由来の歯髄細胞(RPC−C2A)を散布し、48時間および96時間培養した後、ALP活性を評価した。ALP活性レベルは、染色性の違いにより0および1+〜4+の等級に分類した。等級の数値が大きいほど、活性していることを示す。ALP染色にはDAKO社製のDAKO New Fuchsin Substrate System(code No. K0698)を用いた。なお、ALP染色法は一例であり、本発明の適用範囲を限定するものではない。
[比較例1]
市販の滅菌済みのポリスチレン製シャーレ(φ90mm−深さ20mm)を用いた。光学物性値は、全光線透過率85%、ヘイズ値3.7%であった。
[比較例2]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレートを作製した後、滅菌を行った。光学物性値は、全光線透過率90%、ヘイズ値1.8%であった。
[比較例3]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図3に示す縦・横3μm、深さ3μmの複数のマイクロ容器1を有するプレートを作製した。図3(a)は、比較例3にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A'断面図である。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、マイクロ容器への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率86%、ヘイズ値9.1%であった。
[比較例4]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図3に示すような形状の縦・横5mm、深さ2mmの複数の容器を有するプレートを作製した。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、容器への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率89%、ヘイズ値4.5%であった。
[実施例1]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図3に示す縦・横50μm、深さ20μmの複数のマイクロ容器1を有するプレートを作製した。図3(a)は、実施例1にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す平面図でもあり、図3(b)は図3(a)のA−A'断面図である。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、マイクロ容器1への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率85%、ヘイズ値9.5%であった。
[実施例2]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図4に示す縦・横90μm、深さ20μmの複数のマイクロ容器1を有するプレートを作製した。図4(a)は、実施例2にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A'断面図である。これは、図1に示す第1の突起2が無く、第2の突起3のみを有する構成であり、この第2の突起3の寸法が、幅10μm、長さ60μm、高さ20μmである。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、マイクロ容器1への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率86%、ヘイズ値8.8%であった。
[実施例3]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図3に示す縦・横100μm、深さ50μmの複数のマイクロ容器1を有するプレートを作製した。図3(a)は、実施例3にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す平面図でもあり、図3(b)は図3(a)のA−A'断面図である。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、マイクロ容器1への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率88%、ヘイズ値7.3%であった。
[実施例4]
株式会社クラレ製のアクリル樹脂(パラペットGH−S)を用い、スタンパーを使用した射出成形法により、幅24mm、長さ74mm、厚さ1.0mmの樹脂プレート上に、図3に示す縦・横500μm、深さ50μmの複数のマイクロ容器1を有するプレートを作製した。図3(a)は、実施例4にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す平面図でもあり、図3(b)は図3(a)のA−A'断面図である。この樹脂プレートを、滅菌した。次に、マイクロ容器1への気泡混入を防止するため、株式会社アルバック(型式:UEP)の蒸着装置を用い、厚さ0.3μmの酸化ケイ素(SiO)膜を形成した。光学物性値は、全光線透過率90%、ヘイズ値5.1%であった。
以上の比較例および実施例についての、散布した細胞の密度が0.4cells/1000μmの場合の培養結果を表1にまとめて示す。
平板や複数のマイクロ容器が幅5〜1000μm、深さ5〜1000μmの範囲でない細胞培養容器を用いた比較例の場合、96時間培養後であっても、培養密度が3cells/1000μm以下であり、ALP活性の等級値も低い。図5に、比較例1において48時間培養後、ALP染色された細胞の写真を示す。このALP活性の等級値は0である。
実施例では、複数のマイクロ容器の幅を5〜1000μm、深さを5〜1000μmとすることで、48時間培養後であっても、培養密度およびALP活性の等級値は比較例よりも高く、96時間培養後では、培養密度およびALP活性の等級値がさらに高い。また、実施例では、高い透明性と培養密度およびALP活性を達成しており、透過光での細胞観察用途に特に適している。図6(a)に、実施例2において48時間培養後、染色された細胞核の写真、図6(b)に実施例2において96時間培養後、染色された細胞核の写真を示す。また、図7には実施例2において96時間培養後、ALP染色された細胞の写真を示す。このALP活性の等級値は4+である。
次に、比較例および実施例についての、散布した細胞の密度が1.1cells/1000μmの場合の培養結果を表2にまとめて示す。
比較例の場合、散布した細胞数が増えても、培養密度およびALP活性の等級値にほとんど変化がない。96時間培養後であっても、培養密度が3cells/1000μm以下であり、ALP活性の等級値も低い。
実施例では、散布した細胞数が増えると、顕著に培養密度が向上し、48時間培養後にはALP活性の等級値はいずれの実施例でも4+となった。すなわち、本発明を適用することにより、細胞培養を用いた種々の試験・研究における精度および効率の向上が期待できる。
本発明の実施の形態にかかる細胞培養容器の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態にかかる細胞培養容器の製造方法を模式的に示す図である。 比較例3、本発明の実施例1、実施例3および実施例4にかかる細胞培養容器を模式的に示す平面図である。 本発明の実施例2にかかる細胞培養容器を模式的に示す平面図である。 比較例1において、48時間培養後、ALP染色された細胞の写真である。 実施例2において、48時間および96時間培養後、染色された細胞核の写真である。 実施例2において、96時間培養後、ALP染色された細胞の写真である。
符号の説明
1 マイクロ容器
2 第1の凸部
3 第2の凸部
4 2段の凸部
5 第1の凸部の側壁
6 第2の凸部の側壁
11 基板
12 第1レジスト層
13 マスクA
14 第2レジスト層
15 マスクB
16 レジストパターン
17 導電性膜
18 金属構造体
19 樹脂製成型品

Claims (3)

  1. 細胞が培養される面に、幅または直径5μm〜1000μm、深さ5μm〜1000μmの複数のマイクロ容器を備えた細胞培養容器に、密度が8cells/1000μm以下の歯髄細胞を散布するステップと、
    培養密度が3cells/1000μm〜20cells/1000μmに到達するまで培養するステップと、を備える細胞培養方法。
  2. 前記細胞培養容器が、透明性を有することを特徴とする請求項に記載の細胞培養方法
  3. 前記細胞培養容器が、最表面の全体または一部に親水性または疎水性の有機膜または無機膜を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養方法
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