JP4753672B2 - 樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法及びこれを用いた血液測定方法 - Google Patents

樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法及びこれを用いた血液測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法、並びに血液測定方法に関する。
社会の成熟にしたがい、医療・健康に対する価値観は、狭い範囲の基本的健康から、「ゆたかですこやかな生活」を求めるよう変化してきている。個人の意識は、医療費の増大、治療よりも予防のほうが低負担であること、健康と疾病の境界領域の人々の増加といった背景から、治療医学よりも予防医学を重視する方向に変化していくものと考えられる。
このため医療分野、なかでも臨床検査分野においても、患者の近く、例えば、手術室、ベッドサイド、あるいは在宅等で、より迅速な検査・診断を行うことが可能となる無拘束な検査システム、血液などの検体量がより少量ですむ無侵襲、または低侵襲な検査システムが望まれている。
血液中の有形成分である赤血球、白血球、血小板の機能を測定、評価することは、健康管理、疾患の診断と治療に極めて重要である。そこで、従来、赤血球変形能を測定する目的でニュークリポア[Nuclepore]フィルター、ニッケルメッシュフィルター等の微小な孔を持った膜に対する血液の通過能が調べられてきた。また、血小板凝集能の測定には凝集に伴う血小板浮遊液の濁度の変化を測定する方法が行なわれてきた。また、白血球活性度の測定には、白血球活性のいくつかの側面に対応して、ボイデン[Boyden]チャンバー法、粒子貧食試験、化学発光測定法等が行なわれてきた。この白血球活性度は感染症、免疫療法、免疫抑制療法等において特に重要である。
しかしながら、上記測定法はいずれも効率の悪さ、再現性の低さ、定量性の低さ等の問題を持っており、重要度に相応しい有効な測定法とは成り得ていない。また、従来の血小板凝集能測定法は試料調整に手間がかかり、感度も十分なものでない。
更に、従来の赤血球変形能測定法は、孔あるいは溝が計測中に血液試料中の有形成分により閉塞されてしまうことで、信頼性を欠くものであった。
また、従来、他種の血球の干渉を防ぐ目的で、血液試料から単一種類の血球分画だけを分離して測定することが行なわれてきたが、多大な手間を要するだけでなく、その間の血球の変性あるいは分離処置による変性を防ぐことができず、そのため、結果の生理学的あるいは診断学的価値を低下せしめるものであった。
また、静水圧差による血球の受動的な運動と生理活性物質刺激による血球の能動的運動を完全に分離して測定すること、更に、血球に対する機械的ストレスの影響は研究及び診断上重要であると考えられるが、現在この種の問題を定量的に研究し得る方法はなかった。
そこで、上記の不具合を無くすため、フォトリソグラフ法によってシリコン基板上にパターンニングを行い、ウェット、又はドライエッチング法によりシリコン基板上に流路を微細加工する半導体微細加工技術によってマイクロチャネルアレイを製造することが提案されている。これは、半導体微細加工技術を応用することにより基板上に赤血球、白血球ないし血小板の形状にそれぞれ適合した種々の形状、大きさの微細な流路を高精度に作製したものである。この技術によって、微細な流路の幅と深さの比、間隔等を目的に合わせてデザインでき、また、透明板を介して流路内の実際の流れを直接観察することが可能になった。
静水圧差あるいは生理活性物質の濃度差によって、血液試料を大きな流路から微細な流路に導く方式を採用し、僅かな量の血液試料であっても、そこに含まれる極めて多数の血球細胞によって、十分な個数の血球について測定することのできるものである。(特許文献1参照)
しかしながら、ウェット、又はドライエッチング法によりシリコン基板上に流路を微細加工する半導体微細加工技術には、1)シリコン基板の材料コストが高価である、2)1枚毎にフォトリソグラフを行うために加工費が高価となる、3)1枚毎の微細な流路の寸法精度にバラツキを生じる、5)焼却処理ができないなどの実用面での問題が存在している。
特許第2532707号公報
本発明が解決しようとする課題は、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法、並びに血液測定方法を提供することである。
本発明の第1の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、一端部に流入口を有し、他端部に流出口を有する窪みを複数配置し、且つこの窪み相互を区画する壁部に、窪み相互を連通する微小な溝を有してなる第1の基板と前記第1の基板の表面に接合ないし圧着される平面を有する第2の基板とからなり、前記第1の基板と第2の基板の接合部ないし圧着部に前記窪み及び溝によって形成される空間を流路として有し、前記溝の幅、深さがそれぞれ1〜50μmの範囲内であり、かつ、該流路の幅と深さの比が1:10〜10:1の範囲内である樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、基板をエッチングして、前記窪み及び/又は前記溝に対応するパターンを有する構造体を製造し、前記構造体に基づいて、前記第1の基板を形成するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第2の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記基板がガラス又はシリコンにより形成されているものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第3の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、一端部に流入口を有し、他端部に流出口を有する窪みを複数配置し、且つこの窪み相互を区画する壁部に、窪み相互を連通する微小な溝を有してなる第1の基板と前記第1の基板の表面に接合ないし圧着される平面を有する第2の基板とからなり、前記第1の基板と第2の基板の接合部ないし圧着部に前記窪み及び溝によって形成される空間を流路として有し、前記溝の幅、深さがそれぞれ1〜50μmの範囲内であり、かつ、該流路の幅と深さの比が1:10〜10:1の範囲内である樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、基板を機械切削して、前記窪み及び/又は前記溝に対応するパターンを有する構造体を製造し、前記構造体に基づいて、第1の基板を形成するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第4の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記基板上にレジストパターンが形成されており、前記レジストパターンの形成面上から、前記基板及び/又は前記レジストパターンに対して前記エッチング又は前記機械切削が行なわれて、前記構造体が製造されるものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第5の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記構造体に対して、レジストパターンを形成し、当該レジストパターンの上から金属を付着し、金属構造体を形成するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第6の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、前記金属構造体に対して、機械切削又はエッチングを行なうことにより、当該金属構造体を加工し、加工された金属構造体を型として前記樹脂製マイクロチャネルアレイを成形するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第7の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記構造体又は前記金属構造体を型として、前記樹脂製マイクロチャネルアレイを成形するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第8の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記構造体又は前記金属構造体に形成されたパターンにしたがって、金属を付着することによって得られた金属構造体を型として、前記樹脂製マイクロチャネルアレイを成形するものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第9の態様にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法は、上述の製造方法において、前記樹脂製マイクロチャネルアレイに基づいて得られた前記型を用いることを特徴とするものである。これにより、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性を向上することができる。
本発明の第10の態様にかかる血液測定方法は、上述の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法であって、樹脂製マイクロチャネルアレイの単一、又は複数の流入口から、個別、又は同時に生理食塩水、血液試料、試薬を流し、更に測定装置側の流入口近傍及び/又は流出口近傍に流量の制御系を有することにより、各種血液測定に最適な状態を繰り返し再現することを特徴とするものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第11の態様にかかる血液測定方法は、上述の血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口、又は流路部に光を照射する光学系と、該流路から反射、又は透過される光の変量を測定する計測系を有するものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第12の態様にかかる血液測定は、上記の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口での血液の各有形成分の数の増減、あるいは血液の各有形成分による溝流路の閉塞状況を測定し、それにより血液の各有形成分の流れ特性あるいは活性度を求めることを特徴とするものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第13の態様にかかる血液測定は、上記の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口の間に生理活性物質の濃度差を設けることにより、流路を介して白血球の移動を起こらしめ、その後の各窪みでの白血球分画の数の増減、あるいは白血球による流路の閉塞状況を測定し、それにより白血球分画の遊走能、粘着能を求めることを特徴とするものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第14の態様にかかる血液測定方法は、上記の血液測定方法において、生理活性物質に暴露後の血液試料に対して血液測定を行うことを特徴とするものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第15の態様にかかる血液測定は、上述の血液測定方法において、血液測定を、蛍光物質で各血球細胞もしくは液体成分のいずれかを蛍光発色させて行うことを特徴とするものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第16の態様にかかる血液測定は、上述の血液測定方法において、前記第1の基板、又は第2の基板のいずれかに金などの薄膜を堆積させ、流路によって連通される窪みの流入口、流出口、又は流路部の誘電率変化を、表面プラズモン共鳴現象による反射光強度の変化として検出する計測系を有するものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第17の態様にかかる血液測定は、上述の血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口又は流路部に、電気化学的に微弱な電気的変位量を検出するセンサを有し、定量評価を行うために電気的増幅を行うものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明の第18の態様にかかる血液測定は、上述の血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口又は流路部に、超音波による微弱な周波数変化幅を検出するセンサを有し、定量評価を行うためのに電気信号への変換、及び増幅部を行うものである。これにより、効果的な血液測定を行うことができる。
本発明によれば、健康管理、疾患の診断と治療に適した樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法、並びに血液測定方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
血液は、血球(有形)成分と、血漿(液体)成分とに大別され、血球成分の割合が約40〜45%、血漿成分が約55〜60%である。血球成分において、赤血球が約96%を占め、約4%が白血球と血小板である。サイズは、赤血球が直径約7〜8μm、白血球が約12〜14μm、血小板が約3μmである。
本発明に係る血液測定方法は、一端部に流入口を有し、他端部に流出口を有する窪みを複数配置し、且つこの窪み相互を区画する壁部に、窪み相互を連通する微小な溝を有してなる第1の基板と前記第1の基板の表面に接合ないし圧着される平面を有する第2の基板とからなり、前記第1の基板と第2の基板の接合部ないし圧着部に前記窪み及び溝によって形成される空間を流路として使用する樹脂製マイクロチャネルアレイによって適切に行える。窪みの深さを、多段階状で異なるように形成することもできる。
溝によって形成された流路による、血液測定について説明する。白血球の活性は、遊走、食作用、生理活性物質の分泌等の諸反応を総合したものであり、しかも、いずれの反応にも細胞内の収縮蛋白質の収縮、運動が関与している。一方白血球の流路閉塞を含めた能動的あるいは受動的流路通過能は細胞内の収縮蛋白質の収縮、運動状態によって著しく変化する。従って、白血球の能動的あるいは受動的流路通過能あるいは流路閉塞は白血球の活性度の適切な指標となる。
血小板の凝集も同様に細胞内の収縮蛋白質の収縮、運動が大本の反応であり、従って、血小板の流路通過能あるいは血小板凝集塊による流路閉塞がここでも良い指標となる。また、白血球、血小板に対しては、一定量の生理活性物質で刺激した後の流路閉塞を含めた流路通過能の変化量を指標とすることもできる。
血液試料を、大きな窪みによる流路に対し、微細な流路に流す本方式では、試料の大部分を大きな流路に沿って流し、該血液試料のごく一部のみを微細な流路に導くことが可能である。
そのため、例えば、赤血球の合せた形状の入口を有する微細な流路の場合、白血球あるいは赤血球より大きい有形成分、例えば、血球の凝集塊が入口近傍にきても該流路内に入ることはできず、血液試料の主流に押し流されて入口から遠ざかって行くことになる。
このようにして白血球あるいは赤血球より大きい有形成分が該流路を閉塞することが防がれる。その際、赤血球に比べて小さい血小板の流入は防ぎ得ないが、血小板が赤血球の通過を障害することはない。同様に、白血球の大きさに合せた形状の入口を有する流路の場合、赤血球、血小板は自由に通過するが、白血球の通過に影響を及ぼすことはない。
血液試料の流し方、流路入口の形状、流路の幅、深さ、測定方式を工夫することにより、径のより大きい血球あるいは有形成分の流入を防ぎながら、測定対象血球細胞による流路閉塞を含めた流路通過能を選択的に測定することが可能になる。また、赤血球、白血球、血小板にそれぞれ適合した3種類の流路網および測定方式を並列配置し、それぞれに血液試料を上記の方式で流すことにより、該血液試料中の赤血球、白血球、血小板に対して同時にかつ迅速に測定することも可能となる。
流路の幅、深さは、測定対象とする血球成分に応じて、それぞれ1〜50μmの範囲から選択することが好ましく、1〜20μmの範囲内であることがより好ましい。該流路の幅と深さの比は、対象とする血球成分の形状、変形能に応じて、1:10〜10:1の範囲内から選択することが好ましい。
樹脂製マイクロチャネルアレイの窪み、及び溝によって形成される空間が、流路として機能するには、樹脂製マイクロチャネルアレイと、使用する生理食塩水、血液試料、試薬等の水系液体とのぬれ性の差が小さいことが好ましい。ぬれ性の差が大きいと、水系液体が流路を流れなくなる可能性が高くなる。また、血液測定を行う前に、例えば、流路内を生理食塩水で満たそうとしても、気泡が混入することにより、対象とする血球成分の通過時間の計測値が再現しない可能性がある。
また、一般に細胞は疎水表面に固定化しやすい性質を持つことから、血球細胞においても流路に血球成分が付着し、流れなくなる等、血液測定に大きな支障をきたす可能性がある。
そこで、樹脂製マイクロチャネルアレイ表面の水に対する接触角を小さくすることが必要となる。ポリメチルメタクリレートに代表される一般に使用される熱可塑性樹脂においては、通常水に対する接触角が比較的大きい(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂は約68°、ポリカーボネート樹脂は約70°、ポリスチレン樹脂は84°)ため、接触角を小さく、0.5°以上70°以下とすることが必要となる。
プラスチック表面のぬれ性を改質する技術は、化学的処理技術、物理的処理技術に大別される。化学的処理技術としては、薬品処理、溶剤処理、カップリング剤処理、モノマーコーティング、ポリマーコーティング、蒸気処理、表面グラフト化、電気化学的処理、陽極酸化等があげられる。物理的処理技術としては、紫外線照射処理、プラズマ接触処理、プラズマジェット処理、プラズマ重合処理、イオンビーム処理、機械的処理等があげられる。
改質技術のなかには、熱可塑性樹脂表面の親水化に加え、例えば接着性も発現することを特徴としている技術がある。樹脂製マイクロチャネルアレイの多数の微細な流路形状を保持させるのに好ましくない場合も想定されるため、改質技術は必要とされる接触角に応じて適宜選択していくことが必要である。以下に、例として適用可能な改質法について説明する。
化学的処理技術のなかでは、無機、有機材料のコーティングがあげられる。水溶液中の親水性ポリマー、例えば、ポバール等をディッピング法、スピンコート法等によってコートし、十分乾燥させて使用する方法である。樹脂製マイクロチャネルアレイの疎水性が高い等の場合には、均一なコーティング膜厚が得られず、改質効果にバラツキを生じる可能性があるため、コーティング材料を選択することが必要な場合がある。疎水性表面へのコーティングが可能な材料としては、例えば、日本油脂(株)から販売されている商品名:Lipidure-PMB(リン脂質極性基を有するMPCポリマーとブチルアクリレートの共重合ポリマー)等があげられる。
大型装置を必要とせず、比較的簡便な工程で改質効果が得られ、低コストが期待できる反面、超音波洗浄等による改質効果の低下が懸念されるため、コーティングを繰り返すか、例えば、ディスポーザブル用途に使用することが好ましい。
化学的処理技術のなかでは、蒸気処理、なかでも真空蒸着法があげられる。真空蒸着法は無機、薄膜作製法のひとつで、真空中(10−2Pa以下の圧力)で薄膜化しようとする物質を加熱して蒸発させ、その蒸気を適当な基板面上に付着させる方法である。大型装置を必要とせず、比較的低い真空度で処理が可能であり、低コスト化が期待できる。
物理的処理技術のなかでは、プラズマ処理、なかでもスパッタリング処理があげられる。スパッタリングとは、低気圧グロー放電で生じたプラスイオンを電界で加速して陰極に衝突させ、陰極側の物質を叩き出して、陽極側に堆積させることをいう。スパッタリング法は、堆積可能な材料が豊富であり、例えば、SiO、Si等の無機材料を10nm〜300nm堆積することで材料表面の親水化が可能となる。
また、超音波洗浄等の繰り返しによる複数回の使用に対しても、効果が持続し、再現性のよい測定結果が得られる点で有用である。溶出成分がなく、バイオエンジニアリング用途等で要求される細胞毒性にも対応が可能である。スパッタリング法は、堆積膜の厚みを均一化することが可能であり、例えば、10nm〜50nmのSiO膜を堆積すれば、透明性と親水化の両立も可能である。
樹脂製マイクロチャネルアレイに無機膜を堆積させる際、樹脂製マイクロチャネルアレイが吸湿した水分をスパッタリング中に放出し、無機膜との密着性が低下する可能性があるため、スパッタリング前には十分な脱ガスが必要である。また、樹脂表面と無機膜との密着性を向上させる他の方法として、樹脂製マイクロチャネルアレイ表面へのアルゴンガス等によるエッチング処理、又は、密着性のよい無機材料、例えば、クロム等を堆積させたのち、所望の無機膜を堆積する方法があげられる。スパッタリング法を選択する場合は、耐熱温度として50℃〜110℃程度が必要であることから、1)それ以上のガラス転移温度を有する、例えば、ポリカーボネート等を選択する、2)スパッタ処理時間を短くする(膜厚を薄くする)等の条件を選択することが重要である。
物理的処理技術のなかでは、プラズマ処理、なかでもインプランテーション作用があげられる。インプランテーション作用は、プラズマによって分子が活性化され、ポリマー表面に生成したラジカルが再結合し、新しい官能基がポリマー表面に導入されることである。この官能基の導入によって、新規な性質を持つポリマー表面が作製できる。
物理的処理技術のなかでは、プラズマ処理、なかでもプラズマ重合処理があげられる。高分子材料の原料となる有機材料を気化させて気相輸送し、プラズマ中での電子衝突励起により有機材料を活性化させて重合反応を起こすことにより高分子膜を基板上に成膜する技術である。プラズマ重合法は、原料分子を気化させて使用するため不純物となりえる溶剤が不要であり、膜厚の制御も容易である。残モノマーも存在しないために、バイオエンジニアリング用途等で要求される細胞毒性にも対応が可能である。プラズマ重合処理が、プラズマ中での電子衝突励起により有機材料を活性化させて重合反応を引き起こすのに対し、熱によって重合反応を引き起こすのが蒸着重合法である。
物理的処理技術のなかでは、紫外線処理、なかでもエキシマUV処理があげられる。熱可塑性樹脂の親水化において、必要とされる耐熱温度が低く、ガラス転移温度が100℃のポリメチルメタクリレートにも適用が可能である。
エキシマUV処理は、アルゴン、クリプトン、キセノン等の放電ガスを使用したエキシマランプを使用して、発光中心波長120nm〜310nmの範囲の紫外線を照射する。高エネルギーの紫外線を照射することによって、樹脂表面の分子は解離され、軽い水素原子が容易に引き抜かれることにより、親水性の高いOH等の官能基が形成され、表面のぬれ性を高くするものである。この方法は、紫外線の露光量の増加に伴い親水性が高くなると同時に、接着力が増大して多数の微細な溝形状を保持させるのに好ましくない場合も想定されるため、必要とされる接触角に応じて適宜露光量を選択していくことが必要である。
親水化の他の方法としては、成形材料として(株)クラレの販売する酢酸ビニル系樹脂(商品名:エクセバール)、ポリビニルブチラール系樹脂等を選択することでも可能である。微細な流路形状を保持するため、水系の温度は70℃以下で使用し、長期間の水への浸漬は避けることが必要である。
血液測定試験における、微細な流路へのスムーズな血液試料の導入、及び血球細胞の抗付着性を得るため、樹脂製マイクロチャネルアレイ表面の水に対する接触角は、0.5°以上70°以下が好ましく、1°以上50°以下がより好ましい。この範囲以外は、微細な流路への血液試料の導入が難しく、血球細胞の付着による凝集塊の発生によって、血球細胞の通過時間測定等の安定したデータが得られないため、前記範囲内の接触角を有することが好ましい。
上記技術は、樹脂製マイクロチャネルアレイだけでなく、半導体加工技術を応用して作製されるシリコン製プレートにも共通に適用可能できる。
上記の表面改質、親水化技術は、バイオテクノロジー分野においても有用である。各種細胞を用いた細胞増殖、組織化に関する研究では、プレート上にピットと呼ばれる微細な凹凸形状を造形し、その微細な空間構造における細胞の増殖・分化の過程を観察、評価している。気泡の混入を排除し、水系の培養液を、プレート上の微細な凹凸形状に流すには、樹脂製マイクロチャネルアレイと同様、水に対する接触角を、0.5°以上70°以下とすることが好ましい。
樹脂製マイクロチャネルアレイ表面の血小板付着能について説明する。血球細胞は疎水性表面に固定化しやすいため、親水化とする必要があるのに加え、血液凝固作用を有する血小板の付着を抑制することによって、凝集塊の発生を抑止することが必要な場合がある。血液と材料が接触すると、最初に血小板、タンパク質が吸着する。血小板の表面では、形が変形するなどして、中の物質を放出する等の活性化が起こり、血液成分の凝集となる。血球細胞の通過時間測定等のデータを、再現よいものとするためには、血小板付着能を抑制することが必要な場合がある。また、樹脂製マイクロチャネルアレイ表面の血小板付着箇所を、100箇所/cm以下とすることができる。
血液を凝固させないための材料は、第1に血液を凝固させない薬剤であるヘパリンを含有した材料である。第2は、形成された血栓を溶かしてしまう、ウロキナーゼという酵素を固定化した材料である。第3は、血液中の血小板やタンパク質を表面につけないようにした材料である。材料表面に、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、ポリエチレングリコール等の含水率の高い高分子をつけたものである。第4は、血小板の活性化を防ぐ材料である。ミクロ相分離構造といった表面構造を持った材料である。
第4のミクロ相分離構造の分離サイズは、20nm〜20μmの範囲にて、均一にミクロドメイン構造をもつものである。ミクロ相分離による血小板付着の抑制は、アモルファス・非アモルファス、親水・疎水性、結晶・非結晶、ガラス状態・液状状態等の組み合わせによって可能である。材料としては、例えば、HEMA―スチレンとHEMA―ブタジエンの共重合ポリマー、親水性のPHEMAと疎水性スチレンのブロック共重合ポリマー、結晶性のナイロン610と非晶性のポリプロピレンオキサイドのブレンド物等があげられる。
微細な流路内に、凹凸形状による狭隘部を設けることで、精度の高い血液測定が可能となる。同一の流路内に凹凸形状を設けることによって、そこを通過して行く血球の追跡が可能になるだけでなく、その通過過程で生じる変化をも同時に追跡して行くことができる。異なる流路網の間の血液各有形成分の配分の仕方、同流路網内での血液各有形成分の分布状況は従来なかった新しい指標となりえる。
例えば、白血球の活性度を、微細な流路を変形通過する速度、個数、変形能等にて測定しようとした際、単に流路の幅、深さを小さくするより、例えば、流路内に凸形状を複数配置することで、検体別の差異を明確にすることが可能となる。また、特定の血球のみを流路内に固定し、光学検出等を行う場合にも、凹凸形状による狭隘部は有効である。例えば、約直径12μmの白血球を固定するには、流路の幅12μm、深さ12μmの流路内に、幅6μmの狭隘部を設けることで、赤血球、血小板は通過し、白血球のみを流路内に捕捉することが可能となる。
作製される微細な凹凸形状の最小単位は、例えば、原盤となる構造体を作製する際の露光工程において、ステッパーと呼ばれる縮小露光機を使用するなどして、幅1μm以下の微細な凹凸形状を作製することは可能であるが、露光に使用するマスクが高額となることが予測されるため、作製コストと用途を検討したうえで選択することが好ましい。
窪みの深さが、多段形状で異なることにより、微細な流路を変形通過する血球細胞の速度、個数、変形能等の測定において、検体別の差異を明確にすることが可能となる。流入口から導入された血液試料は、窪みを経由して壁部に設けられた微細な流路に導かれる。
血液試料を導入するのに必要な窪みの深さ、及び幅は、少なくとも30μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。例えば、窪みの深さ、幅を80μm、流路の深さ、幅を5μmとした場合、血液試料は、広い空間から、極端に狭い空間に導かれることとなり、仮に平均状態を示す血液試料であっても、血小板等の活性等が変化することにより、検体別の差異が見出せなくなる可能性がある。
したがって、窪みの深さは、人体における毛細血管と同様、例えば、30μm、50μm、80μmと多段形状とすることが好ましい。本発明の製造方法は、原盤となる構造体を作製し、その1枚の構造体から高精度、かつ再現性のよい樹脂製マイクロチャネルアレイを複数製造できることを特徴としている。
半導体加工技術を応用した、エッチング法によるシリコン性プレートの製造では、必要とされる多段の数に応じてエッチング加工が必要となり、加工精度のバラツキ、高コストの問題が生じるのに対し、本発明の製造方法では、寸法精度を満足する構造体を使用することで、加工精度、低コスト化の両立が可能である。
樹脂製マイクロチャネルアレイは、人工透析、血漿交換等の血液浄化治療で使用されている血液回路等の熱可塑性樹脂と同様、感染性廃棄物として焼却処理が可能である。従来技術のエッチング法で作製されるシリコン製プレートは、無機材料であり、焼却処理は不可能である。産業用廃棄物として、埋め立て処理を行うためには、滅菌処理が必要となり、高コストとなる。また、近年の環境問題への意識の高まりに対する適応性が低い。
樹脂製マイクロチャネルアレイでは、将来のディスポーザブル化による廃棄数量の増大に対しても、焼却処理にて対応が可能であり、重ね合わせに使用する基板も樹脂製とすることで、分別処理を必要とせず、一括した焼却廃棄が可能である。更に、ハロゲンを含まないポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂を使用することにより、有害物質であるダイオキシンの発生を避けることができ、一般廃棄物の焼却で使用される通常温度の焼却炉にて、容易に焼却ができ、熱資源として再利用が可能である。
血液測定にて、光学系の検出方式等を採用する場合、CCDカメラ等を用いた実態観察を行う場合等において、樹脂製マイクロチャネルアレイ、及び重ね合わせ基板のいずれか、又は両方を、例えば、反射光、又は透過光測定に応じて、透明とすることが必要である。反射光観察では、光学系の側の基板を透明板とし、反対側の基板を不透明にすればよい。不透明な基板とするには、材料選択の段階にて不透明グレードを選択する、又は透明基板の表面、又は裏面に、例えば、蒸着法にて、アルミ等の無機膜を堆積する方法があげられる。
透明板を通して流路を直接観察することができ、流速の調節、停止等の適切な処置がとれる。透明性を規定する光学物性としては、厚さ1mm板において、全光線透過率80%以上、ヘイズ値10%以下が好ましい。また、光学系の検出方式を採用する場合、使用する光の波長に応じて、例えば、紫外線吸収剤の添加されていない材料を使用する、分子構造に環構造を有していない材料を使用する等、適宜選択することが好ましい。
基板上にレジストパターン形成するステップと、前記基板上に形成された前記レジストパターンを介して基板をエッチングして構造体を形成するステップと、前記構造体に基づいて、樹脂製マイクロチャネルアレイを形成するステップについて説明する。
本形態の樹脂製マイクロチャネルアレイは、
(i)基板上への第1レジスト層の形成
(ii)基板とマスクAとの位置合わせ
(iii)マスクAを用いた第1レジスト層の露光
(iv)第1レジスト層の現像、
(v)基板のエッチング、レジスト剥離
(vi)基板上への第2レジスト層の形成
(vii)基板とマスクBとの位置合わせ
(viii)マスクBを用いた第2レジスト層の露光
(ix)レジスト層の現像
(x)基板のエッチング、レジスト剥離
を行い、溝及び窪みに対応するパターンを有する構造体を形成する。
さらに、上記の工程で形成されたパターンを有する構造体を型(スタンパー)として、樹脂成形品を形成する。これによって、樹脂製マイクロチャネルアレイが製造される。
パターン形成処理について更に詳細に説明する。まず、基板上に、例えば、深さ10μmの微小な溝と深さ80μmの窪みを得ようとした場合、第1レジスト層を介したエッチングの処理時間と、第2レジスト層を介したエッチングの処理時間とを調整する。これにより、基板に所望の深さを有するパターンが形成される。
次に基板をパターンニングして、構造体を製造する工程について図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は、本発明にかかる樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法を示す工程断面図である。
(i)基板1上への第1レジスト層2の形成について説明する。図1(a)に基板1上に第1レジスト層2が形成された状態を示す。基板1としては、例えば、ガラス基板又はシリコン基板を用いることができる。
基板1上に第1レジスト層2を形成する方法は何ら限定されないが、一般的にスピンコート方式、ディッピング方式、ロール方式、ドライフィルムレジストの貼り合わせ等を挙げることができる。なかでも、スピンコート方式は、回転しているガラス基板上にレジストを塗布する方法で、直径300mmを超えるガラス基板にレジストを高い平面度で塗布する利点がある。従って、高い平面度を実現できる観点から、スピンコート方式が好ましく用いられる。
第1レジスト層2として用いられるレジストにはポジ型レジスト、ネガ型レジストの2種類がある。いずれも、レジストの感度、露光条件により、レジストの焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジスト厚さ、感度種類に応じて選択するのが望ましい。用いるレジストがウェットレジストの場合、例えばスピンコート方式で所定のレジスト厚さを得るには、スピンコート回転数を変更する方法と、粘度調整する方法がある。
スピンコート回転数を変更する方法は、スピンコーターの回転数を設定することによって所望のレジスト厚さを得るものである。粘度調整する方法は、レジスト厚さが厚い場合、又は塗布面積が大きくなると平面度が低下することが懸念されるため、実際使用上で要求される平面度に応じて粘度を調整するものである。
例えばスピンコート方式の場合、1回で塗布するレジスト層の厚さは、高い平面度を保持することを考慮し、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは、20〜50μmの範囲内であることが望ましい。高い平面度を保持したうえで、所望のレジスト層の厚さを得るためには、複数のレジスト層を形成することで可能となる。
第1レジスト層2にポジ型レジストを使用した場合、ベーク時間(溶剤の乾燥)が過度に進行しすぎると、レジストが極度に硬化し、後の現像においてパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、ベーク時間を短くする等、適宜選択することが好ましい。
(ii)基板1とマスクA3との位置合わせについて説明する。まず、第1レジスト層のパターンと、第2レジスト層のパターンにおける位置関係を所望の設計通りにするためには、マスクA3を用いた露光時に、正確な位置合わせを行うことが必要となる。位置合わせには、基板1とマスクA3の同位置に切削加工を施しピン固定する方法、レーザー干渉計を用い位置出しする方法、基板1とマスクA3の同位置に位置マークを作製し、光学顕微鏡で位置合わせをする方法等があげられる。
光学顕微鏡で位置合わせをする方法は、例えば、フォトリソグラフ法にて基板に位置マークを作製し、マスクA3にはレーザー描画装置で位置マークを描画する。光学顕微鏡を用いた手動操作においても、5μm以内の精度が簡単に得られる点で有効である。
(iii)マスクA3を用いた第1レジスト層2の露光について説明する。図1(b)に示される工程で使用するマスクA3は何ら限定されないが、エマルジョンマスク、クロムマスク等を挙げることが出来る。レジストパターン形成ステップでは、使用するマスクA3によって寸法、および精度が左右される。そして、その寸法、および精度は、樹脂成形品にも反映される。したがって、樹脂製マイクロチャネルアレイの各寸法、および精度を所定のものとするためには、マスクA3の寸法、および精度を規定する必要がある。マスクA3の精度を高める方法は何ら限定しないが、例えば、マスクA3のパターン形成に使用するレーザー光源をより波長の短いものに変えることを挙げることができるが、設備費用が高額であり、マスクA3の製作費が高額となるため、樹脂製マイクロチャネルアレイが実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。
マスクA3の材質は温度膨張係数、UV透過吸収性能の面から石英ガラスが好ましいが比較的高価であるため、樹脂成形品から実用的に要求される精度に応じて適宜規定するのが望ましい。設計通りの所望の深さ、または高さが異なる構造体、または第1レジストパターンと第2レジストパターンが異なる構造体を得るには、第1レジスト層2、および第2レジスト層4の露光に用いるマスクのパターン設計(透過/遮光部)が確実であることが必要であり、CAE解析ソフトを使用したシミュレーションもその解決策の一つである。
露光に用いられる光源は設備費用が安価である紫外線またはレーザー光であることが好ましい。シンクロトロン放射光は露光深度が深いものの、かかる設備費用が高額であり、実質的に樹脂製マイクロチャネルアレイの価格が高額となるため、工業的に実用的でない。
露光時間や露光強度等の露光条件は第1レジスト層2の材質、厚み等により変化するため、得られるパターンに応じて適宜調節することが好ましい。特に流路の幅、深さ、容器間隔、および容器幅(または直径)、深さ等のパターンの寸法、および精度に影響を与えるため、露光条件の調節は重要である。また、レジストの種類により焦点深度が変わるため、例えばUV露光装置を使用した場合、露光時間、UV出力値をレジストの厚さ、感度に応じて選択するのが望ましい。
なお、第1レジスト層2の露光した後、第1レジスト層2を熱処理することも可能である。この第1レジスト層2の熱処理について説明する。露光後の熱処理は、レジストパターンの形状を補正するためにアニールといわれる熱処理が知られている。ここでは、化学架橋を目的とし、化学増幅系ネガレジストを使用した場合のみに行う。化学増幅系ネガレジストとは、主に、2成分系、または3成分系からなり、露光時の光によって、例えば、化学構造の末端のエポキシ基が開環、熱処理によって架橋反応させるものである。熱処理時間は、例えば膜厚100μmの場合、設定温度100℃の条件下においては数分で架橋反応は進行する。
第1レジスト層2の熱処理が進行しすぎると、後の現像において未架橋部分を溶解させパターンを形成することが困難になることから、設定するレジスト厚さが100μm以上でない場合、熱処理時間を短くする、又は後の第2レジスト層4の熱処理のみとする等、適宜選択することが好ましい。
(iv)第1レジスト層2の現像工程について説明する。図1(c)に、第1レジスト2が現像された状態を示す。第1レジスト層2を現像する方法は、何ら限定されるものではない。例えば、スピン式、ディップ式、スプレー式の現像装置を用いることができる。現像液としては、第1レジスト層2に対して好適なものを用いる。現像液としては、例えば、アルカリ溶液を用いることができる。第1レジスト層2を現像することにより、第1レジスト層2の一部が除去される。したがって、マスクA3のパターンに応じて、基板1の一部が露出する。
(v)基板1のエッチング、レジスト剥離について説明する。図1(d)に基板1がエッチングされた状態を示す。基板1は現像された第1レジスト層2を介してエッチングされる。基板1のエッチングは何ら限定されるものではない。例えば、ウェットエッチング装置又は、ドライエッチング装置を用いてエッチングすることができる。これにより、現像により第1レジスト層2が除去された箇所の基板1がエッチングされ、基板1にパターンを形成することができる。これにより、基板1の露出箇所に凹部が形成される。すなわち、基板1の露出箇所がエッチングされ、第1レジスト層2のパターンに応じたパターンが基板1上に形成される。エッチングは、例えば、樹脂製マイクロチャネルアレイに形成する溝又は窪みに対応する深さまで行なわれる。エッチングが終了したら、第1レジスト層2を剥離する。レジスト剥離方法は、何ら限定されるものではない。例えば、ウェット式レジスト剥離装置又はドライ式のアッシング装置を用いることができる。
ここで、ウェットエッチングとしては、浸漬式エッチング、スプレー式エッチング又は、噴流式エッチングを用いることができる。エッチング液としては、例えば、フッ酸などを用いることができる。もちろん、基板1の材料に応じたエッチング液を用いることができる。
ドライエッチングとしては、例えば、誘導結合方式の反応性イオンエッチング(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:ICP−RIE)等の高密度プラズマエッチングを用いることができる。もちろん、他のプラズマエッチングや集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)等のイオンビームエッチングを用いてもよい。また、ICP−RIEによる加工は、シリコン基板表面に塗布したフォトレジストにフォトリソグラフィ工程によって穴のパターンを形成し、そのフォトレジストをマスクとして反応性イオンの高密度プラズマによるエッチングで穴を形成するものである。ICP−RIE法は、短時間の処理で多数の穴を一度に形成することができるが、FIB加工のようには穴の先端を細くすることができない。FIBエッチングを用いる場合は、レジストの形成、現像、露光工程が不要になる。すなわち、レジストを基板上に形成することなく、エッチングを行なうことができる。
(vi)第2レジスト層4の形成について説明する。図1(e)には、基板1上に第2レジスト層4が形成された状態を示す。この第2レジスト層4は、上記(i)において説明した第1レジスト層2の形成と同様の方法により形成することができる。第2レジスト層4は、エッチング処理された基板1の上に形成される。すなわち、パターンが形成された基板1の上の第2レジスト層4が形成される。第2レジスト層4は、凹凸形状となっている基板1の全体が覆われる厚さで形成される。
また、スピンコート方式にて、ポジ型レジストを使用してレジスト層を形成する場合、ベーク時間を通常の1.5〜2.0倍程度とすることで、耐アルカリ性を発現させることができる。これにより、第1レジスト層2と第2レジスト層4の現像終了時、第2レジスト層2のレジストパターンの溶解、または変形を防止することができる。
(vii)基板1とマスクB5との位置合わせについて説明する。基板1とマスクB5の位置合わせは、上記(ii)において、説明した基板1とマスクA3との位置合わせ方法と同様の要領にて、実施する。
(viii)マスクB5を用いた第2レジスト層4の露光について説明する。マスクB5を用いた第2レジスト層4の露光は、上記(iii)において説明したマスクA3を用いた第1レジスト層2の露光方法と同様の要領にて実施する。図1(f)に第2レジスト層4の露光の様子を示す。
また、第2レジスト層4に対して熱処理を行ってもよい。第2レジスト層4の熱処理について説明する。第2レジスト層4の熱処理は、基本的に、第1レジスト層2の熱処理と同様である。熱処理によって化学架橋が進行し、架橋密度を高めることで耐アルカリ性が発現する。耐アルカリ性を発現させるための熱処理時間は、通常の1.1〜2.0倍の範囲からレジストの厚さに応じて適宜選択することが好ましい。
(ix)第2レジスト層4の現像について説明する。図2(g)には、第2レジスト層4が現像された状態が示されている。第1レジスト層4の現像は、基本的に、第1レジスト層2の現像と同様である。もちろん、第2レジスト層4と第1レジスト層2とが異なる材料のレジストである場合は、異なる現像液を用いてもよい。図2(g)に示される工程の現像は用いたレジストに対応する所定の現像液を用いることが好ましい。現像時間、現像温度、現像液濃度等の現像条件はレジスト厚みやパターン形状に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、必要な深さを得るために現像時間を長くしすぎると、所定の寸法よりも大きくなってしまうため、適宜条件を設定することが好ましい。現像処理により第2レジスト層4が除去された箇所では、基板1が露出する。
第1レジスト層2及び第2レジスト層4全体の厚みが増してくると、現像工程において、レジスト底部の幅(または直径)よりも表面の幅(または直径)が広くなることが懸念される。レジストを複数層形成する場合、各レジスト層の形成において、感度の異なるレジストを段階に分けて形成することが好ましい場合がある。この場合には、例えば、表面に近い層のレジストの感度を底部に近い層よりも高くすることなどが挙げられる。さらに具体的には、感度の高いレジストとして東京応化工業株式会社製のBMR C−1000PMを、そして感度の低いレジストとして東京応化工業株式会社製のPMER−N−CA3000PMを用いることができる。その他、レジストの乾燥時間を変えることにより感度を調整するようにしてもよい。例えば、東京応化工業株式会社製のBMR C−1000PMを使用した場合、スピンコート後のレジスト乾燥時、1層目の乾燥時間を110℃で20分、2層目の乾燥時間を110℃で40分とすることで、2層目の感度を高めることができる。
成形品の上面、または微細パターン底部の平面精度を高める方法としては、例えば、レジスト塗布で使用するレジスト種類(ネガ型、ポジ型)を変更してガラス表面の平面性を利用する方法、構造体の表面を研磨する方法などがあげられる。
尚、所望の造型深さを得るために複数のレジスト層を形成する場合、それら複数のレジスト層を同時に露光・現像処理する、あるいは、一つのレジスト層を形成及び露光処理した後、さらにレジスト層の形成及び露光処理を行い、2つのレジスト層を同時に現像処理することが可能である。
(x)基板1のエッチング及び第2レジスト層4の剥離について説明する。基板1のエッチング及び第2レジスト層4の剥離は、基本的に、(v)で示したエッチング及びレジスト剥離と同様である。したがって、基板1は第2レジスト層4を介してエッチングされる。すなわち、基板1の露出箇所に凹部が形成される。これにより、現像された第2レジスト層4のパターンに対応するパターンを基板1上に形成することができる。基板1は、マイクロチャネルアレイに形成する溝又は窪みに対応する深さまで、エッチングされる。これにより、マイクロチャネルアレイの溝及び窪みに対応するパターンが基板1上に形成される。そして、エッチングが終了したら、第2レジスト層4を剥離する。図2(h)には、第2レジスト層4を剥離した状態が示されている。これにより、樹脂製マイクロチャネルアレイに形成される流路の逆パターンの凹凸形状を有する構造体20を製造することができる。すなわち、基板1に形成されたパターンは、樹脂製マイクロチャネルアレイの第1の基板に形成される溝及び/又は窪みに対応した形状を有している。この構造体20に基づいて、樹脂製マイクロチャネルアレイの流路に対応する溝及び窪みを有する樹脂成形品が製造される。
構造体20はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。また、構造体20はその表面状態を改善するために、離型剤等で表面処理しても構わない。なお、構造体20の深さ方向の傾斜角度は、樹脂成形品の形状を損なうことなく、かつ収率よく得るため、50°〜90°であることが望ましく、より望ましくは60°〜87°である。構造体20の深さ方向の傾斜角度を高くするためには、異方性エッチングを用いることが好ましい。
成形品形成ステップについて更に詳細に説明する。成形品形成ステップは、図2(i)に示されるように、前記構造体20を型として、樹脂成形品9を形成する工程である。樹脂成形品9の形成方法は特に限定されないが、例えば射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホットエンボス成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができ、生産性、型転写性の観点から射出成形が好ましく用いられる。これにより、構造体20のパターンの凹凸形状が、樹脂成形品9に転写される。この樹脂成形品9が樹脂製マイクロチャネルアレイを構成する第1の基板となる。すなわち、樹脂成形品9を第1の基板として、第2の基板と貼り合わせる。このとき、樹脂成形品9のパターンが形成された面が第2の基板と接するようにして、両基板が貼り合わせられる。すなわち、第1の基板と第2の基板とは貼り合わせられ、樹脂成形品9のパターンが形成された面が第2の基板と対向する。これにより、樹脂成形品9に形成された窪み及び溝が樹脂製マイクロチャネルアレイの流路となる。すなわち、構造体20のパターンに応じて樹脂成形品9に形成された溝及び窪みが樹脂製マイクロチャネルアレイの流路となる。
このように、基板1をエッチングすることにより得られた構造体20に基づいて樹脂成形品9が形成される。すなわち、上記の溝及び窪みは、基板1をエッチングすることによって得られたパターンに基づいて形成される。したがって、流路及びマイクロチャネルに対応する溝及び窪みをウェットエッチング又はドライエッチングによって得られたパターンに基づいて形成することが可能である。例えば、流路及びマイクロチャネルに対応する溝及び窪みを、ウェットエッチングによって得られたパターンに基づいて形成することが可能である。また、マイクロチャネルに対応する溝及び窪みをドライエッチングによって得られたパターンに基づいて形成し、流路に対応する溝及び窪みをウェットエッチングによって得られたパターンに基づいて形成してもよい。さらには、流路及びマイクロチャネルに対応する溝及び窪みをドライエッチングによって得られたパターンに基づいて形成することも可能である。
シリコンを材料とした半導体微細加工技術には、シリコン基板の材料コストが高価である、1枚毎にフォトリソグラフを行うために加工費が高価となる、1枚毎の微細な流路の寸法精度にバラツキを生じるといった問題を有していた。これに対し、所定の寸法を選択した構造体20を型として射出成形で樹脂成形品9を形成する場合、構造体の形状を高い転写率で樹脂成形品9に再現することが可能である。汎用の樹脂材料を使用することにより材料コストを低くできる、低コスト化(量産化)に適した製造法である、高い寸法精度を満足する、などの各点で優れている。
転写率を確認する方法としては、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、CCDカメラ等を使用して行うことができる。既に量産実績のある光ディスクの品質管理技術を、樹脂製マイクロチャネルアレイにも適用させることで、各種寸法データ、基板の平面性データ、内部在留応力データ等を、数万個単位のロット単位にて、標準偏差値に基づいた把握、管理が可能である。
構造体20を型として、例えば射出成形で樹脂成形品9を形成する場合、1枚の構造体20で1万枚〜5万枚、場合によっては20万枚もの樹脂成形品9を得ることができ、樹脂成形品9の製作にかかる費用負担を大幅に解消することが可能である。また、射出成形1サイクルに必要な時間は5秒〜30秒と短く、生産性の面で極めて効率的である。射出成形1サイクルで同時に複数個の樹脂成形品9を形成可能な成形金型を使用すれば、更に生産性を向上することが可能となる。上記成形方法では構造体20を型として用いても、構造体20を予め用意した型内部にセットして用いても構わない。
樹脂成形品9を形成するのに使用する樹脂材料としては特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂(MS樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、スチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン樹脂、酢酸ビニル系樹脂(商品名:エクセバール)、ポリビニルブチラール系樹脂等を挙げることができる。
これらの樹脂は必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの1種または2種以上を含有することができる。
樹脂成形品9の平面度の最小値は、工業的に再現し易い観点から1μm以上であることが好ましい。樹脂成形品の平面度の最大値は、例えば、該樹脂成形品9を他の基板と貼り合わせ、または重ね合わせて使用する際に支障とならない観点から200μm以下であることが好ましい。樹脂成形品の造形部に対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
樹脂成形品9の厚さに対する寸法精度は、工業的に再現し易い観点から±0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。樹脂成形品9の厚さは特に規定されないが、射出成形での取り出し時の破損、取り扱い時の破損、変形、歪みを考慮し、0.2〜10mmの範囲内であることが好ましい。樹脂成形品9の寸法は特に限定されないが、リソグラフィー法でレジストパターンを形成する際、例えば、レジスト層の形成をスピンコート法にて行う場合、直径400mmの範囲の中から採取できるよう用途に応じて適宜選択することが好ましい。
血液測定において、樹脂製マイクロチャネルアレイの単一、又は複数の流入口に、個別、又は同時に生理食塩水、血液試料、試薬を流すことによって、各種検体に応じた測定データを得ることが可能となる。更に、測定装置側の流入口近傍、又は流出口近傍、あるいはその両方に流量の制御系を有することにより、血液測定を行う作業者が、簡便に最適な流れ状態を繰り返し再現することができ、血液検査効率の向上が期待できる。樹脂製マイクロチャネルアレイを流れる血液若しくはその成分は出口端で回収され、必要に応じて元に戻される、あるいは、別の測定系に運ばれる。
流路によって連通される窪みの流入口、流出口、又は流路部に光を照射する光学系と、該流路から反射、又は透過される光の変量を測定することで、より定量的なデータを得ることが可能である。使用される光学系には、蛍光顕微鏡、レーザー顕微鏡、レーザースキャナー等があげられる。螢光物質で各血球細胞若しくは液体成分のいずれかを螢光発色させる、又は各血球細胞から発する蛍光強度を識別することにより、種類の異なる血球間及び血球と周囲の液体間の識別が極めて容易になる。測定ポイントの増加、及び測定データの集計評価を行うためには、コンピューターを用いたシステムプログラムを適用することが好ましい。
血液測定において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口での血液の各有形成分の数の増減、あるいは血液の各有形成分による溝流路の閉塞状況を測定し、それにより血液の各有形成分の流れ特性あるいは活性度を求めることができる。更に加えて、例えば、トータルコレステロールの高い被験者は、実際の血液が、毛細血管と同じ微細流路を有する樹脂製マイクロチャネルアレイ上で、閉塞する様子を実際に目視することができ、生活習慣病の要因の一つとされる食習慣の改善の必要と認識する絶好の機会となる。治療医学から、予防医学への関心の高まりを、このような目視によって実際に貢献できる。
血液試料の流し方は、他方で生理活性物質の濃度差のみによる特定の血球細胞の遊走を測定することを可能にしている。即ち、流路入口側と出口側の間に静水圧差に代えて生理活性物質の濃度差を設けることにより、その生理活性物質の濃度差を認識できる血球細胞のみが流路内に遊走してくる。その個数、通過時間を測定すれば血液測定が可能になる。
血液測定において、生理活性物質に暴露後の血液試料に対して行うことでも、検体別の差異を確認可能であり血液測定を行うことができる。
血液測定において、表面プラズモン共鳴現象による測定が可能である。表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)現象による検出方式とは、蒸着法等により金などの薄膜をしたプレートに光を入射し、薄膜表面の誘電率変化を反射光強度の変化として高感度で検出するものである。表面プラズモン共鳴装置は、その現象を応用し、極めて高感度が要求される生体分子間の反応・結合量の測定および速度論的解析に活用され始めている。
樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定においても、表面プラズモン共鳴現象による検出が期待できる。あらかじめ、樹脂製マイクロチャネルアレイ、又は、重ね合わせ基板に、蒸着法等によって金などの薄膜を堆積させておき、例えば、微細な流路に固定化された白血球の活性度を、薄膜表面の誘電率変化(反射光強度の変化)にて検出し、電気信号への変換、及び増幅を行う。検体別の活性度の差異を、正確に数値化することができる。表面プラズモン共鳴センサーは、半導体加工技術による微細化が進んでおり、窪み、微細な流路の部位を特定した測定が可能である。
血液測定において、電気化学的に電気的変位量を検出するセンサによる測定が可能である。例えば、FETセンサがあげられる。Ion Sensitive FETセンサはSiチップの表面をSiO−Si膜で覆い、表面に吸着する化学種によって生ずる電位変化を電界効果トランジスタ(FET)で増幅する方式である。極めて高感度が要求される生体分子間の反応等への応用研究が進んでおり、超微小グルコースセンサなどが発表されている。
樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定においても、FETセンサによる検出が期待できる。例えば、重ね合わせ基板にFETセンサ、及び電極を固定しておき、例えば、微細な流路に固定化された白血球の活性度を、電極表面の電位変化にて検出し、電気的増幅を行う。検体別の活性度の差異を、正確に数値化することができる。
各基板の位置合わせを行う方法として、該基板の表面、裏面に凹凸パターンを形成することで、重ね合わせ時に位置精度よく密着させる方法、該基板の外形端部を治具により固定化する方法、貫通穴に位置決めピンを用いて固定する方法、CCDカメラ、レーザー系の光学装置を用いて観察、位置調整する方法等があげられる。FETセンサは、半導体加工技術による微細化が進んでおり、窪み、微細な流路の部位を特定した測定も可能である。樹脂製マイクロチャネルアレイをディスポーザブルとし、重ね合わせ基板を繰り返し使用とすることで、検査にかかるコストを低減できる。
血液測定において、超音波センサによる測定が可能である。極めて高感度が要求される生体分子間の反応等への応用研究が進んでいる。樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定においても、超音波センサによる検出が期待できる。例えば、重ね合わせ基板に超音波センサ、及び電極を固定しておき、例えば、微細な流路に固定化された白血球の活性度を、微弱な周波数変化幅として検出し、電気信号への変換、増幅を行う。検体別の活性度の差異を、正確に数値化することができる。超音波センサは、半導体加工技術による微細化が進んでおり、窪み、微細な流路の部位を特定した測定も可能である。樹脂製マイクロチャネルアレイをディスポーザブルとし、重ね合わせ基板を繰り返し使用とすることで、検査にかかるコストを低減できる。
なお、上記の説明では、基板1をエッチングで加工して、型となる構造体20を形成したが、本発明にかかる製造方法はこれに限定されるものではない。例えば、基板1を機械切削により加工して、構造体20を製造してもよい。すなわち、精密機械切削によって、基板1に溝又は窪みに対応するパターンを形成する。これにより、上記と同様の形状を有する構造体20が形成される。この構造体20に基づいて樹脂成形品9を成形する。この樹脂成形品9が樹脂製マイクロチャネルアレイを構成する第1の基板となる。このように、機械切削によって製造された構造体20に基づいて第1の基板となる樹脂成形品9を作製する。この樹脂成形品9を第1の基板として樹脂製マイクロチャネルアレイを製造する。これにより、フォトリソグラフィー法によって樹脂成形品9を作製した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性よく製造することができる。さらに、樹脂製マイクロチャネルアレイの流路を精密に作製することができるため、血液測定を効率よく行なうことができる。したがって、血液測定に好適な樹脂製マイクロチャネルアレイを作製することができる。機械切削を行なう基板1の材料を特に限定されるものではない。例えば、樹脂、金属、ガラス等を用いることができる。
さらに、上記の構造体20に金属を付着して、金属構造体を形成してもよい。すなわち、エッチング又は機械切削により製造した構造体20に基づいて金属構造体を形成する。そして、この金属構造体を型(スタンパー)として、樹脂成形品を形成することが可能である。この金属構造体製造工程について説明する。金属構造体形成ステップとは構造体形成ステップで得られたパターンに沿って金属を堆積させ、金属構造体の凹凸面を構造体20のパターンに沿って形成することにより、金属構造体を得る工程である。
例えば、図3(a)に示すように、図1及び図2で示した製造工程によって構造体20を作製する。そして、図3(b)に示すように、構造体20のパターン形成面に、導電性膜7を付着する。これにより、構造体20のパターンにしたがって導電性膜7が形成される。該導電性膜7の形成方法は特に限定されないが、好ましくは蒸着、スパッタリング等を用いることができる。導電性膜7に用いられる導電性材料としては金、銀、白金、銅、アルミニウムなどを挙げることができる。導電性膜7は基板1に形成されたパターンの上面、及びパターンの側面の全体に堆積される。
図3(c)に示されるように、導電性膜7を形成した後、パターンに沿って金属をメッキにより堆積して金属構造体8を形成する。金属を堆積させるメッキ方法は特に限定されないが、例えば電解メッキ、無電解メッキ等を挙げることができる。用いられる金属は特に限定されないが、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、銅、金を挙げることができ、経済性・耐久性の観点からニッケルが好ましく用いられる。これにより、構造体20のパターンの凹凸形状が、金属構造体8に転写される。
このように、エッチング又は機械切削により形成された構造体20に基づいて、金属構造体8を形成し、この金属構造体8を型として、樹脂成形品9を成形する。すなわち、樹脂成形品9の型となる金属構造体8の原盤として、構造体20を作製する。これにより、露光、エッチングなどの処理を行なうことなく、樹脂成形品9の型となる金属構造体8を製造することができる。すなわち、一つの構造体20に対して、導電性膜7の堆積、金属構造体8の形成を繰り返し行なうことにより、多数の金属構造体8を作製することができる。したがって、生産性を向上することができる。この場合、構造体20のパターン形状は、金属構造体8パターン形状の逆型、すなわち、樹脂成形品9のパターン形状と同型になる。
金属構造体8はその表面状態に応じて研磨しても構わない。ただし、汚れが造形物に付着することが懸念されるため、研磨後、超音波洗浄を実施することが好ましい。また、金属構造体8はその表面状態を改善するために、離型剤等で表面処理しても構わない。なお、金属構造体8の深さ方向の傾斜角度は、樹脂成形品の形状を損なうことなく、かつ収率よく得るため、50°〜90°であることが望ましく、より望ましくは60°〜87°である。メッキにより堆積した金属構造体8はレジストパターンから分離される。
金属構造体8を用いた成形品形成ステップについて更に詳細に説明する。成形品形成ステップは、図3(d)に示されるように、前記金属構造体8を型として、樹脂成形品9を形成する工程である。樹脂成形品9の形成方法は特に限定されないが、例えば射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホットエンボス成形、押出成形によるロール転写法等を挙げることができ、生産性、型転写性の観点から射出成形が好ましく用いられる。
これにより、金属構造体8に形成された凹凸パターンが樹脂成形品9に転写される。したがって、構造体20を用いて樹脂成形品9を形成した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、金属構造体8に基づいて作製された樹脂成形品9を樹脂製マイクロチャネルアレイの第1の基板とする。そして、樹脂成形品9を用いて樹脂製マイクロチャネルを作製する。これにより、樹脂製マイクロチャネルアレイを生産性よく製造することができる。さらに、樹脂製マイクロチャネルアレイの流路を精密に作製することができるため、血液測定を効率よく行なうことができる。したがって、血液測定に好適な樹脂製マイクロチャネルアレイを作製することができる。
さらに別の方法により、構造体20を製造することが可能である。基板1上に形成したレジストパターンによって、構造体20のパターンを形成することも可能である。すなわち、基板1上にレジスト層を形成し、このレジスト層を露光、熱処理、現像することによって、レジストパターンを形成する。このレジストパターン付きの基板1が構造体20となる。そして、基板1上に残存するレジストパターンの上から図3(b)で示した工程と同様に、導電性膜7を成膜する。さらに、図3(c)で示した工程と同様に、メッキ法によって、金属構造体8を形成する。金属構造体8には、基板1上に形成されたレジストパターンの凹凸形状が転写される。この金属構造体8を型として用いて、図3(d)で示した工程と同様に、樹脂成形品9を成形する。これにより、同様の効果を得ることができる。レジストパターンは、第1レジスト層2や第2レジスト層4と同様の工程により、形成することができる。この場合、成形品形成ステップで得られる樹脂製マイクロチャネルアレイの平面度は、基板1上へレジストを形成する工程にて決定づけられる。すなわち、基板1上にレジスト層を形成した時点の平面度が構造体、ひいては樹脂製マイクロチャネルアレイの平面度に反映される。なお、2層以上のレジストパターンを同時に現像してもよい。
さらに、上記の方法を2つ以上組み合わせて、構造体20又は、金属構造体8を製造することも可能である。すなわち、基板1のエッチング、機械切削及びレジストパターン形成のうちの2つ以上を組み合わせて構造体20又は、金属構造体8を製造することが可能である。例えば、機械切削によって加工した後、基板のエッチングを行い、構造体20を形成してもよい、もちろん、基板をエッチングした後、機械切削を行ない、構造体20を形成してもよい。そして、この構造体20を型として用いて直接、樹脂成形品を作製する。あるいは、構造体20にしたがって、金属構造体8を形成し、この金属構造体8を型として樹脂成形品9を作製する。このように、金属構造体8を型として製造することによって、構造体8を型として製造した場合と同様の効果を得ることができる。さらに、金属構造体8に形成されたパターンにしたがって、さらに金属を付着することによって得られた金属構造体を型として、樹脂製マイクロチャネルアレイを製造してもよい。すなわち、金属構造体8に形成されたパターンの上に第2の金属構造体を形成する。この第2の金属構造体と金属構造体8とを分離し、第2の金属構造体を型として用いる。この場合、第2の金属構造体は、金属構造体8の逆パターンになる。金属構造体8によって、第2の金属構造体を繰り返し生産することができるため、生産性を向上することができる。
さらには、レジストパターンが形成された基板1に対して、エッチング又は機械切削を行なってもよい。この場合、レジストパターンの形成面から基板1及び/又はレジストパターンに対して、エッチング又は機械切削を行なう。すなわち、レジストパターン上から、基板1に対してエッチング又は機械切削を行って加工を施してもよい。これにより、基板の表面に所望の凹凸形状を形成することができる。
また、別の方法として、上記の工程で製造された金属構造体8にウェットエッチング又は機械切削によって加工を施してもよい。例えば、基板のエッチング、機械切削又はレジストパターンの形成によって構造体20を作製する。この構造体20に基づいて形成された金属構造体8上にレジストパターンを形成し、金属構造体8をエッチングする。あるいは、この金属構造体8を機械切削する。これにより、金属構造体8が加工され、窪み及び又は溝に対応した所望のパターンを形成することができる。この加工された金属構造体8を型として、樹脂製マイクロチャネルアレイを作成する。加工された金属構造体8に形成されたパターンにしたがって、さらに金属を付着することによって得られた金属構造体を型として、樹脂製マイクロチャネルアレイを製造してもよい。これらの製造方法によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、パターンの形成を3回以上繰り返し行い、3段以上の凹凸形状を有する構造体20又は金属構造体8を作製してもよい。
上記の工程によって作製可能な樹脂製マイクロチャネルアレイの形状について説明する。外形は横16mm×縦8mm、厚さ1.0mmの基板とし、左端部に流入口、右端部に流出口となる直径1.6mmの貫通穴を作製することができる。窪み相互を区画する壁部は15本とし、1本の溝に微小な溝を340本、合計5100本有する形状とすることができる。外形図を図2に示す。図4(a)は樹脂製マイクロチャネルアレイの上面図、図4(b)はその断面図である。
この樹脂製マクロチャネルアレイは、第1の基板10と第2の基板16が重ね合わされて構成される。第1の基板10には、窪み13が設けられている。窪み13は、一方の端部近傍において形成された矩形状の窪み131と、他方の端部近傍に形成された矩形状の窪み132を有する。それぞれの窪み131、132からは、中央に向って、複数本の長尺状の窪み1311、1321が設けられている。当該長尺状の窪みは、窪み131から延出した窪み1311と窪み132から延出した窪み1321とが交互に配置されている。そして隣接する窪み間には、壁部14が形成されることになる。壁部14は、完全に隣接する窪み1311、1321間を区切るものではなく、多数の微小溝が設けられている。この例では、1つの壁部14当たり340本の微小溝が設けられている。かかる窪み1311、1321を連通する微小溝が流路となる。
第1の基板10には、生理食塩水、血液試料や試薬が流入される流入口11が設けられている。この流入口11は、第1の基板10の窪み131に設けられた貫通孔である。流入口11から離れた位置に流出口12が設けられている。この流出口12も、第1の基板10の窪み132に設けられた貫通孔である。この例では、流入口11及び流出口12は共に直径1.6mmの円筒状の孔である。
図2(b)に示されるように、第1の基板10の窪み13設けられた側の面には、第2の基板16が重ね合わされ、窪み13及び微小溝と第2の基板16の間に空間が形成される。
流入口11に血液試料等が流入されると、窪み131の空間から長尺状の窪み1311に流れる。そして、血液試料等は窪み1311と窪み1321間に設けられた微小溝を通過し、窪み1321に流れる。この微小溝を通過する血液試料等に含まれる白血球や血小板等を観察する。窪み1321より窪み132に流れた血液試料等は流出口12から流れ出る。
また、上記の工程によって作製された構造体20に基づいて図5に示すような、横16mm×縦8mm、厚さ1.0mmの基板に、幅10μm、深さ7μmの微細な溝15と、深さ80μmの窪みを有する樹脂製マイクロチャネルアレイを製造することも可能である。図5(b)は、図5(a)におけるP部分、Q部分の拡大上面図である。
さらに、上記の工程によって作製された構造体20に基づいて、図6に示すような、横16mm×縦8mm、厚さ1.0mmの基板に、幅7μm、深さ5μmの微細な溝と、深さ80μmの窪みを有する樹脂製マイクロチャネルアレイ基板を製造することも可能である。図6(b)は、図6(a)におけるP部分、Q部分の拡大上面図である。
本発明において、樹脂製マイクロチャネルアレイを形成する工程を示す模式図である。 本発明において、樹脂製マイクロチャネルアレイを形成する工程を示す模式図である。 本発明において、樹脂製マイクロチャネルアレイを形成する工程を示す模式図である。 本発明によって製造可能な樹脂製マイクロチャネルアレイの外形図である。 本発明によって製造可能な樹脂製マイクロチャネルアレイ基板の外形の詳細図である。 本発明によって製造可能な樹脂製マイクロチャネルアレイ基板の外形の詳細図である。
符号の説明
1 基板
2 第1レジスト層
3 マスクA
4 第2レジスト層
5 マスクB
6 レジストパターン
7 導電性膜
8 金属構造体
9 樹脂製プレート
10 第1の基板
11 流入口
12 流出口
13 窪み
14 壁部
15 微小な溝(微小な流路)
16 平面を有する第2の基板
20 構造体

Claims (18)

  1. 一端部に形成された流入口
    他端部に形成された流出口と、
    前記流入口が形成される第1の窪みと、
    前記流出口が形成される第2の窪みと、
    前記第1及び第2の窪みを互いに区画する壁部と、
    前記壁部上に形成され、前記第1及び第2の窪みを互いに連通する微小な溝と、を有してなる第1の基板と
    前記第1の基板の表面に接合ないし圧着される平面を有する第2の基板と、を備え
    前記第1の基板と前記第2の基板の接合部ないし圧着部に前記第1及び第2の窪み及び前記溝によって形成される空間を流路として有し、
    前記溝の幅、深さがそれぞれ1〜50μmの範囲内であり、かつ、該流路の幅と深さの比が1:10〜10:1の範囲内である樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、
    基板をエッチングして、前記窪み及び/又は前記溝に対応するパターンを有する構造体を製造する工程と
    前記構造体に基づいて、前記第1の基板を形成する工程と、を備え、
    前記第1の基板を形成する工程において、
    前記第1の窪みに、前記流入口を形成する矩形部から前記流出口側に向かって互いに平行に延びた複数の長尺部を設け、
    前記第2の窪みに、前記流出口を形成する矩形部から前記流入口側に向かって互いに平行に延びた複数の長尺部を設け、
    前記第1の窪みの長尺部と、前記第2の窪みの長尺部とを、交互に配置することを特徴とする樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  2. 前記基板がガラス又はシリコンにより形成されている請求項1に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  3. 一端部に形成された流入口
    他端部に形成された流出口と、
    前記流入口が形成される第1の窪みと、
    前記流出口が形成される第2の窪みと、
    前記第1及び第2の窪みを互いに区画する壁部と、
    前記壁部上に形成され、前記第1及び第2の窪みを互いに連通する微小な溝と、を有してなる第1の基板と
    前記第1の基板の表面に接合ないし圧着される平面を有する第2の基板と、を備え
    前記第1の基板と前記第2の基板の接合部ないし圧着部に前記第1及び第2の窪み及び前記溝によって形成される空間を流路として有し、
    前記溝の幅、深さがそれぞれ1〜50μmの範囲内であり、かつ、該流路の幅と深さの比が1:10〜10:1の範囲内である樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法であって、
    基板を機械切削して、前記窪み及び/又は前記溝に対応するパターンを有する構造体を製造する工程と
    前記構造体に基づいて、第1の基板を形成工程と、を備え、
    前記第1の基板を形成する工程において、
    前記第1の窪みに、前記流入口を形成する矩形部から前記流出口側に向かって互いに平行に延びた複数の長尺部を設け、
    前記第2の窪みに、前記流出口を形成する矩形部から前記流入口側に向かって互いに平行に延びた複数の長尺部を設け、
    前記第1の窪みの長尺部と、前記第2の窪みの長尺部とを、交互に配置することを特徴とする樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  4. 前記基板上にレジストパターンが形成されており、
    前記レジストパターンの形成面から、前記基板及び/又は前記レジストパターンに対して前記エッチング又は前記機械切削が行なわれて、前記構造体が製造される請求項1、2又は3に記載の製造方法。
  5. 前記構造体に対して、レジストパターンを形成し、
    当該レジストパターンの上から金属を付着し、金属構造体を形成する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  6. 前記金属構造体に対して、機械切削又はエッチングを行なうことにより、当該金属構造体を加工する請求項5に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  7. 前記構造体又は前記金属構造体を型として、前記樹脂製マイクロチャネルアレイを成形する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  8. 前記構造体又は前記金属構造体に形成されたパターンにしたがって、金属を付着することによって得られた金属構造体を型として前記樹脂製マイクロチャネルアレイを成形する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  9. 前記樹脂製マイクロチャネルアレイに基づいて得られた前記型を用いることを特徴とする請求項7又は8に記載の樹脂製マイクロチャネルアレイの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法であって、樹脂製マイクロチャネルアレイの単一、又は複数の流入口から、個別、又は同時に生理食塩水、血液試料、試薬を流し、更に測定装置側の流入口近傍及び/又は流出口近傍に流量の制御系を有することにより、各種血液測定に最適な状態を繰り返し再現することを特徴とする血液測定方法。
  11. 流路によって連通される窪みの流入口、流出口、又は流路部に光を照射する光学系と、該流路から反射、又は透過される光の変量を測定する計測系を有する請求項10記載の血液測定方法。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口での血液の各有形成分の数の増減、あるいは血液の各有形成分による溝流路の閉塞状況を測定し、それにより血液の各有形成分の流れ特性あるいは活性度を求めることを特徴とする血液測定方法。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法により製造した樹脂製マイクロチャネルアレイを用いた血液測定方法において、流路によって連通される窪みの流入口、流出口の間に生理活性物質の濃度差を設けることにより、流路を介して白血球の移動を起こらしめ、その後の各窪みでの白血球分画の数の増減、あるいは白血球による流路の閉塞状況を測定し、それにより白血球分画の遊走能、粘着能を求めることを特徴とする血液測定方法。
  14. 生理活性物質に暴露後の血液試料に対して血液測定を行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の血液測定方法。
  15. 血液測定を、蛍光物質で各血球細胞もしくは液体成分のいずれかを蛍光発色させて行うことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の血液測定方法。
  16. 前記第1の基板、又は第2の基板のいずれかに金などの薄膜を堆積させ、流路によって連通される窪みの流入口、流出口、又は流路部の誘電率変化を、表面プラズモン共鳴現象による反射光強度の変化として検出する計測系を有する請求項10記載の血液測定方法。
  17. 流路によって連通される窪みの流入口、流出口又は流路部に、電気化学的に微弱な電気的変位量を検出するセンサを有し、定量評価を行うために電気的増幅を行う請求項10記載の血液測定方法。
  18. 流路によって連通される窪みの流入口、流出口又は流路部に、超音波による微弱な周波数変化幅を検出するセンサを有し、定量評価を行うために電気信号への変換、及び増幅部を行う請求項10記載の血液測定方法。
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