JP2005270647A - 象牙質の再生方法及びこれに用いる移植物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 う蝕などの歯科疾患患者を治療することを可能にする象牙質の再生方法を提供すること。
【解決手段】 歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群を必要に応じて培養して増殖させた後に、セラミックス系多孔質担体に播種することを含む、象牙質の再生方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群を必要に応じて培養して増殖させた後に、セラミックス系多孔質担体に播種することを含む、象牙質の再生方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、象牙質の再生方法に関する。より詳細には、本発明は、歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞をセラミックス系多孔質担体で培養することにより象牙質を再生する方法に関する。本発明はさらに、上記方法により再生された象牙質に関する。本発明はさらに、上記方法により再生された象牙質を用いて歯科患者を治療する方法に関する。
現代社会は高齢化社会であり、数年後には日本国民人口の約20%が65歳以上の高齢者になることが予想されている。これら高齢者の大多数は、一部又は全部の歯牙を喪失しており、多くの人は可綴式義歯(いわゆる入れ歯)を使用している。従来の義歯は、着脱が必要で装着感もよくないなどの実際的問題のみならず、心理的にも老化の象徴といった印象があり、できれば義歯を使用したくないというのが患者の一般的認識である。さらに、全ての歯牙を喪失した場合に、総義歯を装着すると、その咀嚼能力は通常の天然歯牙の約5分の1となることが知られている。さらに、脳に対する咀嚼刺激は痴呆防止の効果があり、咀嚼力の低下は痴呆の促進になることが明らかになってきている。
歯牙喪失の理由としてう蝕や歯周疾患が挙げられる。重度のう蝕により歯髄炎や歯髄壊死を起こした歯牙を温存するための治療としては根管治療が広く行なわれている。これはう蝕により感染した歯髄組織を除去し、人工的な薬剤で充填させる治療法であるが、根管が複雑な形状をしているために根管内を完全に密閉することが出来ず、根管及び象牙細管内の細菌を完全に除去できていない場合、二次感染を起こし再度治療をしなければならず、根管治療を行った歯牙の寿命は短いと言われている。歯牙を長期間維持するためには歯髄を可及的に温存し、根管治療の成功率を上げる必要がある。これらの問題を解決するためにも天然の象牙質を再生させれば完全に密閉することができるようになり、髄腔の穿孔やう蝕の治療による露髄部を閉鎖させることや、根管治療での充填材としても利用することが可能である。
天然の象牙質を再生させて治療に使用する方法が提案され、検討が行なわれている。例えば、非特許文献1には、培養ヒト歯髄細胞をハイドロキシアパタイト(以下HApと略す)とリン酸3カルシウム(以下TCPと略す)の複合体の粉体に播種した試料をヌードマウス皮下へ移植して6週間後に摘出することが開示される。この結果、摘出後のHE染色像から硬組織形成が確認され、さらにこの試料から抽出したRNAを、RT-PCRを用いて評価したところ、象牙芽細胞の分化マーカーのmRNAが発現していること、すなわち、得られた硬組織が象牙質様組織であったことが開示されている。ただし、形成された硬組織の量は非常に少なく、臨床応用にはより多量の象牙質再生が求められる。
さらに特許文献1には、TCPやHApなどのリン酸カルシウム系化合物粉体や多孔質アパタイトが記載されている。特許文献1では、α-TCPやHApなどのリン酸カルシウム系化合物とコラーゲンを用いて歯などの組織の石灰化を促進できることが記載されているが、細胞凝集体を作るために膨大な細胞数を事前に準備する必要があり、臨床へと応用させるのは細胞を大量に用意しなくてはならない点で困難である。
S.Gronthosら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2000,5;97(25):13625-30
特開平10-243996号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、少ない細胞数で臨床応用可能なほど多量な象牙質を提供すること、より具体的にはう蝕などの歯科疾患を治療することを可能にする象牙質の再生を解決すべき課題とした。さらに本発明は、再生した象牙質を用いたう蝕などの歯科疾患の治療を解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞を所定のセラミックス系多孔質担体に播種することにより、象牙質を効率よく形成することができることを実証した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明の第1の特徴によれば、歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群を必要に応じて培養して増殖させた後に、セラミックス系多孔質担体に播種することを含む、象牙質の再生方法が提供される。
本発明の第2の特徴によれば、上記セラミックス系多孔質担体が、40%〜70%の気孔率と100μm〜500μmの気孔径を有する、上記記載の象牙質の再生方法が提供される。
好ましくは、顆粒状担体を使用できる。好ましくは、顆粒状担体の直径は100〜500μm、気孔径が200〜300μmである。
好ましくは、顆粒状担体を使用できる。好ましくは、顆粒状担体の直径は100〜500μm、気孔径が200〜300μmである。
本発明の第3の特徴によれば、上記セラミックス系多孔質担体が、HApとβ-TCPのうち少なくとも一方から成る多孔質担体である、上記記載の象牙質の再生方法が提供される。
本発明の第4の特徴によれば、歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群をセラミックス系多孔質担体に播種、または播種及び培養した、生体移植用の移植物が提供される。
上記いずれかの特徴において、好ましくは、セラミックス系多孔質担体は、少なくともHAp又はβ-TCPの一方から成る多孔質担体である。また、好ましくは、セラミックス系多孔質担体は、顆粒状担体である。
上記いずれかの特徴において、好ましくは、歯髄細胞若しくは歯胚細胞として、象牙芽細胞、エナメル芽細胞、歯乳頭細胞若しくは歯嚢細胞、又はこれらの前駆細胞を使用する。
上記いずれかの特徴において、好ましくは、上記少なくとも1種類の細胞は生体から採取した組織を細片化し酵素処理してから分離回収する方法やexplant法などにより得る。
本発明の第5の特徴によれば、上記セラミックス系多孔質担体が40%〜70%の気孔率と100μm〜500μmの気孔径を有する、上記記載の移植物が提供される。
本発明の第6の特徴によれば、上記セラミックス系多孔質担体がHApとβ-TCPのうち少なくとも一方から成る多孔質担体である、上記記載の移植物が提供される。
本発明の方法を利用して、移植動物の体内又は培地上で象牙質を形成してから、あるいは象牙質構造を形成するように分化誘導された細胞塊を担体と共に歯科患者に移植することにより、欠損部若しくは根管を充填できるよう象牙質を再生させることができる。この結果、歯牙を維持することが可能となり二次感染の確率の低い極めて有効な治療となる。また、自らの歯牙を長期間維持できることから、患者のQuality of Life(QOL)の向上に大きく貢献する。また、本発明の方法では、増殖、転写因子などの生理活性物質を用いることにより再生に要する期間を短縮し、あるいは分化誘導を促進することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態において、象牙質の再生方法は、歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞、歯髄細胞または歯髄細胞に分化可能な細胞のうち少なくとも1種類をセラミックス系多孔質担体で培養することを特徴とする。
組織工学による組織再生の成否を決める要因の一つに担体が挙げられる。特に生体に移植後の残存細胞数は重要な要素であり、これには担体の細胞親和性および担体自身の持つ細胞増殖促進効果、分化誘導効果あるいは毒性が影響を与える。従って、担体の選択は、これらの要素を検討の上決定する必要がある。多孔質な担体が象牙質再生に好ましい理由は未だ定かではないが、下記のように考えられる。組織が定着する足場が移動しやすい粉体に比較して、足場がrigidでかつ空隙を有する多孔質構造の方が細胞や組織などが定着しやすいと考えられる。また、粉体の場合にも組織再生が寄与すると思われるCaやPが溶出するが、粉体自身の移動や血液等の侵入により組織が再生する場に留まることができない。これに対し、適度な空隙が存在する多孔質な担体の場合、外部から侵入する血液等に加えて、材料から溶出したCaやPの濃度が空隙内に局所的に高まることにより、象牙質が再生する環境(場)を好ましい状態にしているのではないかと考えられる。従って、適度な空隙を有する多孔質担体は粉体に対し、構造的な面でも組織再生に寄与していると考えられる。
本実施の形態で用いるセラミックス系多孔質担体は上記条件を充足するものであり、その材料として、HAp、β-TCP、又はリン酸四カルシウムなどが挙げられる。好ましくはHAp、又はβ-TCPであり、その複合体を使用することも可能である。
上記セラミックス系多孔質担体の気孔率は組織が再生するのに適した環境が形成される条件として気孔率40%〜70%で、気孔径100μm〜500μmが好ましい。更に好ましくは気孔率50%〜65%で、気孔径が200μm〜400μmである。気孔率が40%以下の場合、気孔内への血流等の侵入が制限され栄養供給が不十分となり、十分な組織再生が行われない。一方、70%を越える場合、播種した細胞や形成した組織が血流等により流出しやすく、組織再生には不適であるとともに担体としての機械的強度が不足し、操作性の点で好ましくない。また、気孔径が100μm以下の場合、気孔率が低い場合と同様、気孔内への血流等の侵入が不十分となるため、好ましくない。一方、500μm以上の場合も気孔率が高すぎる場合と同様、播種した細胞や形成した組織、更には材料から溶出したイオン成分等が流出しやすくなるため好ましくない。また機械的強度が低下する点でも好ましくない。
本発明において、担体は細胞を移植しやすい形状に加工したものが好ましく、板状、球状あるいは中空で一端が開放されており、周囲から血行が導入しやすくなっているもの等が挙げられる。更に、気孔を保つ程度の顆粒状担体の使用も好ましい。
本発明において歯胚細胞としては、歯胚を構成する細胞あるいはこれらの細胞に分化することができる細胞であれば特にその種類は限定されず、例えば、象牙芽細胞、エナメル芽細胞、歯乳頭細胞あるいは歯嚢細胞、又はこれらの前駆細胞を使用することができる。また、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞を使用することもできる。これらの細胞は、1種類の細胞から成る単一の細胞として培養しても良いし、2種類以上の細胞からなる細胞混合物として培養しても良い。
歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞は、哺乳動物(例えば、ヒト、豚など)の顎骨から採取することができる。歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞を採取するために埋伏歯を無菌的に取り出し、Phosphate Buffered Saline(以下PBSと略す)溶液などの適当な保存液で保存する。歯牙の中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を小片にして、PBS溶液などを用いて組織を洗浄する。次いで、コラゲナーゼやディスパーゼを用いて組織を酵素処理することが好ましい。酵素処理後、ピペッティング操作と遠心操作により細胞を回収することができる。また、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞はAbout I.,他 Experimental cell research,258,33-41,2000に記載の方法に従って採取することができる。
本発明では、歯胚細胞又は歯胚細胞に分化可能な細胞、歯髄細胞又は歯髄細胞に分化可能な細胞のうち少なくとも1種類をセラミックス系多孔質担体で培養する。
細胞の培養は、動物細胞の培養に用いる通常の血清入り培地や無血清培地を用いて、通常の動物細胞の培養条件(例えば、室温から37℃の温度;5%CO2インキュベーター内など)の下で行なうことができる。培養の形態は特に限定されないが、例えば、静置培養で行なうことができる。
本発明の方法では、分離した歯胚細胞若しくは歯髄細胞を培養して増殖させた後に、セラミックス系多孔質担体に播種することが好ましい。担体に播種する前に培養を行なうことにより、担体上で生育するのに十分な数の細胞を取得することが可能になる。分離した歯胚細胞若しくは歯髄細胞の培養は、上記と同様、通常の動物細胞の培養条件に準じて行なうことができる。
本発明の方法では、歯胚細胞若しくは歯髄細胞をセラミックス系多孔質担体に播種して、または必要に応じて播種後培養し、該培養細胞を担体と一緒に直接患者に移植しても良い。あるいはさらに好ましくは、分離した歯胚細胞若しくは歯髄細胞を培養して増殖させた後にセラミックス系多孔質担体に播種して、または必要に応じて播種後培養し、次いで該培養細胞を担体と一緒に移植動物に移植し、該移植動物の体内で象牙質を再生させることができる。
移植動物の種類は特に限定されないが、好ましくは哺乳動物であり、例えば、マウス(ヌードマウスなど)、ウサギ又はラットなどのげっ歯類動物を使用することができる。移植の部位は特に限定されず、例えば、背部皮下などが挙げられる。
上記した本発明による象牙質の再生方法により再生した象牙質(歯胚細胞若しくは歯髄細胞をセラミックス系多孔質担体に播種し培養して得られる組織、あるいはこの組織を移植動物に移植し、該移植動物の体内でさらに再生させた組織のどれでもよい)は、う蝕などの歯科疾患を有する患者に移植することによって、該歯科患者を治療することができる。即ち、本発明による象牙質の再生方法により得られた象牙質を用いる歯科疾患の治療方法、例えば、髄腔の穿孔や露髄部の治療、根管治療などへの適用も本発明の範囲内のものである。歯科患者に移植された後も象牙質の成長を継続させることにより、象牙質を形成させることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
比較例1:PGAを用いたブタ歯胚由来間葉系細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
200PU/mlディスパーゼをDulbecco's Modified Eagle Medium(以下DMEMと略す)培地に溶解した酵素溶液を用いて、取り出した埋伏歯を120分間酵素処理した後、埋伏歯をメスにて上皮系細胞が含まれる組織と間葉系細胞が含まれる組織に分離した。分離した間葉系細胞が含まれる組織中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した間葉系細胞が含まれる組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離(1500rpm,5分)して細胞を回収した。得られた細胞を10%血清入りDMEM培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって歯胚間葉系細胞を回収した。
回収した細胞を10%血清入りDMEM培地にて1.5×107個/100μlの細胞懸濁液に調整し、PGAメッシュ担体(体積密度50%〜60%、厚さ2mm、Albany International Research, MA, USA)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後4週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植4週で摘出した移植体は弾力のある組織であった。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、象牙質を含む硬組織の形成は認められなかった(図1)。なお、図1の右下の尺は500μmである。
比較例2:PGAを用いた培養ブタ歯胚由来間葉系細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
200PU/mlディスパーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、取り出した埋伏歯を120分間酵素処理した後、埋伏歯をメスにて上皮系細胞が含まれる組織と間葉系細胞が含まれる組織に分離した。分離した間葉系細胞が含まれる組織中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した間葉系細胞が含まれる組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を10%血清入りDMEM培地にて5回洗浄したあと、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって歯胚間葉系細胞を回収した。
回収した細胞を10%血清入りDMEM培地にて37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、10%血清入りDMEM培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、PGAメッシュ担体(体積密度50%〜60%、厚さ2mm、Albany International Research, MA, USA)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後4週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植4週で摘出した移植体は弾力のある組織であった。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、象牙質を含む硬組織の形成は認められなかった(図2)。なお、図2の右下の尺は500μmである。
比較例3:セラミックス系紛体を用いた培養ブタ歯髄細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
メスにて歯髄組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞をDMEM培地とNutrient Mixture F-12を1:1で混合した(以下DMEM/F12と略す)培地に15%血清を入れた培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって細胞を回収した。
回収した細胞を15%血清入りDMEM/F12培地に100μmol/lの濃度でアスコルビン酸を添加して37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、15%血清入りDMEM/F12培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系紛体130mg(HAp/β-TCP=2/8,日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後6週にて試料を採取した。摘出した試料は、4%Paraformaldehyde(以下PFAと略す)溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色と象牙芽細胞の分化マーカーとして知られるDentin Sialophosphoprotein(以下DSPPと略す)をプローブとしたin situ hybridizationを施し、組織学的に観察した。
移植6週で摘出した移植体は結合組織や硬組織が形成され一塊の組織であった。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、硬組織の形成は認められるものの骨様組織が多く観察され、in situ hybridizationを施した結果、DSPPの発現は認められなかった(図3)。以上の結果により、DSPPの発現が認められる程象牙質は形成されなかったことが確認された。なお、図3の右下の尺は500μmである。
実施例1:セラミックス系多孔体を用いたブタ歯胚由来間葉系細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
200PU/mlディスパーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、取り出した埋伏歯を120分間酵素処理した後、埋伏歯をメスにて上皮系細胞が含まれる組織と間葉系細胞が含まれる組織に分離した。分離した間葉系細胞が含まれる組織中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した間葉系細胞が含まれる組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を10%血清入りDMEM培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって歯胚間葉系細胞を回収した。
回収した細胞を10%血清入りDMEM培地にて1.5×107個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、HAp/β-TCP=2/8、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後4週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植4週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、空孔内に象牙質様組織の形成が認められ、中心部は象牙芽細胞様細胞が凝集していた(図4)。なお、図4の右下の尺は500μmである。
実施例2:セラミックス系多孔体を用いた培養ブタ歯胚由来間葉系細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。埋伏歯を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
200PU/mlディスパーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、取り出した埋伏歯を120分間酵素処理した後、埋伏歯をメスにて上皮系細胞が含まれる組織と間葉系細胞が含まれている組織に分離した。分離した間葉系細胞が含まれる組織中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した間葉系細胞が含まれる組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。
回収した細胞を10%血清入りDMEM培地にて37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、10%血清入りDMEM培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、HAp/β-TCP=2/8、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後4週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植4週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、空孔内に象牙質様組織の形成が認められ、その組織に沿って象牙芽細胞様細胞が配列していた(図5)。なお、図5の右下の尺は500μmである。
実施例3:セラミックス系多孔体を用いた培養ブタ歯髄細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
メスにて歯髄組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を15%血清入りDMEM/F12培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって細胞を回収した。
回収した細胞を15%血清入りDMEM/F12培地に100μmol/lの濃度でアスコルビン酸を添加して37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、15%血清入りDMEM/F12培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、HAp/β-TCP=2/8、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後6週にて試料を採取した。摘出した試料は、4%Paraformaldehyde(以下PFAと略す)溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色と象牙芽細胞の分化マーカーとして知られるDSPPをプローブとしたin situ hybridizationを施し、組織学的に観察した。
移植6週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、象牙質様組織の形成が認められ、象牙質様組織に沿って細胞が配列していた(図6、図7A)。In situ hybridizationを施した結果、その細胞からDSPPの発現が認められたことより、その細胞が象牙芽細胞であり、象牙質様組織が確かに象牙質であることが確認された(図7B)。なお、図6の右下の尺は500μm、図7Aの右下の尺は100μmであり、図7Bの右下の尺も100μmである。
実施例4:セラミックス系多孔体を用いた培養ブタ歯髄細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
メスにて歯髄組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を15%血清入りDMEM/F12培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって細胞を回収した。
回収した細胞を15%血清入りDMEM/F12培地に100μmol/lの濃度でアスコルビン酸を添加して37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、15%血清入りDMEM/F12培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、HAp100%、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後6週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植6週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、空孔内に硬組織形成が認められ、その硬組織に沿って象牙芽細胞様細胞が配列していた(図8)。なお、図8の右下の尺は500μmである。
実施例5:セラミックス系多孔体を用いた培養ブタ歯髄細胞の移植
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
生後6ヶ月の新鮮豚から下顎骨を採取した。実験に使用するまでは4℃の冷蔵庫にて保存し、運搬中は氷上にて保存した。すでに萌出している第1大臼歯より歯髄組織を無菌的に取り出し、10%抗生剤入りPBS溶液にて保存した。
メスにて歯髄組織を約2mmの小片にし、PBS溶液にて5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を15%血清入りDMEM/F12培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって細胞を回収した。
回収した細胞を15%血清入りDMEM/F12培地に100μmol/lの濃度でアスコルビン酸を添加して37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、1回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、15%血清入りDMEM/F12培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、β-TCP100%、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を1時間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後6週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植6週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、空孔内に象牙質様組織形成が認められ、その象牙質様組織に沿って象牙芽細胞様細胞が配列していた(図9)。なお、図9の右下の尺は500μmである。
実施例6:セラミックス系多孔体を用いた培養ヒト歯髄細胞の移植
名古屋大学倫理委員会承認のもとインフォームドコンセントを行い治療のため抜歯適応となった智歯を採取した。実験に使用するまでは10%抗生剤入りPBS溶液に入れ、4℃にて保存した。
名古屋大学倫理委員会承認のもとインフォームドコンセントを行い治療のため抜歯適応となった智歯を採取した。実験に使用するまでは10%抗生剤入りPBS溶液に入れ、4℃にて保存した。
歯冠部を歯科用タービンで歯髄腔に達するまで削り、ピンセットや歯科用ファイルで歯髄組織を採取した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。得られた組織を25ml用のピペットを用いて10分間ピペッティングした。25mlの上澄み液を遠心分離して細胞を回収した。得られた細胞を15%血清入りDMEM/F12培地にて5回洗浄した後、70μmセルストレイナーでろ過し、遠心分離することによって細胞を回収した。
回収した細胞を15%血清入りDMEM/F12培地に100μmol/lの濃度でアスコルビン酸を添加して37℃、5%CO2条件下で培養を行ない、2回継代した細胞をトリプシン-EDTAにて細胞培養用フラスコから剥離した後、15%血清入りDMEM/F12培地にて5.0×106個/100μlの細胞懸濁液に調整し、セラミックス系多孔体(全気孔率約60%、気孔径約300μm、β-TCP100%、日本特殊陶業製)に播種をした後、37℃、5%CO2条件下で静置培養を12日間行なった。なお、ここで用いたセラミックス系多孔体は、直径6mm、高さ4mmの円柱形のものを使用した。
移植動物としては、ヌードマウスKSNを用いた。ヌードマウス背部皮膚を切開し、細胞を播種した担体を皮下に入れ、皮膚を縫合した。
移植後6週にて試料を採取した。摘出した試料は、10%ホルマリン溶液にて固定し、常法に従ってパラフィンに包埋して連続組織切片を作成した。その後、切片にヘマトキシリン-エオジン染色を施し、組織学的に観察した。
移植6週で摘出した移植体は生体に吸収されることなく原型を維持していた。また、ヘマトキシリン-エオジン染色した組織を観察した結果、空孔内に象牙質様組織形成が認められ、その象牙質様組織に沿って象牙芽細胞様細胞が配列していた(図10)。なお、図10の右下の尺は100μmである。
実施例7:顆粒状担体を用いた細胞の移植
実施例1〜6で用いたセラミックス系多孔体の代わりに、顆粒状担体を用いて同様の実験を行った。顆粒状担体は、穴が開いている顆粒状の担体である。顆粒状担体の直径は100〜500μm、気孔径は200〜300μmである。顆粒状担体の直径が気孔径よりも大きい場合、顆粒状担体内に穴が納まる。顆粒状担体の直径が気孔径より小さい場合、顆粒状担体が一部削られたような形状になる。削られた部分が穴の役割を果たす。このように、担体が顆粒状であると、担体を小さな歯や歯周辺組織内に移植しやすくなる。その結果、実施例1〜6と同様の結果が得られた。
実施例1〜6で用いたセラミックス系多孔体の代わりに、顆粒状担体を用いて同様の実験を行った。顆粒状担体は、穴が開いている顆粒状の担体である。顆粒状担体の直径は100〜500μm、気孔径は200〜300μmである。顆粒状担体の直径が気孔径よりも大きい場合、顆粒状担体内に穴が納まる。顆粒状担体の直径が気孔径より小さい場合、顆粒状担体が一部削られたような形状になる。削られた部分が穴の役割を果たす。このように、担体が顆粒状であると、担体を小さな歯や歯周辺組織内に移植しやすくなる。その結果、実施例1〜6と同様の結果が得られた。
Claims (10)
- 歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群を必要に応じて培養して増殖させた後に、セラミックス系多孔質担体に播種することを含む、象牙質の再生方法。
- 上記セラミックス系多孔質担体が、40%〜70%の気孔率と100μm〜500μmの気孔径を有する、請求項1に記載の象牙質の再生方法。
- 上記セラミックス系多孔質担体が、HApとβ-TCPのうち少なくとも一方から成る多孔質担体である、請求項1又は2に記載の象牙質の再生方法。
- 上記セラミックス系多孔質担体が、顆粒状担体である、請求項1から3の何れかに記載の象牙質の再生方法。
- 顆粒状担体の直径が100〜500μm、気孔径が200〜300μmである、請求項4に記載の象牙質の再生方法。
- 歯胚細胞、歯髄細胞及びこれらに分化可能な細胞のうち少なくとも1種類を含む細胞群をセラミックス系多孔質担体に播種、または播種及び培養した、生体移植用の移植物。
- 上記セラミックス系多孔質担体が40%〜70%の気孔率と100μm〜500μmの気孔径を有する、請求項6に記載の移植物。
- 上記セラミックス系多孔質担体がHApとβ-TCPのうち少なくとも一方から成る多孔質担体である、請求項6又は7に記載の移植物。
- 上記セラミックス系多孔質担体が、顆粒状担体である、請求項6から8の何れかに記載の移植物。
- 顆粒状担体の直径が100〜500μm、気孔径が200〜300μmである、請求項9に記載の移植物。
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JP2007228818A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Kuraray Co Ltd | 細胞培養容器、その製造方法および細胞培養方法 |
JP2021027803A (ja) * | 2019-08-09 | 2021-02-25 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター | 象牙質再生用細胞培養物 |
-
2005
- 2005-02-24 JP JP2005048527A patent/JP2005270647A/ja active Pending
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