以下、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、用紙などをローラにより搬送しその用紙などに電子写真方式により印刷(プリント)を行うプリント機能や、文書データなどをHDD(Hard Disk Drive)などに保存するサーバ機能などを有している。画像形成装置は、用紙に形成されたトナーをその用紙に定着させる定着装置を有している。定着装置は、例えば定着ローラを加熱してその定着ローラにより搬送する用紙を加熱することで、トナーの定着を行う。定着ローラは、温度制御装置が定着ローラの温度を検出してその検出結果に応じた制御を行うことにより、適切な温度に制御される。
温度制御装置は、例えばサーミスタなどの温度センサと分圧抵抗を有する分圧回路を用いて定着ローラの温度の検出を行う。温度制御装置は、温度センサに流れる電流の向きを切り替えることで、定着ローラのとりうる温度範囲の全域にわたって高精度に定着温度を検出することができる。
[実施の形態]
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の全体の構成について説明する。
[画像形成装置の全体の構成]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成装置のハードウェア構成を示す側面図である。
図を参照して画像形成装置1は、給紙カセット3と、排紙トレイ5と、プリント部30とを備える。
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に、画像形成装置1の筐体に抜き差し可能に配置されている。各給紙カセット3に装てんされた用紙は、印字時に、1枚ずつ給紙カセット3から給紙され、プリント部30に送られる。給紙カセット3の数は1つに限られず、それより多くてもよい。
排紙トレイ5は、画像形成装置1の筐体の上方に配置されている。排紙トレイ5には、プリント部30により画像が形成された用紙が筐体の内部から排紙される。
プリント部30は、画像形成装置1の筐体の内部に配置されている。プリント部30は、おおまかに、用紙搬送部200と、トナー像形成部300と、定着装置400と、駆動部(図2に図示)500とを有している。プリント部30は、いわゆるタンデム方式でCMYKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成されている。
用紙搬送部200は、給紙ローラ210、搬送ローラ220、排紙ローラ230などで構成されている。給紙ローラ210、搬送ローラ220、及び排紙ローラ230は、それぞれ、例えば対向する2つのローラで用紙を挟みながらそのローラを回転させて用紙を搬送する。給紙ローラ210は、給紙カセット3から用紙を1枚ずつ給紙する。給紙ローラ210により、用紙が画像形成装置1の筐体の内部に給紙される。搬送ローラ220は、給紙ローラ210により給紙された用紙をトナー像形成部300に搬送する。また、搬送ローラ220は、定着装置400を経由した用紙を排紙ローラ230に搬送する。排紙ローラ230は、搬送ローラ220により搬送された用紙を画像形成装置1の筐体の外部に排出する。用紙搬送部200は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラを有していてもよい。
トナー像形成部300は、4色のトナーボトル301Y,301M,301C,301K(以下、これらをまとめてトナーボトル301と呼ぶことがある)と、中間転写ベルト305と、転写ローラ307と、4組の現像ユニット310Y,310M,310C,310K(以下、これらをまとめて現像ユニット310と呼ぶことがある)と、レーザスキャンユニット320などで構成されている。
イエロートナーボトル301Y、マゼンタトナーボトル301M、シアントナーボトル301C、ブラックトナーボトル301Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のCMYK各色のトナーを貯蔵する。
中間転写ベルト305は、環状であり、2つのローラ間に架けわたされている。中間転写ベルト305は、用紙搬送部200と連動して回転する。転写ローラ307は、中間転写ベルト305のうち一方のローラに接触している部分に対向するように配置されている。用紙は、中間転写ベルト305と転写ローラ307との間で挟持されながら搬送される。
現像ユニット310は、感光体311(現像ユニット毎に感光体311Y,311M,311C,311Kが設けられる。)、現像装置、クリーナ、及び帯電器などを含む。イエロー現像ユニット310Y,マゼンタ現像ユニット310M,シアン現像ユニット310C,ブラック現像ユニット310Kは、それぞれY、M、C、Kの画像を形成するために配置されている。現像ユニット310は、中間転写ベルト305の直下に並置されている。レーザスキャンユニット320は、各感光体311上にレーザ光を走査可能に配置されている。
トナー像形成部300において、レーザスキャンユニット320は、YMCKの各色別の画像データに基づいて、帯電器の作用により一様に帯電した感光体311上に、潜像を形成する。現像装置は、各感光体311に各色別のトナー像を形成する。各感光体311は、トナー像を中間転写ベルト305に転写し、その中間転写ベルト305上に、用紙に形成するトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された転写ローラ307により、中間転写ベルト305に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。
画像形成により現像ユニット310内のトナーが少なくなると、各色のトナーボトル301内に保管されたトナーが現像ユニットに供給される。
定着装置400は、ヒータ(図示せず)により加熱される加熱ローラ(定着部材の一例)401及び加圧ローラ403とを有している。定着装置400は、加熱ローラ401と加圧ローラ403とでトナー像が形成された用紙を挟持しながら搬送し、その用紙に加熱及び加圧を行う。これにより、定着装置400は、トナー像形成部300により形成されたトナー像を溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。すなわち、定着装置400は、ヒータが発生する熱を用いてトナー像を用紙に定着させる。定着装置400を経由した用紙は、排紙ローラ230により、画像形成装置1の筐体から排紙トレイ5に排出される。
定着装置400には、温度制御装置450が設けられている。温度制御装置450は、加熱ローラ401の温度の制御を行う。これにより、プリント時において、加熱ローラ401は、用紙にトナーの定着を行うのに適正な温度に加熱される。
駆動部500は、例えば、メインモータ501、定着モータ502、黒現像モータ503、カラー現像モータ504、及びカラー感光体モータ505を有している(以下、これらのモータについて単にモータ501〜505などと称することがある。)。駆動部500は、後述するCPU21(図2に示す。)の制御の下で駆動される。メインモータ501は、給紙工程から転写工程までの用紙搬送と、中間転写ベルト305及び黒感光体311Kの駆動とを行う。定着モータ502は、定着装置400の駆動を行う。黒現像モータ503は、ブラック現像ユニット310Kの駆動を行う。カラー現像モータ504は、イエロー・マゼンタ・シアンの現像ユニット310Y,310M,310Cの駆動を行う。カラー感光体モータ505は、イエロー・マゼンタ・シアンの感光体311Y,311M,311Cの駆動を行う。
画像形成装置1に印字が指示されると、給紙カセット3に格納された用紙は、給紙ローラ210により1枚ずつ取り出される。用紙は、給紙ローラ210、搬送ローラ220により搬送される。給紙と並行して、帯電された各色の感光体311Y,311M,311C,311Kが、レーザスキャンユニット320により画像データに基づき露光される。感光体311上には、各色の現像ユニット310Y,310M,310C,310K内のトナーで現像されることで、トナー画像が形成される。各色の感光体311上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト305上に転写され、中間転写ベルト305上に4色分のトナー画像が形成される。次に、転写ローラ307に電圧が印加されることで、中間転写ベルト305上に形成されたトナー画像が搬送された用紙に転写される。用紙上に形成されたトナー画像は、用紙が定着装置400を通過し熱と圧力が加えられることで、用紙に定着される。トナー画像が定着された用紙は、排紙ローラ230により排紙トレイ3に排出される。
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図を参照して、画像形成装置1は、さらに、操作部11と、制御部(CPU部)20と、不揮発性メモリ27と、インターフェイス部29と、電源装置600とを備えている。
操作部11は、画像形成装置1の筐体に、ユーザにより操作可能に配置されている。操作部11には、表示パネル13が配置されている。表示パネル13は、例えば、タッチパネルを備えたLCD(Liquid Crystal Display)である。表示パネル13は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。表示パネル13は、制御部20のCPU21により制御されて表示を行う。操作部11は、表示パネル13や操作ボタン(図示せず)などがユーザにより操作されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU21に送信する。すなわち、ユーザは、操作部11に操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。
制御部20は、CPU21と、ROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)25などを有している。制御部20は、操作部11、不揮発性メモリ27、インターフェイス部29、及び電源装置600などとともにシステムバスに接続されている。これにより、制御部20と画像形成装置1の各部とが、信号を送受可能に接続されている。
CPU21は、ROM23、RAM25、又は不揮発性メモリ27などに記憶された制御プログラム23aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU21は、操作部11から操作信号が送られたり、クライアントPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じた制御プログラム23aを実行する。これにより、ユーザによる操作部11の操作などに応じて、画像形成装置1の動作が行われる。
ROM23は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM23には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。また、ROM23には、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム(プログラム)23aが記憶されている。そのほか、ROM23には、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU21は、所定の処理を行うことにより、ROM23からのデータの読み込みや、ROM23へのデータの書き込みを行う。ROM23は、書換え不可能なものであってもよい。
RAM25は、CPU21のメインメモリである。RAM25は、CPU21が制御プログラム23aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
不揮発性メモリ27は、例えばプリント枚数などの寿命状態に関する情報など、画像形成装置1の電源オフ後も維持が必要な情報を記憶する。また、不揮発性メモリ27は、例えば、インターフェイス部29を介して外部から送られたジョブのデータなどを記憶する。不揮発性メモリ27は、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラムなどを記憶するように構成されていてもよい。不揮発性メモリ27は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。不揮発性メモリ27は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュROMなどで構成される。
インターフェイス部29は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。インターフェイス部29は、画像形成装置1をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置1は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置1は、クライアントPCからジョブを受信可能である。また、画像形成装置1は、画像データを、クライアントPCに送信したり、メールサーバなどを介してE−mailにより送信したりすることができる。
インターフェイス部29は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。インターフェイス部29は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスであってもよい。この場合、インターフェイス部29は、通信ケーブルを介して接続された外部装置と画像形成装置1とを通信可能にする。
電源装置600は、画像形成装置1の筐体の内部に設けられている。電源装置600は、商用電源に接続され、商用電源をもとに画像形成装置1の各部に電力を供給する。
現像ユニット310Y,310M,310C,310Kには、それぞれ、不揮発性メモリ319Y,319M,319C,319Kが設けられている。また、トナーボトル301Y,301M,301C,301Kには、それぞれ、不揮発性メモリ309Y,309M,309C,309Kが設けられている。
現像ユニット310に含まれる感光体311などは、プリントを繰り返すにつれて劣化するため、現像ユニット310には寿命がある。また、プリントを繰り返すにつれトナーボトル301に貯蔵されるトナーが少なくなるため、トナーボトル301には寿命がある。すなわち、現像ユニット310やトナーボトル301は、消耗品である。CPU21は、それぞれの消耗品に関する寿命状態などの情報を、これらの不揮発性メモリ319Y〜319K,309Y〜309K(以下、これらをまとめて不揮発性メモリ719と呼ぶことがある)に格納する。これにより、各消耗品を取り外して、別の画像形成装置に装着した場合であっても、その消耗品の寿命状態を、その移行先の画像形成装置に反映させることができる。したがって、各消耗品の寿命管理を確実に行い、適正に画像をプリント可能にすることができる。
[温度制御装置450の構成]
次に、温度制御装置450の構成について説明する。
図3は、温度制御装置450の回路構成を示す図である。
図を参照して、温度制御装置450は、サーミスタ(温度センサの一例)451及び分圧抵抗453を有する分圧回路455と、D/Aコンバータ(電源部の一例)457と、第1の配線(DA)461及び第2の配線(DA)463と、CPU(検知部の一例、温度制御部の一例、切替部の一例)470とを有している。
サーミスタ451は、加熱ローラ401の温度を検知するために、加熱ローラ401の表面付近に配置されている。分圧抵抗453は、サーミスタ451に直列に接続されている。すなわち、サーミスタ451と分圧抵抗453とで分圧回路455が構成されている。
第1の配線461は、D/Aコンバータ457と分圧抵抗453とを接続している。第2の配線463は、D/Aコンバータ457とサーミスタ451とを接続している。
CPU470は、A/Dコンバータ471と、メモリ473とを有している。CPU470は、D/Aコンバータ457に接続されており、D/Aコンバータ457の制御を行う。CPU470のA/Dコンバータ471は、サーミスタ451と分圧抵抗453との間に温度モニタライン471aを介して接続されている。メモリ473は、例えば不揮発性メモリであり、制御プログラム473aを記憶している。
CPU470は、電源VCC1と接地電位とに接続されている。電源VCC1は、例えば、5Vの略一定の電圧である。CPU470は、電源VCC1から供給される電力を用いて動作する。
D/Aコンバータ457は、電源VCC2と接地電位とに接続されている。電源VCC2は、例えば、24Vの略一定の電圧である。D/Aコンバータ457は、電源VCC2から供給される電力を用いて、CPU470から送られた信号に基づいて電力を生成し、その電力を第1の配線461及び第2の配線463を介してサーミスタ451及び分圧抵抗453に供給する。
分圧回路455により分圧された出力電圧は、温度モニタライン471aを介してA/Dコンバータ471に入力され、アナログ−ディジタル変換によりディジタル値に変換される。CPU470は、A/Dコンバータ471から出力されたディジタル値に基づいて、加熱ローラ401の温度を検知する。
CPU470は、加熱ローラ401の温度を検知すると、その検知結果に基づいて、定着装置400の制御を行う。CPU470は、例えばプリント時において、加熱ローラ401が適正な温度になるように、ヒータを制御する。CPU470がサーミスタ451を用いて検知した加熱ローラ401の温度に基づいてヒータをフィードバック制御することにより、加熱ローラ401が適正な温度に保たれる。
[温度の検知レンジに関する制御]
ここで、CPU470は、加熱ローラ401の温度の検知結果に基づいて、D/Aコンバータ457を制御することで、サーミスタ451の温度の検知レンジに関する制御を行う。以下、この制御について説明する。CPU470は、例えば制御プログラム473aを実行することにより、このような制御を実行する。
A/Dコンバータ471に入力される電圧の範囲すなわちサーミスタ451の検知レンジには、限界がある。温度モニタライン471aの電圧がA/Dコンバータ471に入力可能な電圧の範囲内に納まるように、いくつかの定着温度域毎にサーミスタ451の検知レンジ切替えを行うことで、加熱ローラ401の温度すなわち定着温度が広い温度域で検知可能である。
検知レンジの切替えは、CPU470が、複数の温度域毎に、D/Aコンバータ457を制御して、サーミスタ451に供給される電力を変更することで行われる。CPU470は、定着温度が同一の温度域内であるときには、サーミスタ451に供給される電力をほとんど変更させない。
CPU470は、定着温度が複数の温度域のうち一の温度域と他の温度域との境界部に対応する温度であるとき、すなわち定着温度が互いに隣り合う温度域の境界の温度(境界温度)であるとき、サーミスタ451に供給される電力、電圧及び電流の少なくとも1つの変更を行う。電力、電圧及び電流の少なくとも1つは、急激に変更される。すなわち、検知レンジの切替えは、定着温度が境界温度であるときに、サーミスタ451の電流を急に増大/減少させたり、サーミスタ451の電圧を急降下/急上昇させることで行われる。ここで、急激に変化させるとは、例えば、略瞬間的に変化させることをいう。
本実施の形態において、温度制御装置450では、加熱ローラ401の温度の高低に応じて、サーミスタ451に流れる電流の向きが切り替えられる。すなわち、分圧回路455においてサーミスタ451がプルアップ側であるかプルダウン側であるかが切り替えられる。電流の向きの切替えは、CPU470が、定着温度の検知結果に基づいてD/Aコンバータ457を制御することで行われる。サーミスタ451に流れる電流の向きが切り替えられることで、定着温度と温度モニタライン471aの電圧との関係が変化する。
図4は、サーミスタ451から電流が流れ出るようにD/Aコンバータ457が設定されているときの定着温度と温度モニタライン471aの電圧との関係の一例を示すグラフである。
図を参照して、サーミスタ451から電流が流れ出るように制御が行われているとき、定着温度が増大するに従い、温度モニタライン471aの電圧も徐々に増大する。
図5は、サーミスタ451に電流が流れ込むようにD/Aコンバータ457が設定されているときの定着温度と温度モニタライン471aの電圧との関係の一例を示すグラフである。
図を参照して、サーミスタ451に電流が流れ込むように制御が行われているとき、定着温度が増大するに伴い、温度モニタライン471aの電圧も減少する。
図6は、定着温度と温度モニタライン471aの電圧との関係の一例を示すグラフである。
図を参照して、例えば、温度制御装置450は、定着温度が0℃〜200℃の範囲で定着温度を検知可能である。CPU470は、4つの温度域(第1〜第4の温度域)毎に、サーミスタ451の検知レンジの切替えを行い、定着温度の検知を行う。第1の温度域は、定着温度が0℃〜50℃である範囲をいう。第2の温度域は、定着温度が50℃〜100℃である範囲をいう。第3の温度域は、定着温度が100℃〜150℃である範囲をいう。第4の温度域は、定着温度が150℃〜200℃である範囲をいう。第1の温度域と第2の温度域との境界となる定着温度は、50℃である。第2の温度域と第3の温度域との境界となる定着温度は、100℃である。第3の温度域と第4の温度域との境界となる定着温度は、150℃である。
各温度域の範囲は、定着温度がその上限又は下限の温度になったとき、A/Dコンバータ471の入力レベルが略最大になるように設定されている。換言すると、CPU470は、定着温度が各温度域の上限又は下限の温度になったとき、A/Dコンバータ471の入力レベルが略最大になるように、その温度域についてD/Aコンバータ457を制御し、サーミスタ451に電力供給を行う。
定着温度が比較的低い温度域、例えば第1の温度域又は第2の温度域にあるときには、CPU470は、第2の配線463の電圧を0Vとして、第1の配線461の電圧を第2の配線463の電圧よりも高くする。これにより、電流の向きがサーミスタ451から流れ出る向きになり、温度モニタライン471aを介してA/Dコンバータ471に入力される電圧が、加熱ローラ401の温度上昇とともに上昇するようになる。サーミスタ451の電流を増やすことで、A/Dコンバータ471の入力レンジを最大限に利用して、比較的高精度に温度を検知できる。
加熱ローラ401の温度上昇に伴い、A/Dコンバータ471の入力レベルが略最大に近づいた場合は、CPU470は、サーミスタ451の電流を減らすように制御を行う。この場合、電流を減らす制御は、定着温度が一の温度域とそれに隣り合う温度域との境界にあるときに行われればよい。
例えば、図を参照して、第1の温度域と第2の温度域との境界にある第1の分岐点において、温度モニタライン471aの電圧がA/Dコンバータ471の入力電圧範囲の最大値(最大入力電圧と呼ぶことがある。)と略等しくなるので、電流が削減される。これにより、さらに定着温度が上昇して第2の温度域に入っても、A/Dコンバータ471の入力レンジ内で定着温度を高精度に検知可能である。このように電流調整を行うシーケンスを必要に応じて温度上昇とともに繰り返すことで、温度検出精度を向上させることができる。
一方、定着温度が比較的高い温度域、例えば第3の温度域又は第4の温度域にあるときには、CPU470は、第1の配線461の電圧を0Vとして、第2の配線463の電圧を第1の配線461の電圧よりも高くする。これにより、電流の向きがサーミスタ451に流れ込む向きになり、温度モニタライン471aを介してA/Dコンバータ471に入力される電圧が、加熱ローラ401の温度上昇とともに下降するようになる。本実施の形態においては、第2の温度域と第3の温度域との境界にある第2の分岐点において、温度モニタライン471aの電圧がA/Dコンバータ471の最大入力電圧と略等しくなる。このとき、CPU470の制御により、上述のようにして、電流の向きが変更される。
加熱ローラ401の温度上昇に伴い、A/Dコンバータ471の入力レベルが略最小に近づいた場合は、CPU470は、サーミスタ451の電流を増やすように制御を行う。この場合、電流を増やす制御は、定着温度が互いに隣り合う温度域同士の境界において行われればよい。例えば、図を参照して、第3の温度域と第4の温度域との境界にある第3の分岐点において、温度モニタライン471aの電圧がA/Dコンバータ471の最大入力電圧と略等しくなるので、電流が増大される。これにより、さらに定着温度が上昇して第4の温度域に入っても、A/Dコンバータ471の入力レンジ内で定着温度を高精度に検知可能である。このように電流調整を行うシーケンスを必要に応じて温度上昇とともに繰り返すことで、温度検出精度を向上させることができる。
なお、定着温度が第2の温度域から第1の温度域に移るときには、上述とは逆に、サーミスタ451の電流が増やされてもよい。また、定着温度が第3の温度域から第2の温度域に移るときには、電流の向きがそれまでとは逆になるように制御が行われてもよい。定着温度が第4の温度域から第3の温度域に移るときには、サーミスタ451の電流が減らされてもよい。
図7は、CPU470の動作を示すフローチャートである。
図を参照して、CPU470は、プリント時などに、定着温度の検知を開始する。ステップS101において、CPU470は、サーミスタ(温度センサ)451から電流が流れ出るように、D/Aコンバータ(D/A)457の制御を行う。
ステップS103において、定着制御が開始されると、CPU470は、引き続き定着温度の検知を行う。
ステップS105において、CPU470は、定着温度が第1の温度域にあるか否かを確認する。
ステップS105で第1の温度域であれば、ステップS107において、CPU470は、上記第1の分岐点(分岐1)に定着温度が到達したときに、電流値を絞る制御を行う。
ステップS105で第1の温度域でなければ、ステップS109において、CPU470は、定着温度が第2の温度域にあるか否かを確認する。
ステップS105で第2の温度域であるとき、及びステップS107の処理が終了したとき、ステップS111において、CPU470は、以下の処理を行う。すなわち、CPU470は、上記第2の分岐点(分岐2)に定着温度が到達したときに、サーミスタ451に電流が流れ込むようにD/Aコンバータ457を制御する。すなわち、サーミスタ451に流れる電流の向きを変更する。
ステップS109で第2の温度域でなければ、ステップS113において、CPU470は、定着温度が第3の温度域にあるか否かを確認する。
ステップS113で第3の温度域であるとき、及びステップS111の処理が終了したとき、ステップS115において、CPU470は、上記第3の分岐点(分岐3)に定着温度が到達したときに、電流値を増やす制御を行う。
ステップS113で第3の温度域でなく第4の温度域であるとき、及びステップS115の処理が終了したとき、CPU470は、一連の処理を一旦終了する。
なお、このCPU470による処理は、例えば、プリント時に繰り返し実行されればよい。
[実施の形態における効果]
上述のように、A/Dコンバータの入力電圧の高さには上限がある。そのため、サーミスタに流れる電流の向きが固定である場合は、分圧回路に流れる電力を変化させることによっては、定着温度の全温度域にわたって、定着温度の検出精度を向上させることは困難である。しかしながら、以上のように構成された画像形成装置では、CPUが、分圧抵抗を切り替えずにサーミスタの温度の検知レンジを切り替える。電流の向きが切り替わり、サーミスタがプルアップ側からプルダウン側に切り替わることで、低温時だけでなく高温時も電流値を上昇・下降などさせて温度の検知レンジの切替えを行うことができる。サーミスタなど温度センサの出力を増幅する回路や、検知レンジを切り替えるために分圧抵抗を切り換える回路などを用いることなく、定着部の温度範囲全体で、精度良く定着温度を検出することができる。
[その他]
サーミスタの検知レンジの切替えは、サーミスタに供給される電流及び電圧のうち少なくとも一方を変更したり、サーミスタに供給される電力を変更することで行われるようにすればよい。
温度センサとしては、サーミスタに限られない。また、分圧回路には、温度センサ及び分圧抵抗に加えて、他の回路素子が設けられていてもよい。
サーミスタに供給される電力の変更幅すなわちサーミスタの電流の変更幅は、ユーザが自在に設定可能であればよい。また、電流の変更幅は、用いる温度センサや分圧抵抗などの特性に応じてCPUが算出して設定するようにしてもよい。
温度域の数は、上記の例のように4つに限られず、2つ又は3つであったり、5つ以上であってもよい。
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などいずれであってもよい。また、画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)であってもよい。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD等に蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する。プリンタとしての機能では、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする。
本発明は、定着装置の温度制御を行う温度制御装置に広く適用可能である。
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。