JP5504846B2 - 導電性ペースト組成物及び該組成物を用いた電極の製造方法 - Google Patents

導電性ペースト組成物及び該組成物を用いた電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下、PDPという。)を構成する前面基板や背面基板に対して、精細な電極パターンを形成するのに有用な導電性ペースト組成物及び該組成物を用いた電極の製造方法に関するものである。
PDPはガスを封入した密閉空間である放電セルの電極対に電圧を印加し、プラズマ放電を発生させ、ガスから発生する紫外線を放電セル内に塗布された蛍光体に照射し、蛍光体を励起させてこれを発光させることにより情報を表示する表示デバイスである。
図1に示すように、PDP10は、フロントガラス基板11とリアガラス基板12との間に放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間を確保するために隔壁(障壁、リブ)13が設けられ、フロントガラス基板11、リアガラス基板12及び隔壁13で区画され、内部にガスが封入された放電空間14内で、対向するバス電極16とアドレス電極17との間にプラズマ放電を生じさせることにより、この放電空間14内に封入されているガスから発生する紫外線を放電空間14内に設けた蛍光体18に当てることにより表示を行うものである。なお、図1中の符号16aはバス電極16を構成する白色層、符号16bはバス電極16を構成する黒色層、符号19は保護膜、符号21は透明誘電体層、符号22がカラーフィルタ、符号23が透明電極をそれぞれ示す。
このような表示デバイス等の半導体デバイスにおける電極等の形成には従来よりフォトリソグラフィ法が用いられてきたが、このフォトリソグラフィ法は製造工程が複雑であり、また材料ロスが多く、パターン形成に必要な露光装置等の製造設備に莫大な費用がかかるため、製造コストが極めて高くなるという問題があった。更に、パターン形成時の現像処理等にて生じる廃液を処理するコストも高く、しかもこの廃液については環境保護の観点からも問題があった。
そこで、低コストでかつ有害な廃液等を生じることのないパターン形成方法に関する研究が種々なされている。なかでも、オフセット印刷法は、微細パターンを高い精度で形成することが可能であることから、フォトリソグラフィ法の代替法として注目されている。
オフセット印刷を用いた技術として、質量平均分子量が5万〜30万である焼成によって除去可能な樹脂分を2〜10質量%の割合で含有するPDPの電極形成用インキを用いて、パターンをオフセット印刷によって形成し、このインキパターンを焼成して電極パターンを得るPDPの電極基板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記特許文献1には、導電性粉体として平均粒径が2μmである球状の銀粒子を、バインダ樹脂としてアクリル樹脂をそれぞれ使用したPDP電極形成用インキの調製、電極パターンの形成及び物性評価が示されている。この特許文献1の実施例1では、アクリル樹脂が質量平均分子量<Mw>が5万で軟化温度が100℃のもの、実施例2では、アクリル樹脂が質量平均分子量<Mw>が15万で軟化温度が120℃のもの、実施例3では、アクリル樹脂が質量平均分子量<Mw>が30万で軟化温度が150℃のもの、比較例1では、アクリル樹脂が質量平均分子量<Mw>が4.5万で軟化温度が90℃のもの、及び比較例2では、アクリル樹脂が質量平均分子量<Mw>が31万で軟化温度が170℃のものがそれぞれ使用されている。
そして、これらの評価として、樹脂分の質量平均分子量<Mw>を小さくするにつれて印刷形状や印刷パターンのひび割れの評価が低下する傾向があり、樹脂分の質量平均分子量<Mw>が5万を下回ると、印刷形状が劣化して、ひび割れなどの不具合が生じることが分かったと記載されている。
特開2005−158295号公報(請求項1、請求項4、[0046]〜[0060])
特許文献1に記載されているように、粒径が2μm程度の導電性粉末を用いた場合では、質量平均分子量<Mw>が5万以上の樹脂成分を使用したインキを用いて形成した電極パターンの物性が優れていることが示されている。
一方、最近では更なるパターンの微細化、かつ低抵抗化の追及等の理由により、インキ成分として、より粒径が小さな0.01〜1.5μm程度の導電性粉末を使用する傾向にある。
しかしながら、上記特許文献1に示されるような、質量平均分子量<Mw>が5万以上の樹脂成分を使用したインキに、粒径が2μm程度よりも小さな0.01〜1.5μm程度の導電性粉末を用いた場合では、50μm程度の微細なパターン形状に対応するために利用する上記微小粒径導電性粉末の特性である低温焼結化を阻害し、低抵抗化が困難となる等の不具合を生じる問題があった。
本発明の目的は、粒径が0.01〜1.5μm程度の導電性粉末を使用し、かつ、350〜600℃の範囲内での低温焼成によって導電性の高い電極パターンを得ることが可能な導電性ペースト組成物及び該組成物を用いた電極の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、緻密で、かつライン乱れのないパターンの電極を形成し得る、導電性ペースト組成物及び該組成物を用いた電極の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、60〜90質量%の導電性粉末と、2〜10質量%のガラス粉末と、残部が少なくとも樹脂成分及び溶剤成分から構成される有機系ビヒクルとを含み、導電性粉末の平均粒径が0.01〜1.5μmであって、有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分が、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量5000〜30000のアクリル−エポキシ共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であるか、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量1000〜20000のアクリル−スチレン共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であり、かつガラス転移点が30℃以下を示すものを前記樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上の割合で少なくとも1種以上含み、前記アクリル系共重合樹脂が350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂であり、前記溶剤成分が前記アクリル系共重合樹脂を溶解可能な成分であることを特徴とする導電性ペースト組成物である。
本発明の第1の観点では、平均粒径が0.01〜1.5μmの導電性粉末を使用する場合に、有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分が、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量5000〜30000のアクリル−エポキシ共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であるか、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量1000〜20000のアクリル−スチレン共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であり、かつガラス転移点が30℃以下を示すものを前記樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上の割合で少なくとも1種以上含む。前記アクリル系共重合樹脂が350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂であるため、従来の樹脂成分のように、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがない。従って、この導電性ペースト組成物を用いて形成した電極は、高い導電性を有する。また、低温焼成後の残渣物が極めて少ないため、この導電性ペースト組成物を使用して電極を形成した場合、電極形状として緻密で、かつラインに乱れのない電極パターンが得られる。更に、上記有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分の少なくとも1種にガラス転移点が30℃以下を示す樹脂を用いることにより、印刷時の乾燥によるひび割れを起こすことがなく、また流動性良好で印刷性に優れたペーストを得ることができる。
また、本発明の第の観点では、樹脂成分がアクリル系共重合樹脂であるので、低温での分解性の点で優れると同時に、適度な粘着性を持つ。従って、このような導電性ペースト組成物はオフセット印刷法を用いることで、オフセット印刷性が良好となる。
更に、本発明の第の観点では、溶剤成分としてアクリル系共重合樹脂を溶解可能な成分を使用することで、流動性の高いペーストを得ることができるため印刷性向上の効果が得られる。
本発明の第の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に導電性粉末がCu、Ag、Pd及びAuからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を含む粉末であることを特徴とする。
本発明の第の観点では、上記種類の金属を含む粉末は、他の金属粉末に比べて高い導電性を持つため、本発明が目的とする電極等に利用する際の導電性粉末として好ましい。
本発明の第の観点は、第1又は第2の観点に基づく導電性ペースト組成物を用いてオフセット印刷法により基板上にパターンを形成し、この形成したパターンを焼成することにより電極を作製することを特徴とする電極の製造方法である。
本発明の第の観点では、上記導電性ペースト組成物に使用した樹脂成分は、アクリル系共重合樹脂が350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂であるため、従来の樹脂成分のように、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがない。従って、オフセット印刷法のような微細配線パターンを得意とする印刷法を用いた場合でも、この導電性ペースト組成物を用いて形成した電極は、高い導電性を有する。また、低温焼成後の残渣物が極めて少ないため、この導電性ペースト組成物を使用して電極を形成した場合、電極形状として緻密で、かつラインに乱れのない電極パターンが得られる。
本発明の導電性ペースト組成物は、60〜90質量%の導電性粉末と、2〜10質量%のガラス粉末と、残部が少なくとも樹脂成分及び溶剤成分から構成される有機系ビヒクルとを含み、導電性粉末の平均粒径が0.01〜1.5μmであって、有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分が、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量5000〜30000のアクリル−エポキシ共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であるか、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量1000〜20000のアクリル−スチレン共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であり、かつガラス転移点が30℃以下を示すものを前記樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上の割合で少なくとも1種以上含む。前記アクリル系共重合樹脂が350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂であるため、従来の樹脂成分のように、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがない。従って、この導電性ペースト組成物を用いて形成した電極は、高い導電性を有する。また、低温焼成後の残渣物が極めて少ないため、この導電性ペースト組成物を使用して電極を形成した場合、電極形状として緻密で、かつラインに乱れのない電極パターンが得られる。また、上記有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分の少なくとも1種にガラス転移点が30℃以下を示す樹脂を用いることにより、印刷時の乾燥によるひび割れを起こすことがなく、また流動性良好で印刷性に優れたペーストを得ることができる。
PDPの放電セルを示す図。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明の組成物は、PDPを構成する前面基板や背面基板に対して、精細な電極パターンを形成するのに有用な導電性ペースト組成物であり、60〜90質量%の導電性粉末と、2〜10質量%のガラス粉末と、残部が少なくとも樹脂成分及び溶剤成分から構成される有機系ビヒクルとを含む。上記導電性粉末の平均粒径は0.01〜1.5μmの範囲内である。また、有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分の質量平均分子量が1000〜30000であり、かつガラス転移点が30℃以下を示すものを少なくとも1種以上含む。
本発明において規定した導電性粉末の平均粒径は、500個以上の導電性粉末をSEM撮影することにより、それぞれの1次粒径を求め、算術平均により平均粒径を算出したものである。
樹脂成分の質量平均分子量(Mw)は、テトロヒドロフラン100質量部に該当樹脂成分1質量部を溶解して試料を調製し、この試料をGPC(Gel Permeation Chromatography(ゲル透過クロマトグラフィー))装置により測定したものである。なお、測定に使用したGPC装置は、示差屈折率検出器付のHPLC(High Performance Liquid Chromatography(高速液体クロマトグラフィー))測定機(島津製作所社製;CBM−20A・LC−20AD・SIL−20A・CTO−20A・RID−10Aの組み合わせ)に、GPC用カラム(島津製作所社製:Shim−pack GPC−804)を取り付けることにより構成した。また、測定の際に使用した標準物質は東ソー製TSK標準ポリスチレン05208(質量平均分子量17000)である。
ガラス転移点の温度域は、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃毎分の条件で樹脂成分試料を測定した際の、比熱の変曲点から求めるものである。
ここで、導電性ペースト組成物に含まれる導電性粉末の割合を60〜90質量%の範囲に限定したのは、導電性粉末の割合が60質量%未満であると、この組成物を用いて形成された電極パターンの導電性が低下してしまうからであり、導電性粉末の割合が90質量%を越えると、印刷に適した流動性をペーストに付与することが困難となり、また焼成後の電極が密着性不良等の不具合を生じるからである。また、導電性ペースト組成物に含まれるガラス粉末の割合を2〜10質量%の範囲に限定したのは、ガラス粉末の割合が2質量%未満であると、焼成後の電極が密着不良等の不具合を生じるからであり、ガラス粉末の割合が10質量%を越えると、この組成物を用いて形成された電極パターンの導電性が低下してしまうからである。このうち、導電性粉末が70〜88質量%、ガラス粉末が2〜8質量%及び残部となる有機系ビヒクルが10〜20質量%となるような割合が印刷性良好による印刷形状の安定化及び焼成後の電極の低抵抗化の理由から、特に好ましい。
また、導電性ペースト組成物に含まれる導電性粉末の平均粒径を0.01〜1.5μmの範囲内に限定したのは、更なる微細配線化が要求される電極に対応するため、また低抵抗化のための低温焼結性を持たせる理由からである。このうち、導電性粉末の平均粒径は、0.1〜0.8μmの範囲内がペーストの印刷適性流動化及び低温焼結性向上の理由から、特に好ましい。また、導電性粉末は、上記範囲内の平均粒径であれば、異なる平均粒径の粉末を複数種類配合して使用しても良い。
更に、導電性ペースト組成物に含まれる有機系ビヒクルを構成する樹脂成分の質量平均分子量を1000〜30000の範囲内に規定したのは、質量平均分子量が上記範囲内の樹脂成分であれば、600℃以下の低温焼成において、導電性粉末が焼結を開始する300〜500℃付近の温度域で消失除去が可能であり、従来の樹脂成分のように、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがないためである。従って、この導電性ペースト組成物を用いて形成した電極は、高い導電性を有する。また、低温焼成後の残渣物が極めて少ないため、この導電性ペースト組成物を使用して電極を形成した場合、電極形状として緻密で、かつラインに乱れのない電極パターンが得られる。なお、樹脂成分の質量平均分子量が1000未満であると、この組成物にオフセット印刷に適正な粘度を付与できず、所望の印刷形状を確保できない。また、樹脂成分の質量平均分子量が1000未満であると、この組成物の結着力が弱まる不具合を生じる。結着力を高めるために樹脂成分の含有量を上げると、焼成後の残渣が多くなり、形成された電極パターンの比抵抗が高くなる問題が生じる。また、質量平均分子量が30000を越えると、この組成物の粘性が高くなって、オフセット印刷時における凹版へのペーストの受理に不具合を生じる。ペーストの受理の不具合を解消するために、樹脂成分の含有量を上げると、連続で印刷を行うにつれて、印刷用ブランケットから基板に印刷用ペーストを塗布するときに、印刷用ブランケット上に印刷用ペーストが次第に残っていく、いわゆるパイリング(piling)という現象が発生し易くなる問題があった。このうち、有機系ビヒクルを構成する樹脂成分の質量平均分子量は、3000〜30000の範囲内がオフセット印刷による電極形状を連続して安定して得る連続印刷性及び、低温消失の効果による電極の低抵抗化の理由から、特に好ましい。
オフセット印刷性を決める因子はペースト組成物の粘度であることが多く、樹脂成分の質量平均分子量が30000を越える、例えば、50000以上のような高分子量の樹脂を使用すると、ペースト組成物の粘度が急激に高くなり過ぎて、印刷することが難しくなる。また、樹脂成分の質量平均分子量が1000未満、例えば、500程度のような極端に小さく、モノマーやオリゴマーに近い粘性しか示さない低分子量の樹脂を使用すると、ペースト組成物の粘度が低くなって、導電性粉末の重さを支えられずに、導電性粉末が沈降してしまい、ペーストが簡単に分離してしまうためである。
ペースト組成物の粘度を決める樹脂成分の質量平均分子量が比較的高い30000を越える場合には、上記樹脂成分が可溶な溶剤成分を増量することで粘度調整することが考えられるが、この場合印刷中にペースト組成物から多量な溶剤成分が揮発することで、ペースト組成物の急激な粘度変化によりライン形状が乱れるなどの不具合や、形成した電極表面が乾燥し、ひび割れが発生するなどの問題が起こる。一方で、ガラス転移点が30℃以下を示す樹脂成分を利用することにより、ペースト組成物の急激な粘度変化や乾燥を抑えることができ、良好な印刷性を連続して確保できる。ガラス転移温度の好ましい範囲は−100〜30℃である。特に下限値を設定する理由はないが、本発明に求められる樹脂組成物のうち、ガラス転移温度が−100℃を下回るものは入手し難いという理由からである。また、上限値を30℃とした理由は、30℃を越える樹脂成分のみを利用した場合には、印刷時に溶剤が多量に揮発すると、ペースト組成物中に残留する成分が固体の導電性粉末、ガラス粉末、樹脂成分等のみとなってしまうため、ペースト組成物が乾燥し、ライン形状の乱れや、形成した電極表面の乾燥によるひび割れ等の問題が発生するからである。また、2種類以上の樹脂成分を配合する場合には、ガラス転移点が30℃以下の樹脂の含有率は少なくとも樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上含むことが好ましい。その理由は、樹脂成分全体の20質量%以下であった場合に、ペースト組成物の急激な粘度変化を抑制する効果や、電極表面の乾燥防止効果が得られ難くなる傾向が見られるからであり、35質量%以上含むことが更に好ましい。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる導電性粉末は、Cu、Ag、Pd及びAuからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を含む粉末である。2種以上の金属を含む粉末としては、複合合金やメッキ複合体などが挙げられる。これらの導電性粉末は、1種を単独で使用する他、2種以上を混合して使用することもできる。このうち、導電性やコスト、耐酸化性(高絶縁性酸化物の生成し難さ)等の観点から、Ag粉末を用いるのが最も好ましい。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられるガラス粉末は、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リン、酸化カルシウム及び酸化チタンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物を含む400〜550℃の軟化点を有するフリットガラスであることが好適である。軟化点を上記範囲内としたのは、軟化点が下限値未満のフリットガラスでは、ガラス粉末がペースト組成物中の有機系ビヒクルを構成する樹脂成分の消失を妨げてしまい、残渣物が電極パターン内に残り、パネル内を汚染する可能性があるためであり、軟化点が上限値を越えるフリットガラスでは、ガラス粉末がガラス基板との間の十分なアンカーを与えることができないためである。このうち、フリットガラスの軟化点は450〜550℃が特に好ましい。具体的には、PbO−B23−SiO2、ZnO−B23−SiO2、PbO−B23−SiO2−Al23、PbO−ZnO−B23−SiO2、PbO−B23−SiO2−Al23−ZnO、PbO−B23−SiO2−CaO、B23−ZnO−Bi23、B23−Bi23、B23−ZnO、Bi23−B23−SiO2、ZnO−P25−SiO2、P25−B23−Al23、ZnO−P25−TiO2などの組み合わせが挙げられる。また、フリットガラスの粒径は特に限定されるものではないが、例えば粒径が0.05〜2.0μmの範囲内が好ましく、0.1〜1.0μmの範囲内が特に好ましい。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる有機系ビヒクルは、樹脂成分及び溶剤成分から構成される。前述した質量平均分子量が1000〜30000の範囲内の樹脂成分としては、低温での分解性の点で優れると同時に、適度な粘着性を持つことからオフセット印刷性が良好である理由から、アクリル系共重合樹脂が挙げられる。このアクリル系共重合樹脂には350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂が選ばれる。具体的には、質量平均分子量が3000〜25000のアクリル−ウレタンの共重合樹脂、質量平均分子量が1000〜20000のアクリル−スチレンの共重合樹脂、質量平均分子量が5000〜30000のアクリル−エポキシ共重合樹脂が挙げられる。上記質量平均分子量以外にも、ガラス転移点が30℃以下を示すものが少なくとも1種以上選ばれる。これらの樹脂はいずれも、1種を単独で使用する他、2種以上を混合して使用することもできる。2種類以上の樹脂成分を配合する場合には、ガラス転移点が30℃以下の樹脂の含有率は樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上含むことが好ましい。その理由は、樹脂成分全体の20質量%未満であった場合に、ペースト組成物の急激な粘度変化を抑制する効果や、電極表面の乾燥防止効果が得られ難くなる傾向が見られるからである。樹脂成分全体を100質量%としたときに、ガラス転移点が30℃以下の樹脂の含有率が35質量%以上含むことが特に好ましい。溶剤成分にはこのアクリル系共重合樹脂を溶解可能な成分が選択される。このような溶剤成分としては、ジオール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤及びポリエステルポリオール系溶剤(炭素数が2〜12の脂肪族多塩基酸・炭素数が2〜12の脂肪族多価アルコール)からなる群より選ばれた1種の単一溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。また、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤等の添加剤を加えてもよい。分散剤は導電性粉末やガラス粉末の分散性向上のために、粘度調整剤はペースト粘度調整のために添加する。
導電性ペースト組成物に残部として含まれる有機系ビヒクルを構成する樹脂成分及び溶剤成分は、導電性ペースト組成物を100質量%とするとき、樹脂成分が2〜10質量%及び溶剤成分が5〜20質量%とすることが好ましい。ここで、導電性ペースト組成物に含まれる樹脂成分の割合を5〜10質量%の範囲としたのは、樹脂成分の割合が2質量%未満であると、印刷に必要な適正な粘性を付与できないなど不具合を生じるからであり、樹脂成分の割合が10質量%を越えると、相対的に導電性粒子の含有量が減ることから低抵抗化が困難になる不具合を生じるからである。また、導電性ペースト組成物に含まれる溶剤成分の割合を5〜20質量%の範囲としたのは、溶剤成分の割合が5質量%未満であると、ペースト組成物に印刷に適正な流動性を持たせることができず印刷性に不具合を生じるからであり、溶剤成分の割合が20質量%を越えると、ペースト組成物に印刷に適正な流動性及び保形性を持たせることができず、印刷時の形状不良等の不具合を生じるからである。
本発明に係る導電性ペースト組成物は、前述した導電性粉末、ガラス粉末、樹脂成分及び溶剤成分を混合し、攪拌、混合することによって調製される。組成物を調製する際の、処理条件については特に限定されるものではない。
本発明の電極の製造方法は、前述した本発明の導電性ペースト組成物を用いてオフセット印刷法により基板上にパターンを形成し、形成したパターンを焼成することにより電極を作製することを特徴とする。
ここで行われるオフセット印刷法では、導電性ペースト組成物を凹状のパターンを有する印刷版に充填し、充填した導電性ペースト組成物を印刷用ブランケットへ転写した後、印刷用ブランケットから基板上へ導電性ペースト組成物を転写することにより、基板上にライン状の電極パターンを形成するものである。オフセット印刷法では、印刷用ブランケットから基板上にペースト組成物を100%転写させるために、印刷用ブランケット表面にはシリコーンゴムシートを用い、ペースト組成物には印刷用ブランケット表面のシリコーンゴムシートに濡れ易く、かつ、浸透し難い溶剤を添加し、ペースト組成物とシリコーンゴム界面の表面張力を低下させることで、シリコーンゴムからペースト組成物を剥離し易くしてペースト組成物を印刷用ブランケットから基板上に転写させている。
基板上に形成された電極パターンは、500〜600℃で焼成される。上記範囲の温度での焼成によって、導電性ペースト組成物中の溶剤成分が蒸発し、更に樹脂成分が熱分解により消失する。上記導電性ペースト組成物に使用した質量平均分子量が1000〜30000の範囲内の樹脂成分は、600℃以下の低温焼成において、導電性粉末が焼結を開始する300〜500℃付近の温度域で消失除去が可能であるため、従来の樹脂成分のように、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがない。従って、この導電性ペースト組成物を用いて形成した電極は、高い導電性を有する。また、低温焼成後の残渣物が極めて少ないため、この導電性ペースト組成物を使用して電極を形成した場合、電極形状として緻密で、かつラインに乱れのない電極パターンが得られる。
次に本発明の実施例と参考例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す実施例1、2及び4は実施例ではなく参考例である。
<実施例1>
(i)導電性ペースト組成物の調製
先ず、導電性ペースト組成物の調製に際して、導電性粉末として、平均粒径が0.6μmである球状のAg粉末を用意した。また、有機系ビヒクルを構成する樹脂成分として、質量平均分子量が3000で、ガラス転移温度Tgが−5℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用意した。ガラス粉末として、平均粒径が0.5μmで、溶融温度が450℃である酸化ビスマス系フリットを用意した。更に、有機系ビヒクルを構成する溶剤成分として、エチレングリコールモノブチルエーテルを用意した。
次に、有機系ビヒクル組成物として40質量%にて樹脂を溶剤に溶解させた液を作製した。上記有機系ビヒクル組成物を12質量%、Ag粉末を85質量%、ガラス粉末を3質量%の割合で混合し、これを3本ロールで混練することによって、導電性ペースト組成物を調製した。
(ii)電極パターンの形成
上記(i)で得られた導電性ペースト組成物を凹版オフセット印刷によって基板上に印刷し、これを焼成することによって電極パターンを得た。
この電極パターンの形成では、印刷版として、ガラス製の基材上に線幅70μm、ピッチ360μmの凹部(ストライプパターン;深さ20μm)が形成された凹版を使用した。また、印刷用ブランケットには、厚さが300μm、硬さが40(JIS A)のシリコーンゴムを表面ゴム層として備えるものを使用した。更に、基板には、厚さ2.8mm、対角42インチのガラス基板を使用した。
印刷用ブランケットには、PDP電極基板印刷を終える毎に20〜30秒程度の間隔を空けて、その表面が乾燥した後に連続の印刷工程を行った。電極パターンの印刷形成は、室温が23±1℃に制御されたクリーンルーム内にて行い、凹版の表面温度も23±1℃となるように調節した。連続運転を実施した場合でも、ブランケットの表面温度は、面内で常に室温〜室温+3℃以内に収まっていた。
導電性ペースト組成物を50mm/秒の印刷速度で印刷して、パターンを形成したところ、その線幅は60μmであった。その後、連続印刷を行ったが、凹版の表面温度はほとんど変化がなく、印刷精度への影響も観察されなかった。また、印刷用ブランケットに転写した導電性ペースト組成物は100%ガラス基板上に転写したので、印刷された電極パターンの形状は極めて良好で、膜厚も安定していた。電極パターンの印刷精度は対角42インチの基板内で±10μm以内と、極めて高いレベルに収まっていた。
形成した電極パターンの焼成には電気炉を使用した。焼成時には室温から徐々に(10℃毎分)温度を上げていき、ピーク温度(580℃)を15分間維持し、その後、徐々に(2時間程度)室温にまで冷却した。
<実施例2>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が5000で、ガラス転移温度Tgが−15℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<実施例3>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が3000で、ガラス転移温度Tgが−5℃である実施例1のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量が10000で、ガラス転移温度Tgが65℃であるアクリル−エポキシ共重合樹脂との2種を質量比8:2で混合したものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<実施例4>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が1000で、ガラス転移温度Tgが−20℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<実施例5>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が3000で、ガラス転移温度Tgが−5℃である実施例1のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量が30000で、ガラス転移温度Tgが77℃であるアクリル−スチレン共重合樹脂との2種を質量比6:4で混合したものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例1>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が50000で、ガラス転移温度Tgが87℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例2>
導電性ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が500で、ガラス転移温度Tgが−5℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例3>
導電性粉末として、平均粒径が2.0μmである球状のAg粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例4>
実施例1と同様の組成物を準備する過程で、有機系ビヒクル組成物として40質量%にて樹脂を溶剤に溶解させた液を25質量%、Ag粉末を55質量%、ガラス粉末を20質量%の割合で混合した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例5>
実施例1と同様の組成物を準備する過程で、有機系ビヒクル組成物として40質量%にて樹脂を溶剤に溶解させた液を5質量%、Ag粉末を93質量%、ガラス粉末を2質量%の割合で混合した以外は実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例6>
導電性樹脂ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が3000で、ガラス転移温度Tgが55℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較例7>
導電性樹脂ペースト組成物の樹脂成分として、質量平均分子量が10000で、ガラス転移温度Tgが65℃であるアクリル−ウレタン共重合樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性樹脂ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を用い、実施例1と同様にして、基板上に電極パターンを形成した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜7において基板上に印刷形成されたペーストパターンと、焼成処理等を経て製造された各実施例及び比較例のPDP電極基板について、下記(a)〜(d)の物性評価を行った。物性評価結果を次の表1〜表3に示す。
(a) パターンの印刷形状
基板上のペーストパターンを光学顕微鏡(100倍)で観察して、その形状を評価した。印刷形状についての評価基準は次のとおりである。『AA』は、パターンの直進性が極めて良好であって、パターン上に突起、欠け等の異常は観察されないことを示し、『A』は、パターンの直進性が良好であって、僅かに突起や欠け等の異常が観察されたものの、異常の程度は微小なものであることを示し、『A-』は、サンプルによって評価Aと下記の評価Bとが混在していることを示し、『B』は、パターンの直進性がやや劣っており、パターンの一部に突起や欠けが観察されたものの、実用上問題を生じない程度であることを示し、『C』は、パターンの直進性が劣っており、実用上支障を生じ得る突起や欠けが観察されることを示す。
(b)パターンのひび割れ
基板上に導電性ペースト組成物を印刷してから1〜2時間経過した後で、ペーストパターンを光学顕微鏡(100倍)で観察した。ひび割れについての評価基準は次のとおりである。『AA』は、パターン上でひび(クラック)は観察されないことを示し、『A』は、パターン上で僅かにひびが観察されたものの、ひび割れの程度は実用上問題のない程度に微細であることを示し、『A-』は、サンプルによって評価Aと下記の評価Bとが混在していることを示し、『B』は、実用上支障を生じ得る程度のひび割れがパターンの一部に観察されることを示し、『C』は、パターン上でひび割れが顕著に観察されることを示す。
(c)焼成後の膜厚変化
導電性ペースト組成物を印刷してなる印刷パターンの膜厚t1(μm)と、これを焼成してなる電極パターンの膜厚t2(μm)とをキーエンス(株)製のレーザー顕微鏡「VK−9600」を用いて、非接触にて測定した。この測定値から、次の式(1)を用いて膜厚の減少率(%)を求めた。
減少率(%)=(t1 − t2)/t1 × 100 ……(1)
膜厚の減少率の評価基準は次のとおりである。『AA』は、減少率が5%以下であって、膜厚変化が高度に抑制されていることを示し、『A』は、減少率が5%を越えたものの、20%以下に抑制されていることを示し、『B』は、減少率が20%を越えており、50%以下であったものの、不十分であることを示し、『C』は、減少率が50%を越えており、膜厚変化が顕著であることを示す。
(d)電極パターンの導電性
ペーストパターンを焼成してなる電極パターンの抵抗率(Ω・cm)を測定して、導電性の程度を評価した。抵抗率は、4端子4探針法を用いて三菱化学(株)社製のローレスタで測定した表面抵抗値と、上記キーエンス(株)社製のレーザー顕微鏡「VK−9600」を用いて測定した電極パターンの膜厚t2(μm)を測定した値を用いて算出した。『AA』は、抵抗率が3×10-6Ω・cm以下であって、電極パターンの導電性が極めて優れていることを示し、『A』は、抵抗率が3×10-6Ω・cmを越え、6×10-6Ω・cm以下であって、電極パターンの導電性が優れていることを示し、『B』は、抵抗率が6×10-6Ω・cmを越え、1×10-5Ω・cm以下であって、電極パターンの導電性は実用上不十分であることを示し、『C』は、抵抗率が1×10-5Ω・cmを越えており、電極パターンの導電性が極めて不十分であることを示す。なお、表2において、評価自体ができなかったものについてはデータ取得不可ということで「ND」(No Data)と記載した。
Figure 0005504846
Figure 0005504846
Figure 0005504846
表2より明らかなように、質量平均分子量が50000と分子量が大きな樹脂成分を用いた比較例1では、評価(a)のパターン印刷形状が『B』とパターンの直進性に一部難があり、パターンの一部に突起や欠けが観察された。評価(b)のパターンひび割れが『B』とパターン上でひび割れが一部に観測された。また、評価(d)の電極パターンの導電性が『C』と抵抗率が1×10-5Ω・cmを越え、電極パターンの導電性が極めて不十分であることを示された。
また、質量平均分子量が500と分子量が小さな樹脂成分を用いた比較例2では、評価(a)のパターン印刷形状が『C』とパターンの直進性が劣り、実用上支障を生じ得る突起や欠けが観察されることを示された。また、評価(b)のパターンのひび割れが『B』とパターン上でひび割れが観察されることを示された。
表3より明らかなように、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂成分を用いた比較例6では、評価(b)のパターンのひび割れが『B』とパターン上でひび割れが観察されることが示された。また、比較例7では、評価(b)のパターンのひび割れが『C』とパターン上でひび割れが顕著に観察され、評価(d)の電極パターンの導電性が『C』と抵抗率が1×10-5Ω・cmを越え、電極パターンの導電性が極めて不十分であることを示された。
一方、表1より明らかなように質量平均分子量が1000〜30000の実施例1〜5では、評価(a)、評価(b)及び評価(d)がそれぞれ『A』や『AA』と、パターンの直進性に優れ、パターン上でひび(クラック)が観察されず、更に、実施例1,2,4においては抵抗率が3×10-6Ω・cm以下であって、電極パターンの導電性が極めて優れていることが確認された。これら実施例1〜5から、樹脂成分のガラス転移温度が30℃以下である樹脂成分を多く含むことで、評価(b)のパターンひび割れが発生し難い傾向が見られる。
なお、評価(c)の焼成後の膜厚変化については、膜厚の減少率が高い、即ち高い収縮を示す結果が、優れているものと解釈する。即ち、『C』が最も優れ、『AA』が最も劣るということである。それは、焼成したことによる収縮によって、Agの導電層が緻密なものとなり、バルクのAgに近い導電性が得られるためである。また、Agの焼結開始温度の時点で消失しきらない高分子量の樹脂がある場合には、収縮が阻害されることで、導電性が低下するためである。この評価(c)では、実施例1〜5及び比較例2,4では評価が『C』であり、比較例3では評価が『AA』であった。実施例1〜5及び比較例2は、焼成で樹脂成分が消失したために、収縮率が高い。この結果は、続く評価(d)で導電性が高いという結果を裏付けるものである。一方で、比較例4に関しては導電性粉末の含有比率が低く、溶剤・樹脂成分等の質量変化の大きい組成物比率が大きいために収縮率が高くなったことが理由で評価が『C』であり、続く評価(d)での導電性は低いので、上記理由とは異なるものと考えられる。また、実施例1〜5で得られた電極パターンは、パターン印刷形状やパターンのひび割れ評価でも優れた結果が得られているため、電極パターンを形成するのに適した導電性ペースト組成物を使用していると評価できる。なお、比較例2は、パターン印刷形状やパターンのひび割れ評価でそれぞれ劣るため、実施可能な電極パターンを形成するには不具合があるものと考える。比較例1は、焼成で高い分子量の樹脂成分が消失しなかったために収縮率が低く、続く評価(d)では、導電性が低いという結果となって表れたものと考える。比較例3は導電性粉末の粒径が2.0μmと大きく、低温で焼結し難かったことを受けて、収縮率が低く、続く評価(d)では、実施例1〜5に比べて導電性が低いという結果となって表れたものと考える。比較例4は導電性粉末の割合が低く、またガラス粉末の割合が高いといった、ペースト組成物自体の配合比が微細パターン印刷に適さず、また高導電性を求める電極への適応できないものであるため、評価(d)の導電性が低く実用に支障があるレベルになったものと考える。比較例5は導電性粉末の割合が高く、ペースト組成物自体に適度な流動性を持たせるだけの有機系ビヒクル量がなかったため、印刷が困難であり、物性評価を実施するレベルに至らなかったため、評価(b)、評価(c)及び評価(d)をND(No Data)とし、実用のレベルにないことを確認した。
10 PDP
11 フロントガラス基板
12 リアガラス基板
13 隔壁
16 バス電極
17 アドレス電極

Claims (3)

  1. 60〜90質量%の導電性粉末と、2〜10質量%のガラス粉末と、残部が少なくとも樹脂成分及び溶剤成分から構成される有機系ビヒクルとを含み、
    前記導電性粉末の平均粒径が0.01〜1.5μmであって、
    前記有機系ビヒクルに含まれる樹脂成分が、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量5000〜30000のアクリル−エポキシ共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であるか、質量平均分子量3000〜25000のアクリル−ウレタン共重合樹脂と質量平均分子量1000〜20000のアクリル−スチレン共重合樹脂の2種のアクリル系共重合樹脂であり、かつガラス転移点が30℃以下を示すものを前記樹脂成分全体を100質量%としたときに20質量%以上の割合で少なくとも1種以上含み、
    前記アクリル系共重合樹脂が350〜600℃の範囲内での焼成によって消失可能な樹脂であり、
    前記溶剤成分が前記アクリル系共重合樹脂を溶解可能な成分であることを特徴とする導電性ペースト組成物。
  2. 導電性粉末がCu、Ag、Pd及びAuからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を含む粉末である請求項1記載の導電性ペースト組成物。
  3. 請求項1又は2記載の導電性ペースト組成物を用いてオフセット印刷法により基板上にパターンを形成し、前記形成したパターンを焼成することにより電極を作製することを特徴とする電極の製造方法。
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