JP6290131B2 - ガラス基板用導電性ペースト、導電膜の形成方法、および銀導電膜 - Google Patents

ガラス基板用導電性ペースト、導電膜の形成方法、および銀導電膜 Download PDF

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本発明は、ガラス基板上に導電膜を形成する際に好適に用いられる導電性ペーストと、その導電膜の形成方法、および銀導電膜に関する。
例えば、回路基板の配線形成や、電子部品の電極形成等に用いられる導電性ペーストは、導電性粉末と、樹脂結合剤と、有機溶剤と、必要に応じて含まれるガラスフリット等の無機フィラーとから成るものである。この導電性ペーストは、概ね300(℃)以下の低温で熱処理を施すことによって基板上に導体膜を形成することができる熱硬化タイプと、400(℃)以上の温度で焼成処理を施すことによって導体膜を形成する焼成タイプとに大別される。
前者の熱硬化タイプは、樹脂結合剤として熱硬化樹脂が用いられたものであり、熱処理によってその熱硬化樹脂が硬化することで導電膜が形成される。このタイプは処理温度が低いことから基板の材質を選ばない利点があるが、導電性粉末は相互に接触した状態で樹脂結合剤によって固定されているだけであり、しかも、樹脂が残存することから、抵抗値が高めであり、また、耐熱性や長期的な信頼性が低いことが難点である。
一方、後者の焼成タイプでは、焼成処理によって導電性粉末自体が焼結し、或いは、これに加えてガラスフリットが焼結することで導電膜が形成される。このタイプは樹脂を焼失させると共に導電性粉末が焼結することから、抵抗値が低く、耐熱性や長期的な信頼性が高い利点があるが、高温の焼成処理が必要であることから、樹脂基板には適用できず、製造コストも高めになることが難点である。
特開2013−032255号公報 特開2013−103840号公報 特開2010−161062号公報 特開2004−001046号公報 特開2002−356630号公報
これに対して、300(℃)近辺の温度で焼成が可能な導電性ペーストが提案されている。例えば、金属粒子と、無鉛ガラス組成物と、他の酸化物充填材と、溶剤とを含む導電性ペーストにおいて、そのガラス組成物がAg2OとV2O5とTeO2とを合計で75(質量%)以上含むものが提案されている(特許文献1を参照。)。このような組成のガラスを用いることにより、無鉛ガラスを用いながら350(℃)以下の低温で焼成可能な導電性ペーストが得られるものとされている。
また、無鉛ガラス粒子と銀粒子と酸化銀粒子と有機溶剤とを含有する導電性ガラスペーストにおいて、その無鉛ガラス粒子がAg2OとV2O5とTeO2とを合計で85(質量%)以上含むものが提案されている(特許文献2を参照。)。このような組成のガラスを用いると共にペースト中に更に酸化銀を添加することにより、300(℃)以下で焼成可能な導電性ペーストが得られるものとされている。
また、60〜90(質量%)の導電性粉末と、2〜10(質量%)のガラス粉末と、残部が少なくとも樹脂成分及び溶剤成分から構成される有機系ビヒクルとを含み、前記導電性粉末の平均粒径が0.01〜1.5(μm)であって、前記有機系ビヒクルは樹脂成分の質量平均分子量が1000〜30000であり、かつガラス転移点が30(℃)以下を示す樹脂成分を少なくとも1種以上含む導電性ペースト組成物が提案されている(特許文献3を参照。)。この導電性ペーストは、プラズマディスプレイパネルの電極パターン形成に用いるためのものであるが、上記樹脂成分は導電性粉末が焼結を開始する300〜500(℃)付近の温度域で消失除去が可能であるため、導電性粉末同士の焼結を阻害するようなことがないことから、形成された電極は高い導電性を有するものとされている。
しかしながら、上記各特許文献に記載された導電性ペーストは、低温焼成を可能としたものの、400(℃)以下の焼成温度では、導電性が未だ低く、しかも、ガラス基板との密着性も低いことから、一層の改善が望まれていた。なお、低温焼成可能な導電性ペーストは、前述したような製造コスト面の利点だけでなく、強化ガラスから成るガラス基板に適用するためにも望まれている。強化ガラスは、圧縮応力層を表層部に化学的或いは物理的手段によって設けることで強度が高められたものであり、近年、携帯端末などに広く用いられるようになってきているが、400(℃)以上の温度で処理すると応力緩和されて強度が低下するため、従来の焼成タイプの導電性ペーストは、適用が困難である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、400(℃)以下の低温で焼成可能で、従来よりも導電性とガラス基板への密着性に優れた銀導電膜、その形成方法、およびこれに用いる導電性ペーストを提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含み、ガラス基板上に導体膜を形成するために用いられる導電性ペーストであって、前記銀粉末として、ロジン/(銀粉末+ロジン)質量比で1.6(%)以下の量のロジンを表面に付着させたロジン付着銀粉末が用いられ、前記ガラスフリットは、軟化点が360(℃)以下の無鉛ガラスであることにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、銀を導体成分として含む導電膜をガラス基板上に形成する方法であって、(a)所定量のロジンが表面に付着した銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含む導電性ペーストを前記ガラス基板上に所定パターンで塗布するペースト塗布工程と、(b)300〜370(℃)の最高温度で焼成処理を施すことにより、前記導電性ペーストから導電膜を生成する焼成工程とを、含むことにある。
また、前記目的を達成するための第3発明の銀導電膜の要旨とするところは、前記第1発明のガラス基板用導電性ペーストを用いてガラス基板上に形成されたことにある。
前記第1発明によれば、導電性ペーストは、銀粉末として、ロジン/(銀粉末+ロジン)質量比で1.6(%)以下の量のロジンを表面に付着させたロジン付着銀粉末が用いられていることから、400(℃)未満、好ましくは370(℃)以下の低温で焼成処理を施しても、銀粉末の焼結が十分に進む。そのため、400(℃)以下の低温で焼成可能で、従来よりも導電性とガラス基板への密着性に優れた銀導電膜を形成可能な導電性ペーストが得られる。このような導電性ペーストは、焼成温度を低くできることから、製造コスト面で有利であることに加えて、400(℃)以上の温度に曝されると応力緩和が生じて強度が低下する強化ガラスにも好適に用い得る利点がある。なお、ロジンが僅かでも銀粉末に付着していれば、その量に応じて銀粉末の焼結性が高められるが、1.6(%)を超えて過剰になると焼成時に燃え抜け難くなって、膜密度を低下させ、導電性が低下する。また、前記ガラスフリットは、軟化点が360(℃)以下の無鉛ガラスであるので、導電性ペーストに含まれているガラスフリットの軟化点が十分に低いことから、ロジンの付着によって銀粉末の焼結性が高められたことと相俟って、生成される銀導電膜の密度が一層高められて一層高い導電性が得られると共に、基板への密着性が一層高められる。
また、前記第2発明によれば、ガラス基板上に塗布された導電性ペーストが300〜370(℃)の低温で焼成されるが、その導電性ペーストには、所定量のロジンが表面に付着した銀粉末が用いられていることから、このような低温でも十分に焼結が進むので、高い導電性とガラス基板への高い密着性が得られる。そのため、この導電膜の形成方法は、焼成温度が低くなっていることから、製造コスト面で有利であることに加えて、400(℃)以上の温度に曝されると応力緩和が生じて強度が低下する強化ガラスから成るガラス基板に対しても好適に適用できる利点がある。なお、焼成温度が300(℃)未満では、焼結が十分に進まず、一方、370(℃)を超えても、導電性や密着性は特に向上しないので、強化ガラス以外のガラスから成る場合にも、ガラス基板に過剰の熱が与えられる不都合が生ずる不都合がある。
また、前記第3発明によれば、銀導電膜は、上記第1発明の導電性ペーストを用いてガラス基板上に形成されていることから、高い導電性とガラス基板への高い密着性とを有する。
因みに、ロジンを表面に付着させた金属粉末は、従来から一部の分野では用いられている。例えば、基板等に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる250(℃)以下の融点を有する平均粒径0.1〜20(μm)のSn-Pbはんだ等の金属粒子と、ロジン樹脂層とを含む荷電性粒子が知られている(特許文献4を参照。)。また、アミン塩酸塩とロジンまたはロジンエステルの混合物の薄膜を粒子表面に被着してなる700(℃)程度で焼成可能な銅粉が知られている(特許文献5を参照。)。
しかしながら、上記従来技術は、低融点のはんだの溶融性の改善に関するもの、或いは、銅粉の焼成に700(℃)以上の高温を必要とするものであり、何れにしても、焼結性を僅かに改善するものに過ぎない。これに対して、本発明は、表面に付着したロジンがその付着量次第で銀粉末の焼結性に著しく影響を及ぼすことを見出し、このような知見に基づいて為されたもので、上記従来技術や技術常識からは全く想到し得なかったものである。
ここで、好適には、上記ガラスフリットの軟化点は、得ようとするガラス基板用導電性ペーストの焼成温度に応じて定めることが望ましいもので、その焼成温度よりも10(℃)以上低い温度である。
なお、上記ガラスフリットは、上記軟化点を有する無鉛ガラスであれば、特に限定されないが、Te-V、Te-V-Agが好ましい。Teガラスとしては、Te-Ag、Te-P-Ag等も挙げられるが、これらを用いると導電性ペーストの焼結性が劣るので、抵抗値が高くなり、密着性も低くなる。これらは結晶化ガラスであることから、流動性が劣るためと考えられる。
また、好適には、前記ガラス基板用導電性ペーストにおいて、前記樹脂結合剤は、前記銀粉末に対する質量比で12(%)以下且つ前記有機溶剤に対する質量比で35(%)以下の量で含まれるものである。樹脂結合剤の量は、他のペースト成分との兼ね合いや、印刷パターン等に応じて、所望の印刷パターンが得られるように適宜定められるものであるが、銀質量比で12(%)、溶剤質量比で35(%)を超えると、乾燥密度が低くなって、焼結性が低下し、延いては導電性および密着性が不十分になる。
また、好適には、前記ガラス基板用導電性ペーストにおいて、前記銀粉末は、平均粒径が0.5(μm)以下である。銀粒径が大きくなるほど焼結性が低下するが、1(μm)以上になると著しく焼結が進みにくくなり、抵抗値が増大する。
また、好適には、前記導電膜の形成方法において、前記銀粉末の表面に付着した前記ロジンは、ロジン/(銀粉末+ロジン)質量比で1.6(%)以下の量である。すなわち、前記第2発明の導電膜の形成方法は、前記第1発明の導電性ペーストを用いることが好ましい。
また、好適には、前記導電膜の形成方法において、前記ガラス基板は、強化ガラスから成るものである。本発明の導電性ペーストは、適用されるガラス基板の種類を特に選ばないが、400(℃)以下の低温で焼成できる利点があることから、400(℃)以上の温度に曝されると応力緩和が生ずる強化ガラスに適用すると、その表面に配線を形成するに際して、その強度低下が抑制される利点がある。
また、前記樹脂結合剤の種類は特に限定されないが、400(℃)以下、好適には、300〜370(℃)で焼成するために、それよりも十分に低温で焼失(脱バイ)完了する樹脂を選定する必要がある。印刷性や取扱性も考慮すると、アクリル樹脂が好ましい。例えば、メタクリル酸イソブチルの重合体で、平均分子量16万のものが挙げられる。
本発明の一実施例の銀導電膜が形成されたガラス基板の断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の銀導電膜10が形成されたガラス基板12の断面を示す図である。ガラス基板12は、例えば、スマートフォンのカバーガラスに用いられる化学強化ガラスであり、例えば、0.4〜5.0(mm)程度の厚さ寸法を備えている。また、銀導電膜10は、例えば、導体成分として銀を96〜98(wt%)程度含み、無機結合剤としてガラス成分を僅かに2〜4(wt%)程度含むもので、例えば、1.0〜8.0(μm)程度の厚さ寸法を備えている。ガラス成分は、例えば、Te-Vガラス或いはTe-V-Agガラスである。
上記銀導電膜10は、例えば、銀粉末と、ガラス粉末と、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含む導電性ペーストを用意し、ガラス基板12上にスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、或いはインクジェット印刷等の適宜の印刷方法により膜形成して、焼成処理を施すことにより形成される。銀粉末は、表面に所定量のロジンを付着させたロジン付着銀粉末として添加する。これは、以下のようにして作成する。銀粉末としては、一般的な湿式法により調製された市販品を用いた。平均粒径0.07(μm)、0.10(μm)、0.5(μm)、1.0(μm)の球形状のものを用意した。これを例えばビーカーにそれぞれ約100(g)とり、さらにイソプロピルアルコール約1000(ml)を追加し十分に撹拌する。これを一晩放置し、次いで、上澄みを廃棄する。さらにイソプロピルアルコール約1000(ml)を投入し、撹拌後、一晩放置する。この洗浄操作を3〜5回繰り返す。これにより、銀粉末に付着している有機物を十分に除去する。
次いで、ロジンをイソプロピルアルコールに溶解させる。ロジン原料としては、例えば、荒川化学工業製ガムロジンWWを用い、これを適量、例えば1.0〜2.5(g)とって、500(ml)のイソプロピルアルコールに添加し撹拌する。次いで、上記の洗浄操作を終えた銀粉の上澄み液を廃棄し、これにロジンを溶かしたイソプロピルアルコールを添加し十分に撹拌する。次いで、この混合物をナス型フラスコに移し替え、エバポレータを用いて55(℃)〜60(℃)の温水で加温しながら減圧させることで、イソプロピルアルコールを気化させる。このようにして得られた銀粉をトレイに載せ、一晩放置する。その後、200メッシュのスクリーンを用いてふるいを実施することで表面にロジンが付着した銀粉粒子を用意した。
なお、付着したロジン量は、得られた銀粉をTG-DTAで昇温速度10(℃/min)で900(℃)まで測定して求めた。すなわち、TGの50(℃)の質量と400(℃)の質量との差を付着ロジン量とした。付着ロジン量は添加するガムロジンWWの量を変化させることで調整する。例えば、粒径0.1(μm)の銀粉の場合、ガムロジン量1.2(g)、1.7(g)、2.2(g)に対して、付着ロジン量は1.0(%)、1.6(%)、2.0(%)になる。
また、ガラス粉末は、以下のようにして作成する。Te源としてTeO2を、V源としてNH4VO3を、Ag源としてAg2Oをそれぞれ用意し、所望するガラス組成になるように秤量して調合する。これらを坩堝に投入して組成に応じた700〜800(℃)の範囲内の温度で、30分〜1時間程度溶融し、急冷することでガラス化させる。このガラスを遊星ミルやボールミル等の適宜の粉砕装置を用いて粉砕する。粉砕時間は1〜8時間程度、粉砕後の平均粒径(D50)は例えば0.7(μm)程度である。
上記のようにして、ロジン付着銀粉およびガラス粉末を用意し、樹脂結合剤および有機溶剤と攪拌機等で混合する。樹脂結合剤としては、例えばアクリル樹脂(三菱レーヨン製 EMB−002)、有機溶剤としては、例えばメンタノールを用いる。これらを所定量調合し、三本ロールミルを用いて分散処理を行ってペースト化することにより、導電性ペーストが得られる。上記アクリル樹脂は、250(℃)以下で燃え抜けるもので、スクリーン印刷性やハンドリング性を考慮した平均分子量16万程度のメタクリル酸イソブチルである。ペースト調製に際しては、印刷性を同等とするために、例えば、25(℃)−20(rpm)における粘度が100〜150(Pa・s)になるように調整する。
このようにして用意した導電性ペーストを用いて、ガラス基板に厚膜スクリーン印刷を施す。印刷製版はSUS400製とした。また、印刷膜の幅寸法は500(μm)になるように印刷条件を設定した。乾燥後、300〜370(℃)の範囲内の温度で焼成処理を施すことにより、樹脂結合剤が燃え抜けると共に銀粉末が焼結し、前記銀導電膜10が得られる。
本実施例によれば、上述したように銀粉末としてロジンを付着させたロジン付着銀粉末を用いていることから、上記のような300〜370(℃)の低温でも銀粉末の焼結が十分に進むので、例えば、シート抵抗値が2〜6(mΩ/□)程度の高い導電性と、高い密着性とを備えた導電膜10が得られる。
ここで、ペースト組成や膜形成条件を種々変更して評価した試験結果を説明する。下記の表1は、付着ロジン量およびガラス粉末の種類を検討した結果をまとめたものである。表1において、No.1〜No.6は実施例、No.7〜No.10は比較例である。また、「組成」欄は、導電性ペーストの組成を質量百分率で示したもので、銀量を60〜70(%)、ガラス量を2〜3(%)、樹脂結合剤量を5.6〜7.4(%)、有機溶剤量を22.4〜29.6(%)の範囲とした。「樹脂/銀」、「樹脂/溶剤」は、それぞれ、銀および有機溶剤に対する樹脂量の百分率である。また、「材料」欄において、「銀粒径」は、各ペーストに用いたロジン付着前の銀粉末の粒径、「付着ロジン量」は、前述した処理で銀粉末に付着させたロジン量を前述したようにTG-DTAで測定した結果を銀粉末に対する百分率で示したものである。また、「ガラス」欄は、ペーストに添加したガラス粉末の組成系である。また、「試験条件」欄において、「印刷版」は印刷版の材質、「印刷厚み」、「焼成厚み」は、それぞれ、印刷・乾燥後の膜厚、焼成後の膜厚である。「焼成温度」は焼成処理の最高保持温度である。
Figure 0006290131
また、上記の「結果」欄において、「抵抗値」は、焼成後にデジタルマルチメーターを用いて一般的な2端子法に基づいて端子間隔 10(cm)、ライン幅 500(μm)で測定した膜状導体の抵抗値である。また、「シート抵抗値」は、上記抵抗値に基づいて次式より算出した。なお、換算厚みは、10(μm)である。
シート抵抗値(mΩ/□) = 測定抵抗値(Ω)×(導体幅(mm)/導体長さ(mm))×(導体厚み(μm)/換算厚み(μm))
また、「テープ強度」は、焼成後に、ガラス基板上に形成された銀導電膜の表面にセロハンテープ(ニチバン製 CT−15153P)を指で押し付けて付着させ、テープを剥がして剥離したテープ面に付着する銀導電膜の様子を目視により観察して判定した。押しつけたテープのほぼ全面に銀導電膜がまったく付着しておらず、かつガラス基板上に形成された銀導電膜もそのまま残っているものを「○」、押しつけたテープに銀導電膜の一部が付着し、かつガラス基板上に形成された銀導電膜が一部残っていないものを「△」、押しつけたテープに銀導電膜の90(%)以上が付着し、かつガラス基板上に形成された銀導電膜の90(%)以上が残っていないものを「×」として3段階評価した。
上記の表1に示す評価結果において、樹脂/銀が8.8〜11.1(%)、樹脂/溶剤が25.0(%)で、付着ロジン量が1〜1.6(%)の範囲の実施例では、シート抵抗値が3.59〜6.04(mΩ/□)の良好な導電性が得られ、テープ強度も「○」であった。これに対して、付着ロジン量が2(%)の比較例No.7、No.8では、シート抵抗値は3.89〜5.34(mΩ/□)と良好であるものの、テープ強度が「△」〜「×」の結果となった。この結果によれば、付着ロジン量は1.6(%)以下に留める必要があり、過剰になると焼結性が低下し、延いては密着性が劣ることになる。なお、実施例No.3、No.6を対比すると、No.3の方が若干導電性が高くなっている。付着ロジン量が1.0(%)から1.6(%)に増えることで僅かに焼結性が低下しているものと考えられる。
また、ガラス粉末としてTe-Vガラスを用いた実施例では、上記の通り良好な結果が得られたのに対し、Te-Agガラス或いはTe-P-Agガラスを用いた比較例No.9、No.10では、シート抵抗値が7.85(mΩ/□)以上と高く、テープ強度も「△」〜「×」の結果となった。特に、Te-Agガラスを用いた比較例No.9では、シート抵抗値が著しく高く、テープ強度も無いため、焼結が進んでいないものと考えられる。これらTe-AgガラスおよびTe-P-Agガラスは、結晶化ガラスであり、流動性が低いことから、焼結性が劣るものと考えられる。上記Te-Vガラスは、TeO2 42.4(mol%)、V2O5 28.9(mol%)、BaO 17.7(mol%)、ZnO 9.9(mol%)、MgO 1.1(mol%)の組成を有するものであり、Te-Agガラスは、TeO2 75(mol%)、Ag2O 25(mol%)の組成を有するものであり、Te-P-Agガラスは、TeO2 40(mol%)、P2O5 20(mol%)、Ag2O 40(mol%)の組成を有するものである。
なお、上記表1に示す実施例において、No.1、No.2は、樹脂量が多いことから焼成温度を350(℃)としたが、他の実施例は樹脂量が8.8(%)と少ないので、焼成温度は300(℃)で足りる結果であった。
また、No.3〜No.5は、印刷版の材質を変更して膜厚を異なるものとして評価したものである。印刷厚みで4.10〜10.30(μm)、焼成厚みで3.00〜7.60(μm)の範囲で何れも300(℃)の焼成温度で十分に焼結することが明らかである。但し、膜厚が厚くなるほどシート抵抗値が増大する結果が得られているため、No.4、No.5は、焼成温度を高くするなどの対応で更に良好な導電性が得られる可能性もある。
下記の表2は、ペースト中に添加する樹脂量を3〜9(%)の範囲、樹脂/銀比で4.4〜13.2(%)、樹脂/溶剤比で11.1〜42.9(%)の範囲で変化させて、焼成温度を300(℃)または350℃として、その影響を確認したものである。ガラスとしては、Te-V-Agガラス(TeO2 66.7(mol%)、Ag2O 16.6(mol%)、V2O5 16.7(mol%))を用いた。樹脂/銀比で4.4〜11.0(%)、樹脂/溶剤比で11.1〜33.3(%)の実施例No.11〜No.16、No.18〜No.23では、シート抵抗値が3.57〜6.54(mΩ/□)と良好な結果が得られたが、樹脂/銀比で13.2(%)、樹脂/溶剤比で42.9(%)の比較例No.17、No.24では、シート抵抗値が11.11〜12.7(mΩ/□)と不十分な結果となった。なお、テープ強度は何れも「○」の結果である。
Figure 0006290131
上記結果と、前記表1の実施例No.1、No.2とを併せて見ると、樹脂/銀比が11.1(%)以下、且つ樹脂/溶剤比が33.3(%)以下の場合に、良好な導電性が得られたが、樹脂/銀比が13.2(%)、且つ樹脂/溶剤比が42.9(%)になると、導電性が不十分になる。樹脂が銀および溶剤に対して過剰になると、膜密度が低下するためと考えられる。実施例No.1、No.2、No.16、No.23と、比較例No.17、No.24との対比から、樹脂/銀比は13.2(%)未満、好ましくは12(%)以下、樹脂/溶剤比は42.9(%)未満、好ましくは35(%)以下であれば、良好な結果が得られるものと推察される。
また、上記の表2に示す結果において、樹脂量が少ないNo.11、No.12、No.18、No.19は、焼成温度300(℃)の方がシート抵抗値が低く、樹脂量が多いNo.13〜No.16、No.20〜No.23は、焼成温度350(℃)の方がシート抵抗値が低くなっている。樹脂量が多くなると、高めの焼成温度が適切となる可能性がある。
下記の表3は、銀粉末として平均粒径が0.07(μm)のものを用い、印刷厚み、焼成温度、付着ロジン量、ガラス種類等を変更して評価した結果である。実施例No.25のように樹脂/銀比を11.1(%)、樹脂/溶剤比を25.0、付着ロジン量を1.3(%)としても、前記各実施例と同様にシート抵抗値で4.33(mΩ/□)と良好な導電性が得られる。また、実施例No.26〜No.29に示すように、樹脂/銀比を8.8(%)、樹脂/溶剤比を25.0(%)として、印刷厚みを4.5〜9.8(μm)、焼成厚みを3.4〜7.1(μm)とすると、シート抵抗値で2.63〜4.13(mΩ/□)と良好な結果が得られる。なお、No.26とNo.27は、同様なペースト組成、印刷条件で焼成温度のみを異なるものとした試験であるが、付着ロジン量が1.3(%)の場合は、焼成温度を350(℃)とする方が好ましい結果となった。ロジンの燃え抜けにより高温を必要とする結果と考えられる。
Figure 0006290131
また、実施例No.30〜No.32は、No.26、No.27と同様なペースト組成、印刷条件で、焼成温度を300〜330(℃)の範囲で変更したものであるが、350(℃)で焼成したNo.27と対比すると、このペースト組成、印刷条件では350(℃)の方が良好な結果が得られることが確かめられた。
また、比較例No.33、No.34は、付着ロジン量を2.3(%)と多くした他は、No.26、No.27と同様な条件としたものである。これら比較例は、シート抵抗値は3.69〜4.07(mΩ/□)と十分に低く、良好な導電性が得られるものの、テープ強度が「△」の結果となる。付着ロジン量が過剰であるため、密着性が低下したものと考えられる。No.34のように350(℃)で焼成してもテープ強度の改善は見られない。
また、実施例No.35、No.36は、ガラス種類をTe-Vとした他は、No.31、No.32と同一条件としたものである。シート抵抗値で3.28〜3.85(mΩ/□)と、No.31、No.32と比較しても良好な結果が得られており、このガラス系の方が焼結性が一層優れるものと考えられる。
また、下記の表4は、銀粉末の粒径を0.07〜1.0(μm)の範囲で変化させて、その影響を評価したものである。実施例No.37〜No.39、比較例No.40は、焼成温度を300(℃)とし、実施例No.41〜No.43、比較例No.44は、それらと同じ条件で焼成温度を350(℃)とした。銀粉末の粒径が0.07〜0.5(μm)の実施例No.37〜No.39、No.41〜No.43は、シート抵抗値で3.64〜5.75(mΩ/□)の良好な導電性が得られ、テープ強度も「○」と高い結果が得られた。これに対して、銀粉末の粒径が1.0(μm)の比較例No.40、No.44は、シート抵抗値が30.43〜33.77(mΩ/□)と高く、導電性が不十分で、しかも、テープ強度は「×」の低い結果となった。銀粒径が大きすぎるため、焼結性が不十分になったものと考えられる。
Figure 0006290131
上述した各実施例、比較例によれば、付着ロジン量が1.6(%)以下で粒径が0.5(μm)以下の銀粉を用い、樹脂/銀比を12(%)以下、樹脂/溶剤比を35(%)以下のペースト組成とすることにより、300〜350(℃)の範囲の温度で焼成処理を施して、シート抵抗値が2〜6(mΩ/□)程度の良好な導電性と、高い密着性を有する銀導電膜が得られることが明らかである。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10 銀導電膜
12 ガラス基板

Claims (7)

  1. 銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含み、ガラス基板上に導体膜を形成するために用いられる導電性ペーストであって、
    前記銀粉末として、ロジン/(銀粉末+ロジン)質量比で1.6(%)以下の量のロジンを表面に付着させたロジン付着銀粉末が用いられ
    前記ガラスフリットは、軟化点が360(℃)以下の無鉛ガラスである
    ことを特徴とするガラス基板用導電性ペースト。
  2. 前記樹脂結合剤は、前記銀粉末に対する質量比で12(%)以下且つ前記有機溶剤に対する質量比で35(%)以下の量で含まれるものである請求項1のガラス基板用導電性ペースト。
  3. 前記銀粉末は、平均粒径が0.5(μm)以下である請求項1または請求項2のガラス基板用導電性ペースト。
  4. 銀を導体成分として含む導電膜をガラス基板上に形成する方法であって、
    所定量のロジンが表面に付着した銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂結合剤と、有機溶剤とを含む導電性ペーストを前記ガラス基板上に所定パターンで塗布するペースト塗布工程と、
    300〜370(℃)の最高温度で焼成処理を施すことにより、前記導電性ペーストから導電膜を生成する焼成工程と
    を、含むことを特徴とする導電膜の形成方法。
  5. 前記銀粉末の表面に付着した前記ロジンは、ロジン/(銀粉末+ロジン)質量比で1.6(%)以下の量である請求項の導電膜の形成方法。
  6. 前記ガラス基板は、強化ガラスから成るものである請求項または請求項の導電膜の形成方法。
  7. 前記請求項1乃至請求項の何れか1項に記載のガラス基板用導電性ペーストを用いてガラス基板上に形成されたことを特徴とする銀導電膜。
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