JP4384428B2 - 低温焼成用導体ペースト及びその製造方法 - Google Patents

低温焼成用導体ペースト及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板等に膜状導体を形成する用途に用いられる低温焼成用導体ペースト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイ用マトリックス電極パネルやCCDセンサ、イメージセンサ等を構築するのに用いられる各種ガラス配線基板その他の電子部品に所定パターンの膜状導体(配線、電極等)を形成する材料として導体ペーストが使用されている。この導体ペーストは、導体を形成する主成分たる金属粉末と必要に応じて添加される種々の添加剤(無機結合剤、ガラスフリット、フィラー等)とを所定の有機媒質(ビヒクル)に分散させることにより調製される導体形成材料である。金属粉末としては、例えば、金、白金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、錫、鉛、インジウム等、又はこれらの任意の組み合わせが用いられている(例えば特許文献1〜4)。
かかる導体ペーストは、スクリーン印刷等の一般的な手法により基板に印刷・塗布される。次いで、当該塗布物(塗膜)を適当な温度で焼成する(焼き付ける)ことにより、当該基板上に所定パターンの導体膜が形成される。
【0003】
導体ペーストに要求される性能の一つにマイグレーション耐性がある。すなわち、導体ペーストから作製された配線パターンに、水分が付着した状態で通電が行われると、マイグレーション又はイオンマイグレーションと称する金属成分の移動(析出)が基板上の非金属部分(絶縁部分)に発生する場合がある。かかるマイグレーションは、電極間又は配線間の短絡の原因となるため好ましくない。そこで、従来、マイグレーションを防止するために種々の工夫が行われてきた。例えば特許文献4には、マイグレーション防止成分として、粒径が20μm以下のハンダ粒子を含有するAgペーストが開示されている。
【0004】
ところで、ガラス基板のような低融点セラミック基板に導体ペーストを用いて導体を形成する場合、上記焼成温度を例えば500〜600℃程度に低くする必要がある。このような低い焼成温度で導体を作製するのに用いられる導体ペーストについても、高いマイグレーション耐性が要求される。この要求に対し、上記特許文献4に記載の技術は適用できない。ハンダ粒子は鉛(Pb)及び錫(Sn)の合金から成るため、かかる低温焼成では当該ハンダ成分が過度に酸化して導電性不良を起こしたり、或いは焼成不良による強度不足が生じる虞があるからである。
【0005】
そこで、マイグレーション耐性に優れる低温焼成用導体ペーストとして、金属粉末として金(Au)を主体に構成されたもの(以下「Auペースト」と略称する。)が用いられている。しかしながら、Auペーストはマイグレーション耐性には優れるものの、原料の金が高価であるとともに、他の金属と比較して緻密性に劣り、電気的抵抗が比較的高い。この電気的抵抗を低くする手段として、粒径が1.0μm以下の金粒子と、軟化点が450℃以下のガラスフリットと、有機ビヒクルとを混練・分散することによって得られた低温焼成用Auペーストが開示されている(特許文献5)。しかしながら、このAuペーストにおいては、金粒子は粒径1.0μm以下である必要があるため、かなり高価なものであった。従って、できるだけ低コストであるとともに、緻密で電気的抵抗が低く、かつマイグレーション耐性の向上した膜状導体を形成し得る低温焼成用導体ペーストが望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−100248号公報
【特許文献2】
特許第3038210号公報
【特許文献3】
特開平6−223620号公報
【特許文献4】
特開平7−14428号公報
【特許文献5】
特開平10−340619号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温焼成用の導体ペーストに関する上記従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、マイグレーション耐性に優れ、かつ安価であるとともに緻密で電気的抵抗の低い低温焼成用の導体ペースト及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
本発明者は、金属粉末としてAu粉末とAg粉末とを所定の割合で混合して用いることによって、マイグレーション耐性に優れるとともに緻密で電気的抵抗値の低い導体を形成し得ることを見出し、本発明の導体ペーストを創出した。
すなわち、本発明によって提供される導体ペーストは、貴金属粉末を含む低温焼成用導体ペーストである。そして本発明の導体ペーストは、その貴金属粉末が金粉末と銀粉末とから構成され、その混合割合は、その合計100質量%に対して、金粉末が55〜80質量%、銀粉末が20〜45質量%であることを特徴とする。また、上記金粉末の平均粒径は2.0μm以下であり、且つ、上記銀粉末の平均粒径は該混合された金粉末の平均粒径の1/5〜1/10であることを特徴とする。
【0009】
本構成の導体ペーストによると、AgとAuとを上記した特定の混合割合で使用する結果、緻密で電気的抵抗が低い膜状導体を比較的低温での焼成により形成することができる。さらに、従来のAuペーストと同様に、マイグレーション耐性に優れる。また、金と比べて安価な銀を主原料の貴金属粉末に混合しているために、比較的安価にペーストを提供することができる。
【0010】
ここで教示される低温焼成用導体ペーストは、ガラス基板の融点以下となるような低い温度(例えば550〜600℃)での焼成が可能であり、そのような低い焼成温度であっても酸化による導体膜(焼成膜)の品質低下を防止することができる。このため、本発明によって、ガラス基板上にマイグレーション耐性に優れる緻密な導体膜を形成するためのガラス基板用導体ペーストが提供される。
【0011】
好ましい本発明の導体ペーストは、ペースト全体を100質量%として、50〜80質量%の上記貴金属粉末と、1〜10質量%のガラス粉末と、15〜45質量%の有機媒質とを含むことを特徴とする。
かかる配合比の低温焼成用導体ペースト(典型的にはガラス基板用導体ペースト)によると、上述したような低温域での焼成によって、ガラス基板上に緻密な導体膜を容易に形成することができる。
【0012】
従って、本発明によると、ここで教示された低温焼成用導体ペーストを用いて、低融点のセラミック基材(例えばガラス基板)上に導体膜(種々の配線パターン、電極等)を形成する方法が提供される。この方法は、本発明の導体ペーストを用意し、該ペーストを基板上に塗布する工程と、該塗布物を基板ごと焼成(典型的には最高焼成温度が600℃以下(例えば500〜600℃)である。)する工程とを含む。この方法によると、マイグレーション耐性に優れ、緻密で電気的抵抗の低い導体膜をガラス基板等の低融点セラミック基材上に形成することができる。
【0013】
また、本発明によると、上述した低温焼成用導体ペーストを製造する方法が提供される。すなわち、本発明によって提供される一つの方法は、貴金属粉末を含む低温焼成用導体ペーストの製造方法であって、貴金属粉末の合計100質量%に対して、平均粒径が2.0μm以下の金粉末を55〜80質量%、該金粉末の平均粒径の1/5〜1/10である平均粒径の銀粉末を20〜45質量%の混合割合でこれら貴金属粉末を有機媒質中に分散させることを特徴とする。
この方法によると、特定の混合割合で金粉末と銀粉末とを有機媒質中に添加・分散させるといった容易な手法により、マイグレーション耐性が優れ、緻密で電気的抵抗が低い導体ペーストを従来のAuペーストよりも比較的低コストで製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
本発明の低温焼成用導体ペーストは、主成分たる貴金属粉末が特定の割合のAg及びAuの混合粉末であることで特徴付けられるペーストであり、本発明の目的を達成し得る限りにおいて他の副成分の内容や組成に特に制限はない。
貴金属粉末は、AgとAuとから構成される混合粉末である。そして、その混合割合は、貴金属粉末の合計100質量%に対して、Au粉末が55〜80質量%、好ましくは58〜70質量%、一方、Ag粉末が20〜45質量%、好ましくは30〜42質量%である。Au粉末の混合割合が55質量%よりも少ないと、マイグレーション耐性が低下して実用的でない。一方、Ag粉末が20質量%よりも少ないと、緻密性が低下して電気的抵抗が高くなるのでやはり実用的ではない。また貴金属粉末中のAg粉末の混合割合が高いほど低コストとなり、経済的である。かかる観点からは、貴金属粉末の合計100質量%に対して、Au粉末が55〜60質量%、Ag粉末が40〜45質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、上記混合割合は厳密に解釈すべきではなく、概略の混合割合であって、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
【0016】
Ag粉末及びAu粉末は、特に限定するものではないが、緻密構造の焼成膜を形成するという観点からは平均粒径が2.0μm以下(好ましくは0.05〜1.5μm、例えば0.1〜1.0μm)のAg微粒子及びAu微粒子が好ましい。また、そのような比較的微小な平均粒径を有し且つ粒径10μm以上(特に好ましくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないような粒度分布の比較的狭いAg微粒子及びAu微粒子が特に好ましい。これら微粒子は球形状のものであってもよくフレーク形状のものであってもよい。なお、上記粒径は回折式粒度分布測定法に従って得られる値である。Au粉末の平均粒径に対してAg粉末の平均粒径が1/5〜1/10程度小さいこと、例えば平均粒径0.8〜1.2μmのAu粉末と平均粒径0.08〜0.12μmのAg粉末とを混合することが焼成膜の緻密化という観点から好ましい。
【0017】
Ag粉末、Au粉末自体は、従来公知の製造方法によって製造されたものでよく、特別な製造手段を要求するものではない。例えば、周知の還元析出法、気相反応法、ガス還元法等によって製造されたAg微粒子、Au微粒子を使用することができる。また、所望する平均粒径や純度を備えた市販品を用いることができる。
また、主成分たる貴金属粉末の含有率は、特に限定するものではないが、ペースト全体の50〜80質量%、好ましくは55〜70質量%(例えば58〜63質量%)であることが好ましい。
【0018】
次に、本発明の低温焼成用導体ペーストに含ませ得る副成分として好適なものについて説明する。
本発明の低温焼成用導体ペーストの副成分として、上記貴金属粉末を分散させておく有機媒質(ビヒクル)が挙げられる。本発明の実施にあたっては、かかる有機ビヒクルは貴金属粉末を分散させておくものであればよく、従来の導体ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチルセルロース等のセルロース系高分子、エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ブチルカルビトール、ターピネオール等の高沸点有機溶媒又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。有機ビヒクルの含有率は、ペースト全体のほぼ15〜45質量%となる量が適当であり、20〜40質量%が好ましく、30〜35質量%程度が特に好ましい。
【0019】
低温焼成用導体ペーストには、該ペーストから作製される導体膜の電気的抵抗率(導電性)やマイグレーション耐性等を著しく損なわない限りにおいて種々の無機添加剤を含ませることができる。この種の好適な副成分として、例えばガラス粉末が挙げられる。特にガラス基板に導体膜を形成する用途の導体ペーストでは、若干量のガラス粉末の添加が好適である。ガラス粉末は、ガラス基板上に付着したペースト成分を安定的に焼き付ける(固着させる)こと(即ち接着強度の向上)に寄与する無機成分(無機結合材)となり得る。特に酸化物ガラスが好ましい。上記焼成温度との関係から、軟化点が概ね590℃以下、特に550℃以下のものが好ましい。そのようなガラス粉末の好適例として、亜鉛系ガラス、ホウケイ酸系ガラスが挙げられる。典型的には、ZnO−SiO2系ガラス、ZnO−B23−SiO2系ガラス、Bi23−SiO2系ガラス及びBi23−B23−SiO2系ガラスから成る群から選択される一種又は二種以上のガラス粉末を使用するのが適当である。また、使用するガラス粉末としては、その比表面積が概ね0.5〜50m2/gであるものが好ましく、平均粒径が2μm以下(特に1μm程度又はそれ以下)のものが良好な導電性を損なわないという観点から特に好適である。
【0020】
無機添加剤としてガラス粉末を加える場合には、ガラス粉末の含有率がペースト全体のほぼ1〜10質量%となる量が適当であり、5〜10質量%(例えば5.5〜8.0質量%)となる量が特に好ましい。この程度の添加量は、導体ペーストの良好な導電率を実質的に損なうことなく、得られる焼成物(導体膜)のガラス基板に対する接着強度の向上を実現することができる。
なお、各成分の含有率・配合比等に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
【0021】
また、本発明の低温焼成用導体ペーストには、当該ペースト本来の電気的抵抗率(導電性)やマイグレーション耐性等を著しく損なわない限りにおいて種々の有機添加剤を副成分として含ませることができる。例えば、かかる有機添加剤としては、各種の有機バインダー、ガラス基板との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネート系及びアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙げられる。
有機バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール等をベースとするものが挙げられる。本発明の低温焼成用導体ペーストに良好な粘性及び導体膜(即ちガラス基板等の低融点セラミック基材に対する付着膜)形成能を付与し得るものが好適である。また、本発明の低温焼成用導体ペーストに光硬化性(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合物及び光重合開始剤を適宜添加してもよい。
【0022】
上述したものの他に本発明の低温焼成用導体ペーストには、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等を適宜添加することができる。これら添加剤は、従来の導体ペーストの調製に用いられ得るものであればよく、詳細な説明は省略する。
【0023】
ここで教示される低温焼成用導体ペーストは、マイグレーション耐性に優れるとともに、低焼成温度であっても緻密な導体膜を形成し得る。このため、適用される焼成温度(最高焼成温度)が550〜600℃(例えば590〜600℃)である各種電子部品、特にガラス基板等の低融点セラミック基板を基材とする電子部品等に所定パターンの導体(配線、電極等)を形成する材料として好適に用いることができる。
【0024】
次に、本発明に係る低温焼成用導体ペーストの製造方法について説明する。本発明の低温焼成用導体ペーストは従来の導体ペーストと同様、典型的には貴金属粉末と有機媒質(ビヒクル)とを混和することによって容易に調製することができる。ここで、貴金属粉末は、その合計100質量%に対して、金粉末を60〜80質量%、好ましくは60〜70質量%、銀粉末を20〜40質量%、好ましくは30〜40質量%の混合割合で有機媒質中に分散させる。このとき、必要に応じて上述したような添加剤を添加・混合するとよい。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、特定の混合割合の貴金属粉末及び各種添加剤を有機ビヒクルとともに所定の配合比で直接混合し、相互に練り合わせる。
【0025】
好ましくは、主成分たる貴金属粉末の含有率がペースト全体の50〜80質量%(好ましくは55〜70質量%)となるように各材料を混練する。ここで無機添加剤として上記ガラス粉末を使用する場合には、ペースト全体のほぼ1〜10質量%(好ましくは5〜10質量%)となる量のガラス粉末を添加して他の成分とともに混練するとよい。なお、ペースト調製に用いられる有機ビヒクルの添加量は、ペースト全体のほぼ15〜45質量%(好ましくは20〜40質量%)となる量が適当である。なお、各成分の配合比に係る数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
【0026】
次に、本発明の低温焼成用導体ペーストを用いた導体形成に係る好適例について説明する。本発明の低温焼成用導体ペーストは、ガラス製の基材(基板)上に配線、電極等の導体膜を形成するのに従来用いられてきた導体ペーストと同様に取り扱うことができ、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。典型的には、スクリーン印刷法やディスペンサー塗布法等によって、所望する形状・厚みとなるようにして低温焼成用導体ペーストをガラス基材(基板)に付与(塗布)する。次いで、好ましくは乾燥後、加熱器中で適当な加熱条件、典型的には概ね550〜600℃(例えば590〜600℃)で所定時間加熱することによって、ペースト成分を焼成(焼き付け)・硬化させる。この一連の処理を行うことによって、目的の導体(配線、電極等)が形成された電子部品(例えばプラズマディスプレイ用マトリックス電極パネルやCCDセンサ、イメージセンサ等の構築用ガラス配線基板)が得られる。而して、当該電子部品を組み立て材料として用いつつ従来公知の構築方法を適用することによってさらに高度な電子部品(例えばプラズマディスプレイ用マトリックス電極パネルやCCDセンサ、イメージセンサ等)を得ることができる。なお、かかる構築方法自体は、特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0027】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0028】
<実施例1:低温焼成用導体ペーストの調製(1)>
本実施例では、金粉末として平均粒径1.0μmのAu粉末を用いた。一方、銀粉末として平均粒径0.1μmのAg粉末を用いた。
これらAu粉末及びAg粉末の混合割合を重量比率でAu/Ag=55/45(合計100部)となるように秤量した。次いで、これらAu粉末およびAg粉末をその合量100部に対して、30部のビヒクル(エチルセルロース:ターピネオール=1:9の混合溶液)中に加えて、三本ロールミルを用いて混練した。これにより、本実施例1に係る低温焼成用導体ペーストを調製した。
【0029】
<実施例2〜5:低温焼成用導体ペーストの調製(2)>
実施例1と同じAu粉末及びAg粉末を用いて、その混合割合を重量比率でAu/Ag=56/43(実施例2)、Au/Ag=58/42(実施例3)、Au/Ag=62/38(実施例4)、Au/Ag=77/23(実施例5)となるように秤量した。次いで、実施例1と同様の処理を行い、実施例2〜5に係る低温焼成用導体ペーストを調製した。すなわち、実施例2〜5に係る導体ペーストと実施例1に係る導体ペーストとは、組成上、Au粉末とAg粉末との混合割合のみが異なる。
【0030】
<比較例1〜8:導体ペーストの調製(1)>
比較例1では、実施例1と同じAu粉末及びAg粉末を用いて、その混合割合を重量比率でAu/Ag=100/0(即ちAu単独品;比較例1)、Au/Ag=92/8(比較例2)、Au/Ag=85/15(比較例3)、Au/Ag=53/47(比較例4)、Au/Ag=52/48(比較例5)、Au/Ag=50/50(比較例6)、Au/Ag=48/52(比較例7)及びAu/Ag=46/54(比較例8)となるように秤量した。次いで、各々の比較例1〜8に対して実施例1と同様の処理を行い、比較例1〜8に係る導体ペーストを各々調製した。すなわち、比較例1〜8に係る導体ペーストと実施例1に係る低温焼成用導体ペーストとは、組成上、Au粉末とAg粉末との混合割合のみが異なる。
【0031】
<導体膜の形成>
次に、実施例1〜5の低温焼成用導体ペースト及び比較例1〜8の導体ペーストをそれぞれ用いて、ガラス基材(ここでは厚みが約1.8mmのソーダライムガラス製基板)の表面に一対の導体膜(電極)を形成した。
すなわち、一般的なスクリーン印刷法に基づいて上記ガラス基板の表面に、幅1mm、長さ10mmの導体膜(電極)を一対形成した。続いて、遠赤外線乾燥機を用いて100℃で15分間の乾燥処理を施した。この乾燥処理により、上記塗膜から溶剤が揮発していき、ガラス基板上に未焼成の導体膜が形成された。
【0032】
次に、この導体膜をガラス基板ごと焼成した。すなわち、電気炉中において590℃で1時間の焼成処理を行った。この焼成処理によって、4μmの膜厚の導体がガラス基板上に形成された。以下、単に導体というときは当該焼成後の導体膜を指す。
焼成後の当該一対の導体膜の間には約125μmの間隙があり、かかる焼成直後の一対の導体膜間はいずれも絶縁状態が維持されていた(実施例1〜5、比較例1〜8)。
得られた各導体の特性評価として、マイグレーション耐性及び緻密性(導電性の指標とする。)を以下のように試験・測定した。
【0033】
<マイグレーション耐性の評価>
実施例1〜4に係る低温焼成用導体ペースト並びに比較例4〜8に係る導体ペーストを使用して得られた導体のそれぞれについて以下のようにして耐マイグレーション性能を評価した。
すなわち、上記125μm間隔の導体(電極)間に純水を適量滴下し、室温条件下で5Vの電圧を印加した。その後、一対の導体(電極)間に絶縁が継続されている時間、換言すれば、Agのデントライト結晶が析出・成長して当該導体(電極)間が短絡するまでの時間(但し最長で電圧印加後1200秒)を測定した。表1に本評価試験の結果を示す。なお、本試験において、絶縁継続時間800秒以上をマイグレーション耐性が優れるもの(表中の○)と評価した。絶縁継続時間1200秒以上をマイグレーション耐性が特に優れるもの(表中の◎)と評価した。他方、絶縁継続時間800秒未満をマイグレーション耐性が不十分なもの(表中の△)と評価した。絶縁継続時間400秒未満をマイグレーション耐性なし(表中の×)と評価した。
【0034】
【表1】
Figure 0004384428
【0035】
表1に示す結果から明らかなように、Au/Agの重量比が本発明の範囲外である比較例4〜10の導体ペーストから作製された導体は、マイグレーション耐性に劣っていた。これに対して、Au/Ag比が本発明の範囲内である実施例1〜4の導体ペーストから作製された導体は、マイグレーション耐性に優れていた。
【0036】
<緻密性の評価>
実施例4及び5に係る低温焼成用導体ペースト、並びに比較例1〜3に係る導体ペーストを使用して得られた導体のそれぞれについて電子顕微鏡(SEM:4000倍)にて観察し、その緻密さを比較・評価した。
図1〜5に、それぞれ、実施例4、5、比較例1、2、3の導体の微視的表面構造(電子顕微鏡写真)を示す。観察結果を表2にまとめた。表2において、緻密性が良好であるものを○、不良であるものを×で示した。
【0037】
【表2】
Figure 0004384428
【0038】
図1〜5及び表2に示す結果から明らかなように、比較例1〜3に係る導体ペーストから形成された各導体膜はいずれも空隙(細孔)が多数認められ、緻密性に劣っていることが確かめられた。この結果は、これら比較例に係る導体ペーストから作製された導体の電気的抵抗値が比較的高いことを示している。一方、実施例4及び5に係る導体ペーストから形成された各導体膜は、空隙が殆ど認められず、良好な緻密性を有していることが確かめられた。この結果は、これら実施例に係る導体ペーストから作製された導体は電気的抵抗値が比較的低く、導電性に優れる導体であることを示している。
【0039】
以上の実施例において、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る導体ペーストを使用して得られた導体膜の微視的表面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM:×4000)である。
【図2】 本発明の一実施例に係る導体ペーストを使用して得られた導体膜の微視的表面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM:×4000)である。
【図3】 一比較例に係る導体ペーストを使用して得られた導体膜の微視的表面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM:×4000)である。
【図4】 一比較例に係る導体ペーストを使用して得られた導体膜の微視的表面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM:×4000)である。
【図5】 一比較例に係る導体ペーストを使用して得られた導体膜の微視的表面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM:×4000)である。

Claims (4)

  1. 貴金属粉末を含む低温焼成用導体ペーストであって、
    その貴金属粉末は、金粉末と銀粉末とから構成され、その混合割合は、その合計100質量%に対して、金粉末が55〜80質量%、銀粉末が20〜45質量%であり、
    ここで前記金粉末の平均粒径は2.0μm以下であり、且つ、前記銀粉末の平均粒径は該混合された金粉末の平均粒径の1/5〜1/10であることを特徴とする、低温焼成用導体ペースト。
  2. 前記金粉末の平均粒径は0.8〜1.2μmであり、且つ、前記銀粉末の平均粒径は0.08〜0.12μmであることを特徴とする、請求項1に記載の導体ペースト。
  3. ペースト全体を100質量%として、50〜80質量%の貴金属粉末と、1〜10質量%のガラス粉末と、15〜45質量%の有機媒質とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の導体ペースト。
  4. 貴金属粉末を含む低温焼成用導体ペーストの製造方法であって、
    その貴金属粉末の合計100質量%に対して、平均粒径が2.0μm以下の金粉末を55〜80質量%、該金粉末の平均粒径の1/5〜1/10である平均粒径の銀粉末を20〜45質量%の混合割合でこれら貴金属粉末を有機媒質中に分散させることを特徴とする、低温焼成用導体ペーストの製造方法。
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