JP2013151591A - 無機粒子含有ペーストおよび無機回路 - Google Patents

無機粒子含有ペーストおよび無機回路 Download PDF

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Abstract

【課題】焼成性に優れ、炭化した有機物の残存、および、乾燥工程における塗膜のダレの発生が抑制された無機粒子含有ペーストを提供する。
【解決手段】無機粒子、イソボルニル基を有する化合物、および、アクリル樹脂、を含有することを特徴とする無機粒子含有ペーストである。前記イソボルニル基を有する化合物の分子量が300以下であることが好ましい。また、さらに、単環式モノテルペンアルコール化合物を含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は無機粒子含有ペーストに関し、詳しくは、印刷性および焼成性に優れた無機粒子含有ペーストおよびそれを用いた無機回路に関する。
金属粒子などの導電性物質やガラスフリットなどの誘電体、蛍光体といった無機粒子を含有する無機粒子含有ペーストは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷といった種々の印刷法により高精細回路を構成するように基板に印刷され、加熱による硬化、焼結処理を経て基板上に電極や電気配線、誘電体層、蛍光体層などを形成する。
例えば、特許文献1には、バインダー樹脂、アルコキシシラン化合物および銀粒子を含有する焼結性導電ペーストが開示され、特許文献2には、導電性粉末、アルキルシリケート、有機チタンキレートおよび高粘性溶媒を含有する導電性ペースト組成物が開示されている。また、特許文献3には、カルボン酸含有樹脂、導電粒子、多価アルコール化合物および有機溶剤を含有する導電性ペーストが開示されている。
上記特許文献等記載のペーストにおいてバインダー樹脂として使用される有機高分子バインダーは、印刷性の付与、塗膜の形成の為に用いられるものであるが、電気特性などの点から、加熱、焼結処理を経て得られる無機物層中にはなるべく含まれないことが好ましい。この有機高分子バインダーの除去には、高温での加熱を必要とする。また、有機高分子が、加熱処理時に炭化して残存すると、気泡や膨張の発生、無機物層の特性への悪影響が生じうるという問題がある。
上記の有機高分子バインダーの高温処理、残存に関する問題の解決手段として、特許文献4には、テルペン骨格を有し、25℃における粘度が特定の範囲である有機化合物を用いた無機粒子含有組成物が提案されている。即ち、特許文献4は、無機体或いは無機物層を従来よりも低エネルギーで形成できるとともに有機化合物に起因する悪影響を低減することが可能な無機粒子含有組成物を提供することを目的とし、テルペン骨格を有し、特定の粘度値を有する有機化合物が、塗膜の形成に用いることができる一方、比較的低温で除去が可能であることに着目したものである。
特開2008−106145号公報 特開2011−60752号公報 特開2011−76899号公報 国際公開2008/149748号
しかしながら、テルペン骨格を有する化合物を用いた無機粒子含有ペーストは焼成性に優れ、低温でテルペン骨格を有する化合物の除去が可能ではあるものの、乾燥工程において著しい塗膜のダレが発生することがあるという問題があった。
そこで本発明の目的は、焼成性に優れ、炭化した有機物の残存、および、乾燥工程における塗膜のダレの発生が抑制された無機粒子含有ペーストおよびそれを用いた無機回路を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、無機粒子、イソボルニル基を有する化合物、および、アクリル樹脂を含有する無機粒子含有ペーストとすることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の無機粒子含有ペーストは、無機粒子、イソボルニル基を有する化合物、および、アクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。
本発明の無機粒子含有ペーストは、前記イソボルニル基を有する化合物の分子量が300以下であることが好ましい。
また、本発明の無機粒子含有ペーストは、さらに、単環式モノテルペンアルコール化合物を含むことが好ましい。
また、本発明の無機粒子含有ペーストは、前記イソボルニル基を有する化合物と前記単環式モノテルペンアルコール類化合物との質量比が、25:75〜90:10の範囲であることが好ましい。
また、本発明の無機粒子含有ペーストは、前記イソボルニル基を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013151591
(式中、Mは、水酸基で置換されたフェニル基または下記一般式(II)で表される構造を表す。)
Figure 2013151591
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
また、本発明の無機粒子含有ペーストは、前記単環式モノテルペンアルコール化合物が、テルピネオール類化合物であることが好ましい。
本発明の無機回路は、上記いずれかの無機粒子含有ペーストを用いてなることを特徴とするものである。
本発明により、焼成性に優れ、炭化した有機物の残存、および、乾燥工程における塗膜のダレの発生が抑制された無機粒子含有ペーストおよびそれを用いた無機回路を提供することが可能となる。
本発明の無機粒子含有ペーストは、無機粒子、イソボルニル基を有する化合物、および、アクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。イソボルニル基を有する化合物は、バインダーとして用いることができる性質を有しながら、比較的低温で揮発する。これにより、焼成時の炭化した有機物の残存、いわゆる残炭の発生が抑制される。さらに、本発明者により、イソボルニル基を有する化合物、および、アクリル樹脂を含有することにより、イソボルニル基を有する化合物をバインダーとして使用したときに問題となる、塗膜のダレの発生が抑制されることが見出された。
本発明の無機粒子含有ペーストは、基板上への印刷ないし塗布、乾燥、焼成工程(加熱による硬化、焼結処理)を経て、基板上に電極や電気配線、誘電体層、蛍光体層などを形成することにより用いられる。
印刷ないし塗布の方法は特に限定されず、公知の方法によることができる。印刷方法としては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷等が挙げられる。これら印刷方法により印刷することで、下地層の特殊な処理を必要とせずに、高精細な回路を形成することができる。
乾燥工程は、熱風循環式乾燥炉などを用いた公知の方法によることができる。
焼成工程は、含まれる無機粒子の種類によっても異なりうるが、好ましくは300〜1000℃、より好ましくは500〜900℃である。また、焼成は有酸素下、大気中、無酸素下などの条件を、無機粒子の特性に合わせて適宜選択することができる。例えば、大気中で焼成すると酸化しやすい金属を用いる場合は、無酸素下で焼成を行うことが好ましい。
本発明の無機粒子含有ペーストは、下記式で表されるチキソ比が1.0〜4.0であることが好ましく、1.5〜3.5であることがより好ましい。なお、下記粘度値は25℃における粘度値である。粘度値は、公知のコーンプレート型粘度計により測定することができる。
チキソ比=
[剪断速度10s−1での粘度値]/[剪断速度100s−1での粘度値]
以下、各成分について詳述する。
[無機粒子]
無機粒子は、基板上に電極や電気配線、誘電体層、蛍光体層などを形成するために用いられるものであればいずれでもよく、用途に応じて適宜選択される。無機粒子として例えば、金属、金属酸化物、ガラス、蛍光体の粒子が挙げられる。また、金属粒子を使用する場合に、結着材としてガラス粒子を添加してもよい。
金属粒子としては、銀、銅、アルミニウム、金、白金、ニッケル、錫、亜鉛などからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属の他、その合金等が挙げられる。
金属酸化物としては上記金属の酸化物の他、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化インジウムなどを用いることができる。
上記金属粒子、金属酸化物粒子の、レーザー回折・散乱法で測定した平均粒径(D50)は、好ましくは、0.01〜50μm、より好ましくは、0.1〜15μmである。
金属粒子、金属酸化物粒子の配合量は、ペーストの不揮発成分(乾燥工程でペースト中から揮発せず膜に残存する成分)を基準として、70〜99.9質量%であることが好ましい。70質量%未満であると焼成後の金属粒子または金属酸化物粒子の焼結が起き難くなるため好ましくない。
ガラス粒子(ガラスフリット)としては、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはアルカリホウケイ酸塩を主成分とするものが好適に用いられる。ガラス粒子の具体例として例えば、PbO−B−SiO系、PbO−B−SiO−Al系、ZnO−B−SiO系、ZnO−B−SiO−Al系、PbO−ZnO−B−SiO系、PbO−ZnO−B−SiO−Al系、Bi−B−SiO系、Bi−B−SiO−Al系、Bi−ZnO−B−SiO系、Bi−ZnO−B−SiO−Al系等のガラス粒子が挙げられる。
酸化鉛を主成分とするガラスフリットとしては、例えば、酸化物基準の質量%で、PbOが48〜82%、Bが0.5〜22%、SiOが3〜32%、Alが0〜12%、BaOが0〜15%、TiOが0〜2.5%、Biが0〜25%の組成を有する非晶性ガラスフリットが好ましい。
酸化ビスマスを主成分とするガラスフリットとしては、酸化物基準の質量%で、Biが6〜88%、Bが5〜30%、SiOが5〜25%、Alが0〜5%、BaOが0〜20%、ZnOが1〜20%の組成を有する非晶性ガラスフリットが好ましい。
酸化亜鉛を主成分とするガラスフリットとしては、酸化物基準の質量%で、ZnOが25〜60%、KOが2〜15%Bが25〜45%、SiOが1〜7%、Alが0〜10%、BaOが0〜20%、MgOが0〜10%の組成を有する非晶性ガラスフリットが好ましい。
ガラス粒子の平均粒径(D50)は、レーザー回折・散乱法で測定することができ、好ましくは0.3〜5.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmである。平均粒径が0.3μm未満であると、収率が著しく低下しコスト高となり、5.0μmを超えると、薄膜の形成や、焼成時の均一な収縮が困難となり、ライン形状や緻密性が劣化する。
ガラス粒子の軟化点は、好ましくは530〜650℃である。ガラス軟化点が530℃未満であると、得られる導電体回路において十分な緻密性を得ることが困難となり、650℃を超えると抵抗値が上昇する。また、ガラス粒子の熱膨張係数α300は、60×10−7〜110×10−7であることが好ましい。
ガラス粒子の配合量は、ペーストの不揮発成分(乾燥工程でペースト中から揮発せず膜に残存する成分)を基準として、70〜99.9質量%であることが好ましい。70質量%未満であると、焼成後の導電体回路の基板への良好な密着性を得ることが困難となる。一方、99.9質量部を超えると、良好な緻密性を得ることが困難となる。
[イソボルニル基を有する化合物]
本発明において、イソボルニル基を有する化合物は、溶剤として用いられる。イソボルニル基を有することで、その立体構造故に高粘度となり、無機粒子を分散させつつ好適な印刷適性を保持することができると考えられる。イソボルニル基を有する化合物としては分子量が300以下であるものが好ましい。また、焼結処理により揮発するものであることが好ましく、沸点が150〜350℃の範囲であるものが好ましい。イソボルニル基を有する化合物としては、例えば、1−イソボルニル−3,3−ジメチル−2−メチレンノルボルナン、(メタ)アクリル酸イソボルニル、5‐イソボルニル‐2‐メトキシフェノール、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノール、5‐[2‐(イソボルニルオキシ)エチル]シクロペンタジエンが挙げられる。
上記イソボルニル基を有する化合物の粘度(25℃における)としては、1000〜10000dPa・sが好ましく、3000〜7000dPa・sがより好ましい。粘度は例えばコーンプレート型粘度計により測定することができる。
本発明において、イソボルニル基を有する化合物としては、下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
Figure 2013151591
(式中、Mは、水酸基で置換されたフェニル基または下記一般式(II)で表される構造を表す。)
Figure 2013151591
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
上記一般式(I)で表される化合物としては、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノール等が挙げられる。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル類からなる群から選ばれる1種以上のモノマーの重合体、共重合体が挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルと、エチレン性不飽和結合を有する他のモノマーとの共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもメチルメタクリレートが好ましい。アクリル樹脂の市販品としては、三菱レイヨン社製のダイヤナール LR−155、ダイヤナール LR−016、ダイヤナール LR−177、LR−981、積水化学工業社製エスレックASシリーズ、DIC社製アクリディックシリーズ等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、重量平均分子量10000〜300000が好適である。重量平均分子量が10000未満であると印刷後の乾燥工程で塗膜のダレを抑制する効果が乏しくなる。一方、重量平均分子量が300000を超えると、ペーストの粘度が高くなりすぎ印刷し難くなることがある。より好ましくは20000〜150000の範囲である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて測定した標準ポリスチレン換算の値である。
アクリル樹脂の配合割合は、ペーストの不揮発成分(乾燥工程でペースト中から揮発せず膜に残存する成分)を基準として、0.1〜30質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると印刷後の乾燥工程において塗膜のダレを抑制する効果が乏しくなる、塗膜強度が低下しハンドリング時に傷が付くなどの不具合が生じやすくなる。一方、30質量%を超えると焼成時の残炭(未燃焼成分の残存)が生じやすくなり、良好な焼成物が得られない場合がある。
(単環式モノテルペンアルコール化合物)
本発明の無機粒子含有ペーストは、さらに単環式モノテルペンアルコール化合物を含むことが好ましい。単環式モノテルペンアルコール化合物を含むことで、無機粒子含有ペーストの粘度を容易に調節することが可能となり、印刷適性を向上させることができる。単環式モノテルペンアルコール化合物は、パラメンタン骨格、シクロプロパン骨格、シクロブタン骨格、シクロペンタン骨格などの単環構造の骨格および水酸基を有するテルペノイドであり、パラメンタン骨格を有するものが好ましい。パラメンタン骨格を有するモノテルペンアルコール化合物としては、α−、β−、γ−テルピネオールなどのテルピネオール類、カルベオール、テルピン等が挙げられ、中でもテルピネオール類(ターピネオール類とも称する)が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の無機粒子含有ペーストが単環式モノテルペンアルコール化合物を含む場合、好ましくは前記イソボルニル基を有する化合物からなる溶剤と前記単環式モノテルペンアルコール類化合物の含有比が、25:75〜90:10の範囲であり、より好ましくは40:60〜80:20の範囲である。
(その他の成分)
本発明の無機粒子含有ペーストには、本発明の効果を損なわない限り、電極や電気配線、誘電体層、蛍光体層、無機物層の形成に用いられる無機粒子含有ペーストに一般に配合される成分を配合することができる。そのような成分としては、バインダー、上記以外の溶剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤、表面張力低下剤、希釈剤、可塑化剤、フィラー、カップリング剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤等が挙げられる。
本発明の導電性ペーストが上記以外のバインダーを含む場合に、使用可能なバインダーとしては特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などの各種変性ポリエステル樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)などの変性セルロース類などが挙げられる。
本発明の無機粒子含有ペーストの製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を攪拌装置を用いて混合し、3本ロール等で分散する方法が挙げられる。
本発明の無機粒子含有ペーストは、好適には、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ガラス等からなるプリント基板、フレキシブル基板、PETなどのフィルム基板などの上に印刷ないし塗布され、加熱による焼結処理を施すことで、電極や電気配線、誘電体層、蛍光体層、無機物層等を形成することに用いられる。具体的な用途としては、例えば、微細配線基板を用いた電子部品、プリント配線板、アンテナ回路、コンデンサー等の電子部品、フラットパネルディスプレイと言われる液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ等の電極部材や電子回路、IC実装、パワーデバイス等の電気的接合部材,RFID用タグ、太陽電池、燃料電池等の電極、熱線遮蔽、電磁波遮蔽の微細配線への適用を挙げることができる。
本発明の無機回路は、本発明の無機粒子含有ペーストを用いてなることを特徴とするものである。即ち、フィルムや基板上に本発明の無機粒子含有ペーストを、回路を形成するように塗布ないし印刷した後、乾燥、焼成工程(加熱による硬化、焼結処理)を行うことにより製造される。印刷、乾燥、焼成方法、およびフィルムや基板については上記した通りである。本発明の無機回路は、用いる無機粒子含有ペーストに含まれる無機粒子の種類により、導電回路、導体回路、誘電体回路、蛍光体回路等とすることができる。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例、比較例により何ら制限されるものではない。
(アクリル樹脂ワニスの合成)
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとアクリル酸を0.80:0.20のモル比で仕込み、溶媒としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で6時間攪拌し、不揮発分が60重量%のアクリル樹脂ワニスを得た。得られた樹脂は、数平均分子量が15000、重量平均分子量が約40000、酸価が97mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ゲル担体液体クロマトグラフィー(HLC−8120 GPC 東ソー(株)製)を用い、ポリスチレンに換算した値で求めた。
(ガラスペーストの調整)
表1に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、3本ロールミルにて練肉し実施例1〜2、比較例1〜2のガラスペースト組成物を得た。イソボルニルシクロヘキサノールおよびターピネオールCは日本テルペン化学製のものを使用した。ガラスフリットはPbO 60%、B20%、SiO15%、Al 5%の組成を有し、熱膨張係数α300=70×10−7℃、ガラス転移点445℃のものを、粉砕して平均粒径1.6μmとして用いた。
なお、ペースト中のアクリル樹脂の含有率は、実施例1は1.0質量%、実施例2は18質量%、比較例1は0質量%、比較例2は32質量%であった。
Figure 2013151591
得られたガラスペーストを、アプリケーターを用いてウェット膜厚25μmとなるようガラス板に塗布し、大気中120℃の乾燥機中20分間乾燥した。乾燥後の組成物をかきとり、これを測定試料として空気気流中にて熱重量分析(TG)測定を行い、重量減少挙動と測定後の残分の観察を行った。熱重量分析の測定条件は以下の通りである。
・測定機器:TG/DTA−6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)
・昇温速度:10℃/min
・測定温度:30〜600℃
・ガス流量:300ml/min
・サンプリング量:10mg
また、熱重量分析後のアルミパンを光学顕微鏡で観察し、残炭の有無、ガラス化の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
(残炭の有無)
○:残炭が見られず、焼成後の色調は白色ないしは透明である。
△:僅かに残炭があり、焼成後の色調がやや灰色を呈している。
×:激しく残炭があり、焼成後の色調が黒色を呈している。
(ガラス化の有無)
○:焼結が進行し、粉末状態を示さない(ガラスの塊となっている)。
△:焼結は進行するが、一部に粉末状の残りが見られる。
×:焼結が全く進行せず、粉末状態のままである。
結果を表2に示す。重量減少率は、下記のように算出した。
重量減少率=
[(昇温前の試料の重量)−(昇温後の試料の重量)]/(昇温前の試料の重量)×100
理論重量減少率=
[(各成分の配合量の合計)−(無機成分の配合量)]/(各成分の配合量の合計)×100
焼成工程において、有機成分が良好に消失し残炭が生じなければ理論重量減少率とTG−DTAにて測定された重量減少率は差が小さい。一方、重量減少率が理論重量減少率よりも大きい場合は有機成分の消失が効率的に進行せず残炭が発生していることを示す。
なお、アクリル樹脂を含まない比較例1は、乾燥工程において著しい塗膜のダレが発生したため、以後の試験は実施しなかった。
Figure 2013151591
空気気流中において、実施例1および2については、良好なガラス焼結体が得られた。それに対して、アクリル樹脂を大量に含み、イソボルニルシクロヘキサノールを含まない比較例2は、ガラス焼結体が得られず粉末状のままであった。また、上記したように、アクリル樹脂を含まない比較例1は、乾燥工程において著しい塗膜のダレが発生した。
以上の結果より、イソボルニル基を有する化合物およびアクリル樹脂を含む本発明の無機粒子含有ペーストは、空気気流中での焼成において良好なガラス焼結体を得ることが可能であることが確認できた。
(銅ペーストの調整)
表3に示す配合量(質量部)で各成分を配合し、3本ロールミルにて練肉し実施例3〜4、および比較例3〜4の銅ペースト組成物を得た。イソボルニルシクロヘキサノールおよびターピネオールCは日本テルペン化学製のものを使用した。銅粉は、三井金属鉱山製Cu 1100Yを使用した。
なお、ペースト中のアクリル樹脂の含有率は、実施例3は1.0質量%、実施例4は18質量%、比較例3は0質量%、比較例4は32質量%であった。
Figure 2013151591
得られた銅ペーストをアプリケーターを用いてウェット膜厚25μmとなるようガラス板に塗布し、大気中120℃の乾燥機中20分間乾燥した。乾燥後の組成物をかきとり、これを測定試料として空気気流中にて上記と同様に熱重量分析(TG)測定を行ったが、銅の酸化が生じてしまい、残炭の有無が確認できなかった。なお、アクリル樹脂を含まない比較例3は、乾燥工程において著しい塗膜のダレが発生したため、以後の試験は実施しなかった。
次に、上記で得られた銅ペーストをアプリケーターを用いてウェット膜厚25μmとなるようガラス板に塗布し、大気中120℃の乾燥機中20分間乾燥した。乾燥後の組成物をかきとり、これを測定試料として窒素気流中(無酸素条件)にて熱重量分析(TG)測定を行い、重量減少挙動と測定後の残分の観察を行った。結果を表4に示す。
熱重量分析の測定条件は以下の通りである。
・測定機器:TG/DTA−6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)
・昇温速度:10℃/min
・測定温度:30〜600℃
・窒素ガス流量:300ml/min
・サンプリング量:10mg
また、熱重量分析後のアルミパンを光学顕微鏡で観察し、残炭の有無、銅の酸化状態を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表4に示す。
(残炭の有無)
○:残炭が見られない。
△:僅かに残炭が見られた。
×:激しく残炭が見られた。
(銅の酸化の有無)
○:全く酸化されていない(初期状態と変わらず)。
△:僅かに酸化されている(やや黒色を帯びる)。
×:激しく酸化されている(全面が黒色を呈している)。
Figure 2013151591
窒素気流中(無酸素条件)においては、実施例、比較例のいずれも銅の酸化は起きなかったが、比較例4は残炭が生じた。上記したように、空気気流中(有酸素条件)での測定も実施したが、いずれにおいても銅の酸化が生じてしまい残炭の有無が判定できなかった。また、アクリル樹脂を含まない比較例3は、乾燥工程において著しい塗膜のダレが発生した。
以上の結果より、銅ペーストを焼成する場合においても、イソボルニル基を有する化合物およびアクリル樹脂を含有する本発明の無機粒子含有ペーストは焼成性に優れ、塗膜のダレが生じず、残炭の発生が抑制されることが確認できた。

Claims (7)

  1. 無機粒子、
    イソボルニル基を有する化合物、および、
    アクリル樹脂、
    を含有することを特徴とする無機粒子含有ペースト。
  2. 前記イソボルニル基を有する化合物の分子量が300以下であることを特徴とする請求項1記載の無機粒子含有ペースト。
  3. さらに、単環式モノテルペンアルコール化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の無機粒子含有ペースト。
  4. 前記イソボルニル基を有する化合物と前記単環式モノテルペンアルコール類化合物との質量比が、25:75〜90:10の範囲であることを特徴とする請求項3記載の無機粒子含有ペースト。
  5. 前記イソボルニル基を有する化合物が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の無機粒子含有ペースト。
    Figure 2013151591
    (式中、Mは、水酸基で置換されたフェニル基または下記一般式(II)で表される構造を表す。)
    Figure 2013151591
    (式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
  6. 前記単環式モノテルペンアルコール化合物が、テルピネオール類化合物であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の無機粒子含有ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の無機粒子含有ペーストを用いてなることを特徴とする無機回路。
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