JP5503069B1 - リング製造方法、その装置およびリング - Google Patents

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Abstract

【課題】 同じ一つのものから生まれてきた(製造された)というコンセプトをさらに強く想起させるデザインのリングを効率的に高い歩留まりで製造することができるリング製造方法を提供することができる。
【解決手段】 ねじり加工工程後の線状体を曲げて2重の螺旋状リング部材25を形成する。リング状加工を経たリング部材25の周方向の中央付近の一か所を切断して、男性用リング2と女性用リング3とを得る。男性用リング2と女性用リング3とは一つの物体を切り離して得られ、男性用リング2には切り離しによって生じた切断部2aが形成され、女性用リング3には上記切り離しによって生じた切断部3aが形成されている。ここで、切断部2aと切断部3aは、切断して得られたものであり、同じ一つもものから生まれた(製造された)という外観イメージを男性用リング2および女性用リング3に持たせることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一つのリングから複数のリングを形成するリング製造方法およびその装置、並びにそのリング製造方法で製造されたリングに関する。
木目金(杢目金、杢目銅、もくめがね)は日本が世界に誇る特殊な金属加工技術である。その特殊な加工工程は単なる技術の枠を超え、素材と制作者の対話という思想的、精神的領域にまで及ぶ。
木目金(杢目金)とは杢目銅とも表記し、先ず色の異なる金属の板材を幾重にも積層させて接合し、ねじり加工等を施した後に、その表面を鏨やドリル状工具により彫り下げたのち、金槌によって平坦に鍛造加工し表面に木目状の模様を表す。
ところで、木目金技法により、ペアのリングを形成する場合に、ペアのリングに共通の特徴パターンを形成したいという要請がある。
従来では、複数の金属板を積層したものを捩じり加工等して得た金属板を2つに切断した後に、それぞれの金属板を加工してリングにしている。この従来のリング製造方法によれば、一つの金属板から得た2つのリングに木目金技法によって生じた共通の特徴パターンを生じさせることができる。
特開2009−196299号公報
ところで、上述したペアリング等の商品では、同じ一つのものから生まれてきた(製造された)というコンセプトをさらに強く想起させるデザインが求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同じ一つのものから生まれてきた(製造された)というコンセプトをさらに強く想起させるデザインのリングを、効率的に高い歩留まりで製造することができるリング製造方法およびその装置、並びにそのリング製造方法で製造されたリングを提供することにある。
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明のリング製造方法は、指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算工程と、前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算工程と、前記使用計算工程で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成工程と、前記比率計算工程で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成工程で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング工程と、少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成工程と、前記リング形成工程で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離工程とを有する。
本発明のリング製造装置は、指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算手段と、前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算手段と、前記使用計算手段で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成手段と、前記比率計算手段で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成手段で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング手段と、少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成手段と、前記リング形成手段で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離手段とを有する。
本発明のリングは、指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算工程と、前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算工程と、前記使用計算工程で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成工程と、前記比率計算工程で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成工程で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング工程と、少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成工程と、前記リング形成工程で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離工程とを経て製造される。
本発明によれば、同じ一つのものから生まれてきた(製造された)というコンセプトをさらに強く想起させるデザインのリングを効率的に高い歩留まりで製造することができるリング製造方法およびその装置、並びにそのリング製造方法で製造されたリングを提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態のリング製造方法によって製造された男性用リングと女性用リングとの斜視図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るリング製造方法全体を説明するためのフローチャートである。 図3は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図4は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図5は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図6は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図7は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図8は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図9は、図2に示す各ステップを説明するための図である。 図10は、図2に示す各ステップを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態では、木目金技術により、男性用リング(本発明の第1のリングの一例)と、女性用リング(本発明の第2のリングの一例)を製造する場合を説明する。
図1は、本実施形態のリング製造方法によって製造された男性用リング2と女性用リング3との斜視図である。
図1に示すように、男性用リング2と女性用リング3とは一つの物体を切り離して得られ、男性用リング2には切り離しによって生じた切断部2aが形成され、女性用リング3には上記切り離しによって生じた切断部3aが形成されている。ここで、切断部2aと切断部3aは、切断して得られたものであり、同じ一つもものから生まれた(製造された)という外観イメージを男性用リング2および女性用リング3に持たせることができる。
本実施形態では、以下に示すように、男性用リング2と女性用リング3との径(内径)が異なる場合でも、線状体を螺旋状にする前に予め求めた比率を基にマーキングを行うため、高い歩留まりで製造することができる。
図2は、一つのリングから、男性用リング2および女性用リング3を製造する工程を説明するためのフローチャートである。
以下の工程の全部あるいは一部は、機械(リング製造装置の手段)あるいは人手で行われる。
[サイズ指定工程(ステップST11)]
これから製造する男性用リング2と女性用リング3のサイズ(指が挿入される穴の内径)の指定を受ける。
[金属使用量計算工程(ステップST12)]
上記指定されたサイズを基に、男性用リング2と女性用リング3との製造に必要な金属板の総使用量を計算する。このとき、不要部分として最終的に切り取られる部分も想定して計算する。
[比率計算工程(ステップST13)]
ステップST1で指定されたサイズを基に、男性用リング2と女性用リング3とで、金属を使用する量の比率を計算する。すなわち、男性用リング2と女性用リング3との巻き数(重なり部分の形態)が同一である場合は、径が小さい方(一般的には女性用リング3)が使用量が少なくなる。
[金属板の準備工程(ステップST14)]
ステップST12で掲載された総使用量を基に、材質の異なる複数の金属板を用意する。
本実施形態では、15枚の金属板を用意する。
金属板の材質としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、真鍮(黄銅)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス、タンタル(Ta)、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
複数の金属板はそれぞれ異なる材質からなるものであり、色や光沢の度合いなどの視覚的に認織される性質が異っている。金属板の厚さは約0.1〜1.0mmである。なお、材質の異なる金属板は、少なくとも2種類あればよい。また、複数の金属板のうち、2以上の金属板が同じ材質でもよい。
[研磨工程(ステップST15)]
次に、接合前の下処理として複数の金属板を紙やすりの600番、800番、1000番、1200番、1500番などを使用して研磨、その後、場合により、炭とぎを併用し丁寧に表面を均一に仕上げる。
[積層工程(ステップST16)]
次に、図3(A)に示すように、複数の金属板を積層し、金属板同士を接合して複数の金属層が積層された多層状金属体(本発明の積層された複数の金属板の一例)を形成する。
ここで、積層順としては、最終的なデザイン(特徴パターン)を考慮して決定される。
[接合工程(ステップST17)]
次に、図3(B)に示すように、金属板同士の接合は、たとえば金属板を密着させ、金属板の融点以下の温度条件で、金属板の塑性変形ができるだけ生じない程度に加圧して、金属板同士の接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する拡散接合により行われる。
拡散接合を行う際の条件はたとえば以下の通りである。すなわち、500〜1200℃、200〜500kgf/cm2まで加熱・加圧して行う。なお、金属板同士の接合は、ろう接により行ってもよい。
[角棒状加工工程(ステップST18)]
次に、細部を検査し積層が不完全な部分を除去した後、図4(C)に示すように、例えば、角棒状にローラーを用いて展延加工を施す。
[ねじり加工工程(ステップST19)]
次に、図4(D),図5(E)に示すように、ねじり加工は表、裏、表、裏を複数回の逆転を行い、線状体を形成する。
鍛造成形した角棒を上記複数回の逆転がおきるよう積層順に注意しながら加熱、焼鈍を繰り返し少しづつ慎重にねじり加工を施す。このとき、加熱しながらねじる工程と、冷却工程と、焼鈍工程とを順次に繰り返す。
[マーキング工程(ステップST20)]
図5(F)に示すように、ステップST19の処理を経た線状体に、ステップST13で計算した比率を基にマーキングを行う。具体的には、線状体の長さを基準に、比率が大きい方が割り当てられる長さが大きくなるように、マーキングを行う。
[2重螺旋状リング状加工工程(ステップST21)]
次に、図6(G),図7(H),図7(I),図8(J),図8(K),図9(L)および図9(M)に示すように、ねじり加工工程後の線状体を曲げて2重の螺旋状リング部材25を形成する。
具体的には、線状体を曲げて少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸(リングの中心を通る軸)に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように螺旋状リングを形成する。このとき、例えば、中心軸に直交する断面が円形で中心軸に沿って一端から他端に向けて径が一方向に変化する部材に線状体を巻きつけることで螺旋状リングが形成される。なお、一端部と他端部の内径は、ステップST11で指定された男性用リング2と女性用リング3とのサイズに基づいて決定される。
[切断工程(ステップST12)]
リング状加工を経た図9(M)に示すリング部材25の周方向のステップST20でマーキングされた箇所を切断して、図1に示す男性用リング2と女性用リング3とを得る。
これにより、図1に示すように、男性用リング2と女性用リング3とは一つの物体を切り離して得られ、男性用リング2には切り離しによって生じた切断部2aが形成され、女性用リング3には上記切り離しによって生じた切断部3aが形成されている。ここで、切断部2aと切断部3aは、切断して得られたものであり、同じ一つもものから生まれた(製造された)という外観イメージを男性用リング2および女性用リング3に持たせることができる。
以上説明したように、本実施形態では、上述した手順で男性用リング2および女性用リング3を製造することで、ステップST21の2重螺旋状リング状加工工程後に、ステップST20でマーキングした箇所を切断すればよく、切断箇所を誤ることがなくなり、歩留まりを上げることができる。すなわち、男性用リング2と女性用リング3とのサイズが異なる比較的加工が難しい製造方法において、その製造方法の歩留まりを向上できる。
また、本実施形態では、同じ一つのものから生まれてきた(製造された)というコンセプトをさらに強く想起させるデザインの男性用リング2および女性用リング3を製造することができる。
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した各ステップを、特定のハードウェア(手段)を用いて実行する金属対製造装置にも本発明は同様に適用可能である。
また、上述した実施形態では、図9(M)に示すように略2重螺旋状のリングを形成する場合を例示したが、2重螺旋以上の螺旋状のリングを形成し、中央付近で切断するようにしてもよい。
上述した実施形態では、2つのリングを一つの金属体から形成する場合を例示したが、これら以外の複数の装身品を一つの金属体から形成する場合にも本発明は適用可能である。
装身品としては、リング、ペンダント、ネックレス、イヤリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレット等でもよい。
また、装身品以外に、例えば、ナイフ、刀剣、スプーン、貴金属製宝石箱、貴金属製の花瓶および水盆、コンパクト、時計、喫煙用具等にも適用できる。
また、金属板の枚数、厚さ等は任意である。
本発明は、金属体を加工してリング形成する場合に適用可能である。
2…男性用リング
3…女性用リング
2a,3a…切断部
25…螺旋状リング
M…マーキング

Claims (5)

  1. 指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算工程と、
    前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算工程と、
    前記使用計算工程で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成工程と、
    前記比率計算工程で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成工程で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング工程と、
    少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成工程と、
    前記リング形成工程で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離工程と
    を有するリング製造方法。
  2. 前記線状体形成工程は、
    複数の金属板を積層する積層工程と、
    前記積層工程で積層された複数の金属板を加熱および加圧して接合して前記一本の線状体を成形する接合工程と
    を有する請求項1に記載のリング製造方法。
  3. 前記接合工程で接合された複数の金属板を加熱してねじる加工を施すねじり工程
    をさらに有し、
    前記線状体形成工程は、前記ねじり工程で形成された部材を加工して前記一本の線状体を形成する
    請求項2に記載のリング製造方法。
  4. 指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算手段と、
    前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算手段と、
    前記使用計算手段で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成手段と、
    前記比率計算手段で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成手段で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング手段と、
    少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成手段と、
    前記リング形成手段で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離手段と
    を有するリング製造装置。
  5. 指定された少なくとも2つのリングの径に基づいて、金属の使用量を計算する使用量計算工程と、
    前記指定された径に基づいて、前記2つのリングを製造する際の金属の使用量の比率を計算する比率計算工程と、
    前記使用計算工程で計算した前記使用量を基に、一本の線状体を形成する線状体形成工程と、
    前記比率計算工程で計算した前記比率に基づいて、前記線状体形成工程で形成した前記線状体に切断箇所のマーキングを行うマーキング工程と、
    少なくとも2重以上の重なりを持ち、中心軸に対して一端部から他端部に向けて内径が一方向に変化するように前記線状体を曲げて螺旋状リングを形成するリング形成工程と、
    前記リング形成工程で形成された前記螺旋状リングの前記マーキングされた箇所を切断して第1のリングと第2のリングとを得る分離工程と
    を経て製造されたリング。
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