JP4922466B1 - リング製造方法、その装置およびリング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一つのリング21をその幅方向の所定の位置で、円周方向に沿って一部の接合部25を残してライン23で切断して男性リング部31と女性リング部33とを形成する。そして、男性リング部31と女性リング部33とを接合部25を中心に相互に離れる向きに所定の角度(約90°)だけ折り曲げる。そして、接合部25を切断して男性用リング2および女性用リング3を得る。
【選択図】 図5
Description
木目金(杢目金)とは杢目銅とも表記し、先ず色の異なる金属の板材を幾重にも積層させて接合し、ねじり加工等を施した後に、その表面を鏨やドリル状工具により彫り下げたのち、金槌によって平坦に鍛造加工し表面に木目状の模様を表す。
ところで、木目金技法により、ペアのリングを形成する場合に、ペアのリングに共通の特徴パターンを形成したいという要請がある。
従来では、複数の金属板を積層したものを捩じり加工等して得た金属板を2つに切断した後に、それぞれの金属板を加工してリングにしている。この従来のリング製造方法によれば、一つの金属板から得た2つのリングに木目金技法によって生じた共通の特徴パターンを生じさせることができる。
好適には、本発明のリング製造方法の前記第1の工程は、前記一つのリングをその幅方向の中心位置ではない位置で前記円周方向に沿って切断して第1のリング部と第2のリング部とを形成する。
好適には、好適には、本発明のリング製造方法の前記第3の工程は、凸状の前記接合部の頂点付近の位置を切断する。
好適には、本発明のリング製造方法では、前記第1のリング部と前記第2のリング部との前記接合部に隣接する側面には、前記接合部の体積に相当する大きさの窪みが形成されている。
本実施形態では、木目金技術により、男性用リング(本発明の第1のリングの一例)と、女性用リング(本発明の第2のリングの一例)を製造する場合を説明する。
図1は、本実施形態のリング製造方法によって製造された男性用リング2と女性用リング3との斜視図である。
図2(A)は図1に示す男性用リング2の正面図、図2(B)は図1に示す男性用リング2の背面図である。
図3(A)は図1に示す男性用リング2の左側面図、図3(B)は図1に示す男性用リング2の右側面図、図3(C)は図1に示す男性用リングの平面図である。
図4(A)は図2(A)に示す断面線A−A´における断面図、図4(B)は図3(A)に示す断面線B−B´における断面図である。
図5(A)に示すように、一つのリング21をその幅方向の所定の位置で、円周方向に沿って一部の接合部25を残してライン23で切断して男性リング部31と女性リング部33とを形成する。
そして、図5(B),(C),(D),(E)に示すように、男性リング部31と女性リング部33とを接合部25を中心に相互に離れる向きに所定の角度(約90°)だけ折り曲げる。
そして、接合部25を切断して図1に示す男性用リング2および女性用リング3を得る。
以下の工程の全部あるいは一部は、機械(リング製造装置)あるいは人手で行われる。
材質の異なる複数の金属板を用意する。
本実施形態では、15枚の金属板を用意する。
金属板の材質としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、真鍮(黄銅)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス、タンタル(Ta)、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
複数の金属板はそれぞれ異なる材質からなるものであり、色や光沢の度合いなどの視覚的に認織される性質が異っている。金属板の厚さは約0.1〜1.0mmである。なお、材質の異なる金属板は、少なくとも2種類あればよい。また、複数の金属板のうち、2以上の金属板が同じ材質でもよい。
次に、接合前の下処理として複数の金属板を紙やすりの600番、800番、1000番、1200番、1500番などを使用して研磨、その後、場合により、炭とぎを併用し丁寧に表面を均一に仕上げる。
次に、複数の金属板を積層し、金属板同士を接合して複数の金属層が積層された多層状金属体(本発明の積層された複数の金属板の一例)を形成する。
ここで、積層順としては、最終的なデザイン(特徴パターン)を考慮して決定される。
このとき、金属板の各々は、例えば0.05〜0.2mmであり、上記多層状金属体の形状は、例えば、1.0〜2.0×40〜60×60〜80mmである。
金属板同士の接合は、たとえば金属板を密着させ、金属板の融点以下の温度条件で、金属板の塑性変形ができるだけ生じない程度に加圧して、金属板同士の接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する拡散接合により行われる。
拡散接合を行う際の条件はたとえば以下の通りである。すなわち、500〜1200℃、200〜500kgf/cm2まで加熱・加圧して行う。なお、金属板同士の接合は、ろう接により行ってもよい。
次に、細部を検査し積層が不完全な部分を除去した後、図7(A)に示すように、例えば、角棒状にローラーを用いて展延加工を施す。
次に、図7(B)に示すように、ねじり加工は表、裏、表、裏を複数回の逆転を行う。
鍛造成形した角棒を上記複数回の逆転がおきるよう積層順に注意しながら加熱、焼鈍を繰り返し少しづつ慎重にねじり加工を施す。このとき、加熱しながらねじる工程と、冷却工程と、焼鈍工程とを順次に繰り返す。
次に、図7(C)に示すように、ねじり加工工程を経た部材を、角棒状にローラーを用いて展延加工を施す。
本実施形態では、このとき、断面の形状を、ステップST15で得た部材より小さくしたのは、実際の仕上がり寸法に合うように調整するためである。
また、模様形成前に角棒状に加工することで、模様形成対象を平面にすることができ、模様が形成し易くなる。
次に、ステップST17で得た角棒を、リングおよびペンダントの形成に必要な容量だけ切り出す。
次に、図8に示すように、角棒材の表面側に,文字、記号、図形などの所定のパターン形状の模様を形成する。
模様の形成は、鏨やドリル状工具によって彫ることで行う。
例えば、ねじり加工を加えたあと積層の半分以上の深さまで鏨やドリル状工具によって彫り下げる。
厚みのある積層でこれ程までの深さに彫り下げると、平面にローラーで展延する際に、高低差が出来すぎ全体の外形やねじり加工による紋様に大きな影響を及ぼす。実際には一回で彫り下げるのではなく、ねじり加工した角棒をある程度まで平板状に加工したのち、彫っては延ばし、彫っては延ばしという工程を十数回にわたり繰り返しおこない紋様を作り出していく。
次に、図9に示すように、ステップST19で模様を形成した角棒材に、所定厚さとなるように、長さ方向に展延する。
具体的には、たとえば所定の間隔を開けて回転可能に設置された2つのローラ間に角棒材を挿通して表面を押圧することにより、金属体は展延される。
その後、ステップST20で展延された金属板をリング状に加工してリング21を得る。
図5(A)に示すように、一つのリング21をその幅方向の所定の位置(例えば、中央位置付近)で、円周方向に沿って一部の接合部25を残してライン23で切断して男性リング部31と女性リング部33とを形成する。
このとき、男性リング部31の幅を女性リング部33より広くする場合には、当該幅に応じて幅方向の非中心位置で切断を行う。
また、接合部25のサイズは、希望する図1に示す凸部2a,3aのサイズに応じて決定する。
そして、図5(B),(C),(D),(E)に示すように、男性リング部31と女性リング部33とを接合部25を中心に相互に離れる向きに所定の角度(例えば、約90°)だけ折り曲げる。当該角度は、90°以外でもよい。
そして、接合部25を切断して図1に示す男性用リング2および女性用リング3を得る。
このとき、接合部25を構成する凸部の頂点の位置を切断する。
これにより、図1に示すように、男性用リング2には接合部25から得られリング外周面から突き出た凸部2aが形成され、女性用リング3には接合部25から得られリング外周面から突き出た凸部3aが形成される。
男性用リング2および女性用リング3の凸部2a,3aに隣接する側面には凸部2a,3aの体積に相当する大きさの窪みが形成されている。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した各ステップを、特定のハードウェア(手段)を用いて実行する金属対製造装置にも本発明は同様に適用可能である。
装身品としては、リング、ペンダント、ネックレス、イヤリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレット等でもよい。
また、装身品以外に、例えば、ナイフ、刀剣、スプーン、貴金属製宝石箱、貴金属製の花瓶および水盆、コンパクト、時計、喫煙用具等にも適用できる。
3…女性用リング
21…リング
23…ライン
25…接合部
31…男性リング部
33…女性リング部
Claims (8)
- 一つのリングをその幅方向の所定の位置で円周方向に沿って一部の接合部を残して切断して、第1のリング部と第2のリング部とを一体となるように形成する第1の工程と、
前記第1のリング部と前記第2のリング部とを前記接合部を中心に相互に離れる向きに所定の角度だけ折り曲げる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記折り曲げられた前記接合部の所定の位置を切断して前記第1のリング部と前記第2のリング部とを分離して第1のリングと第2のリングとを得る第3の工程と
を有するリング製造方法。 - 前記所定の角度は、略90°である
請求項1に記載のリング製造方法。 - 前記第1の工程は、前記一つのリングをその幅方向の中心位置ではない位置で前記円周方向に沿って切断して第1のリング部と第2のリング部とを形成する
請求項2に記載のリング製造方法。 - 前記第3の工程は、
凸状の前記接合部の頂点付近の位置を切断する
請求項3に記載のリング製造方法。 - 前記第1のリング部と前記第2のリング部との前記接合部に隣接する側面には、前記接合部の体積に相当する大きさの窪みが形成されている
請求項4に記載のリング製造方法。 - 複数の金属板を積層する積層工程と、
前記積層工程で前記積層された複数の金属板を加熱および加圧して接合する接合工程と、
前記接合工程で接合された複数の金属板を加熱してねじる加工を施すねじり工程と、
前記ねじり工程後に、前記複数の金属板を平板状に加工して金属板を形成する平板工程と、
前記平板工程で形成された金属板を加工して前記一つのリングを成形する成形工程と
をさらに有する請求項5に記載のリング製造方法。 - 一つのリングをその幅方向の所定の位置で円周方向に沿って一部の接合部を残して切断して、第1のリング部と第2のリング部とを一体となるように形成するリング形成手段と、
前記第1のリング部と前記第2のリング部とを前記接合部を中心に相互に離れる向きに所定の角度だけ折り曲げる折り曲げ手段と、
前記折り曲げ手段で折り曲げた後に、前記折り曲げられた前記接合部の所定の位置を切断して前記第1のリング部と前記第2のリング部とを分離して第1のリングと第2のリングとを得る分離手段と
を有するリング製造装置。 - 一つのリングをその幅方向の所定の位置で円周方向に沿って一部の接合部を残して切断して、第1のリング部と第2のリング部とを一体となるように形成する第1の工程と、
前記第1のリング部と前記第2のリング部とを前記接合部を中心に相互に離れる向きに所定の角度だけ折り曲げる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記折り曲げられた前記接合部の所定の位置を切断して前記第1のリング部と前記第2のリング部とを分離して第1のリングと第2のリングとを得る第3の工程と
を経て製造されたリング。
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