JP5199501B1 - リング製造方法と、その装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】角棒状部材に、長手方向に延びる2つのスリットを形成する。スリットにたがねを差し込んで、スリットの開口部が大きくなるように広げる。開口部に心鉄に入れて、開口部がさらに大きくなるように金鎚で叩いて2つのリング部を形成する。当該2つのリング部をそれらの接合部を中心に回転した後、接合部を切断する。
【選択図】図2
Description
木目金(杢目金)とは杢目銅とも表記し、先ず色の異なる金属の板材を幾重にも積層させて接合し、ねじり加工等を施した後に、その表面を鏨やドリル状工具により彫り下げたのち、金槌によって平坦に鍛造加工し表面に木目状の模様を表す。
ところで、木目金技法により、ペアのリングを形成する場合に、ペアのリングに共通の特徴パターンを形成したいという要請がある。
そのため、製造者の数を増やすことが難しく、製造可能な製品数を増やすことができないという問題がある。また、完成品がデザイン的な要件を満たさずに不良品となる確率も高いという問題がある。
本実施形態では、木目金技術により、例えば、図1に示すように、同じ特徴部位を備えた男性用リング2、女性用リング3を製造する場合を説明する。
本実施形態では、木目金技術により製造した一つの金属板から、男性用リング2および女性用リング3を製造する。
例えば金属板14を表面から見て、男性リングとなる領域と女性用リングとなる領域とが一体的に形成され、それらの境界位置を切断することで各パーツが得られる。
本実施形態では、例えば、図2に示すように、男性用リング2と女性用リング3との接合部を凸状にすることで、一体的に成形されたことを視覚的に特徴付けることができる。
図4は、本発明の実施形態の男性用リングおよび女性用リングを製造工程を説明するための図である。
以下の工程の全部あるいは一部は、機械あるいは人手で行われる。
材質の異なる複数の金属板を用意する。
金属板の材質としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、真鍮(黄銅)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス、タンタル(Ta)、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
複数の金属板11はそれぞれ異なる材質からなるものであり、色や光沢の度合いなどの視覚的に認織される性質が異っている。なお、材質の異なる金属板11は、少なくとも2種類あればよい。また、複数の金属板11のうち、2以上の金属板が同じ材質でもよい。
次に、接合前の下処理として複数の金属板を紙やすりの600番、800番、1000番、1200番、1500番などを使用して研磨し、その後、炭とぎを併用して丁寧に表面を均一に仕上げる。
次に、図3(A)に示すように、複数の金属板を積層し、金属板同士を接合して複数の金属層が積層された多層状金属体(本発明の積層された複数の金属板の一例)を形成する。
図3(B)に示すように、金属板同士の接合は、たとえば金属板を密着させ、金属板の融点以下の温度条件で、金属板の塑性変形ができるだけ生じない程度に加圧して、金属板同士の接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する拡散接合により行われる。
拡散接合を行う際の条件はたとえば以下の通りである。すなわち、500〜1200℃、200〜500kgf/cm2まで加熱・加圧して行う。なお、金属板11同士の接合は、ろう接により行ってもよい。
このとき、積層された複数の金属板を、ステンレス部材で両側から加圧し、所定の加圧力が得られるように、ステンレス部材の熱膨張係数を基に、加圧温度を決定する。
金属表面同士を相互に原子レベルに及ぶ程度まで接近加圧すると、金属結合がおこる。原理としては二つの金属を密着させることによって接合することが可能とされる。
本実施形態では、この拡散結合の原理をもとに加熱、加圧の手段を用いて色の異なる金属を固相体の状態のまま結合させる。要するに金属を溶かし付けるのではなく固体の状態で結合させる。
次に、図4(C)に示すように、細部を検査し積層が不完全な部分を除去した後、角棒状にローラーを用いて展延加工を施す。
本実施形態では、平板への圧延加工を、ローラーにて行なうことで、縦方向、横方向の延ばす率は調節可能である。角棒は仕上がりの平板の体積より推定し、ねじり加工を行なうのに適したバランスを選択した。
次に、図4(D)に示すように、ねじり加工を表、裏、表、裏を複数回の逆転を行う。
鍛造成形した角棒を上記複数回の逆転がおきるよう積層順に注意しながら加熱、焼鈍を繰り返し少しづつ慎重にねじり加工を施す。このとき、加熱しながらねじる工程と、冷却工程と、焼鈍工程とを順次に繰り返す。
ステップST16でねじり加工が施された部材に模様を形成する。
模様の形成は、鏨やドリル状工具によって彫ることで行う。
次に、模様形成工程を経た部材を、図5(E)に示すように、角棒状にローラーを用いて展延加工を施す。
このように、模様形成前に角棒状に加工することで、模様形成対象を平面にすることができ、模様が形成し易くなる。
次に、ステップST18で得た角棒を、リングの形成に必要な容量だけ切り出して角棒材部材を得る。
図5(F)に示すように、ステップST19で切り出した角棒状部材20に、長手方向に延びる2つのスリット23,24を形成する。
具体的には、角棒状部材20の両端付近の各々に貫通孔22,24を形成する。
そして、貫通孔22,24に糸状のノコギリを通して角棒状部材20の中央部に向けて長手方向に沿って擦りながら移動させることで、スリット23,25を形成する。
ステップST20で形成したスリット23,25にたがねを差し込んで、図6(G),図6(H)に示すように、スリットの開口部が大きくなるように広げる。
このとき、例えば、図6(H)に示すように、心鉄が入る大きさまで開口部40,42を広げる。
ステップST21で形成した開口部40,42に心鉄に入れて、開口部40,42がさらに大きくなるように(金鎚)で叩いて、例えば、図7(I),図7(J),図8(K),図8(L)に示す形状にする。
その後、 図8(L)に示す両端部30,32を切断する。
ステップST22の後に、2つのリング部を当該2つのリングの接合部53を中心に回転する。
当該回転は、2つのリングが並んで位置する方向に延びる接合部53の中心軸を中心に、例えば、10°〜30°の回転角度で行う。当該回転角度は、例えば、90°以下が望ましい。当該回転は、両端部30,32をそれぞれペンチで挟んで、異なる向きに回転させて行う。
図9(M)に示すリング140とリング142との接合部53を切断して2つのリングを得る。
このとき、2つのリングは、接合部53が凸状になるように切断し、加工して得られる。
上記切断して得られた2つのリングはさらに加工されて、図9(N)に示すように加工されて男性用リング2および女性用リング3が得られる。
凸部50と凸部52とは、略同じ形状として先端同士を近づけたときに、例えば、図9(M)に示すようなイメージを想起させる形状とする。
また、本実施形態では、上述した特徴がある形状、効率的に高い歩留まりで製造することができる。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した各ステップを、特定のハードウェア(手段)を用いて実行する金属対製造装置にも本発明は同様に適用可能である。
装身品としては、リング、ペンダント、ネックレス、イヤリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレット等でもよい。
また、装身品以外に、例えば、ナイフ、刀剣、スプーン、貴金属製宝石箱、貴金属製の花瓶および水盆、コンパクト、時計、喫煙用具等にも適用できる。
また、金属板の枚数、厚さ等は任意である。
3…女性用リング
22,24…貫通孔
23,25…スリット
40,42…開口部
53…接合部
Claims (7)
- 複数の金属板を積層する積層工程と、
前記積層工程で前記積層された複数の金属板を加熱および加圧して接合する接合工程と、
前記接合工程で接合された複数の金属板を加熱してねじる加工を施すねじり工程と、
前記ねじり工程後に、前記複数の金属板を角棒状部材に加工する角棒状工程と、
前記角棒状部材に長手方向に延びる2つのスリットを形成するスリット形成工程と、
前記2つのスリットを内側から開いて2つのリング部を形成するリング形成工程と、
前記リング形成工程後の前記2つのリング部の接合部を中心に当該2つのリング部を相対的に回転するリング回転工程と、
前記リング回転工程後の前記2つのリングを切り離す切り離し工程と
を有するリング製造方法。 - 前記リング回転工程は、前記2つのリング部が並んで位置する方向に延びる前記接合部の中心軸を中心に、90°以下の回転角度で前記回転を行う
請求項1に記載のリング製造方法。 - 前記角棒状工程の後に、前記角棒状部材の両端付近の各々に貫通孔を形成する孔形成工程
をさらに有し、
前記スリット形成工程は、前記貫通孔から前記角棒状部材の中央部に向けて前記スリットを形成する
請求項1または請求項2に記載のリング製造方法。 - 前記切り離し工程は、前記切り離し後の2つのリングに、切り離し前の接合部が凸部として生じるように切り離しを行う
請求項1〜3のいずれかに記載のリング製造方法。 - 前記スリット形成工程は、前記貫通孔に糸状のノコギリを通して擦ることで前記スリットを形成し、
前記リング形成工程は、前記スリットにたがねを使って前記スリットを開いた後に、心鉄に入れて叩いて前記リング部を形成する
請求項4に記載のリング製造方法。 - 複数の金属板を研磨して表面状態を均一にする研磨工程
をさらに有し、
前記積層工程は、前記研磨工程で研磨された前記複数の金属板を積層する
請求項5に記載の金属体製造方法。 - 複数の金属板を積層する積層手段と、
前記積層手段が前記積層した複数の金属板を加熱および加圧して接合する接合手段と、
前記接合手段が接合した複数の金属板を加熱してねじる加工を施すねじり手段と、
前記ねじる加工の後に、前記複数の金属板を角棒状部材に加工する角棒状手段と、
前記角棒状部材に長手方向に延びる2つのスリットを形成するスリット形成手段と、
前記2つのスリットを内側から開いて2つのリング部を形成するリング形成手段と、
前記2つのリング部の接合部を中心に当該2つのリング部を相対的に回転するリング回転手段と、
前記回転後の前記2つのリングを切り離す切り離し手段と
を有するリング製造装置。
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