JP4988956B1 - 金属製装飾具の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の金属層を備えた金属体の表面に均一な幅の溝を形成できる金属製装飾具の製造方法を提供する。
【解決手段】積層された複数の金属板11が加熱炉の中で圧力を加えられながら加熱されることにより、複数の金属層12を備えた金属体14が形成される。積層された複数の金属板11の全体が一定の温度で均一に加熱されるため、拡散接合を生じるために必要な温度の条件をより精密に設定することが可能となり、温度のムラによる接合面での金属の溶融を効果的に防止できる。拡散接合による均一な幅の金属層12を形成することにより、溶解処理で表面部分を除去した溝の幅が均一になり、金属層12に沿って真っ直ぐに延びた溝を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、材質が異なる複数の金属板を接合して形成された金属体により金属製装飾具を製造する方法とその金属製装飾具に関する。
木目金(杢目金、杢目銅、もくめがね)は、刀の鍔などの装飾を起源とする日本の伝統的な金属加工技術である。木目金の技法では、例えば、色合いが異なる金属板を幾重にも積層させて接合した金属体にねじり加工を施し、その金属体の表面を鏨などの工具で彫り下げて金槌で平坦に鍛造する工程を繰り返し行うことにより、独特な木目状の模様を創り出す。近年、このような木目金の技法により製作されたジュエリーや金属工芸品が注目され、市場に多く出回るようになってきている。
下記の特許文献1には、多層状金属体を加工して作られた貴金属製装飾具の木目状の模様に沿って溝を形成する方法が記載されている。
特開2010−89435号公報
ところで、特許文献1に示すような方法で溝を形成する場合、多層状金属体の金属層の幅が不均一になっていると、金属層が削られてできる溝の幅が波を打つように不均一になり、美観が損なわれるという問題がある。金属層の幅が不均一になる主な原因として、積層した複数の金属板を加熱して多層状金属体を作る際に、接合部において金属板が溶融することが挙げられる。例えばバーナーなどを用いて加熱を行うと、温度のムラによって上述のような溶融を生じ易い。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の金属層を備えた金属体の表面に均一な幅の溝を形成できる金属製装飾具の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点に係る金属製装飾具の製造方法は、所定の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記所定の溶解処理を施すことにより、前記複数の金属層の前記表面部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程とを有する。前記積層工程は、前記所定の溶解処理による溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記所定の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層する。
本発明の第2の観点に係る金属製装飾具の製造方法は、第1の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なるとともに、第2の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記第1の溶解処理と前記第2の溶解処理とをそれぞれ施すことにより、前記複数の金属層の前記表面の部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程とを有する。
好適に、前記積層工程は、前記第1の溶解処理による第1の溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記第1の溶解処理によって溶解せず、かつ、前記第2の溶解処理による第2の溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記第2の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記第1の溶解速度及び前記第2の溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記第1の溶解速度及び前記第2の溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層してよい。
好適に、上記第1の観点に係る金属製装飾具の製造方法、並びに、上記第2の観点に係る金属製装飾具の製造方法は、前記金属体形成工程において形成された前記金属体にねじりを加えるねじり工程と、前記ねじり工程においてねじりを加えられた前記金属体を所定の厚さになるまで展延する展延工程とを有してよい。この場合、前記溝形成工程は、前記展延工程において展延された前記金属体に前記溝を形成してよい。
本発明の第3の観点に係る金属製装飾具は、所定の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記所定の溶解処理を施すことにより、前記複数の金属層の前記表面部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程とを経て製造される。前記積層工程は、前記所定の溶解処理による溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記所定の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層する。
本発明の第4の観点に係る金属製装飾具は、第1の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なるとともに、第2の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記第1の溶解処理と前記第2の溶解処理とをそれぞれ施すことにより、前記複数の金属層の前記表面の部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程とを経て製造される。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、複数の積層した金属板に圧力を加えながら加熱炉の中で全体を均一に加熱し、接合部における金属板の溶融を生じ難くすることで、金属体の表面に均一な幅の溝を形成できる。
本発明の実施形態に係る金属製装飾具の製造工程の一例を示す図である。 金属板の積層工程の例を示す図である。 積層された金属板に圧力を加える治具の一例を示す図である。 金属体を側面方向(金属層が表れる方向)から見た場合の一例を示す図である。 ねじり工程においてねじりを加えられた金属棒の例を示す図である。 ねじり加工を経て角棒状に展延された金属体の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る金属製装飾具の製造方法において、金属層の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。 第2の実施形態に係る金属製装飾具の製造方法において、金属層の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。 第2の実施形態に係る金属製装飾具の製造方法において、金属層の表面部分を除去して溝を形成する他の例を説明するための図である。 第3の実施形態に係る金属製装飾具の製造方法において、金属層の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る金属製装飾具の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る金属製装飾具の製造工程の一例を示す図である。図1に示す各工程は、その全部又は一部が機械又は人手で行われる。
[金属板の準備工程(ステップST11)]
材質の異なる複数の金属板が用意される。
金属板の材質としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、真鍮(黄銅)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス、タンタル(Ta)などや、これらの混合物が用いられる。
複数の金属板11はそれぞれ異なる材質からなるものであり、色や光沢の度合いなどの視覚的に認織される性質が異っている。各金属板11の厚さは、例えば0.05〜1.0mmである。なお、材質の異なる金属板11は、少なくとも2種類あればよい。また、複数の金属板11のうち、2以上の金属板が同じ材質でもよい。
[積層前工程(ステップST12)]
次に、接合前の下処理として、複数の金属板11が600番、800番、1000番、1200番、1500番などの紙やすりを使用して研磨される。紙やすりによる研磨の後、場合により、炭砥ぎを併用して表面が均一に仕上げられる。
[積層工程(ステップST13)]
次に、複数の金属板11が積層される。積層の順序は、後述する溝形成工程(ステップST21)の溶解処理による金属の溶解速度を考慮して決定される。すなわち、溶解処理によって溶解されないか若しくは溶解速度が相対的に遅い金属で形成された金属板11と、溶解速度が相対的に速い金属で形成された金属板11とが隣接する部分を含むように、複数の金属板11が積層される。
図2は、金属板11の積層工程の例を示す図である。図2の例では、9枚の金属板11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11iがこの順番で積層される。金属板11a,11e,11iは金属M1によって形成され、金属板11b,11d,11f,11hは金属M2によって形成され、金属板11c,11gは金属M3によって形成される。後述する溝形成工程(ステップST21)の溶解処理を施した場合、金属M3は溶解するが、金属M1,M2は殆ど溶解しない。従って、図2に示すように積層した場合、溶解しない金属板(11b,11d,11f,11h1)の間に溶解する金属板(11c,11g)が挟まれることとなる。
[接合工程(ステップST14)]
積層工程によって積層された複数の金属板11は、当該積層方向に圧力を加えながら加熱炉の中で加熱される。ここで、積層した金属板11に加える圧力の大きさや、加熱炉の温度、加熱・加圧を行う時間などの諸条件は、金属板11の接触面において拡散接合が起こるように設定される。拡散接合は、母材を密着させ、母材の融点以下の温度で塑性変形ができるだけ生じない程度に加圧することにより、接合面間において生じる原子の拡散を利用した金属の接合方法である。従って、加熱炉の温度は、積層した各金属板11の融点よりも低い温度に設定される。また、積層した金属板11に加える圧力の大きさは、塑性変形を生じない程度に金属板11同士を密着させて拡散接合が促進されるように設定される。例えば、温度範囲が500〜1200℃、圧力範囲が200〜500kgf/cm2の中で、金属板11の材質に応じた適切な加熱・加圧条件が設定される。
図3は、積層された金属板11に圧力を加える治具の一例を示す図である。
図3に示す治具5は、積層された複数の金属板11を両側の金属板11から挟み込んで押圧するものであり、2枚の挟み板51,52と、挟み板51にシャフト55等を介して固定された固定部材53と、固定部材53に設けられたネジ穴に螺合するネジ部54とを有する。ネジ部54の先端は挟み板52に当接する。ネジ部54を所定の方向に回転させると、ネジ部54の先端が挟み板52を押しながら挟み板51に向かって移動し、挟み板51,52の間に挟まれた金属板11に圧力が加わる。
積層された金属板11は、図3に示すような治具5に装着された状態で、治具5とともに加熱炉の中で加熱される。
上述した加圧と加熱によって複数の金属板11が拡散接合することにより、複数の金属層12を備えた金属体14が形成される。図4は、金属体14を側面方向(金属層12が表れる方向)から見た場合の一例を示す図である。図4において、金属層12a〜12iは金属板11a〜11iにそれぞれ対応する。拡散接合の接合面では金属の溶融が生じていないため、各金属層12の幅は材料の金属板11の厚さに応じた均一の幅を有する。
[角棒状加工工程(ステップST15)]
次に、金属体14は、その細部を検査されて積層の不完全な部分が除去された後、ローラーを用いて角棒状に展延される。指輪を製造する場合、例えば断面4.8〜6.0×4.8〜6.0mm程度のサイズとなるように加工・展延される
[ねじり加工工程(ステップST16)]
次に、角棒状に加工された金属体14に対して、図5に示すようにねじりが加えられる。
鍛造成形された角棒状の金属体13に加熱、焼鈍が繰り返されながら少しづつねじりが加えられる。このとき、加熱しながらねじる工程と、冷却工程と、焼鈍工程とが順次に繰り返される。
[角棒状加工工程(ステップST17)]
次に、ねじり加工された金属体14は、ローラーを用いて再び角棒状に展延される。図6は、ねじり加工を経て角棒状に展延された金属体14の一例を示す図である。指輪を製造する場合、例えば断面3.8〜5.0×3.8〜5.0mm程度のサイズとなるように加工・展延される。断面の形状をステップST15で得た部材より小さくするのは、実際の仕上がり寸法に合うように調整するためである。
後述する模様形成工程(ステップST19)の前に角棒状に加工することで、模様を形成する面を平らにすることができ、模様を形成し易くなる。
[切り出し工程(ステップST18)]
次に、ステップST17で得た角棒状の金属体14は、製造する装飾具の形成に必要なサイズだけ切り出される。指輪を形成する場合は、出来上がりの径に応じた長さに金属体14が切断される。
[模様形成工程(ステップST19)]
次に、ステップST18で切り出された角棒状の金属体14の表面に、文字や記号、図形などの所定の模様が形成される。模様の形成は、例えば、鏨やドリル状工具などによって金属体14の表面を彫ることにより行う。
この工程では、例えば、ねじり加工された金属体14の表面を鏨やドリル状工具で掘り下げた後、ローラーによって平らに展延し、その表面を更に彫って展延するという工程が十数回繰り返される。これにより、異なる色合いの金属層に由来した木目金模様が形成される。
[形状加工工程(ステップST20)]
次に、模様が形成された金属体14に対して切断・展延・曲げなどが施され、金属体13の形状が指輪等の装飾具の形状に加工される。
[溝形成工程(ステップST21)]
次に、指輪等の形状に加工された金属体14の金属層14が表れた表面に対して、所定の金属を溶かす溶解処理が施される。これにより、所定の金属からなる金属層12の表面の部分が除去され、当該金属層12に沿って延びた溝が形成される。
この溶解処理は、例えば、所定の材質の金属を溶解する溶解液の中に金属体14を浸して、金属層12の表面部分を除去することにより行う。銀(Ag)の金属層を溶解する場合は、例えば、硝酸などの酸性の溶解液が使用される。溶解液の酸の濃度や、溶解液の温度、溶解時間などの条件は、金属層12の表面に作る溝の深さに応じて設定される。例えば、所定の濃度の溶解液(硝酸等)が入れられた容器を湯などで温めることによって溶解液を所望の温度に保持しておき、その溶解液の中に金属体14を一定時間浸してから表面の溝を確認し、溝の深さが足りなければ再び溶解液に浸す工程を繰り返す。
また、上記のような溶解液による溶解処理以外にも、例えば、電解溶液の中で金属体14に電流を流すことによって所定の材質の金属を溶解する電解研磨法を用いて金属体13の表面に溝を形成してもよい。
図7は、金属層12の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。図7(A)は溶解処理前の状態を示し、図7(B)は溶解処理後の状態を示す。溶解処理によって金属層12c,12gの表面部分が除去されるが、この両側を挟む金属層12b,12d,12f,12hは溶解せずにそのまま残っているため、金属層12c,12gの除去された表面部分に溝が形成されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、積層された複数の金属板11が加熱炉の中で圧力を加えられながら加熱されることにより、複数の金属層12を備えた金属体14が形成される。これにより、バーナー等で加熱する方法に比べて、積層された複数の金属板11の全体が一定の温度で均一に加熱されるため、拡散接合を生じるために必要な温度の条件をより精密に設定することが可能となり、温度のムラによる接合面での金属の溶融を効果的に防止できる。拡散接合による均一な幅の金属層12を形成することにより、溶解処理で表面部分を除去した溝の幅が均一になり、金属層12に沿って真っ直ぐに延びた溝が得られるので、美観を向上できる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図8,図9を参照して説明する。
本実施形態に係る金属製装飾具の製造方法では、溝形成工程(ステップST21)の溶解処理において、隣接する複数の金属層12の表面を異なる深さで除去することにより、金属体14の表面に階段状の溝が形成される。
図8は、第2の実施形態において金属層12の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。図8(A)は溶解処理前の状態を示し、図8(B)は溶解処理後の状態を示す。
本実施形態においては、第1の実施形態の例(図7)と異なり、溝形成工程(ステップST21)の溶解処理によって、金属M3の他に金属M2も溶解する。溶解速度は、金属M1が最も遅く(若しくは溶解しない)、金属M3が最も速い。金属M2は金属M3より遅く溶解する。すなわち、金属M1,M2,M3の順に溶解速度が速くなる。従って、溝形成工程の溶解処理によって表面を削られる深さは、金属M1,M2,M3の順に深くなる。
例えば一般的な電解研磨法における溶解速度は、白金,ホワイトゴールド,イエローゴールドの順に速くなる。本実施形態では、このような金属ごとの溶解速度の違いを利用して、各金属層の深さの違いが生み出される。
また、積層工程(ステップST13)において金属板11を積層する場合、本実施形態では、溝形成工程(ステップST21)での溶解速度に応じて、金属板11の並び順が決められる。すなわち、溶解速度が相対的に最も遅い(若しくは溶解処理で溶解しない)金属M1からなる金属板(11a,11e,11i)から、溶解速度が相対的に最も速い金属M3からなる金属板(11c,11g)に向かって、溶解速度が順に速くなるように金属板11が積層される。これにより、図8(A)に示すように、金属M1,M2,M3,M2,M1,M2,M3,M2,M1の順番で並んだ金属層が金属体14の表面に表れる。
この金属体14に溝形成工程(ステップST21)の溶解処理が施されると、図8(B)に示すように、金属体14の表面には、縁部から底部に向かって階段状に深くなる溝が形成される。
図9は、金属層12の表面部分を除去して溝を形成する本実施形態の他の例を説明するための図である。
図9の例では、溶解速度の異なる5種類の金属(M1〜M5)の金属層を備えた金属体14に対して溶解処理(ステップST21)が施される。溶解速度は、金属M1,M2,M3,M4,M5の順に速くなるため、溝形成工程の溶解処理によって表面を削られる深さは、金属M1,M2,M3,M4,M5の順に深くなる。
積層工程(ステップST13)で金属板を積層する場合、溝形成工程(ステップST21)の溶解処理による溶解速度に応じて金属板の並び順が決められる。すなわち、溶解速度が相対的に最も遅い(若しくは溶解処理で溶解しない)金属M1からなる金属板から、溶解速度が相対的に最も速い金属M5からなる金属板に向かって、溶解速度が順に速くなるように金属板が積層される。これにより金属体14の表面には、図9(A)に示すように、金属M1,M2,M3,M4,M5,M4,M3,M2,M1の順番で並んだ金属層が表れる。この金属体14に溝形成工程(ステップST21)の溶解処理が施されると、図9(B)に示すように、金属体14の表面には、縁部から底部に向かって階段状に深くなる溝が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、溶解処理による溶解速度が相対的に最も遅い(若しくは溶解処理によって溶解しない)金属からなる金属板から、溶解速度が相対的に最も速い金属からなる金属板に向かって、溶解速度が順に速くなるように金属板が積層され、当該積層された金属板が接合されることにより複数の金属層を備えた金属体14が形成される。このように形成された金属体14に対して溶解処理が施されることにより、縁部から底部に向かって階段状に深くなる溝が金属体14の表面に形成される。
溝の縁部から底部に向かうまでの間に金属層が深くなったり浅くなったりしていると(起伏が存在していると)、指で触った感覚や目で見た感覚において、縁部から底部に向かうまでの起伏が複数の溝に認識される可能性がある。その場合、認識される各々の溝の深さは、起伏のない場合の溝の深さに比べて浅いため、溝の深さの感覚が弱められてしまう。本実施形態のように、縁部から底部に向かって階段状に深くなる溝が形成されることによって、縁部から底部までの落差に応じたより明確な深さの感覚を与えることができるため、金属体14の表面に形成される溝を強調することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について参照して説明する。
本実施形態に係る金属製装飾具の製造方法では、溝形成工程(ステップST21)において金属体13に異なる複数回の溶解処理が施される。例えば、溶解可能な金属や溶解速度が異なる溶解処理を組み合わせて(電解研磨と化学研磨など)、金属体14の表面に溝が形成される。
図10は、第3の実施形態において金属層12の表面部分を除去して溝を形成する例を説明するための図である。図10(A)は溶解処理前の状態を示し、図10(B)は第1の溶解処理後の状態を示し、図10(C)は第2の溶解処理後の状態を示す。
図10の例では、図9と同様に、溶解速度の異なる5種類の金属(M1〜M5)の金属層を備えた金属体14に対して、異なる2つの溶解処理が施される。2つの溶解処理の溶解速度は、何れも金属M1,M2,M3,M4,M5の順に速くなるため、溝形成工程の溶解処理によって表面を削られる深さは、金属M1,M2,M3,M4,M5の順に深くなる。また、金属層の並び順は図9の例と同じである。
図10の例では、第1の溶解処理(図10(B))によって金属M2,M3,M4,M5の表面がそれぞれ削られ、第2の溶解処理(図10(C))によって金属M4,M5の表面がそれぞれ削られている。そのため、図10の例では、図9に比べて溝の底部に近い金属層12r,12p,12qの深さがより深くなっている。
このように、本実施形態によれば、溶解可能な金属や溶解速度が異なる複数の溶解処理を組み合わせることによって、様々な形状の溝を形成することができる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
例えば、上述した実施形態において例として挙げた金属体の金属層の数や、金属層を形成する金属の種類の数、金属板の厚さ、溝の深さなどは一例であり、これらの数や量を任意に変更した実施形態も本発明に含まれる。
また、金属体14は、いわゆる木目金であってもよい。ここで、木目金には、色などの異なる金属を複数枚積層したものに、所定の文様などのパターンを彫って模様を形成した金属体、いわゆるグリ彫りの施された金属体を含んでよい。
上述の各実施形態に係る金属製装飾具は、指輪やペンダント、ネックレス、イヤリング、カフス、ブローチ、タイタック、バングル、バックル、チョーカー、ブレスレットなどの金属製装身具の他に、ナイフ、刀剣、スプーン、貴金属製宝石箱、貴金属製の花瓶・水盆、コンパクト、時計、喫煙用具などに適用することができる。
5…治具、11、11a〜11i…金属板、12、12a〜12i,12m〜12u…金属層、
14…金属体。

Claims (6)

  1. 所定の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、
    前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、
    前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記所定の溶解処理を施すことにより、前記複数の金属層の前記表面の部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程と、
    を有し、
    前記積層工程は、前記所定の溶解処理による溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記所定の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層する、
    金属製装飾具の製造方法。
  2. 第1の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なるとともに、第2の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、
    前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、
    前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記第1の溶解処理と前記第2の溶解処理とをそれぞれ施すことにより、前記複数の金属層の前記表面の部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程と、
    を有する金属製装飾具の製造方法。
  3. 前記積層工程は、前記第1の溶解処理による第1の溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記第1の溶解処理によって溶解せず、かつ、前記第2の溶解処理による第2の溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記第2の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記第1の溶解速度及び前記第2の溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記第1の溶解速度及び前記第2の溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層する、
    請求項に記載の金属製装飾具の製造方法。
  4. 前記金属体形成工程において形成された前記金属体にねじりを加えるねじり工程と、
    前記ねじり工程においてねじりを加えられた前記金属体を所定の厚さになるまで展延する展延工程と、
    を有し、
    前記溝形成工程は、前記展延工程において展延された前記金属体に前記溝を形成する、
    請求項1乃至3の何れか一項に記載の金属製装飾具の製造方法。
  5. 所定の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、
    前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、
    前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記所定の溶解処理を施すことにより、前記複数の金属層の前記表面部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程と、
    を経て製造された金属製装飾具であって、
    前記積層工程は、前記所定の溶解処理による溶解速度が相対的に最も遅いか若しくは前記所定の溶解処理によって溶解しない金属からなる第1の金属板から、前記溶解速度が相対的に最も速い金属からなる第2の金属板に向かって、前記溶解速度が順に速くなるように前記金属板を積層する、
    金属製装飾具
  6. 第1の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なるとともに、第2の溶解処理における溶解速度がそれぞれ異なる複数の材質の異なる金属板を隣接させて積層する積層工程と、
    前記積層された複数の金属板を両側の金属板から挟み込んで押圧する治具に装着し、前記複数の金属板を前記治具とともに加熱炉の中に入れ、前記加熱炉の中で前記積層された複数の金属板を当該積層方向に圧力を加えながら加熱して接合することにより、複数の金属層を備えた金属体を形成する金属体形成工程と、
    前記溶解速度が異なる複数の金属板に対応する複数の金属層が表れた前記金属体の表面に前記第1の溶解処理と前記第2の溶解処理とをそれぞれ施すことにより、前記複数の金属層の前記表面の部分をそれぞれ異なる深さで除去し、前記複数の金属層に沿って延びた溝を形成する溝形成工程と、
    を経て製造された金属製装飾具。
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