JP5501933B2 - 交流電気量測定装置および交流電気量測定方法 - Google Patents

交流電気量測定装置および交流電気量測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、交流電気量測定装置および交流電気量測定方法に関する。
近年、電力系統内の潮流が複雑化するにつれ、信頼性および品質の高い電力の供給が要求されるようになっており、特に、電力系統の電気量(交流電気量)を測定する交流電気量測定装置の性能向上の必要性は、ますます高くなっている。
従来、この種の交流電気量測定装置としては、例えば下記特許文献1,2に示されたものがある。特許文献1(保護制御計測システム)および特許文献2(広域保護制御計測システム)では、位相角の変化成分(微分成分)を定格周波数(50Hzまたは60Hz)からの変化分として実系統の周波数を求める手法を開示している。
これらの文献では、実系統の周波数を求める計算式として、次式を開示しているが、これらの計算式は、下記非特許文献1が提示する計算式でもある。
2πΔf=dφ/dt
f(Hz)=60+Δf
特開2009−65766号公報 特開2009−71637号公報
上記のように、特許文献1,2および非特許文献1に示される手法は、位相角の変化成分を微分計算によって求める手法である。しかしながら、実系統の周波数瞬時値の変化は頻繁かつ複雑であり、微分計算は非常に不安定である。このため、例えば周波数測定に関し、充分な計算精度が得られないという課題があった。
また、上記手法は、定格周波数(50Hzまたは60Hz)を初期値として計算するため、計算の開始時において、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合には、測定誤差が生じることになり、系統定格周波数からの外れ度合いが大きい場合には、測定誤差が非常に大きくなるという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、高精度な交流電気量の測定を可能とする交流電気量測定装置および交流電気量測定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる交流電気量測定装置は、測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化したゲージ差分電圧を算出するゲージ差分電圧算出部と、前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いて前記交流電圧の振幅を算出する電圧振幅算出部と、を備えたことを特徴とする。
本発明にかかる交流電気量測定装置によれば、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、高精度な交流電気量の測定が可能になるという効果を奏する。
図1は、複素平面上のゲージ電圧群およびゲージ差分電圧群を示す図である。 図2は、ゲージ電圧とゲージ差分電圧との関係を示す図である。 図3は、複素平面上におけるゲージ電力群を示す図である。 図4は、複素平面上におけるゲージ差分電力群を示す図である。 図5は、本実施の形態にかかる交流電気量測定装置の機能構成を示す図である。 図6は、交流電気量測定装置における処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、第1のシミュレーション実行時の電圧瞬時値の波形ならびに、当該電圧瞬時値に基づいて計算したゲージ電圧、ゲージ差分電圧および、測定電圧振幅を示す図である。 図8は、第1のシミュレーション実行時の電流瞬時値の波形ならびに、当該電流瞬時値に基づいて計算したゲージ電流、ゲージ差分電流および、測定電流振幅を示す図である。 図9は、第1のシミュレーションによるゲージ有効電力、ゲージ差分有効電力および、測定有効電力を示す図である。 図10は、第1のシミュレーションによるゲージ無効電力、ゲージ差分無効電力および、測定無効電力を示す図である。 図11は、第1のシミュレーションによる力率の測定結果を示す図である。 図12は、第2のシミュレーション実行時の電圧瞬時値の波形ならびに、当該電圧瞬時値に基づいて計算したゲージ差分電圧および、測定電圧振幅を示す図である。 図13は、第2のシミュレーション実行時の電流瞬時値の波形ならびに、当該電流瞬時値に基づいて計算したゲージ差分電流および、測定電流振幅を示す図である。 図14は、第2のシミュレーションによるゲージ差分有効電力および測定有効電力を示す図である。 図15は、第2のシミュレーションによるゲージ無効電力、ゲージ差分無効電力および測定無効電力を示す図である。 図16は第2のシミュレーションによる力率の測定結果を示す図である。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる交流電気量測定装置および交流電気量測定方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
本実施の形態にかかる交流電気量測定装置および交流電気量測定方法を説明するにあたり、まず、本実施の形態の要旨を成す交流電気量測定手法の概念(アルゴリズム)について説明し、その後、本実施の形態にかかる交流電気量測定装置の構成および動作について説明する。なお、以下の説明において、アルファベットの小文字表記のうち、括弧付のもの(例えば“v(t)”)は、ベクトルを表し、括弧無しのもの(例えば“v2”)は、瞬時値を表すものとする。また、アルファベットの大文字表記(例えば“Vg”)は、実効値もしくは振幅値を表すものとする。
図1は、複素平面上のゲージ電圧群およびゲージ差分電圧群を示す図である。図1において、複素平面上には、それぞれ現時点の電圧回転ベクトルv(t)、現時点よりもサンプリング1周期T(サンプリング周波数1刻み幅分に相当する時間)前時点の電圧回転ベクトルv(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−2T)、現時点よりもサンプリング3周期(3T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−3T)が示されている。
ここで、これら4つの電圧回転ベクトルについて考察する。まず、これら4つの電圧回転ベクトルは、同じ回転速度で複素平面上を反時計回りに回転する回転ベクトルであり、サンプリング周期Tを用いて、次式のように表される。
Figure 0005501933
上記(1)式において、Vは電圧振幅である。また、ωは回転角速度であり、次式で表される。
Figure 0005501933
上記(2)式において、fは実周波数である。また、(1)式におけるサンプリング1周期Tは、次式で表される。
Figure 0005501933
上記(3)式において、fはサンプリング周波数である。また、(1)式に示されるαは、サンプリング1周期Tの時間に電圧ベクトルが複素平面上を回転した角度を意味する回転位相角である。
つぎに、図1に示した4つの電圧回転ベクトル{v(t)、v(t−T)、v(t−2T)、v(t−3T)}を、{v(t)、v(t−T)、v(t−2T}をメンバーとする第1のグループと、{v(t−T)、v(t−2T)、v(t−3T)}をメンバーとする第2のグループに区分する。なお、図1を参照すれば明らかなように、例えば第1のグループでは、両側の電圧ベクトル(v(t),v(t−2T))同士は、中間の電圧ベクトル(v(t−T))に対して対称性がある。第2のグループでも同様であり、両側の電圧ベクトル(v(t−T),v(t−3T))同士は、中間の電圧ベクトル(v(t−2T))に対して対称性がある。
これら第1、第2のグループを構成する各3つの電圧回転ベクトルは、同じ回転速度で複素平面上を反時計回りに回転する一つの電圧回転ベクトル群を形成すると共に、後述するような正規化された一つの電圧振幅値が定義される。これらの性質により、これら各3つの電圧回転ベクトルによるグループをゲージ電圧群と定義する。
つぎに、ゲージ電圧群の振幅値(正規化された振幅値)であるゲージ電圧Vgの計算式について説明する。まず、ゲージ電圧Vgの計算式を次式のように定義する。
Figure 0005501933
上記(4)式において、v2はゲージ電圧群における2番目の電圧回転ベクトルの実数部、v1はゲージ電圧群における1番目の電圧回転ベクトルの実数部、v3はゲージ電圧群における3番目の電圧回転ベクトルの実数部であり、それぞれ次式を用いて計算される。
Figure 0005501933
上記(5)式において、記号“Re”は複素ベクトル成分の実数部であることを示している。ここで、(5)式を(4)式の右辺に代入すれば、次式のように展開される。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ電圧Vgは、次式で表される。
Figure 0005501933
上記(7)式で表されるように、ゲージ電圧Vgは、電圧振幅Vと回転位相角αの正弦関数との積で表される。ここで、周波数fと回転位相角αとは1対1に対応するので、一定の周波数fに対応するゲージ電圧Vgは一定値となり、ゲージ電圧Vgと周波数fとの関係は、ゲージ電圧Vgと回転位相角αとの関係に変換される。このため、回転位相角αが分かれば、電圧振幅Vが分かる。
また、上記(7)式について更なる考察を加えると、以下に示すような性質が明らかになる(ただし、実周波数の変動幅を“0〜f/2”とする)。
(a)回転位相角αが90度の場合、ゲージ電圧Vgと電圧振幅Vとは等しくなる。なお、実周波数はサンプリング周波数の1/4である。
(b)回転位相角αが90度より小さい場合、サンプリング周波数fが高くなれば(サンプリング1周期時間Tが小さくなれば)、回転位相角αも小さくなり、ゲージ電圧Vgは小さくなる。逆に、サンプリング周波数fが低くなれば(サンプリング1周期時間Tが大きくなれば)、回転位相角αも大きくなり、ゲージ電圧Vgは大きくなる。
(c)一方、回転位相角αが90度より大きい場合、サンプリング周波数fが高くなれば(サンプリング1周期時間Tが小さくなれば)、回転位相角αも小さくなり、ゲージ電圧Vgは大きくなる。逆に、サンプリング周波数fが低くなれば(サンプリング1周期時間Tが大きくなれば)、回転位相角αも大きくなり、ゲージ電圧Vgは小さくなる。
(d)なお、回転位相角αの限界は180度であるが、このときの実周波数はサンプリング周波数の1/2である。すなわち、この性質は、通信分野におけるサンプリング定理の性質そのものである。
つぎに、図1を参照してゲージ差分電圧に関する説明を行う。図1において、v(t)とv(t−T)との電圧差分ベクトルであるv(t)、v(t−T)とv(t−2T)との電圧差分ベクトルであるv(t−T)、v(t−2T)とv(t−3T)との電圧差分ベクトルであるv(t−2T)が示されている。これら3つの電圧差分ベクトルは、上述した3つの電圧回転ベクトルと同様に、電圧振幅V、回転角速度ω、回転位相角αを用いて、次式のように表される。
Figure 0005501933
なお、図1を参照すると、3つの電圧差分ベクトルにおいて、位相が進んでいる電圧差分ベクトル(v2(t),v2(t−2T))同士は、中間の電圧差分ベクトル(v2(t−T))に対して対称性があることが分かる。また、これら3つの電圧差分ベクトルは、同じ回転速度で複素平面上を反時計回りに回転する一つの電圧差分ベクトル群を形成すると共に、後述するような正規化された一つの値(ゲージ差分電圧)が定義される。これらの性質により、これら3つの電圧差分ベクトルによるグループをゲージ差分電圧群と定義する。
つぎに、ゲージ差分電圧群の振幅値(正規化された振幅値)であるゲージ差分電圧Vgdの計算式について説明する。まず、ゲージ差分電圧Vgdの計算式を次式のように定義する。
Figure 0005501933
上記(9)式において、v22はゲージ差分電圧群における2番目の電圧差分ベクトル(v2(t−T))の実数部、v21はゲージ差分電圧群における1番目の電圧差分ベクトル(v2(t))の実数部、v23はゲージ電圧群における3番目の電圧回転ベクトル(v2(t−2T))の実数部であり、それぞれ次式を用いて計算される。
Figure 0005501933
ここで、(10)式を(9)式右辺における平方根記号中の式に代入して整理することにより(式の展開は省略)、ゲージ差分電圧Vgdは、次式で表される。
Figure 0005501933
上記(11)式で表されるように、ゲージ差分電圧Vgdは、電圧振幅Vの2倍と、回転位相角αの正弦関数と、回転位相角αの1/2の正弦関数との積で表される。なお、ゲージ電圧Vgと同様に、周波数fと回転位相角αとは1対1に対応するので、一定の周波数に対応するゲージ差分電圧Vgdは一定値となり、ゲージ差分電圧Vgdと周波数fとの関係は、ゲージ差分電圧Vgdと回転位相角αとの関係に変換される。
また、上記(7),(11)式により、次式の関係式が得られる。
Figure 0005501933
よって、この(12)式により、次式の関係式が得られる。
Figure 0005501933
また、(13)式により、次式の関係式が得られる。
Figure 0005501933
さらに、回転位相角αの正弦関数値は、ゲージ電圧Vgおよびゲージ差分電圧Vgdを用いて、次式のように表される。
Figure 0005501933
したがって、上記(7)式と(14)式により、次式を用いて電圧振幅Vを計算することができる。
Figure 0005501933
この(16)式は、時系列の電圧データを直接用いて電圧振幅Vを計算する式であり、非常に重要な計算式である。なお、入力の電圧波形が純粋な正弦波であれば、上記(16)式を用いることで、誤差のない電圧振幅の計測が可能となる。また、電圧波形にノイズがある場合、ゲージ電圧群およびゲージ差分電圧群を構成するメンバー数を増やしたり、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧および電圧振幅の計算結果のそれぞれに対して移動平均処理を行ったりすることで、電圧振幅Vの計算精度を高めることができる。
つぎに、ゲージ電圧とゲージ差分電圧との関係式を導出する。まず、回転位相半角(回転位相角の半値:α/2)の正弦関数値を係数kgで表せば、この係数kgは、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
この(17)式を上記(16)式に代入すると、電圧振幅Vは次式で表すことができる。
Figure 0005501933
また、(16)式から、次式および次々式の関係式が成立する。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
上記(19),(20)式を満たさない場合、入力波形は純粋な正弦波ではないと判定してもよい。
また、上記(16)式において、電圧振幅を1とする場合、ゲージ電圧とゲージ差分電圧とに関する次の方程式が成立する。
Figure 0005501933
図2は、上記(21)式に基づくゲージ電圧とゲージ差分電圧との関係を示す図である。電圧振幅を1とする場合、ゲージ電圧は、図2の破線で示すように0V〜1Vの範囲で変動し、このとき、ゲージ差分電圧は、図2の太実線で示すような値をとる。なお、ゲージ差分電圧の最大値は、ゲージ電圧が最大値をとる点から若干ずれていることが、図2から理解できる。
ゲージ電圧とゲージ差分電圧との関係をさらに考察するため、回転位相角の余弦関数値と、ゲージ電圧およびゲージ差分電圧の関係式を示す。なお、この関係式は、上記(17)式と三角関数の半角公式から導出することができる。
Figure 0005501933
上記(22)式において、α=0°、α=180°は計測できない点(特異点)である。また、α=90°の場合、つぎの関係式が成立する。
Figure 0005501933
さらに、サンプリング1周期(T)の期間におけるn個のゲージ電圧列およびn個のゲージ差分電圧列には、次式および次々式の関係式が数学的に成立するため、ここに記しておく。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
また、上記(25),(26)式から、つぎの2つの関係式も得られる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
ところで、ここまで、3つの電圧回転ベクトル(3サンプリング点)によるゲージ電圧群と、4つの電圧回転ベクトル(4サンプリング点)によるゲージ差分電圧群とによるゲージ電圧およびゲージ差分電圧の各計算式を示してきたが、ゲージ電圧およびゲージ差分電圧を計算する上でこれらのサンプリング点に限定されるものではなく、サンプリング点数を増加させることも可能である。そこで、以下、サンプリング点数を増加させた場合の計算式を提示する。
まず、サンプリング点数n個(nは3以上)の電圧回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ電圧群によるゲージ電圧の計算式を示すと以下のとおりである。
Figure 0005501933
ここで、各電圧瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
同様に、サンプリング点数(n+1)個(nは3以上)の電圧回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ差分電圧群によるゲージ差分電圧の計算式も以下のとおり一般化できる。
Figure 0005501933
また、各差分電圧瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
ところで、上記では、(1)〜(16)式などを通じて、典型的な交流電気量の一つである電圧振幅Vを測定(計算)するための計算手順について説明してきた。つぎに、典型的な交流電気量の他の一つである電流振幅Iを測定(計算)するための計算手順について説明する。
なお、説明が前後するが、“電圧振幅”は交流電圧振幅の真値であるのと共に、交流電圧の周波数には依存性のない数値である。一方、ゲージ電圧は、複素平面上のゲージ電圧群を利用して計算した電圧振幅であり、交流電圧の周波数に依存性のある数値である。これらの関係は、他の交流電気量においても同様である。
つぎに、電流振幅の算出手法について説明する。なお、電流振幅の算出手法に関する導出手順は電圧振幅のときと同様であり、以下、要点部分の関係式のみを提示する。
まず、サンプリング点数n個(nは3以上)の電流回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ電流群(図示省略)によるゲージ電流Igの計算式は、次式で表される。
Figure 0005501933
ここで、各電流瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
同様に、サンプリング点数n(nは3以上)の電流回転ベクトルを有するゲージ差分電流群によるゲージ差分電流の計算式も以下のとおり一般化できる。
Figure 0005501933
ここで、各差分電流瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
また、(17)式の類推適用により、回転位相半角(α/2)の正弦関数値は、ゲージ電流Igとゲージ差分電流Igdとを用いて次式で表すことができる。
Figure 0005501933
同様に、電流振幅Iは、電圧振幅Vを表す(16)式の類推適用により、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
また、電流と電圧は同じ周波数で振動していると考えれば、(37)式のsinαに(16)式を代入することにより、次式のように表すこともできる。
Figure 0005501933
つぎに、本願発明にて新たに提案する概念であるゲージ電力群、ゲージ有効電力群および、ゲージ無効電力群について図3を参照して説明する。ここで、図3は、複素平面上におけるゲージ電力群を示す図である。図3において、複素平面上には、それぞれ現時点の電圧回転ベクトルv(t)、現時点よりもサンプリング1周期(T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−2T)、現時点よりもサンプリング1周期(T)前時点の電流回転ベクトルi(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の電流回転ベクトルi(t−2T)が示されている。
図3において、3つの電圧回転ベクトルは、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
同様に、2つの電流回転ベクトルは、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
ここで、上記(39)式に示される3つの電圧回転ベクトルと、上記(40)式に示される2つの電流回転ベクトルをゲージ電力群と定義する。
つぎに、ゲージ有効電力について説明する。まず、ゲージ有効電力の算出式は、次式で与えられる。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ有効電力は、ゲージ電力群のメンバーである2つの電圧回転ベクトルv(t),v(t−T)と、2つの電流回転ベクトルi(t−T),i(t−2T)を用いて計算される。このため、ゲージ有効電力の計算に用いられる、これら4つの回転ベクトルv(t),v(t−T),i(t−T),i(t−2T)をゲージ有効電力群と定義する。つまり、ゲージ有効電力群は、ゲージ電力群の一部のメンバーをもって構成されることになる。
なお、上記(41)式における各電圧瞬時値および各電流瞬時値は、電圧回転ベクトルの実数部であり、次式および次々式で表される。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
また、(42)、(43)式を(41)式の右辺に代入すれば、ゲージ有効電力Pgは、次式のように展開される。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ有効電力Pgは、次式で表される。
Figure 0005501933
つぎに、ゲージ無効電力について説明する。ゲージ無効電力の算出式は、次式で与えられる。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ無効電力は、ゲージ電力群のメンバーである2つの電圧回転ベクトルv(t−T),v(t−2T)と、2つの電流回転ベクトルi(t−T),i(t−2T)を用いて計算される。このため、ゲージ無効電力の計算に用いられる、これら4つの回転ベクトルv(t−T),v(t−2T),i(t−T),i(t−2T)をゲージ無効電力群と定義する。つまり、ゲージ無効電力群は、ゲージ有効電力群と同様に、かつ、ゲージ有効電力群とはメンバーの一部が異なるゲージ電力群の一部のメンバーをもって構成されることになる。
なお、上記(46)式における各電圧瞬時値は、電圧回転ベクトルの実数部であり、次式で表される(上記(46)式における各電流瞬時値は、(43)式に示したとおりである)。
Figure 0005501933
また、(47)、(43)式を(46)式の右辺に代入すれば、ゲージ無効電力Qgは、次式のように展開される。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ無効電力Qgは、次式で表される。
Figure 0005501933
さらに、(7)式、(32)式、(45)式、(49)式を用いれば、電圧電流間位相角φの余弦関数値は、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
また、電圧電流間位相角φの余弦関数値は、ゲージ無効電力Qgの符号、すなわち計測対象の回路特性がインダンクタンス性であるか、コンダクタンス性であるかに応じて、次式のように表すことができる。
(計測対象の特性がインダンクタンス性の場合:Qg<0)
Figure 0005501933
(計測対象の特性がコンンダンクタンス性の場合:Qg>0)
Figure 0005501933
つぎに、典型的な交流電気量の一つである有効電力Pの計算式について説明する。有効電力Pは、電圧振幅V、電流振幅Iおよび電圧電流間位相角φの余弦関数値の積であり、(16)式、(37)式、(45)式、(49)式を用いて、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
上記(53)式は、非常に重要な式である。この(53)式に含まれるゲージ有効電力Pg、ゲージ無効電力Qg、回転位相角αの余弦関数値および正弦関数値は、いずれも瞬時値時系列データから直接的に計算することができる。したがって、有効電力Pは、瞬時値時系列データを用いて直接的に計算することができる。
なお、計測対象の回路特性が純粋なインダクタンス性(純インダクタンス性回路)もしくは、純粋なコンダクタンス性(純コンダクタンス回路)の場合、有効電力Pは零であり、上記(53)式により、ゲージ有効電力Pgとゲージ無効電力Qgとの間には、次式の関係がある。
Figure 0005501933
したがって、サンプリング周波数(fs=1/T)が実周波数fの4倍である場合、回転位相角αは90度であり、純インダクタンス回路あるいは純コンダクタンス回路におけるゲージ有効電力Pgは零となる。
つぎに、典型的な交流電気量の一つである無効電力Qの計算式について説明する。無効電力Qは、電圧振幅V、電流振幅Iおよび電圧電流間位相角φの正弦関数値の積であり、純インダクタンス性回路の場合、(16)式、(37)式、(51)式を用いて、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
また、純コンダクタンス性回路の場合、無効電力Qは、(16)式、(37)式、(52)式を用いて、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
また、サンプリング点数n個(nは3以上)の電圧回転ベクトルと、n個の電流回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ有効電力群によるゲージ有効電力Pgの計算式は、次式で表される。
Figure 0005501933
ここで、各電圧瞬時値および各電流瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
また、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
さらに、サンプリング点数n個(nは3以上)の電圧回転ベクトルと、n個の電流回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ無効電力群によるゲージ無効電力Qgの計算式は、次式で表される。
Figure 0005501933
なお、測定精度(計算精度)を高めるためには、つぎの2つの方策が考えられる。第1の方策は、ゲージ有効電力、ゲージ無効電力、回転位相角の余弦関数値および正弦関数値を計算するとき、計算のサンプリング数(対称群の数)を増やすことである。計算に用いられる対称群の数を増加することにより、量子化誤差を低減することができると共に、ノイズの影響を軽減することができる。
また、第2の方策は、ゲージ有効電力、ゲージ無効電力、回転位相角の余弦関数値および正弦関数値に対する移動平均を行うことである。この移動平均処理により、ノイズの影響を大幅に軽減することができる。
つぎに、典型的な交流電気量の一つである力率PFの計算式について説明する。力率PFは、電圧電流間位相角φの余弦関数値であり、(50)式にも示しているように、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
つぎに、本願発明にて新たに提案する概念であるゲージ差分電力群、ゲージ差分有効電力群および、ゲージ差分無効電力群について図4を参照して説明する。ここで、図4は、複素平面上におけるゲージ差分電力群を示す図である。図4において、複素平面上には、現時点の電圧回転ベクトルv(t)および現時点よりもサンプリング1周期(T)前時点の電流回転ベクトルi(t−T)を基準にして、現時点の差分電圧回転ベクトルv2(t)、現時点よりもサンプリング1周期(T)前時点の差分電圧回転ベクトルv2(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の差分電圧回転ベクトルv2(t−2T)、現時点よりもサンプリング1周期(T)前時点の差分電流回転ベクトルi2(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の差分電流回転ベクトルi2(t−2T)が示されている。
図4において、3つの差分電圧回転ベクトルは、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
同様に、2つの電流回転ベクトルは、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
ここで、上記(62)式に示される3つの電圧回転ベクトルと、上記(63)式に示される2つの電流回転ベクトルをゲージ差分電力群と定義する。
つぎに、ゲージ差分有効電力について説明する。まず、ゲージ差分有効電力の算出式は、次式で与えられる。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ差分有効電力は、ゲージ差分電力群のメンバーである2つの差分電圧回転ベクトルv2(t),v2(t−T)と、2つの差分電流回転ベクトルi2(t−T),i2(t−2T)を用いて計算される。このため、ゲージ差分有効電力の計算に用いられる、これら4つの回転ベクトルv2(t),v2(t−T),i2(t−T),i2(t−2T)をゲージ差分有効電力群と定義する。つまり、ゲージ差分有効電力群は、ゲージ差分電力群の一部のメンバーをもって構成されることになる。
なお、上記(64)式における各電圧瞬時値および各電流瞬時値は、電圧回転ベクトルの実数部であり、次式および次々式で表される。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
また、(65)、(66)式を(64)式の右辺に代入すれば、ゲージ差分有効電力Pgdは、次式のように展開される。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ差分有効電力Pgdは、次式で表される。
Figure 0005501933
つぎに、ゲージ差分無効電力について説明する。ゲージ差分無効電力の算出式は、次式で与えられる。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ差分無効電力は、ゲージ差分電力群のメンバーである2つの差分電圧回転ベクトルv2(t−T),v2(t−2T)と、2つの差分電流回転ベクトルi2(t−T),i2(t−2T)を用いて計算される。このため、ゲージ差分無効電力の計算に用いられる、これら4つの回転ベクトルv2(t−T),v2(t−2T),i2(t−T),i2(t−2T)をゲージ差分無効電力群と定義する。つまり、ゲージ差分無効電力群は、ゲージ差分電力群の一部のメンバーをもって構成されることになる。
なお、上記(69)式における各電圧瞬時値は、電圧回転ベクトルの実数部であり、次式で表される(上記(69)式における各電流瞬時値は、(66)式に示したとおり)。
Figure 0005501933
また、(70)、(66)式を(69)式の右辺に代入すれば、ゲージ差分無効電力Qgdは、次式のように展開される。
Figure 0005501933
すなわち、ゲージ差分無効電力Qgdは、次式で表される。
Figure 0005501933
また、(68)式、(72)式を用いれば、電圧電流間位相角φの余弦関数値は、次式で表すことができる。
Figure 0005501933
さらに、上記(73)式を前述の(11)式、(36)式を上式に代入すれば、次式のように変換される。
Figure 0005501933
なお、電圧電流間位相角φの余弦関数値は、ゲージ差分無効電力Qgdの符号、すなわち計測対象の回路特性がインダンクタンス性であるか、コンダクタンス性であるかに応じて、ゲージ無効電力Qgのときと同様に、次式のように表すことができる。
(計測対象の特性がインダンクタンス性の場合:Qgd<0)
Figure 0005501933
(計測対象の特性がコンンダンクタンス性の場合:Qgd>0)
Figure 0005501933
なお、ゲージ差分電力は、差分成分を求める際、電圧、電流の直流成分がキャンセルされるように計算されるので、ゲージ電力を用いる場合よりも、より高精度な計算が可能となる。
つぎに、ゲージ差分電力を用いる有効電力Pの計算式について説明する。有効電力Pは、電圧振幅V、電流振幅Iおよび電圧電流間位相角φの余弦関数値の積であり、(16)式、(37)式、(68)式、(72)式を用いて、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
上記(77)式は、非常に重要な式である。この(77)式に含まれるゲージ差分有効電力Pgd、ゲージ差分無効電力Qgd、回転位相角αの余弦関数値および正弦関数値は、いずれも瞬時値時系列データから直接的に計算することができる。したがって、有効電力Pは、瞬時値時系列データを用いて直接的に計算することができる。
つぎに、ゲージ差分電力を用いる無効電力Qの計算式について提示する。まず、(73)〜(75)式により、インダクタンス性回路における無効電力Qは、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
また、コンダクタンス性回路における無効電力Qは、次式のように表すことができる。
Figure 0005501933
つぎに、複数のケージ差分電力群を用いる計算手法について説明する。まず、サンプリング点数(n+1)個(nは3以上)の電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ差分有効電力群によるゲージ差分有効電力Pgdの計算式は、次式で表される。
Figure 0005501933
ここで、各電圧瞬時値および各電流瞬時値による時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
また、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの時系列データは次式で表せる。
Figure 0005501933
また、サンプリング点数(n+1)個(nは3以上)の電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルを利用する(n−2)個のゲージ差分無効電力群によるゲージ差分無効電力Qgdの計算式は、次式で表される。
Figure 0005501933
つぎに、ゲージ有効電力とゲージ差分有効電力との関係式を導出する。まず、(45)、(68)式により、ゲージ有効電力とゲージ差分有効電力との間には、次式に示す関係が成立する。
Figure 0005501933
上記(84)式により、回転位相角αは、次式のように求められる。
Figure 0005501933
また、上記(85)式で求めた回転位相角αを次式に代入すれば、典型的な交流電気量の一つである系統周波数fを求めることが可能となる。
Figure 0005501933
なお、上記(86)式において、fsはサンプリング周波数である。
つぎに、ゲージ無効電力とゲージ差分無効電力との関係式を導出する。まず、(49)、(72)式により、ゲージ無効電力とゲージ差分無効電力との間には、次式に示す関係が成立する。
Figure 0005501933
上記(87)式により、回転位相角αは、次式のように求められる。
Figure 0005501933
また、上記(88)式で求めた回転位相角αを上記(86)式に代入すれば、系統周波数fを求めることが可能となる。
なお、上記では、ゲージ有効電力とゲージ差分有効電力とから系統周波数fを計算する手法および、ゲージ無効電力とゲージ差分無効電力とから系統周波数fを計算する手法について説明した。この場合、入力波形が正弦波もしくは正弦波に近ければ、正しい系統周波数が計測される。したがって、これらの手法により、正しい系統周波数が計測されていれば、入力波形が正弦波であるか否かの判別ができ、系統保護制御装置におけるリレー要素としての利用が可能となる。
つぎに、上記アルゴリズム(計算手法)を用いたアプリケーションについて例示する。最近、米国や欧州を中心に、スマートメータと称される通信機能付きのディジタル電力量計の導入が始まっており、日本でも、この動きが波及しつつある。上述した手法は、複素平面上のゲージ電圧群、ゲージ差分電圧群、ゲージ電流群およびゲージ差分電流群を構成する電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルを用いて、交流電気量の諸量である例えば電圧振幅、電流振幅、有効電力、無効電力、系統周波数、力率を高精度に計算するものであり、このスマートメータに好適である。なお、電力系統の場合、系統周波数は、商用周波数(50Hz、60Hz)で運用されるので、通常の運用中であれば、系統周波数には大きな偏差を生じない。
まず、スマートメータに適用する本応用例において、サンプリング周波数は系統周波数の4倍に設定する。例えば、系統周波数が50Hzの場合、サンプリング周波数は200Hzである。また、系統周波数が60Hzの場合、サンプリング周波数は240Hzである。系統周波数およびサンプリング周波数がこれらの値の場合、回転位相角αは、次式のように求められる。
Figure 0005501933
上記(7)式により、電圧振幅Vは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(90)式により、電圧振幅Vとゲージ電圧Vgとは等しくなる。また、上記(11)式により、電圧振幅Vは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(91)式により、電圧振幅Vはゲージ差分電圧Vgdの1/√2となる。なお、ゲージ差分電圧Vgdは、ゲージ電圧Vgに比して直流成分の影響を受けないので、(90)式よりも(91)式で求めた値の方が精度が高いと言える。
また、上記(32)式により、電流振幅Iは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(92)式により、電流振幅Iとゲージ電流Igとは等しくなる。また、上記(34)式により、電流振幅Iは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(93)式により、電流振幅Iはゲージ差分電流Igdの1/√2となる。なお、ゲージ差分電流Igdは、ゲージ電流Igに比して直流成分の影響を受けないので、(92)式よりも(93)式で求めた値の方が精度が高いと言える。
さらに、上記(45)式により、有効電力Pは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(94)式により、有効電力Pとゲージ有効電力Pgとは等しくなる。また、上記(68)式により、有効電力Pは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(95)式により、有効電力Pはゲージ差分有効電力Pgdの1/2となる。なお、ゲージ差分有効電力Pgdは、ゲージ電力Pgに比して直流成分の影響を受けないので、(94)式よりも(95)式で求めた値の方が精度が高いと言える。
また、上記(49)式により、無効電力Qは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(96)式により、無効電力Qとゲージ無効電力Qgとは等しくなる。また、上記(72)式により、無効電力Qは次式のように求められる。
Figure 0005501933
この(95)式により、無効電力Qはゲージ差分無効電力Qgdの1/2となる。なお、ゲージ差分無効電力Qgdは、ゲージ無効電力Qgに比して直流成分の影響を受けないので、(94)式よりも(95)式で求めた値の方が精度が高いと言える。
さらに、力率PFは、上記計算式にて求めたP,Qを用いて、次式のように求められる。
Figure 0005501933
ここで、サンプリング周波数が系統周波数の4倍である場合、回転位相角αは90°単位で動くことになる。このとき、回転位相角の正弦関数値および余弦関数値は、0、±1の何れかである。このため、所望する複数の交流電気量を計算する場合であっても、計算処理が簡易なものとなり、性能の低いCPUを使用していたとしても、処理負荷の増大を抑制できるという効果が得られる。
なお、サンプリング周波数が系統周波数の4倍であるとき、系統のノイズやサンプリングによる量子化誤差の影響を軽減したい場合には、ゲージ電圧群、ゲージ差分電圧群、ゲージ電流群およびゲージ差分電流群を構成する電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの数を増やしたり、ゲージ電圧、ゲージ電流、ゲージ差分電圧およびゲージ差分電流の各計算結果に対して移動平均処理を行ったりすればよい。
つぎに、本実施の形態にかかる交流電気量測定装置の機能構成と、その動作について、図5および図6を参照して説明する。ここで、図5は、本実施の形態にかかる交流電気量測定装置100の機能構成を示す図であり、図6は、交流電気量測定装置100における処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施の形態にかかる交流電気量測定装置100は、交流電圧・電流瞬時値データ入力部1、ゲージ電圧算出部2、ゲージ差分電圧算出部3、回転位相角・周波数算出部4、電圧振幅算出部5、ゲージ電流算出部6、ゲージ差分電流算出部7、電流振幅算出部8、ゲージ有効電力算出部9、ゲージ差分有効電力算出部10、ゲージ無効電力算出部11、ゲージ差分無効電力算出部12、有効電力算出部13、無効電力算出部14、インターフェース15および、記憶部16を備えて構成される。なお、インターフェース15は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行い、記憶部16は、計測データや演算結果などを記憶する処理を行う。
上記の構成において、交流電圧・電流瞬時値データ入力部1は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)および変流器(CT)からの電圧瞬時値および電流瞬時値を取り込む処理を行う(ステップS100)。なお、取り込まれた電圧瞬時値および電流瞬時値の各データは、記憶部16に格納される。
ゲージ電圧算出部2は、上記したゲージ電圧群をなす複数所定の電圧瞬時値データを用いてゲージ電圧を算出する(ステップS101)。このゲージ電圧の演算処理については、上述したアルゴリズの概念も含めて総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、ゲージ電圧算出部2は、標本化定理を満足させるため、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた電圧振幅を交流電圧の振幅値で正規化してゲージ電圧として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、3点の電圧瞬時値データのうち、中間時刻における電圧瞬時値の2乗値と、中間時刻以外の電圧瞬時値積との差を加算平均する式を例示している((3)式参照)。
また、ゲージ差分電圧算出部3は、上記したゲージ差分電圧群をなす複数所定の電圧瞬時値データを用いてゲージ差分電圧を演算する(ステップS102)。このゲージ差分電圧算出部3についても、つぎのように総括的に説明することができる。すなわち、ゲージ差分電圧算出部3は、上記サンプリング周波数でサンプリングされ、上記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた値を交流電圧の振幅値で正規化してゲージ差分電圧として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻における差分電圧瞬時値の2乗値と、中間時刻以外の差分電圧瞬時値積との差を加算平均する式を例示している((9)式参照)。
回転位相角・周波数算出部4は、ゲージ電圧算出部2にて算出されたゲージ電圧と、ゲージ差分電圧算出部3にて算出されたゲージ差分電圧を用いて、サンプリング1周期に対応する回転位相角を算出すると共に、算出した回転位相角およびサンプリング周期を用いて、電力系統の周波数を算出する(ステップS103)。
電圧振幅算出部5は、ゲージ電圧算出部2にて算出されたゲージ電圧と、ゲージ差分電圧算出部3にて算出されたゲージ差分電圧を用いて、電圧振幅を算出する(ステップS104)。なお、この電圧振幅は、ゲージ差分電圧を用いることなく、ゲージ電圧算出部2にて算出されたゲージ電圧と、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて算出してもよい。
ゲージ電流算出部6は、上記したゲージ電流対称群をなす複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ電流を算出する(ステップS105)。ゲージ電流算出部6は、標本化定理を満足させるため、測定対象となる交流電流の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた電流振幅を交流電流の振幅値で正規化してゲージ電流として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、3点の電流瞬時値データのうち、中間時刻における電流圧瞬時値の2乗値と、中間時刻以外の電流瞬時値積との差を加算平均する式を例示している((32)式参照)。
また、ゲージ差分電流算出部7は、上述したゲージ差分電流群をなす複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ差分電流を算出する(ステップS106)。このゲージ差分電流算出部7についても、つぎのように総括的に説明することができる。すなわち、ゲージ差分電流算出部7は、上記サンプリング周波数でサンプリングされ、上記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた値を交流電流の振幅値で正規化してゲージ差分電流として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における差分電流瞬時値の2乗値と、中間時刻以外の差分電流瞬時値積との差成分を加算平均する式を例示している((34)式参照)。
電流振幅算出部8は、ゲージ電流算出部6にて算出されたゲージ電流と、ゲージ差分電流算出部7にて算出されたゲージ差分電流を用いて、電流振幅を算出する(ステップS107)。なお、この電流振幅は、ゲージ差分電流を用いることなく、ゲージ電流算出部6にて算出されたゲージ電流と、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて算出してもよい。
ゲージ有効電力算出部9は、上述したゲージ電力群をなす複数所定の電圧瞬時値データおよび複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ有効電力を算出する(ステップS108)。より詳細に説明すると、ゲージ有効電力算出部9は、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の電圧瞬時値データと、このサンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化してゲージ有効電力として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、測定時刻の遅い2点の電圧瞬時値と測定時刻の早い2点の電流瞬時値とにおける時刻並びを逆にした電圧電流積の差成分を加算平均する式を例示している((41)式参照)。
ゲージ差分有効電力算出部10は、上述したゲージ差分電力群をなす複数所定の電圧瞬時値データおよび複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ差分有効電力を算出する(ステップS109)。より詳細に説明すると、ゲージ差分有効電力算出部10は、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、このサンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化してゲージ差分有効電力として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値と測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値とにおける時刻並びを逆にした電圧電流積の差成分を加算平均する式を例示している((64)式参照)。
ゲージ無効電力算出部11は、上述したゲージ電力群をなす複数所定の電圧瞬時値データおよび複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ無効電力を算出する(ステップS110)。より詳細に説明すると、ゲージ無効電力算出部11は、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電圧瞬時値データと、このサンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化してゲージ無効電力として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、当該2点の電圧瞬時値と当該2点の電流瞬時値とにおける異なる時刻同士の電圧電流積の差成分を加算平均する式を例示している((46)式参照)。
ゲージ差分無効電力算出部12は、上述したゲージ差分電力群をなす複数所定の電圧瞬時値データおよび複数所定の電流瞬時値データを用いてゲージ差分無効電力を算出する(ステップS111)。より詳細に説明すると、ゲージ差分無効電力算出部12は、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、このサンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化してゲージ差分無効電力として算出する処理を行う。なお、本実施の形態では、二乗積分演算として、当該2点の差分電圧瞬時値と当該2点の差分電流瞬時値とにおける異なる時刻同士の電圧電流積の差成分を加算平均する式を例示している((46)式参照)。測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値と測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値とにおける時刻並びを逆にした電圧電流積の差成分を加算平均する式を例示している((69)式参照)。
有効電力算出部13は、ゲージ有効電力算出部9にて算出されたゲージ有効電力、ゲージ無効電力算出部11にて算出されたゲージ無効電力および、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて有効電力を算出する(ステップS112)。なお、これ以外にも、例えばゲージ差分有効電力算出部10にて算出されたゲージ差分有効電力、ゲージ差分無効電力算出部12にて算出されたゲージ差分無効電力および、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて有効電力を算出しても構わない。
無効電力算出部14は、ゲージ電圧算出部2にて算出されたゲージ電圧、ゲージ電流算出部6にて算出されたゲージ電流、ゲージ有効電力算出部9にて算出されたゲージ有効電力、ゲージ無効電力算出部11にて算出されたゲージ無効電力および、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて無効電力を算出する(ステップS113)。なお、これ以外にも、例えばゲージ差分電圧算出部3にて算出されたゲージ差分電圧、ゲージ差分電流算出部7にて算出されたゲージ差分電流、ゲージ差分有効電力算出部10にて算出されたゲージ差分有効電力、ゲージ差分無効電力算出部12にて算出されたゲージ差分無効電力および、回転位相角・周波数算出部4にて算出された回転位相角を用いて無効電力を算出しても構わない。
最後のステップS114では、上述した全体のフローを終了するか否かの判定処理を行い、終了でなければ(ステップS114,No)、ステップS100〜S113までの処理を繰り返し行う。
つぎに、本実施の形態の交流電気量測定装置に対して行ったシミュレーション結果について説明する。下記表1は、第1のシミュレーション実行時のパラメータを示したものである。なお、本シミュレーションでは、表1に示すように、実周波数を非整数としている。
Figure 0005501933
図7は、第1のシミュレーション実行時の電圧瞬時値の波形ならびに、当該電圧瞬時値に基づいて計算したゲージ電圧、ゲージ差分電圧および、測定電圧振幅を示す図である。図7において、黒菱形印を結ぶ波形は電圧瞬時値を表し、黒四角印を結ぶ波形はゲージ電圧を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分電圧を表し、x印を結ぶ波形は測定電圧振幅を表している。
図7のグラフに示される電圧瞬時値を用いると、ゲージ電圧は次式のように計算され、理論値((7)式)と一致することが分かる。
Figure 0005501933
同様に、ゲージ差分電圧も次式のように計算され、理論値((11)式)と一致することが分かる。
Figure 0005501933
なお、図7および上記(99)、(100)式からも明らかなように、ゲージ差分電圧はゲージ電圧よりも値が大きくなっているが、この理由は、サンプリング周波数が小さいことに起因している。
また、(16)式により、電圧振幅は次式のように計算される。
Figure 0005501933
図8は、第1のシミュレーション実行時の電流瞬時値の波形ならびに、当該電流瞬時値に基づいて計算したゲージ電流、ゲージ差分電流および、測定電流振幅を示す図である。図8において、黒菱形印を結ぶ波形は電流瞬時値を表し、黒四角印を結ぶ波形はゲージ電流を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分電流を表し、x印を結ぶ波形は測定電流振幅を表している。
図8のグラフに示される電流瞬時値を用いると、ゲージ電流は次式のように計算され、理論値と一致することが分かる。
Figure 0005501933
同様に、ゲージ差分電流も次式のように計算され、理論値と一致することが分かる。
Figure 0005501933
なお、図8から明らかなように、ゲージ差分電流はゲージ電流よりも値が大きくなっているが、この理由は、サンプリング周波数が小さいことに起因している。
また、(37)式により、電流振幅は次式のように計算される。
Figure 0005501933
図9は、第1のシミュレーションによるゲージ有効電力、ゲージ差分有効電力および、測定有効電力を示す図である。図9において、黒菱形印を結ぶ波形はゲージ有効電力を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分有効電力を表し、黒四角印を結ぶ波形は測定有効電力を表している。
ここで、まず、有効電力および無効電力の理論値を求めておく。有効電力および無効電力の理論値は、次式および次々式のように計算できる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
つぎに、有効電力を算出する。まず、ゲージ有効電力およびゲージ差分有効電力は、次式および次々式のように計算できる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
また、(15)式により、回転位相角の正弦関数値は次式のように計算される。
Figure 0005501933
さらに、(13)式により、回転位相半角の正弦関数値は次式のように計算される。
Figure 0005501933
同様に、(22)式により、回転位相角の余弦関数値は次式のように計算される。
Figure 0005501933
上記の計算結果を(53)式に代入することにより、有効電力は次式のように計算される。なお、ゲージ無効電力Qgについては、下述する(114)式の結果を用いている。
Figure 0005501933
この(112)式による計算結果と上記(105)式との比較から明らかなように、測定結果は理論値と一致していることが分かる。
また、上記の計算結果を(77)式に代入することにより、有効電力は次式のように計算される。なお、ゲージ差分無効電力Qgdについては、下述する(115)式の結果を用いている。
Figure 0005501933
この(113)式による計算結果と上記(105)式との比較から明らかなように、ゲージ差分電力(ゲージ差分有効電力およびゲージ差分無効電力)を用いる測定結果も理論値と一致していることが分かる。
図10は、第1のシミュレーションによるゲージ無効電力、ゲージ差分無効電力および、測定無効電力を示す図である。図10において、黒菱形印を結ぶ波形はゲージ無効電力を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分無効電力を表し、黒四角印を結ぶ波形は測定無効電力を表している。
つぎに、無効電力を算出する。まず、ゲージ無効電力およびゲージ差分無効電力は、次式および次々式のように計算できる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
上記の計算結果を(55)式または(56)式に代入することにより、無効電力は次式のように計算される。
Figure 0005501933
この(116)式による計算結果と上記(106)式との比較から明らかなように、測定結果は理論値と一致していることが分かる。
また、上記の計算結果を(78)式または(79)式に代入することにより、無効電力は次式のように計算される。
Figure 0005501933
この(117)式による計算結果と上記(106)式との比較から明らかなように、ゲージ差分電力(ゲージ差分有効電力およびゲージ差分無効電力)を用いる測定結果も理論値と一致していることが分かる。
図11は、第1のシミュレーションによる力率の測定結果を示す図であり、その測定結果(計算結果)は次式のとおりである。
Figure 0005501933
理論値の計算結果は省略するが、力率の測定結果は、理論値と一致する。
つぎに、第2のシミュレーションについて説明する。下記表2は、第2のシミュレーション実行時のパラメータを示したものである。なお、本シミュレーションでは、表2に示すように、サンプリング周波数を実周波数の4倍(上述した応用例に相当)としている。
Figure 0005501933
図12は、第2のシミュレーション実行時の電圧瞬時値の波形ならびに、当該電圧瞬時値に基づいて計算したゲージ差分電圧および、測定電圧振幅を示す図である。図12において、黒菱形印を結ぶ波形は電圧瞬時値を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分電圧を表し、x印を結ぶ波形は測定電圧振幅を表している。なお、サンプリング周波数が実周波数の4倍である場合、ゲージ電圧は電圧振幅に一致するため、グラフへの表示を省略している。
図12のグラフに示される電圧瞬時値を用いると、ゲージ差分電圧および電圧振幅は、次式および次々式のように計算され、理論値と一致することが分かる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
このように、サンプリング周波数が低い周波数であっても、電圧振幅に関する高精度な測定結果(計算結果)が得られる。
図13は、第2のシミュレーション実行時の電流瞬時値の波形ならびに、当該電流瞬時値に基づいて計算したゲージ差分電流および、測定電流振幅を示す図である。図13において、黒菱形印を結ぶ波形は電流瞬時値を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分電流を表し、x印を結ぶ波形は測定電流振幅を表している。なお、サンプリング周波数が実周波数の4倍である場合、ゲージ電流は電流振幅に一致するため、グラフへの表示を省略している。
図13のグラフに示される電流瞬時値を用いると、ゲージ差分電流および電流振幅は次式および次々式のように計算され、理論値と一致することが分かる。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
このように、サンプリング周波数が低い周波数であっても、電流振幅に関する高精度な測定結果(計算結果)が得られる。
図14は、第2のシミュレーションによるゲージ差分有効電力および測定有効電力を示す図である。図14において、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分有効電力を表し、黒四角印を結ぶ波形は測定有効電力を表している。なお、サンプリング周波数が実周波数の4倍である場合、ゲージ有効電力と有効電力とは一致するため、グラフへの表示を省略している。
図12のグラフに示される電圧瞬時値と、図13のグラフに示される電流瞬時値とを用いると、ゲージ差分有効電力および測定有効電力は、次式および次々式のように計算される。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
理論値の計算結果は省略するが、有効電力の測定結果は、理論値と一致する。なお、有効電力は、ゲージ差分有効電力から次式のように求めてもよく、上記(124)式の結果と一致している。
Figure 0005501933
このように、サンプリング周波数が低い周波数であっても、有効電力に関する高精度な測定結果(計算結果)が得られる。
図15は、第2のシミュレーションによるゲージ無効電力、ゲージ差分無効電力および測定無効電力を示す図である。図15において、黒菱形印を結ぶ波形はゲージ無効電力を表し、黒三角印を結ぶ波形はゲージ差分無効電力を表し、黒四角印を結ぶ波形は測定無効電力を表している。なお、サンプリング周波数が実周波数の4倍である場合、ゲージ無効電力と測定無効電力とは絶対値が等しく符号が異なることが分かる。
図12のグラフに示される電圧瞬時値と、図13のグラフに示される電流瞬時値とを用いると、ゲージ差分無効電力および測定無効電力は、次式および次々式のように計算される。
Figure 0005501933
Figure 0005501933
理論値の計算結果は省略するが、無効電力の測定結果は、理論値と一致する。なお、無効電力は、ゲージ差分無効電力から次式のように求めてもよく、上記(127)式の結果と一致している。
Figure 0005501933
このように、サンプリング周波数が低い周波数であっても、無効電力に関する高精度な測定結果(計算結果)が得られる。
図16は、第2のシミュレーションによる力率の測定結果を示す図であり、その測定結果(計算結果)は次式のとおりである。
Figure 0005501933
理論値の計算結果は省略するが、力率の測定結果は、理論値と一致する。
以上説明したように、本実施の形態の交流電気量測定装置によれば、測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化してゲージ電圧として算出し、当該サンプリング周波数でサンプリングされ、ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化してゲージ差分電圧として算出し、これらゲージ電圧およびゲージ差分電圧を用いて交流電圧の振幅を算出することとしたので、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、高精度な交流電気量の測定が可能となる。
以上のように、本発明は、高精度な交流電気量の測定を可能とする交流電気量測定装置および交流電気量測定方法として有用である。
1 交流電圧・電流瞬時値データ入力部
2 ゲージ電圧算出部
3 ゲージ差分電圧算出部
4 回転位相角・周波数算出部
5 電圧振幅算出部
6 ゲージ電流算出部
7 ゲージ差分電流算出部
8 電流振幅算出部
9 ゲージ有効電力算出部
10 ゲージ差分有効電力算出部
11 ゲージ無効電力算出部
12 ゲージ差分無効電力算出部
13 有効電力算出部
14 無効電力算出部
15 インターフェース
16 記憶部
100 交流電気量測定装置

Claims (14)

  1. 測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化したゲージ差分電圧を算出するゲージ差分電圧算出部と、
    前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いて前記交流電圧の振幅を算出する電圧振幅算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  2. 測定対象となる交流電流を当該交流電流の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化したゲージ電流を算出するゲージ電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化したゲージ差分電流を算出するゲージ差分電流算出部と、
    前記ゲージ電流および前記ゲージ差分電流を用いて前記交流電流の振幅を算出する電流振幅算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  3. 測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ有効電力を算出するゲージ有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ無効電力を算出するゲージ無効電力算出部と、
    前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いてサンプリング1周期時間における回転位相角を算出する回転位相角算出部と、
    前記ゲージ有効電力、前記ゲージ無効電力および前記回転位相角を用いて有効電力を算出する有効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  4. 測定対象となる交流電圧を当該交流電流の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化したゲージ電流を算出するゲージ電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ有効電力を算出するゲージ有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ無効電力を算出するゲージ無効電力算出部と、
    前記ゲージ電圧、前記ゲージ電流、前記ゲージ有効電力、前記ゲージ無効電力および、前記回転位相角を用いて無効電力を算出する無効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  5. 測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化したゲージ差分電圧を算出するゲージ差分電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分有効電力を算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分無効電力を算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いてサンプリング1周期時間における回転位相角を算出する回転位相角算出部と、
    前記ゲージ差分有効電力、前記ゲージ差分無効電力および前記回転位相角を用いて有効電力を算出する有効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  6. 測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化したゲージ電流を算出するゲージ電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化したゲージ差分電流を算出するゲージ差分電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分有効電力を算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分無効電力を算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記ゲージ電流および前記ゲージ差分電流を用いてサンプリング1周期時間における回転位相角を算出する回転位相角算出部と、
    前記ゲージ差分有効電力、前記ゲージ差分無効電力および前記回転位相角を用いて有効電力を算出する有効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  7. 測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングされた連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化したゲージ電流を算出するゲージ電流算出部と、
    前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を交流電圧の振幅値で正規化したゲージ差分電圧を算出するゲージ差分電圧算出部と、
    前記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた値を交流電流の振幅値で正規化してゲージ差分電流として算出するゲージ差分電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分有効電力を算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分無効電力を算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いてサンプリング1周期時間における回転位相角を算出する回転位相角算出部と、
    前記ゲージ差分電圧、前記ゲージ差分電流、前記ゲージ差分有効電力、前記ゲージ差分無効電力および前記回転位相角を用いて無効電力を算出する無効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  8. 測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化したゲージ電圧を算出するゲージ電圧算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化したゲージ電流を算出するゲージ電流算出部と、
    前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を交流電圧の振幅値で正規化したゲージ差分電圧を算出するゲージ差分電圧算出部と、
    前記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた値を交流電流の振幅値で正規化してゲージ差分電流として算出するゲージ差分電流算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分有効電力を算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分無効電力を算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記ゲージ電流および前記ゲージ差分電流を用いてサンプリング1周期時間における回転位相角を算出する回転位相角算出部と、
    前記ゲージ差分電圧、前記ゲージ差分電流、前記ゲージ差分有効電力、前記ゲージ差分無効電力および前記回転位相角を用いて無効電力を算出する無効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする交流電気量測定装置。
  9. 前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定4点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分有効電力を算出するゲージ差分有効電力算出部を備え、
    前記回転位相角算出部は、前記ゲージ有効電力および前記ゲージ差分有効電力を用いて前記回転位相角を算出することを特徴とする請求項3または4に記載の交流電気量測定装置。
  10. 前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の遅い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該所定3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ有効電力を算出するゲージ有効電力算出部を備え、
    前記回転位相角算出部は、前記ゲージ有効電力および前記ゲージ差分有効電力を用いて前記回転位相角を算出することを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の交流電気量測定装置。
  11. 前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の差分電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の差分電圧瞬時値の元となる3点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた3点の電流瞬時値データにより求められる2点の差分電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ差分無効電力を算出するゲージ差分無効電力算出部を備え、
    前記回転位相角算出部は、前記ゲージ無効電力および前記ゲージ差分無効電力を用いて前記回転位相角を算出することを特徴とする請求項3または4に記載の交流電気量測定装置。
  12. 前記サンプリング周波数でサンプリングされた連続する所定3点の電圧瞬時値データのうちの測定時刻の早い2点の電圧瞬時値データと、前記サンプリング周波数でサンプリングされ、当該2点の電圧瞬時値と同一時刻でサンプリングされた2点の電流瞬時値データとによる所定の積差演算により求めた値を正規化したゲージ無効電力を算出するゲージ無効電力算出部を備え、
    前記回転位相角算出部は、前記ゲージ無効電力および前記ゲージ差分無効電力を用いて前記回転位相角を算出することを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の交流電気量測定装置。
  13. 測定対象となる交流電圧を当該交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を正規化してゲージ電圧として算出するステップと、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電圧を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化してゲージ差分電圧として算出するステップと、
    前記ゲージ電圧および前記ゲージ差分電圧を用いて交流電圧の振幅を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする交流電気量測定方法。
  14. 測定対象となる交流電流を当該交流電流の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも3点の電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた電流振幅を正規化してゲージ電流として算出するステップと、
    前記サンプリング周波数でサンプリングされ、前記ゲージ電流を算出する際に用いた3点の電流瞬時値データを含む連続する少なくとも4点の電流瞬時値データにおける隣接する2点の電流瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電流瞬時値データの二乗積分演算により求めた値を正規化してゲージ差分電流として算出するステップと、
    前記ゲージ電流および前記ゲージ差分電流を用いて交流電流の振幅を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする交流電気量測定方法。
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