JP5517723B2 - 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法 - Google Patents

高調波電流補償装置および高調波電流補償方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5517723B2
JP5517723B2 JP2010098198A JP2010098198A JP5517723B2 JP 5517723 B2 JP5517723 B2 JP 5517723B2 JP 2010098198 A JP2010098198 A JP 2010098198A JP 2010098198 A JP2010098198 A JP 2010098198A JP 5517723 B2 JP5517723 B2 JP 5517723B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
current
power system
value data
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010098198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011229316A (ja
Inventor
建平 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2010098198A priority Critical patent/JP5517723B2/ja
Publication of JP2011229316A publication Critical patent/JP2011229316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5517723B2 publication Critical patent/JP5517723B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/40Arrangements for reducing harmonics

Description

本発明は、高調波電流補償装置および高調波電流補償方法に関する。
従来の高調波電流補償装置では、交流電源系統の高調波電流を検出し、この高調波電流と逆位相の補償電流を多相インバータで発生させると共に、生成した補償電流を交流電源系統に注入して高調波電流を補償する手法が一般的に用いられている(例えば、下記特許文献1)。
特許第3015559号公報
このような特許文献1に示される手法は、電力系統に存在する任意一つの特定周波数の高調波電流を抑制することができるものの、不特定多数の高調波電流が存在している電力系統において、これら不特定多数の高調波電流を充分に抑制することが困難であるという問題点があった。
このような問題点は、今後のパワーエレクトロニクス産業の発達や、分散電源の拡大等により高調波電流の発生源が増大することに鑑みれば、看過できない重要な問題点として捉えるべきである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力系統に存在する不特定多数の高調波電流の抑制を可能とする高調波電流補償装置および高調波電流補償方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる高調波電流補償装置は、電力系統と負荷との間に接続され、負荷電流中の高調波成分を抑制する補償電流を送出する高調波電流補償装置において、前記負荷に流れる負荷電流を測定する電流測定部と、測定した負荷電流をディジタルデータに変換するA/D変換部と、ディジタルデータに変換された電流瞬時値データを用いて積分手法により抽出した前記負荷電流中の基本波成分を電力系統電流として算出する電力系統電流算出部と、前記負荷電流と前記電力系統電流との差分を前記補償電流として出力する補償電流出力部と、を備えたことを特徴とする。
本発明にかかる高調波電流補償装置によれば、電力系統に存在する不特定多数の高調波電流の抑制が可能になるという効果を奏する。
図1は、負荷電流および電力系統電流の一例を示す図である。 図2は、複素平面上の電圧回転ベクトルグループを示す図である。 図3は、本実施の形態にかかる高調波電流補償装置の機能構成を示す図である。 図4は、高調波電流補償装置における処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、本シミュレーションにおけるモデル系統図である。 図6は、本シミュレーションにおける瞬時電圧波形および測定周波数を示す図である。 図7は、本シミュレーションにおける負荷電流および電力系統電流の各波形を示す図である。 図8は、本シミュレーションにおける補償電流波形を示す図である。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる高調波電流補償装置および高調波電流補償方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態.
本実施の形態にかかる高調波電流補償装置および高調波電流補償方法を説明するにあたり、まず、本実施の形態の要旨を成す高調波電流補償処理の概念(アルゴリズム)について説明し、その後、本実施の形態にかかる高調波電流補償装置の構成および動作について説明する。
なお、以下に説明するアルゴリズムは、スパイラルベクトル理論に基づくものである。このスパイラルベクトル理論によれば、すべての電圧、電流、電荷量などの状態変数は複素数で表される。したがって、実測電圧、実測電流および実測電荷は、複素数である状態変数の実数部に対応する。ただし、本明細書では、説明を容易とするため、あるいは計算式の展開を容易とするため、実測電圧、実測電流および実測電荷を示す場合に表記すべき「Re」の文字を省略する。例えば、負荷電流iL(t)の実数部を表すべきRe{iL(t)}という表記については、単にiL(t)と表記する。
図1は、負荷に流れる電流(負荷電流)および電力系統に流れる電流(電力系統電流)の一例を示す図である。図1において、太線で示す波形は電力系統電流であり、細線で示す波形は負荷電流である。図1に示すように、負荷電流は、電力系統電流の振幅に合わせて上下動し、且つ、電力系統電流よりも速い周期で振動しており、負荷電流には高調波電流が重畳している様子が示されている。
ここで、フーリエ変換式を用いれば、負荷電流は次式のように表わすことができる。
Figure 0005517723
上記(1)式において、Iは電力系統電流の実効値、ωは基本波の角速度、φは基本波電圧の初期位相、Ikはk次高調波電流の実効値(kは1以上の整数)、ωkはk次高調波電流の角速度、φkはk次高調波電流の初期位相、Mは任意の自然数である。すなわち、負荷電流の瞬時値は、電流の基本波成分および、多数の高調波電流成分を含んでいる。
また、電力系統電流iS(t)は、次式のように表わすことができる。
Figure 0005517723
ここで、上記(2)式におけるP1,P2は、積分手法の一つである最小二乗法を用いて推定される係数(実数)である。求めた係数P1,P2を(2)式に代入したものが電力系統電流瞬時値の推定値となる。
また、負荷電流に含まれる高調波電流を打ち消すために高調波電流補償装置から出力される補償電流をiAF(t)で表すとき、この補償電流iAF(t)は、次式のように表わすことができる。
Figure 0005517723
つぎに、最小二乗法を用いて係数P1,P2および補償電流iAF(t)を求める手順について説明する。
まず、上記(1)〜(3)式により、負荷電流は次式で表される。
Figure 0005517723
ここで、負荷電流を時系列に並べたデータ(時系列負荷電流データ)は、以下のマトリクスで表現することができる。
Figure 0005517723
なお、負荷電流を時系列に並べるためには、電力系統電流をサンプリングしなければならず、サンプリング点数nは次式を満足するように設定する。
Figure 0005517723
上記(6)式によれば、サンプリング点数nは基本波の2サイクル以上であることが条件となる。なお、Nは基本波の1周期を4N等分する場合の細部分割数であり、任意の自然数である。例えば、N=3に設定すれば、サンプリング間隔は、360/(4×3)=30度となる。
上記(6)式が成立する場合、サンプリング定理によれば、高調波成分を無視することができ、次式が成立する。
Figure 0005517723
なお、上記(7)式において、負荷電流瞬時値状態変数マトリックス[iL]、三角関数係数状態変数マトリックス[A]および、係数マトリックス[P]は、それぞれ以下のマトリックスで表される。
Figure 0005517723
Figure 0005517723
Figure 0005517723
ここで、上記(7)式を満足する係数マトリックス[P]は、最小二乗法により、次式のように表すことができる。
Figure 0005517723
上記(11)式において、[A]Tは転置行列であり、上記(9)式の行と列とを入れ替えた、次式のマトリックスで表すことができる。
Figure 0005517723
上記(11)式によりより得られた係数P1,P2を次式に代入することにより、電力系統電流瞬時値の推定値が求められる。
Figure 0005517723
さらに、高調波電流補償装置の出力である補償電流iAF(t)は次式に基づいて求められる。
Figure 0005517723
このように、負荷電流に対し最小二乗法を適用し、負荷電流から基本波成分を抽出すると共に、抽出した基本波成分を電力系統電流とし、負荷電流と電力系統電流との差分を補償電流として、高調波電流補償装置の出力とする。
つぎに、電力系統周波数の測定手法について説明する。図2は、複素平面上の電圧回転ベクトルグループを示す図である。図2において、複素平面上には、それぞれ現時点の電圧回転ベクトルv(t)、現時点よりもサンプリング1周期T(サンプリング周波数1刻み幅分に相当する時間)前時点の電圧回転ベクトルv(t−T)、現時点よりもサンプリング2周期(2T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−2T)、現時点よりもサンプリング3周期(3T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−3T)および、現時点よりもサンプリング4周期(4T)前時点の電圧回転ベクトルv(t−4T)が示されている。これら4個の電圧回転ベクトルは一つの電圧回転ベクトルグループを形成し、同じ回転速度で複素平面上に反時計回りに回転する。
ここで、この電圧回転ベクトルグループを一つの等価ベクトルに縮約する。この縮約された等価ベクトルの回転軸は、電圧回転ベクトルv(t−T)とv(t−2T)との間の対称中心にあり、正規化電圧回転軸と称し、記号Rvで表す。また、この等価ベクトルの振幅を正規化電圧振幅と称し、次式を用いて計算する。
Figure 0005517723
ここで、上式におけるサンプリング周期(サンプリング1周期の時間)Tは、サンプリング周波数fsの逆数として、次式で表すことができる。
Figure 0005517723
この表現により、電圧回転ベクトルグループに属する4個の電圧回転ベクトルの実数瞬時値{v(t),v(t−T),…}は、次式のように表すことができる。
Figure 0005517723
上式において、Vは実電圧振幅、αはサンプリング1周期に対応する回転位相角、ω1=2πf1は、系統の角周波数である。なお、実電圧振幅Vは、測定対象における交流電圧振幅の真値であり、交流電圧の周波数に依存しない値である。
また、回転位相角α(時間の関数であるため、以下適宜「α(t)」と表記)は、次式のように計算される。
Figure 0005517723
上式において、V2(t)は正規化電圧弦長であり、次式を用いて計算される。
Figure 0005517723
また、上記(19)式において、v2(t),v2(t−T),v2(t−2T),v2(t−3T)は差分電圧瞬時値であり、次式で表される。
Figure 0005517723
なお、回転位相角α(t)は、電力系統周波数f1(t)および、上記(16)式に示されるサンプリング周期Tまたはサンプリング周波数fsを用いて次式のように表される。
Figure 0005517723
したがって、上記(21)式により、電力系統周波数f1(t)は、次式を用いて算出することができる。
Figure 0005517723
なお、上記で定義した正規化電圧振幅は、複素平面上の電圧回転ベクトルグループデータを利用して計算した電圧振幅である。また、この正規化電圧振幅は、実電圧振幅とは異なり、交流電圧の周波数に依存性があるという性質がある。
つぎに、サンプリング分割数の概念について説明する。表1は、サンプリング分割数の一覧表である。
Figure 0005517723
この表1では、最左欄にサンプリング分割数Nを示し、以下、サンプリング分割数Nに応じて変化する電圧振幅回転ベクトルグループのサンプリング数、電圧弦長回転ベクトルグループのサンプリング数および、サンプリング1周期時間の回転位相角を表している。なお、最右欄に示す回転位相角の変化を見れば分かるように、サンプリング分割数Nは、回転位相角を小さくする(整数分の1にする)ための設定値(整定値)である。
なお、図2は、サンプリング分割数N=1であるときの電圧回転ベクトルグループを示している。
つぎに、サンプリング分割数が任意の値をとるときの正規化電圧振幅計算式を提案する。次式は、サンプリング分割数Nの電圧回転ベクトルグループに対応する正規化電圧振幅V(t)を表す式である。
Figure 0005517723
ここで、サンプリング分割数Nの電圧回転ベクトルv(t)の実数部瞬時値は、次式で与えられる。
Figure 0005517723
同様に、サンプリング分割数Nの電圧回転ベクトルグループに対応する正規化電圧弦長V2(t)は、次式のように表される。
Figure 0005517723
また、差分電圧瞬時値は、上記(20)式を拡張することで、次式のように表される。
Figure 0005517723
つぎに、本実施の形態にかかる高調波電流補償装置の機能構成と、その動作について、図3および図4を参照して説明する。ここで、図3は本実施の形態にかかる高調波電流補償装置1の機能構成を示す図であり、図4は高調波電流補償装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図3は、本実施の形態にかかる高調波電流補償装置の機能構成を示す図である。図3に示すように、本実施の形態にかかる高調波電流補償装置1は、電圧・電流測定部2、A/D変換部3、電力系統周波数算出部4、電力系統電流算出部5、補償電流算出部6、補償電流出力部7、インターフェース8および、記憶部9を備えて構成される。なお、インターフェース8は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行い、記憶部9は、測定データや演算結果などを記憶する処理を行う。
上記の構成において、電圧・電流測定部2は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)および変流器(CT)からの瞬時電圧および瞬時電流を取り込んで測定する処理を行い、A/D変換部3は、取り込んだ瞬時電圧および瞬時電流をディジタルデータに変換する(ステップS101)。なお、変換されたディジタルデータ(電圧瞬時値データおよび電流瞬時値データ)は、記憶部9に格納される。
電力系統周波数算出部4は、上記(22)式に示した電力系統周波数f1(t)を算出する(ステップS102)。なお、この算出処理では、ステップS102〜S105の処理が実行される。
まず、上記した電圧振幅回転ベクトルグループをなす複数の電圧瞬時値データを用いて正規化電圧振幅を算出する(ステップS102)。このステップS102の処理では、上記(15)式に基づく演算処理が実行される。すなわち、ステップS102の処理では、測定対象となる交流電圧の周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした連続する少なくとも4点の瞬時値データの例えば二乗積分演算により求めた電圧振幅を交流電圧の振幅値で正規化して正規化電圧振幅として算出する処理が実行される。
同様に、上記した電圧振幅回転ベクトルグループをなす複数の電圧瞬時値データを用いて正規化電圧弦長を算出する(ステップS103)。このステップS103の処理では、上記(19)式に基づく演算処理が実行される。すなわち、ステップS103の処理では、上記サンプリング周波数でサンプリングされ、上記正規化電圧振幅を算出する際に用いた4点の瞬時値データを含む連続する少なくとも5点の瞬時値データにおける隣接する2点の瞬時値データ間の先端間距離を表す4点の瞬時値データ(弦長瞬時値データ)の例えば二乗積分演算により求めた電圧弦長を交流電圧の振幅値で正規化して正規化電圧弦長として算出する処理が実行される。
つぎに、ステップS102にて算出された正規化電圧振幅と、ステップS103にて算出された正規化電圧弦長を用いて、サンプリング1周期に対応する回転位相角を算出する(ステップS104)。このステップS104の処理では、上記(18)式に基づく演算処理が実行される。
さらに、ステップS104にて算出された回転位相角を用いて、電力系統周波数を算出する(ステップS105)。このステップS105の処理では、上記(22)式に基づく演算処理が実行される。
なお、電力系統周波数が安定している場合や、電力系統周波数の変動が問題にならない場合には、上記ステップS102〜S105の処理を省略しても構わない。この場合、電力系統周波数は、定格周波数(例えば50Hzまたは60Hz)であるとすればよい。また、電力系統周波数を定格周波数であると設定できる場合、電力系統周波数を算出する必要がないので、電圧瞬時値データを用いる必要はない。
電力系統電流算出部5は、上記(1)〜(13)式を用いて説明した手順に従って、電力系統電流iS(t)を算出する(ステップS106)。より詳細には、負荷電流iL(t)に対して例えば最小二乗法を適用することにより、負荷電流iL(t)に含まれる基本波成分である電力系統電流iS(t)を算出する。
補償電流算出部6は、上記(14)式に基づいて補償電流iAF(t)を算出する(ステップS107)。より詳細には、測定した負荷電流iL(t)から、ステップS106にて算出した電力系統電流iS(t)を減算することにより補償電流iAF(t)を算出する。
補償電流出力部7は、補償電流算出部6が算出した補償電流iAF(t)を高調波電流補償装置1の出力として電力系統に送出する。
ところで、電力系統電圧の波形に大きなノイズが存在している場合、算出した電力系統周波数に大きな誤差が含まれることが考えられる。このような場合には、以下に示す移動平均処理を行うことが好ましい。
まず、次式に基づいて、正規化電圧振幅の移動平均値を計算する。
Figure 0005517723
なお、上式におけるWは任意の自然数である。
同様に、正規化電圧弦長の移動平均値を計算する。
Figure 0005517723
これら(27),(28)式を用いれば、次式に基づいて、サンプリング1刻み幅に対応する回転位相角が求められる。
Figure 0005517723
さらに、この(29)式を用いれば、次式に基づいて、回転位相角の移動平均値が求められる。
Figure 0005517723
この(30)式にて求めた回転位相角の移動平均値を上記(22)式に代入することで得た値(下記(31)式の値)を電力系統周波数の移動平均値とすることができる。
一方、移動平均処理を回転位相角に対しては行わず、電力系統周波数に対して行うようにしてもよい。すなわち、まず、(29)式を用いて求めた回転位相角を上記(22)式に代入することで次式のように電力系統周波数を算出する。
Figure 0005517723
つぎに、この(31)式を用いて得た値に対して移動平均処理を行えば、次式のように電力系統周波数の移動平均値を算出することができる。
Figure 0005517723
つぎに、図5に示すようなLC回路からなるモデル系統図を用いて行ったシミュレーションについて説明する。なお、このモデル系統は、IEEE論文PCC 2002“Analysis of an AC LC Ladder Circuit with Spiral Vector Theory”に示されているものであり、より詳細な説明はこの論文を参照されたい。
図5において、Lはインダクタ、Cはコンデンサ、vsは電源、AFはこの発明に係る高調波電流補償装置、Sはスイッチである。また、iSは電力系統電流、iLは負荷電流、iAFは高調波電流補償装置の出力である補償電流である。
図5において、スイッチSを投入すると、このLC回路に過渡電流が生じる。この回路のループ電荷方程式は以下の通りである。
Figure 0005517723
また、このLC回路の定常電流解は次式のとおりである。
Figure 0005517723
さらに、この回路の特性方程式は次式のとおりである。
Figure 0005517723
ここで、図5のLC回路には抵抗成分がないため、上記(35)式の解は、次式に示すように3つの虚数となる。
Figure 0005517723
すなわち、図5のLC回路に流れる電流は、基本波および、3つの高調波によって永遠に振動することを意味する(抵抗成分がないため、スイッチSの投入によって流れる過渡電流は減衰しない)。
また、(33)式に示すループ電荷方程式の3つの解は、次式のとおりである。
Figure 0005517723
Figure 0005517723
Figure 0005517723
これら(37)〜(39)式により、負荷電流iLの一般解は、次式で表される。
Figure 0005517723
なお、係数A1,A2,A3は、系統初期条件により決定される任意定数である。
このように、負荷電流iLは基本波電流と3つの高調波電流とが重畳されて振動していることがわかる。
つぎに、シミュレーション結果について説明する。なお、具体的なパラメータとして、モデル系統パラメータは下記表2に示すとおりであり、高調波電流補償装置パラメータは、下記表3に示すとおりである。なお、電源電圧初期位相とは、スイッチSを閉じた時点(t=0)における電源電圧の位相角である。
Figure 0005517723
Figure 0005517723
表2のモデル系統パラメータの場合、3つの振動モードにおける回転角速度は、つぎのとおりである。
Figure 0005517723
また、この例における電力系統基本波の回転角速度は、つぎのとおりである。
Figure 0005517723
これら(41),(42)式より、高調波の周波数成分は基本波の2倍以上である条件を満足していることが分かる。
図6は、本シミュレーションにおける瞬時電圧波形および測定周波数を示す図であり、菱形記号を結んだ波形が瞬時電圧を表し、クロス記号を結んだ波形が測定周波数を表している。なお、図6では、これら瞬時電圧波形および測定周波数に加え、正規化振幅および正規化弦長の値も合わせて示している。
まず、本シミュレーションのパラメータによれば(表2参照)、入力される電源電圧は、次式のとおりである。
Figure 0005517723
以下、同様に、正規化電圧振幅の測定結果、正規化電圧弦長の測定結果および、周波数の測定結果は、それぞれ以下のとおりである。
Figure 0005517723
Figure 0005517723
Figure 0005517723
これら(44)〜(46)式および図6からも明らかなように、入力周波数が定格周波数でない47Hzの場合であっても、安定した電圧振幅および電圧弦長を測定(算出)することができ、その結果、安定した電力系統周波数の測定(算出)が可能となっている。
また、図7は、本シミュレーションにおける負荷電流および電力系統電流の各波形を示す図であり、白丸記号を結んだ波形が負荷電流を表し、黒三角記号を結んだ波形が電力系統電流を表している。
負荷電流は、基本波電流と3つの振動モードの高調波電流とを含んでおり、スパイラルベクトル理論による解析解は、次式で表される。
Figure 0005517723
図7にも示されるように、最小二乗法により計算した電力系統電流は正弦波であることが分かる。さらに、上記(47)式から抽出した基本波成分、すなわち、次式で表される電力系統電流iS(t)は、図7に示される電力系統電流波形に完全に一致しており、負荷電流の基本波成分を正しく抽出していることが分かる。
Figure 0005517723
図8は、本シミュレーションにおける補償電流波形を示す図である。なお、この図に示す補償電流は、負荷電流と電力系統電流との差分成分である。ここで、上記(47)式から抽出した高調波成分(基本波以外の成分)、すなわち、次式で表される補償電流iAF(t)は、図8に示される補償電流波形に完全に一致しており、基本波成分以外のすべての高調波成分(本シミュレーション場合では、3つのモードによる高調波成分)を正しく抽出していることが分かる。
Figure 0005517723
なお、本実施の形態では、単相回路系統の場合を一例として説明したが、例えば三相平衡回路系統および三相不平衡回路系統などの多相回路系統にも適用できることは無論である。
以上説明したように、本実施の形態の高調波電流補償装置および高調波電流補償方法によれば、負荷に流れる負荷電流を測定し、測定した負荷電流をディジタルデータに変換し、ディジタルデータに変換された電流瞬時値データを用いて積分手法により抽出した負荷電流中の基本波成分を電力系統電流として算出し、負荷電流と電力系統電流との差分を補償電流として出力することとしたので、電力系統に存在する不特定多数の高調波電流の抑制が可能となる。
また、本実施の形態の高調波電流補償装置および高調波電流補償方法によれば、不特定多数の高調波電流を個々に算出する必要がないので、補償電流の算出を簡易且つ軽快に行うことが可能となる。
以上のように、本発明にかかる高調波電流補償装置および高調波電流補償方法は、電力系統に存在する不特定多数の高調波電流の抑制を可能とする発明として有用である。
1 高調波電流補償装置
2 電圧・電流測定部
3 A/D変換部
4 電力系統周波数算出部
5 電力系統電流算出部
6 補償電流算出部
7 補償電流出力部
8 インターフェース
9 記憶部

Claims (4)

  1. 電力系統と負荷との間に接続され、負荷電流中の高調波成分を抑制する補償電流を送出する高調波電流補償装置において、
    前記負荷に流れる負荷電流を測定する電流測定部と、
    測定した負荷電流をディジタルデータに変換するA/D変換部と、
    ディジタルデータに変換された電流瞬時値データを用いて積分手法により抽出した前記負荷電流中の基本波成分を電力系統電流として算出する電力系統電流算出部と、
    前記負荷電流と前記電力系統電流との差分を前記補償電流として出力する補償電流出力部と、
    前記負荷への印加電圧を測定する電圧測定部と、
    前記電圧測定部が測定した測定電圧を前記A/D変換部が当該測定電圧の基本波周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データのうち、連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を前記測定電圧の振幅値で正規化した正規化電圧振幅を算出する正規化電圧振幅算出部と、
    前記正規化電圧振幅を算出する際に用いた4点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも5点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す4点の電圧弦長瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧弦長を前記測定電圧の振幅値で正規化した正規化電圧弦長を算出する正規化電圧弦長算出部と、
    前記正規化電圧振幅および前記正規化電圧弦長を用いてサンプリング1周期における回転位相角を算出すると共に、算出した回転位相角と前記サンプリング周波数とに基づいて電力系統周波数を算出する電力系統周波数算出部と、
    を備え、
    前記電力系統電流算出部は、前記負荷電流中の基本波成分を前記電力系統周波数の情報を用いて抽出することを特徴とする高調波電流補償装置。
  2. 前記電力系統周波数算出部は、前記正規化電圧振幅および前記正規化電圧弦長の各移動平均値を用いて前記回転位相角を算出することを特徴とする請求項に記載の高調波電流補償装置。
  3. 前記電力系統周波数算出部は、前記正規化電圧振幅および前記正規化電圧弦長の各移動平均値ならびに前記サンプリング周波数を用いて仮の電力系統周波数を算出すると共に、当該仮の電力系統周波数を移動平均して求めた値を前記電力系統周波数として算出することを特徴とする請求項に記載の高調波電流補償装置。
  4. 電力系統と負荷との間に接続され、負荷電流中の高調波成分を抑制する補償電流を送出する高調波電流補償装置に適用可能な高調波電流補償方法であって、
    前記負荷への印加電圧を測定するステップと、
    測定した測定電圧を当該測定電圧の基本波周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データを生成するステップと、
    前記電圧瞬時値データのうち、連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧振幅を前記測定電圧の振幅値で正規化した正規化電圧振幅を算出するステップと、
    前記正規化電圧振幅を算出する際に用いた4点の電圧瞬時値データを含む連続する少なくとも5点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す4点の電圧弦長瞬時値データの二乗積分演算により求めた電圧弦長を前記測定電圧の振幅値で正規化した正規化電圧弦長を算出する正規化電圧弦長算出ステップと、
    前記正規化電圧振幅および前記正規化電圧弦長を用いてサンプリング1周期における回転位相角を算出する回転位相角算出ステップと、
    算出した回転位相角と前記サンプリング周波数とに基づいて電力系統周波数を算出する電力系統周波数算出ステップと、
    測定した測定電圧を当該測定電圧の基本波周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データを生成するステップと、
    前記負荷に流れる負荷電流を測定するステップと、
    測定した負荷電流を前記サンプリング周波数でサンプリングした電流瞬時値データを生成するステップと、
    前記電力系統周波数の情報および前記電流瞬時値データを用いて積分手法により抽出した前記負荷電流中の基本波成分を電力系統電流として算出するステップと、
    前記負荷電流と前記電力系統電流との差分を前記補償電流として出力するステップと、
    を含むことを特徴とする高調波電流補償方法。
JP2010098198A 2010-04-21 2010-04-21 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法 Active JP5517723B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010098198A JP5517723B2 (ja) 2010-04-21 2010-04-21 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010098198A JP5517723B2 (ja) 2010-04-21 2010-04-21 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011229316A JP2011229316A (ja) 2011-11-10
JP5517723B2 true JP5517723B2 (ja) 2014-06-11

Family

ID=45044052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010098198A Active JP5517723B2 (ja) 2010-04-21 2010-04-21 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5517723B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6049469B2 (ja) * 2013-01-21 2016-12-21 三菱電機株式会社 電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した電力系統品質監視装置、三相回路測定装置、電力系統脱調予測装置、アクティブフィルタおよび開閉極位相制御装置
CN114002555B (zh) * 2021-09-27 2024-04-19 国网新疆电力公司哈密供电公司 一种基于分布式故障录波单元的边缘计算方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09312933A (ja) * 1996-05-22 1997-12-02 Meidensha Corp アクティブフィルタの制御方式
JP3779041B2 (ja) * 1997-07-17 2006-05-24 株式会社指月電機製作所 アクティブフィルタ装置
JP4679525B2 (ja) * 2007-01-18 2011-04-27 三菱電機株式会社 アクティブフィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011229316A (ja) 2011-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4679525B2 (ja) アクティブフィルタ
JP4987068B2 (ja) 交流電気量測定装置
JP5855886B2 (ja) 周波数検出装置
JPWO2008126240A1 (ja) 同期フェーザ測定装置及びこれを用いた母線間位相角差測定装置
Ahmed et al. Enhanced frequency adaptive demodulation technique for grid-connected converters
Sadinezhad et al. Slow sampling online optimization approach to estimate power system frequency
JP5538203B2 (ja) 電力動揺検出装置および電力動揺検出方法
JP2013172557A (ja) 周波数検出装置、および、当該周波数検出装置を備えた単独運転検出装置
CN111913067A (zh) 三相不对称换流器运行参数测定方法、系统、装置及介质
JP6033030B2 (ja) 電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した絶縁監視装置およびインピーダンス測定装置
Sarıbulut A novel average filter based phase-locked loop for FACTS devices
JP5517723B2 (ja) 高調波電流補償装置および高調波電流補償方法
JP6049469B2 (ja) 電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した電力系統品質監視装置、三相回路測定装置、電力系統脱調予測装置、アクティブフィルタおよび開閉極位相制御装置
JP2012093137A (ja) 交流電気量測定装置および交流電気量測定方法
Ke et al. Measuring and reconstruction algorithm based on improved second‐order generalised integrator configured as a quadrature signal generator and phase locked loop for the three‐phase AC signals of independent power generation systems
JP6368456B2 (ja) 電力動揺成分出力抑制装置
Ko et al. A new PLL system using full order observer and PLL system modeling in a single phase grid-connected inverter
KR101172748B1 (ko) 교류전원장치의 3상 불평형 전압 출력 제어 장치 및 방법
JP2007139434A (ja) 高圧コンデンサ電流推定方法及びその装置
Gomez et al. Motor current signature analysis apply for external mechanical fault and cage asymmetry in induction motors
Ferreira et al. Adaptive real-time power measurement based on IEEE standard 1459-2010
JP5517646B2 (ja) 交流電気量測定装置および交流電気量測定方法
JP2021081295A (ja) データ処理装置およびデータ処理方法
JP5464704B2 (ja) 交流信号の位相検出方法
JP2015045570A (ja) 電気量測定装置および電気量測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5517723

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250