JP2013172557A - 周波数検出装置、および、当該周波数検出装置を備えた単独運転検出装置 - Google Patents

周波数検出装置、および、当該周波数検出装置を備えた単独運転検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不平衡成分や高調波成分の影響を抑制して交流信号の周波数を高い精度で検出する。
【解決手段】周波数検出器72は、三相交流電圧vu,vv,vwを互いに直交する交流電圧vα,vβに変換する三相二相変換部721、下記行列を用いて交流電圧vα,vβから基本波成分を抽出する基本波抽出部722、抽出された交流電圧vr,vjを三相交流電圧vu’,vv’,vw’に変換する二相三相変換部723、及び三相交流電圧vu’,vv’,vw’を用いて基本波成分の周波数fを検出する周波数検出部72Bを備える。
【数1】

【選択図】 図3

Description

本発明は、交流信号の周波数を検出する周波数検出装置、および、当該周波数検出装置を備え、電力系統に連系される系統連系インバータ装置の単独運転を検出する単独運転検出装置に関するものである。
電力系統に接続される分散型電源には、逆潮流有りの条件で配電系統に連系する場合、単独運転を防止するために単独運転検出装置が設けられる。そして、分散電源の単独運転状態を検出する方式として、周波数変化率検出方式、QCモード周波数シフト方式、スリップモード周波数シフト方式、有効電力変動方式、無効電力変動方式等の単独運転時に発生する周波数変動を検出することによって単独運転を検出する種々の方式が知られている。周波数変化率検出方式は受動的な方式であるが、スリップモード周波数シフト方式、QCモード周波数シフト方式、有効電力変動方式、無効電力変動方式は能動的な方式である。
周波数変化率検出方式は、分散型電源の出力と負荷の不平衡に起因する分散型電源の出力周波数の急変を検出する方式である。スリップモード周波数シフト方式は、単独運転時に無効電力負荷のC(キャパシタンス)成分が大きければ分散型電源の出力周波数が上昇し、L(インダクタンス)成分が大きければ、分散型電源の出力周波数が低下する特性を利用し、分散型電源の出力周波数が基準の周波数から変動するときにはその出力周波数の変動量を増幅して検出する方式である。具体的には、PCS(Power Conditioning System)に周波数−位相特性を持たせて、分散型電源の出力周波数が基準の周波数に対して上昇するときにはPCSの出力電流の位相を進めて正帰還により出力周波数の上昇を加速させ、分散型電源の出力周波数が基準の周波数に対して低下するときにはPCSの出力電流の位相を遅らせて正帰還により出力周波数の低下を加速させることによりその出力周波数の変動量を増幅し、その変動量によって単独運転を検出する方式である。
QCモード周波数シフト方式は、スリップモード周波数シフト方式と同様に上記の周波数特性を利用するものであるが、出力周波数ではなく出力周波数の変化率を正帰還させることによってPCSの出力電流の位相を増幅させる方式である。
有効電力変動方式は、PCSの出力に周期的な有効電力の変動を与え、PCSの出力電圧、出力電流、出力周波数の変動量に基づいて単独運転の有無を検出する方式である。また、無効電力変動方式は、PCSの出力に周期的な無効電力の変動を与え、PCSの出力電圧、出力電流、出力周波数の変動量に基づいて単独運転の有無を検出する方式である。
特開平11−41820号公報 特開2000−358331号公報 特開2002−281674号公報 特開2007−252127号公報 特開2011−30306号公報 特開2006−25550号公報
「電力系統事故時の異常電圧に対処したPLLおよび周波数検出方式」 電学論B,118巻9号,平成10年
系統連系インバータ装置を用いた分散型電源では、単独運転状態を検出したときには、例えば、1秒以内に系統連系インバータ装置を需要家(負荷)から切り離すか、運転を停止させることが要望されている。上記の単独運転検出方式で検出パラメータとして分散型電源の出力周波数を用いる方式では、高速かつ高精度の周波数検出装置が必要になる。
その一方、分散型電源の出力周波数を検出する方法として、分散型電源から出力される交流電圧の瞬時値を検出し、その検出値がゼロレベルを交差する点(ゼロクロス点)間の時間を計測することにより分散型電源の出力周波数を検出する方式(ゼロクロス点間カウント方式)が知られている(特許文献6参照)。また、非特許文献1には、乗算式PLL(Phase Locked Loop)を用いて分散型電源から出力される交流電圧の位相を検出する位相検出装置を用いてその交流電圧の周波数を求める方式が提案されている。
三相の電力系統の周波数(以下、「系統周波数」という。)には、基本波正相成分(以下、単に「基本波成分」という。)の他に低次の高調波成分(例えば、5次,7次,11次の高調波成分。以下、単に「高調波成分」という。)や基本波逆相成分(以下、「不平衡成分」という。)が含まれることが多く、これらの成分が検出電圧に含まれていると、検出電圧の波形が正確に基本波成分の波形にならず(波形歪が生じ)、これにより基本波成分のゼロクロス点を正確に検出できず、周波数の検出精度が低下するという問題がある。
一方、乗算式PLL方式の位相検出装置を用いて周波数を検出する方法は、装置内で位相を生成し、その位相と入力される交流信号の位相との位相差を算出し、その位相差がゼロとなるように生成位相を制御するPLL処理によって、入力される交流信号の位相を検出する。交流信号に高調波成分や不平衡成分が含まれている場合、それらの成分がPLL処理に影響を与えて交流信号の位相を正確に検出することができないので、検出された位相から算出された周波数の精度も低下する。周波数の検出精度が低下すると、当該周波数を用いて単独運転を検出する場合に、高速かつ高精度に単独運転を検出することができない。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、不平衡成分や高調波成分の影響を抑制し、高い精度で交流信号の基本波成分の周波数を検出することができる周波数検出装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面によって提供される周波数検出装置は、交流信号の周波数を検出する周波数検出装置であって、前記交流信号に基づく第1の信号および第2の信号から基本波成分を抽出して、第1の基本波信号および第2の基本波信号を生成する基本波抽出手段と、前記第1の基本波信号および第2の基本波信号を用いて前記交流信号の基本波成分の周波数を検出する周波数検出手段とを備えており、前記基本波抽出手段は、前記第1の信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の基本波信号を生成し、前記第1の信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の基本波信号を生成し、中心角周波数をω0、時定数をTとした場合、前記第1の伝達関数は、
1(s)=(T・s+1)/{(T・s+1)2+(T・ω02
であり、 前記第2の伝達関数は、
2(s)=−T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
であり、前記第3の伝達関数は、
3(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
であることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1の伝達関数が、
G’1(s)
=(T2・s2+T・s+T2・ω0 2)/{(T・s+1)2+(T・ω02
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記交流信号は、三相交流電圧を検出した検出信号であり、三相の前記検出信号を互いに直交する前記第1の信号および第2の信号に変換して前記基本波抽出手段に入力する三相二相変換手段を更に備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記交流信号は、単相交流電圧を検出した検出信号であり、前記検出信号が前記第1の信号として、ゼロの信号が前記第2の信号として、前記基本波抽出手段に入力される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数検出手段は、前記第1の基本波信号および第2の基本波信号に基づく信号がゼロレベルを交差するゼロクロスタイミングを検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記ゼロクロスタイミングを用いて前記ゼロクロスタイミング間における所定のクロックパルスのパルス数をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号の基本波成分の周波数を算出する周波数算出手段とを含む。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1の基本波信号および第2の基本波信号を3つの信号に変換する二相三相変換手段を更に備え、前記検出手段は、前記3つの信号のそれぞれがゼロレベルを交差するゼロクロスタイミングを検出する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数検出手段は、通過帯域で位相が直線的に変化する位相特性を有する帯域通過型の複数係数フィルタからなるフィルタ手段と、前記フィルタ手段に入力される入力信号と前記フィルタ手段から出力される出力信号との位相差を算出する位相差算出手段と、前記フィルタ手段の前記位相特性を用いて前記位相差算出手段で算出された位相差から前記交流信号の基本波成分の周波数を算出する周波数算出手段とを含む。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数検出手段が検出した周波数に対応する角周波数を前記中心角周波数ω0とする。
本発明の第2の側面によって提供される単独運転検出装置は、電力系統に連系される系統連系インバータ装置から出力される出力交流信号を検出する交流信号検出手段と、前記出力交流信号の周波数を検出する、本発明の第1の側面によって提供される周波数検出装置と、前記周波数検出装置が検出した検出値に基づいて前記系統連系インバータ装置が単独運転状態に移行したことを検出する単独運転検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記系統連系インバータ装置は、当該系統連系インバータ装置から出力される無効電力量を制御する電力メジャーループを有しており、前記周波数検出装置で検出される周波数に基づいて、前記無効電力量を揺動させる無効電力変動値を生成し、前記電力メジャーループにフィードバックする無効電力変動値生成手段を更に備え、前記単独運転検出手段は、前記周波数検出手段で検出される周波数の変動量を算出し、その変動量が所定の閾値を超えることにより前記系統連系インバータ装置が単独運転状態に移行したことを検出する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無効電力変動値生成手段は、前記周波数検出手段で検出される周波数を用いて周波数変化率を算出し、その周波数変化率に比例して変動する前記無効電力変動値を生成する。
本発明によれば、交流信号に不平衡成分や高調波成分が含まれていても、基本波抽出手段がそれらの成分を好適に除去して基本波成分を抽出する。周波数検出手段は抽出された基本波成分に基づいて周波数を検出する。したがって、交流信号に基本波成分以外の不平衡成分や高調波成分が含まれていても、それらの成分が周波数検出処理に影響を与えることを抑制して、交流信号の基本波成分の周波数を正確に検出することができる。
本発明に係る単独運転検出装置を備えた系統連系インバータ装置の構成を示す図である。 制御装置内のPWM信号を生成するための処理の基本構成を示すブロック図である。 周波数検出器の第1実施形態のブロック構成を示す図である。 三相交流電圧の基本波成分と不平衡成分を説明するための図である。 系統電圧に含まれる周波数成分を説明するための図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図であり、行列で表したものである。 行列の計算を説明するためのブロック線図である。 回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 行列GLPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 不平衡成分と5次、7次、11次の高調波成分を含む三相交流電圧の波形を示す図である。 図11に示す三相交流電圧を外乱除去部でフィルタリングした三相交流電圧の波形を示す図である。 第1実施形態に係る周波数検出部の演算処理を説明するための図である。 第1実施形態に係る周波数検出器の応答特性をシミュレーションした結果を示す図である。 図14に示すシミュレーション結果のシミュレーション開始から0.3秒後に周波数検出装置から出力される周波数の変動状態を拡大した図である。 回転座標変換を行ってからハイパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 行列GHPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 第2実施形態に係る基本波抽出部の内部構成を説明するためのブロック図である。 第2実施形態に係る基本波抽出部の周波数特性を示す図である。 第2実施形態に係る周波数検出器の応答特性をシミュレーションした結果を示す図である。 図20に示すシミュレーション結果のシミュレーション開始から0.3秒後に周波数検出装置から出力される周波数の変動状態を拡大した図である。 周波数検出器の第3実施形態のブロック構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る単独運転検出装置を備えた系統連系インバータ装置の構成を示す図である。図2は、制御装置6内のPWM信号を生成するための処理の基本構成を示すブロック図である。電力系統には一般に三相電力系統と単相電力系統が含まれるが、本実施形態では電力系統Bを三相電力系統とし、系統連系インバータ装置Aは電力を三相交流で電力系統Bに出力する三相インバータ装置として説明する。
系統連系インバータ装置Aは、直流電源1で生成される直流電力をインバータ2で交流電力に変換し、インバータ2で生じるスイッチングノイズをフィルタ3で除去し、変圧器4で出力レベルを調整した後、遮断器5を介して電力系統Bに出力する基本的な構成を有する系統連系インバータ装置である。系統連系インバータ装置Aは、インバータ2の出力電力を制御する制御装置6と、系統連系インバータ装置Aが単独運転状態となったか否かを監視し、単独運転状態になったことを検出すると、遮断器5を開いて系統連系インバータ装置Aを解列させる単独運転検出装置7を備える。
制御装置6は、系統連系インバータ装置Aを電力系統Bに連系させるために、フィードバック制御により系統連系インバータ装置Aから出力される交流電圧を制御する。一方、単独運転検出装置7は、後述するように系統連系インバータ装置Aから出力される交流電圧の周波数fを検出し、その検出値を用いて系統連系インバータ装置Aが単独運転状態になったことを検出する。制御装置6のフィードバック制御のために、系統連系インバータ装置Aの出力ラインの適所には系統連系インバータ装置Aから出力される交流電流と交流電圧を検出する交流電流計9および交流電圧計10が設けられている。単独運転検出装置7は、交流電圧計10が検出する交流電圧の周波数fを検出する。
直流電源1は、例えば、太陽光発電、太陽熱発電、風力発電等によって生成される電気エネルギーを直流で出力する電源や燃料電池等の電池電源である。直流電源1には光エネルギー、機械エネルギー、熱エネルギー等の任意のエネルギーを直流出力する電源装置を適用することができるが、以下の説明では、直流電源1として太陽電池を用いた例で説明する。
インバータ2は、例えば、6個のスイッチング素子(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やGTO(Gate Turn-Off thyristor)などの半導体スイッチング素子)をブリッジ接続したフル・ブリッジ回路で構成される電圧制御型インバータである。フル・ブリッジ回路は、2個のスイッチング素子を直列に接続した3個の直列回路(アーム)を一対の電源ラインに並列に接続し、各アームの接続点を出力端子とする周知の回路である。
各アームの一対のスイッチング素子は、制御装置6から入力される1組のパルス幅変調信号(PWM信号)によってそれぞれオン・オフ動作が制御される。各アームに入力される1組のPWM信号は、相互に位相が反転したPWM信号である。また、3個のアームに入力される3組のPWM信号は、パルス波形は同一であるが、位相が互いに2π/3ずつずれている。インバータ2は、3組のPWM信号によって3個のアームの接続点の相対的な電圧が順番に切り替えられ、これにより直流電源1から入力される直流電圧が三相交流電圧に変換されて3個のアームの接続点から出力する。
フィルタ3は、インバータ2におけるスイッチング素子のスイッチング動作により三相交流電圧に含まれる高周波スイッチングノイズを除去する。フィルタ3は、リアクトルとコンデンサのL字型回路からなるローパスフィルタで構成される。変圧器4は、三相トランスで構成され、フィルタ3から出力される交流電圧を電力系統Bの系統電圧とほぼ同一のレベルに昇圧または降圧する。
遮断器5は、例えば、電磁開閉器で構成される。遮断器5は、単独運転検出装置7から系統連系インバータ装置Aの単独運転状態を検出した検出信号が出力されると、開動作を行い、系統連系インバータ装置Aと電力系統Bとの接続を切断する。なお、遮断器5は制御装置6によっても制御され、系統連系インバータ装置Aの運転異常などのときには制御装置6が遮断器5によって系統連系インバータ装置Aと電力系統Bとの接続を切断するが、図1ではその構成は省略している。
制御装置6は、マイクロコンピュータ若しくはFPGA(Field-Programmable Gate Array)により構成され、ディジタル演算処理によりPWM信号の生成処理を行う。制御装置6は、U,V,Wの各相について、インバータ2の出力電圧の制御目標vuo,vvo,vwo(フィルタ3を通過した正弦波の交流電圧)を変調波として生成し、その制御目標vuo,vvo,vwoを搬送波である所定の三角波vtと比較することによりPWM信号を生成する。
U相の制御目標vuoは、インバータ2の出力電流iuがインバータ2と電力系統Bとの間のインピーダンス(主としてフィルタ3と変圧器4のリアクトルによるインピーダンス。以下、「連系用リアクトル」という。)を流れることによる電圧降下分の電圧を系統電圧にベクトル合成した電圧の振幅に相当する。系統電圧は電力系統Bにより制御されるので、制御装置6は、連系用リアクトルの電圧を制御することにより制御目標vuoを制御する。連系用リアクトルはフィルタ3及び変圧器4の設計値として固定されるから、連系用リアクトルの電圧は、インバータ2の出力電流iuにより制御される。従って、制御装置6は、実質的にインバータ2の出力電流iuを制御することによって制御目標vuoを制御する。V相,W相の制御目標vvo,vwoについても同様である。
図2に示す制御装置6内のバス電圧目標値生成部6a、無効電力目標値生成部6b、無効電力算出部6c、uvw−dq変換部6d、PI補償部6e,6f,6g,6h、非干渉化部6i,6j、dq−uvw変換部6kは電力メジャーループにより出力電圧の制御目標vuo,vvo,vwoを生成するための処理ブロックである。点線で囲まれたブロック(uvw−dq変換部6d、PI補償部6g,6h、非干渉化部6i,6j及びdq−uvw変換部6kによる処理部分)は電流マイナーループを構成する部分である。また、PWM信号生成部6mは、制御目標vuo,vvo,vwoと三角波vtを比較してPWM信号を生成する処理ブロックである。なお、dq−uvw変換部6kの前段若しくは後段に系統電圧対抗分を加算する処理ブロックが設けられるが、図2ではその処理ブロックを省略している。
制御装置6は、dq回転座標系(電力系統Bの周波数で回転する座標系)でインバータ2の出力電流の制御目標Ido,Iqoを生成する。すなわち、制御装置6は、バス電圧目標値生成部6aでインバータ2に入力される直流電圧(以下、「バス電圧」という。)の基準値Vrefを設定し、そのバス電圧基準値Vrefに対する直流電圧計8で実測されるバス電圧Vdcの偏差ΔVdc=Vref−Vdcを求め、その偏差ΔVdcにPI補償部6eで所定のPI補償演算をしてdq回転座標系におけるインバータ2の出力電流の制御基準のd軸成分Idrefを設定する。
また、制御装置6は、無効電力目標値生成部6bで生成される無効電力目標値Qo(力率1の運転時ではQo=0)に後述する単独運転検出装置7から入力される無効電力変動値ΔQを加算して単独運転検出用の無効電力目標値Qo’=Qo+ΔQを設定する。無効電力変動値ΔQは、系統連系インバータ装置Aが単独運転状態に移行したことを検出するためにインバータ2から出力される無効電力目標値Qoを能動的に変動させるための変動値である。
制御装置6は、交流電圧計10で実測されるインバータ2の出力電圧vu,vv,vw及び交流電流計9で実測されるインバータ2の出力電流iu,iv,iwを用いて無効電力算出部6cでインバータ2から出力される無効電力Qrを算出し、単独運転検出用の無効電力目標値Qo’に対する無効電力算出値Qrの偏差ΔQr=Qo’−Qrを求める。そして、PI補償部6fでその偏差ΔQrに所定のPI補償演算をしてdq回転座標系におけるインバータ2の出力電流の制御基準のq軸成分Iqrefを設定する。
制御装置6は、交流電流計9で検出したインバータ2の出力電流iu,iv,iwをuvw−dq変換部6dで、
d=√(2/3)・(iu・cos(θ)+iv・cos(θ−2π/3)+iw・cos(θ−4π/3))
q=√(2/3)・(−iu・sin(θ)−iv・sin(θ−2π/3)−iw・sin(θ−4π/3))
但し、θ=2πfs・t(fs:系統周波数)
のuvw−dq座標変換式によりdq回転座標系のd軸成分Idとq軸成分Iqに変換し、制御基準Idref,Iqrefに対する実測値のdq回転座標系におけるdq軸成分Id,Iqの偏差ΔId=Idref−Id,ΔIq=Iqref−Iqをそれぞれ算出する。
制御装置6は、PI補償部6gで偏差ΔIdに所定のPI補償演算をするとともに、実測値のdq回転座標系におけるq軸成分Iqにフィルタ3のインピーダンス成分ωLを乗じて干渉量を演算し、その演算値を偏差ΔIdのPI補償演算値に加算してdq回転座標系におけるインバータ2の出力電流の制御目標のd軸成分Idoを設定する。また、制御装置6は、PI補償部6hで偏差ΔIqに所定のPI補償演算をするとともに、実測値のdq回転座標系におけるd軸成分Idにフィルタ3のインピーダンス成分ωLを乗じて干渉量を演算し、その演算値を偏差ΔIqのPI補償演算値から減算してdq回転座標系におけるインバータ2の出力電流の制御目標のq軸成分Iqoを設定する。
そして、制御装置6は、その制御目標Ido,Iqoに図略の系統電圧対抗分をそれぞれ加算してdq回転座標系におけるインバータ2の出力電圧の制御目標のdq軸成分Vdo,Vqoを算出し、その制御目標Vdo,Vqoをdq−uvw変換部6kで、
uo=[√(2/3)]・[Vdo・cos(θ)−Vqo・sin(θ)]
vo=[√(2/3)]・[Vdo・cos(θ−2π/3)−Vqo・sin(θ−2π/3)]
wo=[√(2/3)]・[Vdo・cos(θ−4π/3)−Vqo・sin(θ−4π/3)]
のdq−uvw座標変換式により静止座標系における三相電圧に変換することで、U,V,Wの各相の制御目標vuo,vvo,vwoを生成する。
そして、制御装置6は、PWM信号生成部6mで制御目標vuo,vvo,vwoのレベルをそれぞれ三角波vtのレベルと比較し、比較結果に応じたレベルのパルス信号を生成することでU,V,Wの各相に対するPWM信号を生成する。各相に対するPWM信号はインバータ2の各アームのスイッチング素子に入力される。
単独運転検出装置7は、QCモード周波数シフト方式により系統連系インバータ装置Aが単独運転状態となったか否かを検出する。QCモード周波数シフト方式は、上記したように、系統連系インバータ装置Aの出力周波数が基準の周波数(系統周波数)に対して上昇するときには系統連系インバータ装置Aの出力電流の位相を進めて正帰還により出力周波数の上昇を加速させ、系統連系インバータ装置Aの出力周波数が基準の周波数(系統周波数)に対して低下するときには系統連系インバータ装置Aの出力電流の位相を遅らせて正帰還により出力周波数の低下を加速させることによりその出力周波数の変動量を増幅し、その変動量によって単独運転を検出する方式である。
系統連系インバータ装置Aの出力電流の位相は無効電力量を制御することにより制御されるから、単独運転検出装置7は、系統連系インバータ装置Aから出力される交流電流の周波数の変化率を検出し、その検出値に基づいて無効電力目標値Qoを変動させる無効電力変動値ΔQを設定し、制御装置6にフィードバックする。
従って、単独運転検出装置7は、周波数変化率演算部71Aと無効電力変動値生成部71Bを含む無効電力変動制御器71、外乱除去部72Aと周波数検出部72Bを含む周波数検出器72及び単独運転検出器73を備える。単独運転検出装置7は、マイクロコンピュータ若しくはFPGAによって構成され、ディジタル演算処理によって各器の処理を行う。
無効電力変動制御器71は、周波数変化率演算部71Aで周波数検出器72によって検出される周波数fの変化率(df/dt)を演算し、無効電力変動値生成部71Bでその変化率(df/dt)の大きさと極性に応じて無効電力目標値Qoを変動させる無効電力変動値ΔQを生成する。無効電力変動値生成部71Bは、予め設定された周波数変化率(df/dt)と無効電力変動値ΔQの関係式を用いて無効電力変動値ΔQを生成し、その無効電力変動値ΔQを制御装置6に入力する。
制御装置6では、上述したように、無効電力目標値生成部6bで生成した無効電力目標値Qoに無効電力変動値生成部71Bから入力される無効電力変動値ΔQを加算する処理が行われる。これにより周波数変化率(df/dt)に応じて無効電力目標値Qo’が変動し、この無効電力目標値Qo’の変動に伴いdq回転座標系におけるインバータ2の出力電流の制御目標のq軸成分Iqoが変動するので、dq軸成分Ido,Iqoをdq−uvw変換して得られる三相電圧の制御目標vuo,vvo,vwoの位相が変動することになる。
そして、系統連系インバータ装置Aが単独運転状態になると、三相電圧の制御目標vuo,vvo,vwoの位相の変動量が増大し、制御目標vuo,vvo,vwoの周波数が系統周波数から大きく逸脱することになるので、後述するように単独運転検出装置7の単独運転検出器73がその状態を検出し、遮断器5によって系統連系インバータ装置Aを解列させることになる。
周波数検出器72は、交流電圧計10によって検出される系統連系インバータ装置Aの出力電圧の周波数fを検出する。本実施形態に係る単独運転検出装置7は、周波数検出器72の構成に特徴を有する。以下、周波数検出器72の構成について詳細に説明する。
図3は、周波数検出器72の第1実施形態のブロック構成を示す図である。
図3に示す周波数検出器72は、交流電圧計10によって検出される三相交流電圧(U,V,Wの各相の相電圧)vu,vv,vwに含まれる不平衡成分や高調波成分など(周波数検出処理で外乱となる成分)を除去する外乱除去部72Aと、ゼロクロス点間カウント法により、外乱除去部72Aから出力される交流信号(三相交流の基本波成分)の周波数を算出する周波数検出部72Bとで構成されている。
外乱除去部72Aは、交流電圧計10から入力される三相交流電圧vu,vv,vw(所定のサンプリング周期で入力される瞬時値)を互いに直交する二相交流電圧vα,vβに変換する三相二相変換部721と、三相二相変換部721から出力される二相交流電圧vα,vβに含まれる不平衡成分と所定次数の高調波成分(主として5次高調波成分、7次高調波成分、11次高調波成分などの高調波成分)を除去して基本波成分を抽出する基本波抽出部722と、基本波抽出部722から出力される不平衡成分及び高調波成分を含まない二相交流電圧vr,vjを三相交流電圧vu’,vv’,vw’に変換する二相三相変換部723とを含む。
三相二相変換部721は、交流電圧計10から入力される三相交流電圧vu,vv,vwを二相交流電圧vα,vβに変換する処理を行う。図4(a)に示すように、静止座標系として水平方向のu軸を位相θの基準軸とし、u軸に対して±2π/3の角度で開いた方向にv軸とw軸を反時計回りに配置したuvw座標系と、u軸に沿うα軸とそのα軸に直交するβ軸とを配置したαβ座標系(静止直交座標系)とを設け、これらの座標系で角速度ωで反時計回りに回転する電圧ベクトルVを考えると、対称三相交流電圧vu,vv,vwは、電圧ベクトルVのu軸成分、v軸成分及びw軸成分と考えられ、二相交流電圧vα,vβは、電圧ベクトルVのα軸成分、β軸成分と考えることができる。
従って、三相二相変換処理は、電圧ベクトルVのu軸成分vu、v軸成分vv及びw軸成分vwを電圧ベクトルVのα軸成分vαとβ軸成分vβに変換する処理である。なお、以下の説明では、交流信号と交流信号のベクトルを区別するため、交流信号を小文字で表記し、交流信号のベクトルを大文字で表記することとする。
三相交流電圧vu,vv,vwを二相交流電圧vα,vβに変換する変換式は、
である。
三相二相変換部721は、(1)式,(2)式の演算を行うことにより、交流電圧計10から入力される三相交流電圧vu,vv,vwを二相交流電圧vα,vβに変換する。
交流電圧計10で検出される三相交流電圧vu,vv,vwは、一般に、基本波成分以外に不平衡成分や3次、5次、7次、11次などの奇数次の高調波成分(図5の周波数成分参照)が含まれる非対称三相交流電圧である。従って、三相二相変換部721からはこれらの成分についても三相二相変換した成分を含む二相交流電圧vα,vβが出力される。
三相交流電圧vu,vv,vwの基本波成分vsu,vsv,vswは、基本波の電圧ベクトルVsのuvw座標系におけるu、v、wの各軸方向の成分として定義される。一方、三相交流電圧vu,vv,vwの不平衡成分vsu’,vsv’,vsw’は、図4(b)に示すように、uvw座標系に対してu軸、v軸及びw軸の配列順が逆になっているuwv座標系において、不平衡成分の電圧ベクトルVs’のu、v、wの各軸方向の成分として定義される。
従って、基本波成分vsu,vsv,vswを、
su=As・cos(ω0・t) …(3A)
sv=As・cos(ω0・t-2π/3) …(3B)
sw=As・cos(ω0・t-4π/3) …(3C)
但し、As;基本波成分の振幅、ω0;基本波成分の角周波数
とすると、不平衡成分vsu’,vsv’,vsw’は、
su’=As’・cos(ω0・t) …(4A)
sv’=As’・cos(ω0・t-4π/3) …(4B)
sw’=As’・cos(ω0・t-2π/3) …(4C)
但し、As’;不平衡成分の振幅
で表わされる。
(3A)式〜(3C)式を(1)式と(2)式に代入して基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβを求めると、
sα=√(3/2)・As・cos(ω0・t) …(5)
sβ=√(3/2)・As・sin(ω0・t) …(6)
となる。また、(4A)式〜(4C)式を(1)式と(2)式に代入して不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’を求めると、
sα’=√(3/2)・As’・cos(ω0・t)
sβ’=−√(3/2)・As’・sin(ω0・t)
となる。そして、cos(ω0・t)=cos(−ω0・t)、−sin(ω0・t)=sin(−ω0・t)であるから、不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’は、
sα’=√(3/2)・As’・cos(−ω0・t) …(7)
sβ’=√(3/2)・As’・sin(−ω0・t) …(8)
となる。
(7)式及び(8)式と(5)式及び(6)式を比較すると、基本波成分の角周波数は「ω0」であるのに対し、不平衡成分の角周波数は「−ω0」である点が相違する。角周波数ω0を「正の周波数」とすると、不平衡成分の角周波数−ω0は「負の周波数」となるから、不平衡成分vsu’,vsv’,vsw’を三相二相変換して得られる二相交流電圧vsα’,vsβ’は負の周波数を有する電圧ということができる。
図5において、基本波成分を正の周波数領域の周波数「f0」の位置に表示し、不平衡成分の周波数を「−f0」として不平衡成分を負の周波数領域の周波数「−f0」の位置に表示しているのは上記の周波数の関係を示している。なお、図5には、周波数検出に影響のある高調波成分として5次、7次、11次の高調波成分のみを描いている。3の整数倍の高調波成分は線間電圧には表れず、相電圧でもΔ結線のトランスで除去され、11次よりも大きい奇数次の高調波成分はレベルが小さく、無視し得るから、図5には記載していない。
基本波成分vsu,vsv,vswの5次、7次、11次の高調波成分vnu,vnv,vnw(nは次数。n=5,7,11)は、
nu=An・cos(n・ω0・t) …(9)
nv=An・cos(n・ω0・t-n・2π/3) …(10)
nw=An・cos(n・ω0・t-n・4π/3) …(11)
で表わされるから、(9)式〜(11)式を(1)式,(2)式に代入して5次,7次,11次の高調波成分の二相交流電圧(V5α,V5β),(V7α,V7β),(V11α,V11β)を求めると、
5α=√(3/2)・A5・cos(−5ω0・t) …(12)
5β=√(3/2)・A5・sin(−5ω0・t) …(13)
7α=√(3/2)・A7・cos(7ω0・t) …(14)
7β=√(3/2)・A7・sin(7ω0・t) …(15)
11α=√(3/2)・A11・cos(−11ω0・t) …(16)
11β=√(3/2)・A11・sin(−11ω0・t) …(17)
となる。
不平衡成分が負の周波数になるのは、不平衡成分の相順(uvwが時計回りの順)が基本波成分の相順(uvwが反時計回りの順)に対して逆になるからである。従って、基本波成分の周波数f0をn倍(n:2以上の整数)したn次高調波成分を三相二相変換した二相交流電圧vnα,vnβ(添え字のnは次数。以下、同じ)の角周波数ωnが基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβと同じの符号になる場合は、そのn次高調波成分の周波数fnは正の周波数となり、n次高調波成分vnu,vnv,vnwの相順は基本波成分vsu,vsv,vswの相順と同一になる。逆に、二相交流電圧vnα,vnβの角周波数ωnが基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβと逆の符号になる場合は、そのn次高調波成分の周波数fnは負の周波数となり、n次高調波成分vnu,vnv,vnwの相順は基本波成分vsu,vsv,vswの相順と逆になる。
(12)式〜(17)式より、5次,11次の高調波成分は負の周波数を有し、7次の高調波成分は正の周波数を有するから、図5では、正相の5次高調波成分と11次高調波成分は、負の周波数領域の周波数「−5f0」と「−11f0」の位置にそれぞれ表示し、逆相の5次高調波成分と11次高調波成分は、正の周波数領域の周波数「5f0」と「11f0」の位置にそれぞれ表示している。また、正相の7次高調波成分は正の周波数領域の周波数「7f0」の位置に表示し、逆相の7次高調波成分は、負の周波数領域の周波数「−7f0」の位置に表示している。
従って、三相二相変換部721からは(5)式〜(8)式、(12)式〜(17)式で表わされる基本波成分、不平衡成分及び5次、7次、11次の高調波成分の二相交流電圧(vsα,vsβ),(vsα’,vsβ’),(vnα,vnβ)(n=5,7,11)を含む二相交流電圧vα,vβが出力される。
基本波抽出部722は、三相二相変換部721より入力される二相交流電圧vα,vβから、基本波成分である二相交流電圧vsα,vsβを抽出するものである。基本波抽出部722は、回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と同様の処理を行うものである。
二相交流電圧vα,vβを、系統電圧の基本波の位相θに基づいて回転座標変換すると、基本波成分は直流成分に変換される。回転座標変換後の信号をローパスフィルタ処理すると、直流成分だけを通過させて交流成分を遮断することで、直流成分に変換された基本波成分だけを抽出することができる。抽出された直流成分に静止座標変換を行って基本波成分に戻すことで、基本波成分である二相交流電圧vsα,vsβを抽出することができる。基本波抽出部722は、これらの処理と同様の処理を線形時不変の処理で行う。
まず、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明する。
図6(a)は、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を説明するための図である。当該処理では、まず、信号αおよびβが、回転座標変換によって、信号dおよびqに変換される。信号dおよびqに対して、それぞれ所定の伝達関数F(s)で表される処理が行われ、信号d’およびq’が出力される。次に、信号d’およびq’が静止座標変換によって、信号α’およびβ’に変換される。図6(a)に示す非線形時変の処理を、図6(b)に示す線形時不変の伝達関数の行列Gを用いた処理に変換する。
図6(a)に示す回転座標変換は下記(18)式の行列式で表され、静止座標変換は下記(19)式の行列式で表される。
したがって、図6(a)に示す処理を、行列を用いて、図7(a)のように表すことができる。図7(a)に示す3つの行列の積を計算し、算出された行列を線形時不変の行列にすることで、図6(b)に示す行列Gを算出することができる。このとき、静止座標変換および回転座標変換の行列を行列の積に変換したうえで、算出を行う。
回転座標変換の行列は、下記(20)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
また、静止座標変換の行列は、下記(21)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。当該行列の積の中央の行列は線形時不変の行列である。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
上記(20)式および(21)式を用いて、図7(a)に示す3つの行列の積を計算して、行列Gを算出すると、下記(22)式のように計算される。
上記(22)式の中央の3つの行列の1行1列目の要素に注目し、これをブロック線図で表すと、図8に示すブロック線図になる。図8に示すブロック線図の入出力特性を計算すると、
となる。ただし、F(s)はインパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数である。
ここで、θ(t)=ω0tとすると、θ(t)−θ(τ)=ω0t−ω0τ=ω0(t−τ)=θ(t−τ)となるので、図8に示すブロック線図の入出力特性は、インパルス応答f(t)exp(−jω0t)を持つ線形時不変系のものに等しい。インパルス応答f(t)exp(−jω0t)をラプラス変換すると、伝達関数F(s+jω0)が得られる。また、図8に示すブロック線図のexp(jθ(t))とexp(−jθ(t))とを入れ換えた場合の入出力特性は、伝達関数F(s−jω0)の入出力特性になる。
したがって、上記(22)式からさらに計算を進めると、
と計算される。
これにより、図7(a)に示す処理を、図7(b)に示す処理に変換することができる。図7(b)に示す処理は、回転座標変換を行ってから所定の伝達関数F(s)で表される処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理であって、当該処理のシステムは線形時不変のシステムである。
ローパスフィルタの伝達関数は、時定数をTとすると、F(s)=1/(Ts+1)で表される。したがって、図9に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GLPFは、上記(23)式を用いて、下記(24)式のように算出される。
図10は、行列GLPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GLPFの1行1列要素(以下では、「(1,1)要素」と記載する。他の要素についても同様に記載する。)および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数を系統周波数fs=60Hzとした場合(すなわち、中心周波数に対応する角周波数ω0=120πの場合)のものであり、時定数Tを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a),(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、振幅特性のピークは−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、通過帯域が小さくなっている。同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GLPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号の位相を90度遅らせて通過させる。以下に、三相二相変換部721から出力される二相交流電圧vα,vβに対する伝達関数の行列GLPFに示す処理について検討する。
二相交流電圧vα,vβのうちの基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβにおいては、上記(5)、(6)式に示すように、交流電圧vsαが交流電圧vsβより90度位相が進んでいる。交流電圧vsαに行列GLPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない(図10(a)参照)。また、交流電圧vsβに行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図10(b)参照)。したがって、両者の位相が交流電圧vsαと同じ位相になるので、両者を加算することで交流電圧vsαが再現される。一方、交流電圧vsαに行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる(図10(c)参照)。また、交流電圧vsβに行列GLPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が交流電圧vsβと同じ位相になるので、両者を加算することで交流電圧vsβが再現される。
また、二相交流電圧vα,vβのうちの不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’においては、上記(7)、(8)式に示すように、交流電圧vsα’が交流電圧vsβ’より90度位相が遅れている。交流電圧vsα’に行列GLPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。また、交流電圧vsβ’に行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、交流電圧vsα’にGLPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる。また、交流電圧vsβ’に行列GLPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。
つまり、伝達関数の行列GLPFは、基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβを通過させ、不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’を遮断する。また、基本波成分と不平衡成分以外の周波数の信号(高調波成分の信号など)は基本波成分より減衰されるので、伝達関数の行列GLPFに示す処理は、基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβを抽出するバンドパスフィルタ処理であることが確認できる。
基本波抽出部722は、三相二相変換部721より入力される二相交流電圧vα,vβから、基本波成分である二相交流電圧vsα,vsβを抽出するものである。基本波抽出部722は、基本波成分抽出後の二相交流電圧vr,vjを二相三相変換部723に出力する。基本波抽出部722は、上記(24)式に示す、基本波成分を抽出するための伝達関数の行列GLPFに表される処理を行う。つまり、下記(25)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されており、時定数Tはあらかじめ設計されている。
なお、基本波抽出部722で用いられる角周波数ω0は、あらかじめ設定しておく場合に限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統周波数fsを周波数検出装置などで検出して、検出された周波数に基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。この場合、遮断器5の電力系統B側に設けられた交流電圧計が検出する交流電圧から系統周波数fsを検出すればよいが、この周波数検出装置として周波数検出器72と同様の構成のものを用いることができる。また、周波数検出器72が出力する周波数fに基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。
二相三相変換部723は、基本波抽出部722から入力される二相交流電圧vr,vjを三相交流電圧vu’,vv’,vw’に変換するものである。二相交流電圧vr,vjを三相交流電圧vu’,vv’,vw’に変換する変換式は、
である。
従って、二相三相変換部723は、(26)式〜(28)式の演算を行うことにより、基本波抽出部722から入力される二相交流電圧vr,vjを三相交流電圧vu’,vv’,vw’に変換する。
図11は、不平衡成分と5次、7次、11次の高調波成分をそれぞれ10%ずつ含む三相交流電圧vu,vv,vwの波形を示す図である。図12は、図11に示す三相交流電圧vu,vv,vwを三相二相変換部721及び角周波数ω0を系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]に設定した基本波抽出部722によってフィルタリング処理をした後、二相三相変換部723によって逆変換して得た三相交流電圧vu’,vv’,vw’をシミュレートした波形を示す図である。図12に示されるように、基本波抽出部722が三相交流電圧vu,vv,vwに含まれる不平衡成分と5次、7次、11次の高調波成分を好適に除去できることが分かる。
周波数検出部72Bは、二相三相変換部723から入力される三相交流電圧vu’,vv’,vw’のレベルを、それぞれ基準レベル(0v)と比較するレベル比較部724と、レベル比較部724の比較結果に基づいて各三相交流電圧vu’,vv’,vw’が基準レベル(0v)を交差するタイミング(ゼロクロスタイミング)を検出するゼロクロス検出部725と、系統周波数fsよりも高周波のクロックパルスを発生するパルス発生部726と、ゼロクロス検出部725から出力されるゼロクロスタイミングによってパルス発生部726から出力されるクロックパルスのカウントを制御することにより各三相交流電圧vu’,vv’,vw’の半周期若しくは1周期の時間を計測し、その時間を用いて系統の周波数fを算出する周波数算出部727とを含む。
レベル比較部724は、所定のサンプリング周期で入力される三相交流電圧vu’の電圧レベルを基準レベル(ゼロレベル)と比較する。ゼロクロス検出部725は、レベル比較部724の比較結果に基づいて、電圧レベルがゼロレベルを超えると、ハイレベルになり、電圧レベルがゼロレベル以下になると、ローレベルになるパルスPuを周波数算出部727に出力する。レベル比較部724およびゼロクロス検出部725は、三相交流電圧vv’,vw’についても同様の処理を行い、それぞれパルスPvとパルスPwを周波数算出部727に出力する。
図13に示すように、パルスPuの立上がりタイミングは、三相交流電圧vu’が負レベルから正レベルにゼロレベルをクロスする点tu+に対応し、パルスPuの立下がりタイミングは、三相交流電圧vu’が正レベルから負レベルにゼロレベルをクロスする点tu-に対応する。同様に、パルスPvの立上がりタイミングと立下がりタイミングは、三相交流電圧vv’が負レベルから正レベルにゼロレベルをクロスする点tv+と三相交流電圧vv’が正レベルから負レベルにゼロレベルをクロスする点tv-とに対応し、パルスPwの立上がりタイミングと立下がりタイミングは、三相交流電圧vw’が負レベルから正レベルにゼロレベルをクロスする点tw+と三相交流電圧vw’が正レベルから負レベルにゼロレベルをクロスする点tw-とに対応する。
周波数算出部727は、ゼロクロス検出部725から入力されるパルスPu,Pv,Pwの立上がりまたは立下がりに基づいて、三相交流電圧vu’,vv’,vw’のゼロクロスタイミングを検出する。図12に示したように、二相三相変換部723から入力される三相交流電圧vu’,vv’,vw’は三相交流電圧vu,vv,vwの基本波成分(対称三相交流)を抽出したものであるので、三相交流電圧vu’,vv’,vw’の周波数fsu,fsv,fswは同一になる。従って、三相交流電圧vu’,vv’,vw’のゼロクロスタイミングは、交流信号の基本波成分の周期の1/6のタイミングで検出される。また、周波数算出部727にはパルス発生部726から系統周波数fsの数百倍〜千数百倍の周波数を有するクロックパルスCKが入力されている。周波数算出部727は、ゼロクロスタイミングの検出に応じてクロックパルスCKをカウントし、そのカウント値から周波数fを算出する。
周波数算出部727は、図13に示すように、ゼロクロス検出部725から入力されるパルスPuの立上がりタイミングtu+でクロックパルスCKのカウントを開始し、その立上がりタイミングtu+に続くパルスPwの立下がりタイミングtw-でクロックパルスCKのカウントを停止し、そのカウント値Nを一時保存する。周波数算出部727は、カウント値NにクロックパルスCKの周期τ[sec]を乗じてゼロクロス点tu+−tw-間の時間T=τ・N[sec]を算出し、そのゼロクロス点間の時間Tの6倍の時間の逆数を演算して基本波成分の周波数f=1/(6T)=1/(6・τ・N)を算出し、その算出結果を周波数検出値として出力する。
また、周波数算出部727は、ゼロクロス検出部725から入力されるパルスPwの立下がりタイミングtw-でクロックパルスCKのカウントを開始し、その立下がりタイミングtw-に続くパルスPvの立上がりタイミングtv+でクロックパルスCKのカウントを停止し、そのカウント値NについてもクロックパルスCKの周期τ[sec]を乗じてゼロクロス点tw-−tv+間の時間T[sec]を算出する。以下、周波数算出部727は、パルスPv,Pu,Pwの立上がりタイミングと立下りタイミングが順番に検出される毎にゼロクロス点tv+−tu-間,tu-−tw+間,tw+−tv-間,tv-−tu+間,tu+−tw-間,…の各時間T[sec]を算出し、各ゼロクロス点間の時間Tの6倍の時間の逆数を演算して基本波成分の周波数fを算出し、その算出結果を周波数検出値として出力する。すなわち、周波数算出部727は、ゼロクロスタイミングを検出する毎に基本波成分の周波数fを算出する。
ゼロクロス点間カウント法は、三相交流電圧vu,vv,vwのレベルを所定の周期でサンプリングするため、サンプリング周期の間にゼロクロス点が入る場合は線形補間などによってそのゼロクロス点を検出する必要がある。また、三相交流電圧vu,vv,vwに不平衡成分や高調波成分が含まれる場合は電圧波形の歪みによりゼロクロス点の周期が正確に基本波成分の周波数f0に対応する周期にはならないので、周波数fを数周期分にわたって算出し、それらの算出結果の平均値を取るなどして不平衡成分や高調波成分の悪影響を抑制する必要がある。
本実施形態に係る周波数検出器72では、周波数検出部72Bに入力される三相交流電圧が基本波成分を抽出した三相交流電圧vu’,vv’,vw’なので、不平衡成分や高調波成分の影響が抑制されて、ゼロクロス点の周期が正確に基本波成分の周波数f0に対応する周期の6倍となっている。従って、本実施形態に係る周波数検出器72によれば、ゼロクロス点とサンプリング点との誤差を無視し得る程度にサンプリング周波数を高くすることにより、従来のゼロクロス点間カウント法よりも高速かつ高精度で周波数fを検出することができる。また、交流電圧計10などで混入するノイズの周波数成分も抑制されるので、このノイズを除去するためのフィルタを新たに設ける必要がない。
図14は、第1実施形態に係る周波数検出器72(図3参照)で検出される周波数fの応答特性をシミュレーションした結果である。具体的には、電力系統の三相交流電圧の周波数が系統周波数fs=60[Hz]で安定している状態でシミュレーションを開始し、シミュレーション開始から0.2秒後に系統周波数fsを瞬時的に60.3[Hz]に変化させた場合の周波数検出器72の応答特性を示している。また、図15は、シミュレーション開始から0.3秒後に周波数検出器72から出力される周波数fの変動状態を拡大した図である。入力される三相交流電圧vu,vv,vwに含まれる不平衡成分と5次、7次、11次の高調波成分の含有条件をそれぞれ10%とし、クロックパルスCKの周波数を100[kHz]の高周波としている。また、基本波抽出部722の角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]に設定している。
図14に示すように、シミュレーション開始から0.2秒後に系統周波数fsを瞬時的に60.0[Hz]から60.3[Hz]に上昇させると、周波数検出器72から出力される周波数fは、系統周波数fsの急変に追従しようとしてパルス状に急変するが、周波数急変時(時刻0.2秒)から凡そ0.05秒後には60.3[Hz]付近に収束することが分かる。また、周波数急変時から0.1秒経過した時(時刻0.3秒)には、図15に示すように、周波数検出器72から出力される周波数fは、60.24[Hz]と60.315[Hz]とで切り替わる状態になっている。ゼロクロス点間カウント法では、クロックパルスCKのカウント数の逆数を用いて周波数fを算出するので、割り切れない場合に誤差が生じることになる。クロックパルスCKの周波数を大きくすれば精度がよくなるので、実際には、制御装置6を構成するマイクロコンピュータ等の性能を考慮して、クロックパルスCKの周波数を設計すればよい。入力される三相交流電圧vu,vv,vwに不平衡成分や高調波成分が含まれている状態であっても、周波数検出器72から出力される周波数fは、周波数急変時(時刻0.2秒)から0.1秒以内には変化後の系統周波数fsに整定するということができる。
なお、周波数算出部727での周波数の算出方法は、上述したものに限定されない。例えば、ゼロクロス検出部725から入力されるパルスPuの立上がりタイミングtu+と立下がりタイミングtu-との間のクロックパルスCKのパルス数3Nをカウントし、そのカウント値3NにクロックパルスCKの周期τ[sec]を乗じてパルスPuのハイレベル期間Tu[sec]を算出し、そのハイレベル期間Tuの2倍の期間の逆数を演算して周波数f=1/(2Tu)=1/(6N・τ)を算出するようにしてもよい。ゼロクロス検出部725から入力されるパルスPv,Pwについても同様である。
また、例えば、パルスPuの立上がりタイミングtu+から次の立上がりタイミングtu+までクロックパルスCKをカウントし、そのカウント値Nu=6NにクロックパルスCKの周期τ[sec]を乗じて基本波成分の周期2T[sec]を算出し、その算出値の逆数1/(6N・τ)を演算して周波数fを算出するようにしてもよい。パルスPv,Pwについても同様である。
また、二相三相変換部723を設けずに二相交流電圧vr,vjを用いて、周波数を算出するようにしてもよい。すなわち、レベル比較部724が二相交流電圧vr,vjのそれぞれまたはいずれか一方を基準レベル(0v)と比較して、ゼロクロス検出部725がレベル比較部724の比較結果に基づいてゼロクロスタイミングを検出し、周波数算出部727がゼロクロスタイミングに基づいてカウントしたクロックパルスCKのパルス数から周波数fを算出するようにしてもよい。
図1に戻り、単独運転検出器73は、周波数検出器72により検出される周波数fの系統周波数fsからの変動量Δf(=f−fs)を演算し、その変動量Δfが予め設定した閾値fthを超えたか否かを判定する。そして、変動量Δfが閾値fthを超えると、単独運転検出器73は、系統連系インバータ装置Aが単独運転状態に移行したとして遮断器5に解列信号を出力する。遮断器5は、単独運転検出器73からの解列信号によって系統連系インバータ装置Aと電力系統Bとの接続を切断する。
以上のように、本実施形態によれば、周波数検出器72が系統連系インバータ装置Aの出力電圧の周波数を高速かつ高精度で検出することができるので、系統連系インバータ装置Aが単独運転状態に移行したことを高速かつ高い精度で検出することができ、系統連系インバータ装置Aを電力系統Bから切り離すことができる。
上記第1実施形態では、基本波抽出部722がローパスフィルタに代わる処理を行って基本波成分を抽出する場合について説明したが、これに限られない。抑制したい不平衡成分や高調波成分が判っているのであれば、それらの成分を抑制することで基本波成分を抽出するようにしてもよい。この場合、ハイパスフィルタに代わる処理を行うことで、ノッチフィルタとして機能させることができる。基本波抽出部722がハイパスフィルタに代わる処理で基本波成分を抽出する場合を第2実施形態として、以下に説明する。
ハイパスフィルタの伝達関数は、時定数をTとすると、F(s)=Ts/(Ts+1)で表される。したがって、図16に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからハイパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GHPFは、上記(23)式を用いて、下記(29)式のように算出される。
図17は、行列GHPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数を系統周波数fs=60Hzとした場合のものであり、時定数Tを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a)が示す振幅特性は中心周波数近辺で減衰しており、中心周波数での振幅特性は−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、遮断帯域が小さくなっている。同図(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、振幅特性のピークは−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、通過帯域が小さくなっている。また、同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。以下に、三相二相変換部721から出力される二相交流電圧vα,vβに対する伝達関数の行列GHPFに示す処理について検討する。
二相交流電圧vα,vβのうちの基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβにおいては、上記(5)、(6)式に示すように、交流電圧vsαが交流電圧vsβより90度位相が進んでいる。交流電圧vsαに行列GHPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない(図17(a)参照)。また、交流電圧vsβに行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる(図17(b)参照)。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、交流電圧vsαに行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図17(c)参照)。また、交流電圧vsβに行列GHPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。
また、二相交流電圧vα,vβのうちの不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’においては、上記(7)、(8)式に示すように、交流電圧vsα’が交流電圧vsβ’より90度位相が遅れている。交流電圧vsα’に行列GHPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。また、交流電圧vsβ’に行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる。したがって、両者の位相が交流電圧vsα’と同じ位相になるので、両者を加算することで交流電圧vsα’が再現される。一方、交流電圧vsα’に行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図17(c)参照)。また、交流電圧vsβ’に行列GHPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が交流電圧vsβ’と同じ位相になるので、両者を加算することで交流電圧vsβ’が再現される。
つまり、伝達関数の行列GHPFは、不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’を通過させ、基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβを遮断する。また、基本波成分と不平衡成分以外の周波数の信号(高調波成分の信号など)は、行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合はそのまま通過し(図17(a)参照)、(1,2)要素および(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合は減衰するので(図17(b)、(c)参照)、ほぼそのまま通過する。したがって、伝達関数の行列GHPFに示す処理は、基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβだけを除去するノッチフィルタ処理であることが確認できる。
伝達関数の行列GHPFの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた場合、上記とは逆に、不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’を遮断し、基本波成分の二相交流電圧vsα,vsβおよび高調波成分の信号などを通過させる。つまり、伝達関数の行列GHPFの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列に示す処理は、不平衡成分の二相交流電圧vsα’,vsβ’だけを除去するノッチフィルタ処理である。また、当該行列は、伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えて「−ω0」を設定したものと考えることもできる。つまり、伝達関数の行列GHPFに示す処理は、角周波数ω0として設定された周波数成分だけを除去するノッチフィルタ処理である。
例えば、抑制したい周波数成分が不平衡成分(−f0)と5次、7次、11次の高調波成分(−5f0,+7f0,−11f0)の場合、それらの周波数成分毎にノッチフィルタ処理を行えば、基本波成分のみを抽出することができる。
第2実施形態に係る周波数検出装置のブロック構成を示す図は、図3に示す第1実施形態に係る周波数検出器72において、基本波抽出部722を、基本波抽出部722’(後述する図18参照)に変更したものになる(なお、基本波抽出部722’以外の図示は省略する。)。なお、第1実施形態に係る周波数検出器72と区別するために、第2実施形態に係る周波数検出装置を周波数検出器72’とする。
図18は、第2実施形態に係る基本波抽出部722’の内部構成を説明するためのブロック図である。
基本波抽出部722’は、不平衡成分除去部722a、5次高調波除去部722b、7次高調波除去部722c、および11次高調波除去部722dを備えている。不平衡成分除去部722aは、不平衡成分の信号の通過を抑制するものであり、三相二相変換部721(図3参照)より入力される二相交流電圧vα,vβから不平衡成分を除去して出力する。不平衡成分除去部722aは、上記(29)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えて「−ω0」とした処理を行うものであり、不平衡成分除去部722aから出力される信号をvα’,vβ’とすると、下記(30)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されており、時定数Tはあらかじめ設計されている。
5次高調波除去部722b、7次高調波除去部722c、および11次高調波除去部722dは、それぞれ、5次高調波、7次高調波、11次高調波の通過を抑制するものであり、上記(29)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えてそれぞれ「−5ω0」、「7ω0」、「−11ω0」とした処理を行うものである。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されている。
なお、基本波抽出部722’で用いられる角周波数ω0は、あらかじめ設定しておく場合に限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統周波数fsを周波数検出装置などで検出して、検出された周波数に基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。また、周波数検出器72が出力する周波数fに基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。
図19は、基本波抽出部722’の周波数特性を示す図である。不平衡成分除去部722a、5次高調波除去部722b、7次高調波除去部722c、および11次高調波除去部722dは、それぞれ、不平衡成分(−f0)、5次高調波成分(−5f0)、7次高調波成分(7f0)、11次高調波成分(−11f0)の通過を抑制する周波数特性を有しているので、基本波抽出部722’全体としての周波数特性は、図19のようになる。同図によると、不平衡成分(−f0)、5次高調波成分(−5f0)、7次高調波成分(7f0)、11次高調波成分(−11f0)がそれぞれ抑制され、その他の成分である基本波成分(f0)が通過する。したがって、基本波抽出部722’は、基本波成分を好適に通過させることができ、二相交流電圧vα,vβから基本波成分である二相交流電圧vsα,vsβを抽出する。
一般的に、電力系統に重畳されている高調波は、5次、7次、11次高調波が多いので、本実施形態においては、これらと不平衡成分を抑制するようにしている。なお、基本波抽出部722’は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、高調波としては5次高調波のみを抑制したい場合は、7次高調波除去部722cおよび11次高調波除去部722dを備えている必要がなく、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(29)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0として「13ω0」を設定した13次高調波除去部をさらに備えるようにすればよい。また、電力系統に重畳されている高調波成分が少なく無視できる場合は、不平衡成分除去部722aのみとしてもよい。また、交流電圧計10などで混入するノイズを除去するために、当該ノイズの周波数成分を除去するための除去部を、基本波抽出部722’にさらに設けるようにしてもよい。
第2実施形態においても、基本波抽出部722’が不平衡成分や所定次数の高調波成分を除去することで基本波成分のみを抽出することができるので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
図20は、第2実施形態に係る周波数検出器72’で検出される周波数fの応答特性をシミュレーションした結果である。また、図21は、シミュレーション開始から0.3秒後に周波数検出器72’から出力される周波数fの変動状態を拡大した図である。シミュレーションの条件は、図14,図15に示すシミュレーション結果と同じである。
図20に示すように、第2実施形態の場合もシミュレーション開始から0.2秒後に系統周波数fsを瞬時的に60.0[Hz]から60.3[Hz]に上昇させると、周波数検出器72’から出力される周波数fはパルス状に急変するが、周波数急変時(時刻0.2秒)から凡そ0.02秒後にはほぼ60.3[Hz]に収束することが分かる。また、図21に示すように、周波数急変時から0.1秒経過した時(時刻0.3秒)には、周波数検出器72’から出力される周波数fが60.24[Hz]と60.315[Hz]とで切り替わる状態になっており、第1実施形態の場合のシミュレーション(図14,図15)と同様の誤差が生じている。従って、応答速度においては、第2実施形態に係る周波数検出器72’の方が、第1実施形態に係る周波数検出器72よりも高い性能であることが確認できた。つまり、バンドパスフィルタとしての基本波抽出部722を用いるより、ノッチフィルタとしての基本波抽出部722’を用いる方が、高速の周波数検出特性を得ることができる。
また、周知のように、ノッチフィルタ及びバンドパスフィルタを多段構成とすれば、急峻なフィルタ特性とすることができるとともに、不平衡成分や高調波成分の除去特性や応答性を容易に調整できるので、実装する場合は適当な段数の多段構成にするとよい。例えば、第1実施形態に係る周波数検出器72(図3参照)において、基本波抽出部722の後段にさらに基本波抽出部722を設けるようにしてもよい。また、ノッチフィルタとバンドパスフィルタとを組み合わせれば、両者の特性の相乗効果を期待することができ、より高速かつ高精度の周波数検出特性を得ることができる。したがって、例えば、第1実施形態に係る周波数検出器72(図3参照)において、基本波抽出部722の後段にさらに基本波抽出部722’を設けるようにしてもよい。
なお、周波数検出部72Bの構成は、上述したものに限定されない。例えば、非特許文献1に記載の乗算式PLL方式の位相検出装置によって交流電圧の位相を検出し、その位相検出装置に内蔵される積分器の分子を2πとすることにより積分器の入力を周波数と見なして周波数を検出したり、積分器に入力される角周波数を2πで割って周波数を求めたりするようにしてもよい。また、出願人が出願している特願2011−208365号に記載の周波数検出装置のように、帯域通過型の複素係数フィルタ(複素係数バンドパスフィルタ)の通過帯域における位相特性(周波数に対する位相の特性)が直線近似で表わされる特性を有していることを利用して、複素係数バンドパスフィルタの入力信号と出力信号との位相差から周波数を算出するようにしてもよい。
上記第1および第2実施形態では、QCモード周波数シフト方式の単独運転検出装置について説明したが、本発明は、スリップモード周波数シフト方式等の他の周波数シフト方式の単独運転検出装置にも適用できる。例えば、スリップモード周波数シフト方式では、図1の周波数変化率演算部71Aを除去し、周波数検出器72で検出された周波数fを用いて無効電力変動値生成部71Bで無効電力変動値ΔQを設定するようにすればよい。また、本発明は、周波数を検出し、その周波数の変動量を用いて単独運転検出を行う方式であれば、周波数シフト方式以外の他の方式にも広く適用することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、入力信号として三相交流電圧vu,vv,vwが入力される場合について説明したが、本発明に係る周波数検出装置は、単相交流電圧vが入力される場合にも適用することができる。単相交流電圧vの周波数を検出するための周波数検出装置について、第3実施形態として、以下に説明する。
図22は、第3実施形態に係る周波数検出器72”のブロック図であるが、図3の周波数検出器72に対して三相二相変換部721が設けられていない点が異なるだけである。単相の場合は、単相交流電圧vのみが入力されるので、その単相交流電圧vのサンプリングデータと「0」とが基本波抽出部722に入力される。なお、図3の周波数検出器72において、三相二相変換部721を除去し、U,V,Wのいずれかの相の交流電圧vのサンプリングデータを入力するようにしてもよい。
基本波抽出部722では、単相交流電圧vが入力された場合でも三相の場合と同様に互いに直交する二相交流電圧vr,vj(正弦波と余弦波の信号)が出力されるので、基本波抽出部722,二相三相変換部723及び周波数検出部72Bは、図3に示す三相用の周波数検出器72と同様の構成で実現することができる。
上記第1ないし第3実施形態では、単独運転検出装置7が系統連系インバータ装置Aの単独運転を検出する場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る単独運転検出装置は、例えば同期発電機などの系統連系機器の単独運転を検出する場合にも用いることができる。
上記第1ないし第3実施形態では、周波数検出器72(72’、72”)を単独運転検出装置7に用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る周波数検出装置は、他のシステムに用いることもできるし、単体で所定の交流信号の周波数を検出する検出装置として用いることもできる。例えば、電力系統Bの系統周波数fsを検出するための周波数検出装置として用いることもできる。
本発明に係る周波数検出装置および単独運転検出装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る周波数検出装置および単独運転検出装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A 系統連系インバータ装置
B 電力系統
1 直流電源
2 インバータ
3 フィルタ
4 変圧器
5 遮断器
6 制御装置
6a バス電圧目標値生成部
6b 無効電力目標値生成部
6c 無効電力算出部
6d uvw−dq変換部
6e,6f,6g,6h PI補償部
6i,6j 非干渉化部
6k dq−uvw変換部
6m PWM信号生成部
7 単独運転検出装置
71 無効電力変動制御器
71A 周波数変化率演算部
71B 無効電力変動値生成部
72,72’,72” 周波数検出器
72A 外乱除去部
72B 周波数検出部
721 三相二相変換部
722,722’ 基本波抽出部
722a 不平衡成分除去部
722b 5次高調波除去部
722c 7次高調波除去部
722d 11次高調波除去部
723 二相三相変換部
724 レベル比較部(検出手段)
725 ゼロクロス検出部(検出手段)
726 パルス発生部
727 周波数算出部
73 単独運転検出器
8 直流電圧計
9 交流電流計
10 交流電圧計(交流信号検出手段)

Claims (11)

  1. 交流信号の周波数を検出する周波数検出装置であって、
    前記交流信号に基づく第1の信号および第2の信号から基本波成分を抽出して、第1の基本波信号および第2の基本波信号を生成する基本波抽出手段と、
    前記第1の基本波信号および第2の基本波信号を用いて前記交流信号の基本波成分の周波数を検出する周波数検出手段と、
    を備えており、
    前記基本波抽出手段は、
    前記第1の信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の基本波信号を生成し、前記第1の信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の基本波信号を生成し、
    中心角周波数をω0、時定数をTとした場合、
    前記第1の伝達関数は、
    1(s)=(T・s+1)/{(T・s+1)2+(T・ω02
    であり、
    前記第2の伝達関数は、
    2(s)=−T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
    であり、
    前記第3の伝達関数は、
    3(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
    である、
    ことを特徴とする周波数検出装置。
  2. 前記第1の伝達関数が、
    G’1(s)
    =(T2・s2+T・s+T2・ω0 2)/{(T・s+1)2+(T・ω02
    である、
    請求項1に記載の周波数検出装置。
  3. 前記交流信号は、三相交流電圧を検出した検出信号であり、
    三相の前記検出信号を互いに直交する前記第1の信号および第2の信号に変換して前記基本波抽出手段に入力する三相二相変換手段を更に備える、
    請求項1または2に記載の周波数検出装置。
  4. 前記交流信号は、単相交流電圧を検出した検出信号であり、
    前記検出信号が前記第1の信号として、ゼロの信号が前記第2の信号として、前記基本波抽出手段に入力される、
    請求項1または2に記載の周波数検出装置。
  5. 前記周波数検出手段は、
    前記第1の基本波信号および第2の基本波信号に基づく信号がゼロレベルを交差するゼロクロスタイミングを検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出される前記ゼロクロスタイミングを用いて前記ゼロクロスタイミング間における所定のクロックパルスのパルス数をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号の基本波成分の周波数を算出する周波数算出手段と、
    を含む、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の周波数検出装置。
  6. 前記第1の基本波信号および第2の基本波信号を3つの信号に変換する二相三相変換手段を更に備え、
    前記検出手段は、前記3つの信号のそれぞれがゼロレベルを交差するゼロクロスタイミングを検出する、
    請求項5に記載の周波数検出装置。
  7. 前記周波数検出手段は、
    通過帯域で位相が直線的に変化する位相特性を有する帯域通過型の複数係数フィルタからなるフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段に入力される入力信号と前記フィルタ手段から出力される出力信号との位相差を算出する位相差算出手段と、
    前記フィルタ手段の前記位相特性を用いて前記位相差算出手段で算出された位相差から前記交流信号の基本波成分の周波数を算出する周波数算出手段と、
    を含む、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の周波数検出装置。
  8. 前記周波数検出手段が検出した周波数に対応する角周波数を前記中心角周波数ω0とする、
    請求項1ないし7のいずれかに記載の周波数検出装置。
  9. 電力系統に連系される系統連系インバータ装置から出力される出力交流信号を検出する交流信号検出手段と、
    前記出力交流信号の周波数を検出する、請求項1ないし8のいずれかに記載の周波数検出装置と、
    前記周波数検出装置が検出した検出値に基づいて前記系統連系インバータ装置が単独運転状態に移行したことを検出する単独運転検出手段と、
    を備えることを特徴とする単独運転検出装置。
  10. 前記系統連系インバータ装置は、当該系統連系インバータ装置から出力される無効電力量を制御する電力メジャーループを有しており、
    前記周波数検出装置で検出される周波数に基づいて、前記無効電力量を揺動させる無効電力変動値を生成し、前記電力メジャーループにフィードバックする無効電力変動値生成手段を更に備え、
    前記単独運転検出手段は、前記周波数検出手段で検出される周波数の変動量を算出し、その変動量が所定の閾値を超えることにより前記系統連系インバータ装置が単独運転状態に移行したことを検出する、
    請求項9に記載の単独運転検出装置。
  11. 前記無効電力変動値生成手段は、前記周波数検出手段で検出される周波数を用いて周波数変化率を算出し、その周波数変化率に比例して変動する前記無効電力変動値を生成する、請求項10に記載の単独運転検出装置。
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