JP5993159B2 - 位相検出装置 - Google Patents

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本発明は、電力系統の基本波成分の信号の位相を検出する位相検出装置に関するものである。
電力系統の三相電圧の一つをv=Am・sin(ω・t)=Am・sin(θ)(Am:振幅、θ:位相、ω:角周波数、t:基準時からの経過時間)とし、この三相電圧vをベクトル記号法で表すと、電圧ベクトルVは、V=Am・exp(j・θ)=Am・exp(j・ω・t)で表される。この電圧ベクトルVは、図26に示すように、基準時を実軸Rの方向として反時計回りに角周波数ωで回転する回転ベクトルを示し、時刻tにおける電圧ベクトルVの虚軸Jへの投影値が三相電圧vの瞬時値となる。なお、以下の説明では、原則として電圧ベクトルを示す符号は大文字で表記し、三相電圧の瞬時値を示す符号は小文字で表記する。
従来、電力系統の三相電圧信号の位相を検出する方法としてPLL(Phase Locked Loop)法が知られている。PLL法は、PLL回路で算出される位相θ’を有する電圧ベクトルV’をAm・exp(j・θ')=Am・exp(j・ω'・t)とすると、所定のサンプリング周期で電圧ベクトルV’と電力系統の電圧ベクトルVとの間の位相差Δθを算出し、その位相差Δθに基づいて電圧ベクトルV’の位相θ’を変化させ、電圧ベクトルV’を電圧ベクトルVに一致させるように位相θ’を制御する方式である。
非特許文献1には、図27に示す乗算式PLL法を用いた位相検出装置の構成図が示されている。乗算式PLL法は、三角関数の公式より、
sin(Δθ)=sin(θ−θ’)=sin(θ)・cos(θ’)−cos(θ)・sin(θ’)…(1)
で、|Δθ|[rad]が微小であれば、sin(Δθ)≒Δθであることから、電圧ベクトルV’の角周波数ω’を変化させるための位相差Δθを上記(1)式の演算処理により算出する方式である。
図27に示す位相検出装置100では、電力系統の三相の電圧信号vu,vv,vwをvu=Am・sin(θ)、vv=Am・sin(θ−2π/3)、vw=Am・sin(θ−4π/3)とすると、三相二相変換部101で互いに直交する電圧信号vα=Aα・sin(θ)、vβ=−Aβ・cos(θ)に変換し、正規化部102で電圧信号vα,vβの振幅をそれぞれ「1」に正規化して上記(1)式内のsin(θ)と−cos(θ)の値を算出している。そして、PLL処理部103で上記(1)式の演算処理をして位相差Δθを算出し、その算出値に基づきPLL処理部103から出力される位相θ’を変化させている。
位相検出装置100では、電力系統の三相電圧信号vu,vv,vwの検出値(所定のサンプリング周期で検出される瞬時値)が入力される毎に、位相差Δθを算出し、その位相差Δθに基づいて位相θ’を変化させるとともに、その位相θ’をsin(θ−θ’)の演算処理にフィードバックするループ処理を繰り返し、PLL処理部103から出力される位相θ’を位相差Δθがゼロとなる値、すなわち、実際の電力系統の三相電圧信号の位相θに収束させる動作が行われる。
PLL処理部103の位相θ’のフィードバック経路には余弦値演算部103aと正弦値演算部103bとが設けられ、余弦値演算部103aで上記(1)式内のcos(θ’)が演算され、正弦値演算部103bで上記(1)式内のsin(θ’)が演算される。余弦値演算部103aの演算値は乗算器103cで正規化部102からのsin(θ)に乗算され、正弦値演算部103bの演算値は乗算器103dで正規化部102からの−cos(θ)に乗算され、両乗算値が加算器103eで加算される。
従って、位相検出装置100では、三相二相変換部101からPLL処理部103の加算器103eまでが上記(1)式の演算部を構成し、加算器103eから後段の部分が位相差Δθに基づきPLL処理部103で算出される位相θ’を変化させ、当該電圧ベクトルV’の位相θ’を電力系統の電圧ベクトルVの位相θに収束させる演算部を構成している。
図27に示す乗算式PLL法を用いた位相検出装置100は、至近端で地落事故が発生したり、位相が欠落したりした場合、異常な電圧不足や電圧不平衡が生じ、PLL処理部103に入力される電圧信号vu,vv,vwも同様に異常電圧となるため、位相差Δθの算出精度が低下し、これに伴い位相θ’を電力系統の位相θに収束させる速度も低下するという問題がある。
そこで、非特許文献1や特許文献1には、電力系統の事故により三相電圧信号が不平衡になった場合でも各相の三相電圧信号は正相分が支配的であることに着目し、図28に示す、PLL処理部103’から出力される位相θ’が三相電圧信号の正相分の位相に追従するPLL法が提案されている。
図28に示す位相検出装置100’は、図27に示す位相検出装置100に対して三相二相変換部101を対称座標変換部104に変え、余弦値演算部103aをsin(θ’+2π/3)の正弦値を演算する正弦値演算部103a’に変えたものである。
対称座標変換部104では下記の演算式によりU相,V相,W相の電圧信号vu,vv,vwが各相の正相分の電圧信号vup,vvp,vwpに変換され、正規化部102では各相の正相分の電圧信号vup,vvp,vwpからそれぞれ正規化した電圧信号vup’=sin(θ),vvp’=sin(θ−2π/3),vwp’=sin(θ−4π/3)が算出される。
位相の異なる2つのsin(θ),sin(θ+ψ)と位相θ’を用いて位相差Δθ=(θ−θ’)を求める場合、
sin(θ)・sin(θ'+ψ)=sin(θ)・{sin(θ')・cos(ψ)+cos(θ')・sin(ψ)}
sin(θ')・sin(θ+ψ)=sin(θ')・{sin(θ)・cos(ψ)+cos(θ)・sin(ψ)}
の三角関数の公式より、
sin(θ)・sin(θ'+ψ)−sin(θ')・sin(θ+ψ)
=sin(ψ)・{sin(θ)・cos(θ')−cos(θ)・sin(θ')}
=sin(ψ)・sin(θ−θ')…(2)
の関係式が成立し、(2)式よりsin(θ−θ')を求めることができる。
図28に示す位相検出装置100'では、ψ=−4π/3とし、正規化部102からPLL処理部103’に電圧信号vup’=sin(θ),vwp’=sin(θ−4π/3)を入力し、正弦値演算部103a’で(2)式のsin(θ'−4π/3)=sin(θ'+2π/3)を演算するようにしている。そして、乗算器103cでsin(θ)・sin(θ'+2π/3)を演算するとともに、乗算器103dでsin(θ−4π/3)・sin(θ')=sin(θ+2π/3)・sin(θ')を演算し、加算器103eで両演算値を加算してsin(−4π/3)・sin(θ−θ’)={√(3)/2}・sin(θ−θ’)を算出している。
|θ−θ'|=|Δθ|[rad]が微小であれば、{√(3)/2}・sin(θ−θ’)≒0.866×Δθであるから、加算器103eからは位相差Δθの情報(0.866×Δθ)が出力される。従って、加算器103eの後段では加算器103eの演算結果に基づいて制御値Δω(Δθの微分値に相当)を生成し、その制御値Δωに所定の基準値ω0を加算して角周波数に相当する値ω’を生成し、その角周波数ω’に積分処理を行って位相θ’を算出している。
図26のベクトル図に示すように、電力系統の電圧ベクトルVがPLL処理部103’で生成される電圧ベクトルV’に対してΔθだけ進んだ場合、加算器103eの後段では当該加算器103eの演算値に基づいて角周波数ω’がΔωだけ増加され、PLL処理部103’で生成される電圧ベクトルV’の回転速度(角周波数ω’)を電力系統の電圧ベクトルVの回転速度(角周波数ω)よりも高くして電圧ベクトルV’を電圧ベクトルVに一致させるPLL動作が行われる。そして、電圧ベクトルV’が電圧ベクトルVに一致すると、PLL処理部103’はその状態を維持するように動作し、位相検出装置100’からは電力系統の電圧ベクトルVと同一の位相θが出力されることになる。
特開2000−116148号公報
「電力系統事故時の異常電圧に対処したPLLおよび周波数検出方式」 電学論B,118巻9号,平成10年
非特許文献1によれば、図28に示される位相検出装置100’は、電力系統の三相の電圧信号vu,vv,vwの検出値に対して対称座標変換を行うことにより各相の正相分の電圧信号vup,vvp,vwpを算出するようにしているので、不平衡成分や3次、5次、7次の高調波成分が除去され、PLL処理部103’の演算処理でこれらの成分の悪影響を排除することはできるが、11次や13次の高調波成分は除去できないという特徴がある。
従って、従来の乗算式PLL法を用いた位相検出装置は、PLLの演算処理に悪影響を与える不平衡成分や高調波成分を完全に排除することができず、精度の面で改善の余地がある。また、図28に示す位相検出装置100’では、三相の電圧信号vu,vv,vwに対して対称座標変換処理を行うので、少なくとも各相の電圧信号vu,vv,vwの1/4周期(周波数が60Hzの場合、約4ミリ秒)分のデータについて対称座標変換処理を必要とするから、位相検出の処理速度の面でも不利である。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、不平衡成分や高調波成分及びノイズ成分を好適に除去してこれらの影響を抑制し、高い精度で高速に位相を検出することができる位相検出装置を提供することを目的とする。
本発明は、交流信号の基本波成分の位相を検出する位相検出装置であって、前記交流信号に基づく第1の信号および第2の信号から基本波成分を抽出して、第1の基本波信号および第2の基本波信号を生成する基本波抽出手段と、位相を生成して出力する位相生成手段と、前記位相生成手段で生成された位相と前記第1の基本波信号および第2の基本波信号の位相との位相差を演算する位相差演算手段と、前記位相差がゼロでなければ、当該位相差に基づき前記位相生成手段で生成された位相を当該位相差が減少する方向に変更し、前記位相差がゼロであれば前記位相生成手段で生成された位相を保持する制御を行う位相制御手段とを備えており、前記基本波抽出手段は、3つの処理を1つにまとめた伝達関数行列の行列要素を用いており、前記第1の信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の基本波信号を生成し、前記第1の信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の基本波信号を生成し、前記交流信号の基本波成分の角周波数をω0、時定数をTとした場合、前記第1の伝達関数は、
1(s)=(T・s+1)/{(T・s+1)2+(T・ω02
であり、前記第2の伝達関数は、
2(s)=−T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
であり、前記第3の伝達関数は、
3(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
であることを特徴とする
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1の伝達関数が、
G’1(s)=(T2・s2+T・s+T2・ω0 2)/{(T・s+1)2+(T・ω02
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記交流信号は、三相電力系統の交流電圧を検出した検出信号であり、三相の前記検出信号を互いに直交する前記第1の信号および第2の信号に変換して前記基本波抽出手段に入力する三相二相変換手段を更に備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記交流信号は、単相電力系統の交流電圧を検出した検出信号であり、前記検出信号が前記第1の信号として、ゼロの信号が前記第2の信号として、前記基本波抽出手段に入力される。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記位相差演算手段は、前記位相生成手段で生成された位相の正弦値を演算する第1の正弦値演算手段と、前記位相生成手段で生成された位相の余弦値を演算する余弦値演算手段と、前記第1の基本波信号に基づく正弦値と、前記第2の基本波信号に基づく余弦値と、前記第1の正弦値演算手段で算出される正弦値と、前記余弦値演算手段で算出される余弦値とを用いて、所定の三角関数の乗算式で表わされる前記位相差の正弦値を演算する第2の正弦値演算手段とを備え、前記第2の正弦値演算手段が演算した前記位相差の正弦値を前記位相差として出力する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記三角関数の乗算式は、
sin(θ)・cos(θ')−cos(θ)・sin(θ')=sin(θ−θ')
但し、 θ:前記交流信号に含まれる基本波の位相
θ’:前記位相生成手段で生成される位相
sin(θ):前記第1の基本波信号に基づく正弦値
cos(θ):前記第2の基本波信号に基づく余弦値
−sin(θ'):前記第1の正弦値演算手段で算出される正弦値
cos(θ'):前記余弦値演算手段で算出される余弦値
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記位相差演算手段は、前記位相生成手段で生成された位相の正弦値を演算する正弦値演算手段と、前記第1の基本波信号がゼロレベルを交差するタイミングを検出する第1のゼロクロス検出手段と、前記正弦値演算手段で算出される正弦値がゼロレベルを交差するタイミングを検出する第2のゼロクロス検出手段と、前記第1のゼロクロス検出手段の検出タイミングと前記第2のゼロクロス検出手段の検出タイミングとのずれ時間を計時する計時手段と、前記計時手段で計時されたずれ時間に基づいて前記位相差を算出する位相差算出手段とを備えている。
本発明によれば、交流信号に不平衡成分や高調波成分が含まれていても、基本波抽出手段がそれらの成分を好適に除去して基本波成分を抽出する。位相制御手段によるPLL処理により、位相生成手段で生成される位相を第1の基本波信号または第2の基本波信号の位相に一致させることができる。したがって、電力系統の電圧信号に基本波成分以外の不平衡成分や高調波成分が含まれていても、それらの成分がPLL処理に影響を与えることを抑制して、電力系統の電圧信号の基本波成分の位相を高速かつ正確に検出することができる。
本発明に係る位相検出装置が適用される系統連系インバータの基本構成を示す図である。 系統連系インバータから出力される電圧ベクトルを説明するための図である。 第1実施形態に係る位相検出装置のブロック構成の一例を示す図である。 三相二相変換部の演算回路を示すブロック図である。 系統電圧に含まれる周波数成分を説明するための図である。 正の周波数を有する対称三相電圧ベクトルと負の周波数を有する対称三相電圧ベクトルを示す図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図であり、行列で表したものである。 行列の計算を説明するためのブロック線図である。 回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 行列GLPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 位相差演算部の回路構成を示す図である。 第1実施形態に係る位相検出装置の位相検出の応答特性(位相検出装置から出力される位相を有する電圧ベクトルの周波数の変動状態)をシミュレーションした結果を示す図である。 図13に示すシミュレーション結果のシミュレーション開始から0.3秒後における位相検出装置から出力される位相を有する電圧ベクトルの周波数の変動状態を拡大した図である。 位相差演算部の他の回路構成を示す図である。 図15に示す位相差演算部における位相差の演算処理を説明するための波形図である。 回転座標変換を行ってからハイパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 行列GHPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 第2実施形態に係る基本波抽出部の内部構成を説明するためのブロック図である。 第2実施形態に係る基本波抽出部の周波数特性を示す図である。 第2実施形態に係る位相検出装置の位相検出の応答特性をシミュレーションした結果を示す図である。 図21に示すシミュレーション結果のシミュレーション開始から0.3秒後における位相検出装置から出力される位相を有する電圧ベクトルの周波数の変動状態を拡大した図である。 第2実施形態に係る位相検出装置において位相差演算部を図15に示すものとした場合の位相検出の応答特性をシミュレーションした結果を示す図である。 図23に示すシミュレーション結果のシミュレーション開始から4.9秒後における位相検出装置から出力される位相を有する電圧ベクトルの周波数の変動状態を拡大した図である。 第3実施形態に係る位相検出装置のブロック構成を示す図である。 PLL法による位相検出の原理を説明するためのベクトル図である。 従来の乗算式PLL法を用いた位相検出装置の構成図である。 従来の乗算式PLL法を用いた他の位相検出装置の構成図である。
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る位相検出装置を系統連系インバータに適用した場合を例に、添付図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、電力系統の三相の電圧信号vu,vv,vwの基本波成分をvu=Am・cos(θ)(Am:振幅、θ:系統電圧の位相)、vv=Am・cos(θ−2π/3)、vw=Am・cos(θ−4π/3)として説明する。
まず、系統連系インバータについて、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る位相検出装置が適用される系統連系インバータの基本構成を示す図である。
図1に示す系統連系インバータ1は、直流電力を交流電力に変換して商用電力系統に供給する三相の系統連系インバータである。
系統連系インバータ1は、直流電力を出力する直流電源2、直流電源2から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路3、このインバータ回路3内のスイッチング素子TR1〜TR6のオン・オフ動作を制御するインバータ制御部4、インバータ回路3から出力される交流電圧に含まれるスイッチングノイズを除去するフィルタ回路5、フィルタ回路5から出力される交流電圧のレベルを系統電圧に合わせて電力系統9に出力するための変圧器6、変圧器6から電力系統9に出力される出力電流を検出する電流検出器7及び電力系統9の電圧を検出する電圧検出器8を備える。
直流電源2は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池211で構成される。なお、燃料電池などの他の直流電源で構成されていてもよい。インバータ回路3は、6個のスイッチング素子TR1〜TR6をブリッジ接続した、周知の電圧制御型インバータ回路で構成される。スイッチング素子としては、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果形トランジスタ、サイリスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子が用いられるが、図1は、トランジスタを用いた例である。各スイッチング素子TR1〜TR6には帰還ダイオードD1〜D6が並列に接続されている。
6個のスイッチング素子TR1〜TR6は、インバータ制御部4から出力されるPWM信号によってそれぞれオン・オフ動作が制御される。インバータ制御部4からは相互にレベルが逆になっている2つのPWM信号Spwm,/Spwmを1組として、周期は同一でオン期間(パルス幅)の異なる3組のPWM信号(Spwmi,/Spwmi)(iは組の番号を示し、i=1,2,3である。)が出力される。第1の組のPWM信号(Spwm1,/Spwm1)はスイッチング素子TR1とスイッチング素子TR2のベースに入力され、第2の組のPWM信号(Spwm2,/Spwm2)はスイッチング素子TR3とスイッチング素子TR4のベースに入力され、第3の組のPWM信号(Spwm3,/Spwm3)はスイッチング素子TR5とスイッチング素子TR6のベースに入力される。スイッチング素子TR1〜TR6はPWM信号Spwmi,/Spwmiがハイレベルのときにオン(ON)状態(導通状態)となり、ローレベルのときにオフ(OFF)状態(遮断状態)となる。
インバータ制御部4は、マイクロコンピュータによって構成され、そのマイクロコンピュータが予め設定されたプログラムによって所定の演算処理を実行することにより3組のPWM信号(Spwmi,/Spwmi)(i=1,2,3)を生成する制御を行う。なお、インバータ制御部4をFPGA(Field Programmable Gate Array)で実現することも可能である。
フィルタ回路5は、等価的にインバータ回路3の3本の出力ラインにそれぞれインダクタLFを直列に接続し、3個の出力ライン間にキャパシタCFを並列に接続した回路構成のローパスフィルタである。インバータ回路3内の接続点a〜cからは階段状にレベルが変化する波形の三相の電圧信号va’,vb’,vc’が出力される。電圧信号va’,vb’,vc’にはPWM信号Spwmi,/Spwmiによるスイッチング素子TR1〜TR6のスイッチングノイズが含まれるが、フィルタ回路5を通すことによって、そのスイッチングノイズが除去され、正弦波状の波形の電圧信号va,vb,vcが出力される。フィルタ回路5から出力される三相の電圧信号(相電圧信号)va,vb,vcは、変圧器6によってその振幅が系統電圧とほぼ同一のレベルに調整されて電力系統9に出力される。
インバータ制御部4は、例えば、系統連系インバータ1から電力系統9のU相に出力させる電圧信号vaの場合、図2に示すように、電力系統9のU相の電圧ベクトルと同一の電圧ベクトルVarと電圧ベクトルVaLとを合成した電圧ベクトルVaを生成する制御を行う。
電圧ベクトルVaLは、系統連系インバータ1から電力系統9に電流IaLを流したとき(電力を供給したとき)に、系統連系インバータ1と電力系統9との間の負荷Laに生じる電圧降下分の電圧ベクトルである。負荷Laは、フィルタ回路5のインダクタLFと変圧器6の漏れインダクタンスとを合わせたものである。また、負荷Laは厳密には抵抗分を含んでいるが、その値はリアクタンス分に比べて小さいので、図2では抵抗分を無視し、負荷Laをインダクタンス回路として記載している。電圧ベクトルVarは系統連系インバータ1を電力系統9に連系させるための電圧ベクトルである。負荷Laはインダクタンスであるから、力率1の運転をするために電圧ベクトルVaLの位相は、電圧ベクトルVarに対してほぼπ/2だけ進めている。
インバータ制御部4は、最大電力点追従制御により電力系統9に供給する電流IaL,IbL,IcLを制御することで、系統連系インバータ1から電力系統9のU,V,Wの各相に出力される電圧信号va,vb,vc(電圧ベクトルVaLに対応する電圧信号)を制御する。なお、インバータ制御部4は、電圧検出器212から入力される太陽電池211の出力電圧Vdcによって太陽電池211の最大電力点を監視するとともに、変圧器6の出力ラインに設けられた電流検出器7から入力されるU,V,Wの各相の出力電流IaL,IbL,IcLを監視し、電流マイナーループによって各相の出力電流IaL,IbL,IcLが最大電力点追従制御で設定される目標値となるように制御する。
また、インバータ制御部4は、変圧器6の出力ライン間に設けられた電圧検出器8から入力される電力系統9のU,V,Wの各相の電圧信号vu,vv,vwを用いて電力系統9の電圧信号の基本波成分の振幅Amと位相θ(電圧ベクトルVarの振幅と位相に相当)を算出する。この位相θを算出するために、インバータ制御部4には本発明に係る位相検出装置10(図3参照)が設けられる。位相検出装置10は、後述するようにデジタル演算処理によって位相θを算出するから、インバータ制御部4にはマイクロコンピュータに実行させる位相算出プログラムとして搭載される。
インバータ制御部4は、電流マイナーループで算出される電流IaLの制御値に基づき電圧ベクトルVaLの振幅ALを算出し、この振幅ALと電力系統9の電圧信号の基本波成分の振幅Am及び位相θとを用いて系統連系インバータ1から出力させるU相の電圧信号vaの目標値を算出する。また、インバータ制御部4は、同様の方法で、V相,W相の電圧信号vb,vcの目標値を算出する。
そして、インバータ制御部4は、電圧信号vaに基づいてPWM信号Spwm1,/Spwm1を生成し、電圧信号vbに基づいてPWM信号Spwm2,/Spwm2を生成し、電圧信号vcに基づいてPWM信号Spwm3,/Spwm3を生成する。
次に、インバータ制御部4に設けられる位相検出装置について説明する。図3は、第1実施形態に係る位相検出装置のブロック構成を示す図である。
図3に示す位相検出装置10は、電力系統9の三相の電圧信号(相電圧信号)vu,vv,vwを検出した信号に含まれる不平衡成分や高調波成分を除去し、正規化した電圧信号の基本波成分(正弦波信号)とその基本波成分に直交する信号(余弦波信号)を算出する基本波直交成分算出部10Aと、基本波直交成分算出部10Aから出力される正弦波信号(瞬時値)及び余弦波信号(瞬時値)と位相検出装置10から出力される位相とを用いてPLL演算処理により電力系統9の電圧信号の位相(θ)を出力するPLL処理部10Bと、を有している。
基本波直交成分算出部10Aは、電圧検出器8から入力される三相の電圧信号vu,vv,vw(所定のサンプリング周期で入力される瞬時値)を互いに直交する2相(α相とβ相)の電圧信号vα,vβに変換する三相二相変換部11と、三相二相変換部11から出力される電圧信号vα,vβに含まれる不平衡成分と所定次数の高調波成分を除去して基本波成分を抽出する基本波抽出部12と、基本波抽出部12から出力される電圧信号vr,vjを正規化する正規化部13とを含む。なお、基本波抽出部12のゲインを調整することにより正規化部13を省略することができる。
三相二相変換部11は、電圧検出器8から入力される三相の電圧信号vu,vv,vwを下記の(3)式、(4)式の演算を行うことにより互いに直交する電圧信号vα,vβに変換する。
図4は、三相二相変換部11の演算回路を示すブロック図である。同図に示すように、三相二相変換部11は、5個の乗算器11a〜11eと2個の加算器11f,11gで構成される。乗算器11a,11b,11dは、それぞれ(3)式の各項を演算する演算器であり、乗算器11c,11eは、それぞれ(4)式の各項を演算する演算器である。また、加算器11fは(3)式の各項を加算する演算器であり、加算器11gは(4)式の各項を加算する演算器である。
電圧検出器8で検出される三相の電圧信号vu,vv,vwは、一般に、基本波成分以外に不平衡成分や5次、7次、11次などの奇数次の高調波成分(図5の周波数成分参照)が含まれる不平衡三相信号である。従って、三相二相変換部11からはこれらの成分についても三相二相変換した電圧信号が出力される。
電圧信号vu,vv,vwの基本波成分vsu,vsv,vswを、
su=Asm・cos(ωs・t)
sv=Asm・cos(ωs・t−2π/3)
sw=Asm・cos(ωs・t−4π/3)
但し、Asm:基本波成分の振幅、ωs:系統電圧の角周波数、ωs=2π・fs
とすると、基本波成分の電圧ベクトルVsu,Vsv,swは、Vs=Asm・exp(j・ωs・t)、a=exp(j・2π/3)として、
su=Vs ……………………(3A)
sv=exp(-j・2π/3)・Vs
=a-1・V+=a2・Vs …(3B)
sw=exp(-j・4π/3)・Vs
=a-2・V=a・Vs …(3C)
で表わされる。
また、不平衡成分vsu’,vsv’,vsw’は、
su’=Asm’・cos(ωs・t)
sv’=Asm’・cos(ωs・t−4π/3)
sw’=Asm’・cos(ωs・t−2π/3)
但し、Asm’:不平衡成分の振幅、
で表わされ、不平衡成分の電圧ベクトルVsu’,Vsv’,Vsw’は、Vs’=Asm’・exp(j・ωs・t)として、
su’=Vs’ ………(4A)
sv’=exp(-j・4π/3)・Vs
=a-2・Vs’=a・Vs’ …(4B)
sw’=exp(-j・2π/3)・Vs
=a-1・Vs’=a2・Vs’ …(4C)
で表わされる。
基本波成分の電圧ベクトルVsu,Vsv,Vswは、図6(a)に示すように、U,V,Wの各相の電圧ベクトルVsu,Vsv,Vswが反時計回り(左回り)にU,W,Vの相順で均等に配置され、角周波数ωs=θ/tで反時計回りに回転するベクトルである。一方、不平衡成分は、U相に対するV相とW相の位相差が基本波成分のU相に対するV相とW相の位相差と逆になっているから、不平衡成分の相順は基本波成分の相順に対して逆になっている。従って、不平衡成分の電圧ベクトルVsu’,Vsv’,Vsw’は、図6(b)に示すように、U,V,Wの各相の電圧ベクトルVsu’,Vsv’,Vsw’が時計回りにU,W,Vの相順で均等に配置され、角周波数ωs=θ/tで反時計回りに回転するベクトルとなっている。
(3A)式〜(3C)式で表わされる基本波成分の電圧ベクトルVsu,Vsv,Vswを(3)式と(4)式のvu,vv,vwに代入して電圧ベクトルを算出すると、電圧ベクトルVsα,Vsβは、
となる。
基本波成分の二相電圧信号vsα,vsβは、電圧ベクトルVsα,Vsβの実軸上への投影値で与えられるから、三相二相変換部11から出力される基本波成分の電圧信号vsα,vsβは、
sα=√(3/2)・Asm・cos(ωs・t) …(7)
sβ=√(3/2)・Asm・sin(ωs・t) …(8)
となる。
同様に、(4A)式〜(4C)式のVsu’,Vsv’,Vsw’を(3)式と(4)式のvu,vv,vwに代入して電圧ベクトルを算出すると、電圧ベクトルVsα’,Vsβ’は、Vsα’=√(3/2)・Vs’、Vsβ’=j・√(3/2)・Vs’となるから、三相二相変換部11から出力される不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’は、
sα’=√(3/2)・Asm’・cos(ωs・t) …(9)
sβ’=−√(3/2)・Asm’・sin(ωs・t) …(10)
となる。また、cos(ωs・t)=cos(−ωs・t)、sin(ωs・t)=−sin(−ωs・t)であるから、これらを(9)式、(10)式に代入すると、
sα’=√(3/2)・Asm’・cos(−ωs・t) …(9’)
sβ’=√(3/2)・Asm’・sin(−ωs・t) …(10’)
となる。
(9’)式及び(10’)式と(7)式及び(8)式を比較すると、基本波成分の角周波数が「ωs」であるのに対し、不平衡成分の角周波数が「−ωs」である点が相違する。すなわち、三相二相変換部11から出力される基本波成分の二相電圧信号vsα,vsβの周波数を「正の周波数」とすると、不平衡成分の二相電圧信号vsα’,vsβ’は、三相二相変換部11から「負の周波数」で出力されるということができる。
図5において、基本波成分を正の周波数領域の周波数「fs」の位置に表示し、不平衡成分の周波数を「−fs」として不平衡成分を負の周波数領域の周波数「−fs」の位置に表示しているのは上記の周波数の関係を示している。なお、図5には、周波数検出に影響のある5次、7次、11次の高調波成分のみを描いている。3の整数倍の高調波成分は線間電圧には表れず、相電圧でもΔ結線のトランスで除去され、11次よりも大きい奇数次の高調波成分はレベルが小さく、無視し得るからである。
不平衡成分が負の周波数になるのは、不平衡成分の相順が基本波成分の相順に対して逆になるからであるから、基本波成分の周波数fsをn倍(n:2以上の整数)したn次高調波成分についても同様で、n次高調波成分の相順が基本波成分と同一になる場合は、その周波数fns(添え字nは次数)は正の周波数となり、n次高調波成分の相順が基本波成分と逆になる場合は、その周波数fnsは負の周波数となる。
5次、7次、11次の高調波成分は、U,V,Wの各相の電圧ベクトルをVnu,Vnv,Vnw(添え字のnは次数)と表記し、電圧ベクトルVnをVn=Anm・exp(j・n・ωs・t)(Anm:n次高調波成分の振幅)とすると、
nu=Vn
nv=Vn・exp(-j・2nπ/3)
nw=Vn・exp(-j・4nπ/3)
但し、n=5,7,11
で表わされる。exp(−j・2nπ/3)={exp(−j・2π/3)}n=a2n、exp(−j・4nπ/3)={exp(−j・4π/3)}n=anであるから、電圧ベクトルVnu,Vnv,Vnwは、
nu=Vn
nv=a2n・Vn
nw=an・Vn
と表わされる。
5次高調波成分の電圧ベクトルV5u,V5v,V5wと11次高調波成分の電圧ベクトルV11u,V11v,V11wは、
(V5u,V5v,V5w)=(V5,a10・V5,a5・V5
=(V5,a・V5,a2・V5
(V11u,V11v,V11w)=(V11,a22・V11,a11・V11
=(V11,a・V11,a2・V11
となり、U,V,Wの相順は基本波成分に対して逆相となるので、5次高調波成分及び11次高調波成分の周波数は負の周波数となる。
一方、7次高調波成分の電圧ベクトルV7u,V7v,V7wは、
(V7u,V7v,V7w)=(V7,a14・V7,a7・V7
=(V7,a2・V7,a・V7
となり、U,V,Wの相順は基本波成分に対して同相となるので、7次高調波成分の周波数は正の周波数となる。
従って、図5では、5次高調波成分と11次高調波成分は、負の周波数領域の周波数「−5fs」と「−11fs」の位置にそれぞれ表示され、7次高調波成分は正の周波数領域の周波数「7fs」の位置に表示されている。
また、5次高調波成分を三相二相変換した電圧信号v5α,v5βは、不平衡成分を三相二相変換した電圧信号vsα’,vsβ’の周波数を5倍したものとなり、11次高調波成分を三相二相変換した電圧信号v11α,v11βは、同電圧信号vsα’,vsβ’の周波数を11倍したものとなり、7次高調波成分を三相二相変換した電圧信号v7α,v7βは、基本波成分を三相二相変換した電圧信号vsα,vsβの周波数を7倍したものとなるから、
5α=√(3/2)・A5m・cos(−5ωs・t) …(11)
5β=√(3/2)・A5m・sin(−5ωs・t) …(12)
7α=√(3/2)・A7m・cos(7ωs・t) …(13)
7β=√(3/2)・A7m・sin(7ωs・t) …(14)
11α=√(3/2)・A11m・cos(−11ωs・t) …(15)
11β=√(3/2)・A11m・sin(−11ωs・t) …(16)
で表わされる。
従って、三相二相変換部11から基本波抽出部12には、(7)式〜(16)式で表わされる基本波成分、不平衡成分及び5次、7次、11次の高調波成分の各二相の電圧信号(vsα,vsβ),(vsα’,vsβ’),(vnα,vnβ)(n=5,7,11)を含む二相の電圧信号vα,vβが出力される。
基本波抽出部12は、三相二相変換部11より入力される電圧信号vα,vβから、基本波成分である電圧信号vsα,vsβを抽出するものである。基本波抽出部12は、回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と同様の処理を行うものである。
電圧信号vα,vβを、系統電圧の基本波の位相θに基づいて回転座標変換すると、基本波成分は直流成分に変換される。回転座標変換後の信号をローパスフィルタ処理すると、直流成分だけを通過させて交流成分を遮断することで、直流成分に変換された基本波成分だけを抽出することができる。抽出された直流成分に静止座標変換を行って基本波成分に戻すことで、基本波成分である電圧信号vsα,vsβを抽出することができる。基本波抽出部12は、これらの処理と同様の処理を線形時不変の処理で行う。
まず、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明する。
図7(a)は、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を説明するための図である。当該処理では、まず、信号αおよびβが、回転座標変換によって、信号dおよびqに変換される。信号dおよびqに対して、それぞれ所定の伝達関数F(s)で表される処理が行われ、信号d’およびq’が出力される。次に、信号d’およびq’が静止座標変換によって、信号α’およびβ’に変換される。図7(a)に示す非線形時変の処理を、図7(b)に示す線形時不変の伝達関数の行列Gを用いた処理に変換する。
図7(a)に示す回転座標変換は下記(17)式の行列式で表され、静止座標変換は下記(18)式の行列式で表される。
したがって、図7(a)に示す処理を、行列を用いて、図8(a)のように表すことができる。図8(a)に示す3つの行列の積を計算し、算出された行列を線形時不変の行列にすることで、図7(b)に示す行列Gを算出することができる。このとき、静止座標変換および回転座標変換の行列を行列の積に変換したうえで、算出を行う。
回転座標変換の行列は、下記(19)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
また、静止座標変換の行列は、下記(20)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。当該行列の積の中央の行列は線形時不変の行列である。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
上記(19)式および(20)式を用いて、図8(a)に示す3つの行列の積を計算して、行列Gを算出すると、下記(21)式のように計算される。
上記(21)式の中央の行列の1行1列目の要素(なお、当該要素は、線形代数学上の積を表しているのではない)に注目し、これをブロック線図で表すと、図9に示すブロック線図になる。F(s)はインパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数である。図9に示すブロック線図の入出力特性を、たたみこみ積分を用いて計算すると、
となる。
ここで、θ(t)=ω0tとすると、θ(t)−θ(τ)=ω0t−ω0τ=ω0(t−τ)=θ(t−τ)となるので、図9に示すブロック線図の入出力特性は、インパルス応答f(t)exp(−jω0t)を持つ線形時不変系のものに等しい。インパルス応答f(t)exp(−jω0t)をラプラス変換すると、伝達関数F(s+jω0)が得られる。また、図9に示すブロック線図のexp(jθ(t))とexp(−jθ(t))とを入れ換えた場合の入出力特性は、伝達関数F(s−jω0)の入出力特性になる。
したがって、上記(21)式からさらに計算を進めると、
と計算される。
これにより、図8(a)に示す処理を、図8(b)に示す処理に変換することができる。図8(b)に示す処理は、回転座標変換を行ってから所定の伝達関数F(s)で表される処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理であって、当該処理のシステムは線形時不変のシステムである。
ローパスフィルタの伝達関数は、時定数をTとすると、F(s)=1/(Ts+1)で表される。したがって、図10に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからローパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GLPFは、上記(22)式を用いて、下記(23)式のように算出される。
図11は、行列GLPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GLPFの1行1列要素(以下では、「(1,1)要素」と記載する。他の要素についても同様に記載する。)および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数を系統電圧の基本波の周波数(以下では、「系統周波数fs」とする。)=60Hzとした場合(すなわち、中心周波数に対応する角周波数ω0=120πの場合)のものであり、時定数Tを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a),(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、振幅特性のピークは−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、通過帯域が小さくなっている。同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GLPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数(中心角周波数)の信号の位相を90度遅らせて通過させる。以下に、三相二相変換部11から出力される電圧信号vα,vβに対する伝達関数の行列GLPFに示す処理について検討する。
電圧信号vα,vβのうちの基本波成分の電圧信号vsα,vsβにおいては、上記(7)、(8)式に示すように、電圧信号vsαが電圧信号vsβより90度位相が進んでいる。電圧信号vsαに行列GLPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない(図11(a)参照)。また、電圧信号vsβに行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図11(b)参照)。したがって、両者の位相が電圧信号vsαと同じ位相になるので、両者を加算することで電圧信号vsαが再現される。一方、電圧信号vsαに行列GLPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる(図11(c)参照)。また、電圧信号vsβに行列GLPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が電圧信号vsβと同じ位相になるので、両者を加算することで電圧信号vsβが再現される。
また、電圧信号vα,vβのうちの不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’においては、上記(9)、(10)式に示すように、電圧信号vsα’が電圧信号vsβ’より90度位相が遅れている。電圧信号vsα’に行列GLPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。また、電圧信号vsβ’に行列GLPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、電圧信号vsα’にGLPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる。また、電圧信号vsβ’に行列GLPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。
つまり、伝達関数の行列GLPFは、基本波成分の電圧信号vsα,vsβを通過させ、不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’を遮断する。また、基本波成分と不平衡成分以外の周波数の信号(高調波成分の信号など)は基本波成分より減衰されるので、伝達関数の行列GLPFに示す処理は、基本波成分の電圧信号vsα,vsβを抽出するバンドパスフィルタ処理であることが確認できる。
基本波抽出部12は、三相二相変換部11より入力される電圧信号vα,vβから、基本波成分である電圧信号vsα,vsβを抽出するものである。基本波抽出部12は、基本波成分抽出後の電圧信号vr,vjを正規化部13に出力する。基本波抽出部12は、上記(23)式に示す、基本波成分を抽出するための伝達関数の行列GLPFに表される処理を行う。つまり、下記(24)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されており、時定数Tはあらかじめ設計されている。
なお、基本波抽出部12で用いられる角周波数ω0は、あらかじめ設定しておく場合に限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統周波数fsを周波数検出装置などで検出して、検出された周波数に基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。
正規化部13は、基本波抽出部12から出力される電圧信号vr,vjのレベルを「1」に正規化する演算処理を行う。基本波抽出部12から出力される電圧信号vsα,vsβは振幅が同一の正弦波信号と余弦波信号なので、√(vr 2+vj 2)を演算することにより振幅が求められる。従って、正規化部13は、電圧信号vr,vjに対してそれぞれvr/√(vr 2+vj 2)とvj/√(vr 2+vj 2)の演算処理を行うことで正規化を行い、正規化された電圧信号vr’=cos(θ)(θ=ω・t)と電圧信号vj’=sin(θ)を出力する。
PLL処理部10Bは、基本波直交成分算出部10Aから出力される正規化された電圧信号vr’,vj’と、当該PLL処理部10Bから出力される位相θ’(以下、「出力位相θ'」という。)とを用いて電圧信号vr’,vj’の位相θ(以下、「入力位相θ」という。)と出力位相θ’の位相差Δθ(=θ−θ’)を算出する位相差演算部14と、位相差Δθに基づいて出力位相θ’を更新する位相更新部15とを含む。
位相差演算部14は、sin(θ)・cos(θ’)−cos(θ)・sin(θ’)の三角関数の乗算式で表わされる演算を行うものである。位相差演算部14は、図12に示すように、出力位相θ’に対し正弦値−sin(θ’)を演算する正弦値演算器14aと、出力位相θ’に対して余弦値cos(θ’)を演算する余弦値演算器14bと、正弦値−sin(θ’)と基本波直交成分算出部10Aから出力される正規化された電圧信号vr’(余弦値cos(θ))とを乗算する乗算器14cと、余弦値cos(θ’)と基本波直交成分算出部10Aから出力される正規化された電圧信号vj’(正弦値sin(θ))とを乗算する乗算器14dと、乗算器14cの乗算結果と乗算器14dの乗算結果を加算する加算器14eで構成されている。
sin(θ)・cos(θ’)−cos(θ)・sin(θ’)=sin(θ−θ’)で、|θ−θ’|=|Δθ|が微小であれば、sin(θ−θ’)≒Δθであるから、位相差演算部14は実質的に位相差Δθを演算している。なお、正規化された互いに直交する電圧信号vr’,vj’に対してdq変換処理を行い、d軸上の電圧信号vdとq軸上の電圧信号vqを算出する場合、そのdq変換処理は、
より、vq=−cos(θ)・sin(θ’)+sin(θ)・cos(θ’)=sin(θ−θ’)であるから、位相差演算部14における演算処理は、基本波直交成分算出部10Aから出力される正規化された互いに直交する相電圧信号vr’,vj’に対してdq変換処理を行い、q軸上の電圧信号vqを算出する処理と言うこともできる。
位相更新部15は、位相差演算部14から出力される位相差Δθをループフィルタ15aに通した後、その出力(位相差Δθの微分値で角周波数Δωに相当する値)に加算器15bで所定の基準値ω0(本実施形態では系統周波数fsに対応する角周波数ωs=2πfsに設定)を加算し、その加算値ω’=ω0+Δωに積分器15cで積分処理を行って位相θ’を算出する。
例えば、電力系統9の位相θ=2πfs・tが安定していれば、位相更新部15から出力される出力位相θ’は入力位相θに収束し、位相差演算部14から出力される位相差Δθは「0」になるから、位相更新部15から出力される出力位相θ’は、θ’=θ=2πfs・tに保持されている。この状態で、電力系統9の位相θが瞬間的にψだけ増加すると、位相差演算部14からは(θ+ψ)−θ’=ψの位相差Δθが出力されるから、位相更新部15ではω’が位相差Δθに基づくΔωだけ増加し、位相更新部15における電圧ベクトルV’(図26に示した電圧ベクトルV’参照)の回転速度が増加して電力系統9の電圧ベクトルV(図26に示した電圧ベクトルV参照)の位相θの変動に追従するように変化する。従って、PLL処理部10Bで出力位相θ’の更新処理が繰り返されることにより位相差Δθが減少し、Δθ=0になると、すなわち、出力位相θ’がθ’=θ=2πfs・t+ψになると、位相更新部15から出力される出力位相θ’はその値に保持されることになる。
上記のように、本実施形態に係る位相検出装置10によれば、基本波抽出部12が基本波成分を抽出してその他の成分(不平衡成分や所定次数の高調波成分)を除去したうえで、位相差演算部14が位相差を算出しているので、不平衡成分や高調波成分の影響を受けることを抑制して高い精度で高速に位相を検出することができる。また、基本波抽出部12の入出力間で位相差が生じないというメリットもある。また、電圧検出器8などで混入するノイズの周波数成分も抑制されるので、このノイズを除去するためのフィルタを新たに設ける必要がない。
図13は、第1実施形態に係る位相検出装置10(図3参照)から出力される出力位相θ’を有する電圧ベクトルV’の周波数f’の応答特性をシミュレーションした結果である。また、図14は、シミュレーション開始から0.3秒後の電圧ベクトルV’の周波数f’の変動状態を拡大した図である。図13、図14では、縦軸に電圧ベクトルV’の周波数f’=ω’/(2π)[Hz]を取っている。
図13は、電力系統9の電圧信号の位相θ(周波数f=系統周波数fs=60Hz。位相角ψ=0)が安定している状態でシミュレーションを開始し、シミュレーション開始から0.2秒後に電力系統9の位相θを瞬時的に90度進ませた場合(θ=2πfs・t+π/2とした場合)の位相検出装置10の応答特性を示している。電圧検出器8の検出電圧信号vu,vv,vwに含まれる不平衡成分の含有条件を5%とし、5次、7次、11次の高調波成分の含有条件をそれぞれ5%としている。また、基本波抽出部12の角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]に設定している。
図13に示すように、シミュレーション開始から0.2秒後に電力系統の位相θを瞬時的に「2πfs・t」から「2πfs・t+π/2」に変化させると、位相検出装置10は、位相差演算部14から出力される位相差Δθが「0」から「π/2」に急変するので、その位相差Δθの急変に基づいて出力位相θ’を増加させる。位相急変時(時刻0.2秒)は、位相差Δθが大きいので、位相検出装置10は、PLL処理部10Bにおける電圧ベクトルV’の周波数f’を急上昇させて電圧ベクトルV’を電力系統9の電圧ベクトルVに合わせるようにPLL動作をするが、その後は上昇させた周波数f’を減少させて電圧ベクトルV’を電力系統9の電圧ベクトルVに一致させるようにPLL動作をする。
位相急変時(時刻0.2秒)から0.05秒が経過するまでの間にPLL処理部10Bにおける電圧ベクトルV’の周波数f’が凡そ75Hzをピークにパルス状に変化しているのは、その様子を示している。また、位相急変時(時刻0.2秒)から0.1秒経過した時(時刻0.3秒)には、図14に示すように、位相検出装置10におけるPLL動作は、周波数f’のリップルが±0.012Hz程度(系統周波数fs=60Hzに対して変動幅0.04%程度)となるので、位相検出装置10の出力位相θ’は、位相急変時(時刻0.2秒)から0.1秒以内に電力系統の変化後の位相θに整定するということができる。
図13,図14のシミュレーション結果より、第1実施形態に係る位相検出装置10によれば、電力系統9の電圧信号に不平衡成分や高調波成分が含まれている状態で電力系統9の位相θが急峻に変動した場合でも、十分にその変動に追従し、高い応答精度で電力系統9の位相θを検出することができるという効果を奏する。
なお、PLL処理部10Bの構成は、上述したものに限定されない。例えば、位相差の算出を他の方法で行うようにしてもよい。第1実施形態に係る位相検出装置10において、位相差演算部14で行う処理を他の方法で行う場合の実施例について、以下に説明する。
図15は、位相差Δθを求める他の方法の位相差演算部14’を示すブロック図である。図12は、三角関数の乗算式を用いて位相差Δθの正弦値sin(Δθ)を演算する方法であったが、図15に示す方法は、図16に示すように、出力位相θ’の正弦波信号sin(θ’)を生成し、この正弦波信号sin(θ’)と基本波直交成分算出部10Aから出力される正規化された電圧信号vj’=sin(θ)の位相差Δθを直接カウントする方法である。具体的には、電圧信号vj’=sin(θ)が負側から正側にゼロレベルを交差するタイミングt1を検出するとともに、正弦波信号sin(θ’)が負側から正側にゼロレベルを交差するタイミングt1’を検出し、t1とt1’の間の時間ΔTを求め、その時間ΔTから位相差Δθを求める方法である。なお、sin(θ)の周期をTとすると、ΔT/T=Δθ/2πであるから、位相差ΔθはΔθ=2π・ΔT/Tを演算することにより求められる。
図15に示す位相差演算部14’は、基本波直交成分算出部10Aから出力される電圧信号vj’=sin(θ)のレベルをゼロレベルと比較する比較器14fと、比較器14fの出力信号を用いて電圧信号vj’=sin(θ)のレベルがゼロレベルを交差するタイミングを検出する第1のゼロクロス検出器14gと、出力位相θ’に対して正弦波信号sin(θ’)を演算する正弦値演算器14hと、正弦値演算器14hから出力される正弦波信号sin(θ’)のレベルをゼロレベルと比較する比較器14iと、比較器14iの出力信号を用いて正弦波信号sin(θ’)のレベルがゼロレベルを交差するタイミングを検出する第2のゼロクロス検出器14jと、電圧信号vj’=sin(θ)の周波数よりも高周波のクロックCLKを発生するクロック発生器14kと、第1のゼロクロス検出器14gと第2のゼロクロス検出器14jから出力される検出信号を用いてクロックCLKのパルス数をカウントするカウンタ14lと、カウンタ14lでカウントされるカウント数Nから位相差Δθを算出する位相差算出器14mで構成されている。
比較器14f,14iは、例えば、電圧信号vj’=sin(θ),正弦波信号sin(θ’)のレベルがゼロレベルより小さいと、ローレベルを出力し、ゼロレベル以上になると、ハイレベルを出力する。従って、図16に示すように、比較器14fからは電圧信号vj’=sin(θ)のレベルが負レベルから正レベルに交差するタイミングt1でハイレベルになり、正レベルから負レベルに交差するタイミングt2でローレベルになるゼロクロス検出信号Sz1が出力され、比較器14iからは正弦波信号sin(θ’)のレベルが負レベルから正レベルに交差するタイミングt1’でハイレベルになり、正レベルから負レベルに交差するタイミングt2’でローレベルになるゼロクロス検出信号Sz2が出力される。
カウンタ14lは、正弦波信号sin(θ’)が基本波直交成分算出部10Aから出力される電圧信号vj’=sin(θ)より遅れている場合は、図16に示すように、ゼロクロス検出信号Sz1の立ち上がり信号でカウント値をゼロにリセットしてクロックCLKのパルスのカウントを開始し、ゼロクロス検出信号Sz2の立ち上がり信号でクロックCLKのパルスのカウントを停止し、そのカウント数Nを位相差算出器14mに出力する。一方、正弦波信号sin(θ’)が電圧信号vj’=sin(θ)より進んでいる場合は、ゼロクロス検出信号Sz2の立ち上がり信号でカウント値をゼロにリセットしてクロックCLKのパルスのカウントを開始し、ゼロクロス検出信号Sz1の立ち上がり信号でクロックCLKのパルスのカウントを停止し、そのカウント数Nを位相差算出器14mに出力する。すなわち、カウンタ14lは、|t1-t1'|の期間を示すカウント数Nを算出する。
位相差算出器14mは、カウント数Nと係数K=2π/NT(NT:周期TにおけるクロックCLKのパルスカウント数)の乗算を行い、位相差Δθを算出する。なお、クロックCLKの周期をτとすると、周期T=NT・τ、ΔT=N・τである。上記のようにΔθ=2π・ΔT/Tであるから、Δθ=2π・N・τ/NT・τ=2π・(N/NT)となる。以上のように、当該実施例に係る位相差演算部14’においても位相差の算出をすることができるので、位相差演算部14を用いた場合と同様の効果を奏することができる。
上記第1実施形態では、基本波抽出部12がローパスフィルタに代わる処理を行って基本波成分を抽出する場合について説明したが、これに限られない。抑制したい不平衡成分や高調波成分が判っているのであれば、それらの成分を抑制することで基本波成分を抽出するようにしてもよい。この場合、ハイパスフィルタに代わる処理を行うことで、ノッチフィルタとして機能させることができる。基本波抽出部12がハイパスフィルタに代わる処理で基本波成分を抽出する場合を第2実施形態として、以下に説明する。
ハイパスフィルタの伝達関数は、時定数をTとすると、F(s)=Ts/(Ts+1)で表される。したがって、図17に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからハイパスフィルタ処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GHPFは、上記(22)式を用いて、下記(25)式のように算出される。
図18は、行列GHPFの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数を系統周波数fs=60Hzとした場合のものであり、時定数Tを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a)が示す振幅特性は中心周波数近辺で減衰しており、中心周波数での振幅特性は−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、遮断帯域が小さくなっている。同図(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、振幅特性のピークは−6dB(=1/2)である。また、時定数Tが大きくなると、通過帯域が小さくなっている。また、同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。以下に、三相二相変換部11から出力される電圧信号vα,vβに対する伝達関数の行列GHPFに示す処理について検討する。
電圧信号vα,vβのうちの基本波成分の電圧信号vsα,vsβにおいては、上記(7)、(8)式に示すように、電圧信号vsαが電圧信号vsβより90度位相が進んでいる。電圧信号vsαに行列GHPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない(図18(a)参照)。また、電圧信号vsβに行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる(図18(b)参照)。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、電圧信号vsαに行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図18(c)参照)。また、電圧信号vsβに行列GHPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。
また、電圧信号vα,vβのうちの不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’においては、上記(9)、(10)式に示すように、電圧信号vsα’が電圧信号vsβ’より90度位相が遅れている。電圧信号vsα’に行列GHPFの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。また、電圧信号vsβ’に行列GHPFの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度遅れる。したがって、両者の位相が電圧信号vsα’と同じ位相になるので、両者を加算することで電圧信号vsα’が再現される。一方、電圧信号vsα’に行列GHPFの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相が90度進む(図18(c)参照)。また、電圧信号vsβ’に行列GHPFの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合、振幅が半分になって、位相は変化しない。したがって、両者の位相が電圧信号vsβ’と同じ位相になるので、両者を加算することで電圧信号vsβ’が再現される。
つまり、伝達関数の行列GHPFは、不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’を通過させ、基本波成分の電圧信号vsα,vsβを遮断する。また、基本波成分と不平衡成分以外の周波数の信号(高調波成分の信号など)は、行列GHPFの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行った場合はそのまま通過し(図18(a)参照)、(1,2)要素および(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行った場合は減衰するので(図18(b)、(c)参照)、ほぼそのまま通過する。したがって、伝達関数の行列GHPFに示す処理は、基本波成分の電圧信号vsα,vsβだけを除去するノッチフィルタ処理であることが確認できる。
伝達関数の行列GHPFの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた場合、上記とは逆に、不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’を遮断し、基本波成分の電圧信号vsα,vsβおよび高調波成分の信号などを通過させる。つまり、伝達関数の行列GHPFの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列に示す処理は、不平衡成分の電圧信号vsα’,vsβ’だけを除去するノッチフィルタ処理である。また、当該行列は、伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えて「−ω0」を設定したものと考えることもできる。つまり、伝達関数の行列GHPFに示す処理は、角周波数ω0として設定された周波数成分だけを除去するノッチフィルタ処理である。
例えば、抑制したい周波数成分が不平衡成分(−fs)と5次、7次、11次の高調波成分(−5fs,+7fs,−11fs)の場合、それらの周波数成分毎にノッチフィルタ処理を行えば、基本波成分のみを抽出することができる。
第2実施形態に係る位相検出装置のブロック構成を示す図は、図3に示す第1実施形態に係る位相検出装置10において、基本波抽出部12を、基本波抽出部12’(後述する図19参照)に変更したものになる(なお、基本波抽出部12’以外の図示は省略する。)。なお、第1実施形態に係る位相検出装置10と区別するために、第2実施形態に係る位相検出装置を位相検出装置10’とする。
図19は、第2実施形態に係る基本波抽出部12’の内部構成を説明するためのブロック図である。
基本波抽出部12’は、不平衡成分除去部121、5次高調波除去部122、7次高調波除去部123、および11次高調波除去部124を備えている。不平衡成分除去部121は、不平衡成分の信号の通過を抑制するものであり、三相二相変換部11(図3参照)より入力される電圧信号vα,vβから不平衡成分を除去して出力する。不平衡成分除去部121は、上記(25)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えて「−ω0」とした処理を行うものであり、不平衡成分除去部121から出力される信号をvα’,vβ’とすると、下記(26)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されており、時定数Tはあらかじめ設計されている。
5次高調波除去部122、7次高調波除去部123、および11次高調波除去部124は、それぞれ、5次高調波、7次高調波、11次高調波の通過を抑制するものであり、上記(25)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0に代えてそれぞれ「−5ω0」、「7ω0」、「−11ω0」とした処理を行うものである。角周波数ω0は、系統周波数fs=60Hzに対応する角周波数ωs=120π[rad/sec]があらかじめ設定されている。
なお、基本波抽出部12’で用いられる角周波数ω0は、あらかじめ設定しておく場合に限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統周波数fsを周波数検出装置などで検出して、検出された周波数に基づいて角周波数ω0を算出して用いるようにしてもよい。
図20は、基本波抽出部12’の周波数特性を示す図である。不平衡成分除去部121、5次高調波除去部122、7次高調波除去部123、および11次高調波除去部124は、それぞれ、不平衡成分(−fs)、5次高調波成分(−5fs)、7次高調波成分(7fs)、11次高調波成分(−11fs)の通過を抑制する周波数特性を有しているので、基本波抽出部12’全体としての周波数特性は、図20のようになる。同図によると、不平衡成分(−fs)、5次高調波成分(−5fs)、7次高調波成分(7fs)、11次高調波成分(−11fs)がそれぞれ抑制され、その他の成分である基本波成分(fs)が通過する。したがって、基本波抽出部12’は、基本波成分を好適に通過させることができ、電圧信号vα,vβから基本波成分である電圧信号vsα,vsβを抽出する。
一般的に、電力系統9に重畳されている高調波は、5次、7次、11次高調波が多いので、本実施形態においては、これらと不平衡成分を抑制するようにしている。なお、基本波抽出部12’は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、高調波としては5次高調波のみを抑制したい場合は、7次高調波除去部123および11次高調波除去部124を備えている必要がなく、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(25)式に示す伝達関数の行列GHPFにおいて、角周波数ω0として「13ω0」を設定した13次高調波除去部をさらに備えるようにすればよい。また、電力系統9に重畳されている高調波成分が少なく無視できる場合は、不平衡成分除去部121のみとしてもよい。また、電圧検出器8などで混入するノイズを除去するために、当該ノイズの周波数成分を除去するための除去部を、基本波抽出部12’にさらに設けるようにしてもよい。
第2実施形態においても、基本波抽出部12’が不平衡成分や所定次数の高調波成分を除去することで基本波成分を抽出することができるので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
図21は、第2実施形態に係る位相検出装置10’の位相検出の応答特性(位相検出装置10’から出力される位相θ’を有する電圧ベクトルV’の周波数の変動状態)をシミュレーションした結果である。また、図22は、シミュレーション開始から0.3秒後の電圧ベクトルV’の周波数f’の変動状態を拡大した図である。シミュレーションの条件やグラフの表示態様は、図13,図14の場合と同一である。
図21に示すように、位相急変時(時刻0.2秒)の直後からPLL処理部10Bにおける電圧ベクトルV’の周波数f’が急上昇し、凡そ110Hzをピークにパルス状に変化した後、位相急変時から凡そ0.02秒経過後(時刻0.22秒)には位相検出装置10の出力位相θ’が電力系統の変化後の位相θに整定することが確認できた。また、図22に示すように、位相急変時から0.1秒経過後(時刻0.3秒)における周波数f’のリップルはほぼゼロであることも確認できた。従って、第2実施形態に係る位相検出装置10’の方が、応答速度及び検出精度のいずれにおいても、第1実施形態に係る位相検出装置10よりも高い性能であることが確認できた。つまり、バンドパスフィルタとしての基本波抽出部12を用いるより、ノッチフィルタとしての基本波抽出部12’を用いる方が、高速かつ高精度の位相検出特性を得ることができる。
図23は、第2実施形態に係る位相検出装置10’において、位相差演算部14に代えて位相差演算部14’(図15参照)を用いた場合の位相検出の応答特性(位相検出装置10’から出力される位相θ’を有する電圧ベクトルV’の周波数の変動状態)をシミュレーションした結果である。また、図24は、シミュレーション開始から4.9秒後に位相検出装置10’から出力される電圧ベクトルV’の周波数f’の変動状態を拡大した図である。シミュレーションの条件やグラフの表示態様は、図13,図14の場合と同一である。
図23に示すように、位相急変時(時刻0.2秒)の直後にPLL処理部10Bにおける電圧ベクトルV’の周波数f’が凡そ60.48Hzに上昇するが、その後は徐々に減少して位相急変時から凡そ2.8秒経過後(時刻3.0秒)に位相検出装置10’の出力位相θ’が電力系統の変化後の位相θに整定する。また、図24に示すように、位相急変時から4.7秒経過後(時刻4.9秒)における周波数f’のリップルはほぼゼロになる。
図15に示す位相差演算部14’を用いた場合は、図12に示す位相差演算部14を用いた場合よりも出力位相θ’が位相急変時から変化後の位相θに整定するまでに時間を要しているが、これはsin(θ)の瞬時値とsin(θ')の瞬時値を比較して位相差Δθを算出するからであると考えられる。位相差演算部14’を用いることによる速応性の低下は、ループフィルタの値を調整することにより改善することができる。また、整定時のリップルがほぼゼロになっているのは、ノッチフィルタを用いていることによるものと考えられる。
また、周知のように、ノッチフィルタ及びバンドパスフィルタを多段構成とすれば、急峻なフィルタ特性とすることができるとともに、不平衡成分や高調波成分の除去特性や応答性を容易に調整できるので、実装する場合は適当な段数の多段構成にするとよい。例えば、第1実施形態に係る位相検出装置10(図3参照)において、基本波抽出部12の後段にさらに基本波抽出部12を設けるようにしてもよい。また、ノッチフィルタとバンドパスフィルタとを組み合わせれば、両者の特性の相乗効果を期待することができ、より高速かつ高精度の位相検出特性を得ることができる。したがって、例えば、第1実施形態に係る位相検出装置10(図3参照)において、基本波抽出部12の後段にさらに基本波抽出部12’を設けるようにしてもよい。
上記第1および第2実施形態では、位相検出装置10(10')を三相の系統連系インバータ1に適用した場合について説明したが、本発明に係る位相検出装置は、単相の系統連系インバータにも適用することができる。本発明に係る位相検出装置を単相の系統連系インバータに適用する場合を第3実施形態として、以下に説明する。
図25は、第3実施形態に係る位相検出装置10”のブロック図であるが、図3の位相検出装置10に対して三相二相変換部11が設けられていない点が異なるだけである。単相の場合は、電圧信号vが1つしかないので、その電圧信号vのサンプリングデータと「0」とが基本波抽出部12に入力される。なお、図3の位相検出装置10において、三相二相変換部11を除去し、U,V,Wのいずれかの相の電圧信号vのサンプリングデータを入力するようにしてもよい。
基本波抽出部12では、単相の電圧信号が入力された場合でも三相の場合と同様に互いに直交する電圧信号vsα,vsβ(正弦波と余弦波の信号)が出力されるので、基本波抽出部12,正規化部13及びPLL処理部10Bは、図3に示す三相用の位相検出装置10と同様の構成で実現することができる。
上記第1ないし第3実施形態では、本発明に係る位相検出装置を系統連系インバータに適用した場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る位相検出装置は、他のシステムに用いることもできるし、単体で電力系統の基本波成分の信号の位相を検出する検出装置として用いることもできる。
本発明に係る位相検出装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る位相検出装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
1 系統連系インバータ
2 直流電源
3 インバータ回路
4 インバータ制御部
5 フィルタ回路
6 変圧器
7 電流検出器
8 電圧検出器
9 電力系統
10,10’,10” 位相検出装置
10A,10A’ 基本波直交成分算出部
10B PLL処理部
11 三相二相変換部(三相二相変換手段)
12,12’ 基本波抽出部
121 不平衡成分除去部
122 5次高調波除去部
123 7次高調波除去部
124 11次高調波除去部
13 正規化部
14 位相差演算部
14a 正弦値演算器(第1の正弦値演算手段)
14b 余弦値演算器(余弦値演算手段)
14c,14d 乗算器(第2の正弦値演算手段の要素)
14e 加算器(第2の正弦値演算手段の要素)
14' 位相差演算部
14f 比較器(第1のゼロクロス検出手段の要素)
14g ゼロクロス検出器(第1のゼロクロス検出手段の要素)
14h 正弦値演算器(正弦値演算手段)
14i 比較器(第2のゼロクロス検出手段の要素)
14j ゼロクロス検出器(第2のゼロクロス検出手段の要素)
14k クロック発生器(計時手段の要素)
14l カウンタ(計時手段の要素)
14m 位相差算出器(位相差算出手段)
15 位相更新部
15a ループフィルタ(位相制御手段の要素)
15b 加算器(位相生成手段の要素)
15c 積分器(位相生成手段の要素)

Claims (7)

  1. 交流信号の基本波成分の位相を検出する位相検出装置であって、
    前記交流信号に基づく第1の信号および第2の信号から基本波成分を抽出して、第1の基本波信号および第2の基本波信号を生成する基本波抽出手段と、
    位相を生成して出力する位相生成手段と、
    前記位相生成手段で生成された位相と前記第1の基本波信号または第2の基本波信号の位相との位相差を演算する位相差演算手段と、
    前記位相差がゼロでなければ、当該位相差に基づき前記位相生成手段で生成された位相を当該位相差が減少する方向に変更し、前記位相差がゼロであれば前記位相生成手段で生成された位相を保持する制御を行う位相制御手段と、
    を備えており、
    前記基本波抽出手段は、
    3つの処理を1つにまとめた伝達関数行列の行列要素を用いており、
    前記第1の信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の基本波信号を生成し、前記第1の信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の基本波信号を生成し、
    前記交流信号の基本波成分の角周波数をω0、時定数をTとした場合、
    前記第1の伝達関数は、
    1(s)=(T・s+1)/{(T・s+1)2+(T・ω02
    であり、
    前記第2の伝達関数は、
    2(s)=−T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
    であり、
    前記第3の伝達関数は、
    3(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02
    である、
    ことを特徴とする位相検出装置。
  2. 前記第1の伝達関数が、
    G’1(s)
    =(T2・s2+T・s+T2・ω0 2)/{(T・s+1)2+(T・ω02
    である、
    請求項1に記載の位相検出装置。
  3. 前記交流信号は、三相電力系統の交流電圧を検出した検出信号であり、
    三相の前記検出信号を互いに直交する前記第1の信号および第2の信号に変換して前記基本波抽出手段に入力する三相二相変換手段を更に備える、
    請求項1または2に記載の位相検出装置。
  4. 前記交流信号は、単相電力系統の交流電圧を検出した検出信号であり、
    前記検出信号が前記第1の信号として、ゼロの信号が前記第2の信号として、前記基本波抽出手段に入力される、
    請求項1または2に記載の位相検出装置。
  5. 前記位相差演算手段は、
    前記位相生成手段で生成された位相の正弦値を演算する第1の正弦値演算手段と、
    前記位相生成手段で生成された位相の余弦値を演算する余弦値演算手段と、
    前記第1の基本波信号に基づく正弦値と、前記第2の基本波信号に基づく余弦値と、前記第1の正弦値演算手段で算出される正弦値と、前記余弦値演算手段で算出される余弦値とを用いて、所定の三角関数の乗算式で表わされる前記位相差の正弦値を演算する第2の正弦値演算手段と、
    を備え、
    前記第2の正弦値演算手段が演算した前記位相差の正弦値を前記位相差として出力する、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の位相検出装置。
  6. 前記三角関数の乗算式は、
    sin(θ)・cos(θ')−cos(θ)・sin(θ')=sin(θ−θ')
    但し、 θ:前記交流信号に含まれる基本波の位相
    θ’:前記位相生成手段で生成される位相
    sin(θ):前記第1の基本波信号に基づく正弦値
    cos(θ):前記第2の基本波信号に基づく余弦値
    −sin(θ'):前記第1の正弦値演算手段で算出される正弦値
    cos(θ'):前記余弦値演算手段で算出される余弦値
    である、
    請求項5に記載の位相検出装置。
  7. 前記位相差演算手段は、
    前記位相生成手段で生成された位相の正弦値を演算する正弦値演算手段と、
    前記第1の基本波信号がゼロレベルを交差するタイミングを検出する第1のゼロクロス検出手段と、
    前記正弦値演算手段で算出される正弦値がゼロレベルを交差するタイミングを検出する第2のゼロクロス検出手段と、
    前記第1のゼロクロス検出手段の検出タイミングと前記第2のゼロクロス検出手段の検出タイミングとのずれ時間を計時する計時手段と、
    前記計時手段で計時されたずれ時間に基づいて前記位相差を算出する位相差算出手段と、
    を備えている、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の位相検出装置。
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