JP2016082655A - 位相同期ループ、電力変換装置、及び、位相同期方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)インバータ(又はコンバータ)の入出力電流の力率が1となるように制御すること、
(b)商用電力系統の周波数が異常(所定値の許容範囲外)のときには運転を停止する連系保護機能を動作させること、及び、
(c)単独運転防止のために無効電力制御及び周波数検出を行うこと、
である。
一方、単相交流の場合は、波形が1つしかないので、ゼロクロス点等の特徴点を抽出して、位相・周波数を算出することが行われている。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、単相交流用の位相同期ループにおける位相同期の精度を向上させることを目的とする。
また、この位相同期ループは、電力変換装置に搭載することができる。
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
上記のような位相同期ループでは、本来は存在しない電圧Vβを、電圧Vαから擬似的に作り出し、これにより、α−β座標系からd−q座標系への座標変換を適用することができる。従って、3相交流の位相同期ループと同様な高精度な位相同期を実現することができる。また、電圧Vβは単相交流の周波数を係数に含むので、位相変動があっても、それに応じた電圧Vβを設定することができる。
Vβ={−1/(2πf1)} × (ΔVα/Δt)
={−fs/(2πf1)} × ΔVα
であることが好ましい。
この場合、ΔVαの係数がf1の関数になるため、位相変動があっても、それに応じた電圧Vβを設定することができる。
この場合、系統電圧に位相変動があっても、系統電圧と位相同期した電流を、電力変換装置から出力することができる。
上記のような位相同期方法では、本来は存在しない電圧Vβを、電圧Vαから擬似的に作り出し、これにより、α−β座標系からd−q座標系への座標変換を適用することができる。従って、3相交流の位相同期ループと同様な高精度な位相同期を実現することができる。また、電圧Vβは単相交流の周波数を係数に含むので、位相変動があっても、それに応じた電圧Vβを設定することができる。
《システム構成例》
図1は、電力変換装置を備えたシステムの一例を示すブロック図である。図中、電力変換装置1の入力端には、直流電源としての太陽光発電パネル2が接続され、出力端には、交流の商用電力系統3が接続されている。このシステムは、太陽光発電パネル2が発電する直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統3に出力する連系運転を行う。
図2は、電力変換装置1の回路図の一例である。
昇圧回路10は、直流リアクトル15と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であるスイッチング素子Qb1,Qb2とを備えており、昇圧チョッパ回路を構成している。スイッチング素子Qb1,Qb2のオン/オフは、制御部12により制御される。スイッチング素子Qb1,Qb2を交互にオンにすることにより、昇圧を行うことができる。
制御部12は、上記直流入力電圧値及び上記昇圧回路電流値から入力電力を演算し、太陽光発電パネル2に対するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う機能を有している。
フィルタ回路21は、一対の交流リアクトル22と、交流リアクトル22の後段に設けられたコンデンサ23とを備えている。フィルタ回路21は、インバータ回路11から出力される交流電力に含まれる高周波成分を除去する機能を有している。フィルタ回路21により高周波成分が除去された交流電力は、商用電力系統3に与えられる。
制御部12は、系統電圧値、インバータ電流値、直流入力電圧値、昇圧回路電流値に基づいて、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
なお、制御部12の機能は、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよいが、ここでは、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータによって実行させることで実現されるものとする。制御部12の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータの記憶装置(図示省略)に格納される。
以下、PLLの機能について詳細に説明する。
まず、本実施形態の考え方の基になっている3相交流PLLについて説明する。
図3は、座標変換を利用した3相交流PLLのグラフである。まず、上段のグラフは3相交流の電圧波形を示している。u,v,wの各相の電圧をVu,Vv,Vwとすると、これらを、以下の式(1)により、α−β座標系の電圧Vα,Vβに変換することができる。
図において、電圧Vu,Vv,Vwは、α−β座標系に変換されて電圧Vα,Vβとなり、さらに、d−q座標系への変換により、電圧Vd,Vqとなる。電圧Vq=0となるようにフィードバック制御が行われ、周波数f及び位相調整値Δωtが決まる。このΔωtを、1ステップ前のωtに加算し、新たなωtが決まる。
次に、位相同期ループ12pとして、上記3相交流PLLの考え方を利用した単相交流PLL(単相交流用の位相同期ループ及び位相同期方法)について説明する。単相交流PLLは、3相交流PLLにおけるVαに、単相交流の系統電圧を当てはめる。Vβは存在しないが、Vαから擬似的に作り出す。
図5の上段のグラフは、Vα,Vβの波形である。これらをさらに、以下の式(2)(前掲の式(2)と同じ)により、d−q座標系の電圧Vd,Vqに変換することができる。
図において、α−β座標系の電圧Vα,Vβは、d−q座標系への変換により、電圧Vd,Vqとなる。電圧Vq=0となるようにフィードバック制御が行われ、周波数f及び位相調整値Δωtが決まる。このΔωtを、1ステップ前のωtに加算し、新たなωtが決まる。
ここで、電圧Vαには系統電圧をそのまま使用することができる。一方、電圧Vβの作り方としては、例えば、系統周波数の半周期ほど続けて系統電圧Vgacを取得し、1/4周期前とみなす系統電圧Vgacを、Vβとして使う。すなわち、この場合のVα、Vβは、以下の式(3)により表される。また、図7は、1/4周期前とみなす系統電圧Vgacを、Vβとして使う場合の、制御ブロック図である。
一方、適当に用意したVd,Vqから以下の逆変換の式(4)を用いて電圧Vα,Vβのサンプルを求め、系統電圧VgacをVαとした場合に想定されるVβを使うことも考えられる。
その他、Vβを内部基準信号として作成する提案もある(例えば、前述の特許文献2参照。)。しかし、この場合も同様に、商用電力系統に起こり得る位相急変が電圧Vβに反映されず、従って位相同期までの応答時間が長くなる。
そこで、本実施形態の位相同期ループでは、電圧Vβとして、Vαの微分を利用する。
単相交流の周波数をf1、時間をt、Vα=sinθ、Vβ=−cosθとすると、Vβは、90度(π/4[rad])遅れたVαの波形とみなせる。
Vα=Asin(2πf1t)、Vβ=−Acos(2πf1t)とすると、
dVα/dt=2πf1・Acos(2πf1t)=−2πf1Vβ ・・・(5)
となる。
Vβ=−1/(2πf1)× dVa/dt ・・・(6)
となり、Vαの微分を使った表現ができる。
ソフトウェアによる演算のような離散化した表現では、1サイクルのサンプリング数をN、サンプリング周波数をfs(=N・f1)、サンプリング周期をΔt(=1/fs)、Nの範囲内の任意の自然数をn(≦N)、n番目のVαから(n−1)番目のVαを引いた値をΔVαとすると、
Vβ=(−1/2πf1)× (ΔVa/Δt)
=(−fs/2πf1)× ΔVa ・・・(7)
但し、ΔVa=Va(n番目)−Va(n−1番目)、である。
上記式(6)、(7)によれば、Vβの係数にf1が入っており、係数がf1の関数になっている。従って、位相変動があっても、f1の変化に追随してVβが変化する。すなわち、位相変動に対する応答性が良くなる。
また、図11は、本実施形態の電圧Vα、Vβ(擬似的)、電圧Vd、電圧Vqのグラフである。さらに、図12は、周波数f(実線)及び位相ωt(点線)のグラフである。図8及び図9との比較により明らかなように、初期の変動は少なく、周波数・位相は迅速に同期する。すなわち、PLLの応答性に優れていることがわかる。
(a)演算に多くのメモリ容量を必要としない。
(b)演算処理時間が短く、演算コストが比較的安い。
(c)位相急変のような急峻な変化への応答性が良い。
本実施形態の位相同期ループでは、本来は存在しない電圧Vβを、電圧Vαから擬似的に作り出し、これにより、α−β座標系からd−q座標系への座標変換を適用することができる。従って、3相交流の位相同期ループと同様な高精度な位相同期を実現することができる。
また、式(6)、(7)より、Vβの定義式の係数がf1の関数になるため、位相変動があっても、それに応じた電圧Vβを設定することができる。
また、この位相同期ループを搭載する電力変換装置は、系統電圧に位相変動があっても、系統電圧と位相同期した電流を、電力変換装置から出力することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
2 太陽光発電パネル
3 商用電力系統
10 昇圧回路
11 インバータ回路
12 制御部
12p 位相同期ループ
15 直流リアクトル
17 第1電圧センサ
18 第1電流センサ
19 コンデンサ
21 フィルタ回路
22 交流リアクトル
23 コンデンサ
24 第2電流センサ
25 第2電圧センサ
26 コンデンサ
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
Qb1,Qb2 スイッチング素子
Claims (4)
- 3相から2相へ直交座標変換後のα−β座標系からさらに、回転座標であるd−q座標系へ電圧を座標変換し、無効電圧成分を0にするよう制御する位相同期ループであって、
α−β座標系における電圧Vα,Vβとして、位相同期の対象となる単相交流の実際の電圧をVαとし、かつ、Vαの時間微分値であって前記単相交流の周波数を係数に含む値を擬似的な電圧Vβとして使用する位相同期ループ。 - 時間をt、前記単相交流の周波数をf1、1サイクルのサンプリング数をN、サンプリング周波数をfs(=N・f1)、サンプリング周期をΔt(=1/fs)、Nの範囲内の任意の自然数をn(≦N)、n番目のVαから(n−1)番目のVαを引いた値をΔVαとすると、
Vβ={−1/(2πf1)} × (ΔVα/Δt)
={−fs/(2πf1)} × ΔVα
である請求項1に記載の位相同期ループ。 - 商用電力系統と系統連系する電力変換装置であって、
請求項1又は請求項2に記載の位相同期ループをソフトウェアにより実現する制御部を備えた電力変換装置。 - 3相から2相へ直交座標変換後のα−β座標系における電圧Vα,Vβとして、位相同期の対象となる単相交流の実際の電圧をVαとし、かつ、Vαの時間微分値であって前記単相交流の周波数を係数に含む値を擬似的な電圧Vβとして使用し、
α−β座標系からさらに、回転座標であるd−q座標系へ電圧を座標変換し、無効電圧成分を0にするよう制御する、
位相同期方法。
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