JP5637310B2 - インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、この交流電力を電力系統に重畳するインバータ装置に関する。
入力された交流の単相信号の、基準周波数からの周波数ずれ(周波数変化量)を推定する技術は、単相信号入力装置において必要な技術であり、例えばインバータシステムにおいて必要となる。インバータシステムは、例えば、太陽電池等の直流電源の出力する直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、この交流電力を電力系統に重畳して負荷にこの重畳した交流電力を供給するものである。
インバータシステムにおいて、電力系統に接続されたインバータ回路の出力電圧信号を単相信号として捉えた場合、インバータ回路の出力電圧信号の、基準周波数からの周波数ずれ(周波数変化量)を検出できれば、単独運転の検出等を行うことができる。
単独運転とは、電力系統とインバータ回路のうちインバータ回路のみが負荷に電力を供給している状態を指す。単独運転は、電力系統側に停電が発生した場合に発生しうる。安全性確保等を目的として、単独運転の発生時には、速やかにこれを検知し、インバータ回路の出力を停止させることが求められる。故に、単独運転検出に利用可能な、周波数ずれの検出の高速化又は高精度化は有益である。
単相信号のゼロクロスタイミングから単相信号の位相や周波数を検出する方法が広く知られており、この方法を用いれば、単相信号のゼロクロスタイミングから上記周波数ずれを検出することが可能である。
尚、下記特許文献1には、ヒルベルト変換を用いて単相信号から複素ベクトル(回転ベクトル)を得る方法が示されている。また、下記特許文献2及び3には、バンドパスフィルタに積分又は微分特性を付与したフィルタを用いて単相信号との位相差がπ/2の信号を生成し、生成信号を用いて単相信号の位相を推定する方法が示されている。
特開2003−143860号公報 特開2006−129681号公報 特開2008−141935号公報
上述のゼロクロスタイミングを利用する方法では、原理上、単相信号の半周期ごとしか周波数を検出することができない。また、信号に含まれるノイズや高調波成分によってゼロクロスタイミングが容易に変化するため、ゼロクロスタイミングを利用する方法は、ノイズや高調波成分に対して脆弱である。結果、ゼロクロスタイミングを利用して上記周波数ずれ(周波数変化量)を検出しようとした場合には、実質的に有効な検出精度を得るために単相信号の複数周期分の時間が必要になる。従って、周波数ずれ(周波数変化量)を、より高速に又は高精度に検出(推定を含む)できる方法が切望される。尚、特許文献1〜3に示された方法は、これらの要望に対して対応できない或いは不十分である。
そこで本発明は、基準周波数に対する単相信号の周波数変化量の良好なる推定に寄与するインバータ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のインバータ装置は、直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備えたインバータ装置において、前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記基準周波数に対する前記第1単相信号の周波数の変化量と、前記第1単相信号に基づいて推定される前記第1単相信号の推定位相とに基づいて前記推定位相の位相調整を行い、この位相調整を行った推定位相を用いて直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換することを特徴とする。
これにより、ゼロクロスタイミングを利用して周波数の変化量を求める方法と比べて、周波数の変化量を、より短時間で精度良く推定することが可能となる。また、推定位相の調整により、単相信号の周波数に対して任意の位相特性を実現することが可能となる。結果、単独運転時に能動的に周波数をシフトさせる制御を高速に行うことが可能となり、単独運転の高速検出につながる。
具体的には例えば、前記第1及び第2単相信号の積に基づき前記周波数の変化量を推定しても良い。
また例えば、推定した前記周波数の変化量に基づいて前記基準周波数を調整し、調整した基準周波数を用いて前記第2単相信号を生成しても良い。
このような基準周波数の調整は、単相信号の周波数や位相の推定精度向上に寄与しうる。
また例えば、前記周波数の変化量に基づき、前記電力変換回路の出力交流電流における無効電流成分を調整しても良い。
無効電流成分の調整により、単相信号の周波数に対して任意の位相特性を実現することが可能となる。
また例えば、前記周波数の変化量が所定の閾値よりも大きい場合、前記インバータ回路の単独運転が発生していると検出して前記インバータ回路の出力を停止しても良い。
本発明に係る第2のインバータ装置は、直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備え、前記インバータ回路の単独運転を検出した場合に前記インバータ回路を停止する前記インバータ装置において、前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記基準周波数に対する前記第1単相信号の周波数の変化量が所定の閾値よりも大きい場合、前記単独運転が発生していると検出することを特徴とする。
これにより、ゼロクロスタイミングを利用して周波数の変化量を求める方法と比べて、周波数の変化量を、より短時間で精度良く推定することが可能となる。また、この周波数の変化量を用いて単独運転の発生有無検出を行うようにすれば、ゼロクロスタイミングを利用して周波数の変化量を求める方法と比べて、より高速に単独運転の検出を行うことが可能となる。
本発明に係る第3のインバータ装置は、直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備えたインバータ装置において、前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記第1単相信号の推定位相を用いて直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換する。
電力変換制御装置に上記の単相信号入力装置を設けておくことにより、ゼロクロスタイミングを利用して周波数の変化量を求める方法と比べて、周波数の変化量を、より短時間で精度良く推定することが可能となる。
本発明によれば、基準周波数に対する単相信号の周波数変化量の良好なる推定に寄与するインバータ装置を提供することが可能である。
第1実施形態に係る周波数変化量推定ユニットの構成ブロック図である。 第1実施形態に係り、αβ座標系と単相信号(vα及びvβ)の軌跡を示す図である。 第1実施形態に係り、単相信号の周波数(ω)が基準周波数(ω)と一致する場合における各信号波形を示す図である。 第1実施形態に係り、単相信号の周波数(ω)が基準周波数(ω)と一致しない場合における各信号波形を示す図である。 第1実施形態に係る技術内容を説明するための図である。 第2実施形態に係る周波数変化量推定ユニットの構成ブロック図である。 第3実施形態に係る単相信号入力装置の構成ブロック図である。 第3実施形態に係り、αβ座標系とPQ座標系との関係を表す図である。 フィルタ係数の調整を行わない場合における各信号の波形を示す図(a)と、フィルタ係数の調整を行った場合における各信号の波形を示す図(b)である。 第4実施形態に係る単相信号入力装置の構成ブロック図である。 第5実施形態に係る単相信号入力装置の構成ブロック図である。 第6実施形態に係る単相信号入力装置の構成ブロック図である。 第7実施形態に係る電流制御部を示す図である。 第8実施形態に係るインバータシステムの構成ブロック図である。 第8実施形態に係る電流制御部の第1例を表すブロック図である。 第8実施形態に係る電流制御部の第2例を表すブロック図である。 位相調整を行わない場合における各信号の波形を示す図(a)と、位相調整を行った場合における各信号の波形を示す図(b)である。 第10実施形態に係る電流制御部を表すブロック図である。 位相調整の意義を説明するための図(a)と、無効電流調整の意義を説明するための図(b)である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。以下に、本発明に係る複数の実施形態を説明する。矛盾無き限り、複数の実施形態の内、或る実施形態に記載した事項を他の実施形態に適用することができ、複数の実施形態を組み合わせることも可能で
ある。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る周波数変化量推定ユニット10(以下、推定ユニット10と略記することがある)の内部ブロック図である。第1実施形態に係る単相信号入力装置は、推定ユニット10を備える。推定ユニット10は、フィルタ11、乗算部12、直流成分抽出部13及び係数乗算部14を備える。
記号vinは、単相信号入力装置に入力される交流の単相信号を表す(後述の他の実施形態においても同様)。単相信号vinが表す物理量(電圧、電流、速度など)の種類は任意である。記号vα及びvβも交流の単相信号を表す記号である。特に記述なき限り、単相信号vαは単相信号vinと同じものである。
フィルタ11は、フィルタリング対象信号の位相を遅らせる又は進ませるフィルタ処理をフィルタリング対象信号としての信号vαに施すことにより信号vβを生成する。フィルタ11の伝達関数はF(s)で表される。以下では、特に記述なき限り、フィルタ11において信号vαの位相を電気角で90度だけ遅らせる又は進ませるフィルタ処理が成されるものとする。従って、信号vβの位相は信号vαの位相よりも電気角で90度だけ遅れている或いは進んでいる。
図2に、αβ座標系を示す。αβ座標系は、固定軸であるα及びβ軸を座標軸とする二次元固定座標系である。α及びβ軸は互いに直交しており、β軸はα軸から電気角で90度だけ進んでいる。図2を含む任意の座標系を示す図において、反時計回り方向が位相の進み方向に対応する。図2において、実線線分601及び602は、それぞれαβ座標系上における信号vα及びvβの軌跡を表している。図2から分かるように、信号vαがα軸成分のみを持つようにα軸は設定される。信号vβと信号vαとの位相差はπ/2である(但し、後述の説明から明らかとなるように、該位相差はπ/2からずれうる)。2つの単相信号(例えば、vα及びvβ)から成る信号を二相信号と呼ぶこともできる。本明細書において、πは円周率を表し、特に記述なき限り、位相又は角度は電気角における位相又は角度であると共に、πを用いて表した位相又は角度の単位はラジアンである。
単相信号vinの周波数として単相信号入力装置に入力される既知の周波数を記号ωにて表し、それを基準周波数と呼ぶ。基準周波数ωは、高調波成分を無視した、信号vinの基本波成分の角周波数に相当する。尚、単相信号入力装置だけではなく、本明細書で述べる任意の部位(ユニット、ブロック、装置又はシステムを含む)に対して基準周波数ωを入力することができる。
フィルタ11において信号vαの位相を電気角で90度だけ遅らせる又は進ませるフィルタ処理が成されると述べたが、フィルタ11は、基準周波数ωが単相信号vinの周波数と一致するとみなしてフィルタ処理を行うため、単相信号vinの周波数が基準周波数ωとずれている場合、信号vα及びvβの位相差はπ/2からΔφだけずれる。フィルタ11は、例えば下記式(A1)又は(A2)にて示される伝達関数F(s)を用いてフィルタ処理を成すことができ、このフィルタ処理によって、式(A3)にて示される信号vαから式(A4)にて示される信号vβが得られる。
Figure 0005637310
式(A1)及び(A2)並びに後述の式(B2)及び(B3)において、演算記号“s”はラプラス演算子を表す。式(A2)における“ζ”は所定の減衰係数である。Vα及びVβは、夫々、単相信号vα及びvβの振幅を表す。記号“t”は時間を表す(より詳細には、単相信号vαの信号値がVαと一致する所定の基準時刻からの経過時間を表す)。ωは、単相信号vαの周波数(角周波数)である。ω=ωである場合、Δφはゼロであるが、ω≠ωである場合、Δφは正又は負の角度値を有する。式(A4)に示される信号vβの位相(ωt−π/2+Δφ)は、式(A3)に示される信号vαの位相(ωt)よりも角度(π/2−Δφ)だけ遅れている。
式(A3)及び(A4)にて示される単相信号vα及びvβの積(vα・vβ)は、下記式(5)にて表され、積(vα・vβ)の直流成分を記号[vα・vβdcにて表すと、式(A5)から直流成分[vα・vβdcは式(A6)を満たす。更に、角度Δφが十分に小さいと仮定して式(A6)を近似すると式(A7)が得られる。
Figure 0005637310
従って、単相信号vαの周波数ωが基準周波数ωと一致する場合、Δφはゼロになるため直流成分[vα・vβdcはゼロになるが、単相信号vαの周波数ωが基準周波数ωからずれると、フィルタ11の位相特性に起因して単相信号vα及びvβ間の位相差が90度からずれてΔφ≠0となり、結果、直流成分[vα・vβdcはゼロにならない。このように、直流成分[vα・vβdcは、基準周波数ωから見た周波数ωの変化量である周波数変化量Δωに応じた値を持つ。Δω=ω−ω、である。
周波数変化量Δωが基準周波数ωに対して小さければ(例えば十分に小さければ)、直流成分[vα・vβdcは概ね周波数変化量Δωに比例する。周波数変化量Δωが基準周波数ωに対して小さければ(例えば十分に小さければ)、ΔωはΔφに概ね比例し、式(A7)に示す如く直流成分[vα・vβdcもΔφに概ね比例するからである。従って、単相信号vα及びvβの積(vα・vβ)から直流成分[vα・vβdcを抽出し、抽出値に所定の係数を乗じれば周波数変化量Δωが得られる。
図3(a)に、ω=ωである場合における信号vαの波形611及び信号vβの波形612を示し、図3(b)に、ω=ωである場合における積(vα・vβ)の信号波形613及び直流成分[vα・vβdcの信号波形614を示す。図4(a)に、ω≠ωである場合における信号vαの波形621及び信号vβの波形622を示し、図4(b)に、ω≠ωである場合における積(vα・vβ)の信号波形623及び直流成分[vα・vβdcの信号波形624を示す。これらの信号波形からも、ω=ωである場合には[vα・vβdc=0となる一方で、ω≠ωである場合には[vα・vβdc≠0となることが分かる。
推定ユニット10では、上述の原理を利用して周波数変化量Δωを推定する。即ち、乗算部12は、単相信号vα及びvβを掛け合わせることで単相信号vα及びvβの積(vα・vβ)を求める。直流成分抽出部13は、例えばローパスフィルタであり、積(vα・vβ)から所定周波数以上の周波数成分を除去することで直流成分[vα・vβdcを抽出する。係数乗算部14は、直流成分[vα・vβdcに所定の係数Kωを乗じることで周波数変化量Δωestを求める(Δωest=[vα・vβdc×Kω)。周波数変化量Δωestを求めることは周波数変化量Δωを推定することに相当する。つまり、周波数変化量Δωestは周波数変化量Δωの推定値に相当し、推定誤差を無視すれば“Δωest=Δω”である。
尚、推定ユニット10において、直流成分[vα・vβdcと周波数変化量Δωestとの関係を定めるテーブルデータを予め用意しておき、係数乗算部14を用いる代わりに該テーブルデータを用いて直流成分[vα・vβdcから周波数変化量Δωestを求めるようにしても良い。また、直流成分抽出部13は、複数周期分の積(vα・vβ)の移動平均を求めることによって直流成分[vα・vβdcを求めても良いし、或いは、2ωの周波数近辺の周波数を除去する帯域除去フィルタに積(vα・vβ)を入力することによって直流成分[vα・vβdcを求めても良い。直流成分抽出部13は、移動平均処理及び帯域除去処理並びにローパスフィルタによる高域除去処理の内の複数の処理を用いて、直流成分[vα・vβdcを求めても良い。
また、単相信号vαとの間で90度の位相差を有する信号を単相信号vβとして求める例を上述したが、単相信号vα及びvβ間の位相差が90度以外になるように単相信号vβを求めても良い。即ち、ω=ωであるときに単相信号vα及びvβ間の位相差が90度以外になるようなフィルタ処理をフィルタ11にて行うようにしても良い。この場合においても、式(A6)に示すのと同様にω=ωであるならば直流成分[vα・vβdcは所定値に定まるため、図5(a)に示す如く直流成分[vα・vβdcから該所定値を差し引いて得た差分値に所定の係数Kω’を乗じることで(或いは該差分値に所定のテーブルデータを適用することで)、周波数変化量Δωestを求めることができる。上記所定値は、フィルタ11のフィルタ処理によって生じる単相信号vα及びvβ間の位相差に応じた値を持ち、単相信号vα及びvβ間の位相差が90度であるならばゼロであるが、単相信号vα及びvβ間の位相差が90度以外であるならば正又は負の値を持つ。
但し、上記所定値がゼロである場合に演算が最も簡素化されるため、単相信号vα及びvβ間の位相差が90度になるようにフィルタ処理を成すことが望ましい。更に、該位相差が90度であるとき、図5(b)に示される、ω及びΔφ間の関係の線形部分631を用いることができるため、制御にとって最も都合が良い。
尚、本実施形態及び後述の他の実施形態において、演算動作(フィルタ処理等をも含む)を行う各部位は、各時点で得られている最新の信号の値を用いて自身が成すべき演算を行い、所定の更新周期で自身が算出して出力すべき信号の値を更新する。従って、演算動作を行う任意の部位にて導出される導出対象の値は、その導出対象の瞬時値を表している。例えば、或る時刻においてフィルタ11が導出する信号vβの値は、当該時刻における信号vβの瞬時値であり、或る時刻において推定ユニット10が出力するΔωestは、当該時刻におけるΔωの推定瞬時値である。同様に例えば、後述の推定ユニット30(図7参照)が或る時刻において導出するθestは、当該時刻におけるθの推定瞬時値(推定された瞬時位相)である。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る周波数変化量推定ユニット20(以下、推定ユニット20と略記することがある)の内部ブロック図である。第2実施形態に係る単相信号入力装置は、推定ユニット20を備える。推定ユニット20は、フィルタ21、乗算部22、直流成分抽出部23、PI制御部24及び減算部25を備える。推定ユニット20には、単相信号vin及び基準周波数ωが入力される。
フィルタ21、乗算部22及び直流成分抽出部23は、夫々、図1のフィルタ11、乗算部12及び直流成分抽出部13と同じものである。但し、フィルタ21は、基準周波数ωを修正することで得た基準周波数ω’を用いてフィルタ処理を行う。従って、式(A1)又は(A2)の伝達関数F(s)を利用する場合、フィルタ21は、式(A1)又は(A2)の「ω」に「ω’」を代入した上で単相信号vβを求める。
直流成分抽出部23にて求められた直流成分[vα・vβdcはPI制御部24に送られる。推定ユニット20では、直流成分[vα・vβdcをゼロに収束させるためのPLL(Phase Locked Loop)が形成されており、PI制御部24は、比例積分制御などを用いて直流成分[vα・vβdcをゼロに収束させるための値を減算部25に出力する。減算部25は、減算部25に対するPI制御部24の出力値を基準周波数ωから差し引き、その差分結果を基準周波数ω’としてフィルタ21に与える。
PI制御部24は、直流成分[vα・vβdcがゼロになるように、即ち(ω−ω’)がゼロになるように減算部25への出力値を求めている。減算部25の機能を表す式「(ω−(PI制御部24の出力値)=ω’」に対し、PI制御部24の機能を表す式「ω−ω’=0」を代入すると、PI制御部24の出力値は“ω−ω”である。即ち、PI制御部24の出力値は周波数変化量Δω(=ω−ω)に(−1)を乗じたものに相当する。推定ユニット20では、PI制御部24の出力値(−Δω)に対して(−1)を乗じることで周波数変化量Δωestを求める。
このように、推定ユニット20では、推定された周波数変化量Δωに基づき(即ちPI制御部24の出力値に基づき)フィルタ21のフィルタ特性が調整されており、減算部25が該調整を担うフィルタ調整部を形成する。調整の対象量は、フィルタ21の伝達関数を定めるフィルタ係数(ω’)である。推定ユニット20では、周波数ωの変動に適応した二相信号(vα及びvβから成る二相信号)が生成されるため、推定ユニット20を周波数追従型二相信号生成部と呼ぶこともできる。周波数ωの変動に適応した二相信号を生成することの利点については、後述の第3実施形態の中で説明される。
尚、図6の推定ユニット20では、直流成分[vα・vβdcを抽出する機能を持つ直流成分抽出部23と直流成分[vα・vβdcをゼロに収束させる機能を持つPI制御部24とが別々に設けられているが、直流成分抽出部23及びPI制御部24の代わりに、それらの機能をまとめて有する一体の制御ブロック(即ち、直流成分[vα・vβdcをゼロに収束させる機能を持つ制御ブロック;不図示)を推定ユニット20に設けるようにしても良い。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。図3には、本発明の第3実施形態に係る位相/周波数/周波数変化量推定ユニット30(以下、推定ユニット30と略記することがある)の内部ブロック図が示されている。図3には、更に、推定ユニット30に接続された二相信号生成部37が示されている。第3実施形態に係る単相信号入力装置は、推定ユニット30及び二相信号生成部37を備える。推定ユニット30は、座標回転部31、位相差算出部32、PI制御部33、加算部34及び積分部35を備える。推定ユニット30の動作を説明するに先立ち、図8を参照してPQ座標系等を説明する。
図8には、αβ座標系とPQ座標系との関係が示されている。上述したように、αβ座標系は、固定軸であるα及びβ軸を座標軸とする二次元固定座標系である。一方、PQ座標系は、回転軸であるP及びQ軸を座標軸とする二次元回転座標系である。P及びQ軸は互いに直交しており、Q軸はP軸から電気角で90度だけ進んでいる。α軸から見たP軸の位相をθにて表す。θは、α軸を基準とするP軸の位相の進み角度を表している。
図8において、符号650は任意の座標系上のベクトルを表している。ベクトル650は、任意の信号の位相及び振幅状態を表している。従って、ベクトル650によって位相及び振幅状態が表される信号を、ベクトル信号と呼ぶこともできる。今、ベクトル650が、PQ座標系の回転に同期して回転するベクトルであるとする。そうすると、αβ座標系上においてベクトル650は回転するため、αβ座標系上におけるベクトル650は回転ベクトルとも呼べる。ベクトル650のP軸及びQ軸成分を夫々v及びvにて表す。更に、ベクトル650のα軸及びβ軸成分を夫々vα及びvβにて表すことができる。vα及びvβは、αβ座標系上における回転ベクトル650の直交2成分(互いに直交する2つの成分)であると言え、v及びvは、PQ座標系上におけるベクトル650の直交2成分であると言える。
本明細書で述べる任意の部位(ユニット、ブロック、装置又はシステムを含む)において、単相信号vinの周波数ωをPQ座標系の回転における角周波数に設定することができる。従って、PQ座標系は周波数ωと同期して回転する回転座標系と言える。位相θは、単相信号vinの位相(即ち、式(A3)における“ωt”)を表している。推定ユニット30では、単相信号vinの位相θ及び周波数ωの推定値が、夫々、θest及びωestとして求められる。
図7において、二相信号生成部37は、第1又は第2実施形態で述べた方法を用いて(図1又は図6参照)、単相信号vin及び基準周波数ωに基づき単相信号vα及びvβから成る二相信号を生成する。図1の構成を二相信号生成部37に適用する場合には、フィルタ11を二相信号生成部37に設けておけばよい。図6の構成を二相信号生成部37に適用する場合には、推定ユニット20を二相信号生成部37に設けておけばよい。
二相信号生成部37にて生成された単相信号vα及びvβは、推定ユニット30の座標回転部31に入力される。座標回転部31は、後述の積分部35から出力される位相θestに基づき信号vα及びvβを信号v及びvに変換する。αβ座標系上の回転ベクトル650を角度θだけ回転させることでPQ座標系上のベクトル650を得ることができるため、座標回転部31は、θestをθとして用いた座標変換によって、αβ座標系上の回転ベクトル650の直交2成分(vα及びvβ)を、PQ座標系上のベクトル650の直交2成分(v及びv)に変換することができる。
位相差算出部32は、座標回転部31にて算出されたv及びvから位相差Δθを求める。位相差Δθは、単相信号vinの真の位相θと、位相θの推定値θestとの間の誤差を表している。位相差算出部32は、下記式(B1)を用いて位相差Δθを求めることができる。座標回転部31における座標変換演算において、“θ=θest”を満たす推定値θestを用いたならば式(B1)の右辺の値はゼロになるが、“θ≠θest”を満たす推定値θestを用いたならば式(B1)の右辺の値はゼロにならない。
Figure 0005637310
推定ユニット30では、Δθをゼロに収束させるための下記式(B2)及び(B3)に従うPLL(Phase Locked Loop)を構成することによってθestをθに一致させる。K及びKは、夫々、PI制御部33にて実行される比例積分制御の比例係数及び積分係数である。
Figure 0005637310
具体的には、位相差算出部32にて算出されたΔθと既知の角周波数として与えられた基準周波数ωとに基づき、PI制御部33及び加算部34にて、式(B2)に従い周波数ωestを算出する。積分部35は、式(B3)に従い、算出された周波数ωestを積分することで位相θestを算出する。位相θestは座標回転部31に送られ、座標回転部31はθestをθとして用いて座標変換を行う。推定ユニット30では、位相差Δθがゼロに収束するようにPLLが構成されているため、位相θestは、単相信号vinの位相θの推定値として機能する。従って、θestの元となる周波数ωestは、単相信号vinの周波数ωの推定値に相当する。また、PI制御部33の出力値に相当する、式(B2)の右辺第2項は、式(B2)及び上述の関係式“Δω=ω−ω”から分かるように、Δωの推定値として機能する。故に、PI制御部33から、Δωの推定値である周波数変化量Δωest2が出力される。推定誤差を無視すれば、Δω=Δωest2、である。
次に、図9(a)及び(b)を参照して、第2実施形態で述べたフィルタ特性の調整の作用について説明する。図9(a)の波形671、672、673は、それぞれ、調整なし条件下で得られた直流成分[vα・vβdc、位相差Δθ、周波数ωest/2πの信号波形(時間変化)を表し、図9(b)の波形681、682、683は、それぞれ、調整あり条件下で得られた直流成分[vα・vβ]dc、位相差Δθ、周波数ωest/2πの信号波形(時間変化)を表している。調整なし条件下では、図1のフィルタ11を用いて図7の二相信号生成部37を形成した上で、[vα・vβdc、Δθ及びωest/2πを求めた。調整あり条件下では、図6の推定ユニット20を用いて図7の二相信号生成部37を形成した上で、[vα・vβdc、Δθ及びωest/2πを求めた。
調整なし条件及び調整あり条件の夫々のシミュレーションにおいて、周波数ω/2πを50Hz(ヘルツ)に固定し、特定のタイミングt0に単相信号vinの周波数ω/2πを50Hzから46Hzに急変させた。単相信号vinの周波数が変化したことによって信号vβの位相が変化し、これに伴ってΔθが大きく変動すると共に推定周波数ωestの変動も大きくなる。但し、図9(a)と図9(b)の対比から分かるように、第2実施形態の如くフィルタ特性を調整すると、単相信号vinの周波数変化後の推定周波数ωestの変動が改善される(変動が小さく抑えられる)。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。図10は、第4実施形態に係る単相信号入力装置のブロック図である。第4実施形態に係る単相信号入力装置は、符号41〜44によって参照される各部位を備える。
二相信号生成部41は、図1の推定ユニット10又は図6の推定ユニット20を有し、第1又は第2実施形態で述べた方法を用いて、単相信号vin及び基準周波数ωに基づき単相信号vα及びvβから成る二相信号を生成すると共に周波数変化量Δωestを算出する。周波数/位相推定ユニット42(以下、推定ユニット42と略記することがある)は、図7の推定ユニット30と同様の構成を有し、二相信号生成部41からの信号vα及びvβに基づき単相信号vinの位相θ及び周波数ωを推定することにより、推定位相θest及び推定周波数ωestを算出及び出力する。位相調整部43は、二相信号生成部41からの周波数変化量Δωestに基づき位相調整量θAJを設定する。加算部44は、推定ユニット42からの推定位相θestに対して位相調整量θAJを加算し、加算結果を調整後の位相θとして出力する。従って、θ=θest+θAJ、である。
位相調整部43は、“|Δωest|≦ΔωTH”が成立するときには位相調整量θAJにゼロを設定し、“|Δωest|>ΔωTH”が成立するときには位相調整量θAJに正又は負の値(角度量)を設定する。ΔωTHは、正の値を有する所定の変化量閾値である。但し、ΔωTHはゼロであっても良い。“|Δωest|>ΔωTH”の成立時、位相調整部43は、例えば、絶対値|Δωest|が増大するにつれて位相調整量θAJの絶対値を増大させることができる。
位相調整部43のような位相調整部を設けることにより、基準周波数ωに対する単相信号vinの周波数ずれに応じた、任意の位相特性を有する位相推定部を形成することが可能となる(後述の第5及び第6実施形態においても同様)。位相調整の有益性については、後述の他の実施形態において説明する。
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。図11は、第5実施形態に係る単相信号入力装置のブロック図である。第5実施形態に係る単相信号入力装置は、符号51〜54によって参照される各部位を備える。
二相信号生成部51は、図1の推定ユニット10又は図6の推定ユニット20を有し、第1又は第2実施形態で述べた方法を用いて、単相信号vin及び基準周波数ωに基づき単相信号vα及びvβから成る二相信号を生成する。周波数/位相推定ユニット52(以下、推定ユニット52と略記することがある)は、図7の推定ユニット30と同様の構成を有し、二相信号生成部51からの信号vα及びvβに基づき位相θest、周波数ωest及び周波数変化量Δωest2を算出及び出力する。位相調整部53は、推定ユニット52からの周波数変化量Δωest2に基づき位相調整量θAJを設定する。加算部54は、推定ユニット52からの推定位相θestに対して位相調整量θAJを加算し、加算結果を調整後の位相θとして出力する。従って、θ=θest+θAJ、である。
位相調整部53は、“|Δωest2|≦ΔωTH”が成立するときには位相調整量θAJにゼロを設定し、“|Δωest2|>ΔωTH”が成立するときには位相調整量θAJに正又は負の値(角度量)を設定する。“|Δωest2|>ΔωTH”の成立時、位相調整部53は、例えば、絶対値|Δωest2|が増大するにつれて位相調整量θAJの絶対値を増大させることができる。
<<第6実施形態>>
本発明の第6実施形態を説明する。図12は、第6実施形態に係る単相信号入力装置のブロック図である。第6実施形態に係る単相信号入力装置は、符号61〜64によって参照される各部位を備える。
周波数変化量推定ユニット61(以下、推定ユニット61と略記することがある)は、単相信号vin及び基準周波数ωに基づき周波数変化量Δωを推定することにより周波数変化量Δωestを算出及び出力する。図1又は図6の推定ユニット10又は20を推定ユニット61に設けることで、推定ユニット61に周波数変化量Δωestを算出させても良い。或いは、図7の二相信号生成部37及び推定ユニット30を推定ユニット61に設けても良く、この場合、推定ユニット61内の推定ユニット30から出力されるΔωest2をΔωestとして推定ユニット61から出力させればよい。
ゼロクロス利用型周波数/位相推定ユニット62(以下、推定ユニット62と略記することがある)は、交流の単相信号vinの信号値がゼロになるタイミングを検出することにより(即ち、公知のゼロクロスタイミング検出法により)、単相信号vinの位相θ及び周波数ωの推定値であるθest及びωestを求める。位相調整部63は、推定ユニット61からの周波数変化量Δωestに基づき位相調整量θAJを設定する。加算部64は、推定ユニット62からの推定位相θestに対して位相調整量θAJを加算し、加算結果を調整後の位相θCとして出力する。従って、θ=θest+θAJ、である。位相調整部63における位相調整量θAJの設定方法は、図10の位相調整部43におけるそれと同じである。
<<第7実施形態>>
本発明の第7実施形態を説明する。第7実施形態では、単相信号vinが電圧信号(即ち、電圧値を表す信号)であるとする。この場合、第4、第5又は第6実施形態に示された方法にて求められた位相θ、即ち、調整後の位相θに基づいて電流制御を成しても良い。即ち、図13に示すような電流制御部70を形成しても良い。
電流制御部70は、電流指令値i及び電流値iと調整後の位相θCとに基づいて電圧指令値vを算出する。電圧指令値vは、例えば、後述の第8実施形態における電圧指令値v に相当する(図14参照)。電圧指令値vは、例えば、インバータ回路の交流出力電圧の目標値を表し、該交流出力電圧の実測値そのもの又は該実測値に応じた値を信号値として有する単相信号が単相信号vinである、と考えることができる。後述の図14ではBPF101の出力信号v’が単相信号vinに相当する。電流値iは、例えば、上記インバータ回路の出力電流値であると考えることができる。電流指令値iは電流値iの目標値であり、電流制御部70は、電流誤差(i−i)がゼロになるように電圧指令値vを算出する。i及びiは、スカラー量であっても良いし、ベクトル量であっても良い。電流制御部70の具体的な構成例については、後述の第8実施形態の中で説明する。
<<第8実施形態>>
本発明の第8実施形態を説明する。図14は、第8実施形態に係るインバータシステムの概略構成図である。
図14のインバータシステムには、直流電力源である太陽電池121と、単相インバータ回路122と、単相インバータ回路122を制御する制御装置100と、単相の交流電力を出力する電力系統130と、が備えられている。制御装置100を、電力変換制御装置又は電力変換制御部と呼ぶこともできる。制御装置100には、符号101〜107によって参照される各部位が備えられている。制御装置100のみを含む装置、又は、単相インバータ回路122及び制御装置100を含む装置を、インバータ装置と捉えることが可能である。単相インバータ回路122及び制御装置100以外の、図14に示される任意の部位(例えば、電流検出センサ125並びに電圧検出センサ126及び127)もインバータ装置の構成要素に含まれる、と捉えることも可能である。
図14には、太陽電池121の等価回路が示されている。太陽電池121は、太陽エネルギーに基づく発電を行い、直流電圧を発生させる。直流電圧保持部Cは、太陽電池121が発生した直流電圧に応じた電荷を蓄えることにより該直流電圧を保持する。電圧検出センサ127は、直流電圧保持部Cにて保持された直流電圧Eの電圧値を検出し、検出した電圧値を信号値として有する信号Eを直流電圧制御部103に送る。
複数のスイッチング素子を有する単相インバータ回路122は、各スイッチング素子のスイッチング動作を用いたパルス幅変調により、直流電圧保持部Cからの直流電圧を電力系統130に同期する単相の交流電圧に変換する。単相インバータ回路122にて得られた交流電圧は、端子128の電位を基準として端子128及び129から出力される。尚、太陽電池121の出力電圧が低く直流電圧保持部Cの電圧の確保が難しい場合は、太陽電池と単相インバータ回路122との間に昇圧回路を配置しても良い。また、図示しないが、単相インバータ回路122の後段(単相インバータ回路122と電流検出センサ125との間)には単相インバータ回路122の出力する交流電力の高調波成分を除去するフィルタ回路が通常配置される。
電力系統130は、交流電圧源を有し、端子131の電位を基準として端子131及び132から単相の交流電圧(例えば、いわゆる商用交流電圧)を出力する(供給している)。端子128及び131間を接続する配線上に連系点133が設けられていると共に端子129及び132間を接続する配線上に連系点134が設けられ、連系点133及び134間の交流電圧を駆動電圧として作動する負荷135が連系点133及び134間に接続されている。このように、図14のインバータシステムでは、単相インバータ回路122により直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳されて負荷135へ供給される。即ち、単相インバータ回路122の出力交流電力と電力系統130の出力交流電力を用いて負荷135の駆動が成される。
Lcは、端子128及び連系点133間の屋内配線のリアクタンス成分及び端子129及び連系点134間の屋内配線のリアクタンス成分を表し、Rcは、それらの各屋内配線の抵抗成分を表している。Lsは、端子131及び連系点133を接続する屋外配線のリアクタンス成分及び端子132及び連系点134を接続する屋外配線のリアクタンス成分を表し、Rsは各屋外配線の抵抗成分を表している。
電流検出センサ125は、単相インバータ回路122の出力電流の電流値を検出し、検出電流値を信号値として有する信号iを電流制御部104に送る。尚、端子128及び連系点133間(又は端子129及び連系点134間)の電流を検出することで信号iを得るのではなく、太陽電池121及び単相インバータ回路122間の電流を検出することによって或いは単相インバータ回路122内の電流を検出することによって信号iを得てもよい。
電圧検出センサ126は、単相インバータ回路122の出力電圧(即ち、端子128の電位を基準とした端子128及び129間の電圧)の電圧値を検出し、検出電圧値を信号値として有する信号vをBPF(バンドパスフィルタ)101に送る。本実施形態において、基準周波数ωは、電力系統130の出力電圧の周波数(例えば電力系統130側にて定められた公称周波数)であり、例えば60×2π又は50×2πである。BPF101は、信号vに含まれる高調波成分(ωの高次成分)を減衰させ、この減衰の成された信号vを信号v’として出力する。尚、高調波成分の存在が問題とならないシステムにおいては、BPF101を割愛することも可能である(この場合、v=v’である)。以下の説明では、記号“i”及び“v”を、夫々、単相インバータ回路122の出力電流及び出力電圧を表す記号としても用いる。
推定/位相調整ユニット102(以下、ユニット102と略記することがある)に、第4、第5又は第6実施形態の単相信号入力装置を内包させることができる。即ち、図10の各部位を備える単相信号入力装置、図11の各部位を備える単相信号入力装置、又は、図12の各部位を備える単相信号入力装置をユニット102に設けておくことができる。ユニット102は、BPF101からの信号v’を単相信号vinとして受け、単相信号vinとしての信号v’と基準周波数ωとに基づき、第4、第5又は第6実施形態で述べた方法に従って、調整後の位相θ、周波数ωest及び周波数変化量Δωestを求める。但し、ユニット102において、ωest及びΔωestの内の一方の導出は割愛されても良い。また、ユニット102で求められるΔωestはΔωest2であっても良い(図11及び図7参照)。ユニット102が導出した位相θは電流制御部104に送られ、ユニット102が導出したωest又はΔωestは単独運転検出部107に送られる。
直流電圧制御部103には、信号Eに加えて、直流電圧指令値E が与えられる。直流電圧指令値E は、直流電源としての太陽電池121から最大電力を得るための信号E(換言すれば、単相インバータ回路122の出力電力を最大にするための信号E)の値と合致する。直流電圧制御部103は、比例積分制御などを用いて信号Eの値が指令値E と一致するように有効電流指令値i を算出及び出力する。単相インバータ回路122の出力電流iは有効電流と無効電流から形成される(換言すれば、有効電流成分と無効電流成分から成る)。有効電流指令値i は、出力電流iを形成する有効電流の目標値に相当する。尚、後に示す無効電流指令値i は(図16参照)、出力電流iを形成する無効電流の目標値に相当する。
電流制御部104は、出力電流i(インバータ回路122の出力電流を表す信号i)、有効電流指令値i 及び位相θに基づき、比例積分制御などを用いて指令値vSO を求める。加算部105は、BPF101からの信号値v’に指令値vSO を加算することで(即ち“v =(vSO +v’)”に従って)電圧指令値v を求め、求めた電圧指令値v をPWM回路106に与える。電流制御部104及び加算部105は、位相θCを位相θとして取り扱った上で、出力電流iSの有効電流成分を指令値i と一致させるための指令値vSO 及びv を生成する。
PWM回路106は、BPF101から出力される単相インバータ回路122の出力電圧値(即ち、信号v’の値)が電圧指令値v と一致するように、単相インバータ回路122内の各スイッチング素子を制御する。このように、制御装置100は、電圧指令値v に応じた各スイッチング素子の制御を通じて、単相インバータ回路122の出力交流電流の制御を実現する。
単独運転検出部107は、ユニット102によって推定された周波数ωest又は周波数変化量Δωestに基づき、単相インバータ回路122の単独運転状態を検出する(換言すれば、単独運転が発生しているか否かを検出する)。単独運転及び単独運転状態とは、単相インバータ回路122のみが負荷135に電力を供給している状態を指す。単独運転は、電力系統130側に停電が発生した場合に発生しうる。安全性確保等を目的として、単独運転の発生時には、速やかにこれを検知し、単相インバータ回路122の出力を停止させることが求められる。従って、検出部107によって単独運転が発生していると検出された場合、制御装置100は、速やかにインバータ回路122の出力を停止させる。
単独運転が発生すると、単相インバータ回路122の出力電圧の周波数が電力系統130側にて定められた基準周波数ωから大きくずれうる。従って例えば、単独運転検出部107は、周波数ωestと基準周波数ωnを比較し、それらの差分絶対値|ωest−ω|が所定の閾値TH以上であるならば単独運転が発生していると判断する一方、差分絶対値|ωest−ω|が閾値TH未満であるならば単独運転は発生していないと判断することができる。TH>0である。或いは例えば、単独運転検出部107は、Δωestの絶対値を所定の閾値THと比較し、Δωestの絶対値が閾値TH以上であるならば単独運転が発生していると判断する一方、Δωestの絶対値が閾値TH未満であるならば単独運転は発生していないと判断しても良い。TH>0である。
図15に、電流制御部104の例である電流制御部104Aの内部ブロック図を示す。電流制御部104Aは、符号141及び142によって参照される各部位を備える。
電流指令生成部141は、ユニット102からの位相θに基づき、位相θを位相θとして取り扱った上で、直流電圧制御部103からの有効電流指令値i を出力電流指令値i に変換する。指令値i は、インタータ122の出力電流iの目標値として機能する正弦波電流指令値である。有効電流制御部142は、信号iの値である出力電流値iが指令値i と一致するように、比例積分制御などを用いて電圧指令値vSO を算出する。指令値vSO は、(i−i )をゼロにするために出力電圧vSに追加すべき電圧量を表す。従って、加算部105では、上述したように“v =(vSO +v’)”により電圧指令値v を求める。
図16に、電流制御部104の他の例である電流制御部104Bの内部ブロック図を示す。電流制御部104Bは、符号151〜154によって参照される各部位を備える。
座標変換部151は、ユニット102からの位相θに基づき、位相θを位相θとして取り扱った上で、信号iによって表されるインバータ回路122の出力電流を有効電流及び無効電流に座標変換し、これによって有効電流値i及び無効電流値iを算出する。座標変換部151は、図7の二相信号生成部37及び座標回転部31と同様の構成を有する。即ち、二相信号生成部37及び座標回転部31において単相の電圧信号vinから二相の電圧信号v及びvを生成したのと同様の方法にて、座標変換部151は、単相の電流信号iSから二相の電流信号i及びiを生成する。出力電流iから電流ベクトル(有効電流及び無効電流を成分として有するベクトル)を再現するため、出力電流iはベクトル量に準ずる量であると捉えることができ、従って出力電流iを出力電流ベクトルiと呼ぶこともできる。出力電流ベクトルiはPQ座標系上の電流ベクトルである。
有効電流制御部152には直流電圧制御部103から有効電流指令値i が与えられ、また、無効電流制御部153には無効電流指令値i が与えられる。制御装置100は、指令値i にゼロを設定しておくことができる。有効電流制御部152及び無効電流制御部153は、夫々、比例積分制御などによって有効電流値i及び無効電流値iが指令値i 及びi と一致するように電圧指定値v 及びv を算出する。座標変換部154は、ユニット102からの位相θに基づき、位相θを位相θとして取り扱った上で、電圧指定値v 及びv を電圧指令値vSO に変換する。加算部105では、上述したように“v =(vSO +v’)”により電圧指令値v を求める。座標変換部154及び加算部105を用いて求められる電圧指令値v は、式(C1)によって表現される。
Figure 0005637310
上述したように、図14の推定/位相調整ユニット102に、図10、図11又は図12の単相信号入力装置を設けておくことができる。図10、図11又は図12の単相信号入力装置で実行される、位相θestから位相θを生成する処理を位相調整と呼ぶ。位相調整の意義について説明する。
単相インバータ回路122が電力系統130と連系しているときには、位相調整を行っても、連系点電圧(連系点133及び134間の電圧)の周波数は電力系統130の出力電圧の周波数から変化せず、よって電圧v及びv’の周波数も電力系統130の出力電圧の周波数から変化しない。しかしながら、停電等によって電力系統130からの電圧出力が停止すれば、制御装置100の制御のみに従った電圧が連系点に現われると共に電圧検出センサ126に検出される。
電力系統130からの電圧出力が停止した状態において、連系点電圧の周波数が基準周波数ωよりも高いとき(即ちΔω>0であるとき)、電圧信号v’の位相θが進むように(即ちθAJ>0となるように)位相調整を行うと、該位相調整に従う出力電流iの位相変化を介して連系点電圧の位相が進み、連系点電圧の周波数が更に高くなる。逆に、電力系統130からの電圧出力が停止した状態において、連系点電圧の周波数が基準周波数ωよりも低いとき(即ちΔω<0であるとき)、電圧信号v’の位相θが遅れるように(即ちθAJ<0となるように)位相調整を行うと、該位相調整に従う出力電流iの位相変化を介して連系点電圧の位相が遅れ、連系点電圧の周波数が更に低くなる。
電力系統130からの電圧出力が停止した状態において(即ち単独運転状態において)、このような連系点電圧の周波数の増大又は減少が生じるように、ユニット102内の位相調整部43、53又は63を形成しておくとよい(図10、図11又は図12参照)。即ち例えば、ユニット102内の位相調整部43、53又は63は、“|Δωest|≦ΔωTH”が成立するときには位相調整量θAJにゼロを設定し、“|Δωest|>ΔωTH”及び“Δωest>0”が成立するときには位相調整量θAJに正の値を設定し、“|Δωest|>ΔωTH”及び“Δωest<0”が成立するときには位相調整量θAJに負の値を設定すると良く(第4実施形態で述べたようにΔωTH≧0)、更に“|Δωest|>ΔωTH”の成立時、絶対値|Δωest|が増大するにつれて位相調整量θAJの絶対値を増大させてもよい。但し、ユニット102内に図11の位相調整部53が設けられる場合には、Δωest2がΔωestとして用いられる。
上記のような位相調整により、電力系統130からの電圧出力が停止した場合には(即ち単独運転が発生した場合には)、時間の経過と共に連系点電圧の周波数(即ち、電圧信号v及びv’の周波数ω)が基準周波数ωからずれてゆくようになる。従って、単独運転検出部107は、ユニット102によって推定された周波数ωest又は周波数変化量Δωestに基づき単独運転が発生しているか否かを検出することができ、位相調整によって、その検出に必要な時間(単独運転が発生した時点から単独運転が検出されるまでに必要な時間)を短縮することができる。即ち、単独運転検出を高速化することができる。
<<第9実施形態>>
本発明の第9実施形態を説明する。第8実施形態において位相調整の有益性を説明したが、位相調整の実行は必須ではない。第9実施形態では、位相調整を行わないインバータシステムを説明する。
第9実施形態のインバータシステムは、第8実施形態のインバータシステム(図14)における推定/位相調整ユニット102が、次に示す推定/位相調整ユニット102Aとして動作する点で相違する。
推定/位相調整ユニット102Aは、図10の二相信号生成部41及び周波数/位相推定ユニット42、又は、図11の二相信号生成部51及び周波数/位相推定ユニット52、又は、図12の周波数変化量推定ユニット61及び周波数/位相推定ユニット62を備え、BPF101から単相信号vinとして入力される電圧信号v’と基準周波数ωとに基づき、θest、ωest及びΔωestを算出及び出力する。但し、ユニット102Aに図11の二相信号生成部51及び周波数/位相推定ユニット52を設ける場合には、Δωest2をΔωestとして取り扱うものとする。
制御装置100の電流制御部104は、ユニット102Aからの推定位相θestをθとして用いた上で、第8実施形態で述べた動作を行う。従って、制御装置100では、位相調整の影響を受けていない電圧指令値v が生成され、結果、位相調整の影響を受けていない電流が単相インバータ回路122から出力される。
位相調整を行わない場合においても、位相調整を行った場合と同様に単独運転の検出は可能である。但し、位相調整の作用から理解されるように、単独運転の検出速度は位相調整を行った方が速い。また、インバータ回路122の出力電力と負荷135の消費電力が釣り合っていて電力系統130から負荷135への電力供給が無い状態(以下、バランス状態という)では、単独運転が発生しても一般にその検出が困難であるが、位相調整を行えばバランス状態においても確実に単独運転の検出が可能になる。
図17(a)及び(b)を参照し、バランス状態において単独運転が発生したときの各信号波形を示す。図17(a)の波形711、712及び713は、夫々、位相調整を行わない第9実施形態のインバータシステムおける出力電圧v、推定周波数ωest/2π及び位相調整量θAJの信号波形(時間変化)を表している。第9実施形態のインバータシステムでは、θAJは常にゼロであると考えることができる。図17(b)の波形721、722及び723は、夫々、位相調整を行う第8実施形態のインバータシステムおける出力電圧v、推定周波数ωest/2π及び位相調整量θAJの信号波形(時間変化)を表している。図17(a)及び(b)のシミュレーションでは、特定のタイミングt以前においてω/2π=50(Hz)の交流電圧を電力系統130から出力させており、且つ、特定のタイミングtに電力系統130の電圧出力を停止させることでタイミングt以降において単独運転状態を実現させた。図17(a)及び(b)の比較から分かるように、位相調整を行えばバランス状態においても速やかに推定周波数ωestが基準周波数ωからずれてゆくため、高速且つ確実に単独運転の発生を検出することができる。
<<第10実施形態>>
本発明の第10実施形態を説明する。図16の電流制御部104Bを用いる場合、位相θに基づいてインバータ回路122の出力電流ベクトルiが制御されるが、出力電流ベクトルiの制御を介してインバータ回路122を制御する場合には、第8実施形態で述べた位相調整の代わりに、出力電流iの無効電流成分を調整しても良い。即ち例えば、第9実施形態のインバータシステムにおいて、電流制御部104を図18の電流制御部104Cに置き換えても良い。第9実施形態のインバータシステムに、この置き換えを施したインバータシステムが、第10実施形態に係るインバータシステムである。
電流制御部104Cは、符号151〜156によって参照される各部位を備える。無効電流調整部155は、第9実施形態のユニット102Aにて推定されたΔωestに基づき、無効電流調整量iqAGを設定する。加算部156は、無効電流指令値i に対して無効電流調整量iqAGを加算し、加算結果を、調整後の無効電流指令値i ’として無効電流制御部153に供給する。従って、i ’=i +iqAG、である。
電流制御部104Cにおいて、座標変換部151は、第9実施形態のユニット102Aからの位相θestに基づき、位相θestを位相θとして取り扱った上でインバータ回路122の出力電流iを有効電流及び無効電流に分解し、これによって有効電流値i及び無効電流値iを算出する。θest=θである場合、i及びiは、インバータ回路122の出力電流ベクトルiのP軸及びQ軸成分に一致する。
電流制御部104Cにおいて、有効電流制御部152及び無効電流制御部153は、夫々、有効電流値i及び無効電流値iが指令値i 及びi ’と一致するように比例積分制御などを用いて電圧指定値v 及びv を算出し、座標変換部154は、第9実施形態のユニット102Aからの位相θestに基づき、位相θestを位相θとして取り扱った上で電圧指定値v 及びv を電圧指令値vSO に変換する。加算部105では、上述したように“v =(vSO +v’)”により電圧指令値v を求める。電流制御部104Cを用いた場合、座標変換部154及び加算部105を用いて求められる電圧指令値v は、式(D1)によって表現される。
Figure 0005637310
図16の電流制御部104Bを用いる場合、調整後の位相θを座標変換部151及び154の演算に利用することで、図19(a)に示す如く、周波数変化量Δωestに応じた位相調整量θAJだけ単相インバータ回路122の出力電流ベクトルiの位相が進められる(又は遅らされる)。一方、図18の電流制御部104Cを用いる場合には、図19(b)に示す如く、周波数変化量Δωestに応じた電流指令値i ’を無効電流制御部153に入力することで、出力電流ベクトルiの位相が進められる(又は遅らされる)。従って、第10実施形態においても(即ち電流制御部104Cを用いた場合においても)、第8実施形態の位相調整を行った場合と同様の作用が得られ、単独運転検出の高速化等が図られる。
無効電流調整部155は、“|Δωest|≦ΔωTH”が成立するときには無効電流調整量iqAGにゼロを設定し、“|Δωest|>ΔωTH”が成立するときには無効電流調整量iqAGに正又は負の値を設定する(第4実施形態で述べたようにΔωTH≧0)。より具体的には例えば、無効電流調整部155は、“|Δωest|>ΔωTH”及び“Δωest>0”が成立するときには調整量iqAGに正の値を設定し、“|Δωest|>ΔωTH”及び“Δωest<0”が成立するときには調整量iqAGに負の値を設定すると良い。更に、“|Δωest|>ΔωTH”の成立時、無効電流調整部155は、絶対値|Δωest|が増大するにつれて調整量iqAGの絶対値を増大させてもよい。
尚、無効電流調整部155及び加算部156によって出力電流iの無効電流成分が調整されるが(換言すれば、無効電流指令値が調整されるが)、無効電流成分の調整は無効電力の調整と同義である。
[総括作用・効果]
上述の各実施形態に係るユニット、装置、システムの作用及び効果について考察する。
上述の各実施形態に係る単相入力信号装置では、単相信号vin(=vα)と、単相信号vinにフィルタ処理を施すことで得られた単相信号vβとに基づき、基準周波数ωから見た単相信号vinの周波数変化量Δωを推定することができる。単相信号のゼロクロスタイミングから単相信号の周波数及び位相を検出する従来方法では、原理上、単相信号の半周期ごとしか周波数を検出することができない。また、信号に含まれるノイズや高調波成分によってゼロクロスタイミングが容易に変化するため、ゼロクロスタイミングを利用する方法は、ノイズや高調波成分に対して脆弱である。結果、ゼロクロスタイミングを利用してΔωを検出しようとした場合には、実質的に有効な精度のΔωを得るために単相信号の複数周期分の時間が必要になる。これに対し、上述の各実施形態に係る単相入力信号装置では、単相信号の半周期ごとではなく、常時、周波数変化量Δωの推定を行うことができるため、基準周波数ωnからの周波数ωの変動を素早く検出することができる。また、周波数ωの変動を素早く検出することができるため、単相入力信号装置による周波数変化量Δωの推定値を単独運転の検出に利用すれば(図14参照)、ゼロクロスタイミングを用いて単独運転検出を行う場合よりも、高速に単独運転検出が可能である。
また、図6に示す如く、周波数変化量Δωの推定値に基づきフィルタ係数(ω’)を適応的に調整することで、周波数ωや位相θの推定精度を向上させることができる(図9(a)及び(b)参照)。尚、特開2003−143860号公報及び特開2006−129681号公報に記載の方法では、瞬時且つ連続的に単相信号の位相を推定することができるかもしれないが、フィルタの係数が固定されているために周波数の変動には対応できない。また、特開2008―141935号公報に記載の方法では、位相同期器の推定周波数を利用して二相信号生成器のフィルタ係数を調整しているため、位相同期器と二相信号生成器の設計を独立して行うことができず、設計が煩雑になる。
また、図10、図11又は図12に示す構成を用いて周波数変化量Δωの推定値に基づく位相調整を実行し、調整後の位相θを用いて電流制御を行えば(図14、図15及び図16参照)、周波数ωに対して任意の位相特性を実現できる。第10実施形態の如く(図18参照)、無効電流成分を調整する場合も同様である。この位相特性をインバータ装置に利用すれば、単独運転時に周波数ωを能動的に基準周波数ωからシフトさせることが可能となる。即ち、単独運転の発生後、短時間で周波数ωを基準周波数ωからシフトさせることが可能となるため、単独運転の検出を高速化できる。
ゼロクロスタイミングを利用して周波数検出を行う場合でも、Δωに基づいて電流指令の位相を調整する方法が採用されうるが、この場合、ゼロクロスのタイミングでしか位相調整量を変更できないので高速な周波数シフトは困難である。これに対し、本発明の実施形態に係るインバータシステムでは、位相推定及び周波数変化量推定を常時行うことができるため、高速な周波数シフトが可能である(周波数ωを短時間で大きく基準周波数ωからずらすことができる)。この際、図12に示す如く、位相推定にゼロクロスタイミングを利用する方式を用いても、位相調整を常時行うようにすれば高速な周波数シフトが可能である(即ち、本発明に係る周波数変化量推定方式は、ゼロクロスタイミングを利用する方式と組み合わせて用いることが可能である)。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈5を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
第8〜第10実施形態では、単相の電力系統と系統連系を行う単相のインバータ装置に対して本発明の技術が適用されているが、上述の各実施形態の技術を包含する本発明の技術を、複数相の電力系統(例えば三相の電力系統)と系統連系を行う複数相のインバータ装置(例えば三相のインバータ装置)に適用しても良い。この場合、複数相の電力系統に接続される複数相のインバータ回路からの複数相の出力電圧の内、一相分の電圧(即ち、相電圧又は線間電圧)の信号を単相信号vinと捉えて、上述の各実施形態と同様の処理を行っても良い。
[注釈2]
各実施形態において、導出されるべき全ての値の導出方法は任意である。即ち例えば、それらを、演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈3]
各実施形態における演算動作を行う任意の部位を、ソフトウェアによって、或いは、ハードウェアによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって形成することができる。
[注釈4]
例えば、以下のように考えることができる。上述の各実施形態において、任意の推定ユニットを推定部又は推定装置と呼ぶこともでき(例えば、周波数変化量推定ユニットを周波数変化量推定部と呼ぶこともでき)、フィルタをフィルタ部と呼ぶこともできる。上述の単相信号入力装置の幾つかには、単相信号vinに基づいて周波数変化量Δωを推定する周波数変化量推定部、単相信号vinに基づいて位相θを推定する位相推定部、及び/又は、単相信号vinに基づいて周波数ωを推定する周波数推定部が内在している。周波数変化量推定部は、周波数変化量Δωest又はΔωest2を求める部位に相当し、位相推定部は位相θestを求める部位に相当し、周波数推定部は周波数ωestを求める部位に相当する。従って、例えば、推定ユニット42、52又は62(図10、図11又は図12参照)は、周波数変化量推定部、位相推定部及び周波数推定部を内包しており、ユニット102又は102A(図14参照)も、周波数変化量推定部、位相推定部及び周波数推定部を内包している。
[注釈5]
本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。上記の数と表記した墨付きかっこ内の式(式(A3)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表現されているギリシャ文字(α、βを含む)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このようなギリシャ文字における下付き文字と標準文字との相違は、電子出願用ソフトウェアが実行したフォント変換によって生じたものであり、本明細書を読むに当たり、その相違は適宜無視されるべきである。
Figure 0005637310
10、20 周波数変化量推定ユニット
11、21 フィルタ
12、22 乗算部
13、23 直流成分抽出部
14 係数乗算部
30 位相/周波数/周波数変化量推定ユニット
37、41、51 二相信号生成部
43、53、63 位相調整部
100、100A 制御装置
121 太陽電池
122 単相インバータ回路
125 電流検出センサ
126、127 電圧検出センサ
130 電力系統

Claims (7)

  1. 直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備えたインバータ装置において、
    前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、
    前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、
    前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記基準周波数に対する前記第1単相信号の周波数の変化量と、前記第1単相信号に基づいて推定される前記第1単相信号の推定位相とに基づいて前記推定位相の位相調整を行い、
    この位相調整を行った推定位相を用いて直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換することを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記第1及び第2単相信号の積に基づき前記周波数の変化量を推定することを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 推定した前記周波数の変化量に基づいて前記基準周波数を調整し、調整した基準周波数を用いて前記第2単相信号を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインバータ装置。
  4. 前記周波数の変化量が所定の閾値よりも大きい場合、前記インバータ回路の単独運転が発生していると検出して前記インバータ回路の出力を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のインバータ装置。
  5. 前記周波数の変化量に基づき、前記電力変換回路の出力交流電流における無効電流成分を調整することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のインバータ装置。
  6. 直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備え、前記インバータ回路の単独運転を検出した場合に前記インバータ回路を停止する前記インバータ装置において、
    前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、
    前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、
    前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記基準周波数に対する前記第1単相信号の周波数の変化量が所定の閾値よりも大きい場合、前記単独運転が発生していると検出することを特徴とするインバータ装置。
  7. 直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に重畳するインバータ回路を備えたインバータ装置において、
    前記電力系統及前記インバータ回路間の交流電圧を示す第1単相信号を検出する電圧検出センサを備え、
    前記電力系統の出力電圧の周波数の基準値である基準周波数を用いて、前記第1単相信号との間で所定の位相差を有する第2単相信号を前記第1単相信号から生成し、
    前記第1単相信号及び前記第2単相信号に基づいて推定される前記第1単相信号の推定位相を用いて直流電力を電力系統に同期した交流電力に変換することを特徴とするインバータ装置。
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