JP2015045570A - 電気量測定装置および電気量測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、より高い精度での電気量の測定を可能とする電気量測定装置および電気量測定方法を提供する。【解決手段】電気量測定装置は、測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する3点の電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和の平均値を中間時刻における電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データと周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出する交流電圧振幅算出部とを含む。【選択図】図16
Description
本発明は、電気量測定装置および電気量測定方法に関する。
近年、電力系統内の潮流が複雑化するにつれ、信頼性および品質の高い電力の供給が要求されるようになっており、特に、電力系統の電気量(交流電気量)を測定する測定装置の性能向上の必要性は、ますます高くなっている。
従来、この種の測定装置としては、例えば、特許文献1および2に開示されたものがある。より具体的には、特許文献1(広域保護制御計測システム)および特許文献2(保護制御計測システム)は、位相角の変化成分(微分成分)を定格周波数(50Hzまたは60Hz)からの変化分として実系統の周波数を求める手法を開示している。
これらの文献では、実系統の周波数を求める計算式として、次式を開示しているが、これらの計算式は、下記非特許文献1が提示する計算式でもある。
2πΔf=dφ/dt
f(Hz)=60+Δf
下記特許文献3は、本願発明者による先願特許発明であり、この発明の内容については適宜後述する。
f(Hz)=60+Δf
下記特許文献3は、本願発明者による先願特許発明であり、この発明の内容については適宜後述する。
"IEEE Standard for Power Synchrophasors for Power Systems", p.p.30, IEEE Std C37.118-2005
上記のように、特許文献1および2、ならびに非特許文献1に開示される手法は、位相角の変化成分を微分計算によって求める手法である。しかしながら、実系統の周波数瞬時値の変化は頻繁かつ複雑であり、微分計算は非常に不安定である。このため、例えば周波数測定に関し、充分な計算精度が得られないという課題があった。
また、これらの手法は、定格周波数(50Hzまたは60Hz)を初期値として計算するため、計算の開始時において、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合には、測定誤差が生じることになり、系統定格周波数からの外れ度合いが大きい場合には、測定誤差が非常に大きくなるという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、より高い精度での電気量の測定を可能とする電気量測定装置および電気量測定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電気量測定装置は、測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する3点の電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和の平均値を中間時刻における電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データと周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出する交流電圧振幅算出部とを含む。
本発明によれば、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、より高い精度での電気量の測定が可能になるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法について説明する。図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[A.用語の定義]
まず、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法を説明するにあたり、本明細書で使用する用語について説明する。
[A.用語の定義]
まず、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法を説明するにあたり、本明細書で使用する用語について説明する。
(1)複素数
実数a,bと虚数単位jとを用いてa+jbの形で表される値である。電気工学ではiが電流符号であるため、虚数単位はj=√(−1)を用いて表す。本明細書では複素数を用いて、回転ベクトルを表現する。
実数a,bと虚数単位jとを用いてa+jbの形で表される値である。電気工学ではiが電流符号であるため、虚数単位はj=√(−1)を用いて表す。本明細書では複素数を用いて、回転ベクトルを表現する。
(2)複素平面
複素数を2次元平面上の点とし、一般的には、実部(Re)を横軸に、虚部(Im)を縦軸にとった直角座標で複素数を表す平面である。原理的には、実部(Re)を縦軸とし、虚部(Im)を横軸としてもよい。
複素数を2次元平面上の点とし、一般的には、実部(Re)を横軸に、虚部(Im)を縦軸にとった直角座標で複素数を表す平面である。原理的には、実部(Re)を縦軸とし、虚部(Im)を横軸としてもよい。
(3)回転ベクトル
電力系統の電気量(電圧または電流)に関する複素平面上で反時計回りに回転するベクトルである。回転ベクトルの実数部は瞬時値に相当する。
電力系統の電気量(電圧または電流)に関する複素平面上で反時計回りに回転するベクトルである。回転ベクトルの実数部は瞬時値に相当する。
(4)差分回転ベクトル
サンプリング周波数1サイクル前後2点の回転ベクトルの差分ベクトルである。差分回転ベクトルの実数部はサンプリング周波数1サイクル前後2点の瞬時値の差分である。
サンプリング周波数1サイクル前後2点の回転ベクトルの差分ベクトルである。差分回転ベクトルの実数部はサンプリング周波数1サイクル前後2点の瞬時値の差分である。
(5)対称群
複素平面上で回転している対称性を有するグループである。
複素平面上で回転している対称性を有するグループである。
(6)不変量
対称群が回転した前後において、変化しないパラメータである。本実施の形態が想定している不変量としては、これらには限られないが、回転位相角、周波数係数、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧などがある。なお、不変量が分かれば、対称群の特性も分かる。
対称群が回転した前後において、変化しないパラメータである。本実施の形態が想定している不変量としては、これらには限られないが、回転位相角、周波数係数、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧などがある。なお、不変量が分かれば、対称群の特性も分かる。
(7)ベクトル加算群表/ベクトル減算群表
対称群における所定のメンバー(ベクトル変数)同士の和(足し算)または差(引き算)で表される表(テーブル)である。対称群の不変量を調べるためのロードマップになる。
対称群における所定のメンバー(ベクトル変数)同士の和(足し算)または差(引き算)で表される表(テーブル)である。対称群の不変量を調べるためのロードマップになる。
(8)実数加算群表
対称群における所定のメンバー(実数変数)同士の和(足し算)または差(引き算)で表される表(テーブル)である。
対称群における所定のメンバー(実数変数)同士の和(足し算)または差(引き算)で表される表(テーブル)である。
(9)リアルタイム周波数
電力系統における現実の周波数である。この実周波数は、電力系統が安定であっても、定格周波数の近傍で微妙に変動している。本明細書において、リアルタイム周波数はfで表現する。リアルタイム周波数fの単位はヘルツ(Hz)である。また、電気回路等における角周波数ωは、ω=2πfで表され、その単位は(rad/s)である。
電力系統における現実の周波数である。この実周波数は、電力系統が安定であっても、定格周波数の近傍で微妙に変動している。本明細書において、リアルタイム周波数はfで表現する。リアルタイム周波数fの単位はヘルツ(Hz)である。また、電気回路等における角周波数ωは、ω=2πfで表され、その単位は(rad/s)である。
(10)データ収集サンプリング周波数
データ収集時のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)であり、“f1”で表す。このデータ収集サンプリング周波数f1は、高いほうが精度がよい。なお、ゲージサンプリング周期Tと同様にデータ収集サンプリング周期T1は、データ収集サンプリング周波数f1の逆数として、T1=1/f1で表される。
データ収集時のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)であり、“f1”で表す。このデータ収集サンプリング周波数f1は、高いほうが精度がよい。なお、ゲージサンプリング周期Tと同様にデータ収集サンプリング周期T1は、データ収集サンプリング周波数f1の逆数として、T1=1/f1で表される。
(11)ゲージサンプリング周波数
ゲージ対称群の計算に使用されるサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)であり、“fS”で表す。よって、ゲージサンプリング周期Tは、ゲージサンプリング周波数fSの逆数として、T=1/fSで表される。なお、T,T1の間には、T>T1の関係がある。
ゲージ対称群の計算に使用されるサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)であり、“fS”で表す。よって、ゲージサンプリング周期Tは、ゲージサンプリング周波数fSの逆数として、T=1/fSで表される。なお、T,T1の間には、T>T1の関係がある。
(12)系統周波数
基本的には、電力系統における定格周波数を意味し、50Hz、60Hzの2種類がある。
基本的には、電力系統における定格周波数を意味し、50Hz、60Hzの2種類がある。
(13)回転位相角
電圧回転ベクトル(単に「電圧ベクトル」と称する場合もある)または電流回転ベクトル(単に「電流ベクトル」と称する場合もある)がゲージサンプリン周波数1サイクルの間に複素平面上で回転した位相角であり、αで表す。なお、回転位相角αは周波数依存量であり、後述のように、αが正数の場合には、α=2π(f/fS)で計算し、αが負数の場合には、α=2π{(f/fS)−1}で計算する。また、αが零の場合、ゲージサンプリング周波数fSとリアルタイム周波数fとの間には、f=fS/2の関係がある。
電圧回転ベクトル(単に「電圧ベクトル」と称する場合もある)または電流回転ベクトル(単に「電流ベクトル」と称する場合もある)がゲージサンプリン周波数1サイクルの間に複素平面上で回転した位相角であり、αで表す。なお、回転位相角αは周波数依存量であり、後述のように、αが正数の場合には、α=2π(f/fS)で計算し、αが負数の場合には、α=2π{(f/fS)−1}で計算する。また、αが零の場合、ゲージサンプリング周波数fSとリアルタイム周波数fとの間には、f=fS/2の関係がある。
(14)周波数係数
回転位相角αの余弦関数値であり、fCで表す。本願のすべてのゲージ対称群にはそれぞれの周波数係数の計算式がある。なお、周波数係数fCを対称性指標として利用すれば、交流であるかどうかの判定が可能となる。
回転位相角αの余弦関数値であり、fCで表す。本願のすべてのゲージ対称群にはそれぞれの周波数係数の計算式がある。なお、周波数係数fCを対称性指標として利用すれば、交流であるかどうかの判定が可能となる。
(15)移動平均処理
所定数の直近データを用いて行う単純な平均処理である。なお、移動平均処理を行うことにより、測定誤差および相加性ガウス雑音の影響を小さくできる。
所定数の直近データを用いて行う単純な平均処理である。なお、移動平均処理を行うことにより、測定誤差および相加性ガウス雑音の影響を小さくできる。
(16)ゲージ電圧群
時系列的に連続した3つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。なお、電圧以外の電流、電力(有効電力、無効電力)についても同様な対称群の概念が定義可能である。
時系列的に連続した3つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。なお、電圧以外の電流、電力(有効電力、無効電力)についても同様な対称群の概念が定義可能である。
(17)ゲージ電圧
ゲージ電圧群により計算される電圧不変量である。
ゲージ電圧群により計算される電圧不変量である。
(18)ゲージ差分電圧群
時系列的に連続した3つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
時系列的に連続した3つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
(19)ゲージ差分電圧
ゲージ差分電圧群により計算される差分電圧不変量である。
ゲージ差分電圧群により計算される差分電圧不変量である。
(20)回転電圧群
連続した2つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。実測の電圧瞬時値は電圧ベクトルの実数部に相当する。
連続した2つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。実測の電圧瞬時値は電圧ベクトルの実数部に相当する。
(21)回転差分電圧群
連続した2つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
連続した2つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
(22)対称性の破れ
入力波形が純粋な正弦波から崩れること。振幅急変、位相急変、または周波数急変により、入力波形の対称性が破れる。この対称性の破れを判定(検出)するための指標が対称性指標である。
[B.要旨]
本実施の形態は、スマートグリッドなどの基本技術となる電気量測定装置および電気量測定方法に関するものであり、その要旨の一つは、回転位相角を通じて周波数領域と瞬時値領域とを同時に扱うことにある。より具体的には、交流電圧および交流電流、ならびにこれらの交流電圧および交流電流に含まれる直流成分(直流電圧および直流電流)の構造を対称性の群でモデル化する点にある。従来理論では、周波数領域と時間領域との間で別々に解析を行っていたが、本実施の形態では、上記で定義した複素平面上の各種対称群(ベクトル対称群)を用いて、周波数依存量(回転位相角、周波数係数、リアルタイム周波数、振幅など)と時間依存量(電圧電流瞬時値)との解析を同時に行う。
入力波形が純粋な正弦波から崩れること。振幅急変、位相急変、または周波数急変により、入力波形の対称性が破れる。この対称性の破れを判定(検出)するための指標が対称性指標である。
[B.要旨]
本実施の形態は、スマートグリッドなどの基本技術となる電気量測定装置および電気量測定方法に関するものであり、その要旨の一つは、回転位相角を通じて周波数領域と瞬時値領域とを同時に扱うことにある。より具体的には、交流電圧および交流電流、ならびにこれらの交流電圧および交流電流に含まれる直流成分(直流電圧および直流電流)の構造を対称性の群でモデル化する点にある。従来理論では、周波数領域と時間領域との間で別々に解析を行っていたが、本実施の形態では、上記で定義した複素平面上の各種対称群(ベクトル対称群)を用いて、周波数依存量(回転位相角、周波数係数、リアルタイム周波数、振幅など)と時間依存量(電圧電流瞬時値)との解析を同時に行う。
本発明に係る本質的な概念は、回転位相角とリアルタイム周波数との対称性である(図1参照)。この質的な概念によれば、負の値をとる回転位相角(以下「負数回転位相角」とも称する)を導入することにより、ゲージサンプリング周波数に対応する全領域の周波数を測定できる(従来手法では、サンプリング周波数(本実施の形態ではゲージサンプリング周波数)の1/2以下の周波数のみを確定できる)。つまり、後述する対称群理論によれば、従来理論よりも測定範囲を2倍に拡大できたことを意味する。
本発明に含まれる別の要旨としては、対称群のベクトル加算群表/ベクトル減算群表を生成し、ベクトル加算/減算空間で対称群の構造を調べ、それから同じ対称群の実数加算群表を生成し、具体的な不変量の計算式を導出することにある。ベクトル加算群表/ベクトル減算群表は対称群の不変量を調べるロードマップである。本願発明者は、これまでの出願において、ゲージ電圧群、ゲージ差分電圧群、回転電圧群、回転差分電圧群の乗積群表を中心に展開することで、既知の不変量の上位概念に相当する新たな不変量(新たに定義される不変量)を導出することを提案した。
一方、本発明では、ゲージ電圧群およびゲージ差分電圧群の加算群表/減算群表、ならびに回転電圧群および回転差分電圧群の加算群表を中心に展開することで、新たな不変量を導出する。本発明を具体的なアプリケーションに適用する場合には、リストされた不変量の中で実用的な不変量を選択すればよい。
本明細書においては、主として交流電圧に着目して説明するが、対称群の実数加算群表は交流電流にも同様に適用可能である。
本発明に含まれるさらに別の要旨は、ゲージサンプリング周波数とデータ収集サンプリング周波数とを分離させる手法を提案することにある。この手法を用いれば、高速かつ高精度な測定が可能となる。
以下、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法についてより詳細に説明する。これらの説明にあたり、まず、本発明の要旨をなす電気量測定手法の概念(アルゴリズム)について説明し、その後、この手法の適用装置である本実施の形態に係る電気量測定装置の構成および動作、ならびに、この手法を適用した本実施の形態に係る電気量測定方法について説明する。
以下の説明において、アルファベットの小文字表記のうち、括弧付のもの(例えば“v(t)”)は、ベクトル(フェーザ)を表し、括弧無しのもの(例えば“v2”)は、瞬時値を表すものとする。また、アルファベットの大文字表記(例えば“Vg”)は、実効値もしくは振幅値を表すものとする。
[C.回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性]
まず、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性について説明する。図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。
[C.回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性]
まず、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性について説明する。図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。
例えば、上記特許文献3などにおいては、次の関係式に基づいた計算手法を展開している。
上式において、fはリアルタイム周波数、fSはゲージサンプリング周波数、αは回転位相角である。また、回転位相角αは零からπまでの正数であり、測定範囲もサンプリング定理の限界と同じであるゲージサンプリング周波数の1/2以下である。その後、本願発明者は、マイナスπから零までの負数回転位相角を導入すれば、次の関係式が真であることを知見した。
上記2式より、図1に示すように、ゲージサンプリング周波数をミラーとし、回転位相角とリアルタイム周波数との間に1対1の対称関係を樹立させることができ、その結果として、サンプリング定理の計測範囲を倍増することが可能となる。このように、本願の手法は、回転位相角を介し、周波数領域だけでなく瞬時値領域にも計算範囲を拡大している。これに対し、サンプリング定理は、フーリエ変換をベースにした周波数領域のみアルゴリズムであるということができる。
上記よりまとめると、リアルタイム周波数を用いた回転位相角の表現式は以下の通りになる。
上式により、正数の回転位相角(第1式)と負数の回転位相角(第2式)とが零に対して対称性を有していることが分かる。この式からも分かるように、本願の至るところの数式に対称性が存在している。また、同様に、回転位相角を用いたリアルタイム周波数の表現式は以下の通りになる。
上記2式から明らかなように、回転位相角が分かれば、リアルタイム周波数も分かる。さらに、リアルタイム周波数が分かれば、対称群の計算により周波数補正機能を有する高精度の他の電気量測定も可能となる。
上述したように、本発明の本質的な概念に従えば、交流電圧の周波数がサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)の1/2よりも小さい場合には、回転位相角は正の値をとり、交流電圧の周波数がサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)の1/2よりも大きく、かつサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)よりも小さい場合には、回転位相角は負の値をとる。さらに、回転位相角が零の値をとるとき、交流電圧の周波数をサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)の1/2として算出する。
以下に、いくつかの対称群を生成し、回転位相角と対称群の他の不変量を求め、各種電気量を測定する手法を示す。
[D.ゲージ電圧群のベクトル加算空間での展開]
(d1:複素平面上のゲージ電圧群の構造体)
図2は、回転位相角を用いた複素平面上のゲージ電圧群を示す図である。図2に示されるように、回転ベクトル同士間の回転位相角が180度より大きい場合、次式で定義される回転位相角を使用することで、複素平面上の3個の回転ベクトルを次式で表すことができる。
[D.ゲージ電圧群のベクトル加算空間での展開]
(d1:複素平面上のゲージ電圧群の構造体)
図2は、回転位相角を用いた複素平面上のゲージ電圧群を示す図である。図2に示されるように、回転ベクトル同士間の回転位相角が180度より大きい場合、次式で定義される回転位相角を使用することで、複素平面上の3個の回転ベクトルを次式で表すことができる。
上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角である。図2において、両側2個の回転ベクトルv1(t)およびv1(t−2T)は、中間の回転ベクトルv1(t−T)に対し、対称性を有している。別の時間において、これら3個の回転ベクトル(構造体)が回転し、別の場所にあっても、各二者間の位相角差である回転位相角αは変化しない。そのため、3個の回転ベクトル(構造体)の形は変化しない。この性質を回転不変性と称し、このような回転不変性の性質を有する3個の回転ベクトルをゲージ電圧群と定義する。
(d2:ゲージ電圧群のベクトル加算群表)
ゲージ電圧群の不変量を調べるために、下記表1に示すようなゲージ電圧群のベクトル加算群表を構築する。
(d2:ゲージ電圧群のベクトル加算群表)
ゲージ電圧群の不変量を調べるために、下記表1に示すようなゲージ電圧群のベクトル加算群表を構築する。
上記のベクトル加算群表に示される回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“+”記号は表側の要素と表頭の要素との加算を行うことを意味する。このとき、ゲージ電圧群のベクトル加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
図3には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの加算により生成した空間を「ベクトル加算空間」と呼ぶ。すなわち、図3は、ゲージ電圧群のベクトル加算空間図を示す。図3に示すベクトル加算空間図を利用して、交流正弦波に内在する対称性が見えるようになった。より具体的には、ベクトル加算空間において、各ベクトル加算要素は、ωの角速度で反時計周りに回転する。このように、ゲージ電圧群のベクトル加算群表の結果より作成したベクトル加算空間も対称性を有していることが分かる。以下にゲージ電圧群の実数加算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(d3:ゲージ電圧群の実数加算群表)
ゲージ電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表2に示すようなゲージ電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
(d3:ゲージ電圧群の実数加算群表)
ゲージ電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表2に示すようなゲージ電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
次に、ゲージ電圧群の実数加算群表について説明する。まず、表2の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上式により、表2に示すゲージ電圧群の実数加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
次に、このゲージ電圧群の実数加算群表の各要素を利用し、ゲージ電圧群に関係する不変量の計算式を導出する手順について説明する。
(d4:ゲージ電圧群による周波数係数)
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の周波数係数を次式のように想定し、実数加算群表の関連要素に代入して式変形を行った。
(d4:ゲージ電圧群による周波数係数)
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の周波数係数を次式のように想定し、実数加算群表の関連要素に代入して式変形を行った。
このような式変形によって、ゲージ電圧群の周波数係数fCを得ることができた。
(d5:ゲージ電圧群の対称性指標)
ゲージ電圧群の対称性指標として次式を提案する。
(d5:ゲージ電圧群の対称性指標)
ゲージ電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ここで、上式を満足する場合、v1(t),v1(t−T),v1(t−2T)により交流対称群を構築できないことを意味し、ゲージ電圧群の対称性が破れたと判断できる。このため、ゲージ電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、交流が維持されていることを意味し、対称性は破れてないと判断できる。そのため、この場合には次周期の交流対称群を計算する。
(d6:ゲージ電圧群についての回転位相角)
上記の計算式から、回転位相角は次式を用いて計算できる。
(d6:ゲージ電圧群についての回転位相角)
上記の計算式から、回転位相角は次式を用いて計算できる。
(d7:ゲージ電圧群についてのリアルタイム周波数)
上記の計算式から、リアルタイム周波数は次式を用いて計算できる。
上記の計算式から、リアルタイム周波数は次式を用いて計算できる。
上式において、fはリアルタイム周波数、fSはゲージサンプリング周波数(詳細は後述)である。
(d8:ゲージ電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その1))
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の加算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v1(t)+v1(t−T)}と{v1(t−T)+v1(t−2T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v1(t)+v1(t−T)}と{v1(t−T)+v1(t−2T)}との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
(d8:ゲージ電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その1))
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の加算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v1(t)+v1(t−T)}と{v1(t−T)+v1(t−2T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v1(t)+v1(t−T)}と{v1(t−T)+v1(t−2T)}との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
(d9:ゲージ電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その2))
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の加算値を表す別の計算式として次式を知見した。すなわち、2v1(t)とv1(t−T)との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、2v1(t)とv1(t−T)との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
本願発明者は、図3に示したゲージ電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ電圧群の加算値を表す別の計算式として次式を知見した。すなわち、2v1(t)とv1(t−T)との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、2v1(t)とv1(t−T)との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
[E.ゲージ電圧群のベクトル減算空間での展開]
(e1:ゲージ電圧群のベクトル減算群表)
ゲージ電圧群の別の不変量を調べるために、下記表3に示すようなゲージ電圧群のベクトル減算群表を構築する。
(e1:ゲージ電圧群のベクトル減算群表)
ゲージ電圧群の別の不変量を調べるために、下記表3に示すようなゲージ電圧群のベクトル減算群表を構築する。
上記のベクトル減算群表に示される回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“−”記号は表側の要素と表頭の要素との減算を行うことを意味する。このとき、ゲージ電圧群のベクトル減算群表の各要素は次式のように表すことができる。
図4には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの減算により生成した空間を「ベクトル減算空間」と呼ぶ。すなわち、図4は、ゲージ電圧群のベクトル減算空間図を示す。図4に示すベクトル減算空間図を利用して、交流正弦波に内在する対称性が見えるようになった。より具体的には、ベクトル減算空間において、各ベクトル減算要素は、ωの角速度で反時計周りに回転する。このように、ゲージ電圧群のベクトル減算群表の結果より作成したベクトル減算空間も対称性を有していることが分かる。以下にゲージ電圧群の実数減算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(e2:ゲージ電圧群の実数減算群表)
ゲージ電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表4に示すようなゲージ電圧群の実数減算群表を構築する。なお、上記実数減算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
(e2:ゲージ電圧群の実数減算群表)
ゲージ電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表4に示すようなゲージ電圧群の実数減算群表を構築する。なお、上記実数減算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
次に、ゲージ電圧群の実数減算群表について説明する。まず、表4の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
次に、このゲージ電圧群の実数減算群表の各要素を利用し、ゲージ電圧群に関係する不変量を利用した交流電圧振幅を導出する手順について説明する。
(e3:ゲージ電圧群のベクトル減算群表による交流電圧振幅の算出)
本願発明者は、図4に示したゲージ電圧群のベクトル減算空間図によりゲージ電圧群の減算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v1(t−T)−v1(t−2T)}と{v1(t−T)−v1(t)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v1(t−T)−v1(t−2T)}と{v1(t−T)−v1(t)}との組についての実数減算値は次式のように表すことができる。
(e3:ゲージ電圧群のベクトル減算群表による交流電圧振幅の算出)
本願発明者は、図4に示したゲージ電圧群のベクトル減算空間図によりゲージ電圧群の減算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v1(t−T)−v1(t−2T)}と{v1(t−T)−v1(t)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v1(t−T)−v1(t−2T)}と{v1(t−T)−v1(t)}との組についての実数減算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
[F.回転電圧群のベクトル加算空間での展開]
次に、ゲージ電圧群の構成メンバーである回転ベクトルを一つ減らして、より高速に出力できる回転電圧群を提案する。
(f1:複素平面上の回転電圧群の構造体)
図5は、複素平面上の回転電圧群を示す図である。図5に示されるように、複素平面上の2個の回転ベクトルを次式で表すこととする。
次に、ゲージ電圧群の構成メンバーである回転ベクトルを一つ減らして、より高速に出力できる回転電圧群を提案する。
(f1:複素平面上の回転電圧群の構造体)
図5は、複素平面上の回転電圧群を示す図である。図5に示されるように、複素平面上の2個の回転ベクトルを次式で表すこととする。
上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角である。図5において、2個の回転ベクトルは、互いに対称性を有している。別の時間において、これら2個の回転ベクトル(構造体)が回転し、別の場所にあっても、2個の回転ベクトル間の位相差である回転位相角αは変化しない。そのため、2個の回転ベクトル(構造体)の形は変化しない。この性質を回転不変性と称し、このような回転不変性の性質を有する2個の回転ベクトルを回転電圧群と定義する。
(f2:回転電圧群のベクトル加算群表)
回転電圧群の不変量を調べるために、下記表5に示すような回転電圧群のベクトル加算群表を構築する。
(f2:回転電圧群のベクトル加算群表)
回転電圧群の不変量を調べるために、下記表5に示すような回転電圧群のベクトル加算群表を構築する。
上記のベクトル加算群表に示される回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“+”記号は表側の要素と表頭の要素との加算を行うことを意味する。このとき、回転電圧群のベクトル加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
図6には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの加算により生成した空間を「ベクトル加算空間」と呼ぶ。すなわち、図6は、回転電圧群のベクトル加算空間図を示す。図6に示すベクトル加算空間図を利用して、交流正弦波に内在する対称性が見えるようになった。より具体的には、ベクトル加算空間において、各ベクトル加算要素は、ωの角速度で反時計周りに回転する。このように、回転電圧群のベクトル加算群表の結果より作成したベクトル加算空間も対称性を有していることが分かる。
図6に示すベクトル加算空間において、2v1(t)と2v1(t−T)との組は中間軸(図6の例では実軸(Re軸))に対して位相差αを有している。詳細は後述するが、この組で電圧振幅を計算できる。以下に回転電圧群の実数加算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(f3:回転電圧群の実数加算群表)
回転電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表6に示すような回転電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いているが、回転ベクトルの虚数部の値を用いてもよい。
(f3:回転電圧群の実数加算群表)
回転電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表6に示すような回転電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いているが、回転ベクトルの虚数部の値を用いてもよい。
次に、回転電圧群の実数加算群表について説明する。まず、表6の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上式により、表6に示す回転電圧群の実数加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
次に、この回転電圧群の実数加算群表の各要素を利用し、回転電圧群に関係する不変量を利用した交流電圧振幅を導出する手順について説明する。
(f4:回転電圧群の実数加算群表による交流電圧振幅の算出)
上式を変形することで、次式が導出される。
(f4:回転電圧群の実数加算群表による交流電圧振幅の算出)
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
上式において、fCは周波数係数である。
[G.ゲージ差分電圧群のベクトル加算空間での展開]
(g1:複素平面上のゲージ差分電圧群の構造体)
図7は、複素平面上のゲージ差分電圧群を示す図である。図7に示されるように、複素平面上の3個の差分回転ベクトルを次式で表すこととする。
[G.ゲージ差分電圧群のベクトル加算空間での展開]
(g1:複素平面上のゲージ差分電圧群の構造体)
図7は、複素平面上のゲージ差分電圧群を示す図である。図7に示されるように、複素平面上の3個の差分回転ベクトルを次式で表すこととする。
上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角である。図7において、3個の差分回転ベクトルは、中間の差分回転ベクトルに対し、対称性を有している。別の時間において、これら3個の差分回転ベクトル(構造体)が回転し、別の場所にあっても、構造体に生じる位相差である回転位相角αは変化しない。そのため、3個の差分回転ベクトル(構造体)の形は変化しない。この性質を回転不変性と称し、このような回転不変性の性質を有する3個の差分回転ベクトルをゲージ差分電圧群と定義する。
(g2:ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量を調べるために、下記表7に示すようなゲージ差分電圧群のベクトル加算群表を構築する。
(g2:ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量を調べるために、下記表7に示すようなゲージ差分電圧群のベクトル加算群表を構築する。
上記のベクトル加算群表に示される差分回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“+”記号は表側の要素と表頭の要素との加算を行うことを意味する。このとき、ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
上式の各要素についてベクトル演算を行うことで、次式のように変形できる。
図8には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの加算により生成した空間を「ベクトル加算空間」と呼ぶ。すなわち、図8は、ゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図を示す。図8に示すベクトル加算空間の各要素も対称性を有している。つまり、ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表の結果より作成したベクトル加算空間も対称性を有していることが分かる。以下にゲージ差分電圧群の実数加算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(g3:ゲージ差分電圧群の実数加算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表8に示すようなゲージ差分電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、差分回転ベクトルの実数部の値を用いている。
(g3:ゲージ差分電圧群の実数加算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表8に示すようなゲージ差分電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、差分回転ベクトルの実数部の値を用いている。
次に、ゲージ差分電圧群の実数加算群表について説明する。まず、表8の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上式により、表8に示すゲージ差分電圧群の実数加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
次に、このゲージ差分電圧群の実数加算群表の各要素を利用し、ゲージ差分電圧群に関係する不変量の計算式を導出する手順について説明する。
(g4:ゲージ差分電圧群による周波数係数)
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の周波数係数を次式のように想定し、実数加算群表の関連要素に代入して式変形を行った。
(g4:ゲージ差分電圧群による周波数係数)
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の周波数係数を次式のように想定し、実数加算群表の関連要素に代入して式変形を行った。
このような式変形によって、ゲージ差分電圧群の周波数係数fCを得ることができた。
(g5:ゲージ差分電圧群の対称性指標)
ゲージ差分電圧群の対称性指標として次式を提案する。
(g5:ゲージ差分電圧群の対称性指標)
ゲージ差分電圧群の対称性指標として次式を提案する。
ここで、上式を満足する場合、v2(t),v2(t−T),v2(t−2T)により交流対称群を構築できないことを意味し、ゲージ差分電圧群の対称性が破れたと判断できる。このため、ゲージ差分電圧群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、交流が維持されていることを意味し、対称性は破れてないと判断できる。そのため、この場合には次周期の交流対称群を計算する。
(g6:ゲージ差分電圧群についての回転位相角)
上記の計算式から、ゲージ差分電圧群についての回転位相角は、上述の(11)式と同様に計算できる。
(g7:ゲージ差分電圧群についてのリアルタイム周波数)
上記の計算式から、ゲージ差分電圧群についてのリアルタイム周波数は、上述の(12)式と同様に計算できる。
(g8:ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その1))
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の加算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v2(t)+v2(t−T)}と{v2(t−T)+v2(t−2T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v2(t)+v2(t−T)}と{v2(t−T)+v2(t−2T)}との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
(g6:ゲージ差分電圧群についての回転位相角)
上記の計算式から、ゲージ差分電圧群についての回転位相角は、上述の(11)式と同様に計算できる。
(g7:ゲージ差分電圧群についてのリアルタイム周波数)
上記の計算式から、ゲージ差分電圧群についてのリアルタイム周波数は、上述の(12)式と同様に計算できる。
(g8:ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その1))
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の加算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v2(t)+v2(t−T)}と{v2(t−T)+v2(t−2T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v2(t)+v2(t−T)}と{v2(t−T)+v2(t−2T)}との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
(g9:ゲージ差分電圧群のベクトル加算群表による交流電圧振幅(計算式その2))
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の加算値を表す別の計算式として次式を知見した。すなわち、2v2(t)とv2(t−T)との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、2v2(t)とv2(t−T)との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
本願発明者は、図8に示したゲージ差分電圧群のベクトル加算空間図によりゲージ差分電圧群の加算値を表す別の計算式として次式を知見した。すなわち、2v2(t)とv2(t−T)との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、2v2(t)とv2(t−T)との組についての実数加算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
[H.ゲージ差分電圧群のベクトル減算空間での展開]
(h1:ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表)
ゲージ差分電圧群の別の不変量を調べるために、下記表9に示すようなゲージ差分電圧群のベクトル減算群表を構築する。
(h1:ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表)
ゲージ差分電圧群の別の不変量を調べるために、下記表9に示すようなゲージ差分電圧群のベクトル減算群表を構築する。
上記のベクトル減算群表に示される回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“−”記号は表側の要素と表頭の要素との減算を行うことを意味する。このとき、ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表の各要素は次式のように表すことができる。
上式の各要素についてベクトル演算を行うことで、次式のように変形できる。
図9には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの減算により生成した空間を「ベクトル減算空間」と呼ぶ。すなわち、図9は、ゲージ差分電圧群のベクトル減算空間図を示す。図9に示すベクトル減算空間図を利用して、交流正弦波に内在する対称性が見えるようになった。より具体的には、ベクトル減算空間において、各ベクトル減算要素は、ωの角速度で反時計周りに回転する。このように、ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表の結果より作成したベクトル減算空間も対称性を有していることが分かる。以下にゲージ差分電圧群の実数減算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(h2:ゲージ差分電圧群の実数減算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表10に示すようなゲージ差分電圧群の実数減算群表を構築する。なお、上記実数減算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
(h2:ゲージ差分電圧群の実数減算群表)
ゲージ差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表10に示すようなゲージ差分電圧群の実数減算群表を構築する。なお、上記実数減算群表中の各電圧瞬時値としては、回転ベクトルの実数部の値を用いている。
次に、ゲージ差分電圧群の実数減算群表について説明する。まず、表10の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
次に、このゲージ差分電圧群の実数減算群表の各要素を利用し、ゲージ差分電圧群に関係する不変量を利用した交流電圧振幅を導出する手順について説明する。
(h3:ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表による交流電圧振幅の算出)
本願発明者は、図9に示したゲージ差分電圧群のベクトル減算空間図によりゲージ差分電圧群の減算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v2(t−T)−v2(t)}と{v2(t−2T)−v2(t−T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v2(t−T)−v2(t)}と{v2(t−2T)−v2(t−T)}との組についての実数減算値は次式のように表すことができる。
(h3:ゲージ差分電圧群のベクトル減算群表による交流電圧振幅の算出)
本願発明者は、図9に示したゲージ差分電圧群のベクトル減算空間図によりゲージ差分電圧群の減算値を表す計算式として次式を知見した。すなわち、{v2(t−T)−v2(t)}と{v2(t−2T)−v2(t−T)}との組を利用して、交流電圧振幅を求める。この式変形によれば、{v2(t−T)−v2(t)}と{v2(t−2T)−v2(t−T)}との組についての実数減算値は次式のように表すことができる。
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
[I.回転差分電圧群のベクトル加算空間での展開]
次に、ゲージ差分電圧群の構成メンバーである差分回転ベクトルを一つ減らして、より高速に出力できる回転差分電圧群を提案する。
(i1:複素平面上の回転差分電圧群の構造体)
図10は、複素平面上の回転差分電圧群を示す図である。図10に示されるように、複素平面上の2個の差分回転ベクトルを次式で表すこととする。
次に、ゲージ差分電圧群の構成メンバーである差分回転ベクトルを一つ減らして、より高速に出力できる回転差分電圧群を提案する。
(i1:複素平面上の回転差分電圧群の構造体)
図10は、複素平面上の回転差分電圧群を示す図である。図10に示されるように、複素平面上の2個の差分回転ベクトルを次式で表すこととする。
上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角である。図10において、2個の差分回転ベクトルは、互いに対称性を有している。別の時間において、これら2個の差分回転ベクトル(構造体)が回転し、別の場所にあっても、2個の差分回転ベクトル間の位相差である回転位相角αは変化しない。そのため、2個の差分回転ベクトル(構造体)の形は変化しない。この性質を回転不変性と称し、このような回転不変性の性質を有する2個の差分回転ベクトルを回転差分電圧群と定義する。
(i2:回転差分電圧群のベクトル加算群表)
回転差分電圧群の不変量を調べるために、下記表11に示すような回転差分電圧群のベクトル加算群表を構築する。
(i2:回転差分電圧群のベクトル加算群表)
回転差分電圧群の不変量を調べるために、下記表11に示すような回転差分電圧群のベクトル加算群表を構築する。
上記のベクトル加算群表に示される差分回転ベクトルは、複素数の状態変数で定義される。上表の“+”記号は表側の要素と表頭の要素との加算を行うことを意味する。このとき、回転電圧群のベクトル加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
上式の各要素についてベクトル演算を行うことで、次式のように変形できる。
図11には、上式に基づく各要素を複素平面上に表したベクトル図を示す。ここで、2つのベクトルの加算により生成した空間を「ベクトル加算空間」と呼ぶ。すなわち、図11は、回転差分電圧群のベクトル加算空間図を示す。図11に示すベクトル加算空間の各要素も対称性を有している。より具体的には、ベクトル加算空間において、各ベクトル加算要素は、ωの角速度で反時計周りに回転する。また、2v1(t)と2v1(t−T)との組は中間軸(図11の例では実軸(Re軸))に対して位相差αを有している。詳細は後述するが、この組で電圧振幅を計算できる。以下に回転差分電圧群の実数加算群表を利用して、不変量の具体的な計算式を導出する。
(i3:回転差分電圧群の実数加算群表)
回転差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表12に示すような回転差分電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、差分回転ベクトルの実数部の値を用いている。
(i3:回転差分電圧群の実数加算群表)
回転差分電圧群の不変量の計算式を導出するために、下記表12に示すような回転差分電圧群の実数加算群表を構築する。なお、上記実数加算群表中の各電圧瞬時値としては、差分回転ベクトルの実数部の値を用いている。
次に、回転差分電圧群の実数加算群表について説明する。まず、表12の組の構成要素である各瞬時値要素は次式で表すことができる。
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上式により、表12に示す回転差分電圧群の実数加算群表の各要素は次式のように表すことができる。
次に、この回転差分電圧群の実数加算群表の各要素を利用し、回転差分電圧群に関係する不変量を利用した交流電圧振幅を導出する手順について説明する。
(i4:回転差分電圧群の実数加算群表による交流電圧振幅の算出)
上式を変形することで、次式が導出される。
(i4:回転差分電圧群の実数加算群表による交流電圧振幅の算出)
上式を変形することで、次式が導出される。
さらに、上式において時間要素をなくすように変形することで、次の交流電圧振幅が得られる。
上式において、fCは周波数係数である。
[J.測定上の工夫]
(j1:データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数との分離)
上記特許文献3などにも教示されているように、測定精度を高める場合には、サンプリング周期をより小さく(サンプリング周波数をより高く)して単位時間に収集されるデータ数を増加させ、増加させた連続するデータを用いて、周波数係数をはじめとする各種の交流電気量を算出するというのが基本的な考えであった。
[J.測定上の工夫]
(j1:データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数との分離)
上記特許文献3などにも教示されているように、測定精度を高める場合には、サンプリング周期をより小さく(サンプリング周波数をより高く)して単位時間に収集されるデータ数を増加させ、増加させた連続するデータを用いて、周波数係数をはじめとする各種の交流電気量を算出するというのが基本的な考えであった。
しかしながら、単位時間に収集されるデータ数を単純に増加させる手法では、データ数の増加に伴って算出される回転位相角も小さくなってしまい、高調波ノイズが大きい場合には、計算結果が高調波ノイズの影響を受けてばらつき、測定精度が高められないことも予想される。
計算に必要な単位時間あたりのデータ数を増加させた場合でも、回転位相角の値が小さくなり過ぎないように、回転位相角を好ましい値を維持しつつ、高調波ノイズの影響を低減する必要がある。本実施の形態では、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入している。
図12は、ゲージサンプリング周期Tとデータ収集サンプリング周期T1との関係を説明するための図である。図12において、ゲージサンプリング周波数fS(ゲージサンプリング周期T)と、データ収集サンプリング周波数f1(データ収集サンプリング周期T1)との間には、次式に示す関係がある。
上式において、nは正の整数であり、図12の例ではn=4の場合を例示している。
図5において、現時点(時刻t)におけるゲージ電圧群(ゲージ電圧群1)のメンバーは以下の通りである。
図5において、現時点(時刻t)におけるゲージ電圧群(ゲージ電圧群1)のメンバーは以下の通りである。
また、現時刻よりもT1時刻前(時刻t−T1)のゲージ電圧群(ゲージ電圧群2)のメンバーは以下の通りである。
図12から理解できるように、ゲージ電圧群同士の間隔(ゲージ電圧群1とゲージ電圧群2との間隔)は、データ収集サンプリング周期T1であるのに対し、各ゲージ電圧群を構成するメンバー同士の間隔は、ゲージサンプリング周期Tになっている。すなわち、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入することにより、好適な回転位相角αを維持しつつ、計算に必要な単位時間あたりデータ数を増加させて高調波ノイズの影響を抑制することが可能となる。
また、この概念に加え、上述の負数回転位相角の概念を併用すれば、データ収集サンプリング周波数f1をさらに2倍に増やした場合と同等の効果が得られる。なお、現実には、システムの要請により適宜かつ適切なデータ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とが選定されることは言うまでもない。
なお、コストパフォーマンスを考慮してハードウェアの選定により、データ収集サンプリング周波数を可能な限り高く設定できれば(例えば、国際的かつ標準的な保護リレー装置では、4kHzが推奨されている)、計算結果の出力を高速に行うことができると共に、出力結果に対する移動平均処理を併用することで、高調波ノイズの影響を大幅に低減できる。
このように、データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とを分離した処理の概念を導入することにより、電力系統に常時に存する擾乱(小さな擾乱)を抑制することが可能となる。
(j2:ゲージ電圧の移動平均処理)
回転位相角やリアルタイム周波数の場合と同様に、ゲージ電圧を計算する際には、ノイズの影響を低減するために、例えば、次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
(j2:ゲージ電圧の移動平均処理)
回転位相角やリアルタイム周波数の場合と同様に、ゲージ電圧を計算する際には、ノイズの影響を低減するために、例えば、次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含むデータ収集サンプリング点数である。
[K.シミュレーション結果]
本願発明者は、シミュレーションを用いて、本実施の形態に従う電気量測定装置および電気量測定方法による測定精度を検証した。このシミュレーション結果について、以下説明する。
[K.シミュレーション結果]
本願発明者は、シミュレーションを用いて、本実施の形態に従う電気量測定装置および電気量測定方法による測定精度を検証した。このシミュレーション結果について、以下説明する。
図13は、シミュレーションに用いたモデル系統を説明するための模式図である。図13に示すモデル系統は、「電気学会EAST10機モデル」である。電気学会EAST10機モデルは、10台の発電機、ならびに、複数の変圧器および送電線により構成されるシミュレーションテストモデル系統である。本シミュレーションにおいては、本系統の母線ノード(20)に、本実施の形態に従う電気量測定装置を配置した。
シミュレーションの内容としては、本系統の送電線<38>の中間点にて、3相地絡故障が発生した場合を想定した。本シミュレーションの実施条件は、以下の通りである。
・電力系統定格周波数:50Hz
・データ収集サンプリング周波数f1:4000Hz
・ゲージサンプリング周波数fS:200Hz
・故障発生時間:0.31秒
・故障継続時間:0.07秒
・移動平均長さTavg:0.02秒
・シミュレーション終了時間Tend:1秒
このシミュレーション条件下において、電力系統高調波の影響を低減するためのゲージサンプリング周期Tは、次式のように算出できる。
・データ収集サンプリング周波数f1:4000Hz
・ゲージサンプリング周波数fS:200Hz
・故障発生時間:0.31秒
・故障継続時間:0.07秒
・移動平均長さTavg:0.02秒
・シミュレーション終了時間Tend:1秒
このシミュレーション条件下において、電力系統高調波の影響を低減するためのゲージサンプリング周期Tは、次式のように算出できる。
また、本シミュレーションにおいては、電力系統高調波の影響を低減するために移動平均処理を実行し、この移動平均処理に係る時間は、電圧系統定格周波数の1周期分とし、この場合に、移動平均処理の各サイクルで処理対象となる計算点数は、次式のように算出できる。
図14は、シミュレーションによって得られた時間波形を示す図である。図14には、上述のシミュレーション条件において算出された交流電圧の瞬時値と、本実施の形態に従う電気量測定方法によって算出された交流電圧振幅の測定結果とを示す。なお、交流電圧の瞬時値は、モデル系統のA相の値である。
本シミュレーションにおいては、データ収集サンプリング周波数f1を4000Hzに設定しているため、1サイクル内で比較的多数のデータ(1サイクルあたり80点)を収集していることが分かる。
図14に示す時間波形においては、移動平均長さTavgを0.02秒に設定しているため、シミュレーション開始から移動平均長さTavgが経過するまでは、交流電圧振幅の測定値が蓄積される。
3相地絡故障の発生タイミング(シミュレーション開始から0.31秒経過時点)までに、交流電圧の瞬時値は正弦波を示し、交流電圧振幅の測定値は一定値を示しているので、いずれも正しく算出されていることが分かる。
図14に示す時間波形において、シミュレーション開始から0.31秒経過時点で、送電線<38>の中間点において3相地絡故障が発生し、0.31〜0.38秒の間、3相地絡故障が継続したとする。この3相地絡故障の継続中、母線ノード(20)の電圧は約半分ぐらいに低減する(瞬停現象)と共に、交流電圧振幅の測定値はこの実交流波形に追随して、低下していることが分かる。
0.38秒経過時点で、故障が除去され、その後系統は動揺しつつ新たな安定状態へ復帰する。この場合においても、交流電圧振幅の測定値はこの実交流波形に追随していることが分かる。
なお、故障発生後および故障除去後の交流電圧振幅の追従遅れは、移動平均処理のためである。
図14に示すように、移動平均処理によるいくらかの遅れはあるものの、交流電圧振幅の測定値は実交流波形に高速に追随し、高精度な測定値として算出されていることが分かる。すなわち、図14のシミュレーション結果は、本実施の形態に従う電気量測定装置および電気量測定方法がより高い精度での電気量を測定できることを示す。
[L.実装例]
次に、本実施の形態に従う電気量測定装置の実装例について説明する。図15は、本発明の実施の形態に従う電気量測定装置101の構成例を示す模式図である。図15を参照して、電気量測定装置101は、その機能構成として、電圧瞬時値データ入力部102と、周波数係数算出部103と、対称性破れ判定部104と、周波数係数ラッチ部105と、周波数係数の移動平均部106と、交流電圧振幅算出部107と、交流電圧振幅の移動平均部108と、インターフェース109と、記憶部110とを含む。
[L.実装例]
次に、本実施の形態に従う電気量測定装置の実装例について説明する。図15は、本発明の実施の形態に従う電気量測定装置101の構成例を示す模式図である。図15を参照して、電気量測定装置101は、その機能構成として、電圧瞬時値データ入力部102と、周波数係数算出部103と、対称性破れ判定部104と、周波数係数ラッチ部105と、周波数係数の移動平均部106と、交流電圧振幅算出部107と、交流電圧振幅の移動平均部108と、インターフェース109と、記憶部110とを含む。
これらの機能は、公知のハードウェアやソフトウェアによって実現される。具体的には、図15に示す機能の全部または一部をLSI(Large Scale Integration)などを用いて実現してもよいし、それに加えて、またはそれに代えて、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサでプログラムを実行させることで実現してもよい。また、単一の装置として実装することもできるし、ネットワークなどを介して複数の装置が連係することで全体として図15に示す機能を実現するような構成を採用することもできる。さらに、図15に示す電気量測定装置をより大型な装置(例えば、電力監視装置など)の一部の機能として実装することもできる。図15に示す電気量測定装置をどのように実装するのかについては、適用先などに応じて適宜設計される。
電圧瞬時値データ入力部102は、時系列電圧瞬時値データを収集する。周波数係数算出部103は、ゲージサンプリング周波数により、電圧群の瞬時値データを蓄積し、周波数係数を算出する。対称性破れ判定部104は、周波数係数の絶対値を1と比較することで、対称性破れを判定する。周波数係数ラッチ部105は、前ステップの周波数係数の測定結果をラッチする。周波数係数の移動平均部106は、直前に測定した指定数量の周波数係数を平均化する。交流電圧振幅算出部107は、上述したいずれかの計算式を用いて、交流電圧振幅を算出する。交流電圧振幅の移動平均部108は、直前測定した指定数量の交流電圧振幅を平均化する。インターフェース109は、デジタル表示などのインターフェース機能を有している。つまり、インターフェース109は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行う。記憶部110は、計測データや演算結果などを記憶する処理を行う。
[M.処理手順]
次に、図15に示す電気量測定装置101により実施される電気量測定の処理手順について説明する。図16は、本発明の実施の形態に従う電気量測定方法の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、典型的には、図15に示す構成において実行される。
[M.処理手順]
次に、図15に示す電気量測定装置101により実施される電気量測定の処理手順について説明する。図16は、本発明の実施の形態に従う電気量測定方法の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、典型的には、図15に示す構成において実行される。
図16を参照して、電圧瞬時値データ入力部102は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)からの電圧瞬時値を読み出す処理を行う。なお、読み出された電圧瞬時値のデータは、記憶部110に格納される(ステップS101)。
続いて、周波数係数算出部103は、周波数係数を算出する(ステップS102)。この周波数係数の算出処理は、用いる対称群の情報に応じて、いくつかの計算式を用いる。
例えば、ゲージ電圧群または回転電圧群を用いる場合には、周波数係数算出部103は、上述の(9)式を用いて、周波数係数fCを算出する。なお、上述の(9)式において、v11,v12,v13はそれぞれ電圧瞬時値に相当する。
このゲージ電圧群または回転電圧群を用いる場合の周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、次のように説明できる。すなわち、周波数係数算出部103は、測定対象となる交流電圧をデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、かつ当該交流電圧の周波数以上である、ゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した、連続する3点の電圧瞬時値データ(v11,v12,v13)について、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和の平均値((v11+v13)/2)を中間時刻における電圧瞬時値データ(v12)で正規化した値((v11+v13)/(2v12))を周波数係数(fC)として算出する処理を行う。
また、ゲージ差分電圧群または回転差分電圧群を用いる場合には、周波数係数算出部103は、上述の(35)式を用いて、周波数係数fCを算出する。なお、上述の(35)式において、v21,v22,v23はそれぞれ差分電圧瞬時値に相当する。
このゲージ差分電圧群または回転差分電圧群を用いる場合の周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、次のように説明できる。すなわち、周波数係数算出部103は、測定対象となる交流電圧をデータ収集サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、かつ当該交流電圧の周波数以上である、ゲージサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で抽出した、連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)について、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値((v21+v23)/2)を中間時刻における差分電圧瞬時値(v12)で正規化した値((v21+v23)/(2v22))を周波数係数(fC)として算出する処理を行う。
続いて、対称性破れ判定部104は、上述した対称性指標の判定式を用いて対称性の破れを判定する。つまり、対称性破れ判定部104は、測定された電気量が交流であるか否かを判定する(ステップS103)。この対称性破れを判定する一つの目的として、電力系統に含まれる高調波ノイズの影響を低減することが挙げられる。
この対称性破れの判定処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、次のように説明できる。すなわち、対称性破れ判定部104は、周波数係数算出部103による周波数係数の算出結果に基づいて、交流電圧の対称性の破れを判定する処理を行う。より具体的には、ゲージ電圧群または回転電圧群を用いる場合には、対称性破れ判定部104は、判定式として、上述の(10)式を利用する。また、ゲージ差分電圧群または回転差分電圧群を用いる場合には、対称性破れ判定部104は、判定式として、上述の(36)式を利用する。
上式が成立した場合、対称性破れ判定部104は、対称性が破れたと判定し(ステップS103においてNOの場合)、周波数係数ラッチ部105は、例えば次式を用いて、前ステップの周波数係数をラッチする(ステップS104)。
つまり、対称性破れ判定部104において対称性が破れたと判定されると、周波数係数ラッチ部105は、周波数係数として、前ステップの確定値をラッチして利用する。
一方、上式が成立しない場合、対称性は破れていないと判定し(ステップS103においてYESの場合)、周波数係数をラッチせずにステップS105へ移行する。
続いて、周波数係数の移動平均部106は、電力系統高調波ノイズの影響を低減するために、周波数係数について移動平均処理を行う(ステップS105)。周波数係数の移動平均部106は、例えば次式を用いて、周波数係数の移動平均処理を行う。
上式において、Mは現時点で収集されたサンプリングデータを含めたデータ収集サンプリング点数である。
続いて、交流電圧振幅算出部107は、交流電圧振幅を算出する(ステップS106)。この対称性破れの判定処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、次のように説明できる。すなわち、交流電圧振幅算出部107は、周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データ(v11,v12,v13)、または、差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)と、周波数係数(fC)とを用いて交流電圧振幅(V)を算出する処理を行う。
より具体的には、上述したゲージ電圧群のベクトル加算群表から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(15)式、または、(18)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。あるいは、上述したゲージ電圧群のベクトル減算群表から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(23)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。さらにあるいは、上述した回転電圧群の実数加算群から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(29)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。
上述の(15)式、(18)式、(23)式、および(29)式などにおいて、交流電圧振幅算出部107は、周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データ(v11,v12,v13)のうち、中間時刻以外の電圧瞬時値データの差(v11−v13)を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する。
また、上述の(18)式および(29)式などにおいて、交流電圧振幅算出部107は、周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データ(v11,v12,v13)のうち、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和(v11+v13)を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する。
あるいは、上述したゲージ差分電圧群のベクトル加算群表から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(39)式、または、(42)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。あるいは、上述したゲージ差分電圧群のベクトル減算群表から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(48)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。さらにあるいは、上述した回転差分電圧群の実数加算群表から得られた知見に従って、交流電圧振幅算出部107は、(55)式を用いて、交流電圧振幅を算出する。
上述の(39)式、(42)式、(48)式、および(55)式などにおいて、交流電圧振幅算出部107は、周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)のうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値データの差(v21−v23)を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する。
また、上述の(42)式および(55)式などにおいて、交流電圧振幅算出部107は、周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)のうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値データの和(v21+v23)を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する。
続いて、交流電圧振幅の移動平均部108は、電力系統高調波ノイズの影響を低減するために、交流電圧振幅について移動平均処理を行う(ステップS107)。交流電圧振幅の移動平均部108は、例えば次式を用いて、交流電圧振幅の移動平均処理を行う。
上式において、Mは現時点で収集されたサンプリングデータを含めたデータ収集サンプリング点数である。
続いて、電気量測定装置101は、計測結果を出力する(ステップS108)。この計測結果は、典型的には、電圧リレーや電力系統電圧状態監視点のリアルタイム交流電圧振幅実測値として利用される。
電気量測定装置101は、処理の終了が指示されたか否かを判定し(ステップS109)、処理の終了が指示されていない場合(ステップS109においてNOの場合)には、ステップS101以下の処理を再度実行する。一方、処理の終了が指示された場合(ステップS109においてYESの場合)には、処理は終了する。
[N.変形例・別実施形態]
上述の実施の形態では、本願の測定手法を用いて、主として交流電圧振幅を算出する場合の実装例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本願の測定手法を用いて交流電流振幅を測定することもできるし、これらの測定値を利用した二次的な情報を測定することもできる。
[N.変形例・別実施形態]
上述の実施の形態では、本願の測定手法を用いて、主として交流電圧振幅を算出する場合の実装例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本願の測定手法を用いて交流電流振幅を測定することもできるし、これらの測定値を利用した二次的な情報を測定することもできる。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
101 電気量測定装置、102 電圧瞬時値データ入力部、103 周波数係数算出部、104 対称性破れ判定部、105 周波数係数ラッチ部、106 周波数係数の移動平均部、107 交流電圧振幅算出部、108 交流電圧振幅の移動平均部、109 インターフェース、110 記憶部。
Claims (14)
- 測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ前記交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する3点の電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和の平均値を中間時刻における電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、
前記周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データと前記周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出する交流電圧振幅算出部とを備える、電気量測定装置。 - 前記交流電圧振幅算出部は、前記周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の電圧瞬時値データの差を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する、請求項1に記載の電気量測定装置。
- 前記交流電圧振幅算出部は、前記周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する、請求項1または2に記載の電気量測定装置。
- 前記交流電圧の周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも小さい場合には、前記回転位相角は正の値をとり、前記交流電圧の周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも大きく、かつ前記第2のサンプリング周波数よりも小さい場合には、前記回転位相角は負の値をとる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気量測定装置。
- 前記回転位相角が零の値をとるとき、前記交流電圧の周波数を前記第2のサンプリング周波数の1/2として算出する、請求項4に記載の電気量測定装置。
- 前記周波数係数算出部による周波数係数の算出結果に基づいて、前記交流電圧の対称性の破れを判定する対称性破れ判定部をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気量測定装置。
- 測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ前記交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、
前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データと前記周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出する交流電圧振幅算出部とを備える、電気量測定装置。 - 前記交流電圧振幅算出部は、前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値データの差を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する、請求項7に記載の電気量測定装置。
- 前記交流電圧振幅算出部は、前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データのうち、中間時刻以外の差分電圧瞬時値データの和を、要素として含む計算式に従って、交流電圧振幅を算出する、請求項7または8に記載の電気量測定装置。
- 前記交流電圧の周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも小さい場合には、前記回転位相角は正の値をとり、前記交流電圧の周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも大きく、かつ前記第2のサンプリング周波数よりも小さい場合には、前記回転位相角は負の値をとる、請求項7〜9のいずれか1項に記載の電気量測定装置。
- 前記回転位相角が零の値をとるとき、前記交流電圧の周波数を前記第2のサンプリング周波数の1/2として算出する、請求項10に記載の電気量測定装置。
- 前記周波数係数算出部による周波数係数の算出結果に基づいて、前記交流電圧の対称性の破れを判定する対称性破れ判定部をさらに備える、請求項7〜11のいずれか1項に記載の電気量測定装置。
- 測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ前記交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する3点の電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の電圧瞬時値データの和の平均値を中間時刻における電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出するステップと、
前記周波数係数を算出する際に用いた3点の電圧瞬時値データと前記周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出するステップとを含む、電気量測定方法。 - 測定対象となる交流電圧を第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、かつ前記交流電圧の周波数以上である、第2のサンプリング周波数で抽出した、連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データについて、中間時刻以外の差分電圧瞬時値の和の平均値を中間時刻における差分電圧瞬時値で正規化した値を周波数係数として算出するステップと、
前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データと前記周波数係数とを用いて交流電圧振幅を算出するステップとを含む、電気量測定方法。
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JP2013176897A Pending JP2015045570A (ja) | 2013-08-28 | 2013-08-28 | 電気量測定装置および電気量測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015045570A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109142862A (zh) * | 2018-09-06 | 2019-01-04 | 中国人民解放军海军工程大学 | 一种智能化电气工程测量系统及其测量方法 |
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2013
- 2013-08-28 JP JP2013176897A patent/JP2015045570A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109142862A (zh) * | 2018-09-06 | 2019-01-04 | 中国人民解放军海军工程大学 | 一种智能化电气工程测量系统及其测量方法 |
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