(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1(a)に示すように、システム10は、メモリ11と、メモリ11に対してデータDQの読み出し又は書き込みを行うシステム回路12を含む。メモリ11は、同期式の半導体記憶装置であり、例えばダブルデータレート方式のダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory:DDR−SDRAM)である。例えば、メモリ11とシステム回路12は、それぞれ1つのチップ(半導体集積回路:LSI)であって、伝送路を介して接続されている。
メモリ11からデータを読み出す場合、システム回路12は、リード要求RrとアドレスAdをメモリ11に出力する。メモリ11は、リード要求Rrに応答して、データストローブ信号DQSを出力するとともに、アドレスAdに指定されたメモリ領域のデータDQをデータストローブ信号DQSに同期して出力する。システム回路12は、データストローブ信号DQSに基づいてデータDQを取り込む。
メモリ11にデータを書き込む場合、システム回路12は、ライト要求WrとアドレスAdをメモリ11に出力する。次に、システム回路12は、アドレスAdに書き込むデータDQをデータストローブ信号DQSに同期して出力する。メモリ11は、ライト要求Wrに応答して、データストローブ信号DQSに基づいて取り込んだデータDQをアドレスAdに指定されたメモリ領域に記憶する。
すなわち、システム回路12は、単方向の通信により、メモリ11を制御する信号(リード要求RrやアドレスAd)を、メモリ11に送信する。そして、システム回路12とメモリ11は、双方向の通信により、データDQやデータストローブ信号DQSを互いに送受信する。
単方向の通信と、双方向の通信の概略を、図1(b)に従って説明する。
単方向の通信に用いられる伝送路Lsの第1端(図において左端)は、システム回路12の出力バッファ(送信バッファ)TBaに接続され、伝送路Lsの第2端(図において右端)はメモリ11の入力バッファ(受信バッファ)RBaに接続されている。出力バッファTBaは、インターフェース回路(物理層(PHY)回路ともいう)(I/Fと表記)13から出力される信号(例えば、アドレスAd)に応じて伝送路Lsを駆動(ドライブ)する。メモリ11の入力バッファRBaは、伝送路Lsのレベルに応じた信号をインターフェース回路(I/Fと表記)13aに出力する。
双方向の通信に用いられる伝送路Ldの第1端(図において左端)は、システム回路12に含まれる出力バッファTBbと入力バッファRBbに接続されている。伝送路Ldの第2端(図において右端)は、メモリ11に含まれる出力バッファTBcと入力バッファRBcに接続されている。伝送路Ldが接続された出力バッファTBb,TBcはスリーステートバッファであり、インターフェース回路から出力される信号に応答して、出力端子の状態を制御する。
例えば、出力バッファTBb,TBcは、Lレベルのイネーブル信号ENが供給されるとき、インターフェース回路から出力される送信信号に応答して、伝送路Ldを高電位電圧レベル(Hレベル)又は低電位電圧レベル(Lレベル)に駆動する。そして、出力バッファTBb,TBcは、Hレベルのイネーブル信号ENに応答して、伝送路Ldをハイインピーダンス状態にする。
伝送路Ldが接続された出力バッファTBb,TBcを適宜ハイインピーダンス状態とすることにより、両出力バッファTBb,TBcから出力される信号の衝突や貫通電流の発生を防ぐ。すなわち、信号の送受信を行わないとき、システム回路12とメモリ11の出力バッファTBb,TBcをハイインピーダンス状態とする。そして、システム回路12のインターフェース回路13は、メモリ11へ信号を送信するとき、Lレベルのイネーブル信号ENを出力して出力バッファTBbを駆動状態とした後に送信する信号(例えばデータDQ)を出力する。出力バッファTBbは、インターフェース回路13の出力信号に応じて伝送路LdをHレベル又はLレベルに駆動する。メモリ11の入力バッファRBcは、伝送路Ldのレベルに応じた信号をインターフェース回路13aに出力する。メモリ11からシステム回路12へ信号を送信する場合も同様である。
そして、伝送路Ldの両端にはそれぞれ終端回路(ODT)が接続されている。双方向の通信に用いられる伝送路Ldの場合、信号の送信方向に応じて終端回路が活性化又は非活性化される。終端回路が活性化しているときをODTオンと呼び、終端回路が非活性化しているときをODTオフと呼ぶ。終端回路は、信号の反射を防ぐ。そして、通信を行わないとき、両端の終端回路は共に非活性化されており、通信を行うときに、信号の伝送方向に応じて、受信側の終端回路が活性化される。
活性化された終端回路は、伝送路Ldを終端する。例えば、終端回路は、伝送路Ldと高電位電圧を供給する電源線との間に接続された第1の抵抗体と、伝送路Ldと低電位電圧(例えば0ボルト)を供給する電源線との間に接続された第2の抵抗体とを含む。第1及び第2の抵抗体の抵抗値は、互いに等しく、かつ第1及び第2の抵抗体の合成抵抗値は伝送路Ldの特性インピーダンスと整合する値に設定される。従って、伝送路Ldが出力バッファTBb,TBcによりドライブされていない、つまり信号が出力されていないとき、終端回路は第1及び第2の抵抗体の抵抗値の比に応じたレベルに伝送路Ldを設定する。つまり、第1及び第2の抵抗体の抵抗値が互いに等しい場合、伝送路Ldのレベルは、高電位電圧と低電位電圧により設定される電源電圧範囲の中央のレベルとなる。
終端回路の活性化及び非活性化は、第1及び第2の抵抗体と直列に接続されたスイッチ素子(例えばMOSトランジスタ)を制御することによりなされる。つまり、スイッチ素子がオンされると、伝送路Ldが第1及び第2の抵抗体を介して電源線に接続され、伝送路Lsを終端する。逆に、スイッチ素子がオフされると、伝送路Ldは電源線から切り離される。
例えば、システム回路12からメモリ11へデータDQを送信する場合、システム回路12からメモリ11へライト要求Wrが送信される(図1(a)参照)。メモリ11のインターフェース回路13aは、ライト要求Wrに応答して、例えばHレベルの終端制御信号Soを出力し、その終端制御信号Soにより終端回路を活性化する。
メモリ11は、システム回路12のリード要求Rrに応答してデータDQをシステム回路12に送信する。つまり、システム回路12がメモリ11のデータを読み出すとき、インターフェース回路13はメモリ11にリード要求Rrを出力した後、終端制御信号Soにより終端回路を活性化する。
メモリ11は、リード要求Rrに応答して、アドレスAdにより指定された領域のデータを読み出す。インターフェース回路13aは、Lレベルのイネーブル信号ENを出力する。出力バッファTBcは、そのイネーブル信号ENに応答して伝送路Ldに信号を出力可能にする。次に、インターフェース回路13aは、所定の周期でHレベルとLレベルとの間を遷移するデータストローブ信号DQS(図1(a)参照)を出力するとともに、そのデータストローブ信号に同期してデータDQを出力する。システム回路12のインターフェース回路13は、データストローブ信号DQSに対して所定時間(例えば、信号DQSの位相の90度分)遅延した信号を生成し、その信号によりデータDQを取り込む。
上記したように、双方向の通信に用いられる伝送路は、通信を行っていないときにハイインピーダンス状態にある。従って、伝送路のレベルは不定となっている。この場合、メモリ11から送信されるデータストローブ信号DQSを認識することが難しく、最初のデータの読み込みに失敗するおそれがある。このため、メモリ11のインターフェース回路13aは、データストローブ信号DQSを伝達する伝送路を所定時間(例えば、クロック信号の1周期分)ローインピーダンス状態にした後、データストローブ信号DQSを送信する。このローインピーダンス状態を、プリアンブル(Preamble)と呼ぶ。メモリ11のインターフェース回路13aは、ローインピーダンス状態として例えば伝送路をLレベルとする。そして、インターフェース回路13aは、データストローブ信号DQSを送信するデータ数に応じた回数トグルしたのち、所定時間(例えばクロック信号の半周期分)Lレベルとした後、Hレベルのイネーブル信号ENを出力バッファに出力して伝送路をハイインピーダンス状態とする。なお、トグル後のLレベルである期間を、ポストアンブル(Postamble )と呼ぶ。
システム回路12には、伝送路がハイインピーダンス状態からローインピーダンス状態への切り替わり、つまり伝送路のレベルがLレベルに切り替わることを検出し、データストローブ信号DQSをインターフェース回路13に出力する入出力部が設けられている。この入出力部は、リード動作に対してプリアンブルからポストアンブルまでの期間(以後、リード期間という)、伝送路を介してメモリ11から供給されるトグルするデータストローブ信号DQSをインターフェース回路13に伝達し、リード期間以外の期間、伝送路のレベルをインターフェース回路13に伝達しない。伝送路は、双方向通信に用いられる。従って、伝送路のレベルは、システム回路12からメモリ11へ送信するデータストローブ信号DQSにより変化する。つまり、リード期間以外の期間における伝送路のレベルをインターフェース回路13に伝達すると、このレベルをデータストローブ信号と誤認識する、つまり誤動作を発生させるからである。
次に、入出力部の構成を説明する。
図2に示すように、入出力部14は、バッファ回路15、信号制御回路16、終端制御回路17、終端回路18を含む。
バッファ回路15は、入力バッファ回路21と出力バッファ回路22を含む。
図2において、データストローブ信号DQSは差動信号であり、第1の伝送路L1により伝達されるデータストローブ信号DQSaと、第2の伝送路L2により伝達される反転データストローブ信号BDQSaとを含む。
入力バッファ回路21は差動増幅器であり、非反転入力端子に第1の伝送路L1が接続され、反転入力端子に第2の伝送路L2が接続されている。入力バッファ回路21は、データストローブ信号DQSaと反転データストローブ信号BDQSaの差電圧に応じて生成したデータストローブ信号DQSbを出力する。
具体的には、入力バッファ回路21は、両信号DQSa,BDQSaの差電圧がプラス側の閾値電圧より大きいときにHレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。一方、入力バッファ回路21は、両信号DQSa,BDQSaの差電圧がマイナス側の閾値電圧より小さいときにLレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。例えば、プラス側の閾値電圧は0.5Vに設定され、マイナス側の閾値電圧は−0.5Vに設定されている。
出力バッファ回路22は、インターフェース回路13から、メモリ11に送信するデータのためのデータストローブ信号DQScが入力される。出力バッファ回路22は差動出力バッファであり、非反転出力端子が第1の伝送路L1に接続され、反転出力端子が第2の伝送路L2に接続されている。出力バッファ回路22は、データストローブ信号DQScの論理レベルと等しいレベルのデータストローブ信号DQSaを第1の伝送路L1に出力するとともに、データストローブ信号DSQcの論理レベルを反転したレベルの反転データストローブ信号BDQSaを第2の伝送路L2に出力する。また、出力バッファ回路22は、スリーステートバッファであり、インターフェース回路13から供給されるLレベルのイネーブル信号BENに応答して信号を出力し、Hレベルのイネーブル信号BENに応答して出力端子をハイインピーダンス状態とする。
信号制御回路16は、判定回路23、アンド回路24を有している。判定回路23は、バッファ回路15の入力バッファ回路21からデータストローブ信号DQSbが入力される。また、判定回路23は、インターフェース回路13から終端制御信号Soが入力される。さらに、判定回路23は、システム回路12に含まれるメモリコントローラ(図示略)からインターフェース回路13を介して設定信号Ssが入力される。
終端制御信号Soは、終端回路18を活性化又は非活性化するための信号である。終端回路18は、例えばHレベルの終端制御信号Soに応答して活性化し、Lレベルの終端制御信号Soに応答して非活性化する。インターフェース回路13は、図示しないメモリコントローラからリード要求Rrを入力すると、Hレベルの終端制御信号Soを出力し、メモリコントローラからリード要求Rrを入力しないとき、Lレベルの終端制御信号Soを出力する。
設定信号Ssは、システム回路12がメモリ11から読み出すデータの数を示すデータである。メモリ11は、設定されたバースト値に応じて指定されたアドレスAdをインクリメントしてデータを連続的に読み出すバーストモードを有している。このように読み出された複数のデータは、データストローブ信号DQSに応じて連続的に出力される。つまり、バースト値は連続的に読み出すデータの数である。そして、判定回路23には、このバースト値が設定信号Ssにより設定される。
判定回路23は、データストローブ信号DQS、終端制御信号So、設定信号Ssに応じて、許可信号Seを出力する。詳述すると、判定回路23は、終端制御信号SoがLレベル(ODTオフ)のとき、即ちシステム回路12がメモリ11をライトするとき、例えばLレベル(禁止モード)の許可信号Seを出力する。また、判定回路23は、終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)のとき、データストローブ信号DQS、設定信号Ssに応じて、許可信号Seを出力する。
判定回路23は、データストローブ信号DQSbがHレベルからLレベルへの遷移を検出すると、Lレベル(許可モード)の許可信号Seを出力する。その後、判定回路23は、データストローブ信号DQSbの遷移をカウントする。データストローブ信号DQSbの遷移、すなわちデータストローブ信号DQSの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、メモリ11から読み出すデータの数(バースト値)だけ発生する。そして、判定回路23は、カウント値が設定信号Ssにて設定された値を越えると、Lレベル(禁止モード)の許可信号Seを出力する。
上記したように、メモリ11は、システム回路12のリード要求Rrに応答して、プリアンブル、つまり所定期間Lレベルのデータストローブ信号DQS(Lレベルのストローブ信号DQSa及びHレベルの反転ストローブ信号BDQSa)を出力した後、ストローブ信号DQSa,BDQSaをトグルするとともにデータDQを出力する。従って、判定回路23は、プリアンブルを検出してから設定されたデータ数のデータDQを入力し終わるまでの間、Hレベルの許可信号Seを出力する。
アンド回路24は、バッファ回路15からデータストローブ信号DQSbが入力されるとともに、判定回路23から許可信号Seが入力される。アンド回路24は、データストローブ信号DQSb及び許可信号Seに応じて、データストローブ信号DQSdをインターフェース回路13に出力する。アンド回路24は、許可信号SeがHレベル(許可モード)のとき、データストローブ信号DQSbのレベルと等しいレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。従って、インターフェース回路13は、トグルするデータストローブ信号DQSdに基づいてデータDQを読み込む。一方、アンド回路24は、許可信号SeがLレベル(禁止モード)のとき、Lレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。従って、インターフェース回路13は、データストローブ信号DQSdがトグルしないため、データDQを読み込まない。
終端制御回路17は、アンド回路25とインバータ回路26を含む。アンド回路25には、インターフェース回路13から終端制御信号Soが入力されるとともに、判定回路23から許可信号Seが入力される。アンド回路25は、終端制御信号So及び許可信号Seに応じて、調整信号Sd1を出力する。アンド回路25は、終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)のとき、許可信号Seに応じたレベルの調整信号Sd1を出力する。一方、アンド回路25は、Lレベルの終端制御信号Soに応答してLレベルの調整信号Sd1を出力する。インバータ回路26は、調整信号Sd1の論理を反転したレベルの反転調整信号BSd1を出力する。
終端回路18は、インバータ回路27と第1〜第4終端部18a〜18dを含む。
インバータ回路27は、終端制御信号Soの論理を反転したレベルの反転終端制御信号BSoを出力する。
第1終端部18aは、PチャネルMOSトランジスタT1、NチャネルMOSトランジスタT2、第1及び第2終端抵抗R1,R2を有している。
第1トランジスタT1は、そのソースが高電位電圧VDDを供給するための電源線VLaに接続され、そのドレインが第1終端抵抗R1の第1端子に接続され、第1終端抵抗R1の第2端子は第1の伝送路L1に接続されている。第1トランジスタT1のゲートには反転終端制御信号BSoが供給される。
第2トランジスタT2は、そのソースが低電位電圧を供給する電源線VLbに接続され、そのドレインが第2終端抵抗R2の第1端子に接続され、第2終端抵抗R2の第2端子は第1の伝送路L1に接続されている。第2トランジスタT2のゲートには終端制御信号Soが供給される。尚、本実施形態において、低電位電圧は0ボルト、つまりグランドレベルであるため、電源線VLbをグランドとして図に示している。
ODTオンのとき、終端制御信号SoはHレベルであり、反転信号BSoはLレベルである。従って、第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2がオンする。すると、伝送路L1は、第1終端抵抗R1と第1トランジスタT1を介して電源線VLaに接続されるとともに、第2終端抵抗R2と第2トランジスタT2を介して電源線VLbに接続される。これにより、第1終端部18aは、第1及び第2トランジスタT1,T2のオン抵抗と、第1及び第2終端抵抗R1,R2の合成抵抗により、第1の伝送路L1を終端する。
一方、ODTオフのとき、終端制御信号SoはLレベルであり、反転信号BSoはHレベルである。従って、第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2がオフする。すると、第1及び第2終端抵抗R1,R2は、オフした第1及び第2トランジスタT1,T2により電源線VLa,VLbと切り離される。従って、第1の伝送路L1は終端されない。なお、オフした第1トランジスタT1は、電源線VLaと第1の伝送路L1との間を、無限大の抵抗値の抵抗により接続することと等価である。同様に、オフした第2トランジスタT2は、電源線VLbと第1の伝送路L1との間を、無限大の抵抗値の抵抗により接続することと等価である。従って、第1の伝送路L1は、ハイインピーダンス状態となる。
第2終端部18bは、第1終端部18aと同様に、第1及び第2トランジスタT1,T2と第1及び第2終端抵抗R1,R2を含む。そして、第1トランジスタT1のゲートには反転終端制御信号BSoが供給される。従って、第2終端部18bの第1トランジスタT1は、第1終端部18aの第1トランジスタT1と同相にてオンオフし、第1終端抵抗R1が電源線VLaに対して接離される。一方、第2トランジスタT2のゲートには調整信号Sd1が供給される。従って、第2終端抵抗R2は、調整信号Sd1により、電源線VLbに対して接離される。
例えば、ODTオン、かつ調整信号Sd1がLレベルのとき、第2終端部18bの第2トランジスタT2がオフする。このとき、第1の伝送路L1は、第1終端部18aのトランジスタT1及び終端抵抗R1と、第2終端部18bのトランジスタT1及び終端抵抗R1により電源線VLaに接続されるとともに、第1終端部18aのトランジスタT2及び終端抵抗R2により電源線VLbに接続される。従って、第1の伝送路L1は、電源線VLa,VLbとの間に介在される素子の合成抵抗により終端される。そして、第1の伝送路L1は、これらの合成抵抗の抵抗値、つまり、電源線VLa側の合成抵抗の抵抗値と、電源線VLb側の合成抵抗の抵抗値の比に応じたレベルにドライブされる。
また、ODTオン、かつ調整信号Sd1がHレベルのとき、第2終端部18bの第2トランジスタT2がオンする。このとき、第1の伝送路L1は、第1終端部18aのトランジスタT1及び終端抵抗R1と、第2終端部18bのトランジスタT1及び終端抵抗R1により電源線VLaに接続されるとともに、第1終端部18aのトランジスタT2及び終端抵抗R2と、第2終端部18bのトランジスタT2及び終端抵抗R2により電源線VLbに接続される。そして、第1の伝送路L1は、電源線VLa,VLbとの間に介在される素子の合成抵抗により終端される。このときの合成抵抗は、調整信号Sd1がLレベルのときと比べると、第2終端部18bのトランジスタT2及び終端抵抗R2が加わる分だけ変化する。すなわち、第1の伝送路L1に対する終端抵抗の抵抗比は、調整信号Sd1により調整される。そして、第1及び第2終端部18a,18bが第1の伝送路L1をドライブするレベルは、合成抵抗の抵抗比に応じたレベルとなるため、抵抗比と同様に、調整信号Sd1により調整される。
第3終端部18cは、第1終端部18aと同様に、第1及び第2トランジスタT1,T2と第1及び第2終端抵抗R1,R2を含む。そして、第1トランジスタT1のゲートには反転終端制御信号BSoが供給され、第2トランジスタT2のゲートには終端制御信号Soが供給される。従って、第3終端部18cは、ODTオンのとき、第2の伝送路L2を終端する。一方、第3終端部は、ODTオフのとき、無限大の抵抗値の抵抗と等価となるため、第2の伝送路L2は、ハイインピーダンス状態となる。
第4終端部18dは、第2終端部18bと同様に、第1及び第2トランジスタT1,T2と第1及び第2終端抵抗R1,R2を含む。そして、第1トランジスタT1のゲートには反転調整信号BSd1が供給される。従って、第1終端抵抗R1は、反転調整信号BSd1により、電源線VLaに対して接離される。一方、第2トランジスタT2のゲートには、終端制御信号Soが供給される。従って、第4終端部18dの第2トランジスタT2は、第3終端部18cの第2トランジスタT2と同相にてオンオフし、第2終端抵抗R2が電源線VLbに対して接離される。
従って、第2の伝送路L2は、終端制御信号Soに基づいて、第3終端部18cと第4終端部18dの合成抵抗により終端される。そして、第3終端部18c及び第4終端部18dの合成抵抗の抵抗値は、反転調整信号BSd1により調整される。
反転調整信号BSd1のレベルは、調整信号Sd1を論理反転したレベルである。そして、調整信号Sd1は第2終端部18bのNチャネルMOSトランジスタT2のゲートに供給され、反転調整信号BSd1は第4終端部18dのPチャネルMOSトランジスタT1のゲートに供給される。従って、第2終端部18bのトランジスタT2と第4終端部18dのトランジスタT1は同相にてオンオフする。そして、第2終端部18bのトランジスタT2は、低電位電圧を供給する電源線VLbと第1の伝送路L1との間に介在され、第4終端部18dのトランジスタT1は、高電位電圧を供給する電源線VLaと第2の伝送路L2との間に介在されている。第1の伝送路L1をドライブするレベルの調整方向と、第2の伝送路L2をドライブするレベルの調整方向は、互いに逆方向である。
例えば、第1及び第2トランジスタT1,T2のオン抵抗値を50Ω、第1及び第2終端抵抗R1,R2の抵抗値を150Ωとする。終端制御信号SoがLレベル(ODTオフ)のとき、第1及び第2終端部18a,18bのトランジスタT1,T2がオフするため、図3(a)の上段に示すように、第1及び第2終端部18a,18bは、抵抗値が無限大の抵抗と等価となる。同様に、第3及び第4終端部18c,18dは、図3(a)の下段に示すように、抵抗値が無限大の抵抗と等価となる。従って、第1の伝送路L1と第2の伝送路L2は、それぞれハイインピーダンス状態となる。
終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)、調整信号Sd1がLレベル(反転調整信号BSd1がHレベル)のとき、第2終端部18bのトランジスタT2がオフする。従って、第1及び第2終端部18a,18bは、図3(b)の上段に示すように、第1の伝送路L1と電源線VLaとの間に接続された100Ωの抵抗と、第1の伝送路L1と電源線VLbとの間に接続された200Ωの抵抗と等価となる。この時、高電位電圧VDDを1.8Vとすると、第1の伝送路L1のレベル、つまりデータストローブ信号DQSaは、1.2Vとなる。
同様に、Hレベルの終端制御信号SoとHレベルの反転調整信号BSd1により、第4終端部18dのトランジスタT1がオフする。従って、第3及び第4終端部18c,18dは、図3(b)の下段に示すように、第2の伝送路L2と電源線VLaとの間に接続された200Ωの抵抗と、第2の伝送路L2と電源線VLbとの間に接続された100Ωの抵抗と等価となる。そして、第2の伝送路L2のレベル、つまり反転データストローブ信号BDQSaは、0.6Vとなる。
終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)、調整信号Sd1がHレベル(反転調整信号BSd1がLレベル)のとき、第1及び第2終端部18a,18bのすべてのトランジスタT1,T2がオンする。従って、第1及び第2終端部18a,18bは、図3(c)の上段に示すように、第1の伝送路L1と電源線VLaとの間に接続された100Ωの抵抗と、第1の伝送路L1と電源線VLbとの間に接続された100Ωの抵抗と等価となる。従って、第1の伝送路L1のレベル、つまりデータストローブ信号DQSaは、0.9Vとなる。
同様に、Hレベルの終端制御信号SoとLレベルの反転調整信号BSd1により、第3及び第4終端部18c,18dのすべてのトランジスタT1,T2がオンする。従って、第3及び第4終端部18c,18dは、図3(c)の下段に示すように、第2の伝送路L2と電源線VLaとの間に接続された100Ωの抵抗と、第2の伝送路L2と電源線VLbとの間に接続された100Ωの抵抗と等価となる。そして、第2の伝送路L2のレベル、つまり反転データストローブ信号BDQSaは、0.9Vとなる。
次に、上記のように構成されたシステム回路12において、プリアンブル状態に遷移する際の動作について図4に従って説明する。なお、構成部材については、図1〜図3を参照されたい。
今、時刻t0において、例えばポストアンブル状態にあり、第1及び第2の伝送路L1,L2は、メモリ11及びシステム回路12によりドライブされないため、ハイインピーダンス状態となっている。この状態は、システム回路12からメモリ11へデータを書き込むライト動作後のライトポストアンブル状態の後、リード動作後のリードポストアンブル状態の後、等である。このとき、終端制御信号SoがLレベル(ODTオフ)であるため、第1及び第2の伝送路L1,L2は第1〜第4終端部18a〜18dにて終端されていない。
時刻t1において、インターフェース回路13が図示しないメモリコントローラからのリード要求Rrに応答してHレベルの終端制御信号So(ODTオン)を出力する。この時、許可信号SeはLレベルであるため、第1の伝送路L1は、図3(b)の上段に示す合成抵抗により終端される。すると、第1の伝送路L1(データストローブ信号DQSa)の電位が上昇し、やがて合成抵抗の抵抗値比によって決まる電位(図では1.2V)となる。同様に、第2の伝送路L2は、図3(b)の下段に示す合成抵抗により終端される。すると、第2の伝送路L2(反転データストローブ信号BDQSa)の電位が低下し、やがて合成抵抗の抵抗値比によって決まる電位(図では0.6V)となる。
入力バッファ回路21は、データストローブ信号DQSaと反転データストローブ信号BDQSaとの間の差電圧がプラス側の閾値電圧(例えば0.5V)より大きくなるため、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する(時刻t2)。
メモリ11は、システム回路12からのリード要求Rrに応答して、伝送路L1,L2にプリアンブルを出力する、すなわちLレベルのデータストローブ信号DQSaとHレベルの反転データストローブ信号BDQSaを出力する。そして、入力バッファ回路21は、データストローブ信号DQSaと反転データストローブ信号BDQSaとの間の差電圧(VDQSa−VBDQSa)がマイナス側の閾値電圧(−0.5V)より低くなると、Lレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する(時刻t3)。
判定回路23は、終端制御信号SoがHレベルであるため、Lレベルのデータストローブ信号DQSbに応答して、Hレベル(許可モード)の許可信号Seを出力する(時刻t4)。アンド回路24は、Hレベル(許可モード)の許可信号Seに応答して、データストローブ信号DQSbと等しいレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。
メモリ11は、プリアンブルの後、トグルするデータストローブ信号DQSa,BDQSaを出力する。入力バッファ回路21は、データストローブ信号DQSa,BDQSaに基づいて、トグルするデータストローブ信号DQSbを出力する。アンド回路24は、このデータストローブ信号DQSbと等しいレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。これにより、インターフェース回路13は、トグルするデータストローブ信号DQSdに基づいてデータDQを読み込む。
また、時刻t4において、Hレベルの許可信号Seが判定回路23から出力されると、終端制御回路17は、そのHレベルの許可信号Seに応答してHレベルの調整信号Sd1とLレベルの反転調整信号BSd1を出力する。すると、終端回路18は、図3(c)に示す等価回路として動作する。つまり伝送路L1は、第1の伝送路L1と高電位電圧を供給する電源線VLaとの間、及び第1の伝送路L1と低電位電圧を供給する電源線VLbとの間に、それぞれ同じ抵抗値の終端抵抗が接続された状態となる。そして、伝送路L1は、第1及び第2終端部18a,18bの合成抵抗の抵抗比により、高電位電圧と低電位電圧により設定される電源電圧範囲の中央、すなわち本実施形態ではVDD/2のレベルにドライブされる。
このため、高電位電圧レベル(Hレベル)から低電位電圧レベル(Lレベル)へと遷移する時間(フォールタイム)と、LレベルからHレベルへと遷移する時間(ライズタイム)とが等しくなる、つまりデータストローブ信号DQSaを伝達するときの対称性が確保される。
また、第1の伝送路L1を終端する合成抵抗の抵抗値は、それぞれ100Ωであり、これらの合成抵抗によるインピーダンスは、2つの合成抵抗を並列接続したときの抵抗値として算出されるため、50Ωとなる。従って、第1及び第2終端部18a,18bのインピーダンスが第1の伝送路L1の特性インピーダンスと一致するため、第1の伝送路L1による伝達されるデータストローブ信号DQSaの反射を抑制することができ、反射による信号の波形歪みを防止することができる。
第2の伝送路L2は、第1の伝送路L1と同様に、第3及び第4終端部18c,18dの合成抵抗により終端され、電源電圧範囲の中央(VDD/2)のレベルにドライブされるため、反転データストローブ信号BDQSaを伝達するときの対称性が確保される。さらに、第3及び第4終端部18c,18dの合成抵抗が第2の伝送路L2の特性インピーダンスと一致するため、第2の伝送路L2による伝達される反転データストローブ信号BDQSaの反射を抑制することができ、反射による信号の波形歪みを防止することができる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)システム回路12がメモリ11にリード要求Rrを出力すると、インターフェース回路13は終端制御信号Soにより伝送路L1,L2に対する終端回路18を活性化させる。そして、終端制御回路17は、終端制御信号Soと、判定回路23から出力される許可信号Seに基づいて、終端回路18の抵抗値を、入力バッファ回路21が伝送路L1,L2のレベルをHレベルの信号として検出する値に調整する。
これにより、入力バッファ回路21は、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力し、メモリ11から出力されるプリアンブル(Lレベルのデータストローブ信号DQSa)に基づいてLレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。
このため、判定回路23は、入力バッファ回路21から出力されるデータストローブ信号DQSbが、HレベルからLレベルへと遷移するため、Lレベルのデータストローブ信号DQSa、つまりプリアンブルを確実に検出することができる。従って、システム回路12は、終端抵抗の抵抗値を調整するための終端制御回路17を設けるだけでよく、従来例のようなプリアンブル検出回路を設ける必要がないため、システム回路12の回路規模を縮小することができる。
(2)判定回路23は、Lレベルのデータストローブ信号DQSb、すなわちプリアンブルを検出するとHレベルの許可信号Seを出力する。終端制御回路17は、その許可信号Seに応答して、終端回路18の抵抗値を、第1及び第2の伝送路L1,L2のレベルが高電位電圧VDDの中間電位となる値に調整する。
従って、相補なデータストローブ信号DQSa,BDQSaの論理遷移の遅延を防ぐ、つまり、HレベルからLレベルへと遷移する時間(フォールタイム)と、LレベルからHレベルへと遷移する時間(ライズタイム)とが等しくなり、データストローブ信号DQSaを伝達するときの対称性が確保することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図5〜図7に従って説明する。
なお、先の図1〜図4に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付し、それら各要素についてはその説明を省略する。
図5に示すように、システム回路12aはメモリ11aと伝送路L11を介して互いに接続され、シングルエンドのデータストローブ信号DQSeを互いに送受信するように構成されている。
システム回路12aは、インターフェース回路13、入出力部14a、メモリコントローラ(図示略)を含む。入出力部14aは、信号制御回路16、バッファ回路50、終端制御回路53、終端回路61を有している。
バッファ回路50は、入力バッファ回路51と、出力バッファ回路52を含む。入力バッファ回路51は、メモリ11からシングルエンドの信号であるデータストローブ信号DQSeが伝送路L11を介して入力される。入力バッファ回路51は、データストローブ信号DQSeの電圧値VDQSaと基準電圧Vrの差電圧(=VDQSa−Vr)に応じて、データストローブ信号DQSbを信号制御回路16に出力する。
具体的には、入力バッファ回路51は、差電圧がプラス側の閾値電圧より大きいときにHレベルのデータストローブ信号DQSbを出力し、差電圧がマイナス側の閾値電圧より小さいときにLレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。例えば、基準電圧Vrは電源電圧範囲の1/2(=0.9V)、プラス側の閾値電圧は0.3V、マイナス側の閾値電圧は−0.3Vに設定されている。
出力バッファ回路52は、インターフェース回路13からのデータストローブ信号DQScが入力される。出力バッファ回路52は、そのデータストローブ信号DQScに基づいて生成したシングルエンドの信号であるデータストローブ信号DQSeを伝送路L11を介してメモリ11に出力する。また、出力バッファ回路52はスリーステートバッファであり、インターフェース回路13から供給されるHレベルのイネーブル信号BENに応答して出力端子をハイインピーダンス状態にする。
終端制御回路53は、アンド回路25を含む。アンド回路25は、終端制御信号Soと許可信号Seに基づいて調整信号Sd1を出力する。
終端回路61は、インバータ回路27と終端部62を有している。インバータ回路27は、終端制御信号Soの論理を反転したレベルの反転終端制御信号BSoを出力する。終端部62は、第1実施形態の第2終端部18bと同様に構成されている。つまり、終端部62は、PチャネルMOSトランジスタT1、NチャネルMOSトランジスタT2、第1及び第2終端抵抗R1,R2を含む。第1トランジスタT1のソースは高電位電圧VDDを供給する電源線VLaと接続され、第1トランジスタT1のドレインは第1終端抵抗R1の第1端子に接続され、終端抵抗R1の第2端子は伝送路L11に接続されている。その伝送路L11は第2終端抵抗R2の第1端子に接続され、抵抗R2の第2端子は第2トランジスタT2のドレインに接続され、第2トランジスタT2のソースは低電位電圧(例えばグランド)を供給する電源線VLbと接続されている。そして、第1トランジスタT1のゲートには反転終端制御信号BSoが供給され、第2トランジスタT2のゲートには調整信号Sd1が供給される。
終端制御信号SoがLレベル(ODTオフ)のとき、Hレベルの反転終端制御信号BSoによりトランジスタT1がオフし、Lレベルの調整信号Sd1によりトランジスタT2がオフする。従って、伝送路L11は終端されない。なお、オフした第1及び第2トランジスタT1,T2は、抵抗値が無限大の抵抗と等価である。従って、終端部62は、図6(a)に示すように、抵抗値が無限大の抵抗として働くため、伝送路L11はハイインピーダンス状態となる。
終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)のとき、Hレベルの反転終端制御信号BSoによりトランジスタT1がオンする。そして、調整信号Sd1がLレベルのとき、トランジスタT2はオフする。このとき、伝送路L11は、トランジスタT1のオン抵抗と第1終端抵抗R1の合成抵抗により電源線VLaに接続される。一方、トランジスタT2はオフするため、伝送路L11と電源線VLbとの間の合成抵抗値は無限大となる。
例えば、第1及び第2トランジスタT1,T2のオン抵抗を25Ω、第1及び第2終端抵抗R1,R2の抵抗値を75Ωとする。すると、終端部62は、図6(b)に示すように、伝送路L11と電源線VLaとの間に接続された100Ωの抵抗と、伝送路L11と電源線VLbとの間に接続された無限大の抵抗値の抵抗と等価となる。これにより、伝送路L11は、電源線VLaのレベル、すなわち高電位電圧VDDレベル(Hレベル)にドライブされる。
終端制御信号SoがHレベル(ODTオン)のとき、Hレベルの反転終端制御信号BSoによりトランジスタT1がオンする。そして、調整信号Sd1がHレベルのとき、トランジスタT2がオンする。このとき、伝送路L11は、トランジスタT1のオン抵抗と第1終端抵抗R1の合成抵抗により電源線VLaと接続される。また、伝送路L11は、トランジスタT2のオン抵抗と第2終端抵抗R2の合成抵抗により電源線VLbと接続される。この場合、終端部62は、図6(c)に示すように、伝送路L11と電源線VLaとの間に接続された100Ωの抵抗と、伝送路L11と電源線VLbとの間に接続された100Ωの抵抗と等価となる。これにより、伝送路L11は、両電源線VLa,VLb間の中間レベル、すなわち高電位電圧VDDレベルの1/2(=VDD/2)にドライブされる。
次に、上記のように構成されたシステム回路12aにおいて、プリアンブル状態に遷移する際の動作について図7に従って説明する。なお、構成部材については、図1〜図6を参照されたい。
今、時刻t0において、例えばポストアンブル状態にあり、伝送路L11は、メモリ11a及びシステム回路12aによりドライブされないため、ハイインピーダンス状態となっている。このとき、伝送路L11は、終端制御信号SoがLレベル(ODTオフ)であるため、終端部62にて終端されていない。
時刻t1において、インターフェース回路13が図示しないメモリコントローラからのリード要求Rrに応答してHレベルの終端制御信号Soを出力する。このとき、許可信号SeはLレベルであるため、伝送路L11は、図6(b)に示すように、高電位電圧側の終端抵抗にて終端される。これにより、伝送路L11(データストローブ信号DQSe)の電位が高電位電圧レベル(Hレベル)まで上昇する。従って、入力バッファ回路51は、データストローブ信号DQSeの電圧値と基準電圧Vrとの間の差電圧がプラス側の閾値電圧(0.3V)より大きいため、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する(時刻t2)。
メモリ11は、システム回路12aからのリード要求Rrに応答して、Lレベルのデータストローブ信号DQSe(プリアンブル)を出力する。入力バッファ回路51は、データストローブ信号DQSeの電圧値と基準電圧Vrとの間の差電圧(VDQSe−Vr)がマイナス側の閾値電圧(−0.3V)より低くなると、Lレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する(時刻t3)。
判定回路23は、終端制御信号SoがHレベルであるため、Lレベルのデータストローブ信号DQSbに応答して、Hレベル(許可モード)の許可信号Seを出力する(時刻t4)。アンド回路24は、Hレベルの許可信号Seに応答して、データストローブ信号DQSbと等しいレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。
メモリ11は、プリアンブルの後、トグルするデータストローブ信号DQSeを出力する。入力バッファ回路21は、データストローブ信号DQSeに基づいて、トグルするデータストローブ信号DQSbを出力する。アンド回路24は、このデータストローブ信号DQSbと等しいレベルのデータストローブ信号DQSdを出力する。これにより、インターフェース回路13は、トグルするデータストローブ信号DQSdに基づいてデータDQを読み込む。
また、時刻t4において、Hレベルの許可信号Seが判定回路23から出力されると、終端制御回路53は、許可信号Seに応答してHレベルの調整信号Sd1を出力する。すると、終端部62は、トランジスタT2がオンするため、図6(c)に示すように、伝送路L11を、同じ抵抗値の合成抵抗により電源線VLaと電源線VLbとにそれぞれ終端する。これにより、終端部62による伝送路L11のドライブレベルは電源電圧範囲の中央、すなわち高電位電圧VDDレベルの1/2となる。
このように、システム回路12aは、メモリ11aにリード要求Rrを出力してプリアンブル状態に遷移するとき、リード要求Rrを出力すると、伝送路L11(データストローブ信号DQSe)の電位を1.8Vにする。これにより、データストローブ信号DQSeと基準電圧Vrの差電圧(=VDQSe−Vr)は、システム回路12aがメモリ11aにリード要求Rrを出力すると、入力バッファ回路51のプラス側の閾値電圧(0.3V)を超える電圧値(0.9V)となる。このため、入力バッファ回路51は、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。つまり、入力バッファ回路51は、メモリ11aからのLレベル(プリアンブル状態)のデータストローブ信号DQSを入力する前に、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力し、続いて該Lレベルのデータストローブ信号DQSに基づくLレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。
従って、判定回路23は、入力バッファ回路51から出力されるHレベルのデータストローブ信号DQSbに続いて、Lレベル(プリアンブル状態)のデータストローブ信号DQSbを入力し、このデータストローブ信号DQSbのHレベルからLレベルへの立ち下がりを使ってプリアンブル状態への遷移を検出する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)システム回路12aがメモリ11aにリード要求Rrを出力すると、インターフェース回路13は終端制御信号Soにより伝送路L11に対する終端回路61を活性化させる。そして、終端制御回路53は、終端制御信号Soと、判定回路23から出力される許可信号Seに基づいて、終端回路61の抵抗値を、入力バッファ回路51が伝送路L11のレベルをHレベルの信号として検出する値に調整する。
これにより、入力バッファ回路51は、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力し、メモリ11aから出力されるプリアンブル(Lレベルのデータストローブ信号DQSe)に基づいてLレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。
このため、判定回路23は、入力バッファ回路51から出力されるデータストローブ信号DQSbが、HレベルからLレベルへと遷移するため、Lレベルのデータストローブ信号DQSe、つまりプリアンブルを確実に検出することができる。従って、システム回路12aは、終端抵抗の抵抗値を調整するための終端制御回路53を設けるだけでよく、従来例のようなプリアンブル検出回路を設ける必要がないため、システム回路12aの回路規模を縮小することができる。
(2)判定回路23は、Lレベルのデータストローブ信号DQSb、すなわちプリアンブルを検出するとHレベルの許可信号Seを出力する。終端制御回路53は、その許可信号Seに応答して、終端回路61の抵抗値を、伝送路L11のレベルが高電位電圧VDDの中間電位となる値に調整する。
従って、シングルエンドのデータストローブ信号DQSeについて、論理遷移の遅延を防ぐ、つまり、HレベルからLレベルへと遷移する時間(フォールタイム)と、LレベルからHレベルへと遷移する時間(ライズタイム)とが等しくなり、データストローブ信号DQSeを伝達するときの対称性が確保することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を図8及び図9に従って説明する。
なお、先の図1〜図7に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付し、それら各要素についてはその説明を省略する。
図8に示すように、システム回路12bは、インターフェース回路13、入出力部14b、メモリコントローラ(図示略)を含む。
入出力部14bは、図2に示す入出力部14の構成部材と、試験回路70、第1〜第3選択回路71〜73を含む。尚、図8には、入出力部14bの構成として、出力バッファ回路22、試験回路70、第1〜第3選択回路71〜73が示されている。
試験回路70は、図示しない試験装置(テスタ)から試験の開始信号が入力されると、予め設定された試験パターンに基づいて、試験用データストローブ信号DQSt、試験用終端制御信号Sot、試験用制御信号Sctと、各試験用信号DQSt,Sot,Sct選択するための選択信号Saを出力する。
第1選択回路71は、選択信号Saに基づいて、通常動作時にはインターフェース回路13から出力されるデータストローブ信号DQScを選択し、試験動作時には試験回路70から出力される試験用信号DQStを選択する。そして、第1選択回路71は、選択した信号のレベルと等しいレベルのデータストローブ信号DQShを出力する。
第2選択回路72は、選択信号Saに基づいて、通常動作時にはインターフェース回路13から出力される終端制御信号Soを選択し、試験動作時には試験回路70から出力される試験用信号Sotを選択する。そして、第2選択回路72は、選択した信号のレベルと等しいレベルの終端制御信号Sohを出力する。信号制御回路16、終端制御回路17、及び終端回路18は、この終端制御信号Sohに基づいて動作する。
第3選択回路73は、選択信号Saに基づいて、通常動作時にはインターフェース回路13から出力されるイネーブル信号BENを選択し、試験動作時には試験回路70から出力される試験用制御信号Sctを選択する。そして、第3選択回路73は、選択した信号のレベルと等しいレベルのイネーブル信号Scを出力する。
出力バッファ回路22は、ノア回路80,81、ナンド回路82,83、インバータ回路84〜89、出力部91,92を含む。
インバータ回路84は、第1選択回路71からのデータストローブ信号DQShを反転したレベルの反転データストローブ信号BDQShを出力する。インバータ回路85は、イネーブル信号Scを反転したレベルの反転イネーブル信号BScを出力する。
第1ノア回路80は、反転データストローブ信号BDQShとイネーブル信号Scを否定論理和演算した結果に応じたレベルの信号を出力する。インバータ回路86は、ノア回路80の出力信号を論理反転したレベルの駆動信号Sd3を出力する。第1ナンド回路82は、反転データストローブ信号BDQShと反転イネーブル信号BScを否定論理積演算した結果に応じたレベルの信号を出力する。インバータ回路87は、ナンド回路82の出力信号を論理反転したレベルの駆動信号Sd4を出力する。
第2ノア回路81は、データストローブ信号DQShとイネーブル信号Scを否定論理和演算した結果に応じたレベルの信号を出力する。インバータ回路88は、ノア回路81の出力信号を論理反転したレベルの駆動信号Sd5を出力する。第2ナンド回路83は、データストローブ信号DQShと反転イネーブル信号BScを否定論理積演算した結果に応じたレベルの信号を出力する。インバータ回路89は、ナンド回路83の出力信号を論理反転したレベルの駆動信号Sd6を出力する。
第1出力部91は、PチャネルMOSトランジスタT3とNチャネルMOSトランジスタT4を含む。第1トランジスタT3のソースは電源線VLaに接続され、トランジスタT3のドレインは第1の伝送路L1に接続されている。そして、トランジスタT3のゲートには駆動信号Sd3が供給される。第2トランジスタT4のソースは電源線VLbに接続され、トランジスタT4のドレインは第1の伝送路L1に接続されている。そして、トランジスタT4のゲートには駆動信号Sd4が供給される。
第1出力部91は、Hレベルの駆動信号Sd3,Sd4に基づいて、Lレベルのデータストローブ信号DQSaを伝送路L1に出力する。また、第1出力部91は、Lレベルの駆動信号Sd3,Sd4に基づいて、Hレベルのデータストローブ信号DQSaを伝送路L1に出力する。さらに、第1出力部91は、Hレベルの駆動信号Sd3とLレベルの駆動信号Sd4に基づいて、伝送路L1をハイインピーダンス状態にする。
第2出力部92は、PチャネルMOSトランジスタT5とNチャネルMOSトランジスタT6を含む。第1トランジスタT5のソースは電源線VLaに接続され、トランジスタT5のドレインは第2の伝送路L2に接続されている。そして、トランジスタT5のゲートには駆動信号Sd5が供給される。第2トランジスタT6のソースは電源線VLbに接続され、トランジスタT6のドレインは第2の伝送路L2に接続されている。そして、トランジスタT6のゲートには駆動信号Sd6が供給される。
第2出力部92は、Hレベルの駆動信号Sd5,Sd6に基づいて、Lレベルの反転データストローブ信号BDQSaを伝送路L2に出力する。また、第2出力部92は、Lレベルの駆動信号Sd5,Sd6に基づいて、Hレベルの反転データストローブ信号BDQSaを伝送路L2に出力する。さらに、第2出力部92は、Hレベルの駆動信号Sd5とLレベルの駆動信号Sd6に基づいて、伝送路L2をハイインピーダンス状態にする。
次に、上記のように構成されたシステム回路12bに対する試験を図9に従って説明する。なお、構成部材については、図1〜図8を参照されたい。
時刻t0において、試験回路70は、図示しない試験装置(テスタ)から試験の開始信号が入力される。これにより、試験回路70は、Hレベルの選択信号Saを第1〜第3選択回路71〜73に出力する。第1選択回路71は、Hレベルの選択信号Saを入力すると、試験回路70からの試験用データストローブ信号DQStと同じレベルのデータストローブ信号DQShを出力する。第2選択回路72は、試験用終端制御信号Sotと同じレベルの終端制御信号Sohを出力する。第3選択回路73は、試験用制御信号Sctと同じレベルのイネーブル信号Scを出力する。そして、試験回路70は、Lレベル(出力モード)の試験用制御信号Sct及びLレベルの試験用データストローブ信号DQStを出力する。すると、出力バッファ回路22は、第1出力部91からLレベルのデータストローブ信号DQSaを出力し、第2出力部92からHレベルの反転データストローブ信号BDQSaを出力する。
時刻t1において、試験回路70は、Hレベルの試験用制御信号Sctを出力する。すると、出力バッファ回路22は、第1出力部91及び第2出力部92をハイインピーダンス状態にする。
そして、時刻t2において、試験回路70は、Hレベル(ODTオン)の試験用終端制御信号Sotを出力する。終端回路18は、図3(b)に示すように、第1の伝送路L1を電源側に100Ωの終端抵抗、グランド側に200Ωの終端抵抗にて終端する。また、終端回路18は、図3(b)に示すように、第2の伝送路L2を電源側に200Ωの終端抵抗、グランド側に100Ωの終端抵抗にて終端する。これにより、データストローブ信号DQSaが1.2V、反転データストローブ信号BDQSaが0.6Vとなる。入力バッファ回路21は、両信号DQSa,BDQSaの差電圧がプラス側のしきい値電圧より高くなるため、Hレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する(時刻t3)。
時刻t4において、試験回路70は、Lレベルの試験用制御信号Sctを出力する。すると、出力バッファ回路22は、第1出力部91からLレベルのデータストローブ信号DQSaを出力し、第2出力部92からHレベルの反転データストローブ信号BDQSaを出力する。これらの信号DQSa,BDQSaは、メモリ11が出力するプリアンブルと等しい。
時刻t5において、入力バッファ回路21は、両信号DQSa,BDQSaの差電圧がマイナス側のしきい値電圧より低くなるため、Lレベルのデータストローブ信号DQSbを出力する。
すなわち、通常動作において、メモリ11から出力されるプリアンブルを、試験回路70から出力する信号DQSt,Sot,Sctにより生成する。従って、システム回路12bをメモリ11に接続することなく、つまりシステム回路12b単体で入出力部14bの動作を確認することができる。また、システム回路12bとメモリ11を1つのパッケージ内に配置した半導体装置のように、伝送路L1,L2のレベルが確認できない装置において、特に有効となる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)システム回路12bに含まれる試験回路70は、試験時に、試験用の各信号DQSt,Sot,Sctを生成する。これらの信号により、システム回路12bの出力バッファ回路22は、伝送路L1をLレベルにする、すなわちプリアンブルを生成する。この結果、システム回路12bをメモリ11に接続することなく、つまりシステム回路12b単体で入出力部14bの動作を確認することができる。また、システム回路12bとメモリ11を1つのパッケージ内に配置した半導体装置のように、伝送路L1,L2のレベルが確認できない装置において、特に有効となる。
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態では、システム回路12においてプリアンブルを検出する回路について説明したが、メモリ11において同様にプリアンブルを検出するようにしてもよい。この場合、プリアンブルは、システム回路12がメモリ11にデータDQを書き込むときに出力するライトプリアンブルとなる。そして、図10に示すように、メモリ11は、システム回路12と同様に、第1及び第2の伝送路L1,L2を終端する終端抵抗の抵抗値を調整することにより、伝送路L1,L2のレベルがLレベルへと遷移する、つまりプリアンブルを検出する。このようにメモリを構成することにより、プリアンブルを確実に検出することができるとともに、簡単な回路構成によりプリアンブルを検出ことが可能となる、従来例のプリアンブル検出回路を必要とせず、回路規模の増大を抑制することができる。
・上記各実施形態において、電源電圧、各終端抵抗の抵抗値は一例であり、適宜変更してもよい。
・第1実施形態において、プリアンブルを検出する際に、第1の伝送路L1と第2の伝送路L2のうちの何れか一方の電位を変更する、すなわち第1の伝送路L1に接続された終端回路と第2の伝送路L2に接続された終端回路のうちの何れか一方の抵抗比を調整するようにしてもよい。
例えば、図2において、第4終端部18dを省略し、第2終端部18bの抵抗値を、入力バッファ回路21が両伝送路L1,L2のレベル差によりデータストローブ信号DQSaがHレベルであると判定するように変更する。このようにしても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、トランジスタをオン、例えば図2に示す第2終端部18bのトランジスタT2をオンすることにより、伝送路L1のドライブレベルを電源電圧範囲の中央レベルとした。これに対し、トランジスタをオフすることにより、伝送路のドライブレベルを電源電圧範囲の中央レベルとするように構成しても良い。
・第1実施形態では、終端制御回路17は、第1の伝送路L1を第1及び第2終端部18a,18bの第1及び第2終端抵抗R1,R2にて終端することにより、データストローブ信号DQSaの電圧値を0.9Vにする。その状態から、終端制御回路17は、第1の伝送路L1と第2終端部18bの第2終端抵抗を遮断することにより、データストローブ信号DQSaの電圧値を1.2Vにする。
これに限らず、終端制御回路17は、第1の伝送路L1を第1終端部18aの第1及び第2終端抵抗にて終端することにより、データストローブ信号DQSaの電圧値を0.9Vにする。その状態から、終端制御回路17は、第1の伝送路L1を第2終端部18bの第1終端抵抗R1にて終端することにより、データストローブ信号DQSaの電圧値を1.2Vにしてもよい。
・第3実施形態では、試験回路70が予め設定された試験パターンに基づいて、試験用データストローブ信号DQSt、試験用終端制御信号Sot、試験用制御信号Sctを生成していた。これに限らず、試験用データストローブ信号DQSt、試験用終端制御信号Sot、試験用制御信号Sctを生成する構成は特に制限されない。例えば、試験装置(テスタ)や中央演算処理装置にて生成しても良い。