JP5496321B2 - プレート熱交換器及びプレート熱交換器の製造方法及びヒートポンプ装置 - Google Patents
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Description
(2)また、プレート熱交換器内部の流路内に生じた圧力変動により、伝熱側と被伝熱側の流路を隔てている伝熱プレートが疲労により破壊するモードがある。ヒートポンプ装置にプレート熱交換器を取り付けた場合は、特にヒートポンプの駆動、停止、能力制御等のため、圧縮機の回転数が変動する。この回転数の変動により、プレート熱交換器内部の圧力が刻々と変化するため、長期間の駆動となる場合は、プレート熱交換器が「圧力疲労破壊」を起こす可能性がある。
積層された複数のプレートの各プレートが積層方向で隣接する他のプレートとロウ付けによって接合され、冷媒である第1流体と、前記第1流体と熱交換する第2流体とを、前記複数のプレートに基づき形成された前記第1流体の流路と、前記第2流体の流路とを通過させて熱交換させるプレート熱交換器において、
前記第1流体と前記第2流体とのいずれかの流体の、流入口と流出口とのいずれかとして機能する中空状のノズルと、
前記ノズルの両端のうちの一方のノズル端部が貫通するように前記ノズル端部の形状に応じた孔であるノズル対応孔が形成され、最も外側に配置される外側プレートと、
前記外側プレートの下面側に隣接して配置される第1プレートであって、前記外側プレートの前記ノズル対応孔を貫通した前記ノズル端部の周囲近傍を略密封する密封空間を、前記ノズル端部及び前記外側プレートの前記下面とともに形成する窪み領域であって、中央付近に前記積層方向にみて前記ノズル対応孔と重なる孔である第1孔が形成された窪み領域を有する第1プレートと
を備え、
前記密封空間は、
ロウ材が充填されたことを特徴とする。
図1は、実施の形態1のプレート熱交換器100の使用形態を示す図である。図1を用いてプレート熱交換器100の使用形態を説明する。ヒートポンプユニット10(ヒートポンプ装置)は、圧縮機1、凝縮器2(第1の熱交換器)、電子膨張弁3、蒸発器4(第2の熱交換器)を備えている。
(1)圧縮機1は、電力を使用して冷媒11を圧縮し、冷媒11の持つエンタルピーおよび圧力を上昇させる。
(2)凝縮器2は、圧縮された冷媒11(第1流体)と被加熱流体(第2流体)との間で熱交換を行う。
(3)電子膨張弁3は、凝縮器2から出た冷媒11を断熱膨張させる。
(4)蒸発器4は、電子膨張弁3から出る冷媒11と外部加熱熱源との間で熱交換を行う。なお、図示はしていないが、ヒートポンプユニット10は、その他、余剰な冷媒11を貯めるレシーバ等の附属部品を備えてもよい。
図2は、プレート熱交換器100の分解斜視図である。
図3は、プレート熱交換器100の側面図である。
図4は、プレート熱交換器100の正面図(図3のA矢視)である。
図5は、プレート熱交換器100の背面図(図3のB矢視)である。
まずプレート熱交換器100の特徴を説明する。
(1)実施の形態1のプレート熱交換器100は、各構成要素がロウ付けによって接合される方式の熱交換器である。このプレート熱交換器100の特徴は、後述する図9に示す内部空間119が形成され、内部空間119がロウ材で充填される点にある。図9は断面であるが、内部空間119は、ノズル先端の押し込み部131の周囲を1周にわたって取り囲む、リング形状(いわゆるドーナツ形状)である。リング形状である内部空間119の全体がロウ材で充填されることで、内部空間119、補強プレート113a及びノズル114aが一体化する。この一体化により、ノズル114aそのものをプレート熱交換器100を支える「柱」とすることができ、強度向上を図ることができる。
(2)すなわち、圧力破壊および圧力疲労破壊ともに、プレート熱交換器の破壊されやすい部位は、プレート熱交換器に流体を供給するために必要なノズル周辺の部位である。一般的なプレート熱交換器では熱交換面積拡大のために伝熱プレートの表面に波形状を設けている。上下の伝熱プレートどうしの波形状と波形状とが接触する箇所(下側の伝熱プレートの波の山と上側の伝熱プレートの波の底との接触部位)は全てロウ付される。そして、ロウ付された箇所は、全て「柱」として存在する。それに対してノズル周辺部は伝熱部分ではなく、波形状が存在しないか、波形状が存在したとしても極端に少ない。そのためノズルの周辺は、支えとなる「柱」が少ない。強度向上のためにはノズル周辺部にも「柱」が多く存在することが好ましい。しかし、ノズル周辺の面積は限られており、また、「柱」を形成し、かつ、流路を遮らない構造は、限られてくる。
(3)そこで、実施の形態1のプレート熱交換器100では、上記(1)のように、ノズル114aそのものをプレート熱交換器100を支える「柱」に用いる構成とする。そしてさらに、ロウ付時の銅(ロウ材)の挙動を考慮して、通常のノズルよりも幅の広い「柱」を形成することで、プレート熱交換器の信頼性向上を図る。図9に示すように、ノズル114a、補強プレート113a及びサイドプレート110aの3つの要素によってリング状の内部空間119(密封空間)を作り、その内部空間119にロウ付け時の余剰した銅を充填する。このように内部空間119にロウ材である銅が充填されることで、ノズル114a、サイドプレート110a、補強プレート113aからなる剛性のある「柱」を形成する。この「柱」は、従来の使用部材で形成することができるため、新たな部材の追加をすることなく、強度向上が可能である。
図6は、図4のX−X断面に相当する断面である。「相当する」としたのは次の理由による。図6は、説明を簡単にするため、伝熱プレート109a,109bを合計で4枚だけ使用している。また、図6では、ノズル114a(ノズル114−1に対応)が冷媒11の流入口のノズルである。このように、図6は、図4とは同一ではないため「相当する」とした。
図8の(a)は、図6のプレート熱交換器100を矢視Cからみた際の、サイドプレート110a(第1プレート)を示す図である。サイドプレート110aに開けられた流路孔115a〜115d(第1孔)は、伝熱プレート109b、伝熱プレート109aに開けられた流路孔115a〜115dとそれぞれ重なり、流路を構成する。また、図8の(b)は、(a)におけるY−Y断面である。
図7に示す伝熱プレート109a、伝熱プレート109bの大きさ、板厚は同様である。伝熱プレート109aと伝熱プレート109bとは四隅に流路孔115a〜115dを持つ。長手方向の流路孔115a、115bと、流路孔115c、115dとの間に流体を攪拌するための波形状116a,116bを持つ。伝熱プレート109aの波形状116aと伝熱プレート109bの波形状116bとは180度反転した形状である。すなわち、波形状116bは波形状116aに対して、波形状116aを点Pを中心に矢印方向に180度回転させたような関係にある。図7において、伝熱プレート109bの稜線122は、波の頂上の稜線を示す。すなわち、「波の頂上」とは、図6のC方向と反対方向における波の頂上を意味する。また、波形状116bは伝熱プレート109bの中心線121をV字の頂点(V字の折れ曲がり位置)とするV字形状の波である。波形状116aも同様である。図6でもわかるように、伝熱プレート109bの流路孔115aの周辺は、伝熱プレート109bの流路孔115bの周辺よりもC方向と反対方向を高い方向とした際、低い方向である。すなわち、伝熱プレート109bは、短手方向で、中心線121を境にして段差123がある。この段差123は、複数の伝熱プレートが積層された際に、流路を形成する。伝熱プレート109aも同様である。
伝熱プレート109aと伝熱プレート109bとが積層されることで、波形状116aと波形状116bとが点接触する。この点接触の部分が、ロウ付けされることで流路を形成する「柱」になる。例えば、伝熱プレート109aは水(純水、水道水あるいは不凍液を混合した水など)の流路を形成し、伝熱プレート109bは冷媒11(例えば、R410Aを代表とした、空気調和機に使用される冷媒)の流路を形成する。伝熱プレート109aと伝熱プレート109bとを各1枚ずつ積層することで水の流路が形成され、更に伝熱プレート109aを積層することで、「水−冷媒」の層が形成される。以下、伝熱プレートの積層枚数を増やすことで、「水−冷媒−水−冷媒・・・」と交互に流路が形成(図2参照)される。これら積層された複数の伝熱プレートによって、図6に示すような伝熱部111が構成される。
伝熱部111の上下部を挟み込むサイドプレート110a、サイドプレート110bは、大きさ、板厚が伝熱プレート109と同様であり、四隅に流路孔115a〜115dを持ち、波形状116の無い平面構造のプレートである。図6に示すように、サイドプレート110aは伝熱部111の上部に配置され、サイドプレート110bは伝熱部111の下部に配置されて、基幹部112を構成する。図8に示すように、サイドプレート110a、110bの流路孔115a、115cには絞り形状部117があり、伝熱プレート109a、109bの流路孔115a、115cに接触する。
図6、図8に示すように、サイドプレート110aは、流路孔115a、115cの周辺に絞り加工によって形成された絞り形状部117(窪み領域)を有する。
図6に示すように、基幹部112の上部に補強プレート113a(外側プレート)が取り付けられ、下部に補強プレート113bが取り付けられる。補強プレート113は、伝熱プレート109及びサイドプレート110に対して約5倍の厚みを持つ。プレート熱交換器100では、補強プレート113aは、図2、図4等に示すように4つの流路孔を持つ。また、補強プレート113bは、図5に示すように、流路孔115を持たない。補強プレート113a,113bにより、プレート熱交換器100は、基幹部112に流れる流体によって発生する圧力の変動疲労およびプレート熱交換器100の圧力と大気圧との差により生じる力に耐えることが可能になる。
図2、図4、図6等に示すように、補強プレート113aの4つの流路孔のそれぞれには、冷媒および水を基幹部112に流入させるためのノズル114a〜114dが取り付けられる。ノズル114の取付位置(取付箇所)は、補強プレート113a、113bの流路孔の数によって決まる。1枚の補強プレートに最大4つの流路孔を設ければ、1台のプレート熱交換器100に対して、合計8つのノズル114を取り付けることになる。図9に示すように、ノズル114aは、端部に補強プレート113aの流路孔とはまり合う押し込み部131を有している。押し込み部131の先端は、補強プレート113aの下面133よりも1mm以上出るように構成されている。図9の寸法Hが、1mm以上である。プレート熱交換器100をロウ付けで接合する工程の前に、ノズル114の押し込み部131を補強プレート113aの流路孔に挿し込み、押し込み部131をカシメ加工する。このカシメ加工により補強プレート113aとノズル114aとを仮固定した状態で、補強プレート113aが基幹部112に積層され、プレート熱交換器100全体が仮組みされて、仮組みのプレート熱交換器100がロウ付け工程に送られる。
仮組み状態のプレート熱交換器100では、伝熱プレート109aと伝熱プレート109bとの間、および伝熱部111とサイドプレート110aおよびサイドプレート110bとの間、基幹部112と補強プレート113aおよび補強プレート113bとの間にロウ材として用いられる銅条が挟みこまれる。更に補強プレート113aとノズル114との間にもロウ材である銅が配置される。ロウ材が配置された仮組み状態のプレート熱交換器100はロウ付け工程において真空加熱炉に入れられ、真空状態でのロウ付が行われる。このロウ付け工程で銅が融解し、各要素の接合面に浸透する。浸透した銅が冷えることにより各要素同士が半永久的に接着され、プレート熱交換器100が形成される。
(2)絞り形状部117の中央付近には積層方向にみてノズル対応孔と重なる孔(第1孔)が形成されている。絞り形状部117は、孔の周縁に沿って平坦な第1平坦部が形成されている。この第1平坦部が、ノズル押し込み部131の端面との間で隙間132を形成している。後述のように、隙間132から溶融状態のロウ材が内部空間119に流れ込む。
(3)サイドプレート110aの下に配置される伝熱プレート109b(第2プレート)は、流路孔が形成されている。伝熱プレート109bの流路孔のうちノズル114aとともに流路孔を形成する流路孔では、周縁から周辺に広がる平坦な第2平坦部が、サイドプレート110aの第1平坦部と接触している。
(4)また、伝熱プレート109bの下に配置される伝熱プレート109a(第3プレート)は、流路孔が形成されている。伝熱プレート109bの流路孔のうちノズル114aとともに流路孔を形成する流路孔では、周縁から周辺に広がる平坦な第3平坦部が、伝熱プレート109bの第2平坦部と接触している。
Claims (6)
- 積層された複数のプレートの各プレートが積層方向で隣接する他のプレートとロウ付けによって接合され、冷媒である第1流体と、前記第1流体と熱交換する第2流体とを、前記複数のプレートに基づき形成された前記第1流体の流路と、前記第2流体の流路とを通過させて熱交換させるプレート熱交換器において、
前記第1流体と前記第2流体とのいずれかの流体の、流入口と流出口とのいずれかとして機能する中空状のノズルと、
前記ノズルの両端のうちの一方のノズル端部が貫通するように前記ノズル端部の形状に応じた孔であるノズル対応孔が形成され、最も外側に配置される外側プレートと、
前記外側プレートの下面側に隣接して配置される第1プレートであって、前記外側プレートの前記ノズル対応孔を貫通した前記ノズル端部の周囲近傍の空間である内部空間を、前記ノズル端部及び前記外側プレートの前記下面とともに形成する窪み領域であって、中央付近に前記積層方向にみて前記ノズル対応孔と重なる孔である第1孔が形成された窪み領域を有する第1プレートと
を備え、
前記内部空間は、
ロウ材が充填され、
前記第1プレートの前記窪み領域は、
前記第1孔の周縁に沿って形成された平坦な第1平坦部が、前記ノズル対応孔を貫通する前記ノズル端部の端面との間で溶融状態のロウ材が前記内部空間に流れ込む隙間を形成し、
前記プレート熱交換器は、さらに、
前記第1プレートに隣接して配置される第2プレートであって、前記積層方向にみて前記第1孔と重なる孔である第2孔が形成されると共に、前記第2孔の周縁から周辺に広がる平坦な第2平坦部が前記第1プレートの前記窪み領域の前記第1平坦部と接触する第2プレートと、
前記第2プレートに隣接して配置される第3プレートであって、前記積層方向にみて前記第2孔と重なる孔である第3孔が形成されると共に、前記第3孔の周縁から周辺に広がる平坦な第3平坦部が前記第2プレートの前記第2平坦部と接触する第3プレートとを備えたことを特徴とするプレート熱交換器。 - 前記外側プレートは、
板厚が前記第1プレートの板厚よりも厚いことを特徴とする請求項1記載のプレート熱交換器。 - 前記外側プレートは、
板厚が前記第1プレートの板厚の略5倍であることを特徴とする請求項2記載のプレート熱交換器。 - 前記ノズルは、
冷媒である前記第1流体が流入する流入口として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレート熱交換器。 - 積層された複数のプレートの各プレートが積層方向で隣接する他のプレートとロウ付けによって接合され、冷媒である第1流体と、前記第1流体と熱交換する第2流体とを、前記複数のプレートに基づき形成された前記第1流体の流路と、前記第2流体の流路とを通過させて熱交換させるプレート熱交換器の製造方法において、
前記第1流体と前記第2流体とのいずれかの流体の、流入口と流出口とのいずれかとして機能する中空状のノズルと、
前記ノズルの両端のうちの一方のノズル端部が貫通するように前記ノズル端部の形状に応じた孔であるノズル対応孔が形成され、最も外側に配置される外側プレートと、
前記外側プレートの下面側に隣接して配置される第1プレートであって、前記外側プレートの前記ノズル対応孔を貫通した前記ノズル端部の周囲近傍の空間である内部空間を、前記ノズル端部及び前記外側プレートの前記下面とともに形成する窪み領域であって、中央付近に前記積層方向にみて前記ノズル対応孔と重なる孔である第1孔が形成されると共に、前記第1孔の周縁に沿って形成された平坦な第1平坦部が、前記ノズル対応孔を貫通する前記ノズル端部の端面との間で溶融状態のロウ材が前記内部空間に流れ込む隙間を形成する窪み領域を有する第1プレートと、
前記第1プレートに隣接して配置される第2プレートであって、前記積層方向にみて前記第1孔と重なる孔である第2孔が形成されると共に、前記第2孔の周縁から周辺に広がる平坦な第2平坦部が前記第1プレートの前記窪み領域の前記第1平坦部と接触する第2プレートと、
前記第2プレートに隣接して配置される第3プレートであって、前記積層方向にみて前記第2孔と重なる孔である第3孔が形成されると共に、前記第3孔の周縁から周辺に広がる平坦な第3平坦部が前記第2プレートの前記第2平坦部と接触する第3プレートと
をロウ付けすると共に、
前記内部空間を、ロウ材で充填することを特徴とするプレート熱交換器の製造方法。 - 圧縮機と、第1の熱交換器と、膨張機構と、第2の熱交換器とが配管で接続されたヒートポンプ装置において、
前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器の少なくともいずれかとして、
請求項1〜5のいずれかに記載のプレート熱交換器を備えたヒートポンプ装置。
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