JP5495972B2 - インクジェット記録装置および記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置および記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5495972B2
JP5495972B2 JP2010143920A JP2010143920A JP5495972B2 JP 5495972 B2 JP5495972 B2 JP 5495972B2 JP 2010143920 A JP2010143920 A JP 2010143920A JP 2010143920 A JP2010143920 A JP 2010143920A JP 5495972 B2 JP5495972 B2 JP 5495972B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
ink
color
data
unit area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010143920A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012006244A5 (ja
JP2012006244A (ja
Inventor
興宜 土屋
史博 後藤
明彦 仲谷
隆 中村
貴志 藤田
亜由美 佐野
勇吾 望月
顕季 山田
光洋 小野
文孝 後藤
英嗣 香川
智一 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2010143920A priority Critical patent/JP5495972B2/ja
Publication of JP2012006244A publication Critical patent/JP2012006244A/ja
Publication of JP2012006244A5 publication Critical patent/JP2012006244A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5495972B2 publication Critical patent/JP5495972B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Color, Gradation (AREA)

Description

本発明は、記録品質の劣化を抑止するインクジェット記録装置および記録方法に関する。
近年、写真調などの高画質印刷において、色再現、粒状感などの画質要素に加えて、印刷物表面の質感としての強光沢感やつや消し感が求められている。更に、長期保存下での光やガスの被曝によっても容易に褪色しない高耐候性なども求められている。そのような高耐候性を実現するために、凝集性が高く、長期保存下での光やガスの被曝によっても破壊されにくい高耐候な色材を用いたインクが用いられている。
インクジェット記録装置では、各色のインク滴を印刷用紙等の記録媒体に吐出して画像形成する。従って、記録ドットの密度が高くなると、記録媒体のインク吸収性等の要因で、吐出されたインク滴が記録媒体上で混ざり合ったり、記録媒体が膨潤して皺になったりする。そのようなことを防ぐために、記録媒体上の記録ドットの密度の限界値(インクデューティの許容値)を予め知り、その限界値に応じて、インクデューティが制御される。そのような高いインクデューティの許容値を実現するために、多様な表層のコート層、インク受容層をもった高機能印刷用紙が用いられている。
しかしながら、上記の凝集性の高いインクを用いて印刷を行なう場合に、「ブロンズ現象」という記録品質の劣化の原因となる現象が発生することがある。「ブロンズ現象」は、他にブロンズ、ブロンズ化、ブロンズ化現象、ブロンジング、金属光沢、ブロンズ光沢などの名称で呼ばれることもある。ブロンズ現象とは、見る角度によっては、本来吸収すべき波長の光が反射光として見えてしまう現象をいう。染料インクについて、例えば、染料シアンでは赤紫の反射光が認められ、染料ブラックでは黄や赤紫の反射光が認められる。顔料インクについて、例えば、顔料シアンでは赤紫の反射光、顔料イエローで青緑の反射光、顔料レッドで黄緑の反射光、顔料ブルーや顔料ブラックでは黄の反射光が認められる。以上のブロンズ現象は、顔料インクではインク色によらず広く発生し、染料インクでは特にシアン系色材で発生が認められる。
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6では、インクの製法改善によりブロンズ現象を解決することが記載されている。また、特許文献6、特許文献7では、記録媒体の製法改善によりブロンズ現象を解決することが記載されている。
しかしながら、実際には、上記のようなブロンズ現象を抑制するインクを専ら用いる場合は殆どない。上記のような印刷物にはそもそも耐候性が求められているので、凝集性が高く、長期保存下の光やガスへの被曝によっても破壊されにくいインク色材が用いられる。特に、色材濃度の低いライトインクの場合には、より高い凝集性が必要とされる。しかしながら、そのような凝集性の色材はブロンズ現象を生じやすいので、実際には、耐候性の許容範囲内で、光沢度が比較的低くブロンズ現象の発生度が少なめとなる色材が用いられることになる。また、記録ヘッドの吐出特性や、インクと記録媒体との関係等があるので、用いられる総てのインクについてブロンズ現象を抑制できる記録媒体を専ら用いることができる場合は殆どないといえる。
以上のようなインクや記録媒体の製法を改善することによるブロンズ現象の解決に対して、色変換処理でのインクの使用の仕方によって、ブロンズ現象の発生を抑止する技術も提案されている。
特許文献8では、以下の方法により、ブロンズ現象を抑制する方法が記載されている。ブロンズ現象を生じやすいブラック(K)インクと、ブロンズ現象を生じ難くシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを混合して得られるブロンズ現象を生じ難いプロセスブラックの両方を用いる。特許文献8によると、ブラックインクとプロセスブラックとの全ての組み合わせを予め印刷し、目視でブロンズ現象の発生の有無を評価し、ブロンズ現象の発生条件のデータベースを作成する。次に、色変換テーブルのそれぞれのインクの組み合わせが、上記のブロンズ現象の発生条件のデータベースに該当する場合には、ブラックインクをプロセスブラックに置き換えることによってブロンズ現象の色ずれを抑止する。
また、特許文献9によると、光沢度が高く、ブロンズ現象を生じやすいインクを含むインク群で印刷を完成させる。その後、光沢度が低く、ブロンズ現象を生じ難いイエロー(Y)インクを使って記録媒体の表面全面に渡ってオーバーコートすることによりブロンズ現象の色ずれを抑止する。
特開平7−247452号公報 特開平6−228476号公報 特開平7−268261号公報 特開2002−69340号公報 特許第3249878号公報 特開平7−214892号公報 特開平10−217603号公報 特開2001−138555号公報 特開2004−181688号公報
産業用の大判印刷を行なうためのインクジェット記録装置では、コンシューマ向けの記録装置で用いられるヘッドチップと同等サイズのヘッドチップを複数連結した図20に示すような記録ヘッド(以下、つなぎヘッドという)が用いられている。そのような記録装置においては、記録ヘッドそのものは走査方向に移動せずに、記録媒体を搬送することによって記録が行なわれる。
そのようなつなぎヘッドを用いると、チップAとチップBとの間で図21(a)に示すような組み付け誤差が生じる場合がある。その結果、チップAとチップBのつなぎ部において、図21(b)に示すように、チップAから着弾した記録ドットとチップBから着弾した記録ドットとが着弾ずれを起こして記録ドット同士の重なりが生じ、ブロンズ現象が発生しやすくなってしまう。
ここで、ブロンズ現象の発生について説明する。図22(a)の下段は、ブロンズ現象が発生していない状態でのインク浸透状態について説明する図である。記録媒体2304上にシアンインク2305が2滴隣り合って、かつ、重なることなく着弾している。この状態での記録媒体内へのインク浸透状態を説明するための記録媒体の断面図が図22(a)の上段である。図22(a)の上段では、シアンインク2303が2滴隣り合っており、その多くがインク受容層2301に浸透し、一部が基材シート2302にまで浸透していることが示されている。この記録面に照明光2300を斜めに照射すると、記録媒体に浸透しているシアンインク2305が赤い領域の光を吸収し、シアン色の反射光が観察される。
次に、ブロンズ現象が発生している状態について、図22(b)を用いて説明する。図22(b)の下段には、記録媒体2304上に先行するシアンインク2306が着弾し、重なって後続するシアンインク2307が着弾していることが示されている。この状態での記録媒体内へのインク浸透状態を説明するための記録媒体の断面図が図22(b)の上段である。先行するシアンインク2306は、記録媒体上層のインク受容層2301に浸透する。先行のシアンインク2306の上から重ねて後続のシアンインク2307を着弾させると、先行のシアンインク2306の浸透領域に後続のシアンインク2307がさらに浸透する。つまり、先行のシアンインク2306の着弾直後に後続のシアンインク2307が着弾すると、短時間に色材過密な状態が発生する。その結果、シアンインクの凝集が起こり、結果的に凝集(ブロンズ)2308が発生してしまう。これは、凝集速度が記録媒体の色材の吸収速度を上回るような場合に凝集が発生してしまうからである。また、先行のシアンインク2306の浸透領域に浸透しきれなかった他の一部は、先行のシアンインク2306を回り込んで避けて浸透する。そのため、先行のシアンインク2306は、インク受容層4120よりも深く、基材シート2302まで浸透する。
そのような記録面に照明光2300を斜めに照射すると、本来赤い領域の光を吸収すべきところ凝集2308が発生しているために、赤紫の領域の反射光2309が発生してしまう。この様子を、a*b*色度図上で表した図が図22(c)である。つまり、ブロンズ現象が生じていない状態での色度点2310からブロンズ現象が発生することで、色シフト2312が発生し、色度点2311での色再現となってしまう。
以上においては、染料シアンインクによってブロンズ現象が発生する場合を説明したが、顔料シアンインクであっても、同様のブロンズ現象が発生する。つなぎヘッドのつなぎ部におけるブロンズ現象は、つなぎ部とつなぎ部でない非つなぎとの間の色ずれの原因となってしまう。
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。上記の点に鑑み、本発明は、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止するインクジェット記録装置および記録方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズルを配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体上に記録されたテストパターンの測定結果に基づいて、前記テストパターンの単位面積毎記録ドット同士の重なり率を取得する取得手段と、単位面積毎に、前記取得手段により取得された前記重なり率が基準値より大きいか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止するために前記記録データの色とは異なる色の記録データに変換する第1の変換手段と、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きくないと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積の濃度と同じ濃度が記録されるような記録データに変換する第2の変換手段と、前記第1および第2の変換手段により変換された記録データに基づいて、前記記録ヘッドを用いて記録媒体に記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
本発明によると、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止することができる。
インクジェット記録装置の記録ヘッドの模式図である。 制御回路部のブロック図である。 ファームウェアの機能ブロックを示す図である。 印刷システムを示すブロック図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す図である。 記録ヘッドの構成の他の例を示す図である。 各チップへの記録データの振り分けを説明する図である。 色度を測定する測色器の模式図である。 ブロンズ現象による色ずれの抑止の原理を説明する図である。 本実施例における画像形成処理の全体の概要を説明する図である。 色変換テーブル1及び2を作成するための測定の手順を示すフローチャートである。 つなぎ部及び非つなぎ部での記録ドットの重なり率について説明する図である。 インク打ち込み量と記録ドットの重なり率との関係を示す図である。 イエローインクの追加量とブロンズ現象による色シフト量の減少との関係を示す図である。 ブロンズ現象が発生する色領域が特定された色変換テーブルを示す図である。 ブロンズ現象が発生する色領域が特定された色変換テーブルを示す他の図である。 ブロンズ現象の色ずれを抑止するためのイエローインクを追加した色変換テーブルを示す図である。 ブロンズ現象の色ずれを抑止するためのイエローインクを追加した色変換テーブルを示す他の図である。 ブロンズ現象の色ずれを抑止するためにイエローインクを追加したことによる色シフトが発生することを説明する図である。 ヘッドチップを複数連結した記録ヘッドを示す図である。 つなぎヘッドにおける組み付け誤差と着弾ずれによる記録ドット同士の重なりを説明する図である。 ブロンズ現象の発生を説明する図である。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
最初に、本発明の実施形態の説明で用いる用語について定義する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
このほか、「打ち込み量」(「(インク)デューティ」、「(インク)付与量」、「(インク)塗布量」、「(インク)記録量」という場合もある)とは、印刷剤としての単色のインクによって単位面積あたりに付与されるインク付与量(吐出量)を表す。総打ち込み量とは色変換テーブルに応じて使用されるインクの組の総てのインクの打ち込み量の総量を表す。
<インクジェット記録装置の構成>
図1は、本発明に係る実施例におけるインクジェット記録装置の記録ヘッドの模式図である。記録ヘッド10は、インクを充填したインク部11を搭載する。インク部11は、図中では4色であるが何色でも良い。制御回路部12は、記録ヘッド10を駆動するために必要な記憶部、演算部及び通信部を含む。記録ヘッド10は、制御回路部12から記録信号と制御信号を受信し、その制御信号に従って記録信号に基づいたインクの吐出を行う。本インクジェット記録装置においては、記録ヘッドそのものは走査方向に移動せずに、記録媒体を搬送することによって記録が行なわれる。即ち、本実施例で用いられる記録ヘッドはフルライン記録ヘッドである。記録媒体である記録媒体13は、不図示の支持台上を不図示の搬送ローラによって搬送されて、記録媒体13上に画像が記録されていく。
図2は、制御回路部12の構成を示すブロック図である。制御回路部12は、入力インタフェース20、CPU21、出力インタフェース22、ROM23、RAM24を含む。入力インタフェース20は、不図示の操作部及び外部のコンピュータ等から、記録するべき画像データ、及び、記録ヘッドを駆動するための制御信号の入力を受け付ける。入力インタフェース20は、それらの画像データや制御信号をRAM24とCPU21に送る。その際、CPU21は、不揮発性メモリであるROM23に記憶されている制御プログラムを実行して、画像データに信号処理を行う。信号処理された画像データは記録データとして制御信号とともに、出力インタフェース22から出力される。出力された記録データと制御信号とにより記録ヘッド10が駆動され、記録媒体13に画像が記録される。
ここで、本インクジェット記録装置において実行される画像処理について説明する。ファームウェア35がROM23から読み出され、CPU21によって処理される。ファームウェア35は、入力インタフェース20で受信したRGBの多値画像データを、各印刷走査において各インク及び各画素ごとにインクを吐出させるか否かを示す2値データで構成された記録データに変換する。このとき、他の色特性、γ特性などの画像処理等が行なわれても良い。
図3は、上記のファームウェア35の機能ブロックを示す図である。ファームウェア35は、入力されたRGB多値画像データを、解像度変換部31により記録装置の記録解像度に適応するように解像度変換する。この解像度変換された画像データは、色変換変換処理部32により、CMYK各色大小別のプレーンにそれぞれ分解される。この色変換変換処理部32での色変換方法は、色変換テーブル30によって定められている。本インクジェット記録装置での色変換は、3次元LUT(ルックアップテーブル)によって実現される。3次元LUTは、3次元の表現色(R、G、B)の組に対する(C、M、Y、K)の対応テーブルであり、任意の色をCMYKの記録ドットによってどのように打ち分けるかが定められている。LUTを用いた色変換については公知であるので詳細は割愛する。色変換処理後、ハーフトーン処理部33によりディザ処理等のハーフトーン処理が行なわれ、マスク処理部34によりマスキング処理が行なわれて、記録データが出力される。
<インクジェット記録装置を含む記録システムの構成>
図4は、本実施例における記録システムを示すブロック図である。インクジェット記録装置40は、制御回路部12を用いて記録媒体13に画像を記録することができるが、外部のコンピュータ41から画像データを受信して記録を行なうこともできる。コンピュータ41は、インクジェット記録装置40のROM23に格納された制御プログラムを、必要に応じて書き換えることができる。光学測定器42は、インクジェット記録装置40が記録した画像を光学的に測定することができる。
<記録ヘッドの構成例>
図5は、記録ヘッド10の構成の一例を示す図である。各チップは、同色のインクを吐出するノズル列を有している。各チップは、ノズル列の配列方向に複数連結されている。チップ50は、シアンインクを吐出するヘッドチップ(以下、チップともいう)である。また、チップ52は、マゼンタインクを吐出するチップである。また、チップ53は、イエローインクを吐出するチップである。また、チップ54は、ブラックインクを吐出するチップである。また、チップ51は、チップ50と同様にシアンインクを吐出するチップである。チップ50からインクを吐出するノズル501、ノズル502、ノズル503、ノズル504が、チップ51からインクを吐出するノズル511、ノズル512、ノズル513、ノズル514に対して記録媒体の搬送方向に関して重なり合うように構成されている。この重なり合い方は、全色において同じである。
図6は、記録ヘッド10の構成の他の例を示す図である。各チップは、同色のインクを吐出するノズル列を有している。各チップは、ノズル列の配列方向に複数連結されている。チップ60は、シアンインクを吐出するチップである。また、チップ62は、マゼンタインクを吐出するチップである。また、チップ63は、イエローインクを吐出するチップである。また、チップ64は、ブラックインクを吐出するチップである。また、チップ61は、チップ60と同様にシアンインクを吐出するチップである。チップ60からインクを吐出するノズル601、ノズル602、ノズル603、ノズル604が、チップ61からインクを吐出するノズル611、ノズル612、ノズル613、ノズル614に対して記録媒体の搬送方向に関して重なり合うように構成されている。この重なり合う位置は、図6に示すように各色間でずれている。また、図5及び図6において、チップのつなぎ部が色数と同数だけ存在するように構成されている。
<つなぎヘッドの連結部分における各チップへの記録データの振り分け>
制御回路部12は、記録ヘッド10への駆動信号を発生し、チップ内の不図示のヒーターボードや、ピエゾ素子などのインクジェット駆動素子を駆動する。マスク処理部34において行なわれる各チップへの記録データの振り分けについて、図7を参照して説明する。
図7(a)は、つなぎヘッドのチップ構成を示す。ここで、チップAとチップBの2つを例とする。それら相互に隣接するチップ間の連結部分には、物理的なオーバーラップ70が存在する。しかしながら、インクジェット記録装置においては、一般的にチップ間のレジストレーション調整が必要であり、チップA及びBの端部72は、この位置合わせ時に使用するダミーノズル(レジノズル)となっている。従って、この2つのチップA及びBを用いて記録を行なう場合の記録上のオーバーラップ部分はオーバラップ75となる。
図7(b)は、つなぎ部において、記録データをチップA及びチップBに50%ずつ振り分けて記録する場合を示す。図7(b)に示すように、領域73はチップAだけで記録し、領域71はチップAとチップBとにそれぞれ50%ずつ記録データを振り分けて記録を行い、領域74はチップBだけで記録を行なう。各記録ヘッドに供給されたインクはノズルから吐出され、記録媒体上に記録ドットが形成される。
ここで、つなぎヘッドのつなぎ部では、図22(b)において説明したような記録品質の劣化の原因となるブロンズ現象が発生してしまう。図22(b)に示すように、記録面に対して照明光2300を斜めに照射した場合、本来赤い領域の光を吸収すべきところだが、凝集2308が発生しているので赤紫の領域の反射光が発生してしまう。
<ブロンズ現象の発生度の検出方法>
本実施例においては、光学測定器42としての測色器を使用して、ブロンズ現象の発生度を検出する。
図8は、測定試料の色度を測定する測色器の模式図である。測色器が測定に使用する光源80が発する光81を、測定対象の試料84に照射し、試料84からの反射光83をセンサ82で受光して、試料84の測色を行なう。なお、図8は、照明/受光が、45/0型の測色器であり、試料に対して45°で照明光を照射し、試料からの反射光を試料に対して0°で受光する。しかしながら、0/45型の測色器を用いるようにしても良い。
また、ブロンズ現象による反射光の方向の関係で、45/0型や、0/45型では、ブロンズ現象による反射光の色ずれを測定できない場合がある。そのような場合には、図8での照明光81の方向θを変化させ45°以外の角度に設定する。また、複数の角度設定で測色し、照明角度(観察角度)による色度点のシフト量の変化を検出することで、角度依存性があるブロンズ現象の発生度を検出することができる。なお、ブロンズ現象の発生度の検出方法としてその他、光沢度や写像性を測定し、照明角度(観察角度)によるシフト量の変化を測定するような方法を用いても良い。
次に、本実施例におけるブロンズ現象による色ずれの抑止方法について説明する。
<ブロンズ現象の抑制の原理>
上述したように、色材密度が高くなることにより、分子間力が働きやすくなって凝集が発生し、ブロンズ現象を引き起こす。そこで、ブロンズ現象による色ずれの抑止のためには、短時間に例えばシアン色材が過密状態とならないようにすれば良い。このブロンズ現象の色ずれを抑止する方法として、本実施例において、凝集領域が紙面下層になるように、「その他のインク」を用いる。つまり、「その他のインク」を先行して吐出して紙面上部を占有するか、あるいは、「その他のインク」を後続で吐出してシアンインクを下層に押し流すようにする。以下、図9を参照し、「その他のインク」としてイエローインクを導入し、ブロンズ現象の色ずれを抑止する原理について説明する。
<ブロンズ現象の色ずれを抑止するための各色インクの打ち込み順>
(A)C→Y→C
図9(a)は、シアンインク92(C)→イエローインク94(Y)→シアンインク95(C)の順で記録媒体に着弾させた場合のインク浸透状態と記録媒体上の記録ドットの広がりを説明する模式図である。まず、イエローインク中の色材がシアンインクとともに存在することで、凝集しやすいシアン色材が単独で高密度化することが阻害される。シアン色材とイエローインクの色材との混在によって、相対的にシアン色材の色材密度が抑えられ、凝集が抑えられる。さらに、イエローインク94とシアンインク92とが紙面の受容層上部を占有することによって、後続のシアンインク95はこの占有領域を避けて、回り込んで記録媒体水平方向や記録媒体下層に回り込んで定着せざるを得なくなる。その結果、シアン色材の定着が記録媒体内の深層となり、また、シアン色材の移動距離が長くなることによって、短時間でのシアン色材の高密度化が阻害される。また、凝集93が発生したとしても記録媒体下層で発生するので、凝集によるブロンズ現象の色ずれが発色に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
(B)C→C→Y
図9(b)は、シアンインク100(C)→シアンインク101(C)→イエローインク102(Y)の順で記録媒体に着弾させた場合のインク浸透状態と記録媒体上の記録ドットの広がりを説明する模式図である。先行のシアンインク100上に、後続のシアンインク101が着弾して、凝集が発生する。しかしながら、さらに後続してイエローインク102が上から着弾することによって、凝集したシアン色材が紙面下層に押し流される。その結果、凝集93が発生したとしても記録媒体の深くに移動するので、凝集によるブロンズ現象の色ずれが発色に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
(C)Y→C→C
図9(c)は、イエローインク97(Y)→シアンインク98(C)→シアンインク99(C)の順で記録媒体に着弾させた場合のインク浸透状態と記録媒体上の記録ドットの広がりを説明する模式図である。イエローインク97が先に着弾して、記録媒体の受容層上部を占有する。これによって、後続のシアンインク98、99はその占有領域を避けて回り込み、記録媒体水平方向や記録媒体下層に回り込んで定着せざるを得なくなる。その結果、シアン色材の定着が記録媒体の深層となり、シアン色材の移動距離が長くなることによって、短時間でのシアン色材の高密度化が阻害される。また、凝集93が発生したとしても記録媒体下層で発生するので、凝集によるブロンズ現象の色ずれが発色に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
以上のように、凝集しやすいシアンインク(第1の色)について、その他の凝集し難いインク(第2の色)をともに吐出すれば、ブロンズ現象の原因となる凝集の発生を抑止できることが分かる。また、凝集し難いインクの打ち込み順番は特に限定されない。ここで、つなぎヘッドの非つなぎ部で、全く凝集が発生しておらず、かつ、つなぎ部では組み付け誤差等に起因して凝集が発生しているものとする。その場合には、つなぎ部において上記のようなインクの打ち込むことにより、ブロンズ現象によるつなぎ部と非つなぎ部との間の色ずれを抑止することができる。
<ブロンズ現象による色ずれ抑止のためのデータ処理>
以下、本実施例におけるブロンズ現象による色ずれを抑止するデータ処理について説明する。図10は、本実施例におけるデータ処理の手順を示す図である。まず、S101において、RGBの多値画像データが入力される。次に、その入力されたRGB画像データのうち、ブロンズ現象の原因となる記録ドットの重なりが発生している部(重なり部)のRGB画像データと、重なりが発生していない部(非重なり部)のRGB画像データに対して異なる色変換テーブルを適用する。記録ドットの重なり部と非重なり部の識別方法については後述する。また、本実施例においては、その識別された記録ドットの重なり部はつなぎヘッドにおけるつなぎ部であるとし、識別された記録ドットの非重なり部はつなぎヘッドにおける非つなぎ部であるとしている。その理由については後述する。S102において適用される色変換テーブルを色変換テーブル1とし、S103において適用される色変換テーブルを色変換テーブル2とする。また、RGB画像データを色変換テーブル1により色変換したデータをCMYK記録データ1とし、色変換テーブル2により色変換したデータをCMYK記録データ2とする。
次に、S104において、色変換テーブル1又は2により色変換されたCMYK記録データ1又は2がハーフトーン処理され、S105において、チップAとチップBのいずれで記録するかを決定するためのマスク処理が行われる。S106において、CMYK記録データ1を用いて、重なり部での記録が行なわれる。また、S107において、CMYK記録データ2を用いて、非重なり部での記録が行なわれる。
以上のように、本実施例においては、ブロンズ現象の原因となる記録ドットの重なり部と非重なり部とにおいて、別々の色変換テーブルが適用される。重なり部に適用される色変換テーブル1は、ブロンズ現象の色ずれを抑止するためのイエローインクが付加された色変換テーブルとなっている。また、非重なり部に適用される色変換テーブル2は、重なり部で色変換テーブル1を用いたために生じる重なり部と非重なり部との間の色ずれを防ぐための色変換テーブルである。このように、本実施例においては、記録ドットの重なり部と非重なり部(つなぎヘッドのつなぎ部と非つなぎ部)とにおいて異なる色変換テーブルを用いるので、記録ドットの重なり部におけるブロンズ現象による重なり部と非重なり部との間での色ずれを防ぐことができる。
本実施例においては、予め記録ドットの重なり率を測定しておくことにより、重なり部と非重なり部とが識別される。また、重なり部で用いられる色変換テーブル1は、予めブロンズ現象の発生度の測定を行うことにより作成される。また、非重なり部における色変換テーブル2は、予め重なり部と非重なり部とにおいて本インクジェット記録装置における再現可能な色のパッチを印刷しておき、それらのLab値を測定しておくことによって作成される。各測定方法については後述する。
<記録ドットの重なり率の測定>
図11は、図10に示すデータ処理に用いられる色変換テーブル1及び2を作成するための測定の手順を示すフローチャートである。まず、S111において、記録ドットの重なり率を測定して、記録ドットの重なり部と非重なり部とを識別する。ここで、記録ドットの重なり率は、記録媒体上の単位面積内におけるインクによる被覆面積と重なり記録ドット面積とを用いて、式(1)で求められる。
記録ドットの重なり率 = 単位面積内の重なり記録ドット面積 ÷ 単位面積内のインクによる被覆面積 ・・・(1)
インクによる被覆面積や重なり記録ドット面積は、RGB画像データの入力値だけでなく、量子化処理、記録ヘッドの機構的な位置ずれ、記録媒体上での記録ドットのにじみ等に複雑に関係している。従って、本実施例においては、記録ドットの重なり率を測定によって求める。
本実施例においては、つなぎヘッドを用いて、RGBテストデータの各入力値を0〜255の範囲で1ずつずらし(即ち、階調を1ずつずらし)て記録を行い、記録媒体上の単位面積を顕微鏡で観察する。顕微鏡による画像として、例えば、図12(b)〜(e)が得られる。顕微鏡により撮像された画像から、記録有無の閾値や単記録ドットと重なり記録ドットとの閾値を用いて、式(2)の単位面積当りのインクによる被覆面積、単位面積当りの重なり記録ドット面積を求めることができる。その結果、記録ドットの重なり率が求められる。又は、式(2)の関連する各要素が数式モデル化されていれば、それらのモデルから記録ドットの重なり率を解析して算出するようにしても良い。
図13は、インクの打ち込み量(階調)を変化させた場合の記録ドットの重なり率を示す図である。図13に示すように、低デューティ領域では、曲線131と曲線132のいずれにおいても記録ドットの重なりが生じていない。しかしながら、中間調領域では、曲線131は曲線132よりも記録ドットの重なり率が高くなっている。また、高デューティ領域では、曲線131と曲線132の両方において、100%近くの記録ドットの重なり率が生じている。
従って、本実施例では、S111において、つなぎヘッドを用いて単位面積当り予め定められた割合(つまり中間調A)でインク滴を吐出するためのテストデータを入力して記録媒体上に記録を行う(テスト記録の一例)。さらに、単位面積毎に記録ドット同士の重なり率を求める(第1の測定の一例)。さらに、予め定められた記録ドット重なり率Bを基準値として、単位面積毎に記録ドットの重なり率がその基準値より大きいか否かを判定する。その基準値以上の重なり率を有する単位面積を記録ドットの重なり部として識別する。
上述したように、本実施例においては、記録ドットの重なり部をつなぎヘッドのつなぎ部とし、非重なり部を非つなぎ部としている。ここで、つなぎヘッドのつなぎ部において、図20に示すような組み付け誤差があるとする。図13に示す低デューティ領域では、図12(b)に示すように記録ドットがまばらであるので、図21(b)に示すように着弾位置が組み付け誤差によりずれたとしても、つなぎ部においては記録ドットによる重なりが生じない。従って、つなぎ部と非つなぎ部とで記録ドットの重なり率に殆ど差が生じない。
しかしながら、中間デューティ領域では、図12(c)及び(e)に示すように、組み付け誤差による着弾位置ずれた場合とずれない場合とで、記録ドットの重なり率に顕著に差が生じる。つまり、つなぎ部における記録ドットの重なりが、非つなぎ部における記録ドットの重なり率よりも高くなる。一方、高デューティ領域では、図12(d)に示すように記録ドットが始めから重なっているために、着弾位置にずれた場合とずれない場合とで、つまり、つなぎ部と非つなぎ部との間で、記録ドットの重なり率に殆ど差が生じない。
従って、本実施例においては、中間調Aのテスタデータに基づいて、記録媒体上の単位面積毎に記録を行って記録ドットの重なり率を求め、その重なり率が閾値B以上である部分を記録ドットの重なり部、即ち、つなぎヘッドのつなぎ部として識別することとする。
<パッチの印刷とブロンズ現象の発生度の測定>
再び、図11を参照する。S112及びS113において、つなぎ部において用いる色変換テーブル1を作成するために、イエローインクの追加量を変化させたパッチを印刷して、各パッチのブロンズ現象の発生度を測定する。つまり、本測定によって、ブロンズ現象による色ずれを抑止することができるイエローインクの追加量を決定することができる。
既に述べたように、ブロンズ現象による色ずれの抑止のために、ブロンズ現象の生じている記録ドットの重なり部に、その他の色のインクを打ち込めば良い。しかしながら、その他の色のインク(例えば、イエローインク)が記録ドットの重なり部に着弾するか否かを確認することは、複数の要因があり容易ではない。従って、本実施例においては、紙面被覆率が50%、記録ドットの重なり率が100%(即ち、2度打ち)のシアンドットに対して追加するイエローインクの量を紙面被覆率0〜100%まで10%刻みで振った10点からなる1次元のパッチを印刷する(S112、第1のパッチ記録の一例)。
S113において、S112で印刷されたパッチのブロンズ現象の発生度を測定する(第2の測定の一例)。ここで、45°観察角での色度値と、観察角を変えて測定した場合の色度との色ずれ量の最大値をブロンズ現象の発生度とする。また、ブロンズ現象の発生度を示す指標として、他の方法を用いても良い。
図14は、紙面被覆率が50%、記録ドットの重なり率が100%のシアンドットが記録されている場合の追加するイエローインクの量とブロンズ現象による色シフト量の減少との関係を示す図である。図14に示すように、イエローインクの量が少ない部分においては、ブロンズ現象による色シフトの程度が強い。しかしながら、追加するイエローインクの量を多量にしていくにつれて、色シフトの程度が減少していく。図14の右端の部分においては、ブロンズ現象による色シフトは殆どなくなっている。
印刷された複数のパッチのうち、ブロンズ現象による色シフトが殆どなくなるイエローインクの量を一旦、メモリ等に保存しておく。このような操作を紙面被覆率を例えば10%、20%、30%、40%、60%、80%、90%、100%とした場合についてそれぞれ行ない、ブロンズ現象による色シフトが殆どなくなる各イエローインクの量を同様に、一旦メモリ等に記憶しておく。本測定により、シアンインクの量と、ブロンズ現象の色ずれを抑止することができるイエローインクの量とを対応付けることが可能となる。
<色変換テーブルにおけるブロンズ現象発生領域の決定>
次に、S114において、色変換テーブルにおいて、ブロンズ現象の発生領域を特定する。ここで、ブロンズ現象による色ずれの抑止が必要な色領域について説明する。図15及び図16は、ブロンズ現象が発生する色領域が特定された色変換テーブルを示す図である。本実施例においては、シアンインクがブロンズ現象の発生要因としているので、白〜シアン〜黒のラインと、白〜グリーン〜シアン〜ブルーのラインについて、つなぎ部用に新たに色変換テーブル1を作成する。
図15に示すように、白〜シアンでは、シアンインクのみが使われ、シアン〜黒でも、シアンインクが多く使われている。更に、白〜黒と、シアン〜黒の中間部よりも黒寄りの領域では、シアンだけでなくマゼンタやイエローも多く使われている。
ブロンズ現象は、シアンインクが単独で使用され、かつ、記録ドット重なりが生じやすい領域で発生する。その観点から、ブロンズ現象が強く発生する領域を色変換テーブル上で領域1501と特定し、ブロンズ現象が弱く発生する領域を色変換テーブル上で領域1502と特定する。
本実施例においては、ブロンズ現象を生じやすいインクとしてシアンインクを用いている。また、ブロンズ現象の色ずれを抑止するためのインクとしてイエローインクを用いている。これは、シアンインクはブロンズ現象によってマゼンタ方向に色シフトが生じるからである。しかしながら、マゼンタインクを用いたとしても、観察(照明)角度依存性のあるブロンズ現象を抑えることは可能である。つまり、図15の(b)部分に示すようなシアンインクとイエローインクとマゼンタインクとがほぼ同じ変化を表す場合には、ブロンズ現象は起こらない。
図16に示すように、グリーン〜シアンでは、シアンがほぼ一定で大量に使われる一方で、シアンからグリーンに近づくにつれ、イエローインクが多く使われる。白〜グリーンでは、白からグリーンに近づくにつれ、シアン、イエローともに単調に増加する。白〜ブルーでは、白からブルーに近づくにつれ、シアン、マゼンタともに単調に増加する。シアン〜ブルーでは、シアンがほぼ一定で大量に使われる一方、シアンからブルーに近づくにしたがってマゼンタインクが多く使われている。
ブロンズ現象は、シアンインクが単独で使用され、かつ、記録ドット重なりが生じやすい領域で発生する。その観点から、ブロンズ現象が強く発生する領域を色変換テーブル上で領域1601と特定し、ブロンズ現象が弱く発生する領域を色変換テーブル上で領域1602と特定する。図16の(b)及び(c)部分においては、シアンインクとマゼンタインク、又は、シアンインクとイエローインクとがほぼ同じ変化を表すので、ブロンズ現象は起こらない。
以上のように、色変換テーブル上で定められている各色インクの打ち込み量からブロンズ現象の発生領域を特定し、次に、その領域において追加すべきイエローインクの量を求める。
<追加するイエローインクの量の決定>
次に、S115において、特定された領域において追加するイエローインクの量を決定する。図17は、図15についてブロンズ現象の色ずれを抑止するためのイエローインクを追加した、つなぎ部において用いられる色変換テーブル(色変換テーブル1、第1の変換の一例)を示す図である。白〜シアンにおいては、図17の(a)部分の直線1701に示すように、追加するイエローインクの量が決定される。これは、S113において求められた各イエローインクの量に基づいている。また、シアン〜黒においては、図17の(c)部分の直線1702に示すように、追加するイエローインクの量が決定される。これは、S113において求められた各イエローインクの量に加えて、図17の(c)部分のイエローインクとマゼンタインクの量も考慮して決定されている。本実施例においては、ブロンズ現象を生じやすいインクをシアンインクとしている。また、ブロンズ現象の色ずれを抑止するためのインクとしてイエローインクを用いている。これは、シアンインクはブロンズ現象によってマゼンタ方向に色シフトが生じるからである。しかしながら、マゼンタインクを用いたとしても、観察(照明)角度依存性のあるブロンズ現象を抑えることは可能である。従って、図17の(c)部分で追加するイエローインクの量を決定する際には、マゼンタインクの量を考慮することができる。
図18は、図16についてブロンズ現象の色ずれを抑止するためのイエローインクを追加した、つなぎ部において用いられる色変換テーブル(色変換テーブル1、第1の変換の一例)を示す図である。グリーン〜シアンにおいては、図18の(a)部分の直線1801に示すように、追加するイエローインクの量が決定される。これは、S113において求められた各イエローインクの量に加えて、図18の(a)部分のイエローインクの量も考慮して決定されている。また、シアン〜ブルーにおいては、図18の(d)部分の直線1802に示すように、追加するイエローインクの量が決定される。これは、S113において求められた各イエローインクの量に加えて、図18の(d)部分のマゼンタインクの量も考慮して決定されている。
本実施例においては、例えば、元々の色変換テーブルによりシアンのデータ値Aに変換されるべきところを、色変換テーブル1により、シアンにイエローが加算されたデータ値Bに変換される。つまり、色変換テーブル1は、シアンのデータ値Aから、シアンとは異なる色(シアン+イエロー)のデータ値Bに変換しているともいえる。
以上のように、図11に示すS115までで、イエローインクの追加によってシアンインクによるブロンズ現象の色ずれを抑止することができる。しかしながら、つなぎ部においてイエローインクを追加しているので、色変換テーブル1を用いたままであると、その追加したイエローインクによる非つなぎ部との色ずれを引き起こしてしまう。
図19は、ブロンズ現象の色ずれを抑止するためにイエローインクを追加したことによるブロンズ現象ではない色シフトが発生することを説明する図である。非つなぎ部の白〜シアンの色度ライン1901上の色度点1902に着目する。一方、つなぎ部の白〜シアンの色度ライン1903上のブロンズ現象が発生している色度点1904が得られる。つまり、ブロンズ現象の発生に伴って色シフト1905が発生する。そこで、既に説明したようなブロンズ現象の色ずれを抑止するため、つなぎ部においてイエローインクを追加する。このイエローインクの導入によって、色度点1904は、色度ライン1906上の色度点1907に移動する。つまり、イエローインクの追加を行なった結果、ブロンズ現象による色シフト1905は起こらなくなるが、つなぎ部においてイエローインクを追加したことによる別の色シフト1908が発生してしまう。
従って、本実施例においては、そのようなつなぎ部と非つなぎ部との間の色ずれを補正するための色変換テーブルを作成するために、前述の色変換テーブル1の作成後、つなぎ部と非つなぎ部の両方においてパッチを印刷してL*a*b*値を測定する。
<つなぎ部と非つなぎ部との色ずれ補正>
図11のS116において、つなぎ部と非つなぎ部との両方において、RGB各値について0、32、・・・、255からなる(つまり、本装置における再現可能色)9×9×9=729通りのパッチを印刷する(第2のパッチ記録、第3のパッチ記録の一例)。ここでは、つなぎ部においては、色変換テーブル1が用いられ、非つなぎ部においては、イエローインクが加算される前の色変換テーブルが用いられる。次に、S117において、各パッチのL*a*b*値を測定する(第3の測定の一例)。
次に、S118において、非つなぎ部におけるあるRGB値に対応するL*a*b*値と同一のL*a*b*値を有するつなぎ部でのRGB値を、公知の色探索方法を用いて検索する。つなぎ部でのRGB値に対応するCMYK値(濃度値)は、図17及び図18に示す色変換テーブル1により求められる。その求められたCMYK値を、非つなぎ部でのRGB値に対応させることで、非つなぎ部で用いる色変換テーブル2(第2の変換の一例)を作成する。非つなぎ部においては、その色変換テーブル2を用いることにより、つなぎ部でイエローインクを追加したことによる、つなぎ部と非つなぎ部との間の色ずれを防ぐことができる。
以上のように、本実施例においては、つなぎヘッドのつなぎ部と非つなぎ部とにおいて、別々の色変換テーブルを適用するので、その結果、つなぎ部におけるブロンズ現象の色ずれを抑止し、つなぎ部と非つなぎとの間での色ずれの発生を防ぐことができる。
本実施例においては、各チップへの記録データの振り分け方として、図7(b)に示すような割り当て方法の他に図7(c)に示すようなグラデーションマスクを用いても良い。グラデーションマスクでは、領域77内の位置に応じて、徐々にチップAと、チップBとの記録率とを入れ替えていく。このようにすることで、つなぎを滑らかにすることができる。このようなグラデーションマスクの場合には、例えば、領域77の中間地点での記録ドットの重なり率を使用したり、領域77を複数分割して、各領域において別々の色変換テーブルを用いるようにしても良い。
<その他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (10)

  1. インクを吐出するノズルを配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体上に記録されたテストパターンの測定結果に基づいて、前記テストパターンの単位面積毎記録ドット同士の重なり率を取得する取得手段と、
    単位面積毎に、前記取得手段により取得された前記重なり率が基準値より大きいか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止するために前記記録データの色とは異なる色の記録データに変換する第1の変換手段と、
    前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きくないと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積の濃度と同じ濃度が記録されるような記録データに変換する第2の変換手段と、
    前記第1および第2の変換手段により変換された記録データに基づいて、前記記録ヘッドを用いて記録媒体に記録する記録手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録媒体上の単位面積当り予め定められた割合でインク滴を吐出させるテストデータに基づいて、前記記録ヘッドを用いて前記記録媒体に前記テストパターンを記録するテスト記録手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 第1の色のインク滴の吐出量と、第2の色のインク滴の吐出量とを変化させて複数のパッチを記録する第1のパッチ記録手段と、
    前記第1のパッチ記録手段により記録された複数のパッチそれぞれの記録品質の劣化の発生度を測定する第の測定手段と、
    前記第の測定手段による測定の結果から、前記第1の色のインク滴の吐出量について記録品質の劣化の発生度が最も低いパッチを特定し、該特定されたパッチに対応する前記第2の色のインク滴の吐出量を特定する特定手段とを更に備え、
    前記第1の変換手段は、前記第1の色のインク滴の吐出量と前記特定手段により特定された前記第2の色のインク滴の吐出量とに基づいて、前記第1の色の記録データの値に第2の色の記録データの値を加算することにより変換することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記インクジェット記録装置による再現可能な色を表す複数のパッチを記録するためのテストデータを、前記第1の色の記録データの値に前記第2の色の記録データの値を加算して変換して、複数のパッチを記録する第2のパッチ記録手段と、
    前記インクジェット記録装置による再現可能な色を表す複数のパッチを記録するためのテストデータを、前記第1の色の記録データの値に前記第2の色の記録データの値を加算せずに変換して、複数のパッチを記録する第3のパッチ記録手段と、
    前記第2および第3のパッチ記録手段により記録された複数のパッチそれぞれのL*a*b*値を測定する第の測定手段とを更に備え、
    前記第2の変換手段は、前記第の測定手段により測定されたL*a*b*値を用いて、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きくないと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された面積の濃度と同じになるような濃度を有した記録データに変換することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1の色がシアンであり、前記第2の色がイエローであることを特徴とする請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第1の変換手段は、シアンの記録データの値にイエローの記録データの値を加算することにより変換し、
    前記第2の変換手段は、シアンの記録データを、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積の濃度と同じ濃度が記録されるようなシアンの記録データに変換する、ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録ヘッドは、同色のインク滴を吐出するノズル列を備える複数のチップが前記ノズル列の配列方向に連結され、該連結部分においては相互に隣接するチップそれぞれの端部のノズルの位置が前記配列方向に関して重なるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記記録ヘッドは、フルライン記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. インクを吐出するノズルを配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体上の単位面積の記録ドット同士の重なり率を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された単位面積毎の前記重なり率が、基準値より大きいか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止するために前記記録データの色とは異なる色の記録データに変換する第1の変換手段と、
    前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きくないと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、前記判定手段により前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積の濃度と同じ濃度が記録されるような記録データに変換する第2の変換手段と、
    前記第1および第2の変換手段により変換された記録データに基づいて、前記記録ヘッドを用いて記録媒体に記録する記録手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. インクを吐出するノズルを配列した記録ヘッドを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において実行される記録方法であって、
    記記録媒体上に記録されたテストパターンの測定結果に基づいて、前記テストパターンの単位面積毎記録ドット同士の重なり率を取得する取得工程と、
    位面積毎に、前記取得工程において取得された前記重なり率が基準値より大きいか否かを判定する判定工程と、
    記判定工程において前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、記録ドット同士の重なりによる記録品質の劣化を抑止するために前記記録データの色とは異なる色の記録データに変換する第1の変換工程と、
    記判定工程において前記重なり率が基準値より大きくないと判定された単位面積にインク滴を吐出したノズルに対応する記録データを、前記判定工程において前記重なり率が基準値より大きいと判定された単位面積の濃度と同じ濃度が記録されるような記録データに変換する第2の変換工程と、
    記第1および第2の変換工程において変換された記録データに基づいて、前記記録ヘッドを用いて記録媒体に記録する記録工程と
    有することを特徴とする記録方法。
JP2010143920A 2010-06-24 2010-06-24 インクジェット記録装置および記録方法 Active JP5495972B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010143920A JP5495972B2 (ja) 2010-06-24 2010-06-24 インクジェット記録装置および記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010143920A JP5495972B2 (ja) 2010-06-24 2010-06-24 インクジェット記録装置および記録方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2012006244A JP2012006244A (ja) 2012-01-12
JP2012006244A5 JP2012006244A5 (ja) 2013-08-08
JP5495972B2 true JP5495972B2 (ja) 2014-05-21

Family

ID=45537376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010143920A Active JP5495972B2 (ja) 2010-06-24 2010-06-24 インクジェット記録装置および記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5495972B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5988909B2 (ja) * 2012-05-08 2016-09-07 キヤノン株式会社 画像処理装置および画像処理方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007190862A (ja) * 2006-01-20 2007-08-02 Olympus Corp 画像記録装置及び画像記録方法
JP4875396B2 (ja) * 2006-04-12 2012-02-15 キヤノン株式会社 色処理装置および方法
JP4660439B2 (ja) * 2006-08-08 2011-03-30 セイコーエプソン株式会社 印刷装置および印刷方法
JPWO2008072620A1 (ja) * 2006-12-11 2010-04-02 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置、画像処理方法および画像処理装置
JP2008226904A (ja) * 2007-03-08 2008-09-25 Elpida Memory Inc 半導体記憶装置及びその製造方法
JP2009303060A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Canon Inc 画像処理装置、及びその制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012006244A (ja) 2012-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4986599B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
US8002376B2 (en) Printing device and printing method
US8651609B2 (en) Color processing device for determining colorless material recording amount data
US9067440B2 (en) Information processing method, printing apparatus, and computer-readable medium for supressing light scattering
JP5014475B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP2012080450A (ja) 画像処理装置、画像処理方法および記録装置
US8570605B2 (en) Image correction method and image correction system
JPWO2008072620A1 (ja) インクジェット記録装置、画像処理方法および画像処理装置
JP5634154B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP2009212831A (ja) テストチャート及びカラーキャリブレーション方法
CN101160361B (zh) 油墨组和喷墨记录方法
JP2020069661A (ja) 画像処理装置及び画像処理方法
JP5495972B2 (ja) インクジェット記録装置および記録方法
JP5738613B2 (ja) インクジェットプリンタおよび画像形成方法
US9070074B2 (en) Image processing apparatus and image processing method
JP2011131384A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録システム
JP5574847B2 (ja) 画像処理装置、インクジェット記録装置、および画像処理方法
JP5634167B2 (ja) 画像形成装置および画像形成方法
JP2015051643A (ja) 印刷装置、印刷方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体
JP2016175191A (ja) 画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
JP2013118516A (ja) 画像処理装置およびその方法
JP5733932B2 (ja) 色処理装置及び色処理方法
JP5743439B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2012006270A (ja) インクジェット記録装置および画像処理方法
JP5668792B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130624

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130624

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140304

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5495972

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151