JP5494882B1 - 情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法 - Google Patents

情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製品における部分の設計項目と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示するようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置の軸名称設定手段は、第1軸から第4軸の名称を設定し、項目作成手段は、前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成し、表示手段は、前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理装置情報処理プログラム及び情報処理方法に関する。
特許文献1には、顧客からの要求品質に関係する重要なすべての品質特性や機能を、抜けや誤りを生じることなく、効率よく容易に確認できるように展開するのを支援できるようにすることを課題とし、製品名検索処理では、品質機能展開作業時において参考にする製品の製品名を品質機能展開データから検索し、機能・品質特性抽出処理では、製品名検索処理にて検索された製品名をもとに機能・品質特性の項目を品質機能展開データから検索し、確認項目抽出処理では、機能・品質特性抽出処理にて検索された製品名・機能・品質特性をもとに確認項目を品質機能展開データから抽出し、試験項目抽出処理では、確認項目抽出処理にて抽出された確認項目に関連付けられた試験項目を品質機能展開データから抽出することが開示されている。
特許文献2には、設計者にとって利便性が高い「設計支援装置、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラム」を提供することを課題とし、設計支援装置は、QFDによる三元表に対応するように機能特性、構成部品、品質特性、及び複数の設計確認事項を登録する登録手段と、ユーザからの入力を受け取るユーザ入力手段と、登録手段に基づき機能特性と構成部品のマトリクス関係をユーザに提示する対応関係提示手段と、ユーザ入力手段からの入力によって機能特性と構成部品の対応関係を決定する対応関係決定手段と、前記決定された対応関係の機能特性に対応する品質特性を抽出する品質特性抽出手段と、前記決定された対応関係の構成部品と前記抽出された品質特性との関係から設計確認事項を抽出する設計確認事項抽出手段と、前記抽出された設計確認事項をユーザに提示する提示手段とを有することが開示されている。
特開2008−287700号公報 特開2010−066955号公報
本発明は、製品における部分の設計項目と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示するようにした情報処理装置情報処理プログラム及び情報処理方法を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定手段と、前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成手段と、前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示手段を具備し、前記項目作成手段は、前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成することを特徴とする情報処理装置である。
請求項2の発明は、前記項目作成手段は、前記第2軸に属する項目として、各部品、各部材が製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該各部品、各部材の性能は他の各部品、各部材と関係を有しておらず、前記第3軸に属する項目として、各部品、各部材の構造と物性についての項目、前記第4軸に属する項目として、各部品、各部材の作成条件を定義する項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3の発明は、前記項目作成手段は、前記第2軸に属する項目として、物理的な特性項目によって挙動が決定され、製品の品質を影響する物理的なメカニズムの項目であって、該項目は第2軸に属する他の項目と関係を有しておらず、前記第3軸に属する項目として、設計条件によって決まる製品の構成部分の物理的な特性を示す項目、前記第4軸に属する項目として、設計条件を示す項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4の発明は、前記第2軸に属する項目として、さらに、該項目は第2軸に属する他の構成部分と関係を有しているものを含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項5の発明は、前記軸名称設定手段は、軸名称のリストを操作者に対して表示し、当該軸名称のリストから操作者によって選択された名称を軸の名称とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置である。
請求項6の発明は、前記項目作成手段は、項目のリストを操作者に対して表示し、当該項目のリストから操作者によって選択された項目を軸に属する項目とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置である。
請求項7の発明は、前記軸に属する項目は、階層構造を有しており、前記項目作成手段は、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の項目の間に、該項目の予め定められた階層における項目が整合しているか否かを判断し、整合していないと判断した場合は、項目を修正することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置である。
請求項8の発明は、前記軸名称設定手段によって設定された軸名称、前記項目作成手段によって作成された項目名称、前記表示手段によって表示された配列に対して、記入が行われた因果関係を対応付けて記憶する記憶手段をさらに具備し、前記表示手段は、前記記憶手段によって記憶されている情報に基づいて、品質機能展開表を表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置である。
請求項9の発明は、コンピュータを、第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定手段と、前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成手段と、前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示手段として機能させ、前記項目作成手段は、前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成することを特徴とする情報処理プログラムである。
請求項10の発明は、コンピュータの軸名称設定手段が、第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定ステップと、コンピュータの項目作成手段が、前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成ステップと、コンピュータの表示手段が、前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示ステップを実行し、前記項目作成手段は、前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成することを特徴とする情報処理方法である。
請求項1の情報処理装置によれば、製品における部分の設計項目と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示することができる。
請求項2の情報処理装置によれば、部品、部材の作成条件と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示することができる。
請求項3の情報処理装置によれば、設計条件と製品の品質の因果関係一覧することができる品質機能展開表を表示することができる。
請求項4の情報処理装置によれば、第2軸に属する項目として、第2軸に属する他の項目と関係を有しているものを含めることができ、製品の構成部分の間の相互作用の影響を一覧することができる。
請求項5の情報処理装置によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、他の品質機能展開表と整合が取りやすくなる。
請求項6の情報処理装置によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、項目の整合が取りやすくなる。
請求項7の情報処理装置によれば、軸間の項目が整合していない場合は、その項目を修正することができる。
請求項8の情報処理装置によれば、既に作成された品質機能展開表を表示することができる。
請求項9の情報処理プログラムによれば、製品における部分の設計項目と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示することができる。
請求項10の情報処理方法によれば、製品における部分の設計項目と製品の品質の因果関係を一覧することができる品質機能展開表を表示することができる。
本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。 本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。 軸項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 軸の名称を表示、選択する処理例を示す説明図である。 軸の項目を表示、選択する処理例を示す説明図である。 軸の名称と項目を選択した結果の表示例を示す説明図である。 部材品質機能展開表の表示例を示す説明図である。 システム品質機能展開表の表示例を示す説明図である。 本実施の形態による他の処理例を示すフローチャートである。 部材軸設定テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 システム軸設定テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 部材品質項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 部材性能項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 部材構造・物性項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 部材工程・原材料項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。 本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
まず、本実施の形態を説明する前に、その前提となる技術について説明する。なお、この説明は、本実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものである。
技術・商品の構成が複雑になると、要因同士の因果関係が多くなり、さらに、それが互いに絡み合うために、関連性を把握することが困難になる。その結果、以下のようなことが発生する。
(1)要因間の因果関係を調べるのに時間がかかることとなる。ひいては、設計・開発の効率が落ちる。
(2)課題を見落とす可能性が高まり、その場合は、課題に気がついた時点で、プロセスの後戻り、足踏みが発生する。
(3)課題の見落としがあるままで製品を作ることで品質問題が発生する。
(4)想定外の問題が発生すると、現象の解析・分析のための技術構築に時間を要することとなる。ひいては、解決が遅れることとなる。
これらに対する施策として有効に機能するものが、QFD(Quality Function Deployment、品質機能展開)をベースとした要因分析と可視化の手法である。
QFDは、商品企画、商品開発など様々な段階において、顧客が要求する品質を商品作りに反映させるべく、目標、課題、アクションを明確にするための手法である。
典型的なQFDでは、顧客の要求項目から抽出した『要求品質』項目と、技術的に考慮すべき事柄から抽出した『品質特性』項目の間の関係をマトリクスで表す。また、『要求品質』項目同士、『品質特性』項目同士の関係を三角帽子と呼ばれる形で表示することもある。『要求品質』項目に各々の重要度を加味することで『企画品質』(どのような特徴を持たせると顧客が満足するかを示す)項目を抽出することができる。また、『品質特性』を部品の設計値に対応させることで『設計品質』(製品の仕様)を抽出することができる。以上の検討結果によって目標、課題、アクションの関係を明確にすることができる。つまり、QFD表は、複数の項目リストを互いに直交した軸上に配置し、隣り合った軸上の項目同士の因果関係をマトリクスで表示した表である。
QFDでは、『要求品質』、『品質特性』だけでなく、場面に応じて『部品展開』、『技術展開』、『業務展開』など様々な展開を行って、得られた項目間の因果関係を2元表で表すことが提案されている。さらに、この表を表示するコンピュータ・プログラムを作成し、各項目、マトリクス(配列、行列)のセル(要素)にネットワーク上の情報に対するリンクを持たせることで、情報蓄積・共有のための枠組みとして活用することができる。
しかし、プリンタ、医療機器など、多数の部品・部材、複数の物理現象が相互に関連するような複雑な働きをする製品の開発では、取り扱うべき項目の数が膨大になり、加えて『要求品質』と『品質特性』、『部品展開』と『技術展開』のような単純な枠組みでは設計特性と品質の関係性を十分に記述することができない。また、現実に製品ができるまでのプロセスは、技術の開発、部材の開発、システムの開発、製造など多くの部門の連携によって成立している。よって、2元表を作成して、項目同士が「関係ありそう」、「関係なさそう」という記号を付与することができるが、「なぜそうなるのか」という現象のメカニズムを含めて設計特性と品質の関係性全体を一覧できない限りは、実際の設計・開発プロセスで活用することはできない。つまり、部品、部材の製造工程と製品の品質は、その間に様々な中間特性を持つ間接的な関係となっており、適切な中間特性と構成を持つ表でなければ製造工程と品質の関係を明確にできない。また、製品の設計条件と製品の品質も、間に様々な中間特性を持つ間接的な関係となっており、適切な中間特性と構成を持つ表でなければ、設計条件と品質の真の関係を明らかにできない。また、中間特性と構成が適切でなければ、必ずしもメカニズムが明確でなくても項目同士が「関係ありそう」、「関係なさそう」というあいまいな判断で表を作成することができてしまうために、部品、部材の製造工程と製品の品質の関係のメカニズムがあいまいなままで開発を進めることとなり、予期しない品質トラブルを招く結果となる。
さらに、中間特性の定義があいまいになりがちで、表の統一性が取れないために活用が進まないということになる。
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、すべての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理ごとに又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理ごとに、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
本実施の形態である情報処理装置100は、図1の例に示すように、軸名称設定モジュール110、部材/システム選択モジュール115、軸対応項目作成モジュール120、軸間整合モジュール125、表示モジュール130、軸関連情報記憶モジュール150を有している。
情報処理装置100は、技術・商品の開発を効率化するとともに成果の品質を高めるための設計・開発支援に用いられるものである。
部材/システム選択モジュール115は、軸名称設定モジュール110と接続されている。部材/システム選択モジュール115は、(1)部品、部材の製造工程とそれらの部品を組み上げたときの製品の品質の関係を明確化するための品質機能展開表(以下、「部材品質機能展開表」ともいう)、(2)技術、商品の開発における設計条件と技術又は製品の品質の関係を明確化するための品質機能展開表(以下、「システム品質機能展開表」ともいう)、のいずれを作成するかを選択するものである。なお、ここでいう「製品」とは市場で販売される製品だけでなく、完成品としての製品に組み込むためのユニットや、開発生産プロセスにおける次工程に渡す部品の結合体などである場合もある。一般には部材を開発する設計者は「部材品質機能展開表」を、部材を組み上げたシステムを開発する設計者は「システム品質機能展開表」を使用する。いずれにするかによって、後述する軸の名称、項目が異なってくる。この選択は、操作者の選択操作によって行ってもよい。また、操作者、操作者の所属部門、職種等に応じて、いずれかを選択するようにしてもよい。例えば、操作者を本実施の形態において一意に識別できる操作者識別子と「部材品質機能展開表」又は「システム品質機能展開表」のいずれかを対応付けたテーブルを軸関連情報記憶モジュール150に予め用意し、そのテーブルを用いて操作者識別子から選択するようにしてもよい。また、操作者と所属部門又は職種等を対応付けたテーブルと、所属部門又は職種等と「部材品質機能展開表」又は「システム品質機能展開表」のいずれかを対応付けたテーブルを軸関連情報記憶モジュール150に予め用意し、その2つのテーブルを用いて操作者識別子から選択するようにしてもよい。
軸名称設定モジュール110は、部材/システム選択モジュール115、軸対応項目作成モジュール120、軸関連情報記憶モジュール150と接続されている。軸名称設定モジュール110は、第1軸から第4軸の名称を設定する。なお、設定は、作成も含む概念として用いる。軸名称設定モジュール110は、部材/システム選択モジュール115による選択結果に基づいて、第1軸から第4軸の名称を設定するようにしてもよい。つまり、部材/システム選択モジュール115によって「部材品質機能展開表」が選択されている場合は、第1軸の名称として「製品の品質」、第2軸の名称として「発揮すべき性能」、第3軸の名称として「構造と物性」、第4軸の名称として「作成条件」を設定してもよい。そして、部材/システム選択モジュール115によって「システム品質機能展開表」が選択されている場合は、第1軸の名称として「製品の品質」、第2軸の名称として「メカニズム」、第3軸の名称として「物理的特性」、第4軸の名称として「設計条件」を設定してもよい。
軸対応項目作成モジュール120は、軸名称設定モジュール110、軸間整合モジュール125、表示モジュール130、軸関連情報記憶モジュール150と接続されている。軸対応項目作成モジュール120は、軸名称設定モジュール110によって名称が設定された軸に属する項目を作成する。
そして、軸対応項目作成モジュール120は、(1)第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、(2)第2軸に属する項目として、その製品を構成する部分が、その製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、その部分の性能項目は他の部分と関係を有していない項目、(3)第3軸に属する項目として、その部分の管理特性についての項目、(4)第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する。ここで、「部分」とは、部品、部材等の他に、部品等を組み合わせたサブシステム等が該当する。対象とする製品全体も広義の「部分」のひとつとして扱う場合もある。また、「度合い」とは、量的に評価可能(数値化可能)であることをいう。例えば、計測機器によって計測可能であることの他に、予め定められたグレード(レベル、グループ等)に分類可能であることを含む。そして、「部分の性能は他の部分と関係を有していない」とは、対象としている部分の性能は、他の部分には影響されないものであって、対象としている部分単独(単体、のみ)で発揮していることをいい、対象としている部分の性能と他の部分の性能とは、独立の関係を有していることをいう。言い換えると、ある部分の性能は、他の部分に対する管理特性を変化させたとしても、その影響を受けないことを意味している。たとえば、熱透過性や容量、耐炭化性・凝着性といった加熱部の性能を考える場合、保持部など加熱部以外の部分に関する物理的な特性、保持部などの加熱部以外の管理特性を変化させたとしても、加熱部の性能には影響を生じることがない、といった関係を意味している。
その結果、部分同士を組み上げてシステム全体として評価しなくても、該当する部分だけで評価したり、推定したりできる性能を示していると言える。例えば、図7に示す「部材品質機能展開表」において、第2軸と第3軸によって構成される相関記入領域730であって、対象部品である「加熱部」の「性能」と、その対象部品とは異なる他の部品である「保持部」の「構造と物性」とによって形成されるセルに空記号が記載されていること(セルが無いことを含む)をいう。図8の例に示す「システム品質機能展開表」においても同様である。ただし、図8においては、セル内に記号「−」が記されているが、図7と同様の意を有する。なお、第2軸と第3軸で構成される領域において、軸対応項目作成モジュール120は、操作者が記号を記入しようとした場合、対象としている部分Aの第2軸と他の部分Bの第3軸とで構成されるセルは記入を禁止するように制御するようにしてもよいし、部分Aの第2軸と部分Bの第3軸とで構成されるセルに記入する操作が行われた場合は、部分Aの第2軸に属する項目が不適切である旨(例えば、「部品Aの性能は部品Bに影響されているので、部品Aの性能を再考すべきです」等)のメッセージを提示するように制御してもよい。また、「設計項目」とは、その部分を設計する設計者(技術者等)によって決定可能な項目をいう。
そして、軸対応項目作成モジュール120は、(1)第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、(2)第2軸に属する項目として、各部品、各部材が製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、その各部品、各部材の性能は他の各部品、各部材と関係を有していない項目、(3)第3軸に属する項目として、各部品、各部材の構造と物性についての項目、(4)第4軸に属する項目として、各部品、各部材の作成条件を定義する項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成するようにしてもよい。特に、部材/システム選択モジュール115によって「部材品質機能展開表」が選択された場合は、このように作成する。
また、軸対応項目作成モジュール120は、(1)第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、(2)第2軸に属する項目として、製品の構成部分の物理的な特性項目によって挙動が決定され、製品の品質に影響する該構成部分の役割の発現度合いの項目であって、該項目は第2軸に属する他の構成部分と関係を有していない項目、(3)第3軸に属する項目として、設計条件によって決まる製品の構成部分の物理的な特性を示す項目、(4)第4軸に属する項目として、設計条件を示す項目、を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する。特に、部材/システム選択モジュール115によって「システム品質機能展開表」が選択された場合は、このように作成する。
なお、(2)第2軸に属する項目として、さらに、その項目は第2軸に属する他の構成部分と関係を有しているものを含むようにしてもよい。例えば、図8の例に示すシステム品質機能展開表において、第2軸に属する項目として、「温度上昇性」を含むようにしても良い。これは、「温度上昇性」は片手なべの構成部品である「保持部」の「メカニズム」の項目であるが、相関記入領域830の第3軸の「加熱部」の項目である「熱伝導率」および「比熱」と、第2軸の「保持部」の「温度上昇性」が交差するセルに、両者に関係があることを示す記号である「○」が付いていることからわかるように、「保持部」の「メカニズム」である「温度上昇性」が他の構成部品である「加熱部」と関係を有していることをいう。例えば、各軸の項目として、各部品、部材の他に「共通」(項目の大分類)を含めるようにしてもよい。これは、図8の例に示すシステム品質機能展開表の相関記入領域830において、第2軸の「共通」と第3軸の「加熱部」が交差するセル、および第2軸の「共通」と第3軸の「保持部」が交差するセルの両方に軸の項目間に関係があることを示す記号(「○」、「◎」等)が記入されていることからわかるように、「加熱部」の「物理的特性」と「保持部」の「物理的特性」の両方と関係がある「メカニズム」の項目を「共通」として分類していることをいう。
また、軸対応項目作成モジュール120は、軸間整合モジュール125によって作成した各軸間の項目の整合性を判断させてもよい。整合性の判断は、軸の項目間の関係を記載した規則を用いて行う。規則として、前述した軸間の関係(後述するものも含む)を示すものであればよく、例えば、第2軸の項目の大分類として「共通」がある場合は、その項目に対応するセルにおいて、第3軸における複数の構成部分で関係を示す記号が記載されていること等がある。
また、軸対応項目作成モジュール120は、4軸のそれぞれの定義に合わない項目は、まとめて各軸の項目と並列になるように作成してもよい。例えば、設計者が制御することができないシステムのパラメータ、外乱等がある。
なお、軸に属する項目は、1階層以上の階層構造を有していてもよい。例えば、図3に示す軸項目テーブル300のようであってもよい。図3は、軸項目テーブル300のデータ構造例を示す説明図である。軸項目テーブル300は、軸名称欄310、項目名欄320を有している。軸名称欄310は、軸の名称を記憶している。項目名欄320は、その軸に属する項目名を記憶している。そして、項目は階層構造を有しており、例えば、大分類、中分類、小分類の3階層を有している。項目名欄320は、大分類欄322、中分類欄324、小分類欄326を有している。大分類欄322は、第1階層としての大分類を記憶している。中分類欄324は、第2階層としての中分類を記憶している。小分類欄326は、第3階層としての小分類を記憶している。なお、ここでの階層は、小分類だけの1階層、大分類と小分類の2階層、大分類と中分類と小分類の3階層がある。
軸間整合モジュール125は、軸対応項目作成モジュール120と接続されている。軸間整合モジュール125は、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の項目の間に、その項目の予め定められた階層における項目が整合しているか否かを判断し、整合していないと判断した場合は、項目を修正するようにしてもよい。この項目の修正については、自動的に修正する、又は操作者の操作に応じて修正させる(例えば、修正したパターンを例示して操作者に選択させる、操作者に警告を発して修正を促す)ことが考えられる。
表示モジュール130は、軸対応項目作成モジュール120と接続されている。表示モジュール130は、軸名称設定モジュール110によって設定された軸の名称と軸対応項目作成モジュール120によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する。例えば、後述する図7に示す「部材品質機能展開表」、図8に示す「システム品質機能展開表」のようであってもよい。
軸関連情報記憶モジュール150は、軸名称設定モジュール110、軸対応項目作成モジュール120と接続されている。軸関連情報記憶モジュール150は、軸に関連する情報を記憶している。例えば、軸項目テーブル300を記憶している。
また、軸関連情報記憶モジュール150は、軸名称設定モジュール110によって設定された軸名称、軸対応項目作成モジュール110によって作成された項目名称、配列に対して記入が行われた因果関係を対応付けて記憶する。
そして、表示モジュール130は、軸関連情報記憶モジュール150によって記憶されている情報に基づいて、品質機能展開表を表示する。
図2は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、軸名称設定モジュール110が、設定する4軸表の書誌情報を受け付ける。書誌情報としては、例えば、操作者名称、操作者識別子、作成日時、製品名等がある。
ステップS204では、軸名称設定モジュール110が、変数:N=1とする。変数:Nは、軸を指し示す値である。
ステップS206では、軸名称設定モジュール110が、軸名称のリストを表示する。図4は、軸の名称を表示、選択する処理例を示す説明図である。情報処理装置100に備え付けられている液晶ディスプレイ等上の設定画面400に、第N軸設定欄410、軸名称設定欄420、軸項目設定欄450を表示する。第N軸設定欄410内には、ステップS204又はステップS224で設定された変数:Nの値に応じて、現在の対象軸は、第N軸であることを表示する。軸名称設定欄420内が操作者の操作によって選択されると、軸名称リスト表示領域430を含む軸名称選択領域425を表示する。軸名称リスト表示領域430内の軸名称を、カーソル429を用いて選択させる。軸名称リスト表示領域430内の軸名称は、軸項目テーブル300の軸名称欄310から抽出すればよい。
ステップS208では、軸名称設定モジュール110が、第N軸の軸名称を受け付ける。
ステップS210では、軸対応項目作成モジュール120が、選択した軸名称に属する項目名をリスト表示する。図5は、軸の項目を表示、選択する処理例を示す説明図である。設定画面400に、第N軸設定欄410、軸名称設定欄420、軸項目設定欄450を表示する。軸項目設定欄450内が操作者の操作によって選択されると、項目選択テーブル510、選択結果表示テーブル520を含む項目選択領域455を表示する。項目選択テーブル510内の項目を、カーソル429を用いて選択させると、選択結果表示テーブル520内にその項目を移動して表示する。項目選択テーブル510内の項目名称は、軸項目テーブル300の項目名欄320から抽出すればよい。
ステップS212では、軸対応項目作成モジュール120が、項目名の1つ又は複数を受け付ける。
ステップS214では、軸対応項目作成モジュール120が、受け付けた項目を選択リストに追加する。
ステップS216では、軸対応項目作成モジュール120が、必要ならば選択リストを並べ替える。例えば、既に項目が選択された軸における項目順と合わせるように、項目を並べ替えてもよい。
ステップS218では、軸対応項目作成モジュール120が、項目名選択が完了したか否かを判断し、完了した場合はステップS220へ進み、それ以外の場合はステップS212へ戻る。例えば、図5に例示の項目選択領域455内のOKボタン590が操作者の操作によって選択された場合が「項目名選択が完了」である。
ステップS220では、軸対応項目作成モジュール120が、軸関連情報記憶モジュール150に選択リストの項目名を第N軸の項目名として格納する。図6は、軸の名称と項目を選択した結果の表示例を示す説明図である。第N軸設定欄410に現在の対象となっている軸を表示し、軸名称設定欄420にその軸の名称を表示し、軸項目設定欄450内に軸・項目設定結果テーブル610を表示する。第N軸設定欄410、軸名称設定欄420、軸・項目設定結果テーブル610の組み合わせは、軸関連情報記憶モジュール150に記憶させる。
ステップS222では、軸対応項目作成モジュール120が、変数:N=4であるか否かを判断し、変数:N=4である場合はステップS226へ進み、それ以外の場合はステップS224へ進む。
ステップS224では、軸名称設定モジュール110が、変数:N=N+1(変数:Nをインクリメント)とする。
ここでは、第1軸から順に第4軸を受け付ける構成を示しているが、操作者が軸の名称と項目を与える軸の番号を任意に選択できる構成としてもよい。
ステップS226では、表示モジュール130が、第1軸を上向きに、第2軸を右向きに、第3軸を下向きに、第4軸を左向きに配置して、4軸表を描画する。
例えば、図7に示す「部材品質機能展開表」、図8に示す「システム品質機能展開表」のように表示する。
図7の例では、4つの軸(品質軸(第1軸)700、発揮すべき性能軸(第2軸)720、構造と物性軸(第3軸)740、作成条件軸(第4軸)760)の一端(三角形領域である軸名称表示領域(品質)702、軸名称表示領域(発揮すべき性能)722、軸名称表示領域(構造と物性)742、軸名称表示領域(作成条件)762)にそれぞれの軸の名称を表示する。そして、その一端から品質軸(第1軸)700は上方向に項目名表示領域704を伸ばした軸に、発揮すべき性能軸(第2軸)720は右方向に項目名表示領域724を伸ばした軸に、構造と物性軸(第3軸)740は下方向に項目名表示領域744を伸ばした軸に、作成条件軸(第4軸)760は左方向に項目名表示領域764を伸ばした軸に、それぞれの軸に属する項目を表示する。次に、少なくても項目名表示領域704と項目名表示領域724によって囲まれている相関記入領域710、項目名表示領域724と項目名表示領域744によって囲まれている相関記入領域730、項目名表示領域744と項目名表示領域764によって囲まれている相関記入領域750の3つの領域に各項目が交差する位置に、その項目間の因果関係を記入し得るマトリクスを生成する。例えば、項目名表示領域704の項目「安全性・耐久性」の「やけどしない」と項目名表示領域724の「保持部」の「基本性能」の「熱くなりにくい」には、強い相関があることを示す◎が記入されている。この相関の表し方については、数値で表してもよいし、色で表してもよいし、これらの組み合わせで表示してもよい。例えば、記号を正の相関の場合に赤字、負の相関の場合に青字とすれば、相関の強弱に加えて正負も表すことができる。なお、項目名表示領域704と項目名表示領域764によって囲まれている相関記入領域770に、その項目間の因果関係を記入し得るマトリクスを生成してもよい。この「部材品質機能展開表」は、「作成条件」が「品質」に及ぼす影響を、4つの軸の項目間の関係を一覧することで、「作成条件」と「構造と物性」、「構造と物性」と「発揮すべき性能」、「発揮すべき性能」と「品質」を介して、検証することができるようになる。つまり、結果としての「品質」(現象)へのメカニズムを「作成条件」から「構造と物性」、「発揮すべき性能」を通って解明することを、本実施の形態以外の情報処理装置よりも容易にするものである。例えば、品質向上のための施策が他の品質については悪化となってしまうこととその理由を、事前に把握可能になる。そして、開発上の技術的な課題が発生したときに、原因や施策を検討するための解析技術を抽出すること、そしてその解析技術を未然に獲得することを可能とする。
また、例えば、表示領域760に示されている「保持部」の「表面処理」の方法を変更することで片手なべの使い勝手が良くなり、表示領域700に示されている「操作性が良い」という項目が改善することがわかっているときは、表面処理方法を変えることで保持部がどう変化するのかがわかる項目を第3軸の表示領域740に示し(この場合は「表面粗さ」)、その変化によって保持部のどのような性能が向上するのかがわかる項目を第2軸の表示領域720に示す(この場合は「つかみやすい」)。これらの項目を記載するためには、なぜ「表面処理」が「操作性が良い」に影響するかわかっている必要があるので、これらの項目を記載できるかどうかを確認することで、現象のメカニズムがわかっているかどうかを確認することができる。このとき、「保持部」の設計者は実際に表面処理を施した保持部を完成品に取りつけて試すなどして、操作性が良いかどうかを判断し、メカニズムがわからないままで第2軸の「保持部」の項目として「操作性の良さ」などの項目を記載してしまうことがある。しかし、本実施の形態では第2軸の各部品・部材の項目が他の部品・部材と関係を有していない構成となっているので、実際に組み合わせてみないと判断できないような項目は含まれない。したがって、実際に組み立てて試さないと評価できない「操作性の良さ」などの項目を含めることができず、「保持部」という部材のみで評価したり推定したりできる性能の項目を見出さなければならない。これによって、設計者は自らが設計を担当する部品・部材にどのような機能が求められており、それがどのようなメカニズムで実現されるのかを特定することができる。その結果、実際に製品に組み込んで試さなくても、適切な性能をもった部品・部材を設計できるようになる。また、その部品・部材のみで評価したり推定したりできる性能の項目を見出せないときには、求められている機能やその発現のメカニズムが理解できていないことがわかるので、その部分に関わる予期せぬトラブルが発生しないか注意しながら開発を進めることができ、さらに求められている機能やその発現のメカニズムを理解するための検討を始めたり、検討のための解析技術を抽出したりすることができる。本実施の形態による装置はこの目的で、新たな項目が第2軸のある部品・部材に対して追加されたときに、その項目が他の部品・部材と関係が無く、その部品・部材のみで評価したり推定したりできる項目かどうかを確認するように構成してもよい。
また、各軸の項目が見出せていても、それらの項目間の関係を示すマトリクスを記入できないこともある。この場合も、製造条件が品質に及ぼす影響のメカニズムが理解できていないことがわかるので、関係を記載できない箇所を調べることで、開発上の注意点を見出したり、メカニズムを明らかにするために必要な解析技術を抽出したりすることができる。
ここでは片手なべという単純な構造を持つ製品を例にとって述べているために、たとえば第4軸の「表面処理」という作成条件がどのようなメカニズムで第1軸の「操作性が良い」という品質に影響するかはほぼ自明である。しかし、複雑な構成を有する商品を扱うときには、作成条件を変えたことによって品質が変わるメカニズムは極めて複雑であることが多い。このようなときには、開発を早く進めるために、メカニズムを考えることなく品質が改善するように作成条件を変え、それによって他の品質が悪化してしまうという事象が頻繁に起こる。本実施の形態によれば、わかっていないメカニズムが明確になり、わかっているメカニズムはその影響を一覧することができるので、そのような問題が起こることを抑制することができる。
また、第4軸の「作成条件」を決めて第3軸の「構造と物性」を有する部品・部材を得るのは製造部門であり、その部品・部材を使って第1軸の「品質」を有する製品を作るのはシステム開発部門であるなどのように、表の軸やマトリクスごとに担当部門が異なる場合がある。また、同じ軸の項目でも「保持部」と「加熱部」の設計担当部署が異なる場合もある。そのような場合に本実施の形態を用いることで、部門間の役割分担と協業を促進することができる。
図8に示す例は、図7と同等のものであるが、部材の設計者ではなく、システムの設計者が利用することを想定している「システム品質機能展開表」であるために、前述したように、各部品・部材の他に複数の部品・部材間の相互作用の役割を表すための「共通」の項目がある。また、システム設計者は部品・部材の製造の仕方まで決定することは少ないので、第4軸が「作成条件」ではなく「設計条件」となっている。この「システム品質機能展開表」を用いることで、「設計条件」が「品質」に及ぼす影響を、「設計条件」と「物理的特性」、「物理的特性」と「メカニズム」、「メカニズム」と「品質」を介して、検証することができるようになる。つまり、結果としての「品質」(現象)へのメカニズムを「設計条件」から「物理的特性」、「メカニズム」を通って解明することを、本実施の形態以外の情報処理装置よりも容易にするものである。例えば、品質向上のための施策が他の品質については悪化となってしまうことを、事前に把握可能になる。そして、開発上の技術的な課題が発生したときに、原因や施策を検討するための解析技術を抽出すること、そしてその解析技術を未然に獲得することを可能とする。ここで「物理的特性」とは製品の各構成部分の物理的な特性項目であり、「メカニズム」とは製品の構成部分の物理的な特性項目によって挙動が決定され、製品の品質に影響するその構成部分の役割の発現度合いの項目である。
例えば、第2軸に関する項目やマトリクスを記載するためには、設計条件で決まる特性が品質に影響する物理メカニズムが分かっている必要がある。この項目を記載できない箇所を調べることで、開発上の注意点を見出したり、メカニズムを明らかにするために必要な解析技術を抽出したりすることができる。
なお、操作者の操作によってマトリクス内に、項目間の相関関係の値が記入された後に、表示モジュール130は、軸やマトリクス内で埋められていない箇所を示す項目について、その旨を表示するようにしてもよい。例えば、その箇所を他の箇所(既に因果関係が記載されている箇所)とは異なる色で表す等である。
また、第3軸に関するマトリクス内で値を記載できていない項目を抽出し、例えば、性能との関係における「構造と物性」の項目に示されているものの計測技術が不足している旨を表示するようにしてもよい。
図9は、本実施の形態による他の処理例を示すフローチャートである。前述した図2の例に示すフローチャートに対して、ステップS910、ステップS916、ステップS918を付加したものである。したがって、そのステップの処理について、詳細に説明する。他のステップの処理は、図2の例に示すフローチャート内の処理と同等である。
ステップS902では、軸名称設定モジュール110が、設定する4軸表の書誌情報を受け付ける。
ステップS904では、軸名称設定モジュール110が、変数:N=1とする。
ステップS906では、軸名称設定モジュール110が、軸名称のリストを表示する。
ステップS908では、軸名称設定モジュール110が、第N軸の軸名称を受け付ける。
ステップS910では、既に項目が設定された軸と整合する項目を抽出する。この処理は、軸対応項目作成モジュール120が軸間整合モジュール125に行わせる。例えば、既に設定された軸の項目の大分類の階層が一致する項目を抽出する。ここで「既に設定された軸」としては、対象としている軸とマトリクスを構成する軸としてもよい。例えば、第2軸の場合は第1軸、第3軸の場合は第2軸、第4軸の場合は第3軸となる。
ステップS912では、軸対応項目作成モジュール120が、選択した軸名称に属する項目名をリスト表示する。ステップS910で抽出した項目だけを表示するようにしてもよい。また、ステップS910で抽出した項目以外の項目を含めるようにしてもよい。その場合は、ステップS910で抽出した項目を他の項目とは異なる形態(形状、模様、色彩、又はこれらの組み合わせ)で表示するようにしてもよい。
ステップS914では、軸対応項目作成モジュール120が、項目名の1つ又は複数を受け付ける。
ステップS916では、軸間整合モジュール125が、既に項目が設定された軸と項目は整合するか否かを判断し、整合する場合はステップS920へ進み、それ以外の場合はステップS918へ進む。整合するとは、項目が階層構造を有しており、その階層における予め定められた階層の名称が一致することをいう。ここで「既に設定された軸」としては、前述の通り、対象としている軸とマトリクスを構成する軸としてもよい。整合していない項目がある場合は、ステップS918へ進むことになる。
ステップS918では、軸対応項目作成モジュール120が、対象軸又は他の軸の項目名を修正する。整合していない項目として、対象軸における項目又は既に設定された軸における項目がある。その項目を、操作者の操作に基づいて修正する機会を与える。なお、必ずしも修正されなくてもよい。
ステップS920では、軸対応項目作成モジュール120が、受け付けた項目を選択リストに追加する。
ステップS922では、軸対応項目作成モジュール120が、必要ならば選択リストを並べ替える。
ステップS924では、軸対応項目作成モジュール120が、項目名選択が完了したか否かを判断し、完了した場合はステップS926へ進み、それ以外の場合はステップS914へ戻る。
ステップS926では、軸対応項目作成モジュール120が、軸関連情報記憶モジュール150に選択リストの項目名を第N軸の項目名として格納する。
ステップS928では、軸対応項目作成モジュール120が、変数:N=4であるか否かを判断し、変数:N=4である場合はステップS932へ進み、それ以外の場合はステップS930へ進む。
ステップS930では、軸名称設定モジュール110が、変数:N=N+1とする。
ステップS932では、表示モジュール130が、第1軸を上向きに、第2軸を右向きに、第3軸を下向きに、第4軸を左向きに配置して、4軸表を描画する。
図7の例に示す「部材品質機能展開表」について、より詳細に説明する。「部材品質機能展開表」は主に部材設計者が作成・利用することを想定している。
本実施の形態で説明する品質機能展開表は、4つの軸を有する表として構成される。本実施の形態の場合、4つの軸は上向きに配置された第1軸と、右向きに配置された第2軸、下向きに配置された第3軸、左向きに配置された第4軸が、各々隣接する軸と直交するように配置されている。各軸にどのような項目を割り当てるのか、は詳細に後に述べることとする。部材品質機能展開表の例では、第1軸は完成品である製品の品質に関連する項目を表す軸であり、本軸の項目名表示領域には、完成品に求められる品質が割り当てられる。第2軸は完成品を構成する構成部品ごとに、その部品が発揮するべき性能が割り当てられる。第3軸は構成部品の構造や部品を構成する材料の物性に関する項目が割り当てられる。第4軸には構成部品ごとに設計者が直接設計したり、変更したり、決定することが可能なパラメータが配置されることになる。
ある軸と、その軸に隣接する軸との間の領域は、ある軸の項目と、その軸に隣接する軸の項目との間の因果関係を表示するために使われる。例えば、第1軸と第2軸とで挟まれた領域には、第1軸に割り付けられた各品質項目と、第2軸に割り付けられた各性能項目の交点に要素を持つ二次元的な行列を表す表が配置され、第1軸に割り付けられた品質項目と、第2軸に割り付けられた性能項目との因果関係を、各品質項目と各性能項目の交差する位置に該当するセルに、因果関係を示す記号を記入することによって表す。同様に第2軸と第3軸、第3軸と第4軸においても二次元的な行列を表す表が配置され、それぞれの軸の項目同士の交差するセルに、その項目同士の因果関係を示すために使うことができる。このようにすることで、設計者が直接制御・決定することが可能なパラメータを設定したり、変更したりした場合に、直接制御対象のパラメータが割り付けられた第4軸から、そのパラメータの項目の列(あるいは行)に因果関係が示された第3軸の構造・物性の項目を抽出し、さらに第3軸の構造・物性の項目の列(あるいは行)に因果関係が示された第2軸の構成部品の性能を抽出して、最後に第2軸の構成部品の性能項目の列(あるいは行)との間に因果関係が示された第1軸の品質項目を抽出することで、直接設計値としてのパラメータを変更した場合に、第4軸から順に因果関係をたどって行くことによって、完成品である製品の品質にどのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを予測することが可能となる。
次に、各軸に割り当てられる項目について説明を行う。第1軸には、完成品である製品に対してユーザが求める品質に関する項目を割り付けるために使われる。完成品である製品を使うユーザが一般ユーザであるような場合には、その製品に対する顧客要求の満足を得るための完成品の評価特性ということができる。例えばユーザーがその部材を製造する工場であるととらえた場合には、その工場でその部材を早く製造できるか、安定して製造できるか、などの項目が顧客要求の満足を得るための完成品の評価特性となることも考えられる。
次に、第2軸に割り当てられる項目について説明をする。第2軸には、完成品を構成する構成部品ごとに、第1軸に割り当てた完成品の品質に対して影響を与える性能を割り当てる。つまり、完成品の品質を実現するために、完成品の構成要素である構成部品ごとに、その構成部品が持つ機能や役割を抽出して第2軸の項目として割り当てることとなる。第1軸に割り当てられた品質項目ごとに、その品質に対して構成部品が持つべき性能や果たすべき機能が何かを、構成部品ごとに検討することによって、第2軸に割り付けるべき構成部品の性能の項目を抽出することができる。一般的には、完成品がユーザに求められる品質、すなわち第1軸に割り付けた各品質項目に影響を与えることが予想される構成部品は、すべて挙げるようにする。しかし、明らかに完成品の品質に影響がないような部品であれば、第2軸に項目として挙げなくてもよい。また、第3軸に記載したある構成部品の構造と物性の項目が第1軸の品質に影響することがわかっているときに、第3軸のそれらの項目がどのような性能を経て第1軸の品質に影響するか、という観点から第2軸の項目を挙げることも有効である。第2軸の各構成部品の性能の項目としては、他の構成部品と関係なく評価したり推定したりできる項目を選ぶ。
次に、第3軸に割り当てられる項目について説明する。第3軸には、第2軸に割り付けた各構成部品の性能に影響する各構成部品の構造と各構成部品の材料の物性を割り当てることとなる。つまり、第2軸には、ある材料を使って作られた、ある構造を持った構造体としての構成の性能を記述したのに対して、第3軸では、その構成部品自体の構造や、構成部品を構成する材料の特性を割り当てるために使われる。このようにすることで、形状や寸法といった構造を変えた場合や、物性が異なる材料を使うことにした場合に、構成部品のどのような性能に影響があるのかを把握することができる。具体的には、第2軸の各構成部品の性能項目ごとに、それらの性能に対して影響すると考えられる、構成部品の構造や、構成部品の材料の物性を抽出して割り当てを行う。
より具体的に説明すると、第2軸に割り当てられたある性能項目ごとに、その性能項目に対して影響する構成部品の構造や構成部品の材料に対する物性を検討して項目を抽出する。第2軸に記載されたある構成部品の性能項目に対して、その構成部品の構造として影響するのは何か、といったことを検討することで構成部品の構造に対する項目が抽出される。あるいは一般的には寸法に関する項目については、設計図面等で規定されている場合が多いので、そのような情報から抽出することが可能である。また、材料の物性に対する項目は、構成部品の性能項目に対して、その構成部品の材料の物性のうち、どのような物性が影響するかを検討することで、物性の項目を抽出することができる。そのために、第2軸に割り当てた性能が、例えば、機械的性質、電気的性質、磁気的性質、熱的性質、光学的性質のどれに関連するかを考えるとよい。第2軸に割り当てた性能が、機械的性質に関連する場合には、機械的性質を表す材料物性の中で第2軸に割り当てた性能に関連する物性を、第3軸に割り当てる物性項目として抽出することができる。さらに、構成部品の性能に影響することが理論上予想される材料物性を抽出しておくと、その材料物性が性能に対して影響することを十分に把握していなかったり、管理特性としてその物性値を管理していなかったり、構成部品の材料の物性値が実際にどのような値になっているかを把握していなかったりしたとしても、構成部品の性能に変化を生じた場合に、性能の変化に対する原因として把握することが可能となる。
また、第4軸に記載したある構成部品の作成条件の項目が第1軸の品質に影響することがわかっているときに、第4軸のそれらの項目がその部材のどのような構造や物性を経て第1軸の品質に影響するか、という観点から第3軸の項目を挙げることも有効である。
次に、第4軸に割り当てられる項目について説明する。第4軸は設計対象について、直接決定したり制御したりすることが可能なパラメータとなり得る項目を挙げることとなる。部材品質機能展開表であれば部品を作る技術者にとって直接決定・制御可能なパラメータとして、作製工程における作製パラメータとしての設備等の設定値であったり、どのような加工処理を選択するかを決めることができるのであれば選択可能な処理方式であったり、構成部品ごとにどのような原材料を使うかを選択できるのであれば原材料であったり、といったようにその部品を作るにあたり設計・選択・制御可能な項目を挙げることとなる。例えば、部品を設計し製造する技術者にとって、製造工程の中でどのような処理方法を使ってどのように加工するか、といった製造条件は直接決定することができる項目となり得る。さらにその際に選択した処理方法で処理するにあたり、機器を制御する際の設定値やパラメータも、技術者が試行錯誤の結果、設定して決定される項目となり得る。このように、あるものを作る上で、製造・処理・加工方法や、製造・処理・加工条件としての設定パラメータなどが第4軸に割り付けられる項目となる。例えば、ある部品を製造するうえで、炉によって材料を加熱して処理する工程が含まれていたとする。このような場合に、炉による加熱温度や加熱時間は製造工程のパラメータの1つとして、第4軸の項目となる。製造・処理・加工のための条件だけでなく、製造・処理・加工に使われる材料自体も、どの材料を使うかということを技術者が選択して決定することができるのであれば、第4軸の項目とされる。さらに、第3軸に割り付けた構造に直接影響する要素として、技術者が寸法や形状などを直接決定することができるのであれば、こういった設計寸法も第4軸の項目になり得る。このように第4軸には、技術者が直接に設計したり、選択したり、制御することを決定できるような要素を割り付けることができ、このように割り付けることで、技術者が自ら設計を変更した場合に、どのような構造・物性に影響するかということを、抜け漏れなく把握することが可能になる。
片手なべを完成品とした場合の部材品質機能展開表(図7参照)について、具体的な実施の形態として説明をする。片手なべは、持ち手となる保持部と、保持部に結合された加熱部とからなる製品であるとする。片手なべについて本実施の形態を適用した場合、完成品が片手なべという製品に該当し、保持部と加熱部とが、片手なべの構成部品に該当することになる。
ここで、持ち手というのは、片手なべを使うユーザがその部分を持つことによって片手なべを動かしたり持ち上げたりする構成部品で、一般的には金属や樹脂あるいは木材などの材料によって構成されている。加熱部と呼んでいるのは片手なべの胴体部分に該当する構成部品で、通常加熱部である胴体部分に加熱調理したい食材を投入し、加熱部を下からコンロ等によって加熱することで、食材を加熱調理するために用いられる構成部品である。一般的には、金属やセラミック等の耐熱性のある材料によって作られている。
このような片手なべの部材品質機能展開表を作成するにあたり、第1軸には、完成品である製品としての片手なべに求められる品質に関する項目が割り付けられる。例えば、片手なべは、調理を行うという使われ方がされる製品であって基本的な品質として調理に適していることが求められる。すなわち、片手なべを使うユーザにとって、よりよい片手なべというのは調理性が良好な鍋であるということができる。このように完成品を使うユーザが、その完成品に求める性質や特性を完成品の品質ということができる。
さらにユーザは、実際には多種多様な性能を片手なべの品質として求めることが予想される。例えば、収納性や安全性・耐久性などといった調理をするための性質に直接関係がない特性についても、片手なべの品質と考えられる。
片手なべといった製品の部材品質機能展開表を考えた場合、第1軸に割り付けられる完成品の品質を示す項目としては、片手なべの本来機能である調理性に対する項目(本来機能に関する品質項目)と、本来機能である調理性には直接関係しない安全性・耐久性や収納性などの付帯的な機能に対する項目(付帯的機能に関する項目)とからなるということができる。
また、片手なべの場合における調理性といった項目は、これ自体では具体的にどのような性能であるかを把握しにくい場合がある。そのような場合には、項目を複数の段階で具体化した分類項目によって表現するとよい。例えば、片手なべにおける調理性という本来機能に関する品質項目を例にすると、調理性のよさを表すいくつかの段階的な機能に分解して表現することができ、例えば、調理の効率がよい、操作性がよい、といったような下位概念の品質項目で表現することが可能である。ここで、「調理の効率が良い」とは短時間で多くの食材を調理できる品質を指し、「操作性が良い」とは同じ時間同じ量の調理をしても疲れにくいという品質を指す。実際には、第2軸に割り付けられる各構成部品の性能との因果関係を本品質機能展開表によって表現するためには、調理性といったような複数の性能を含む上位概念的な品質項目ではなく、ユーザが実感可能なレベルで表現される程度に具体化された品質で表現することで、第2軸との因果関係を的確に整理し、正確に把握することが可能となる。同様に安全性や耐久性についても、例えば、やけどしにくい、といった品質で表現して割り付けを行う。
片手なべを例にした場合の第2軸について説明する。第2軸には、片手なべを構成する構成部品として、本実施の形態では保持部と加熱部が発揮すべき性能の度合いを示す項目を割り付けることとなる。本実施の形態では持ち手である保持部と、調理する対象である食材を投入して下部から加熱される加熱部とが片手なべの品質に影響するすべての構成部品であるとして説明を行う。
片手なべの部材品質機能展開表における第2軸に割り付けられる加熱部に対する項目について説明する。第2軸は完成品である片手なべの品質に影響を与えることが予想される、構成部材である加熱部の性能の度合いが、第2軸に割り付けられる。ここでも、第1軸の場合と同様に加熱部の性能をいくつかの概念にまとめて割り付けを行って表示すると、項目の抜け漏れがなく、隣接する軸の各項目との因果関係(第2軸の場合であれば、第1軸である完成品の品質を表す各項目と、第3軸である構成部品の構造と材料の物性を表す各項目との因果関係)を的確に整理して、正確に把握することが可能となる。
本実施の形態の場合であれば、片手なべの品質である調理性や安全性、耐久性に対して影響を及ぼすと考えられる加熱部の性能が割り付けられる。例えば、片手なべの調理性のうち調理の効率がよい、といった品質に対して、そのような品質を得るために、加熱部が持つべき性能や果たすべき機能が、第2軸に割り付けられることとなる。同様に調理性のうち操作性がよいという品質や、安全性を表す品質であるやけどしにくいという品質、耐久性という品質に対して、加熱部が持つべき性能や機能を第2軸に対して割り付ける。前述の例で考えると、片手なべの調理性のうち、調理の効率がよい、といった品質を実現するためには、加熱部の持つべき性能として、加熱部の構造体としての熱の伝わりやすさや容量の大きさが影響を与える性能であると言える。また操作性がよい、という品質を実現するためには、加熱部の構造体としての性能として、重量が影響すると言える。耐久性に関しては、加熱部の構造体としての破損に対する強度や変形に対する強度、焦げ付きにくさ、といった性能が品質を得るための性能となる。
例えば、操作性がよい、という品質は、ユーザーが長時間調理をしても疲れないと解釈することができ、加熱部を軽くすることによっても、保持部を短くすることによっても操作性を高めることができる。したがって、操作性のよさは加熱部と保持部の相互作用的な効果で実現される。しかし、本実施の形態による部材品質機能展開表では第2軸の部品・部材に割り当てられた項目は、他の部品・部材と関係を有しないこととしているため、操作性のよさに影響する加熱部の性能としては重量を記載するのが適切である。
同様に、片手なべの品質を実現するために保持部が持つべき性能を、他の構成部品である保持部についての第2軸の項目として割り付けを行う。例えば、操作性がよいという品質を実現するために、保持部に必要とされる性能や果たすべき機能であって、保持部のみで評価したり推定したりできる項目を考えて、そのような保持部の性能を第2軸に割り付ける。本実施の形態の例では、操作性をよくするために、保持部が発揮すべき性能として、保持部のつかみやすさや、加熱部との距離、加熱部自体の重量が関係するとする。このような場合には、第2軸の保持部の項目に、これらの性能が割り付けられる。
このように、第2軸には、第1軸に割り付けられた完成品である製品がユーザに求められる品質を実現するために、各構成部品が持つべき性能が割り当てられることとなる。
加熱部が片手なべの品質に影響する性能として、大きく基本性能と付帯性能とに分類を行っている。基本性能というのは、その構成部材が本来担うべき性能を表しており、加熱部の場合であれば、食材を加熱することに関連した性能がそれに該当する。加熱することに関連した性能というのは、ある材料を使ってある構成によって出来上がっている構造体(加熱部)としての性能であって、例えば、構造体としての熱の伝わりやすさなどがこれに該当する。
片手なべの実施の形態の場合で第3軸に割り当てる項目の抽出を説明する。第2軸に割り当てられている加熱部の熱の伝わりやすさという性能に対して、どのような加熱部の構造や加熱部の材料のどのような物性が、影響を与えるかを検討して項目として抽出をする。この場合であれば、加熱部の厚さが厚いほど加熱するのに時間がかかり熱の伝わりやすさに対して負の影響があると言える。しかし、直径や深さは加熱部の熱の伝わりやすさには影響しない。このようにして加熱部の構造に対する項目が抽出される。一方、材料の物性としては、熱の伝わりやすさという性能は、熱的性質の関連する機能であることから、第3軸には材料の熱的性質を表す物性を物性項目として割り付けることとなる。熱的性質を表す物性のうち、特に熱の伝わりやすさに影響がある物性を項目として挙げておくとよい。もし、十分に原理やメカニズムが究明されていないような場合には、空欄にするか、「熱の伝わりやすさに寄与する物性」などと記載しても良い。そのような場合に、メカニズムが究明されていないということを敢えて示すために、原理やメカニズムが究明されている項目とは視覚的に区別できるように表示するとよい。例えば、メカニズムが究明されていない項目欄を特定の色で塗りつぶしたり、シェードをかけて表示したり、あるいは文字の色を特定の色にするなどして影響因子が明らかでないことを明示する方法が考えられる。
第4軸に割り付ける項目について、片手なべの例で説明すると、例えば、加熱部のサイズや形状などの寸法、加工処理の方法、加熱部に使う材料の決定をすることができる場合には、それぞれ設計寸法、処理方法としての表面処理、加工方法、材料などが項目として抽出される。より具体的には、設計者として加熱部の寸法、すなわち深さや直径、厚さを決定することができるのであれば、寸法が項目となる。同様に保持部についても、寸法を項目とすることができる。また処理方法として、例えば、表面処理のいくつかの方法のうちいずれかを選択することで表面処理を決定することができるのであれば、そういった表面処理についても項目として挙げることができる。表面処理としては、例えば、粗面化処理、平滑化処理、表面コート処理(フッ素樹脂加工処理、シリコーンコート処理など)、エンボス形状加工、研磨処理といった処理方法などがありえる。このような処理のいずれを施すかを決定することができる場合に、項目として挙げることとなる。また材料としては、加熱部を構成する素材を、金属にするのか、あるいは木材にするのか、金属だとした場合に鉄なのか、アルミニウムなのか、ステンレスにするのか、といったことを決定することが可能なのであれば、材料を項目として挙げるとよい。
このような4つの軸を採用した場合、部品の設計を行ったり部品を試作・製造したりする技術者は、自ら決定可能なパラメータである第4軸の項目のうちいずれかの項目を設計変更により別な状態にしたとする。その際、第4軸と直接因果関係のある第3軸の項目として構成部品の構造や物性に対する影響を把握することが可能となる。さらに第3軸のある構造項目や物性項目に影響があることが把握できることで、各構成部品の性能への影響を、第3軸と第2軸の因果関係を示した状態から把握することができるようになる。つまり、第3軸のある物性項目に変化があった場合に、第2軸に割り当てられた構成部品のどの性能に対して影響を及ぼす可能性があるのか、を把握することができる。この時点で、部品を設計・製造する技術者は、自ら直接制御可能なパラメータである加工方法や処理条件、材料を変更する決定をしたことによって、第3軸の構造・物性項目への影響を知ることが可能となるとともに、第2軸の構成部品の性能に対する影響を知ることが可能となる。すなわち、自らの制御パラメータを変更したことによって、構成部品のどのような性能に対して影響を及ぼすのかを把握することが可能となる。
また、第2軸に記載された部品・部材の性能の項目はその部品・部材のみで評価したり推定したりすることができる項目であり、その部品・部材が担う役割を表す項目であるので、その部品・部材の設計者はそれらの性能の項目を満たすように設計することで、設計した部品・部材を実際に作って、実際の製品に組み込んで評価をしなくても、適切な部品・部材を設計できるようになる。
また、第4軸のある部品・部材の作成条件の項目やその項目によって決まる第3軸の構造と物性の項目が第1軸の品質に影響を及ぼすことがわかっている場合でも、第2軸の該当する部品・部材の性能の項目として他の部品・部材と関係を有しない項目を見出すことができないときは、その部品・部材が品質の達成に対して担っている役割やその物理的メカニズムが理解できていないことがわかる。その場合は、その部分に関わる予期せぬトラブルが発生しないか注意しながら開発を進めることができ、さらに求められている機能やその発現のメカニズムを理解するための検討を始めたり、検討のための解析技術の構築を進めたりすることができる。
図8の例に示す「システム品質機能展開表」について、より詳細に説明する。「システム品質機能展開表」は主にシステム設計者が作成・利用することを想定している。
本実施の形態で説明する品質機能展開表は、前述した部材品質機能展開表と同様に第1軸から第4軸までの各々隣接する軸と直交する4つの軸を有する表として構成されている。システム品質機能展開表においても、第1軸は完成品である製品の品質に関連する項目を表す軸であって、項目名表示領域には、完成品に求められる品質が割り当てられる。完成品である製品は、複数のサブシステムの集合によって構成され、各サブシステムが相互に影響しながら、完成品全体として、一定の働きをするように構成されている。第2軸は、完成品を構成するサブシステムが発揮するべき性能を割り当てられ、第3軸はサブシステムごとの物理的特性を割り当てられ、第4軸は各サブシステムの設計者が直接設計したり、変更したり、決定することが可能な、サブシステムの設計項目を割り当てられる。第2軸の各サブシステムの性能の項目は、そのサブシステムの機能発現のメカニズムの項目であるともいうことができる。
部材品質機能展開表の場合と同様に、ある軸と、その軸に隣接する軸との間の領域は、ある軸の項目と、その軸に隣接する軸の項目との間の因果関係を表示するために使われる。例えば、第1軸と第2軸とで挟まれた領域には、第1軸に割り付けられた各品質項目と、第2軸に割り付けられた各性能項目の交点に要素を持つ二次元的な行列を表す表が配置され、第1軸に割り付けられた品質項目と、第2軸に割り付けられた性能項目との因果関係を、各品質項目と各性能項目の交差する位置に該当するセルに対して表す。同様に第2軸と第3軸、第3軸と第4軸においても二次元的な行列を表す表が配置され、それぞれの軸の項目同士の交差するセルに、その項目同士の因果関係を示すために使うことができる。このようにすることで、設計者が直接制御・決定することが可能なパラメータを設定したり、変更したりした場合に、サブシステムに対する直接制御対象のパラメータが割り付けられた第4軸から、そのパラメータの項目の列(あるいは行)に因果関係が示された第3軸のサブシステムの物理的特性の項目を抽出し、さらに第3軸の物性特性の項目の列(あるいは行)に因果関係が示された第2軸のサブシステムの基本性能を抽出して、最後に第2軸のサブシステムの基本性能項目の列(あるいは行)との間に因果関係が示された第1軸の完成品の品質項目を抽出することで、直接設計値としてのパラメータを変更した場合に、第4軸から順に因果関係をたどって行くことによって、完成品である製品の品質にどのようなメカニズムでどのような影響を与えるかを予測することが可能となる。また、システム品質機能展開表の第2軸には、複数のサブシステム同士の関係によって定まる項目も含むことがあり、それらの項目を調べることで、各サブシステムの役割が何で、サブシステム単独では決定することができない項目がどれかということを明確にすることができ、システムの開発・設計を進める上での注意点が明確になる。
次に、各軸に割り当てられる項目について説明を行う。第1軸は、部材品質機能展開表と同様に使われる。つまり、完成品である製品に対してユーザが求める品質に関する項目を割り付けるために使われる。
次に、第2軸に割り当てられる項目について説明をする。第2軸には、完成品を構成するサブシステムごとに、第1軸に割り当てた完成品の品質に対して影響を与える性能を割り当てられる。つまり、完成品の品質を実現するために、完成品の構成要素であるサブシステムごとに、そのサブシステムが持つ機能や役割を抽出して第2軸の項目として割り当てることとなる。第1軸に割り当てられた品質項目ごとに、その品質に対してサブシステムが持つべき性能や果たすべき機能が何かを、サブシステムごとに検討することによって、第2軸に割り付けるべきサブシステムの性能の項目を抽出することができる。一般的には、完成品がユーザに求められる品質、すなわち第1軸に割り付けた各品質項目に影響を与えることが予想されるサブシステムは、すべて挙げるようにする。しかし、明らかに完成品の品質に影響がないようなサブシステムであれば、第2軸に項目として挙げなくてもよい。また、第3軸に記載したあるサブシステムの物理的特性の項目が第1軸の品質に影響することがわかっているときに、第3軸のそれらの物理的特性の項目がサブシステムのどのような性能を経て第1軸の品質に影響するか、という観点から第2軸の項目を挙げることも有効である。第2軸の各サブシステムの性能の項目としては、他の構成部品と関係なく評価したり推定したりできる項目を選ぶ。
次に、第3軸に割り当てられる項目について説明する。第3軸には、第2軸に割り付けた各サブシステムの基本性能に影響する各サブシステムの物理的特性を割り当てられることとなる。つまり、第2軸には、サブシステムが持つ機能や役割を実現するための性能を記述したのに対して、第3軸では、そのサブシステム自体の物理的特性を割り当てるために使われる。サブシステムの物理的特性が変わった場合に、サブシステムのどういった性能に対して影響するのかを把握することができる。
より具体的に説明すると、第2軸に割り当てられたある性能の項目ごとに、そのサブシステムの性能に対して影響するサブシステムの物理的特性を検討して第3軸の項目を抽出する。第2軸に記載されたあるサブシステムの性能に対して、そのサブシステムの物理的特性として影響するのは何か、といったことを検討することでサブシステムの物理的特性に対する項目が抽出される。例えば、第2軸に割り当てたサブシステムの性能が、例えば、機械的性質、電気的性質、磁気的性質、熱的性質、光学的性質のどの性質に関連するかを考えるとよい。第2軸に割り当てた性能が機械的性質に関連する性能であった場合には、機械的性質を表す物理的特性の中で、第2軸のサブシステムの基本性能に関連する物理的特性を特定して、それを第3軸に割り当てる項目として抽出することができる。
また、第4軸に記載したあるサブシステムの設計条件の項目が第1軸の品質に影響することがわかっているときなどに、第4軸のそれらの項目がそのサブシステムのどのような物理的特性を経て第1軸の品質に影響するか、という観点から第3軸の項目を挙げることも有効である。
第4軸に割り当てられる項目について説明する。第4軸は設計対象のサブシステムについて、直接決定したり制御したりすることが可能なパラメータとなり得る項目を挙げることとなる。システム品質機能展開表であればサブシステムを作る技術者にとって直接決定・制御可能なパラメータとして、サブシステムの構造や構成などだけでなく、サブシステムを構成する材料やその物性なども項目になる。また、サブシステムを作製する際の条件として処理条件や処理方法についても第4軸の項目にする。例えば、サブシステム自体がいくつかのサブシステムや部品の組み合わせによって構成されている場合もありえる。そのような場合にサブシステムを構成するサブシステムや部品に対する処理の方法や結合の方法、部品の構成材料などもサブシステムの設計パラメータとして第4軸の項目となりうる。第4軸は技術者が、サブシステムの構成や構造を設計、決定、制御、選択することができる要素を割り付けることとし、制御可能なパラメータに関する項目を漏れなく抽出して割り付けることによって、技術者が自ら設計を変更したり、サブシステムを構成する要素を選択したり、制御するパラメータを変更したりした場合に、サブシステム自体のどのような物理的特性に影響するのか、ということを抜けや漏れがない状態で把握することが可能になる。
片手なべを完成品とした場合のシステム品質機能展開表(図8参照)について、具体的な実施の形態として説明をする。片手なべは、持ち手となる保持部と、保持部に結合された加熱部とを、接合部によって接合させた製品であるとする。このような本実施の形態の場合では、完成品が片手なべという製品に該当し、保持部、加熱部、接合部が、片手なべを構成するサブシステムに該当することになる。
このような片手なべのシステム品質機能展開表を作成するにあたり、第1軸には、完成品である製品としての片手なべに求められる品質に関する項目が割り付けられる。完成品を使うユーザが、その完成品に求める性質や特性を完成品の品質ということができる。先に説明をした部材品質機能展開表の場合と同じように、本来機能に関する品質項目として調理性に関する項目と、本来機能である調理性には直接関係しない付帯的機能として安全性・耐久性に関する項目とからなる。本実施の形態の例では、調理性に関する項目として、調理効率と操作性が設定され、安全性・耐久性に関する項目として火傷安全性と耐久性とが設定される。
片手なべを例にした場合のシステム品質機能展開表の第2軸について説明する。第2軸には、片手なべを構成するサブシステムとして、本実施の形態では例えば保持部、加熱部、接合部の基本性能・作用を示す項目を割り付けることができる。またこれらサブシステム間の相互作用によって完成品である片手なべの品質に影響を及ぼすことが分かっている場合に、そのような相互関係に関する項目を設定しておく。
片手なべのシステム品質機能展開表で第2軸に割り付けられる加熱部に対する項目について説明する。第2軸には、完成品である片手なべの品質に影響を与えることが予想される、サブシステムである加熱部の性能の度合いが割り付けられる。ここでも、第1軸の場合と同様に加熱部の性能をいくつかの概念にまとめて割り付けを行って表示すると、項目の抜け漏れがなく、隣接する軸の各項目との因果関係(第2軸の場合であれば、第1軸である完成品の品質を表す各項目と、第3軸であるサブシステムの物理的特性を表す各項目との因果関係)を的確に整理して、正確に把握することが可能となる。
本実施の形態の場合であれば、片手なべの品質である調理性や安全性、耐久性に対して影響を及ぼすと考えられる加熱部の性能が割り付けられる。例えば、片手なべの調理性のうち調理の効率がよい、といった品質に対して、そのような品質を得るために、加熱部が持つべき性能や果たすべき機能が、第2軸に割り付けられることとなる。同様に調理性のうち操作性がよいという品質や、安全性を表す品質であるやけどしにくいという品質、耐久性という品質に対して、加熱部が持つべき性能や機能を第2軸に対して割り付ける。前述の例で考えると、片手なべの調理性のうち、調理の効率がよい、といった品質を実現するためには、加熱部の持つべき性能として、加熱部の構造体としての熱の伝わりやすさや容量の大きさが影響を与える性能であると言える。また操作性がよい、という品質を実現するためには、加熱部の構造体としての性能として、重量が影響すると言える。耐久性に関しては、加熱部の構造体としての破損に対する強度や変形に対する強度、焦げ付きにくさ、といった性能が品質を得るための性能となる。
同様に、片手なべの品質を実現するために保持部が持つべき性能を、他の構成部品である保持部についての第2軸の項目として割り付けを行う。例えば、操作性がよいという品質を実現するために、保持部に必要とされる性能や果たすべき機能を考えて、そのような保持部の性能を第2軸に割り付ける。本実施の形態の例では、操作性をよくするために、保持部が発揮すべき性能として、保持部のつかみやすさや、加熱部との距離、重量が関係するとする。このような場合には、第2軸の保持部の項目に、これらの性能が割り付けられる。
このように、第2軸には、第1軸に割り付けられた完成品である製品がユーザに求められる品質を実現するために、各構成部品が持つべき性能が割り当てられることとなる。
加熱部というサブシステムが片手なべの品質に影響する性能として、そのサブシステムが本来担うべき性能と、付帯的性能があり、加熱部の場合であれば、食材を加熱することに関連した性能が本来担うべき性能に該当する。加熱することに関連した性能というのは、ある材料を使ってある構成によって出来上がっている構造体(加熱部)としての性能であって、例えば、構造体としての熱の伝わりやすさなどがこれに該当する。
また、システム品質機能展開表では、第2軸に記載されたサブシステムの性能の項目は他のサブシステムの性能の項目と関係を有することがあり、さらに複数のサブシステムをひとつのサブシステムととらえた、サブシステム間の相互作用による性能の項目を含むことがあり、複数のサブシステムが互いに包含関係にあったり、同じ部材を共有していたりすることがある。これに伴って、第3軸、第4軸に記載されるサブシステムも互いに包含関係にあったり、同じ部材を共有していたりすることがある。これは、部材設計者と異なり、システムの設計者にとっては各サブシステムの性能だけではなく、サブシステム間の相互作用が重要な意味を持つからである。すなわち、あるサブシステム単独で決まる性能については、そのサブシステムの設計担当者が決めることができるが、相互作用が強い項目に影響する設計項目については、サブシステム単独では決めることができないため、他のサブシステムと擦り合わせをしながら決めなければならない。そこで、サブシステム単独で決められる(他のサブシステムと関係を有しない)項目と、サブシステム間の相互作用の(他のサブシステムと関係を有する)項目を両方記載して区別することで、単独で決められる項目と擦り合わせが必要な項目を的確に判別して効果的に開発・設計を進めることができる。
システム品質機能展開表の第3軸、第4軸についても、前述した部材品質機能展開表と同様に項目の割り付けを行えばよい。
次に、過去に作成した品質機能展開表のデータを用いて、新たな品質機能展開表を作成する場合について説明する。
過去にユーザが本実施の形態によって品質機能展開表を作成したことがあった場合には、その際に各軸の軸項目と、異なる軸の項目間の因果関係を設定していることとなる。ユーザが一度作成した品質機能展開表に関するデータを保存しておいて、それを再利用することができると、以前作成した品質機能展開表を使ってトラブルの原因を検討する場合や、以前作成した品質機能展開表をベースに新たな品質機能展開表を作成するような場合に便利である。ここでは、このような再利用するために保存しておいた過去の設定を読み込むことで、軸項目を自動で設定する場合について説明する。
本実施の形態では、一度作成した品質機能展開表のデータを保存すると、以下の図10〜図15の例に示すようなテーブルによって、品質機能展開表のデータを保存している。なお、図10から図15の例に示す部材軸設定テーブル1000、システム軸設定テーブル1100、部材品質項目テーブル1200、部材性能項目テーブル1300、部材構造・物性項目テーブル1400、部材工程・原材料項目テーブル1500は、軸関連情報記憶モジュール150に記憶されている。なお、これらは、図3の例に示した軸項目テーブル300をより詳細にし、各セルの内容(隣接する軸によって構成されるマトリクス内における項目間の因果関係)を付加したものである。
図10及び図11は作成した品質機能展開表の各軸の名称と、軸項目のデータを格納するテーブルとを、各軸に対応付けたテーブルの一例である。本実施の形態では、部材品質機能展開表とシステム品質機能展開表の場合とでそれぞれ別々なテーブルとして保存している。図10は、部材軸設定テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
部材軸設定テーブル1000は、軸欄1010、軸名称欄1020、項目テーブル名称欄1030を有している。軸欄1010は、各軸を記憶している。軸名称欄1020は、軸名称を記憶している。項目テーブル名称欄1030は、項目リストを記憶している。図11は、システム軸設定テーブルのデータ構造例を示す説明図である。システム軸設定テーブル1100は、軸欄1110、軸名称欄1120、項目テーブル名称欄1130を有している。軸欄1110は、各軸を記憶している。軸名称欄1120は、軸名称を記憶している。項目テーブル名称欄1130は、項目リストを記憶している。
部材品質機能展開表であれば、図10の例に示す部材軸設定テーブル1000の軸名称欄1020のように、第1軸の軸名称が「品質」で、第2軸の軸名称が「性能」で、第3軸の軸名称が「構造・物性」で、第4軸の軸名称が「工程・原材料」であることを示している。なお、図7の例では、第2軸の軸名称は「発揮すべき性能」であり、第3軸の軸名称は「構造と物性」であり、第4軸の軸名称は「作成条件」であるが、軸名称欄1020の各軸の名称と同意である。そして、部材軸設定テーブル1000の項目テーブル名称欄1030によって、各軸に設定していた軸項目(その軸に属している項目)の名称は、それぞれの項目テーブルに対応付けられており、各項目テーブルに格納されている。例えば、第1軸の軸項目の名称は、部材品質項目テーブル1200(図12参照)に格納されており、第2軸の軸項目の名称は部材性能項目テーブル1300(図13参照)に格納されており、第3軸の軸項目の名称は部材構造・物性項目テーブル1400(図14参照)に格納されており、第4軸の軸項目の名称は部材工程・原材料項目テーブル1500(図15参照)に格納されていることを表している。
システム品質機能展開表であれば、図11の例に示すシステム軸設定テーブル1100の軸名称欄1120のように、第1軸の軸名称が「品質」で、第2軸の軸名称が「基本性能・作用」で、第3軸の軸名称が「物理的特性」で、第4軸の軸名称が「設計パラメータ」であることを示している。なお、図8の例では、第2軸の軸名称は「メカニズム」であり、第4軸の軸名称は「設計条件」であるが、軸名称欄1120の各軸の名称と同意である。そして、システム軸設定テーブル1100の項目テーブル名称欄1130によって、各軸に設定していた軸項目(その軸に属している項目)の名称は、それぞれの項目テーブルに対応付けられており、各項目テーブルに格納されている。例えば、第1軸の軸項目の名称は、システム品質項目テーブルに格納されており、第2軸の軸項目の名称はシステム基本性能・作用項目テーブルに格納されており、第3軸の軸項目の名称はシステム物理特性項目テーブルに格納されており、第4軸の軸項目の名称はシステム設計パラメータ項目テーブルに格納されていることを表している。システム品質機能展開表におけるシステム品質項目テーブル等のテーブルの構成は、部材品質機能展開表における部材品質項目テーブル1200、部材性能項目テーブル1300、部材構造・物性項目テーブル1400、部材工程・原材料項目テーブル1500と同等である。
次に図12から図15の各項目テーブルについて説明する。
図12は、部材品質項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。部材品質項目テーブル1200は、品質項目分類欄1205、項目名欄1210、関連性能項目◎正欄1215、関連性能項目〇正欄1220、関連性能項目△正欄1225、関連性能項目△負欄1230、関連性能項目〇負欄1235、関連性能項目◎負欄1240、性能項目◎最適欄1245、性能項目〇最適欄1250、性能項目△最適欄1255を有している。つまり、部材品質項目テーブル1200は、部材品質機能展開表の「品質」軸に設定する軸項目と、それぞれの軸項目との間に因果関係を有する隣接軸の項目とを対応付けたテーブルである。例えば、片手なべの事例における部材品質項目テーブル1200を示した図12の場合であれば、「品質」軸(第1軸)には、「調理」と「安全性・耐久性」という分類(品質項目分類欄1205)があり、「調理」の分類には、「調理効率」と「操作性」の2つの項目名(項目名欄1210)が設定されている(第1軸の項目)。さらに「調理効率」という品質項目に関連する「性能」項目(第2軸の項目)として、加熱部の「熱の伝わりやすさ」、「容量」、保持部の「つかみやすさ」のそれぞれが対応付けられている(関連性能項目◎正欄1215〜性能項目△最適欄1255)。このことは、構成部材である加熱部の「熱の伝わりやすさ」と「容量」という性能と別の構成部材である保持部の「つかみやすさ」という性能が、「調理効率」という完成品の品質に対して因果関係を有しているということを、その因果関係の程度と、影響の方向性とによって表している。
本実施の形態の場合、影響の方向性とは、例えば、加熱部の性能の1つである「熱の伝わりやすさ」が大きくなった場合に、「調理効率」がよくなるのであれば、正の方向性を有すると定義している。逆に加熱部の性能である「重量」が大きくなると、「操作性」という品質に対して悪い影響を及ぼすので、このような場合は負の方向性を有すると表現している。もし、単純にある値が大きいほどよい、とか、小さいほどよいといった関係ではなく、最適な値を有するような関係の場合も正/負とは別な状態で区別して表現することが望ましい。
また因果関係の影響の大きさについても、いくつかの段階に分けて表現することが可能である。本実施の形態の場合には、性能が変化することで品質に対して非常に大きな影響が及ぼされるという程度と、それほどではないが品質に明らかな変化を生じるという程度と、品質に対して微妙ではあるが影響があるという程度の3段階で影響を表現している。
つまり、加熱部の熱の伝わりやすさという性能と、加熱部の容量という性能が大きくなるほどに、調理効率という品質が向上し、その程度としては非常に大きな影響を及ぼすものであり、さらに保持部のつかみやすさという性能が大きくなると、調理効率という品質にさほど大きくはないものの調理効率が向上する、という因果関係を有するという関係を示している。
部材品質項目テーブル1200は、第1軸に属している項目の名称と、その項目に対応する第2軸に属している項目の名称とその関係(第1軸と第2軸とによって構成されるマトリクスのセル内の内容)を有している。
図13は、部材性能項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。部材性能項目テーブル1300は、性能項目分類欄1305、項目名欄1310、関連構造・物性項目◎正欄1315、関連構造・物性項目〇正欄1320、関連構造・物性項目△正欄1325、関連構造・物性項目△負欄1330、関連構造・物性項目〇負欄1335、関連構造・物性項目◎負欄1340、構造・物性項目◎最適欄1345、構造・物性項目〇最適欄1350、構造・物性項目△最適欄1355を有している。つまり、部材性能項目テーブル1300は、部材品質機能展開表の「性能」軸に設定する軸項目と、それぞれの軸項目との間に因果関係を有する「構造・物性」軸の項目とを対応付けたテーブルである。本テーブルでも部材品質項目テーブル1200と同様に、因果関係を有する項目同士を、その因果関係による影響の大きさと方向性とを含めて対応付けている。
部材性能項目テーブル1300は、第2軸に属している項目の名称と、その項目に対応する第3軸に属している項目の名称とその関係(第2軸と第3軸とによって構成されるマトリクスのセル内の内容)を有している。
図14は、部材構造・物性項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
部材構造・物性項目テーブル1400は、構造・物性項目分類欄1405、中分類欄1410、構造・物性項目名欄1415、関連工程・原材料項目◎正欄1420、関連工程・原材料項目〇正欄1425、関連工程・原材料項目△正欄1430、関連工程・原材料項目△負欄1435、関連工程・原材料項目〇負欄1440、関連工程・原材料項目◎負欄1445、関連工程・原材料項目◎最適欄1450、関連工程・原材料項目〇最適欄1455、関連工程・原材料項目△最適欄1460を有している。つまり、部材構造・物性項目テーブル1400は、部材品質機能展開表の「構造・物性」軸に設定する軸項目と、それぞれの軸項目との間に因果関係を有する「工程・原材料」軸の項目とを対応付けたテーブルである。本テーブルでも部材品質項目テーブル1200と同様に、因果関係を有する項目同士を、その因果関係による影響の大きさと方向性とを含めて対応付けている。
部材構造・物性項目テーブル1400は、第3軸に属している項目の名称と、その項目に対応する第4軸に属している項目の名称とその関係(第3軸と第4軸とによって構成されるマトリクスのセル内の内容)を有している。
図15は、部材工程・原材料項目テーブルのデータ構造例を示す説明図である。部材工程・原材料項目テーブル1500は、工程・原材料項目分類欄1510、工程・原材料項目名欄1520を有している。つまり、部材工程・原材料項目テーブル1500は、第4軸に割り付けられる「工程・原材料」軸に設定する軸項目の名称(工程・原材料項目分類欄1510は大分類の項目名称、工程・原材料項目名欄1520は小分類の項目名称)が設定されている。本テーブルには、隣接軸との因果関係に関する対応付けがされていない。これは、第4軸には隣接する軸として第3軸が存在するが、第3軸と第4軸の各項目同士の因果関係に関しては、第3軸である「構造・物性」軸の軸項目を表した部材構造・物性項目テーブル1400(図14)で設定しているためである。なお、部材工程・原材料項目テーブル1500に、工程・原材料の各項目と、隣接軸として「構造・物性」軸の各項目との間の因果関係を対応付けて格納するようにしてもかまわない。
本実施の形態では、各軸の項目同士の因果関係を表したテーブルを図12から図15までの複数のテーブルで表した例として説明したが、これらのテーブルを1つに統合することも可能である。その場合には各軸項目がどの軸名称に対応する項目なのかが分かるように、軸名称欄を設定しておくとよい。それによってある軸の軸項目名を割り振る際には、その軸の軸名称によって統合されたテーブルから、その軸に該当する軸項目を特定して設定することが可能になる。
次に、過去に保存しておいた片手なべに対する部材品質機能展開表のデータを使って、部材品質機能展開表を再度表示しようとする場合を例にして説明する。
まず、ユーザは、部材品質機能展開表とシステム品質機能展開表のうち、今回作成したい、あるいは表示したい品質機能展開表として、部材品質機能展開表を選択する。つまり、部材/システム選択モジュール115によって、部材品質機能展開表が選択される。それによって軸名称設定モジュール110は、図10の部材軸設定テーブル1000に基づいて、第1軸の軸名称を「品質」に設定し、第2軸の軸名称を「性能」に設定し、第3軸の軸名称を「構造・物性」に設定し、第4軸の軸名称を「工程・原材料」に設定する。
もし、部材/システム選択モジュール115によってシステム品質機能展開表が選択された場合であれば、図11のシステム軸設定テーブル1100に基づいて、第1軸の軸名称を「品質」に設定し、第2軸の軸名称を「基本性能・作用」に設定し、第3軸の軸名称を「物理的特性」に設定し、第4軸の軸名称を「設計パラメータ」に設定する。
部材品質機能展開表の軸名称が各軸の名称として設定されると、軸対応項目作成モジュール120は、操作者による選択ではなく、過去に保存しておいた品質機能展開表のデータをもとに軸項目を設定する。本実施の形態の場合であれば、図10の部材軸設定テーブル1000から、第1軸の「品質」を表す軸の軸項目を設定するために参照すべきテーブルとして、部材品質項目テーブル1200を特定する。
軸対応項目作成モジュール120は、部材品質項目テーブル1200に基づき、第1軸に設定する軸項目として、品質項目分類と項目名の各欄に設定されたデータを順に読み出して、第1軸の項目名を設定する。同様に第2軸に設定する軸項目は、部材性能項目テーブル1300から性能項目分類と項目名を順に読みだして第2軸の項目名を設定し、第3軸に設定する軸項目として、構造・物性項目分類と中分類と構造物性項目名を順に読みだして第3軸の項目名として設定し、第4軸に設定する軸項目として、工程・原材料項目分類と工程・原材料項目名とを順に読みだして第4軸の項目名を設定する。
次に、第1軸から第4軸までの軸名称を、各軸の一端ある三角形領域である軸名表示領域702,722,742,762にそれぞれ表示する。そして、各三角形領域を一端とした4つの軸として、第1軸である品質軸、第2軸である性能軸、第3軸である構造・物性軸、第4軸である工程・原材料軸の各軸を生成し、軸対応項目作成モジュール120によって設定された各軸の軸項目名を各軸の項目名表示領域に配置して表示する。
次に、隣接する2つの軸の項目名表示領域によって囲まれている相関記入領域710,730,750内の、各項目が交差する位置に、その項目間の因果関係を記入し得るマトリクスのセルを生成する。例えば、品質軸(第1軸)の調理に含まれる調理効率と、品質軸と隣接する性能軸(第2軸)の「熱の伝わりやすさ」との交差するマトリクス部分には、両項目の間の因果関係の程度と方向性に応じた記号を表示する。例えば、因果関係の程度の大きさに応じて、大、中、小や、A、B、Cや、◎、○、△などといったように記号(グレードを示す記号)を記入するとともに、相関関係の方向性が正の場合には赤字、負の場合には青字、最適値を有する場合には緑色の字によって、記号を表示することで因果関係の程度と方向性を表現するとよい。
片手なべの例でいえば、部材品質項目テーブル1200の対応関係から、加熱部という部材の「熱の伝わりやすさ」が大きくなるほど、品質項目である「調理効率」が向上するという正方向の相関関係があって、その相関による影響の大きさが大きいことが特定される。そのため、品質軸である第1軸の「調理効率」の項目名と、性能軸である第2軸の加熱部の「熱の伝わりやすさ」の項目名とが交わるマトリクスの交差領域のセルには、影響の程度が大きいことを表す◎の記号を、正方向の相関関係であることを表す赤い色で記入する。同様に、品質軸の「調理効率」の項目と、性能軸の加熱部の「容量」の項目とが交わるマトリクスの交差領域のセルにも、赤い色で◎が表示される。「調理効率」は保持部の「つかみやすさ」との間にも因果関係があることから、両者が交わる交差領域セルに、程度があまり大きくないことから赤い字で△が表示される。品質軸の「操作性」と性能軸の加熱部の「容量」と保持部の「熱の伝わりやすさ」との間にはいずれも強くはないが、負の方向の影響を及ぼすという因果関係であるため、両者の交差領域セルには青字の△が表示される。
このように、以前に作成した品質機能展開表のデータを保存しておいて、保存したデータを使って品質機能展開表を表示させる際に、各軸の表示項目を設定するとともに、隣接する軸との間での項目同士の因果関係を容易に把握可能なように表示することができる。
図16を参照して、本実施の形態の情報処理装置のハードウェア構成例について説明する。図16に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1617と、プリンタなどのデータ出力部1618を備えたハードウェア構成例を示している。
CPU(Central Processing Unit)1601は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、軸名称設定モジュール110、部材/システム選択モジュール115、軸対応項目作成モジュール120、軸間整合モジュール125、表示モジュール130等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
ROM(Read Only Memory)1602は、CPU1601が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1603は、CPU1601の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1604により相互に接続されている。
ホストバス1604は、ブリッジ1605を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1606に接続されている。
キーボード1608、マウス等のポインティングデバイス1609は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1610は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
HDD(Hard Disk Drive)1611は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1601によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、軸項目テーブル300、設定された軸名称、項目名などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
ドライブ1612は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1613に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1607、外部バス1606、ブリッジ1605、及びホストバス1604を介して接続されているRAM1603に供給する。リムーバブル記録媒体1613も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
接続ポート1614は、外部接続機器1615を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1614は、インタフェース1607、及び外部バス1606、ブリッジ1605、ホストバス1604等を介してCPU1601等に接続されている。通信部1616は、通信回線に接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1617は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1618は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
なお、図16に示す情報処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図16に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図16に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
100…情報処理装置
110…軸名称設定モジュール
115…部材/システム選択モジュール
120…軸対応項目作成モジュール
125…軸間整合モジュール
130…表示モジュール
150…軸関連情報記憶モジュール

Claims (10)

  1. 第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定手段と、
    前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成手段と、
    前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示手段
    を具備し、
    前記項目作成手段は、
    前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、
    前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、
    前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、
    前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、
    を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記項目作成手段は、
    前記第2軸に属する項目として、各部品、各部材が製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該各部品、各部材の性能は他の各部品、各部材と関係を有しておらず、
    前記第3軸に属する項目として、各部品、各部材の構造と物性についての項目、
    前記第4軸に属する項目として、各部品、各部材の作成条件を定義する項目、
    を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記項目作成手段は、
    前記第2軸に属する項目として、物理的な特性項目によって挙動が決定され、製品の品質を影響する物理的なメカニズムの項目であって、該項目は第2軸に属する他の項目と関係を有しておらず、
    前記第3軸に属する項目として、設計条件によって決まる製品の構成部分の物理的な特性を示す項目、
    前記第4軸に属する項目として、設計条件を示す項目、
    を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記第2軸に属する項目として、さらに、該項目は第2軸に属する他の構成部分と関係を有しているものを含む
    ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記軸名称設定手段は、軸名称のリストを操作者に対して表示し、当該軸名称のリストから操作者によって選択された名称を軸の名称とする
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  6. 前記項目作成手段は、項目のリストを操作者に対して表示し、当該項目のリストから操作者によって選択された項目を軸に属する項目とする
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記軸に属する項目は、階層構造を有しており、
    前記項目作成手段は、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の項目の間に、該項目の予め定められた階層における項目が整合しているか否かを判断し、整合していないと判断した場合は、項目を修正する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記軸名称設定手段によって設定された軸名称、前記項目作成手段によって作成された項目名称、前記表示手段によって表示された配列に対して、記入が行われた因果関係を対応付けて記憶する記憶手段
    をさらに具備し、
    前記表示手段は、前記記憶手段によって記憶されている情報に基づいて、品質機能展開表を表示する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  9. コンピュータを、
    第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定手段と、
    前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成手段と、
    前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示手段
    として機能させ、
    前記項目作成手段は、
    前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、
    前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、
    前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、
    前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、
    を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する
    ことを特徴とする情報処理プログラム。
  10. コンピュータの軸名称設定手段が、第1軸から第4軸の名称を設定する軸名称設定ステップと、
    コンピュータの項目作成手段が、前記軸名称設定手段によって名称が設定された軸に属する項目を作成する項目作成ステップと、
    コンピュータの表示手段が、前記軸名称設定手段によって設定された軸の名称と前記項目作成手段によって作成された項目に基づいて、製品を開発するために用いる品質機能展開表として、中心から上下左右に分けた領域内に、第1軸から第4軸の各々の名称を配置し、該中心から上下左右に伸びる方向に第1軸から第4軸の各々の軸に属する項目を配置し、少なくとも第1軸と第2軸、第2軸と第3軸、第3軸と第4軸の間に項目間の因果関係を記入可能な配列を配置した品質機能展開表を表示する表示ステップ
    を実行し、
    前記項目作成手段は、
    前記第1軸に属する項目として、製品の品質を示す項目、
    前記第2軸に属する項目として、前記製品を構成する部分が該製品の品質を満たすために発揮すべき性能の度合いを示す項目であって、該部分の性能は他の部分と関係を有しておらず、
    前記第3軸に属する項目として、前記部分の管理特性についての項目、
    前記第4軸に属する項目として、前記部分の設計項目、
    を操作者が選択することによって、各軸に属する項目を作成する
    ことを特徴とする情報処理方法。
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