次に、本発明を実施するための最良の形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る製造技術開発用管理システムの全体の概略構成を示すブロック図である。図に示す管理システム1は、ネットワークサーバ2、社内イントラネット3、製品別ロードマップ設定者用端末5、製造技術開発管理者用端末7、工法開発技術者用端末9、及び情報記憶媒体11を有している。所謂ホストコンピュータからなるネットワークサーバ2は、社内イントラネット3を介して製品別ロードマップ設定者用端末5、製造技術開発管理者用端末7、工法開発技術者用端末9と個々に接続されている。また、ネットワークサーバ2は、読み取り及び書き込み可能な情報記憶媒体11と接続されており、個々の端末と該記憶媒体11とを接続している。ここで、製造技術開発管理者用端末7は本発明における第一の入力手段として、工法開発技術者端末9は本発明における第二の入力手段として作用する。
ネットワークサーバ2は、不図示のプロセッサ、RAM、ROM等の記憶手段を備え、データベースに格納すべきデータの分析機能、演算機能、ソート機能等を担う演算手段を有し、格納済みのデータを読み出すと共に、個々の端末より入力されたデータと読み出されたデータとから得られる所定の形式に構築された更なるデータを再度所定のデータベースに書き込む機能を担うデータ読み込み手段を有する(図13参照)。また、個々の端末5〜9は、各々不図示の表示装置、入力装置、及び記憶装置を有する所謂パーソナルコンピュータから構成されている。該端末は、これら構成により、ネットワークサーバ2にアクセスして情報記憶媒体11に対するデータの入力、格納済みデータ或いは分析・演算結果等の表示及びこれらデータの後述するデータベースへの書き込み等行うことが可能となっている。
情報記憶媒体11はマスターデータベースとして、DB1(製品別ロードマップDB)、DB2(モノづくり機能マップDB)、DB3(クラスターテクノロジーDB)、DB4(工法・要素技術別設定目標値DB)、DB5(工法・要素技術者別開発技術者DB)、DB6(工法・要素技術別開発進捗値DB)、及びDB7(工法・要素技術別開発進捗評価DB)を有している。各々のDBは、各々のデータベース毎に特定の書式でもって固有のデータの格納が為される。ここで、各々のDBの内容に付いて、これらが端末の表示画面において表示される書式にて図示し当該内容について説明する。なお、図面中、表示画面におけるカーソルの移動によって異なるDBにアクセス可能なリンクキーも表示されているがこれについては本発明の本質的な部分ではないことからここでの説明は省略する。
図2は、製品別ロードマップDB(DB1)における「厚膜プロセス製品」として分類される製品群に関する製品ロードマップを表示画面上に表形式で表示した状態を示している。該データベースは、特定のプロセスによって形成される製品群、当該製品群中に実際に含まれる製品名による分類を含む。更に各々の製品名により特定される製品について、年度毎におけるサイズ、形状的特長、定格値、製品特性等の求められた個々の特性の目標値について一覧表示可能な形式で格納されている。
ここで表示例についてより詳細に述べる。本実施形態において表示例とされた製品群は、厚膜プロセスによって製造される製品の一群に関するものであり、特に電子部品Aとして分類される製品に関するロードマップを示している。電子部品Aは2001年度においてt1×l1×w1(mm)のサイズからなり、形状上の変化はここ数年なく、定格値が1.0、定格電圧が5.0V、且つ製品特性がX5R他という仕様値で市場に出されている。2002年度、2003年度、2004年度、及び2005年度にかけて、サイズ上の改変は為されているが他の仕様に関しては同等のものが求められていることが理解される。これらデータは、例えば時間軸を横軸とし、且つ各々の項目の何れかを縦軸とした2次元表示も可能となっており、製品の仕様値の推移をグラフ化して閲覧することも可能となっている。なお、当該データベースについは、各端末からのアクセスが可能であるが、データの更新に関しては製品別ロードマップ設定者端末5からのみが可能となっている。
図3は、モノづくり機能マップDB(DB2)における「厚膜プロセス製品」として分類される製品中の電子部品Aに関しての製造プロセスを工程順に並べたロードマップを表示画面上に表形式で表示した状態を示している。通常、ある製品を製造するに際しては、原材料の調製に始まり種々の工程を経る必要がある。当該データベースにおいては、各種工程を格納し、これらを個々の製品の工程に応じてプロセスナンバーP1〜Pnとして再配列して表示することを可能としている。本例については、プロセス1〜10(P1〜P10)を行うことにより、電子部品Aなる製品を製造することができることが理解される。なお、当該データベースについては、各端末からのアクセスが可能であるが、データの更新に関しては製造技術開発管理者端末7からのみが可能となっている。
図4は、クラスターテクノロジーDB(DB3)において、関連するプロセスを表示画面上にクラスター形式にて表示した状態を示している。例えば、電子部品において電極を形成する場合、実際に電極を取り付ける方法、塗布により電極部として形成する方法、電極として金属薄膜を貼り付ける方法等複数の方法が考えられる。当該クラスターにおいては、これら方法を取り付け、塗布、及び貼り付け等と命名した特定のプロセス(後述する工法・要素技術)として分類し、更には関連する印刷、成膜等の技術(プロセス)に関しても、これを電極形成に関する種々のプロセスとし、関連性に基づいてこれらプロセスをまとめて表示している。個々のプロセスは、DB1及びDB2における製造プロセスであって番号の付与によって分類される各々に対応して図示されたクラスターが設けられる。
ここで、本例に示されるクラスターについてより具体的に説明する。ここでは、電子部品Aを製造する工程中におけるプロセスP8についてのクラスターを表示している。当該プロセスは電極形成プロセスとして分類され、クラスターとしては電極形成クラスター(CLA8)として分類される。電極の形成が可能な工法・要素技術としては、工法F81〜工法F88が挙げられる。個々の工法・要素技術に関しては、自社にて保有される技術、開発中の技術、技術者が存在しない等の理由で現状未保有且つ開発予定にない技術に関しても表示されており、且つ色分け等により保有状況を一瞥して確認可能としている。具体的には工法F81〜工法F84が現在実施可能な自社保有技術からなる工法・要素技術であり、工法F85〜工法F88は未保有且つ開発予定にない技術からなる工法・要素技術であることが理解される。
クラスター内における個々の工法・要素技術の抽出及び色分け或いはその配置は、製造技術開発管理者或いは製造技術開発者の判断によりなされることが好ましい。しかし、客観性の担保及びより広範な技術抽出と言った観点から、当該工法・要素技術において予め定められた複数の検索タームの中から特定の検索タームを有するものを抽出することとし、更に当該複数の検索タームに対して一致する検索タームの多い工法・要素技術からクラスター内の色等を決定することとしても良い。また、クラスター表示に際しては、一致検索タームの増加、実際の使用頻度、或いは後述する進捗評価に応じてその色等が常時変更されることが好ましい。なお、当該データベースに関しては、各端末からのアクセスが可能であるが、データの更新に関しては基本的には製造技術開発管理者用端末7からのみ可能となっている。
図5は、クラスターテクノロジーDBにおいて電極形成に用いられる工法F82として表示された技術に関して、工法・要素技術別設定目標値DB(DB4)における各年度における設定目標値を表示画面上に表形式で表示した状態を示している。該データベースは、当該工法F82によって形成される電極(本例では電子部品に関連する技術として例示)において実際に目標とされた設定値を示している。設定値に関しては、電極形成クラスターであることに鑑み、電子部品サイズ、電極のピッチ、電極のサイズ、電極の配置、及び電極における電気抵抗が示されている。具体的には、2001年度から2005年度にかけて電子部品Aのサイズがt1×l1×w1からt5×l5×w5に変遷するに応じて、電極ピッチ及び電極サイズがそれぞれΔt1からΔt5、Δw1からΔw5に変わってきている。
なお、ここに示される設定値(評価項目)は、電極形成において現状表示を指示したものであって、実際のデータベースとしては電極材料、電極数等更なる項目も格納されている。また、これらデータは、例えば時間軸を横軸とし、且つ各々の項目の何れかを縦軸とした2次元表示も可能となっており、製品の仕様値の推移をグラフ化して閲覧することも可能となっている。なお、当該データベースについは、各端末からのアクセスが可能であるが、データの更新に関しては基本的に製品の仕様に関連して決定されることから製品別ロードマップ設定者端末5からのみが可能となっている。
図6は、工法・要素技術者別開発技術者DB(DB5)におけるデータであって、個々の技術者をIDによって特定し且つ各々をクラスターナンバーによって分類し、これらを表示画面上に表形式で表示した状態を示している。なお、当該データには個々の技術者における担当した工法・要素技術についての習熟度、工程開発における貢献度、及び当該工法・要素技術が含まれる技術分野についての理解度に関して、各々自己申告評点及び管理者設定の評点を相加し、その結果をスキル度として表示している。個々の評点に関しては通常は表示せず、必要に応じてこれを参照することを可能としている。また、これらデータは項目に応じて並べ替えが可能であり、例えば特定の工法・要素技術に関してあるレベル以上の技術者を抽出し、これを表示することも可能である。なお、当該データベースは、各端末からのアクセスが可能であるが、データの更新に関しては自己申告の評点を除いては製造技術開発管理者用端末7からのみ可能となっている。
工法・要素技術別開発進捗値DB(DB6)は、図5に示した工法・要素技術別設定目標値DBと同様の様式にて、個々の項目において現状得られている値を入力することで得られたものである。また、図5に示す様式に加え、担当技術者も同時に表示可能としている。従って、表示形式は図5に準じており、工法・要素技術別設定目標値DBの数値とリンクさせて開発進捗状況の推移として時間軸を横軸とする2次元表示することも可能である。なお、開発の進捗に関しては技術担当者が最も早くに情報を入手することが可能な関係から、各端末においてデータのアクセス及び更新が可能となっている。
図7Aは、工法・要素技術別開発進捗評価DB(DB7)に格納されたデータを一覧表形式にて表示したものである。当該図は、クラスターテクノロジーDBにおいて電極形成に用いられる工法F82として表示された技術に関して、工法・要素技術別設定目標値DB(DB4)における各年度における設定目標値に対しての実施可能状況を○×形式にて表示画面上に表形式で表示した状態を示している。これら○×等は、付加情報として開発進捗を表示する際に3次元表示フォーマットで同時表示される。当該データベースによれば、製品となる電子部品の電極形成方法として工法F82を用いることにより、2005年の要求仕様値を十分に満足する電極を得ることが可能であることが理解される。図7Bは、同様のクラスターにおける工法F84を用いた場合の開発進捗の評価を示している。当該データベースによれば、工法F84によっては、2005年度の製品における要求仕様値を満足する電極は得られる可能性が低く、現在まだ開発が進められていることが理解される。なお、本実施形態では評価結果としての表示形式に○×方式を用いている。しかし、例えば実際のデータベースとして、目標の電極ピッチに対する現状実績のある電極ピッチの比率等によりパーセンテージとして評価値を作成してもよい。また、技術者が把握する開発の到達レベルに応じて提出される自己申告に基づいたパーセンテージを評価値として格納することとしても良い。
以上に述べたデータベースの構造について、次に図面を参照して説明する。図8は、データベースの構造を示す説明図である。同図においては、個々のデータベースにおいて格納されるデータの項目と、各々のデータベース間の横串構成を示している。図中の項目リンクにおける数字は、対応する数字に示される項目間で上述した画面表示中のキーリンクが可能であることを示す。また図中の矢印は上述した表示画面間におけるフローに対応するチェインリンクの存在を示す。DB1には、製品群T1、製品名T2、年度T3及び製品外形仕様値等の製品仕様値T4の項目に分類されるデータが格納されている。また、製品群T1、製品名T2、及び製品仕様値T4のデータは、当該データベースDB1に専用保有される。DB2には、製品群T1、製品名T2、年度T3、プロセスナンバーT5、及びプロセス名T6の項目に分類されるデータが格納されている。また、製品名T2、プロセスナンバーT5及びプロセス名T6のデータは、当該データベースDB2に専用保有される。更に、DB1における製品群T1及び製品名T2のデータは、DB2における製品群T1及び製品名T2のデータとリンクされている。
DB3には、年度T3、プロセスナンバーT5、プロセス名T6、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9及び工法・要素技術名T10の項目に分類されるデータが格納される。当該データの内、プロセスナンバーT5、プロセス名T6、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9及び工法・要素技術名T10の各データは、当該データベースDB3に専用保有される。また、DB2におけるプロセスナンバーT5及びプロセス名T6のデータは、DB3におけるプロセスナンバーT5及びプロセス名T6のデータとリンクされている。DB4には、年度T3、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、及び製品目標精度等要素の仕様目標値T11の項目に分類されるデータが格納される。当該データの内、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10及び要素の仕様目標値T11の各データは、当該データベースDB4に専用保有される。また、DB3におけるクラスターナンバーT7及びクラスター名T8のデータは、DB4におけるクラスターナンバーT7及びクラスター名T8のデータとリンクされている。なお、これらデータはDB5〜DB7における同データともリンクされている。
DB5には、年度T3、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、技術者ナンバーT12、技術者名T13及びスキル度T14の項目に分類されるデータが格納される。当該データの内、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、技術者ナンバーT12、技術者名T13及びスキル度T14の各データは、当該データベースDB5に専用保有される。また、DB4における工法・要素技術ナンバーT9及び工法・要素技術名T10のデータは、DB5における工法・要素技術ナンバーT9及び工法・要素技術名T10のデータとリンクされている。なお、これらデータはDB3、DB6及びDB7における同データともリンクされている。DB6には、年度T3、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、技術者ナンバーT12、技術者名T13、及び製品進捗精度等要素の開発進捗度T15の項目に分類されるデータが格納される。当該データの内、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、及び要素の開発進捗度T15の各データは、当該データベースDB6に専用保有される。また、DB5における技術者ナンバーT12及び技術者名T13のデータは、DB6における技術者ナンバーT12及び技術者名T13のデータ、及びDB7における同データとリンクしている。
DB7には、年度T3、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、要素の仕様目標値T11、技術者ナンバーT12、技術者名T13、要素の開発進捗度T15、製品進捗評価等要素の開発進捗評価T16、製品精度進捗率等要素の開発進捗率T17、及び製品精度進捗率下限等要素の開発進捗率下限T18の項目に分類されるデータが格納される。当該データの内、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、開発進捗評価T16、開発進捗率T17、及び開発進捗率下限T18の各データは、当該データベースDB7に専用保有される。以上述べたように、本構造においては、製品ベースではなく、クラスターテクノロジーDB(DB3)におけるクラスターナンバーT7及び工法・要素技術ナンバーT9に関連づけてDB5〜DB7に格納される各データをリンクさせる構造をとっている。これにより、リンクの形式を簡略化し、必要となるデータ間でのソート作業、後述するグラフ化作業等を行う際のネットワークサーバ2の付加を低減し、作業速度の高速化を図ることが可能となる。
DB7における開発進捗率T17は、工法・要素技術名T10と関連付けることにより、新たに開発を行おうとする製造プロセスにおいて現状どのような進捗状況にあるかを3次元的に示すことも本実施形態においては可能である。図9は、電子部品Aの製造技術に関して、実際の開発進捗状況をパーセンテージ表示している。図中X軸には、DB2において専用保有されるプロセス名T6が工程順に並べられている。図中Y軸には、X軸上に並置された個々のプロセス各々について、DB3においてクラスターとして表示された各々の工法・要素技術名が並べられている。例えばX軸上のプロセスP8(電極形成プロセス)においては、クラスター中に工法F81〜工法F88があるがこれらの中の自社保有技術である工法F81〜工法F84がY軸上に表示される。更に、これらX座標、Y座標により特定される座標上に、当該技術の進捗状況がZ軸方向に伸びる書式でパーセンテージ表示される。
当該図によれば、電極形成プロセスP8においては、工法F82の進捗状況が最も進んでおり、工法F84が最も遅れていることが瞬時に理解される。また、当該表示においては、進捗状況が実際に電極形成プロセスを実施可能なレベルを超えた場合には、他の場合と表示時の色を異ならせることとしている。当該図によれば、工法F81〜工法F83は電子部品Aの電極形成を行う技術として何れも採用可能であるが、工法F84はまだ実施レベルに達していないことが容易に理解される。また、工法F82が製造技術として最も現状完成度が高いことも理解される。
電子部品Aとして例えばチップコンデンサを考えた場合、2004年度においては所謂ディッピング方式が工法F82に対応しているかもれない。通常年度が進むにつれてチップコンデンサの仕様として最も大きく変更される可能性のあるものはサイズ(縮小)と考えられる。通常、このようなスケールダウンに対しても同様の方式での対応を模索し、事実上それが不可能な段階に至って始めて他の方法の検討の検討が行われる。しかし、本発明によれば、クラスターにおいて例えば磁気ヘッド向けの電極形成方法等、他のより小さな電子部品の電極形成方法が関連技術として抽出されており、且つ目標サイズに対する進捗度までデータ化されている。従って、現状技術の適用状況に鑑みて、ある程度既に完成された新たな技術の検討を平行して行うことが可能となる。また、当該技術の進捗状況を例えば横軸時間軸として表示し、スケールダウンに対する対応力を見ることも可能である。これにより、将来的にどのような技術が最も適用可能性が高いかということを、予め推測することも可能となる。
また、製造技術開発において、課題を有する工程の開発スタッフを選定する際に、本実施形態におけるDB5を先に述べたクラスターにおける工法・要素技術名T10の各々と各スタッフとを関連付けて表示させ、これを用いることも可能である。図10は、電子部品Aの製造工程中の電極形成プロセスにおいて、クラスター表示された個々の技術に対する開発技術者のスキル度を3次元表示するものである。当該表示において、X軸上には電子部品Aの製造工程に用いられる可能性のある、例えば個々の工程においてクラスター表示された工法・要素技術各々が表示される。Y軸上には、開発スタッフが各々表示される。更に、これらX座標、Y座標により特定される座標上に、当該開発スタッフの工法・要素技術各々に対するスキル度がZ軸方向に伸びる書式で数値換算表示される。
当該図によれば、例えば電極形成プロセスP8においては、工法F12に対しては技術者E12が32のスキル度を有し、工法F81に対しては技術者E81が80のスキル度を有し、工法F82に対しては技術者E82が92のスキル度を有し、工法F83に対しては技術者E83が84のスキル度を有し、更に工法F84に対しては技術者E84が48のスキル度を有することが瞬時に理解される。また、当該表示においては、スキル度が実際に当該プロセスP8を実施可能なレベルを超えた場合には、他の場合と表示時の色を異ならせることとしている。当該図によれば、電子部品Aの電極形成を行うための個々の工法F81〜F83に対して技術者E81〜E83を採用することでこれを実施することが可能となるが、工法F12或いは工法F84に対して対応可能な技術者E12或いはE84はまだ実施遂行を可能とするレベルに達していないことが容易に理解される。従って、当該プロセスP8を実施可能なレベルに確立する上で、更なる人員の検索、或いは要員の確保が必要であることが容易に理解される。
次に、本実施形態に係る管理システムを用いて、実際に製造技術開発を管理する際の手順について、フローチャートを用いて説明する。図11はDBの検索と運用管理に関しての基本的なフローを示している。運用に際しては、まず、ステップ1において、製造技術開発管理者用端末7において、開発管理者が検索キーをもちいて工法・要素ナンバーT9及び工法・要素技術T10を入力する。ステップ2では、入力されたDB上のT9及びT10よりリンクして、DB7に収容されるT9、T10、技術者ナンバーT12、及び技術者名T13の各データを呼び出し、実際に当該工法・要素技術を実施するスキルを有する技術者についての照合が為される。ステップ3では、当該スキルを有する技術者の有無の判定を行う。該当する技術者が存在しない場合フローはステップ8に進み、要素の開発評価T16とデータをリンクさせ、メッセージとして当該工法・要素技術は未保有の技術であることを端末表示画面上に表示させる。
この場合、当該工法・要素技術は新たに開発する必要があることが明らかとなることから、新たな開発テーマとしてこれを入力する。具体的には、工法・要素技術設定目標値をDB4に、工法・要素技術別開発者名をDB5に、それぞれ年度T3、T9、T10、要素の仕様目標値T11、T12及びT13として入力する。ステップ3において該当する技術者が存在することが確認された場合には、フローはステップ4に進む。ステップ4においては、DB7における予め検索済みのデータに加え、更に要素の開発進捗値T15に関するデータも検索する。検索後、ステップ5において、得られた開発進捗値T15と予め入力済みの要素の仕様目標値T11とより、新たに当該工法・要素技術に関する進捗率T17を計算し、これを表示する。なお、本実施形態においては、T17の算出に際して進捗値T15を目標値T11で除することによって得ることとしている。しかし、本発明はこれに限定されず、特定の係数の付加、更なる設定済み条件式等を適宜行い、その上で当該データT17を求めることとしても良い。
算出された進捗率T17を用い、ステップ6においては目標仕様が達成されているか否かが判定される。判定結果が達成済みとなった場合には、フローはステップ13に進み、要素の開発評価T16とデータをリンクさせ、メッセージとして当該工法・要素技術は既に開発完了済みの技術であることを端末表示画面上に表示させる。未達成であることが確認された場合にはフローはステップ7に進み、更なる評価を行う。具体的には、要素の進捗率下限T18と進捗率T17との比較をステップ7にて行う。進捗率T17が進捗率下限T18を下回る場合には、フローはステップ10に進む。
当該ステップにおいては、要素の開発評価T16とデータをリンクさせ、メッセージとして当該工法・要素技術は未完成であり、更なる開発を要する技術であることを端末表示画面上に表示させる。この場合、当該工法・要素技術は更に開発を進める必要があることから、開発体制の再構築等の対策を講ずることが必要であるとして当該対策を入力する。具体的には、例えば新たな技術者を再度検索し、工法・要素技術設定目標値をDB4に、新たに検索された工法・要素技術別開発者名を追加要員としてDB5に、それぞれ年度T3、T9、T10、要素の仕様目標値T11、と共にT12及びT13を更に入力する。
ステップ7において進捗率T17が進捗率下限T18を上回ることが確認できた場合、当該技術が設定目標に準じて開発進行中であることが確認されたこととなる。この場合フローはステップ12に進み、要素の開発評価T16とデータをリンクさせ、メッセージとして当該工法・要素技術は順調に開発進行中の技術であることを端末表示画面上に表示させる。以上の基本手順に従って個々の工法・要素技術の開発状況を管理し、且つ人員の配置等開発進捗のフォローアップを適宜行うことにより、製造技術開発を円滑且つ迅速に行うことが可能となる。
次に、上述したフローを実際に進める上で、端末上の表示画面に表示される実際の内容及び本実施形態において行う処理について具体的に述べる。表1は、当該フローを進める上での画面の名称、表示項目の内容、及びデータベースから使用されるデータ群を示している。運用開示時において、「モノづくり機能マップ」なる画面において、表形式にて製品群、製品名が行として表示され、製品の製造工程(プロセス)順序が各々プロセスナンバー及びプロセス名として表示される。また物づくり機能マップDB2よりT1、T2、T5及びT6が使用される。当該画面は運用上のホームポジションとなる画面であり、製品のロードマップとリンクして2次元表示が可能である。プロセス名は製造技術開発管理者によって入力し、登録される。また、登録されたデータベースよりこれらプロセスは工程順序に応じて表示される。各々の工程(プロセス)名より次の画面にリンク可能となっている。
次画面は「クラスターテクノロジー」を表示する。当該画面では、先に述べたように各工程で必要な工法・要素技術名を記した房状のクラスターが表示される。当該図は各プロセスを行うことが可能な複数の工法の集合体を指名している。個々の工法・要素技術は房中の個々の粒として表示される。使用データは、クラスターテクノロジーDB3におけるT5、T6、T7、T8、T9及びT10となり、工法・要素技術別進捗評価DB7におけるT16となる。なお、必要な工法・要素技術に関しては製造技術開発管理者が入力し、登録する。これら個々の粒から具体的な工法・要素技術の詳細にリンクが張られる。
次画面は「目標設定値」を表示する。各工法・要素技術で要求される目標値の推移が表形式で示される。具体的には、横軸を年度等の時間軸とし、縦軸として個々の仕様及び目標値が示される。使用データは、工法・要素技術設定目標値DB4におけるT3、T7、T8、T9、T10及びT11となる。当該データベースにおける各年度における目標値に関しては、製造技術開発管理者が入力し、登録する。当該目標値に対しては各々の表示に対してその評価がリンクされている。
設定された目標値に対して、次に「開発進捗の評価」が表示される。当該画面においては、各工法・要素技術における進捗推移が表形式で示される。具体的には、横軸を時間軸とし、縦軸として個々の工法・要素技術における進捗度が示される。また、進捗度に応じて、目標値が得られて進捗度が100%を超えるものは保有技術として、100%未満であって開発継続中のものは開発中として、またあるレベル以下ものは未保有或いは未達成として○×等の付随データと共に表示される。これら付随データは、ネットワークサーバ2における演算手段において為される、図11に示すフローチャートの各演算等と通じて算出され、製造技術開発管理者用端末7に表示される。なお、以下に述べる開発進捗に関連する各評価データ或いは表示に用いられる各データは上述したようにネットワークサーバ2における演算手段において為される。使用データは、工法・要素技術別開発進捗評価DB7におけるT3、T7、T8、T9、T10、T12、T13及びT16となる。
先の「開発進捗の評価」画面においては、各種の開発進捗の表示形式へのリンクが張られており、そのうちの一つより「開発進捗の3次元表示1」なる画面に進める。当該画面では、図9に示すような製造プロセスをX軸、工法・要素技術をY軸に表示し、且つZ軸方向に年度表示を行う。各座標には上述したO×等の付随データを表示する。当該画面より、適用可能な工法・要素技術がどの程度保有され且つどの程度の進捗ペースで開発が行われているかが一覧できる。使用データは、物づくり機能マップデータDB2におけるT2、T3及びT6、クラスターテクノロジーDB3におけるT3及びT10、及び工法・要素技術別開発進捗評価DB7におけるT3、T10及びT16となる。
なお、「開発進捗の評価」画面からは「開発進捗の3次元表示2」なる画面にも進める。当該画面では図9に例示した表示がなされる。当該画面より、単年度において適用可能な工法・要素技術がどの程度保有され且つどの工法・要素技術の開発を注力して行えば該技術を保有技術とし得るかが一覧できる。使用データは、物づくり機能マップデータDB2におけるT2、T3及びT6、クラスターテクノロジーDB3におけるT3及びT10、及び工法・要素技術別開発進捗評価DB7におけるT3、T10、T16及びT17となる。
なお、開発進捗値の入力は「開発進捗値の入力」画面より為される。当該画面は、工法開発技術者端末における表示画面に表示される。該端末においては、各工法・要素技術に携わる開発技術者各々によって、時間軸(開発日程)と現在の進捗値の入力が為される。当該画面は設定された目標値の表示も可能となっており、同時に単なる数値入力を行うことでネットワークサーバ2が該数値を用いた所定の演算を実施する。該演算によって入力数値を進捗率等のデータに換算した後に、これらデータは工法・要素技術別開発進捗評価DB7に格納される。なお、実際に入力されるデータはDB7におけるT3、T7、T8、T9、T10、T12、T13及びT15となる。
なお、実際に上記フローに入る前段階として、実際の製品のロードマップを確認することが必要となる。当該確認操作は、「製品ロードマップ」なる表示画面を用いて行われる。表2は、当該フローを進める上での画面の名称、表示項目の内容、及びデータベースから使用されるデータ群を示している。当該表画面では、製品群、製品名に関連して年度を横軸とし、該製品におけるサイズ、特性等の仕様値を縦軸として製品の要求仕様値が2次元表示される。当該表示基づいて、現在及び将来のロードマップを推測することも可能である。使用されるデータは、製品別ロードマップDB1におけるT1、T2、T3及びT4となり、各々のデータは、製造技術開発管理者端末7を用いて製造技術開発管理者が各製品群、各製品名毎に登録する。当該画面は「モノづくり機能マップ」の画面とリンクしており、当該画面に進んだ後、前述したフローに従って開発管理を行うこととなる。
また、「クラスターテクノロジー」の画面からのリンクとして、「技術者マップ」の画面に進むことも可能である。表3は、当該フローを進める上での画面の名称、表示項目の内容、及びデータベースから使用されるデータ群を示している。当該画面においては、行として技術者名、技術者ナンバーが、列としてクラスターナンバー、工法・要素技術ナンバー、工法・要素技術名及び各個人のスキル度が配置された一覧表が示される。使用されるデータは、工法・要素技術別開発技術者DB5におけるT7、T8、T9、T10、T12、T13及びT14となる。各技術者のスキル度は、製造技術開発管理者端末7を介して製造技術開発管理者が入力したデータ、及び各技術者が工法開発技術者端末9から入力したデータが存在すればこれも加味して、ネットワークサーバ2におけるスキル度算出手段によって算出され、T14としてDB5に格納させている。
「開発進捗の評価」画面からは、当該技術者マップにおいて表示された各データを加味してこれらを表示する「開発進捗の3次元表示3」なる画面にも進める。当該画面では、図10に示すような工法・要素技術をX軸に、各技術者をY軸に表示し、且つZ軸方向に年度表示を行う。各座標には上述したO×等の付随データを表示する。当該画面より、保有された工法・要素技術に携わり得る技術者の有無、及び開発が進められた状態にある工法・要素技術に携わる技術者の要否が一覧できる。使用データは、物づくり機能マップデータDB2におけるT2、T3及びT6、クラスターテクノロジーDB3におけるT3及びT10、及び工法・要素技術別開発進捗評価DB7におけるT3、T10及びT16となる。
「開発進捗の評価」画面からは、当該技術者マップにおいて表示された各データを加味してこれらを表示する「開発進捗の3次元表示4」なる画面にも進める。当該画面では図10に例示した表示がなされる。当該画面より、単年度において適用可能な工法・要素技術に携わる技術者のスキル度がどのレベルにあり且つどの技術者を開発中の工法・要素技術に注力すれば該技術を保有技術とし得るかが一覧できる。使用データは、物づくり機能マップデータDB2におけるT2、T3及びT6、クラスターテクノロジーDB3におけるT3及びT10、及び工法・要素技術別開発進捗評価DB7におけるT3、T10、T16及びT17となる。
次に、本発明の一実施形態に係るシステムの運用形式について図面を用いてこれを説明する。図12は、ネットワークサーバ2を介してマスターデータベース11にデータを格納する際に、該ネットワークサーバ2において関連付けられる各データの相関を模式的に示している。なお、格納されるデータは製品各々に対して存在しているが、説明の容易化のために同図においては製品名「製品1」なるものの場合についてのみ例示することとする。製品名「製品1」は、製造プロセス分類「プロセス分類1」なる製造プロセスによって製造される。当該製造プロセスは、プロセス名「プロセスP1」、「プロセスP2」、・・・「プロセスPn」によって構成されている。プロセスP1〜Pnの各々は、対応するクラスターテクノロジー名「クラスターCla1」、「クラスターCla2」・・・「クラスターClan」なるクラスターによって表示される個々の工法・要素技術を含み得る。個々のクラスター内に含まれる工法・要素技術は、例えば「クラスターCla1」では各々工法・要素技術名「工法F11」、「工法F12」・・・「工法F1m」として個別のプロセスとして管理され、「クラスターClan」では各々工法・要素技術名「工法Fn1」、「工法Fn2」・・・「工法Fnm」として個別のプロセスとして管理される。以上のデータは、製造技術開発管理者によって予め登録されている。
各々の工法にはデータ及び目標値が設定されるが、当該データは製造技術開発管理者端末7を介して、製造技術開発管理者により適宜更新登録される。本実施形態においては、個々の工法に対して一人の工法開発技術者が対応して配置されている。例えば、工法F11は工法開発技術者E11なる者がその開発の実際を担い、工法Fnmは工法技術開発者Enmなる者がその開発を担っている。各々の工法開発技術者は、工法開発技術者端末9を用いて技術者のスキル度に関する技術者照合データ、及び個々の工法における現状の到達値を入力する。なお、各々のデータの入力は、実際の工法の開発進捗に応じて随時行われ、現在値データ及び技術者照合データは工法開発技術者により随時更新される。
ネットワークサーバ2は、開発管理者より更新された個々の工法に関する目標値データと工法開発技術者より更新された現在値データとを照合し、進捗状況を数値化して評価する。得られた評価数値は予め定められた規定値によって○×等の評価結果として単純化し、当該結果に基づいて個々の工法が開発完了状態(上述した自社保有技術と呼べる状態)であるか、開発を行う必要性があるか否か等の判定を行う。
次に実際にネットワークサーバ2にて実行される各種評価等の処理について述べる。図13は、ネットワークサーバ2の構成の一例と、これら構成と端末及びデータベースとの関係を示すブロック図である。ネットワークサーバ2は、データ読み込み手段13、データ記憶手段15、演算手段17及び表示方法指定手段19を有している。データ読み込み手段はマスターデータベース11とデータの授受が可能であり、マスターデータベース11内の個々のデータベースの何れのデータを用いるかを指定するデータベース指定手段13a及び用いるデータの属性を判定する属性判定手段13bを更に有している。データ記憶手段15は、データ読み込み手段13がマスターデータベース11より読み込んだデータを一時的に格納する。演算手段17は、演算方法記憶手段17aを含み、製造技術開発管理者端末7によって指定されたデータ処理を行うために必要な複数種類の演算形式を保持し、これらを任意に選択して実行可能となっている。
演算手段17はデータ記憶手段15に一時的に格納されたデータ同士、或いは当該データとマスターデータベース11よりデータ読み込み手段13が読み込んだデータとを用いて、指定された形式の演算を行う。得られた演算結果は、改めて、データ記憶手段15及びマスターデータベース11内の任意の格納領域に登録される。表示方法指定手段19は、製造技術開発管理者端末7からの指定に応じて、データ記憶手段15及びマスターデータベース11内に格納されたデータ或いは演算結果を指定された表形式に並び替え、これらをグラフ化等して表示可能なデータに組み替える。表示方法指定手段19は、これら組み換え済みのデータを製造技術開発管理者端末7における表示画面に対して送信し、当該データを該表示画面上に表示させる。
なお、演算方法記憶手段17aに格納される演算方法としては、例えば、図11に示したフローチャートにおけるT17の算出方法がある。該演算方法は、実際のデータベースとして、目標の電極ピッチに対する現状実績のある電極ピッチの比率等によりパーセンテージとして算出される。しかし、実際の開発においては、例えば電極のピッチは工法によって構築可能な下限値が存在する場合があり、そのような場合目標値が当該下限値を超えるか否かにより実際の寸法上の比較では進捗状況が判断できない。この場合、技術者が把握する開発の到達レベルに応じて提出される自己申告に基づいたパーセンテージを評価値として同時に格納することとし、当該評価値を用いることしても良い。或いは当該評価値を属性として個々のデータに付与し、これを属性判定手段13bによって読み出して付加データとして表示することとしても良い。或いは、当該工法によって理論上得られている電極ピッチの下限値を工法の属性値として付加しておき、実際の演算においては当該下限値に対しての目標値の持つ意味を「目標値/下限値」で算出してこれを示し、当該データとT17なるデータとを同軸上に存在するチャートとして求めることとしても良い。
また、クラスターテクノロジーDB3に表示される個々のデータについて予め当該データを概略的に説明する文章或いはキーワードを付加しておくことが好ましい。当該文章等を付加しておくことにより、クラスターを構成する際に属性判定手段13bがキーワード検索等を行い、該当キーワードの数からクラスター表示の要否を判定することが可能となる。例えば、現状のクラスター表示される工法・要素技術のみでは製造技術開発の展望が得られない或いは得ることの困難性が予測される場合、当該キーワード数を減らすことにより、更なる工法・要素技術を該製造技術に対する適用候補として選択肢、判定の材料とすることが可能となる。
なお、本実施形態においては、製造技術開発管理者端末7によって上述した各構成を動作させるように述べている。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されず、工法開発技術者端末9からのネットワークサーバ2に対するこれら種々のアクセスを可能としても良い。特にスキル度の設定或いは進捗状況の更新に関しては、各工法担当の技術者からのアクセスを可能とすることが好ましい。当該更新データは、演算方法記憶手段17aに格納される重み付け係数を加えた上でマスターデータベース中の工法・要素技術別開発技術者DB5及び工法・要素技術別開発進捗値DB6における各々のデータの属性として格納される。これら属性データは、工法・要素技術別開発進捗評価DB7の各データを演算手段17により再演算する際に製造技術開発管理者端末7に表示し、再演算時の補正係数として用いられる。当該補正係数は、予め設定されて演算方法記憶手段17aに格納されており、属性判定手段13bによる重み付け係数の判定結果に基づいて適宜変更される。
なお、本実施形態においては、演算手段等、実際に本発明における管理システムにおける種々のフローを実行する構成をネットワークサーバに配置することとした。しかし、本発明は当該形態に限定されず、マスターデータベース、或いは製造技術開発管理者端末等にこれら構成を配置することとし、必要に応じて各構成に他の端末等からアクセスして該フローを実行することとしても良い。
以上に述べた実施形態を有する本発明に係る管理システムを用いることにより、製造技術開発時において、開発すべき製品に対する現状の製造技術の位置づけを容易に知ることが可能となる。また、当該製品の製造に向けて、どのような工程に問題があり、当該工程の改変・開発のためにどのような社内リソースの注入が的確であるかを容易に知ることも可能となる。特に新たな工法を開発すべきか否か、及び更なる要員が必要か否かに加え、注力すべき人的リソースの存在及び配置等に関しても即座に知ることが可能となる。従って、製造技術開発の速度を全般的に高めることが可能となる。
以上述べた第一の実施形態において、基本的にデータベースに格納される諸データは主に製造技術開発管理者によって更新される頻度が高く、また実際の運用に関しては製品別ロードマップ設定者によって為される頻度が高くなると考えられる。しかしながら、これら管理者或いは設定者が、実際にデータベースに格納された各工法・要素技術を予め全て認識しておくことは、事実上困難であると思われる。また、仮に大まかな内容は把握できていたとしても、個々の製品の仕様に応じて僅づつ改変されてきた技術に対して、このような微細な改変内容を把握する或いはロードマップ作成時等に即座に認識することは更に困難であると思われる。次に、述べる本発明のさらなる実施形態は、このような状況に対する対応を考慮したものである。以下に、本発明の更なる実施形態について述べる。なお、当該実施形態におけるデータベース内の構成、サーバ構成等の諸構成について、先に述べた実施形態における構成等と同一のものに関しては同一の参照符号等を用いて図示することとする。また、これら構成の内容、動作等の説明に関しても、説明の簡略化のために基本的には省略することとし、主として先の実施形態と相違する構成等についてのみ詳述することとする。
図14は、本発明の更なる実施形態に係る製造技術開発用管理システムの全体の概略構成を示すブロック図である。図に示す管理システムは、第一の実施形態において示した管理システム1と比較して、マスターデータベース11がDB8(工法・要素技術別映像ライブラリDB)を有すること、及びネットワークサーバ2とは独立したストリーミングサーバ22を有することが異なっている。工法・要素技術別映像ライブラリDB(DB8)は、映像に加えて音声或いはテキストを用いてその内容を解説したライブラリを、各工法・要素技術毎に格納している。格納に際してのデータ形式としては、MPEG-7、MPEG-4、MPEG-2が好ましい。当該映像ライブラリは各端末において閲覧可能であり、個々の閲覧者は映像の再生等によって容易且つ性格に対象となる工法・要素技術を理解することが可能となる。
なお、本実施の形態において、映像ライブラリを各端末に配信する専用サーバとしてストリーミングサーバ22を用いることとしている。当該ストリーミングサーバを用いることによって、データの実質的なダウンロードを行わなくとも各端末によって映像を閲覧することを可能とし且つデータ配信についてもこれを短時間で行うことを可能としている。また、当該工法・要素技術別映像ライブラリにおける各データの登録或いは更新は、主に各工法・要素技術開発技術者が各々の端末9を介して行われる。しかしながら、ストリーミングサーバ22を介して映像等の配信を行う関係上、個々のデータは後述するストリーミング用データ読み込み手段(図17参照)を介してストリーミング用データにエンコードした上で工法・要素技術別映像ライブラリDB8に格納される。
次に、工法・要素技術別映像ライブラリDB8に格納されるデータ構造について、当該構造の説明図である図15を参照して述べる。DB8には、年度T3、クラスターナンバーT7、クラスター名T8、工法・要素技術ナンバーT9、工法・要素技術名T10、技術者ナンバーT12、技術者名T13、及び工法・要素技術ナンバー別映像ライブラリT19の項目に分類されるデータが格納されている。ここで、工法・要素技術ナンバー別映像ライブラリT19は、当該データベースDB8に専用保有される。また、工法・要素技術ナンバーT9及び工法・要素技術名T10なるデータ群に関してはDB4〜DB7における同データ群とリンクが為されている。
本実施形態においては、例えば図16に示す画面を選択し、当該画面においてクラスター形式にて表示される特定のプロセス(工法)を選択することによって、実際のライブラリ閲覧画面に移行可能となる。具体的には、例えば当該画面における工法F85を選択することによって、ポップアップウインドが開いて閲覧画面に移行し、当該画面にて映像・音声等が閲覧可能となる。しかしながら、ポップアップウインド形式での閲覧画面への移行は、当該画面に限定されず、特定のプロセス(工法)が指定できる画面からであれば何れの画面より行うこととしても良い。
次に、実際にストリーミングサーバ22にて実行される各種処理について述べる。図17はネットワークサーバ2及びストリーミングサーバ22の構成と、これら構成と端末及びデータベースとの関係を示すブロック図である。なお、ネットワークサーバ2の構成及び当該サーバで為される各種処理等は先に述べた第一の実施形態のものと同様であるためここでの説明は省略する。ここで、ストリーミングサーバ22は、ストリーミング用データ読み込み手段23、ストリーミング用データ記憶手段25、ストリーミング用演算手段27、ストリーミング用表示方法指定手段29、及びデータ配信手段31を有している。ストリーミング用データ読み込み手段はマスターデータベース11とデータの授受が可能であり、マスターデータベース11内の個々のデータベースの何れのデータを用いるか、或いは当該データを該データベース内の何れの場所に格納するかを指定するストリーミング用データベース指定手段23a及び用いるデータの属性を判定するストリーミング用属性判定手段23bを更に有している。
ストリーミング用データ読み込み手段23は、後述するストリーミング用演算手段27等を介して所定の様式に編集された映像等をストリーミング用にエンコードする。ストリーミング用属性判定手段23bは当該映像等に含まれる属性データに基づいてエンコード済みデータが格納されるべきマスターデータベース11(より具体的にはDB8)内の場所を特定し、ストリーミング用データベース指定手段23aが当該場所へのデータの格納を実行させる。ストリーミング用データ記憶手段25は、ストリーミング用データ読み込み手段23がマスターデータベース11より読み込んだデータを一時的に格納する。ストリーミング用演算手段27は、ストリーミング用演算方法記憶手段27aを含み、製造技術開発管理者端末7によって指定されたデータ処理を行うために必要な複数種類の演算形式を保持し、これらを任意に選択して実行可能となっている。これら演算を実行することによって個々に撮影・録音等されたライブラリは所定の記憶様式とされ、属性が付加された上でストリーミング用データ読み込み手段23に送られてエンコーディングが為される。
なお、ストリーミング用演算手段27はストリーミング用データ記憶手段25に一時的に格納されたデータ同士、或いは当該データとマスターデータベース11よりストリーミング用データ読み込み手段23が読み込んだデータとを用いて、指定された形式の演算を行っても良い。得られた演算結果は、改めて、ストリーミング用データ記憶手段25及びマスターデータベース11内の任意の格納領域に登録されることとしても良い。ストリーミング用表示方法指定手段29は、製造技術開発管理者端末7からの指定に応じて、ストリーミング用データ記憶手段25及びマスターデータベース11内に格納されたデータを指定されたエンコード形式からなるデータに組み替える。当該ストリーミング用表示方法指定手段29は、これら組み換え済みのデータを製造技術開発管理者端末7における表示画面に対して送信し、当該データを該表示画面上に表示させる。同時に、映像・音声等の配信に際してストリーミングサーバ22はネットワークサーバ2の動作と連携をとる必要性があり、ストリーミング用表示方法指定手段29がネットワークサーバによって表示されるであろうデータを把握し、当該データの送信と連動させることによって必要な映像・音声の送信が行われる。
ストリーミングサーバ22は、更にデータ配信手段31を有している。マスターデータベース11に格納された映像・音声等は通常のネットワークサーバ2を経ずに当該ストリーミングサーバ22から直接端末に配信されるが、これら映像・音声等は最終的には当該データ配信手段31を介して出力される。当該構成によって、映像・音声等のデータのリアルタイム配信が可能となる。また、映像等によってストリーミング用演算手段27を介することなく直接データ配信手段31にデータを送ることが好ましい場合も考えられる。当該サーバ22においてはストリーミング用データ読み込み手段23とデータ配信手段31との間において直接データの授受を行うことを可能とし、これによりデータ配信の速度をより高めることとしている。
なお、本実施形態においては、製造技術開発管理者端末7によって上述した各構成を動作させるように述べている。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されず、工法開発技術者端末9からのネットワークサーバ2に対するこれら種々のアクセスを可能とすることが好ましい。実際の工法等を映像・音声化する上で個々の担当者がこれを行った場合のほうがより迅速且つ適当なタイミングでこれらデータを更新可能であり、従って当該データベースDB8の更新に関しては、各工法担当の技術者からのアクセスを可能とすることが好ましい。当該更新データは、ストリーミング用演算方法記憶手段27aに格納される重み付け係数、ストリーミング用データ読み込み手段23によるエンコード化を経た上でマスターデータベース中の工法・要素技術ナンバー別映像ライブラリにおける各々のデータとして格納される。これら属性データは、各端末にたいしてデータ配信手段31がデータを配信する際に製造技術開発管理者端末7等に表示し、映像におけるパラメータ等として同時に表示される。
なお、本実施形態においては、演算手段等、実際に本発明における管理システムにおける種々のフローを実行する構成をネットワークサーバに配置することとし、映像配信用にストリーミングサーバを該ネットワークサーバと平行して設けることとした。しかし、本発明は当該形態に限定されず、マスターデータベース、或いは製造技術開発管理者端末等にこれら構成を配置することとし、必要に応じて各構成に他の端末等からアクセスして該フローを実行することとしても良い。
以上に述べた実施形態を有する本発明に係る管理システムを用いることにより、製造技術開発時において、開発すべき製品に対する現状の製造技術の位置づけを容易に知ることが可能となる。同時に、実際に行われるであろう、或いは行おうとする製造技術を映像・音声によって各担当者等に示すことが可能となり、これら技術の内容の確認、理解を容易且つ迅速に行うことが可能となる。また、当該製品の製造に向けて、どのような工程に問題があり、当該工程の改変・開発のためにどのような社内リソースの注入が的確であるかを容易に知ることも可能となる。特に新たな工法を開発すべきか否か、及び更なる要員が必要か否かに加え、注力すべき人的リソースの存在及び配置等に関しても即座に知ることが可能となる。従って、製造技術開発の速度を全般的に高めることが可能となる。
1:製造技術開発管理システム、 2:ネットワークサーバ、 3:社内イントラネット、 5:製品別ロードマップ設定者端末、 7:製造技術開発管理者端末、 工法開発技術者端末、 11:マスターデータベース、 13:データ読み込み手段、 15:データ記憶手段、 17:演算手段、 19:表示方法指定手段、 22:ストリーミングサーバ、 23:ストリーミング用データ読み込み手段、 25:ストリーミング用データ記憶手段、 27:ストリーミング用演算手段、 29:ストリーミング用表示方法指定手段、 31:データ配信手段