以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の過給圧制御装置が適用された内燃機関10を示している。内燃機関10は、内燃機関の本体(以下「機関本体」という)20と、該機関本体の4つの燃焼室にそれぞれ対応して配置された燃料噴射弁21と、該燃料噴射弁21に燃料供給管23を介して燃料を供給する燃料ポンプ22とを具備する。また、内燃機関10は、外部から燃焼室に空気を供給する吸気系30と、燃焼室から排出される排気ガスを外部に排出する排気系40とを具備する。また、内燃機関10は、圧縮自着火式の内燃機関(いわゆる、ディーゼルエンジン)である。
吸気系30は、吸気枝管31と吸気管32とを有する。なお、以下の説明において、吸気系30を「吸気通路」と称することもある。吸気枝管31の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室に対応して機関本体20内に形成された吸気ポート(図示せず)に接続されている。一方、吸気枝管31の他方の端部は、吸気管32に接続されている。吸気管32内には、該吸気管内を流れる空気の量を制御するスロットル弁33が配置されている。さらに、吸気管32には、該吸気管内を流れる空気を冷却するインタークーラ34が配置されている。さらに、吸気管32の外部を臨む端部には、エアクリーナ36が配置されている。
一方、排気系40は、排気枝管41と排気管42とを有する。なお、以下の説明において、排気系40を「排気通路」と称することもある。排気枝管41の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室に対応して機関本体20内に形成された排気ポート(図示せず)に接続されている。一方、排気枝管41の他方の端部は、排気管42に接続されている。排気管42には、排気ガス中の特定成分を浄化する排気浄化触媒43aを内蔵した触媒コンバータ43が配置されている。
また、内燃機関10は、過給機35を具備する。過給機35は、インタークーラ34よりも上流の吸気管32内に配置されるコンプレッサ35Aと、触媒コンバータ43よりも上流の排気管42内に配置される排気タービン35Bとを有する。排気タービン35Bは、図2に示されているように、排気タービン本体35Cと翼状の複数のベーン35Dとを有する。
排気タービン35B(厳密には、排気タービン本体35C)は、シャフト(図示せず)を介してコンプレッサ35Aに接続されている。排気タービン本体35Cが排気ガスによって回転せしめられると、その回転がシャフトを介してコンプレッサ35Aに伝達され、これによって、コンプレッサ35Aが回転せしめられる。
一方、ベーン35Dは、排気タービン本体35Cを包囲するように該排気タービン本体の回転中心軸線R1を中心として放射状に等角度間隔で配置されている。また、各ベーン35Dは、図2に符号R2で示されているそれぞれ対応する軸線周りで回動可能に配置されている。そして、各ベーン35Dが延在している方向(すなわち、図2に符号Eで示されている方向)を「延在方向」と称し、排気タービン本体35Cの回転中心軸線R1とベーン35Dの回動軸線R2とを結ぶ線(すなわち、図2に符号Aで示されている線)を「基準線」と称したとき、各ベーン35Dは、その延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が全てのベーン35Dに関して等しくなるように回動せしめられる。そして、各ベーン35Dがその延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるように、すなわち、隣り合うベーン間の流路面積が小さくなるように回動せしめられると、排気タービン本体35Cに供給される排気ガスの流速が速くなる。その結果、排気タービン本体35Cの回転速度が速くなり、その結果、コンプレッサ35Aの回転速度も速くなり、したがって、吸気管32内を流れる空気がコンプレッサ35Aによって大きく圧縮されることになる。このため、各ベーン35Dの延在方向Eとそれに対応する基準線とがなす角度(以下この角度を「ベーン開度」という)が小さくなるほど、コンプレッサ35Aによって吸気管32内を流れる空気が圧縮される程度が大きくなる。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下これを「EGR装置」という)50を具備する。EGR装置50は、排気再循環管(以下これを「EGR通路」という)51を有する。EGR通路51の一端は、排気枝管41に接続されている。すなわち、EGR通路51の一端は、排気タービン35Bよりも上流の排気通路の部分に接続されている。一方、EGR通路51の他端は、吸気枝管31に接続されている。すなわち、EGR通路51の他端は、コンプレッサ35Aよりも下流の吸気通路の部分に接続されている。また、EGR通路51には、該EGR通路内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この排気再循環制御弁を「EGR制御弁」という)52が配置されている。内燃機関10では、EGR制御弁52の開度(以下この開度を「EGR制御弁開度」という)が大きいほど、EGR通路51内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR通路51には、該EGR通路内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ53が配置されている。
また、エアクリーナ36よりも下流であってコンプレッサ35Aよりも上流の吸気管32には、該吸気管内を流れる空気の流量を検出するエアフローメータ71が取り付けられている。また、吸気枝管31には、該吸気枝管内の圧力を検出する圧力センサ(以下「過給圧センサ」という)72が取り付けられている。
また、内燃機関10は、電子制御装置60を具備する。電子制御装置60は、マイクロプロセッサ(CPU)61と、リードオンリメモリ(ROM)62と、ランダムアクセスメモリ(RAM)63と、バックアップRAM(Back up RAM)64と、インターフェース65とを有する。インターフェース65には、燃料噴射弁21、燃料ポンプ22、スロットル弁33、ベーン35D、および、EGR制御弁52が接続されており、これらの動作を制御する制御信号がインターフェース65を介して電子制御装置60から与えられる。また、インターフェース65には、エアフローメータ71、過給圧センサ72、および、アクセルペダルAPの踏込量を検出するアクセル開度センサ75も接続されており、エアフローメータ71によって検出された流量に対応する信号、過給圧センサ72によって検出された圧力に対応する信号、および、アクセル開度センサ75によって検出されたアクセルペダルAPの踏込量に対応する信号がインターフェース65に入力される。
ところで、上述したように、本実施形態では、過給機35のコンプレッサ35Aによって吸気管32内を流れる空気が圧縮される。そして、コンプレッサ35Aによって圧縮されたときの空気の圧力(以下この圧力を「過給圧」という)は、排気タービン35Bのベーン35Dの回動位置(すなわち、ベーン開度)を制御することによって制御可能であり、ベーン開度以外の条件が同じであれば、ベーン開度が小さいほど過給圧が高くなる。また、上述したように、本実施形態では、EGR装置50によって吸気管32内を流れる空気中に排気ガス(以下この排気ガスを「EGRガス」という)が導入される。ここで、EGRガスの量(以下この量を「EGRガス量」という)は、EGR制御弁52の開度(すなわち、EGR制御弁開度)を制御することによって制御可能であり、EGR制御弁開度以外の条件が同じであれば、EGR制御弁開度が大きいほどEGRガス量が多くなる。
ところで、ベーン開度を小さくすればコンプレッサによる過給能力(以下この能力を「コンプレッサ過給能力」という)が大きくなり、過給圧(すなわち、コンプレッサ35Aよりも下流の吸気通路の部分、特に、スロットル弁33よりも下流の吸気通路の部分内のガスの圧力であって、燃焼室内に吸入されるガスの圧力)が上昇し、逆に、ベーン開度を大きくすればコンプレッサ過給能力が小さくなり、過給圧が低下する。このように、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御することができる。
ところで、EGR制御弁開度が変化するとEGR通路51を介してスロットル下流側吸気通路部分(すなわち、スロットル弁33よりも下流の吸気通路の部分)内に導入される排気ガスの量(すなわち、EGRガス量)も変化することから、排気タービン35Bを通過する排気ガスの量(以下この量を「タービン通過排気ガス量」という)も変化する。具体的には、EGR制御弁開度が小さくなるとEGRガス量が少なくなることから、タービン通過排気ガス量が多くなる。逆に、EGR制御弁開度が大きくなるとEGRガス量が多くなることから、タービン通過排気ガス量が少なくなる。そして、基本的には、ベーン開度が一定であるとき、タービン通過排気ガス量が多いほどコンプレッサ過給能力が高く、過給圧が高くなる。逆に、ベーン開度が一定であるとき、タービン通過排気ガス量が少ないほどコンプレッサ過給能力が低く、過給圧が低くなる。
したがって、EGR制御弁開度を制御することによっても過給圧を制御することができる。そこで、本実施形態では、ベーン開度およびEGR制御弁の開度を制御することによって過給圧を目標とすべき過給圧(以下この圧力を「目標過給圧」という)に制御する。
すなわち、機関回転数(すなわち、内燃機関10の回転数)と機関負荷(すなわち、内燃機関10の負荷)とからなる機関運転状態に応じて目標過給圧が決定される。そして、過給圧が目標過給圧となるようにベーン開度およびEGR制御弁開度が適宜制御される。
ところで、コンプレッサ過給能力が一定であれば、EGRガス量が多いほど過給圧が高い。このため、一般的には、EGRガス量が多いほど、スロットル下流側吸気通路部分内のガスが燃焼室内に吸入されるときのガスの吸入に関する抵抗(以下この抵抗を「吸入抵抗」という)が小さいと言える。したがって、一般的には、EGRガス量が多くなれば吸入抵抗が減少することから、この吸入抵抗の減少に起因して過給圧が上昇する。云い方を換えれば、吸入抵抗の減少に起因して過給圧を上昇させるエネルギが増加することになる(以下この増加した分のエネルギを「吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分」という)。一方、EGRガス量が多いほどタービン通過排気ガス量が少ない。このため、一般的には、EGRガス量が多いほど、コンプレッサ過給能力が低いと言える。したがって、一般的には、EGRガス量が多くなれば、タービン通過排気ガス量が減少してコンプレッサ過給能力が低下することから、このコンプレッサ過給能力の低下、すなわち、タービン通過排気ガス量の減少に起因して過給圧を上昇させるエネルギが減少することになる(以下この減少した分のエネルギを「タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分」という)。このように、EGRガス量が多くなると、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分が発生すると共にタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が発生する。
ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、過給圧は上昇する。すなわち、EGR制御弁開度が大きくされ、EGRガス量が増大せしめられると、過給圧は上昇することになる。一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、過給圧は低下する。すなわち、EGR制御弁開度が小さくされ、EGRガス量が減少せしめられると、過給圧は低下することになる。
一方、コンプレッサ過給能力が一定であれば、EGRガス量が少ないほど過給圧が低い。このため、一般的には、EGRガス量が少ないほど、吸入抵抗が大きいと言える。したがって、一般的には、EGRガス量が少なくなれば吸入抵抗が増大することから、この吸入抵抗の増大に起因して過給圧が低下する。云い方を換えれば、吸入抵抗の増大に起因して過給圧を上昇させるエネルギが減少することになる(以下この減少した分のエネルギを「吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分」という)。一方、EGRガス量が少ないほどタービン通過排気ガス量が多い。このため、一般的には、EGRガス量が少ないほど、コンプレッサ過給能力が高いと言える。したがって、一般的には、EGRガス量が少なくなれば、タービン通過排気ガス量が増大してコンプレッサ過給能力が上昇することから、このコンプレッサ過給能力の上昇(すなわち、タービン通過排気ガス量の増大)に起因して過給圧を上昇させるエネルギが増加することになる(以下この増加した分のエネルギを「タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分」という)。このように、EGRガス量が少なくなると、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分が発生すると共にタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が発生する。
ここで、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、過給圧は低下する。すなわち、EGR制御弁開度が小さくされ、EGRガス量が減少せしめられると、過給圧は低下することになる。一方、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、過給圧は上昇する。すなわち、EGR制御弁開度が小さくされ、EGRガス量が減少せしめられると、過給圧は上昇することになる。
要するに、以上の事項をまとめると以下のようになる。すなわち、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とを比較したときに、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、EGR制御弁開度を増大させることによって過給圧を上昇させることができるし、逆に、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、EGR制御弁開度を減少させることによって過給圧を低下させることができる。一方、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較したときに、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、EGR制御弁開度を減少させることによって過給圧を低下させることができるし、逆に、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、EGR制御弁開度を減少させることによって過給圧を上昇させることができる。
そこで、第1実施形態では、過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を上昇させようとする場合、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、EGR制御弁開度を増大させる。これにより、過給圧が目標過給圧に向かって上昇することになる。一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが比較される。ここで、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、EGR制御弁開度を減少させる。これにより、過給圧が目標過給圧に向かって上昇することになる。
なお、EGR制御弁開度を増大させた場合に吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さくなるときには、EGR制御弁開度を減少させた場合、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さくなるはずである。したがって、このとき、EGR制御弁開度を減少させることによって過給圧を上昇させることができる。したがって、上述した第1実施形態において、EGR制御弁開度を増大させた場合に吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さいときに、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較することなく、EGR制御弁開度を減少させるようにしてもよい。これによっても、過給圧を上昇させることができる。
また、過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を上昇させようとする場合において、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが等しいとき(以下これを「EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるとき」という)には、理論的には、EGR制御弁開度を増大させたとしても、過給圧は上昇しない。もちろん、EGR制御弁を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが等しいとき(以下これを「EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるとき」という)にも、理論的には、EGR制御弁開度を減少させたとしても、過給圧は上昇しない。そこで、こうした場合には、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御すればよい。この場合、ベーン開度が小さくされる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
一方、第1実施形態では、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を低下させようとする場合、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、EGR制御弁開度を増大させる。これにより、過給圧が目標過給圧に向かって低下することになる。一方、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが比較される。ここで、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、EGR制御弁開度を減少させる。これにより、過給圧が目標過給圧に向かって低下することになる。
なお、EGR制御弁開度を増大させた場合に吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなるときには、EGR制御弁開度を減少させた場合、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなるはずである。したがって、このとき、EGR制御弁開度を減少させることによって過給圧を低下させることができる。したがって、上述した第1実施形態において、EGR制御弁開度を増大させた場合に吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きいときに、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較することなく、EGR制御弁開度を減少させるようにしてもよい。これによっても、過給圧を低下させることができる。
また、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を低下させようとする場合において、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときには、理論的には、EGR制御弁開度を増大させたとしても、過給圧は低下しない。もちろん、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときにも、理論的には、EGR制御弁開度を減少させたとしても、過給圧は低下しない。そこで、こうした場合には、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御すればよい。この場合、ベーン開度が大きくされる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
なお、第1実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第1実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、この場合、ベーン開度を一定の開度に維持した状態においてEGR制御弁開度を増大したときに、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、EGR制御弁開度を増大したときにこの増大に伴うEGRガス量の増大に起因した過給圧の上昇分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよいし、逆に、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、EGR制御弁開度を増大したときにこの増大に伴うEGRガス量の増大に起因した過給圧の低下分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよい。もちろん、ベーン開度を一定の開度に維持した状態においてEGR制御弁開度を減少したときに、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、EGR制御弁開度を減少したときにこの減少に伴うEGRガス量の減少に起因した過給圧の低下分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよいし、逆に、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、EGR制御弁開度を減少したときにこの減少に伴うEGRガス量の減少に起因した過給圧の上昇分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよい。
また、例えば、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を増大したとき、或いは、ベーン開度を増大すると共にEGR制御弁開度を増大したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を減少したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を増大したときに、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分または吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分またはタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較し、この比較の結果に応じてベーン開度を減少し或いは増大すると共にEGR制御弁開度を増大し或いは減少したときに過給圧が上昇するのか或いは低下するのかを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御するようにしてもよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を減少させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を増大させてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を減少させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を増大させてもよい。
なお、第1実施形態では、EGR制御弁開度が増大された場合に吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分が発生することを前提とし、EGR制御弁開度が減少された場合に吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分が発生することを前提としている。しかしながら、EGR制御弁開度が増大された場合に吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分が発生する場合もあり得るし、EGR制御弁開度が減少された場合に吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分が発生する場合もあり得る。そして、こうした場合に第1実施形態を適用することも可能である。したがって、第1実施形態は、広くは、EGR制御弁開度が変更された場合に吸気抵抗の変化に起因する過給エネルギの変化分(以下この変化分を「吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分」という)が発生することを前提とするものであると言える。
同様に、第1実施形態では、EGR制御弁開度が増大された場合にタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が発生することを前提とし、EGR制御弁開度が減少された場合にタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が発生することを前提としている。しかしながら、EGR制御弁開度が増大された場合にタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が発生することもあり得るし、EGR制御弁開度が減少された場合にタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が発生することもあり得る。そして、こうした場合に第1実施形態を適用することも可能である。したがって、第1実施形態は、広くは、EGR制御弁開度が変更された場合にタービン通過排気ガス量の変化に起因する過給エネルギの変化分(以下この変化分を「タービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分」という)が発生することを前提とするものであると言える。
また、第1実施形態では、EGR制御弁開度が変更される前の過給エネルギ(以下この過給エネルギを「変化前の過給エネルギ」という)とEGR制御弁開度が変更された後の過給エネルギ(以下この過給エネルギを「変化後の過給エネルギ」という)とが比較され、この比較の結果に応じて、過給圧を上昇させようとするときには変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギよりも大きくなるようなEGR制御弁開度の制御を選択し、過給圧を低下させようとするときには変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギよりも小さくなるようなEGR制御弁開度の制御を選択している。
しかしながら、EGR制御弁開度が変更された場合の過給圧の挙動に影響するパラメータとして、変化前の過給エネルギや変化後の過給エネルギ以外のパラメータが存在する場合もある。そして、この場合、必ずしも、過給圧を上昇させようとするときに変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギよりも大きくなるようなEGR制御弁開度の制御を選択する必要がない場合もあるし、過給圧を低下させようとするときに変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギよりも小さくなるようなEGR制御弁開度の制御を選択する必要がない場合もある。そして、こうした場合に第1実施形態を適用することも可能である。したがって、第1実施形態は、広くは、変化前の過給エネルギと変化後の過給エネルギとを比較し、その比較の結果に応じてEGR制御弁開度の制御を適宜選択するものであると言える。
したがって、以上のことを考慮すれば、第1実施形態において、過給圧を低下させるべきときにEGR制御弁開度を増大させる一方で過給圧を上昇させるべきときにEGR制御弁開度を減少させる制御を第1制御と称し、過給圧を低下させるべきときにEGR制御弁開度を減少させる一方で過給圧を上昇させるべきときにEGR制御弁開度を増大させる制御を第2制御と称したとき、第1実施形態に含まれている思想は、EGR制御弁開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギとを比較し、該比較の結果に応じて第1制御と第2制御とのいずれを実行するかを決定するというものであると言える。
なお、第1実施形態に含まれている思想を上述したように捉えれば、第1実施形態によれば、以下の効果が得られると言える。すなわち、ベーン開度(すなわち、排気タービン35Bの回転によって回転せしめられるコンプレッサ35Aによって同コンプレッサよりも下流の吸気通路の部分内のガスの圧力を上昇させる能力(すなわち、過給機の過給能力))が変更されると過給圧が変化する。しかしながら、上述したように、EGR制御弁開度が変更されることによってEGRガス量が変化しても過給圧が変化する。ここで、上述したように、本願の発明者の研究により、過給圧に関する状況に応じてEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する場合もあるし過給圧が低下する場合もあり、また、EGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が上昇する場合もあるし過給圧が低下する場合もあることが判明した。そして、EGR制御弁開度を変化させたときに過給圧が上昇するのか或いは低下するのかは、吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分とに依存することも判明した。ここで、第1実施形態では、これら吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較の結果に応じて、EGR制御弁開度を増大させるべきであるのか或いはEGR制御弁開度を減少させるべきであるのか(すなわち、第1制御と第2制御とのいずれを実行するか)が決定される。したがって、第1実施形態によれば、過給圧を所望通りに上昇させ或いは低下させることができ、或いは、少なくとも、過給圧を所望の形態に近い形態で上昇させ或いは低下させることができる。このため、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第1実施形態によれば、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を制御する場合、以下の効果が得られる。すなわち、過給圧を変化させるべきときに、様々な理由から、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を変化させることがある。ここで、EGR制御弁開度を同じように変化させたとしてもこの変化に起因して過給圧が低下することもあれば上昇することもあることを認識しておらず、例えば、EGR制御弁開度を増大させたときにこの増大に起因して過給圧が低下するものとのみ認識しているが実際には過給圧が上昇する場合において、過給圧を低下させようとして上記認識に基づいてEGR制御弁開度とベーン開度とを制御しても、過給圧が低下しないことがあり、或いは、少なくとも、過給圧を低下させて目標過給圧にしようとして上記認識に基づいてEGR制御弁開度とベーン開度とを制御しても、過給圧が目標過給圧にならない(すなわち、目標過給圧に対して過給圧が発散してしまう)ことがある。そして、このことは、EGR制御弁開度の減少に起因して過給圧が上昇するものとのみ認識しているが実際には過給圧が低下する場合、EGR制御弁開度の増大に起因して過給圧が上昇するものとのみ認識しているが実際には過給圧が低下する場合、および、EGR制御弁開度の減少に起因して過給圧が低下するものとのみ認識しているが実際には過給圧が上昇する場合にも当てはまる。
しかしながら、第1実施形態では、EGR制御弁開度を変化させたときにこの変化に起因して過給圧が低下するのか或いは上昇するのかを把握しつつ、EGR制御弁開度とベーン開度とが同時に制御される。このため、第1実施形態によれば、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を制御する場合においても、過給圧を所望通り上昇させ或いは低下させたりすることができ、また、過給圧を目標過給圧に制御することができる。すなわち、EGR制御弁とベーンとによるいわゆる協調制御を良好に行うことができる。
また、第1実施形態では、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときには、EGR制御弁開度を増大させたとしても過給圧が変化しないことから、ベーン開度を制御することによって過給圧が制御され、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときには、EGR制御弁開度を減少させたとしても過給圧が変化しないことから、ベーン開度を制御することによって過給圧が制御される。
しかしながら、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときであっても、EGR制御弁開度を増大させると実際には過給圧が変化する場合もあるし、EGR制御弁開度を増大させると過給圧が実質的に変化するものと捉えることができる場合もある。したがって、第1実施形態において、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときに、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御するのではなく、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御するようにしてもよい。この場合、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときにEGR制御弁開度を増大させた場合に過給圧が上昇するのか低下するのかを予め把握しておく。そして、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であるときにEGR制御弁開度を増大させた場合に過給圧が上昇するのか低下するのかに応じてEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御すればよい。
同様に、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときであっても、EGR制御弁開度を減少させると実際には過給圧が変化する場合もあるし、EGR制御弁開度を減少させると過給圧が実質的に変化するものと捉えることができる場合もある。したがって、第1実施形態において、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときに、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御するのではなく、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御するようにしてもよい。この場合、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときにEGR制御弁開度を減少させた場合に過給圧が上昇するのか低下するのかを予め把握しておく。そして、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であるときにEGR制御弁開度を減少させた場合に過給圧が上昇するのか低下するのかに応じてEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御すればよい。
したがって、以上のことも考慮すれば、上述したように第1制御および第2制御を定義し、EGR制御弁開度が変更される前の過給エネルギを変化前の過給エネルギと称し、EGR制御弁開度が変化されたときの吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分とを変化前の過給エネルギに加算することによって得られる過給エネルギを変化後の過給エネルギと称したとき、第1実施形態に含まれている思想は、EGR制御弁開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較として、変化前の過給エネルギと変化後の過給エネルギとが比較され、変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギ以上であるか否かに応じて第1制御と第2制御とのいずれを実行するかを決定するというものであると言える。
また、第1実施形態に含まれている思想を上述したように捉えれば、第1実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、第1実施形態では、変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギ以上であるか否かに応じて、EGR制御弁開度を増大させるべきであるのか或いはEGR制御弁開度を減少させるべきであるのか(すなわち、第1制御と第2制御とのいずれを実行するか)が決定される。ここで、変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギ以上であれば、同変化後の過給エネルギの算出の基になったEGR制御弁開度の変更(詳細には、同変化後の過給エネルギの算出に使用された吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分およびタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分を発生させる基になったEGR制御弁開度の変更)を同EGR制御弁開度に施した場合に過給圧が上昇することを把握することができ、逆に、変化後の過給エネルギが変化前の過給エネルギよりも小さければ、同変化後の過給エネルギの算出の基になったEGR制御弁開度の変更を同EGR制御弁開度に施した場合に過給圧が低下することを把握することができる。
第1実施形態では、このようにEGR制御弁開度に或る特定の変更を施した場合にその変更に起因して結果的に過給圧が上昇するのか低下するのかを把握することができ、この把握に基づいてEGR制御弁開度を増大させるべきであるのか減少させるべきであるのかが判断される。したがって、第1実施形態によれば、過給圧を上昇させるべきときに、より確実に過給圧を上昇させることができ、また、過給圧を低下させるべきときに、より確実に過給圧を低下させることができる。さらに、本発明によれば、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を制御する場合において、より確実に過給圧を所望通り上昇させたり低下させたりすることができ、また、過給圧を目標過給圧に制御することができる。すなわち、EGR制御弁52とベーン35Dとによる過給圧のいわゆる協調制御をより良好に行うことができる。
次に、第1実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図3〜図5に示されている。
図3〜図5のルーチンが開始されると、ステップ100において、機関運転状態がEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御すべき状態(以下この状態を「EGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態」ともいう)にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ101に進む。一方、機関運転状態が同状態にない(すなわち、機関運転状態がベーン開度を制御することによって過給圧を制御すべき状態(以下この状態を「ベーン開度の制御による過給圧制御状態」という))と判別されたときには、ルーチンは図5のステップ113に進む。
ステップ100で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンがステップ101に進むと、EGR制御弁開度を増大させたときの吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分ΔEinが算出される。次いで、ステップ102において、EGR制御弁開度を増大させたときのタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分ΔEtbが算出される。
次いで、ステップ103において、ステップ101で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ102で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ104に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図4のステップ108に進む。
ステップ103で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ104に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ105に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ106に進む。
ステップ104でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ105に進むと、EGR制御弁開度Degrが増大せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ルーチンがステップ105に進んだ場合、ステップ103で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されていることから、EGR制御弁開度を増大させた場合、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。そして、ルーチンがステップ105に進んだ場合、ステップ104でPim>TPimであると判別されており、過給圧を低下させるべきである。そこで、ステップ105では、EGR制御弁開度Degrが増大せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ104でPim≧TPimであると判別され、ルーチンがステップ106に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ107に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ104でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ106でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ107に進むと、EGR制御弁開度Degrが減少せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ルーチンがステップ107に進んだ場合、ステップ103で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されていることから、EGR制御弁開度を増大させた場合、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。したがって、逆に、EGR制御弁開度を減少させた場合、タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。そして、ルーチンがステップ107に進んだ場合、ステップ106でPim<TPimであると判別されており、過給圧を上昇させるべきである。そこで、ステップ107では、EGR制御弁開度Degrが減少せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ103で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図4のステップ108に進むと、ステップ101で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ102で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ109に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図5のステップ113に進む。
ステップ108で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ109に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ110に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ111に進む。
ステップ109でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ110に進むと、EGR制御弁開度Degrが減少せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ルーチンがステップ110に進んだ場合、ステップ108で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されていることから、EGR制御弁開度を増大させた場合、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。したがって、逆に、EGR制御弁開度を減少させた場合、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。そして、ルーチンがステップ110に進んだ場合、ステップ109でPim>TPimであると判別されており、過給圧を低下させるべきである。そこで、ステップ110では、EGR制御弁開度Degrが減少せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ109でPim≧TPimであると判別され、ルーチンがステップ111に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ112に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ109でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ111でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ112に進むと、EGR制御弁開度Degrが増大せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ルーチンがステップ112に進んだ場合、ステップ108で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されていることから、EGR制御弁開度を増大させた場合、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。そして、ルーチンがステップ112に進んだ場合、ステップ111でPim<TPimであると判別されており、過給圧を上昇させるべきである。そこで、ステップ112では、EGR制御弁開度Degrが増大せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図3のステップ100で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、或いは、図4のステップ108で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図5のステップ113に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ114に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ115に進む。
ステップ113でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ114に進むと、ベーン開度Dvaneが増大せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ステップ100で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にはないと判別され、ルーチンがステップ114に進んだ場合、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御すべきである。一方、ステップ108で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ114に進んだ場合、ステップ103で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されている。すなわち、|ΔEin|=|ΔEtb|であるので、実質的に、EGR制御弁開度を変化させたとしても過給圧を変化させることができない。すなわち、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御すべきである。そして、ルーチンがステップ114に進んだ場合、ステップ113でPim>TPimであると判別されており、過給圧を低下させるべきである。そこで、ステップ114では、ベーン開度Dvaneが増大せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ113でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ115に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ116に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ113でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ115でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ116に進むと、ベーン開度Dvaneが減少せしめられ、ルーチンが終了する。すなわち、ルーチンがステップ116に進んだ場合、ステップ114に関連して説明した理由と同じ理由から、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御すべきである。そして、ルーチンがステップ116に進んだ場合、ステップ115でPim<TPimであると判別されており、過給圧を上昇させるべきである。そこで、ステップ116では、ベーン開度Dvaneが減少せしめられるのである。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ところで、上述したように、EGR制御弁開度を増大させたとき、過給圧が上昇する場合もあれば、過給圧が低下する場合もある。一方、EGR制御弁開度を減少させたとき、過給圧が上昇する場合もあれば、過給圧が低下する場合もある。こうしたEGR制御弁開度の変化(すなわち、EGRガス量の変化)に対する過給圧の挙動に関し、本願の発明者の研究により、以下の知見が得られた。
すなわち、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、燃焼室から排出される排気ガスの量が多い。したがって、タービン通過排気ガス量が多く、コンプレッサ過給能力が高い状態にある。そして、コンプレッサ過給能力が高い状態にあることから、過給圧が高い状態にあり、したがって、吸気抵抗が低い状態にある。このように、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、コンプレッサ過給能力が高い状態にあって且つ吸気抵抗が低い状態にある。ここで、EGR制御弁開度が増大されるとEGRガス量が多くなることから、吸気抵抗が低下する。しかしながら、このとき、吸気抵抗がそもそも低い状態にあることから、EGRガス量の増大に起因する吸気抵抗の低下の程度は小さい。すなわち、EGRガス量の増大が吸気抵抗の低下に寄与する程度が小さい。このことから、EGRガス量の増大が吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分に寄与する程度も小さい。一方、EGR制御弁開度が増大されてEGRガス量が多くなるとタービン通過排気ガス量が少なくなることから、コンプレッサ過給能力が低下する。このとき、コンプレッサ過給能力はそもそも高い状態にあり、この高いコンプレッサ過給能力を維持するためにはタービン通過排気ガス量が多い状態に維持されている必要がある。したがって、タービン通過排気ガス量の減少に起因するコンプレッサ過給能力の低下の程度は大きい。すなわち、タービン通過排気ガス量の減少がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度が大きい。
このように、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、EGRガス量の増大が吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分に寄与する程度よりも、タービン通過排気ガス量の減少がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度のほうが大きい。このため、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、EGR制御弁開度を増大させると、過給圧が低下する(すなわち、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなる)ものと推察される。
また、同様の理由から、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、EGRガス量の減少が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度よりも、タービン通過排気ガス量の増大がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分に寄与する程度のほうが大きい。このため、機関負荷が中程度であるとき或いは比較的高いときには、EGR制御弁開度を減少させると、過給圧が上昇する(すなわち、タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなる)ものと推察される。
一方、機関負荷が比較的低いときには、燃焼室から排出される排気ガスの量が少ない。したがって、タービン通過排気ガス量が少なく、コンプレッサ過給能力が低い状態にある。そして、コンプレッサ過給能力が低い状態にあることから、過給圧が低い状態にあり、したがって、吸気抵抗が高い状態にある。このように、機関負荷が比較的低いときには、コンプレッサ過給能力が低い状態にあって且つ吸気抵抗が高い状態にある。ここで、EGR制御弁開度が増大されるとEGRガス量が多くなることから、吸気抵抗が低下する。このとき、吸気抵抗がそもそも高い状態にあることから、EGRガス量の増大に起因する吸気抵抗の低下の程度は大きい。すなわち、EGRガス量の増大が吸気抵抗の低下に寄与する程度が大きい。このことから、EGRガス量の増大が吸気抵抗の低下に寄与する程度も大きい。一方、EGR制御弁開度が増大されてEGRガス量が多くなるとタービン通過排気ガス量が少なくなることから、コンプレッサ過給能力が低下する。しかしながら、このとき、コンプレッサ過給能力はそもそも低い状態にあり、この低いコンプレッサ過給能力を維持するためにはタービン通過排気ガス量が多い状態に維持されている必要性に乏しい。したがって、タービン通過排気ガス量の減少に起因するコンプレッサ過給能力の低下の程度は小さい。すなわち、タービン通過排気ガス量の減少がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度が小さい。
このように、機関負荷が比較的低いときには、タービン通過排気ガス量の減少がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度よりも、EGRガス量の増大が吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分に寄与する程度のほうが大きい。このため、機関2つかが比較的低いときには、EGR制御弁開度を増大させると、過給圧が上昇する(すなわち、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなる)ものと推察される。
また、同様の理由から、機関負荷が比較的低いときには、タービン通過排気ガス量の増大がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分に寄与する程度よりも、EGRガス量の減少が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分に寄与する程度のほうが大きい。このため、機関負荷が比較的低いときには、EGR制御弁開度を減少させると、過給圧が低下する(すなわち、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなる)ものと推察される。
ところで、上述したように、EGR制御弁開度を変化させたときの過給圧の変化の挙動は、機関負荷に応じて異なるものと推察される。そこで、第1実施形態において、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御しようとするときに、上記過給エネルギ増加分および過給エネルギ減少分を利用する代わりに、機関負荷を利用するようにしてもよい。
すなわち、この実施形態(以下「第2実施形態」という)では、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する機関負荷領域との境界をなす機関負荷がEGR制御弁開度の制御を切り替えるか否かを判定するための機関負荷(以下この機関負荷を「切替判定負荷」という)として実験等によって予め求められている。
そして、過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を上昇させようとする場合、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かが判別される。ここで、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときには、EGR制御弁開度を減少させると過給圧が上昇するのであるから、EGR制御弁開度を減少させる。これによれば、過給圧は目標過給圧に向かって上昇することになる。一方、機関負荷が切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度を増大させると過給圧が上昇するのであるから、EGR制御弁開度を増大させる。これによれば、過給圧は目標過給圧に向かって上昇することになる。
一方、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を低下させようとする場合、機関負荷が切替判定負荷よりも大きいか否かが判別される。ここで、機関負荷が切替判定負荷よりも大きいときには、EGR制御弁開度を増大させると過給圧が低下するのであるから、EGR制御弁開度を増大させる。これによれば、過給圧は目標過給圧に向かって低下することになる。一方、機関負荷が切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度減少させると過給圧が低下するのであるから、EGR制御弁開度を減少させる。これによれば、過給圧は目標過給圧に向かって低下することになる。
なお、第2実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第2実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときには、EGR制御弁開度を増大したときにこの増大に伴うEGRガス量の増大に起因する過給圧の低下分が発生することから、EGR制御弁開度の増大に起因した過給圧の低下分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよい。また、機関負荷が切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度を増大したときにこの増大に伴うEGRガス量の増大に起因する過給圧の上昇が発生することから、EGR制御弁開度の増大に起因した過給圧の上昇分が発生することを前提に、EGR制御弁開度およびベーン開度を制御すればよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を減少させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を増大させてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を減少させると共にベーン開度を減少させてもよいし、EGR制御弁開度を増大させると共にベーン開度を増大させてもよい。
なお、第2実施形態において、第1実施形態に関連して説明したように第1制御および第2制御を定義したとき、第2実施形態に含まれている思想は、EGR制御弁開度が増大されたときに過給圧が低下する機関負荷領域とEGR制御弁開度が減少されたときに過給圧が上昇する機関負荷領域との間の境界をなす機関負荷を、第1制御と第2制御とを切り替えるか否かを判定するための切替判定負荷として用意し、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて第1制御と第2制御とのいずれを実行するかを決定するというものである。
なお、第2実施形態に含まれている思想を上述したように捉えれば、第2実施形態によれば、以下の効果が得られると言える。すなわち、第1実施形態に関連して説明したように、本願の発明者の研究により、過給圧に関する状況に応じてEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する場合もあるし過給圧が低下する場合もあり、また、EGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が上昇する場合もあるし過給圧が低下する場合もあることが判明した。そして、EGR制御弁開度を変化させたときに過給圧が上昇するのか或いは低下するのかは、機関負荷に依存することも判明した。ここで、第2実施形態では、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて、EGR制御弁開度を増大させるべきであるのか或いはEGR制御弁開度を減少させるべきであるのか(すなわち、第1制御と第2制御とのいずれを実行するか)が決定される。したがって、第2実施形態によれば、過給圧を所望通りに上昇させ又は低下させることができ、或いは、少なくとも、過給圧を所望の形態に近い形態で上昇させ又は低下させることができる。このため、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第2実施形態によれば、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を制御する場合、以下の効果が得られる。すなわち、第1実施形態に関連して説明したように、EGR制御弁開度を増大させたときにこの増大に起因して過給圧が低下するものとのみ認識しているが実際には過給圧が上昇する場合において、過給圧を低下させようとして上記認識に基づいてEGR制御弁開度とベーン開度とを制御しても、過給圧が低下しないことがあり、或いは、少なくとも、過給圧を低下させて目標過給圧にしようとして上記認識に基づいてEGR制御弁開度とベーン開度とを制御しても、過給圧が目標過給圧にならない(すなわち、目標過給圧に対して過給圧が発散してしまう)ことがある。そして、このことは、EGR制御弁開度の減少に起因して過給圧が上昇するものとのみ認識しているが実際には過給圧が低下する場合、EGR制御弁開度の増大に起因して過給圧が上昇するものとのみ認識しているが実際には過給圧が低下する場合、および、EGR制御弁開度の減少に起因して過給圧が低下するものとのみ認識しているが実際には過給圧が上昇する場合にも当てはまる。
しかしながら、第2実施形態では、EGR制御弁開度を変化させたときにこの変化に起因して過給圧が低下するのか或いは上昇するのかを把握しつつ、EGR制御弁開度とベーン開度とが同時に制御される。このため、第2実施形態によれば、EGR制御弁開度とベーン開度とを同時に制御することによって過給圧を制御する場合においても、過給圧を所望通り上昇させ或いは低下させることができ、また、過給圧を目標過給圧に制御することができる。すなわち、EGR制御弁52とベーン35Dとによる過給圧のいわゆる協調制御を良好に行うことができる。
ところで、第2実施形態では、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する機関負荷領域との境界をなす機関負荷(すなわち、上述した切替機関負荷)が存在することが前提とされている。しかしながら、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域が存在する場合も考えられる。この場合、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷が存在するし、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下するときの機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷も存在することになる。
こうした機関負荷が存在する場合にも、第2実施形態に従った過給圧制御に準じて過給圧を制御することが好ましい。そこで、以下、こうした機関負荷が存在する場合における過給圧制御(以下この過給圧制御を行う実施形態を「第2実施形態の変更実施形態」という)について説明する。
なお、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷は、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷よりも小さく、上述した切替判定負荷は、これら機関負荷の間の値である。そこで、以下の説明では、便宜的に、上述した切替判定負荷を「特定切替判定負荷」と称し、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷を「第1切替判定負荷」と称し、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する機関負荷領域とEGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇も低下もしない機関負荷領域との境界をなす機関負荷を「第2切替判定負荷」と称することとする。
さて、第2実施形態の変更実施形態では、上記第1切替判定負荷および上記第2切替判定負荷がEGR制御弁開度の制御を切り替えるか否かを判定するための機関負荷として実験等によって予め求められる。
そして、過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を上昇させようとする場合、機関負荷が第1切替判定負荷よりも低いか否かが判別される。ここで、機関負荷が第1切替判定負荷よりも低いときには、EGR制御弁開度を増大させると過給圧が上昇するのであるから、EGR制御弁開度を増大させる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇することになる。一方、機関負荷が第1切替判定負荷以上であるときには、機関負荷が第2切替判定負荷よりも高いか否かが判別される。ここで、機関負荷が第2切替判定負荷よりも高いときには、EGR制御弁開度を減少させると過給圧が上昇するのであるから、EGR制御弁開度を減少させる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇することになる。一方、機関負荷が第2切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度を増大させても減少させても過給圧が上昇しないのであるから、この場合、ベーン開度を小さくする。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇することになる。
一方、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を制御することによって過給圧を低下させようとする場合、機関負荷が第1切替判定負荷よりも低いか否かが判別される。ここで、機関負荷が第1切替判定負荷よりも低いときには、EGR制御弁開度を減少させると過給圧が低下するのであるから、EGR制御弁開度を減少させる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下することになる。一方、機関負荷が第1切替判定負荷以上であるときには、機関負荷が第2切替判定負荷よりも高いか否かが判別される。ここで、機関負荷が第2切替判定負荷よりも高いときには、EGR制御弁開度を増大させると過給圧が低下するのであるから、EGR制御弁開度を増大させる。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下することになる。一方、機関負荷が第2切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度を増大させても減少させても過給圧が低下しないのであるから、この場合、ベーン開度を大きくする。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下することになる。
なお、機関負荷が上記第1切替判定負荷以上であって上記第2切替判定負荷以下であるときには、EGR制御弁開度を増大させたとしても過給圧が変化しない(または、EGR制御弁開度を減少させたとしもて過給圧が変化しない)ことから、機関負荷が上記第1切替判定負荷以上であって上記第2切替判定負荷以下である状況は、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零である状況(または、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零である状況)に相当するものと考えられる。
次に、第2実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図7〜図9に示されている。
図7〜図9のルーチンが開始されると、ステップ200において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ201に進む。一方、機関運転状態が同状態にない(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別されたときには、ルーチンは図9のステップ210に進む。
ステップ200で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンがステップ201に進むと、機関負荷Lが上記特定切替判定負荷Lth以上である(L≧Lth)か否かが判別される。ここで、L≧Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ202に進む。一方、L<Lthであると判別されたときには、ルーチンは図8のステップ206に進む。
ステップ201でL≧Lthであると判別され、ルーチンがステップ202に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ203に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ204に進む。
ステップ202でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ203に進んだときには、過給圧を低下させるべきである。一方、このとき、ステップ251でL≧Lthであると判別されており、EGR制御弁開度を増大させれば過給圧を低下させることができる。そこで、ルーチンがステップ203に進むと、EGR制御弁開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ202でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ204に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ205に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ202でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ204でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ205に進んだときには、過給圧を上昇させるべきである。一方、このとき、ステップ201でL≧Lthであると判別されており、EGR制御弁開度を減少させれば過給圧を上昇させることができる。そこで、ルーチンがステップ205に進むと、EGR制御弁開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
ステップ201でL<Lthであると判別され、ルーチンが図8のステップ206に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ207に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ208に進む。
ステップ206でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ207に進んだときには、過給圧を低下させるべきである。一方、このとき、ステップ201でL<Lthであると判別されており、EGR制御弁開度を減少させれば過給圧を低下させることができる。そこで、ルーチンがステップ207に進むと、EGR制御弁開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ206でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ208に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ209に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ206でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ208でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ209に進んだときには、過給圧を上昇させるべきである。一方、このとき、ステップ201でL<Lthであると判別されており、EGR制御弁開度を増大させれば過給圧を上昇させることができる。そこで、ルーチンがステップ209に進むと、EGR制御弁開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
ステップ200で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンが図9のステップ210に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ211に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ212に進む。
ステップ210でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ211に進むと、ベーン開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ210でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ212に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ213に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ210でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ212でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ213に進むと、ベーン開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
次に、第2実施形態の変更実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの別の例について説明する。このルーチンは、図10〜図12に示されている。
図10〜図12のルーチンが開始されると、ステップ250において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ251に進む。一方、機関運転状態が同状態にない(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にある)と判別されたときには、ルーチンは図12のステップ261に進む。
ステップ250で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンがステップ251に進むと、機関負荷Lが上記第1切替判定負荷Lth1よりも小さい(L<Lth1)か否かが判別される。ここで、L<Lth1であると判別されたときには、ルーチンはステップ252に進む。一方、L≧Lth1であると判別されたときには、ルーチンは図11のステップ256に進む。
ステップ251でL<Lth1であると判別され、ルーチンがステップ252に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ253に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ254に進む。
ステップ252でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ253に進んだときには、過給圧を低下させるべきである。一方、このとき、ステップ251でL<Lth1であると判別されており、EGR制御弁開度を減少させれば過給圧を低下させることができる。そこで、ルーチンがステップ253に進むと、EGR制御弁開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ252でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ254に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ255に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ252でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ254でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ255に進んだときには、過給圧を上昇させるべきである。一方、このとき、ステップ251でL<Lth1であると判別されており、EGR制御弁開度を増大させれば過給圧を上昇させることができる。そこで、ルーチンがステップ255に進むと、EGR制御弁開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
ステップ251でL≧Lth1であると判別され、ルーチンが図11のステップ256に進むと、機関負荷Lが上記第2切替判定負荷Lth2よりも高い(L>Lth2)か否かが判別される。ここで、L>Lth2であると判別されたときには、ルーチンはステップ257に進む。一方、L≦Lth2であると判別されたときには、ルーチンは図12のステップ261に進む。
ステップ256でL>Lth2であると判別され、ルーチンがステップ257に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ258に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ259に進む。
ステップ257でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ258に進んだときには、過給圧を低下させるべきである。一方、このとき、ステップ256でL>Lth2であると判別されており、EGR制御弁開度を増大させれば過給圧を低下させることができる。そこで、ルーチンがステップ258に進むと、EGR制御弁開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ257でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ259に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ260に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ257でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ259でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ260に進んだときには、過給圧を上昇させるべきである。一方、このとき、ステップ256でL>Lth2であると判別されており、EGR制御弁開度を減少させれば過給圧を上昇させることができる。そこで、ルーチンがステップ260に進むと、EGR制御弁開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
ステップ250で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、或いは、ステップ256でL≦Lth2であると判別され、ルーチンが図12のステップ261に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ262に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ263に進む。
ステップ261でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ262に進むと、ベーン開度が増大せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって低下せしめられる。
一方、ステップ261でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ263に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ264に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ261でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ263でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ264に進むと、ベーン開度が減少せしめられ、ルーチンが終了する。これによれば、過給圧が目標過給圧に向かって上昇せしめられる。
ところで、第1実施形態において利用される「吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分」または「吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分」として、例えば、以下のようにして算出される値を利用することができる。
すなわち、コンプレッサ35Aとスロットル弁33との間の吸気管32の部分内のガスの圧力を「スロットル上流側吸気圧」と称して「P3」で表し、コンプレッサ35Aを通過する空気の量を「コンプレッサ通過空気量」と称して「Gn」で表したとき、吸気抵抗に関する過給エネルギ(以下この過給エネルギを「吸気抵抗過給エネルギ」という)Einは、次式1で表される。
Ein=−(P3×Gn) …(1)
すなわち、吸気抵抗過給エネルギEinは、スロットル上流側吸気圧P3とコンプレッサ通過空気量Gnとの積に相当する。
したがって、EGR制御弁開度が変化せしめられる前のスロットル上流側吸気圧を「EGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧」と称して「P3B」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられる前のコンプレッサ通過空気量を「EGR制御弁開度の変化前のコンプレッサ通過空気量」と称して「GnB」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられた後のスロットル上流側吸気圧を「EGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧」と称して「P3A」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられた後のコンプレッサ通過空気量を「EGR制御弁開度の変化後のコンプレッサ通過空気量」と称して「GnA」で表したとき、EGR制御弁開度が変化せしめられたときの吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinは、上式1を利用すれば、次式2で表される。
ΔEin=−P3B×GnB−(−P3A×GnA) …(2)
すなわち、EGR制御弁開度が変化せしめられたときの吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinは、EGR制御弁開度の変化前の吸気抵抗過給エネルギ(−P3B×GnB)から、EGR制御弁開度の変化後の吸気抵抗過給エネルギ(−P3A×GnA)を差し引いた値に相当する。斯くして、上式2を用いれば、吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinを算出することができる。
なお、EGR制御弁開度が減少せしめられた後の吸気抵抗は、EGR制御弁開度が減少せしめられる前の吸気抵抗よりも大きい。したがって、この場合、上式2から算出される吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinは、正の値となる。したがって、見方を換えれば、上式2から算出される吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinが正の値であるときには、EGR制御弁開度が変化せしめられたときに吸気抵抗が大きくなったのであるから、EGR制御弁開度が減少せしめられたことになる。そして、このときの吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinが上述した「吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分」に相当する。一方、EGR制御弁開度が増大せしめられた後の吸気抵抗は、EGR制御弁開度が増大せしめられる前の吸気抵抗よりも小さい。したがって、この場合、上式2から算出される吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinは、負の値となる。したがって、見方を換えれば、上式2から算出される吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinが負の値であるときには、EGR制御弁開度が変化せしめられたときに吸気抵抗が小さくなったのであるから、EGR制御弁開度が増大せしめられたことになる。そして、このときの吸気抵抗過給エネルギの変化量ΔEinが上述した「吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分」に相当する。
なお、上式2のEGR制御弁開度の変化前のコンプレッサ通過空気量「GnB」またはEGR制御開度の変化後のコンプレッサ通過空気量「GnA」として、以下のように取得される値が利用される。すなわち、コンプレッサ通過空気量は、実質的に、エアフローメータ71によって検出される空気量に等しい。したがって、上式2のEGR制御弁開度の変化前のコンプレッサ通過空気量「GnB」として、EGR制御弁開度の変化前にエアフローメータ71によって検出される空気量が利用され、上式2のEGR制御弁開度の変化後のコンプレッサ通過空気量「GnA」として、EGR制御弁開度の変化前にエアフローメータ71によって検出される空気量が利用される。
しかしながら、上式2のEGR制御弁開度の変化前のコンプレッサ通過空気量「GnB」またはEGR制御弁開度変化後のコンプレッサ通過空気量「GnA」として、以下のように算出される値を利用するようにしてもよい。すなわち、コンプレッサ通過空気量に関係するパラメータを利用してコンプレッサ通過空気量を表現したモデル式を作成し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化前の対応する各パラメータの値を入力して演算することによって得られるコンプレッサ通過空気量を上式2のEGR制御弁開度の変化前のコンプレッサ通過空気量「GnB」として利用し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化後の対応する各パラメータの値を入力して演算することによって得られるコンプレッサ通過空気量を上式2のEGR制御弁開度の変化後のコンプレッサ通過空気量「GnA」として利用するようにしてもよい。
また、上式2のEGR制御弁開度の変更前のスロットル上流側吸気圧「P3B」またはEGR制御弁開度の変更後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として、以下のように算出される値が利用される。すなわち、スロットル弁33の開度を「スロットル開度」と称して「Dth」で表し、過給圧を「Pim」で表し、係数を「A」で表したとき、次式5が成立する。
Gn=A×Dth×(P3−Pim) …(5)
すなわち、スロットル通過空気量Gnは、スロットル上流側吸気圧P3に対する過給圧Pimの差とスロットル開度Dthと係数Aとの積に相当する。
そして、上式5を変形すれば、次式6が得られる。
P3=Gn/(A×Dth)+Pim …(6)
上式6を用いれば、スロットル上流側吸気圧P3を算出することができる。したがって、EGR制御弁開度の変化前のスロットル通過空気量とスロットル開度と過給圧とを上式6に入力して算出される値が上式2のEGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧「P3B」として利用され、EGR制御弁開度の変化後のスロットル通過空気量とスロットル開度と過給圧とを上式6に入力して算出される値が上式2のEGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として利用される。
しかしながら、上式2のEGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧「P3B」またはEGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として、以下のように算出される値を利用するようにしてもよい。すなわち、スロットル上流側吸気圧に関係するパラメータを利用してスロットル上流側吸気圧を表現したモデル式を作成し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化前の対応する各パラメータの値を入力して演算することによって得られる値を上式2のEGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧「P3B」として利用し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化後の対応する各パラメータの値を入力して演算することによって得られる値を上式2のEGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として利用するようにしてもよい。
また、上式2のEGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧「P3B」またはEGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として、以下のように得られる値を利用するようにしてもよい。すなわち、コンプレッサ35Aとスロットル弁33との間の吸気管32の部分内のガスの圧力を検出する圧力センサを当該吸気管の部分に設け、EGR制御弁開度の変化前にこの圧力センサによって検出される圧力を上式2のEGR制御弁開度の変化前のスロットル上流側吸気圧「P3B」として利用し、EGR制御弁開度の変化後にこの圧力センサによって検出される圧力を上式2のEGR制御弁開度の変化後のスロットル上流側吸気圧「P3A」として利用するようにしてもよい。
また、上式6の過給圧「Pim」として或いは上述した実施形態における過給圧「Pim」として、過給圧センサ72によって検出される値が利用される。
しかしながら、上式6の過給圧「Pim」として或いは上述した実施形態における過給圧「Pim」として、以下のように算出される値を利用するようにしてもよい。すなわち、過給圧に関係するパラメータを利用して過給圧を表現したモデル式を作成し、このモデル式の各パラメータにその時点の対応する下流側空燃比パラメータの値を入力して演算することによって得られる値を上式6の過給圧「Pim」として或いは上述した実施形態における過給圧「Pim」として利用するようにしてもよい。
また、第1実施形態において利用される「タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分」または「タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分」として、例えば、以下のようにして算出される値を利用することができる。
すなわち、排気タービン35Bに流入する排気ガスの圧力を「タービン上流側排気圧」と称して「P4」で表し、排気タービン35Bから流出する排気ガスの圧力を「タービン下流側排気圧」と称して「P6」で表し、排気タービン35Bの効率を「タービン効率」と称して「ηtb」で表し、タービン通過排気ガス量を「Ge」で表したとき、コンプレッサ過給に関するエネルギ(すなわち、過給エネルギ)Etbは、次式7で表される。
Etb=(P4−P6)×Ge×ηtb …(7)
すなわち、過給エネルギEtbは、タービン上流側排気圧に対するタービン下流側排気圧の差P4−P6とタービン通過排気ガス量Geとタービン効率ηtbとの積に相当する。
したがって、EGR制御弁開度が変化せしめられる前のタービン上流側排気圧を「EGR制御弁開度の変化前のタービン上流側排気圧」と称して「P4B」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられる前のタービン通過排気ガス量を「EGR制御弁開度の変化前のタービン通過排気ガス量」と称して「GeB」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられた後のタービン上流側排気圧を「EGR制御弁開度の変化後のタービン上流側排気圧」と称して「P4A」で表し、EGR制御弁開度が変化せしめられた後のタービン上流側排気圧を「EGR制御弁開度の変化後のタービン通過排気ガス量」と称して「GeA」で表したとき、過給エネルギの変化量ΔEtbは、上式7を利用すれば、次式8で表される。
ΔEtb=(P4B−P6B)×GeB×ηtb−(P4A−P6A)×GeA×ηtb …(8)
ここで、EGR制御弁開度の変化後のタービン上流側排気圧に対するEGR制御弁開度の変化後のタービン下流側排気圧の差P4A−P6Aは、実質的に、EGR制御弁開度の変化前のタービン上流側排気圧に対するEGR制御弁開度の変化前のタービン下流側排気圧の差P4B−P6Bに等しい。したがって、上式8は、次式9のように表される。
ΔEtb=(P4B−P6B)×(GeB−GeA)×ηtb …(9)
ここで、EGR制御弁開度の変化前のタービン通過排気ガス量に対するEGR制御弁開度の変化後のタービン通過排気ガス量の差GeB−GeAは、EGR制御弁開度が変化せしめられたときのEGRガス量の変化量に相当する。したがって、EGR制御弁開度が変化せしめられたときのEGRガス量の変化量を「EGR制御弁開度の変化時のEGRガス量の変化量」と称して「ΔGegr」で表したとき、上式9は、次式10のように表される。
ΔEtb=(P4B−P6A)×ΔGegr×ηtb …(10)
すなわち、過給エネルギの変化量ΔEtbは、EGR制御弁開度の変化前のタービン上流側排気圧に対するEGR制御弁開度の変化後のタービン上流側排気圧の差P4B−P6Aと、EGR制御弁開度が変化せしめられたときのEGRガス量の変化量ΔGegrと、タービン効率ηtbとの積に相当する。斯くして、上式10を用いれば、過給エネルギの変化量ΔEtbを算出することができる。
なお、EGR制御弁開度が減少せしめられた後のコンプレッサ過給能力は、EGR制御弁開度が減少せしめられる前のコンプレッサ過給能力よりも高い。したがって、この場合、上式10から算出される過給エネルギの変化量ΔEtbは、正の値となる。したがって、見方を換えれば、上式10から算出される過給エネルギの変化量ΔEtbが正の値であるときには、EGR制御弁開度が変化せしめられたときにコンプレッサ過給能力が高くなったのであるから、EGR制御弁開度が減少せしめられたことになる。そして、このときの過給エネルギの変化量ΔEtbが上述した「タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分」に相当する。一方、EGR制御弁開度が増大せしめられた後のコンプレッサ過給能力は、EGR制御弁開度が増大せしめられる前のコンプレッサ過給能力よりも低い。したがって、この場合、上式10から算出される過給エネルギの変化量ΔEtbは、負の値となる。したがって、見方を換えれば、上式10から算出される過給エネルギの変化量ΔEtbが負の値であるときには、EGR制御弁開度が変化せしめられたときにコンプレッサ過給能力が低くなったのであるから、EGR制御弁開度が増大せしめられたことになる。そして、このときの過給エネルギの変化量ΔEtbが上述した「タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分」に相当する。
なお、上式10の「ΔGegr」として、以下のように算出される値が利用される。すなわち、EGR制御弁開度が変化せしめられる前の過給圧を「EGR制御弁開度の変化前の過給圧」と称し、EGR制御弁開度が変化せしめられた後の過給圧を「EGR制御弁開度の変化後の過給圧」と称したとき、EGR制御弁開度の変化後の過給圧がEGR制御弁開度の変化前の過給圧に等しい場合(少なくとも、EGR制御弁開度が変化せしめられた直後の過給圧は、EGR制御弁開度の変化前の過給圧に等しいとみなすことができる)、EGR制御弁開度の変化前のスロットル通過空気量GnBとEGR制御弁開度の変化後のスロットル通過空気量GnAとEGR制御弁開度が変化せしめられたときのEGRガス量の変化量ΔGegrとの間には、次式11が成立する。
ΔGegr=GnB−GnA …(11)
すなわち、EGR制御弁開度が変化せしめられたときのEGRガス量の変化量ΔGegrは、EGR制御弁開度の変化前のスロットル通過空気量に対するEGR制御弁開度の変化後のスロットル通過空気量の差GnB−GnAに相当する。したがって、上式11を用いて算出されるEGRガス量の変化量が上式10の「ΔGegr」として利用される。
しかしながら、上式10のEGR制御弁開度の変化時のEGRガス量の変化量「ΔGegr」として、以下のように算出される値を利用するようにしてもよい。すなわち、EGRガス量に関係するパラメータを利用してEGRガス量を表現したモデル式を作成し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化前の対応する各パラメータの値を入力して演算することによってEGR制御弁開度の変化前のEGRガス量を算出し、このモデル式の各パラメータにEGR制御弁開度の変化後の対応する各パラメータの値を入力して演算することによってEGR制御弁開度の変化後のEGRガス量を算出し、これら算出されたEGRガス量の差を上式10のEGR制御弁開度の変化時のEGRガス量の変化量「ΔGegr」として利用するようにしてもよい。
また、上式10のEGR制御弁開度の変化時のEGRガス量の変化量「ΔGegr」として、以下のように算出される値を利用するようにしてもよい。すなわち、EGR通路51内を流れる排気ガスの量を検出するセンサを当該EGR通路に設け、EGR制御弁開度の変化前にこのセンサによって検出される排気ガスの量をEGR制御弁開度の変化前のEGRガス量とし、EGR制御弁開度の変化後にこのセンサによって検出される排気ガスの量をEGR制御弁開度の変化後のEGRガス量とし、これら検出されたEGRガス量の差を上式10のEGR制御弁開度の変化時のEGRガス量の変化量「ΔGegr」として利用するようにしてもよい。
また、上式10のタービン効率「ηtb」として、以下のように取得される値が利用される。すなわち、タービン通過排気ガス量と該タービン通過排気ガス量に関係するパラメータとの組合せに応じたタービン効率が実験等によって予め求められ、これらタービン効率をタービン通過排気ガス量と該タービン通過排気ガス量に関係する上記パラメータとの関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されており、その時々のタービン通過排気ガス量と該タービン通過排気ガス量に関係する上記パラメータとに基づいて上記マップからタービン効率が取得され、この取得されたタービン効率が上式10のタービン効率「ηtb」として利用される。
ところで、上述した実施形態において、過給圧を目標過給圧に制御する場合、過給圧を目標過給圧に制御するためにEGR制御弁52に与えられるべき操作量(以下この操作量を「目標EGR制御弁操作量」という)およびベーン35Dに与えられるべき操作量(以下この操作量を「目標ベーン操作量」という)が算出され、これら算出された操作量がそれぞれEGR制御弁52およびベーン35Dに与えられ、これによって、EGR制御弁開度およびベーン開度が変更せしめられる。
ここで、こうした目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量を決定するために、EGR制御弁開度とベーン開度とを変更したときの過給圧の挙動を表現した状態空間モデル(すなわち、状態方程式)が利用されることがある。こうした状態空間モデルが利用される場合、例えば、以下のように目標EGR制御弁操作量と目標ベーン操作量とが決定される。
すなわち、機関運転状態と目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差と目標EGR制御弁操作量との基本的な関係を示すマップが予め用意される。そして、機関運転状態と目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差とに基づいて上記マップから目標EGR制御弁操作量が基準EGR制御弁操作量として算出される。一方、機関運転状態と目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差と目標ベーン操作量との基本的な関係を示すマップが予め用意される。そして、機関運転状態と目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差とに基づいて上記マップから目標ベーン操作量が基準ベーン操作量として算出される。
そして、基準EGR制御弁操作量がEGR制御弁52に与えられると共に基準ベーン操作量がベーン35Dに与えられたときの過給圧の挙動が上記状態空間モデルによって算出される。ここで、算出された過給圧の挙動が最適な挙動または所望通りの挙動であれば、基準EGR制御弁操作量が目標EGR制御弁操作量として決定されると共に基準ベーン操作量が目標ベーン操作量として決定される。一方、算出された過給圧の挙動が最適な挙動または所望通りの挙動でないときには、基準EGR制御弁操作量が一定の規則に従って補正されると共に基準ベーン操作量が一定の規則に従って補正される。そして、補正された基準EGR制御弁操作量がEGR制御弁52に与えられると共に補正された基準ベーン操作量がベーン35Dに与えられたときの過給圧の挙動が上記状態空間モデルによって再び算出される。ここで、算出された過給圧の挙動が最適な挙動または所望通りの挙動であれば、補正された基準EGR制御弁操作量が目標EGR制御弁操作量として決定されると共に補正された基準ベーン操作量が目標ベーン操作量として決定される。斯くして、状態空間モデルによって算出される過給圧の挙動が最適な挙動または所望通りの挙動となるまで、基準EGR制御弁操作量および基準ベーン操作量の補正が繰り返し行われる。
ところで、上述したように状態空間モデルが利用される場合に、第1実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用することが好ましい。すなわち、この実施形態(以下「第3実施形態」という)では、状態空間モデルとして、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況(または、EGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第1EGR制御モデル」という)と、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況(または、EGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第2EGR制御モデル」という)とが用意される。より詳細には、第1EGR制御モデルは、EGR制御弁開度を増大させる操作量がEGR制御弁52に与えられたときに過給圧が低下することを前提にして(或いは、EGR制御弁開度を減少させる操作量がEGR制御弁52に与えられたときに過給圧が上昇することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものになっており、第2EGR制御モデルは、EGR制御弁開度を減少させる操作量がEGR制御弁52に与えられたときに過給圧が上昇することを前提にして(或いは、EGR制御弁開度を増大させる操作量がEGR制御弁52に与えられたときに過給圧が低下することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものになっている。
そして、第3実施形態では、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量がEGR制御弁52に与えられる操作量として決定される。
一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
もちろん、このようにEGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とを比較する代わりに、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較するようにしてもよい。この場合、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
一方、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が決定され、これら決定された操作量がそれぞれEGR制御弁52およびベーン35Dに与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
なお、ベーン開度が変化すると、EGR制御弁開度が変化していなくても、EGRガス量が変化する場合がある。ここで、EGRガス量が増大すれば、この増大によって吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが発生するし、EGRガス量が減少すれば、この減少によって吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増大分とが発生する。したがって、ベーン開度が変化したときにEGRガス量が増大するときには、この増大によって発生する吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分との関係に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることがある。また、ベーン開度が変化したときにEGRガス量が減少するときには、この減少によって発生する吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分との関係に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることもある。
そこで、第3実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに利用されるべき状態空間モデルとして、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第1ベーン制御モデル」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第2ベーン制御モデル」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第3ベーン制御モデル」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第4ベーン制御モデル」という)とが用意される。
すなわち、詳細には、第1ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに過給圧が低下することを前提にして(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少したときに過給圧が上昇することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものになっており、第2ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに過給圧が上昇することを前提にして(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少したときに過給圧が低下することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものになっており、第3ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに過給圧が低下することを前提として(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大したときに過給圧が上昇することを前提として)過給圧の挙動を表現したものになっており、第4ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに過給圧が上昇することを前提として(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大したときに過給圧が低下することを前提として)過給圧の挙動を表現したものになっている。
そして、第3実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合には、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
また、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合には、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが比較される。ここで、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。一方、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合において、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
なお、上述したように、第1ベーン制御モデル〜第4ベーン制御モデルを利用した場合、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、ベーン開度を増大させる操作量が目標ベーン操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、ベーン開度を減少させる操作量が目標ベーン操作量として決定される。
なお、第3実施形態において、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が増大されたとしても過給圧が変化しない状況にある。もちろん、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が減少されたとしても過給圧が変化しない状況にある。したがって、これらの場合、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあったとしても、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御しなければならない。
そこで、第3実施形態では、状態空間モデルとして、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が増大されたとしても過給圧が変化しない状況(または、EGR制御弁開度が減少されたときに過給圧が変化しない状況)にある場合に利用されるべき状態空間モデル(以下このモデルを「第5ベーン制御モデル」という)が用意されている。そして、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときであっても、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、或いは、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、ベーン開度を増大させる操作量が目標ベーン操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、ベーン開度を減少させる操作量が目標ベーン操作量として決定される。
なお、第3実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第3実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、この場合、ベーン開度を変更する(すなわち、増大し或いは減少する)と共にEGR制御弁開度を変更した(すなわち、増大し或いは減少した)ときのEGRガス量の変化(すなわち、増大または減少)に起因した過給圧の上昇分または低下分が発生することを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルがそれぞれ用意される。そして、ベーン開度を増大すると共にEGR制御弁開度を増大したときに、EGRガス量の変化に起因した過給圧の上昇分が発生するのであれば、このことを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよいし、逆に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の低下分が発生するのであれば、このことを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよい。また、ベーン開度を増大すると共にEGR制御弁開度を減少したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を減少したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を増大したときにも、同様に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の上昇分が発生するのであれば、このことを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよいし、逆に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の低下分が発生するのであれば、このことを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。
なお、第1実施形態に関連して説明したように、EGR制御弁開度が増大された場合に吸気抵抗増大(すなわち、吸気抵抗減少ではなく)に起因する過給エネルギ減少分が発生する場合もあり得るし、EGR制御弁開度が減少された場合に吸気抵抗減少(すなわち、吸気抵抗増大ではなく)に起因する過給エネルギ増加分が発生する場合もあり得る。そして、こうした場合に第3実施形態を適用することも可能である。したがって、第3実施形態は、広くは、EGR制御弁開度が変更された場合に吸気抵抗の変化に起因する過給エネルギの変化分(以下この変化分を「吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分」という)が発生することを前提とするものであると言える。
同様に、EGR制御弁開度が増大された場合にタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が発生することもあり得るし、EGR制御弁開度が減少された場合にタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が発生することもあり得る。そして、こうした場合に第3実施形態を適用することも可能である。したがって、第3実施形態は、広くは、EGR制御弁開度が変更された場合にタービン通過排気ガス量の変化に起因する過給エネルギの変化分(以下この変化分を「タービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分」という)が発生することを前提とするものであると言える。
また、第1実施形態に関連して説明したように、EGR制御弁開度が変更された場合の過給圧の挙動に影響するパラメータとして、変化前の過給エネルギや変化後の過給エネルギ以外のパラメータが存在する場合もある。そして、こうした場合に第3実施形態を適用することも可能である。したがって、第3実施形態は、広くは、変化前の過給エネルギと変化後の過給エネルギとを比較し、その比較の結果に応じて状態空間モデルを適宜選択するものであると言える。
したがって、以上のことを考慮すれば、第1実施形態に関連して説明したように第1制御および第2制御を定義したとき、第3実施形態に含まれている思想は、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する一方でEGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が上昇するときに利用されるべき状態空間モデルを第1状態空間モデルとして用意し、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する一方でEGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が低下するときに利用されるべき状態空間モデルを第2状態空間モデルとして用意し、第1制御を実行すべきであると決定されるときには第1状態空間モデルを利用した第1制御を実行し、第2制御を実行すべきであると決定されるときには第2状態空間モデルを利用した第2制御を実行する(すなわち、変化前の過給エネルギと変化後の過給エネルギとを比較した結果に応じて第1状態空間モデルと第2状態空間モデルとのいずれかをEGR制御弁開度を制御するために利用すべき状態空間モデルとして選択する)というものであると言える。
なお、第3実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第3実施形態では、第1状態空間モデルを利用して算出される目標EGR制御弁操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、EGR制御弁開度が増大せしめられたときに過給圧が低下することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される一方でEGR制御弁開度が減少せしめられたときに過給圧が上昇することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される。一方、第2状態空間モデルを利用して算出される目標EGR制御弁操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、EGR制御弁開度が増大せしめられたときに過給圧が上昇することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される一方でEGR制御弁開度が減少せしめられたときに過給圧が低下することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される。このように、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を把握した上(すなわち、EGR制御弁開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較の結果に応じて)で、第1状態空間モデルを利用して目標EGR制御弁操作量を算出するのか第2状態空間モデルを利用して目標EGR制御弁操作量を算出するのかが決定され、EGR制御弁開度が制御される。したがって、第1実施形態に関連して説明した理由と同じ理由から、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第3実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、EGR制御弁開度が変更された場合の過給圧を状態空間モデルによって予測し、この予測の結果に応じて過給圧を所定の形態でもって変化させるために目標EGR制御弁操作量を算出し、この算出された操作量をEGR制御弁に与えることによってEGR制御弁開度を制御し、これによって、過給圧を制御する場合において、過給圧を速やかに目標過給圧に制御するためには、目標EGR制御弁操作量を算出するために利用される状態空間モデルとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を正確に表現した状態空間モデルが利用されることが重要である。ここで、第3実施形態では、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じた状態空間モデルが第1状態空間モデルおよび第2状態空間モデルとして用意され、これら状態空間モデルがEGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じて(すなわち、EGR制御弁開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較の結果に応じて)選択的に利用される。このため、目標EGR制御弁操作量を算出するために利用される状態空間モデルとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を正確に表現した状態空間モデルが利用され、EGR制御弁開度を変更した場合の過給圧の挙動を予測しつつ目標EGR制御弁操作量が算出されることになるので、過給圧を速やかに目標過給圧に制御することができる。
次に、第3実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図13〜図19に示されている。
図13〜図19のルーチンが開始されると、ステップ300において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ301に進む。一方、機関運転状態が同状態にない(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にある)と判別されたときには、ルーチンは図15のステップ319に進む。
ステップ300で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンがステップ301に進むと、EGR制御弁開度を増大させたときの吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分ΔEinが算出される。次いで、ステップ302において、EGR制御弁開度を増大させたときのタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ303において、ステップ301で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ302で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ304に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図14のステップ311に進む。
ステップ303で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ304に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第1EGR制御モデルが採用される。すなわち、ステップ303で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、EGR制御弁開度を増大させると、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ304では、第1EGR制御モデルが目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ305において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ306に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ308に進む。
ステップ305でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ306に進むと、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ307において、ステップ306で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ305でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ308に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ309に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ305でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ308でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ309に進むと、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ310において、ステップ309で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ303で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図14のステップ311に進むと、ステップ301で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ302で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ312に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図19のステップ357に進む。
ステップ311で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ312に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第2EGR制御モデルが採用される。すなわち、ステップ311で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、EGR制御弁開度を増大させると、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ312では、第2EGR制御モデルが目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ313において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ314に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ316に進む。
ステップ313でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ314に進むと、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ315において、ステップ314で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ313でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ316進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ317に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ313でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ316でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ317に進むと、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ318において、ステップ317で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ300で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンが図15のステップ319に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が増大すると判別されたときには、ルーチンはステップ320に進む。一方、EGRガス量が増大しないと判別されたときには、ルーチンは図17のステップ338に進む。
ステップ319でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大すると判別され、ルーチンがステップ320に進むと、EGRガス量が増大したときの吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分ΔEinが算出される。次いで、ステップ321において、EGRガス量が増大したときのタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ322において、ステップ320で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ321で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ323に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図16のステップ330に進む。
ステップ322で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ323に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第1ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ322で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大すると、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ323では、第1ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ324において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ325に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ327に進む。
ステップ324でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ325に進むと、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ326において、ステップ325で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ324でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ327に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ328に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ324でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ327でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ328に進むと、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ329において、ステップ328で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ322で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図16のステップ330に進むと、ステップ320で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ321で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ331に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図19のステップ357に進む。
ステップ330で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ331に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第2ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ330で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大すると、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ331では、第2ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ332において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ333に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ335に進む。
ステップ332でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ333に進むと、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ334において、ステップ333で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ332でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ335に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ336に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ332でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ335でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ336に進むと、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ337において、ステップ336で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図15のステップ319でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大しないと判別され、ルーチンが図17のステップ338に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が減少すると判別されたときには、ルーチンはステップ339に進む。一方、EGRガス量が減少しないと判別されたときには、ルーチンは図19のステップ357に進む。
ステップ338でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少すると判別され、ルーチンがステップ339に進むと、EGRガス量が減少したときの吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分ΔEinが算出される。次いで、ステップ340において、EGRガス量が減少したときのタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ341において、ステップ339で算出された吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEin|がステップ340で算出されたタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ342に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図18のステップ349に進む。
ステップ341で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ342に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第3ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ341で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少すると、タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ342では、第3ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ343において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ344に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ346に進む。
ステップ343でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ344に進むと、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ345において、ステップ344で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ343でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ346に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ347に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ343でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ346でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ347に進むと、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ348において、ステップ347で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ341で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図18のステップ349に進むと、ステップ339で算出された吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEin|がステップ340で算出されたタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ350に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図19のステップ357に進む。
ステップ349で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ350に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第4ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ349で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少すると、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ350では、第4ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ351において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ352に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ354に進む。
ステップ351でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ352に進むと、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ353において、ステップ352で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ351でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ354に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ355に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ351でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ354でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ355に進むと、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ356において、ステップ355で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ338でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少しないと判別され、ルーチンが図19のステップ357に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。また、ステップ311で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、或いは、ステップ330で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、或いは、ステップ349で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図19のステップ357に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大しても減少しても、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが等しく、或いは、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが等しいことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。そこで、ルーチンがステップ357に進んだときには、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第5ベーン制御モデルが採用される。
次いで、ステップ358において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ359に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ361に進む。
ステップ358でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ359に進むと、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ360において、ステップ359で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ358でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ361に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ362に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ358でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ361でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ362に進むと、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ363において、ステップ362で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられ、ベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
なお、上述したように状態空間モデルが利用される場合に、第1実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用するのに代えて、第2実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用するようにしてもよい。すなわち、この実施形態(以下「第4実施形態」という)では、状態空間モデルとして、第3実施形態の第1EGR制御モデルと同じ状態空間モデル(以下このモデルも「第1EGR制御モデル」という)と、第3実施形態の第2EGR制御モデルと同じ状態空間モデル(以下このモデルも「第2EGR制御モデル」という)とが用意される。
そして、第4実施形態では、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かを判別する。ここで、機関負荷が切替判定負荷よりも高ければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
一方、機関負荷が切替判定負荷以下であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
なお、ベーン開度が変化すると、EGR制御弁開度が変化していなくても、EGRガス量が変化する場合がある。ここで、EGRガス量が増大すれば、少なからず、この増大の影響を過給圧が受けることになるし、EGRガス量が減少すれば、少なからず、この減少の影響を過給圧が受けることになる。したがって、ベーン開度の制御によってベーン開度が変化したときにEGRガス量が増大するときには、この増大の過給圧への影響度合に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることがある。また、ベーン開度の制御によってベーン開度が変化したときにEGRガス量が減少するときには、この減少の過給圧への影響度合に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることもある。
そこで、第4実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに利用されるべき状態空間モデルとして、第3実施形態に関連して説明した考え方と同様の考え方に従って、第1ベーン制御モデル〜第4ベーン制御モデルが用意される。
したがって、第1ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の低下が発生することを前提にして(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の上昇が発生することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものであり、第2ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の上昇が発生することを前提にして(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の低下が発生することを前提にして)過給圧の挙動を表現したものであり、第3ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の低下が発生することを前提として(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の上昇が発生することを前提として)過給圧の挙動を表現したものであり、第4ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の上昇が発生することを前提として(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の低下が発生することを前提として)過給圧の挙動を表現したものである。
そして、第4実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大するか否かと機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かが判別される。
ここで、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ機関負荷が切替判定負荷よりも高い場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の低下が発生する。したがって、この場合、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
また、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ機関負荷が切替判定負荷以下である場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大したときに該EGRガス量の増大分に相当する過給圧の上昇が発生する。したがって、この場合、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
また、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ機関負荷が切替判定負荷よりも高い場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の低下が発生する。したがって、この場合、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
また、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ機関負荷が切替判定負荷以下である場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少したときに該EGRガス量の減少分に相当する過給圧の上昇が発生する。したがって、この場合、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
なお、第4実施形態において、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしない場合(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大も減少もしない場合)、ベーン開度の増大に伴うEGRガス量の増大分または減少分に相当する過給圧の低下分も上昇分も発生しない。
そこで、第4実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに利用されるべき状態空間モデルとして、第3実施形態に関連して説明した考え方と同様の考え方に従って、第5ベーン制御モデルが用意される。
したがって、第5ベーン制御モデルは、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことを前提にして(或いは、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことを前提にして)過給圧の挙動を表現したものである。
そして、第4実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしない場合、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量が決定され、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
なお、上述したように、第1ベーン制御モデル〜第5ベーン制御モデルのいずれの状態空間モデルが利用された場合であっても、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、ベーン開度を増大させる操作量が目標ベーン操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、ベーン開度を減少させる操作量が目標ベーン操作量として決定される。
なお、第4実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第4実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、この場合、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときにベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の低下分が発生することを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルが用意されると共に、機関負荷が切替判定負荷以下であるときにベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の上昇分が発生することを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルが用意される。そして、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときには、ベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の低下分が発生することを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよいし、逆に、機関負荷が切替判定負荷以下であるときには、ベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の上昇分が発生することを前提に過給圧の挙動を表現した状態空間モデルを利用して、目標EGR制御弁操作量および目標ベーン操作量が算出されればよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。
なお、第1実施形態に関連して説明したように第1制御および第2制御を定義したとき、第4実施形態に含まれている思想は、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が低下する一方でEGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が上昇するときに利用されるべき状態空間モデルを第1状態空間モデルとして用意し、EGR制御弁開度を増大させたときに過給圧が上昇する一方でEGR制御弁開度を減少させたときに過給圧が低下するときに利用されるべき状態空間モデルを第2状態空間モデルとして用意し、第1制御を実行すべきであると決定されるときには第1状態空間モデルを利用した第1制御を実行し、第2制御を実行すべきであると決定されるときには第2状態空間モデルを利用した第2制御を実行する(すなわち、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて第1状態空間モデルと第2状態空間モデルとのいずれかをEGR制御弁開度を制御するために利用すべき状態空間モデルとして選択する)というものであると言える。
なお、第4実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第4実施形態では、第1状態空間モデルを利用して算出される目標EGR制御弁操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、EGR制御弁開度が増大せしめられたときに過給圧が低下することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される一方でEGR制御弁開度が減少せしめられたときに過給圧が上昇することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される。一方、第2状態空間モデルを利用して算出される目標EGR制御弁操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、EGR制御弁開度が増大せしめられたときに過給圧が上昇することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される一方でEGR制御弁開度が減少せしめられたときに過給圧が低下することを前提に目標EGR制御弁操作量が算出される。このように、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を把握した上(すなわち、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて)で、第1状態空間モデルを利用して目標EGR制御弁操作量を算出するのか第2状態空間モデルを利用して目標EGR制御弁操作量を算出するのかが決定され、EGR制御弁開度が制御される。したがって、第1実施形態に関連して説明した理由と同じ理由から、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第4実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、EGR制御弁開度が変更された場合の過給圧を状態空間モデルによって予測し、この予測の結果に応じて過給圧を所定の形態でもって変化させるために目標EGR制御弁操作量を算出し、この算出された操作量をEGR制御弁に与えることによってEGR制御弁開度を制御し、これによって、過給圧を制御する場合において、過給圧を速やかに目標過給圧に制御するためには、目標EGR制御弁操作量を算出するために利用される状態空間モデルとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を正確に表現した状態空間モデルが利用されることが重要である。ここで、第4実施形態では、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じた状態空間モデルが第1状態空間モデルおよび第2状態空間モデルとして用意され、これら状態空間モデルがEGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じて(すなわち、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて)選択的に利用される。このため、目標EGR制御弁操作量を算出するために利用される状態空間モデルとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を正確に表現した状態空間モデルが利用され、EGR制御弁開度を変更した場合の過給圧の挙動を予測しつつ目標EGR制御弁操作量が算出されることになるので、過給圧を速やかに目標過給圧に制御することができる。
次に、第4実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図20〜図26に示されている。
図20〜図26のルーチンが開始されると、ステップ400において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ401に進む。一方、機関運転状態が同状態にない(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にある)と判別されたときには、ルーチンは図22のステップ416に進む。
ステップ400で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ステップ401に進むと、当該ステップ401以降のステップに従って、EGR制御弁を制御することによって過給圧が制御される。すなわち、ステップ401において、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ402に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図21のステップ409に進む。
ステップ401でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ402に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第1EGR制御モデルが採用される。すなわち、ステップ401でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ402では、第1EGR制御モデルが目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ403において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ404に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ406に進む。
ステップ403でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ404に進むと、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ405において、ステップ404で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ403でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ406に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ407に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ403でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ406でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ407に進むと、第1EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ408において、ステップ407で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ401でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図21のステップ409に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第2EGR制御モデルが採用される。すなわち、ステップ401でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ409では、第2EGR制御モデルが目標EGR制御弁操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ410において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ411に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ413に進む。
ステップ410でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ411に進むと、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ412において、ステップ411で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ410でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ413に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ414に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ410でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ413でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ414に進むと、第2EGR制御モデルを利用して目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ415において、ステップ414で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図20のステップ400で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンが図22のステップ416に進むと、当該ステップ416以降のステップに従って、ベーン開度を制御することによって過給圧が制御される。すなわち、ステップ416において、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が増大すると判別されたときには、ルーチンはステップ417に進む。一方、EGRガス量が増大しないと判別されたときには、ルーチンは図24のステップ432に進む。
ステップ416でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大すると判別され、ルーチンがステップ417に進むと、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ418に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図23のステップ425に進む。
ステップ417でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ418に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第1ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ417でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ該EGRガス量の増大に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ417では、第1ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ419において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ420に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ422に進む。
ステップ419でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ420に進むと、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ421において、ステップ420で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ419でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ422に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ423に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ419でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ422でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ423に進むと、第1ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ424において、ステップ423で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ417でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図23のステップ425に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第2ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ417でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ該EGRガス量の増大に起因して過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ425では、第2ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ426において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ427に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ429に進む。
ステップ426でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ427に進むと、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ428において、ステップ427で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ426でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ429に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ430に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ426でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ429でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ430に進むと、第2ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ431において、ステップ430で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図22のステップ416でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大しないと判別され、ルーチンが図24のステップ432に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が減少すると判別されたときには、ルーチンはステップ433に進む。一方、EGRガス量が減少しないと判別されたときには、ルーチンは図26のステップ448に進む。
ステップ432でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少すると判別され、ルーチンがステップ433に進むと、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ434に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図25のステップ441に進む。
ステップ433でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ434に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第3ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ433でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ該EGRガス量の減少に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ434では、第3ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ435において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ436に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ438に進む。
ステップ435でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ436に進むと、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ437において、ステップ436で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ435でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ438に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ439に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ435でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ438でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ439に進むと、第3ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ440において、ステップ439で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ433でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図25のステップ441に進むと、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第4ベーン制御モデルが採用される。すなわち、ステップ433でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ該EGRガス量の減少に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ441では、第4ベーン制御モデルが目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして採用されるのである。
次いで、ステップ442において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ443に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ445に進む。
ステップ442でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ443に進むと、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ444において、ステップ443で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ442でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ445に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ446に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ442でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ445でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ446に進むと、第4ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ447において、ステップ446で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図24のステップ432でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少しないと判別され、ルーチンが図26のステップ448に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。そこで、ルーチンがステップ448に進んだときには、目標ベーン操作量を決定するための状態空間モデルとして、上記第5ベーン制御モデルが採用される。
次いで、ステップ449において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ450に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ452に進む。
ステップ449でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ450に進むと、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ451において、ステップ450で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ449でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ452に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ453に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ449でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ452でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ453に進むと、第5ベーン制御モデルを利用して目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ454において、ステップ453で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられ、ベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ところで、上述した実施形態において、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に制御する場合、過給圧を目標過給圧に制御するために目標EGR制御弁操作量が算出され、この算出された操作量がEGR制御弁52に与えられ、これによって、EGR制御弁開度が変更せしめられる。
ここで、こうした目標EGR制御弁操作量を決定するために、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差に基づいたフィードバック制御(例えば、PI制御やPID制御)が利用されることがある。こうしたフィードバック制御が利用される場合、例えば、以下のように目標EGR制御弁操作量が決定される。
すなわち、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差が算出され、この偏差(または、この偏差に加えて或いは代えて、この偏差を利用して一定の規則に従って算出される値)に予め用意されたゲインが乗算されることによって目標EGR制御弁操作量が決定される。例えば、フィードバック制御がPID制御である場合、上記偏差は比例項で使用される偏差に相当し、上記偏差を利用して一定の規則に従って算出される値は積分項および微分項で使用される偏差の積分値および偏差の微分値に相当し、上記ゲインは比例ゲイン、積分ゲイン、および、微分ゲインに相当する。
ところで、上述したようにフィードバック制御が利用される場合に、第1実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用することが好ましい。すなわち、この実施形態(以下「第5実施形態」という)では、フィードバック制御のゲインとして、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況(または、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第1EGR制御ゲイン」という)と、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況(または、EGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第2EGR制御ゲイン」という)とが予め用意される。
そして、第5実施形態では、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、EGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第1EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第2EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
もちろん、このようにEGR制御弁開度を増大させた場合の吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とを比較する代わりに、EGR制御弁開度を減少させた場合の吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とを比較するようにしてもよい。この場合、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第1EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
一方、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第2EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
なお、第3実施形態に関連して説明したように、ベーン開度が変化したときにEGRガス量が増大するときには、この増大によって発生する吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分との関係に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることがある。また、ベーン開度が変化したときにEGRガス量が減少するときには、この減少によって発生する吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分との関係に依存して、ベーン開度が増大されたときの過給圧の低下度合やベーン開度が減少されたときの過給圧の上昇度合が異なることもある。
そこで、第5実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに利用されるべきゲインとして、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第1ベーン制御ゲイン」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第2ベーン制御ゲイン」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第3ベーン制御ゲイン」という)と、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況(または、ベーン開度の減少に伴ってEGRガス量が増大する場合において過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第4ベーン制御ゲイン」という)とが用意される。
そして、第5実施形態では、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大する場合には、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが比較される。ここで、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される。一方、吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される。
また、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少する場合には、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが比較される。ここで、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも小さければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第3ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される。一方、吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きければ、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される。
なお、上述したように、第1ベーン制御ゲイン〜第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される場合、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、ベーン開度を増大させる操作量が目標ベーン操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、ベーン開度を減少させる操作量が目標ベーン操作量として決定される。そして、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
なお、第5実施形態において、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が増大されたとしても過給圧が変化しない状況にある。もちろん、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が減少されたとしても過給圧が変化しない状況にある。したがって、これらの場合、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態であったとしても、ベーン開度を制御することによって過給圧を制御しなければならない。
そこで、第5実施形態では、フィードバック制御のゲインとして、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度が増大されたとしても過給圧が変化しない状況(または、EGR制御弁開度が減少されたとしても過給圧が変化しない状況)にある場合に利用されるべきゲイン(以下このゲインを「第5ベーン制御ゲイン」という)が用意されている。そして、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときであっても、EGR制御弁開度を増大させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、或いは、EGR制御弁開度を減少させた場合の過給エネルギ収支が零であれば、第5ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によってベーン開度が制御される。この場合、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、ベーン開度を増大させる操作量が目標ベーン操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、ベーン開度を減少させる操作量が目標ベーン操作量として決定される。そして、この決定された操作量がベーン35Dに与えられる。
なお、第5実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第5実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、この場合、ベーン開度を変更する(すなわち、増大し或いは減少する)と共にEGR制御弁開度を変更した(すなわち、増大し或いは減少した)ときのEGRガス量の変化(すなわち、増大または減少)に起因した過給圧の上昇分または低下分が発生することを前提に、フィードバック制御に利用されるべきゲインがそれぞれ用意される。そして、ベーン開度を増大すると共にEGR制御弁開度を増大したときに、EGRガス量の変化に起因した過給圧の上昇分が発生するのであれば、このことを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよいし、逆に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の低下分が発生するのであれば、このことを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよい。また、ベーン開度を増大すると共にEGR制御弁開度を減少したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を減少したとき、或いは、ベーン開度を減少すると共にEGR制御弁開度を増大したときにも、同様に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の上昇分が発生するのであれば、このことを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよし、逆に、EGRガス量の変化に起因した過給圧の低下分が発生するのであれば、このことを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。
なお、第5実施形態では、目標過給圧に対する過給圧の偏差に応じたフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。しかしながら、第5実施形態は、広くは、目標過給圧に対する過給圧の偏差をEGR制御弁に与える操作量に変換するゲインを用いた制御によってEGR制御弁開度が制御される場合にも適用可能である。
また、第3実施形態に関連して説明したように、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の挙動に影響するパラメータとして、変化前の過給エネルギや変化後の過給エネルギ以外のパラメータが存在する場合もある。そして、こうした場合に第5実施形態を適用することも可能である。したがって、第5実施形態は、広くは、変化前の過給エネルギと変化後の過給エネルギとを比較し、その比較の結果に応じてゲインを適宜選択するものであると言える。
したがって、以上のことを考慮すれば、第1実施形態に関連して説明したように第1制御および第2制御を定義したとき、第5実施形態に含まれている思想は、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を増大させる操作量を算出する一方で過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を減少させる操作量を算出するゲインを第1ゲインとして用意し、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を減少させる操作量を算出する一方で過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を増大させる操作量を算出するゲインを第2ゲインとして用意し、第1制御を実行すべきであると決定されるときには第1ゲインを利用した第1制御が実行され、第2制御を実行すべきであると決定されるときには第2ゲインを利用した第2制御を実行する(すなわち、排気再循環制御弁の開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較の結果に応じて、第1ゲインと第2ゲインとのいずれかをEGR制御弁開度を制御するために利用すべきゲインとして選択する)というものであると言える。
なお、第5実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第1ゲインを利用して算出される操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、過給圧が目標過給圧よりも高ければEGR制御弁開度が増大せしめられ、過給圧が目標過給圧よりも低ければEGR制御弁開度が減少せしめられることになる。一方、第2ゲインを利用して算出される操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、過給圧が目標過給圧よりも高ければEGR制御弁開度が減少せしめられ、過給圧が目標過給圧よりも低ければEGR制御弁開度が増大せしめられる。したがって、第1実施形態および第2実施形態に関連して説明した理由と同じ理由から、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第5実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、過給圧を目標過給圧に制御するために目標過給圧に対する過給圧の偏差に基づいて特定のゲインを利用してEGR制御弁に与える操作量を算出し、この算出された操作量をEGR制御弁に与えることによってEGR制御弁開度を制御し、これによって、過給圧を制御する場合において、過給圧を速やかに目標過給圧に制御するためには、EGR制御弁に与えられる操作量を算出するために利用されるゲインとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を踏まえたゲインが用いられることが重要である。ここで、第5実施形態では、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じたゲインが第1ゲインおよび第2ゲインとして用意され、これらゲインがEGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じて(すなわち、EGR制御弁開度が変更された場合の吸気抵抗変化に起因する過給エネルギ変化分とタービン通過排気ガス量変化に起因する過給エネルギ変化分との比較の結果に応じて)選択的に利用される。このため、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御するときに、EGR制御弁に与える操作量を算出するために利用されるゲインとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を踏まえたゲインが利用され、このゲインによって目標過給圧に対する過給圧の偏差に応じた操作量が目標EGR制御弁操作量として算出されることになるので、過給圧を速やかに目標過給圧に制御することができる。
次に、第5実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図27〜図29に示されている。
図27〜図29のルーチンが開始されると、ステップ500において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ501に進む。一方、機関運転状態が同状態(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にある)と判別されたときには、ルーチンは図29のステップ519に進む。
ステップ500で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンがステップ501に進むと、EGR制御弁開度を増大させたときの吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分ΔEinが算出される。次いで、ステップ502において、EGR制御弁開度を増大させたときのタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ503において、ステップ501で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ502で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ504に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図28のステップ511に進む。
ステップ503で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ504に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第1EGR制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ503で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、EGR制御弁開度を増大させると、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ504では、第1EGR制御ゲインが目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ505において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ506に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ508に進む。
ステップ505でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ506に進むと、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ507において、ステップ506で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ505でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ508に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ509に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ505でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ508でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ509に進むと、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ510において、ステップ509で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ503で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図28のステップ511に進むと、ステップ501で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ502で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ512に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図33のステップ57に進む。
ステップ511で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ512に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第2EGR制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ511で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、EGR制御弁開度を増大させると、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ512では、第2EGR制御ゲインが目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ513において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ514に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ516に進む。
ステップ513でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ514に進むと、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ515において、ステップ514で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ513でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ516進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ517に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ513でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ516でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ517に進むと、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ518において、ステップ517で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ500で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンが図29のステップ519に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が増大すると判別されたときには、ルーチンはステップ520に進む。一方、EGRガス量が増大しないと判別されたときには、ルーチンは図31のステップ538に進む。
ステップ519でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大すると判別され、ルーチンがステップ520に進むと、EGRガス量が増大したときの吸入抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分ΔEinが算出される。次いで、ステップ521において、EGRガス量が増大したときのタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ522において、ステップ520で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ521で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ523に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図30のステップ530に進む。
ステップ522で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ523に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第1ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ522で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大すると、タービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分が吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ523では、第1ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ524において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ525に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ527に進む。
ステップ524でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ525に進むと、第1ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ526において、ステップ525で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ524でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ527に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ528に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ524でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ527でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ528に進むと、第1ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ529において、ステップ528で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ522で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図30のステップ530に進むと、ステップ520で算出された吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEin|がステップ521で算出されたタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ531に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図33のステップ557に進む。
ステップ530で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ531に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第2ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ530で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大すると、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分がタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ531では、第2ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ532において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ533に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ535に進む。
ステップ532でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ533に進むと、第2ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ534において、ステップ533で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ532でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ535に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ536に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ532でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ535でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ536に進むと、第2ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ537において、ステップ536で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図29のステップ519でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大しないと判別され、ルーチンが図31のステップ538に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が減少すると判別されたときには、ルーチンはステップ539に進む。一方、EGRガス量が減少しないと判別されたときには、ルーチンは図33のステップ557に進む。
ステップ538でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少すると判別され、ルーチンがステップ539に進むと、EGRガス量が減少したときの吸入抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分ΔEinが算出される。次いで、ステップ540において、EGRガス量が減少したときのタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分ΔEtbが算出される。次いで、ステップ541において、ステップ539で算出された吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEin|がステップ540で算出されたタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEtb|よりも小さい(|ΔEin|<|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ542に進む。一方、|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図32のステップ549に進む。
ステップ541で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ542に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第3ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ541で|ΔEin|<|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少すると、タービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分が吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分よりも大きくなり、その結果、過給圧が上昇することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ542では、第3ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ543において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ544に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ546に進む。
ステップ543でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ544に進むと、第3ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ545において、ステップ544で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ543でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ546に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ547に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ543でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ546でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ547に進むと、第3ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ548において、ステップ547で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ541で|ΔEin|≧|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図32のステップ549に進むと、ステップ539で算出された吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分の絶対値|ΔEin|がステップ540で算出されたタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分の絶対値|ΔEtb|よりも大きい(|ΔEin|>|ΔEtb|)か否かが判別される。ここで、|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンはステップ550に進む。一方、|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別されたときには、ルーチンは図33のステップ557に進む。
ステップ549で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別され、ルーチンがステップ550に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第4ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ549で|ΔEin|>|ΔEtb|であると判別された場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少すると、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分がタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分よりも大きくなり、その結果、過給圧が低下することになる。すなわち、過給圧に関する状況がEGRガス量の減少に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ550では、第4ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ551において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ552に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ554に進む。
ステップ551でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ552に進むと、第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ553において、ステップ552で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ551でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ554に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ555に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ551でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ554でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ555に進むと、第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ556において、ステップ555で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ538でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少しないと判別され、ルーチンが図33のステップ557に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。また、ステップ511で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、或いは、ステップ530で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、或いは、ステップ549で|ΔEin|≦|ΔEtb|であると判別され、ルーチンが図33のステップ557に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大しても減少しても、吸気抵抗減少に起因する過給エネルギ増加分とタービン通過排気ガス量減少に起因する過給エネルギ減少分とが等しく、或いは、吸気抵抗増大に起因する過給エネルギ減少分とタービン通過排気ガス量増大に起因する過給エネルギ増加分とが等しいことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。そこで、ルーチンがステップ357に進んだときには、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第5ベーン制御ゲインが採用される。
次いで、ステップ558において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ559に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ561に進む。
ステップ558でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ559に進むと、第5ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ560において、ステップ559で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ558でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ561に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ562に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ558でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ561でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ562に進むと、第5ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ563において、ステップ562で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられ、ベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
なお、上述したようにフィードバック制御が利用される場合に、第1実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用するのに代えて、第2実施形態に関連して説明したEGR制御弁開度の制御に関する考え方を適用するようにしてもよい。すなわち、この実施形態(以下「第6実施形態」という)では、フィードバック制御のゲインとして、第5実施形態の第1EGR制御ゲインと同じゲイン(以下このゲインも「第1EGR制御ゲイン」という)と、第5実施形態の第2EGR制御ゲインと同じゲイン(以下このゲインも「第2EGR制御ゲイン」という)とが予め用意される。
そして、第6実施形態では、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるときに、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かを判別する。ここで、機関負荷が切替判定負荷よりも高ければ、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。したがって、この場合、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第1EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
一方、機関負荷が切替判定負荷以下であれば、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。したがって、この場合、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。すなわち、この場合、第2EGR制御ゲインを利用して目標EGR制御弁操作量が決定され、この決定された操作量がEGR制御弁52に与えられる。このとき、過給圧が目標過給圧よりも高ければ、EGR制御弁開度を増大させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定され、過給圧が目標過給圧よりも低ければ、EGR制御弁開度を減少させる操作量が目標EGR制御弁操作量として決定される。
なお、第6実施形態では、第5実施形態の第1ベーン制御ゲインと同じゲイン(以下このゲインも「第1ベーン制御ゲイン」という)が予め用意されている。そして、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあるときのベーン開度のフィードバック制御にも利用される。
もちろん、第6実施形態において、ベーン開に関するフィードバック制御のゲインとして、第5実施形態と同様に、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が低下する状況(または、EGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべきゲインと、過給圧に関する状況がEGRガス量の増大に伴って過給圧が上昇する状況(または、EGRガス量の減少に伴って過給圧が上昇する状況)にある場合に利用されるべきゲインとを用意し、これらゲインのいずれか一方を過給圧に関する状況に応じて利用するようにしてもよい。
なお、第6実施形態では、EGR制御弁開度とベーン開度とのいずれか一方のみを制御することによって過給圧を制御しているが、第6実施形態の過給圧の制御に関する考え方は、EGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合にも適用可能である。
例えば、この場合、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときにベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の低下分が発生することを前提にフィードバック制御に利用されるべきゲインが用意されると共に、機関負荷が切替判定負荷以下であるときにベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の上昇分が発生することを前提にフィードバック制御に利用されるべきゲインが用意される。そして、機関負荷が切替判定負荷よりも高いときには、ベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の低下分が発生することを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよいし、逆に、機関負荷が切替判定負荷以下であるときには、ベーン開度およびEGR制御弁開度の変更に伴ってEGRガス量が増大する場合にEGRガス量の増大に起因する過給圧の上昇分が発生することを前提に用意されたゲインを利用してEGR制御弁開度およびベーン開度がフィードバック制御によって制御されればよい。
なお、上述したようにEGR制御弁開度とベーン開度との両方を制御することによって過給圧を制御する場合において、過給圧を上昇させるべきとき、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって上昇させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。もちろん、過給圧を低下させるべきときにも、過給圧を目標過給圧に向かって適切な形態でもって低下させることができるのであれば、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量が算出されてもよいし、EGR制御弁開度を減少させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を減少させる目標ベーン操作量とが算出されてもよいし、EGR制御弁開度を増大させる目標EGR制御弁操作量とベーン開度を増大させる目標ベーン操作量とが算出されてもよい。
なお、第6実施形態では、目標過給圧に対する過給圧の偏差に応じたフィードバック制御によってEGR制御弁開度が制御される。しかしながら、第6実施形態は、広くは、目標過給圧に対する過給圧の偏差をEGR制御弁に与える操作量に変換するゲインを用いた制御によってEGR制御弁開度が制御される場合にも適用可能である。
したがって、以上のことを考慮すれば、第1実施形態に関連して説明したように第1制御および第2制御を定義したとき、第6実施形態に含まれている思想は、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を増大させる操作量を算出する一方で過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を減少させる操作量を算出するゲインを第1ゲインとして用意し、過給圧が目標過給圧よりも高いときにEGR制御弁開度を減少させる操作量を算出する一方で過給圧が目標過給圧よりも低いときにEGR制御弁開度を増大させる操作量を算出するゲインを第2ゲインとして用意し、第1制御を実行すべきであると決定されるときには第1ゲインを利用した第1制御が実行され、第2制御を実行すべきであると決定されるときには第2ゲインを利用した第2制御を実行する(すなわち、内燃機関の負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて、第1ゲインと第2ゲインとのいずれかをEGR制御弁開度を制御するために利用すべきゲインとして選択する)というものであると言える。
なお、第6実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第1ゲインを利用して算出される操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、過給圧が目標過給圧よりも高ければEGR制御弁開度が増大せしめられ、過給圧が目標過給圧よりも低ければEGR制御弁開度が減少せしめられることになる。一方、第2ゲインを利用して算出される操作量がEGR制御弁に与えられる制御では、過給圧が目標過給圧よりも高ければEGR制御弁開度が減少せしめられ、過給圧が目標過給圧よりも低ければEGR制御弁開度が増大せしめられる。したがって、第1実施形態および第2実施形態に関連して説明した理由と同じ理由から、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に確実に制御することができる。
また、第6実施形態によれば、以下の効果も得られる。すなわち、過給圧を目標過給圧に制御するために目標過給圧に対する過給圧の偏差に基づいて特定のゲインを利用してEGR制御弁に与える操作量を算出し、この算出された操作量をEGR制御弁に与えることによってEGR制御弁開度を制御し、これによって、過給圧を制御する場合において、過給圧を速やかに目標過給圧に制御するためには、EGR制御弁に与えられる操作量を算出するために利用されるゲインとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を踏まえたゲインが用いられることが重要である。ここで、第6実施形態では、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じたゲインが第1ゲインおよび第2ゲインとして用意され、これらゲインがEGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向に応じて(すなわち、機関負荷が切替判定負荷よりも高いか否かに応じて)選択的に利用される。このため、EGR制御弁開度を制御することによって過給圧を制御するときに、EGR制御弁に与える操作量を算出するために利用されるゲインとして、EGR制御弁開度の変更に伴う過給圧の変化の傾向を踏まえたゲインが利用され、このゲインによって目標過給圧に対する過給圧の偏差に応じた操作量が目標EGR制御弁操作量として算出されることになるので、過給圧を速やかに目標過給圧に制御することができる。
次に、第6実施形態の過給圧制御を実行するルーチンの一例について説明する。このルーチンは、図34〜図40に示されている。
図34〜図40のルーチンが開始されると、ステップ600において、機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあるか否かが判別される。ここで、機関運転状態が同状態にあると判別されたときには、ルーチンはステップ601に進む。一方、機関運転状態が同状態(すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にある)と判別されたときには、ルーチンは図36のステップ616に進む。
ステップ600で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ステップ601に進むと、当該ステップ601以降のステップに従って、EGR制御弁を制御することによって過給圧が制御される。すなわち、ステップ601において、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ602に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図35のステップ609に進む。
ステップ601でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ602に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第1EGR制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ601でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ602では、第1EGR制御ゲインが目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ603において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ604に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ606に進む。
ステップ603でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ604に進むと、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ605において、ステップ604で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ603でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ606に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ607に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ603でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ606でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ607に進むと、第1EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ608において、ステップ607で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ601でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図35のステップ609に進むと、目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第2EGR制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ601でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がEGR制御弁開度の増大に伴って過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ609では、第2EGR制御ゲインが目標EGR制御弁操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ610において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ611に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ613に進む。
ステップ610でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ611に進むと、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ612において、ステップ611で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ610でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ613に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ614に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ610でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ613でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ614に進むと、第2EGR制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標EGR制御弁操作量Megrが決定される。次いで、ステップ615において、ステップ614で決定された目標EGR制御弁操作量MegrがEGR制御弁52に与えられることによってEGR制御弁開度Degrが制御され、ルーチンが終了する。この場合、EGR制御弁開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図34のステップ600で機関運転状態がEGR制御弁開度の制御による過給圧制御状態にない、すなわち、機関運転状態がベーン開度の制御による過給圧制御状態にあると判別され、ルーチンが図36のステップ616に進むと、当該ステップ616以降のステップに従って、ベーン開度を制御することによって過給圧が制御される。すなわち、ステップ616において、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が増大すると判別されたときには、ルーチンはステップ617に進む。一方、EGRガス量が増大しないと判別されたときには、ルーチンは図38のステップ632に進む。
ステップ616でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大すると判別され、ルーチンがステップ617に進むと、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ618に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図37のステップ625に進む。
ステップ617でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ618に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第1ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ617でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ該EGRガス量の増大に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ618では、第1ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ619において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ620に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ622に進む。
ステップ619でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ620に進むと、第1ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ621において、ステップ620で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ619でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ622に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ623に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ619でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ622でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ623に進むと、第1ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ624において、ステップ623で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ617でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図37のステップ625に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第2ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ617でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大し且つ該EGRガス量の増大に起因して過給圧が上昇する状況にある。そこで、ステップ625では、第2ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ626において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ627に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ629に進む。
ステップ626でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ627に進むと、第2ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ628において、ステップ627で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ626でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ629に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ630に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ626でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ629でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ630に進むと、第2ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ631において、ステップ630で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図36のステップ616でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が増大しないと判別され、ルーチンが図38のステップ632に進むと、ベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少するか否かが判別される。ここで、EGRガス量が減少すると判別されたときには、ルーチンはステップ633に進む。一方、EGRガス量が減少しないと判別されたときには、ルーチンは図40のステップ648に進む。
ステップ632でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少すると判別され、ルーチンがステップ633に進むと、機関負荷Lが特定切替判定負荷Lthよりも高い(L>Lth)か否かが判別される。ここで、L>Lthであると判別されたときには、ルーチンはステップ634に進む。一方、L≦Lthであると判別されたときには、ルーチンは図39のステップ641に進む。
ステップ633でL>Lthであると判別され、ルーチンがステップ634に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第3ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ633でL>Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ該EGRガス量の減少に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ634では、第3ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ635において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ636に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ638に進む。
ステップ635でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ636に進むと、第3ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ637において、ステップ636で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ635でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ638に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ639に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ635でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ638でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ639に進むと、第3ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ640において、ステップ639で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
ステップ633でL≦Lthであると判別され、ルーチンが図39のステップ641に進むと、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第4ベーン制御ゲインが採用される。すなわち、ステップ633でL≦Lthであると判別された場合、過給圧に関する状況がベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が減少し且つ該EGRガス量の減少に起因して過給圧が低下する状況にある。そこで、ステップ641では、第4ベーン制御ゲインが目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして採用されるのである。
次いで、ステップ642において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ643に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ645に進む。
ステップ642でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ643に進むと、第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ644において、ステップ643で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
一方、ステップ642でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ645に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ646に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ642でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ645でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ646に進むと、第4ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ647において、ステップ646で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
図38のステップ632でベーン開度が増大された場合にEGRガス量が減少しないと判別され、ルーチンが図40のステップ648に進んだ場合、ベーン開度の増大に伴ってEGRガス量が増大も減少もしないことから、ベーン開度の増大または減少に伴うEGRガス量の変化に起因する過給圧の変化が発生しないことになる。そこで、ルーチンがステップ648に進んだときには、目標ベーン操作量を決定するためのフィードバック制御に利用されるゲインとして、上記第5ベーン制御ゲインが採用される。
次いで、ステップ649において、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも高い(Pim>TPim)か否かが判別される。ここで、Pim>TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ650に進む。一方、Pim≦TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ652に進む。
ステップ649でPim>TPimであると判別され、ルーチンがステップ650に進むと、第5ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ651において、ステップ650で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられることによってベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が増大せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって低下する。
ステップ649でPim≦TPimであると判別され、ルーチンがステップ652に進むと、過給圧Pimが目標過給圧TPimよりも低い(Pim<TPim)か否かが判別される。ここで、Pim<TPimであると判別されたときには、ルーチンはステップ653に進む。一方、Pim≧TPimであると判別されたときには、ステップ649でPim≦TPimであると判別されていることから、Pim=TPimである。すなわち、過給圧が目標過給圧に制御されているので、EGR制御弁開度もベーン開度も変更させることなく、ルーチンはそのまま終了する。
ステップ652でPim<TPimであると判別され、ルーチンがステップ653に進むと、第5ベーン制御ゲインを利用したフィードバック制御によって目標ベーン操作量Mvaneが決定される。次いで、ステップ654において、ステップ653で決定された目標ベーン操作量Mvaneがベーン35Dに与えられ、ベーン開度Dvaneが制御され、ルーチンが終了する。この場合、ベーン開度が減少せしめられるので、過給圧が目標過給圧に向かって上昇する。
なお、上述した実施形態の内燃機関では、ベーン開度を制御することによってタービン通過排気ガス量を制御することができるように構成されているが、排気タービンよりも上流側の排気管の部分から排気タービンよりも下流側の排気管の部分まで延びるバイパス管を設け、このバイパス管内を流れる排気ガスの量を制御することができる制御弁を当該バイパス管に設け、この制御弁の開度を制御することによってタービン通過排気ガス量を制御することができるように構成された内燃機関に本発明を適用することも可能である。