JP5492741B2 - 鞍乗型車両の後輪駆動構造 - Google Patents

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本発明は、鞍乗型車両の後輪駆動構造に関する。
従来の鞍乗型車両の後輪駆動構造としては、図6及び図7に示すような構造が知られている。詳細には、ホイール100のハブ101の側面に、ハブ101から車幅方向外側に突出するように、3つのダンパ収容ボス102が設けられ、このダンパ収容ボス102の外側面に設けられる凹部103にダンパ104が収容されている。また、スプロケット105は、車軸106にベアリング107を介して軸支されるドリブンフランジ108にボルト109により締結されている。そして、このボルト109の頭部109aが、円環状のダンパ104内に挿入され、スプロケット105の駆動力をダンパ104に伝達している。また、スプロケット105の駆動力は、ダンパ104によってショック吸収されながらホイール100に伝達される。
そして、従来の鞍乗型車両の後輪駆動構造によれば、ダンパ収容ボス102が車軸106に寄せて配置されるため、ホイール100のサイズを極力小さくすることができる。また、スプロケット105がドリブンフランジ108に支持されるため、スプロケット105は駆動力により倒れることがない。
ところで、従来の鞍乗型車両の後輪駆動構造では、ダンパ収容ボス102が車軸106に寄せて配置されるため、駆動力によってボルト109の頭部109aに大きな荷重がかかることになり、その駆動力の大きさによっては、頭部109aの座面やねじの摩擦面が擦れることにより、スプロケット105とドリブンフランジ108との締結力が低下する可能性があるため、メンテナンス頻度を高める必要がある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホイールのサイズを極力小さくすることができ、駆動力によるスプロケットの倒れを防止することができると共に、スプロケットとドリブンフランジとの締結力の低下を極力防止することができる鞍乗型車両の後輪駆動構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車軸と、車軸に取り付けられるホイールと、ホイールにチェーン駆動力を伝達するスプロケットと、車軸に取り付けられるベアリングに取り付けられ、スプロケットが締結されるドリブンフランジと、スプロケットとホイールとを連結する環状のダンパと、を備え、ホイールのハブには、ハブから車幅方向外側に向かって延び、ダンパを収容する凹部を有するダンパ収容ボスが、周方向に複数形成され、ダンパ内に、スプロケットに取り付けられるダンパ押圧部材が挿入される鞍乗型車両の後輪駆動構造において、スプロケットとドリブンフランジとの締結部が、周方向に隣り合うダンパ収容ボス間の空間にそれぞれ配置されることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、ダンパ押圧部材は、スプロケットを挟むように設けられるダンパ側ボルト及びダンパ側ナットから構成され、スプロケットとドリブンフランジとの締結部は、フランジ側ボルト及びフランジ側ナットから構成され、フランジ側ボルトは、ダンパ側ボルトよりも径方向外側に配置されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、ドリブンフランジは、車軸側からスプロケットとの締結部に向けて延びる複数の腕部を有し、腕部同士の連結部が円弧状に形成されることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、ホイールは、複数のスポーク部を有し、ハブの側面に傾斜面が形成され、スプロケットとドリブンフランジとの締結部は、ダンパ収容ボスと車両前後方向で重なる位置、且つハブの傾斜面に隣接して配置されることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ダンパ収容ボスが車軸に寄せて配置されるため、ホイールのサイズを極力小さくすることができる。また、スプロケットがドリブンフランジに支持されるため、駆動力によるスプロケットの倒れを防止することができる。さらに、スプロケットとドリブンフランジとの締結部が、周方向に隣り合うダンパ収容ボス間の空間にそれぞれ配置されるため、ダンパ収容ボス間の空間というデッドスペースを利用しながら、スプロケットとドリブンフランジとの締結部をダンパ押圧部材と別に独立して設けることができ、スプロケットとドリブンフランジとの締結力の低下を極力防止することができる。
請求項2の発明によれば、ダンパ押圧部材が、スプロケットを挟むように設けられるダンパ側ボルト及びダンパ側ナットから構成され、スプロケットとドリブンフランジとの締結部が、フランジ側ボルト及びフランジ側ナットから構成され、フランジ側ボルトが、ダンパ側ボルトよりも径方向外側に配置されるため、フランジ側ボルトのサイズを小さくしても、駆動力に耐え易くすることができる。また、フランジ側ボルトが径方向外側に配置されるので、ハブの側面とのクリアランスを確保することができる。
請求項3の発明によれば、ドリブンフランジは、車軸側からスプロケットとの締結部に向けて延びる複数の腕部を有し、腕部同士の連結部が円弧状に形成されるため、ダンパ側ナットを避けながら、ドリブンフランジを極力コンパクトにすることができる。
請求項4の発明によれば、ハブの側面に傾斜面が形成され、スプロケットとドリブンフランジとの締結部は、ダンパ収容ボスと車両前後方向で重なる位置、且つハブの傾斜面に隣接して配置されるため、スプロケットとドリブンフランジとの締結部を、ホイールの形状に極力寄せるように配置することができる。
本発明に係る鞍乗型車両の後輪駆動構造の一実施形態が搭載された自動二輪車を説明する要部拡大左側面図である。 図1に示すホイールのハブの周辺の拡大左側面図である。 図2のA−A線断面図である。 図1に示すスイングアームの拡大斜視図である。 本発明に係る鞍乗型車両の後輪駆動構造の変形例を説明する図3に対応する断面図である。 従来の鞍乗型車両の後輪駆動構造を説明するホイールのハブの周辺の拡大左側面図である。 図6のB−B線断面図である。
以下、本発明に係る鞍乗型車両の後輪駆動構造の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
本実施形態の自動二輪車(鞍乗型車両)10は、図1に示すように、車体フレーム11と、車体フレーム11に懸架されるエンジン20と、車体フレーム11のピボットフレーム12にピボット軸13を介して揺動可能に支持されるスイングアーム30と、スイングアーム30の後端部に車軸14を介して回転可能に支持される後輪WRと、ピボットフレーム12にスイングアーム30を懸架する後輪懸架装置40と、を備える。
エンジン20の駆動力は、エンジン20のクランクケース21の左側面に設けられるドライブスプロケット22、後輪WRの左側面に取り付けられるドリブンスプロケット23、及びドライブスプロケット22とドリブンスプロケット23との間に巻き掛けられるドライブチェーン24を介して後輪WRに伝達される。
後輪懸架装置40は、図1に示すように、その上端部がピボットフレーム12の上端部に揺動自在に取り付けられるリヤクッション41と、リヤクッション41の下端部とスイングアーム30の下側中間部とを揺動可能に連結する略三角形状の第1リンク42と、第1リンク42とピボットフレーム12の下端部とを揺動自在に連結する第2リンク43と、を備える。
スイングアーム30は、図1及び図4に示すように、ピボット軸13に軸支されるピボットパイプ31と、ピボットパイプ31に取り付けられる前部ブロック32と、前部ブロック32の後部の左右側面にそれぞれ接合され、後方に延びる左側アーム33L及び右側アーム33Rと、を備える。また、図3に示すように、左側及び右側アーム33L,33Rの後端部には、車軸14を挿通させる長穴状の車軸挿通穴34がそれぞれ(右側アーム33R側の車軸挿通穴は不図示)形成されている。また、前部ブロック32には、リヤクッション41を挿通させるためのクッション挿通穴32aが上下方向に形成されている。
また、本実施形態では、左側アーム33Lは、左右2分割の内側アーム部35a及び外側アーム部35bを溶接することにより形成されており、その溶接面36は、ドライブチェーン24の通過位置よりも車幅方向外側に配置されている。これにより、ドライブチェーン24の接触により溶接面36が傷付くことを防止することができる。なお、図4中の符号37は、ドライブチェーン24の接触によりスイングアーム30が傷付くことを防止するチェーンスライダーである。
後輪WRは、図1〜図3に示すように、車軸14に回転可能に取り付けられるホイール50と、ホイール50の外周に装着されるタイヤTと、を備える。ホイール50は、車軸14上に左右一対のベアリング15(右側のベアリングは不図示)を介して取り付けられるハブ51と、ハブ51の外周面から径方向外方に延び、ハブ51の周方向に略等間隔に形成される6本のスポーク部52と、6本のスポーク部52の径方向外端部間を連結する円環状のリム53と、を備える。
また、図3に示すように、車軸14のベアリング15の車幅方向内側にはセンターカラー16が外嵌され、車軸14のベアリング15の車幅方向外側にはサイドカラー17が外嵌されている(なお、上記不図示の右側のベアリングの車幅方向外側にも同じくサイドカラーが外嵌されている)。また、車軸14は、スイングアーム30の車軸挿通穴34に挿通され、その車両前後方向の位置は、チェーンアジャスター38により位置決めされる。
また、サイドカラー17の外周面に形成される段部17aには、ベアリング18が取り付けられており、このベアリング18上には、ドリブンスプロケット23が締結されるドリブンフランジ60が取り付けられている。
ドリブンフランジ60は、図2及び図3に示すように、ホイール50のハブ51の車幅方向外端部に内嵌されるクランク形状の円筒部61と、円筒部61の車幅方向外端部からドリブンスプロケット23との締結部に向かって延び、周方向に略等間隔に形成される3つの腕部62と、を備え、側面視において略三角形状に形成されている。さらに、隣り合う腕部62同士の連結部63が円弧状に形成されている。
そして、ドリブンスプロケット23は、3つの腕部62の車幅方向内側面に締結されており、この締結部は、ドリブンスプロケット23及びドリブンフランジ60を挟むように設けられるフランジ側ボルト71及びフランジ側ナット72から構成される。また、フランジ側ボルト71は、ドリブンスプロケット23及びドリブンフランジ60の腕部62に形成されるボルト挿通穴23a及び62aに車幅方向外側から挿入され、フランジ側ナット72により締め付けられる。
また、図2及び図3に示すように、ドライブチェーン24からドリブンスプロケット23に伝達される駆動力は、ドリブンスプロケット23とホイール50とを連結する円環状のダンパ80により後輪WRに伝達される。そして、ホイール50のハブ51には、その左側面から車幅方向外側に向かって延び、ダンパ80を収容する凹部54aを有するダンパ収容ボス54が、周方向に略等間隔に3つ形成されている。また、ハブ51の左側面の周方向に隣り合う3つのダンパ収容ボス54間には、車幅方向外側に向かうに従って径方向内側に傾斜する傾斜面55が形成されている。
また、ダンパ80内には、ドリブンスプロケット23に取り付けられるダンパ押圧部材が挿入されており、このダンパ押圧部材は、ドリブンスプロケット23を挟むように設けられるダンパ側ボルト73及びダンパ側ナット74により構成されている。また、ダンパ80内に挿入されるのは、ダンパ側ボルト73の頭部73aである。また、ダンパ側ボルト73は、ドリブンスプロケット23に形成されるボルト挿通穴23bに車幅方向内側から挿入され、ダンパ側ナット74により締め付けられる。
また、図2に示すように、フランジ側ボルト71及びフランジ側ナット72は、車両側面視において、周方向に隣り合う3つのダンパ収容ボス54間の空間56にそれぞれ配置される。また、図3に示すように、フランジ側ナット72は、ダンパ収容ボス54と車両前後方向で重なる位置、且つハブ51の傾斜面55に隣接して配置される。さらに、フランジ側ボルト71は、ダンパ側ボルト73よりも径方向外側に配置されている。
以上説明したように、本実施形態の後輪駆動構造によれば、ダンパ収容ボス54が車軸14に寄せて配置されるため、ホイール50のサイズを極力小さくすることができる。また、ドリブンスプロケット23がドリブンフランジ60に支持されるため、駆動力によるドリブンスプロケット23の倒れを防止することができる。さらに、ドリブンスプロケット23とドリブンフランジ60との締結部であるフランジ側ボルト71及びフランジ側ナット72が、周方向に隣り合うダンパ収容ボス54間の空間56にそれぞれ配置されるため、ダンパ収容ボス54間の空間56というデッドスペースを利用しながら、締結部であるフランジ側ボルト71及びフランジ側ナット72を、ダンパ押圧部材であるダンパ側ボルト73及びダンパ側ナット74と別に独立して設けることができ、ドリブンスプロケット23とドリブンフランジ60との締結力の低下を極力防止することができる。
また、本実施形態の後輪駆動構造によれば、フランジ側ボルト71が、ダンパ側ボルト73よりも径方向外側に配置されるため、フランジ側ボルト71のサイズを小さくしても、駆動力に耐え易くすることができる。また、フランジ側ボルト71が径方向外側に配置されるので、ハブ51の左側面とのクリアランスを確保することができる。
また、本実施形態の後輪駆動構造によれば、ドリブンフランジ60は、車軸14側からドリブンスプロケット23との締結部に向けて延びる3つの腕部62を有し、腕部62同士の連結部63が円弧状に形成されるため、ダンパ側ナット74を避けながら、ドリブンフランジ60を極力コンパクトにすることができる。
また、本実施形態の後輪駆動構造によれば、ドリブンスプロケット23とドリブンフランジ60との締結部であるフランジ側ナット72は、ダンパ収容ボス54と車両前後方向で重なる位置、且つハブ51の傾斜面55に隣接して配置されるため、フランジ側ナット72を、ホイール50の形状に極力寄せるように配置することができる。
また、本実施形態の変形例として、図5に示すように、ドリブンフランジ60の腕部62に、ボルト挿通穴62aの代わりに雌ねじ部62bを形成して、この雌ねじ部62bに、ドリブンスプロケット23のボルト挿通穴23aを介して、フランジ側ボルト71を車幅方向内側から締め付けることにより、ドリブンスプロケット23をドリブンフランジ60に締結してもよい。
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
10 自動二輪車(鞍乗型車両)
14 車軸
18 ベアリング
22 ドライブスプロケット
23 ドリブンスプロケット
24 ドライブチェーン
30 スイングアーム
50 ホイール
51 ハブ
52 スポーク部
53 リム
54 ダンパ収容ボス
54a 凹部
55 傾斜面
56 空間
60 ドリブンフランジ
61 円筒部
62 腕部
62a ボルト挿通穴
62b 雌ねじ部(締結部)
63 連結部
71 フランジ側ボルト(締結部)
72 フランジ側ナット(締結部)
73 ダンパ側ボルト(ダンパ押圧部材)
74 ダンパ側ナット(ダンパ押圧部材)
80 ダンパ
WR 後輪

Claims (4)

  1. 車軸(14)と、
    前記車軸に取り付けられるホイール(50)と、
    前記ホイールにチェーン駆動力を伝達するスプロケット(23)と、
    前記車軸に取り付けられるベアリング(18)に取り付けられ、前記スプロケットが締結されるドリブンフランジ(60)と、
    前記スプロケットと前記ホイールとを連結する環状のダンパ(80)と、を備え、
    前記ホイールのハブ(51)には、前記ハブから車幅方向外側に向かって延び、前記ダンパを収容する凹部(54a)を有するダンパ収容ボス(54)が、周方向に複数形成され、
    前記ダンパ内に、前記スプロケットに取り付けられるダンパ押圧部材(73,74)が挿入される鞍乗型車両(10)の後輪駆動構造において、
    前記スプロケットと前記ドリブンフランジとの締結部(71,72)が、周方向に隣り合う前記ダンパ収容ボス間の空間(56)にそれぞれ配置されることを特徴とする鞍乗型車両の後輪駆動構造。
  2. 前記ダンパ押圧部材は、前記スプロケット(23)を挟むように設けられるダンパ側ボルト(73)及びダンパ側ナット(74)から構成され、
    前記スプロケットと前記ドリブンフランジ(60)との締結部は、フランジ側ボルト(71)及びフランジ側ナット(72)から構成され、
    前記フランジ側ボルトは、前記ダンパ側ボルトよりも径方向外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の後輪駆動構造。
  3. 前記ドリブンフランジ(60)は、前記車軸(14)側から前記スプロケット(23)との締結部(71,72)に向けて延びる複数の腕部(62)を有し、
    前記腕部同士の連結部(63)が円弧状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両の後輪駆動構造。
  4. 前記ホイール(50)は、複数のスポーク部(52)を有し、
    前記ハブ(51)の側面に傾斜面(55)が形成され、
    前記スプロケット(23)と前記ドリブンフランジ(60)との締結部(71,72)は、前記ダンパ収容ボス(54)と車両前後方向で重なる位置、且つ前記ハブの前記傾斜面に隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の後輪駆動構造。
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