JP5111874B2 - クッション支持構造 - Google Patents
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Description
この種の車両には、ロアアームの途中にクロスメンバを設け、このクロスメンバにクッション下端を支持したものや(例えば、特許文献1参照)、アッパアームの先端を二股にしてナックルを支持する二股のナックル支持部を形成し、この二股のナックル支持部の間にクッション下端を支持したものがある(例えば、特許文献2参照)。
一方、特許文献2記載のものは、二股のナックル支持部の間にクッション下端を支持するので、クッション支持部を別途設けない分、部品点数の増加は抑制できるものの、クッションストローク長を稼ぐことができず、また、ナックル支持部を二股にするために構造が複雑化してしまう。
この発明によれば、下アームのナックル支持部にクッション下端を同軸で支持したので、クッションストローク長を確保しつつ、ナックルとクッション下端の支持部品を共用する等して部品点数や重量の増加及び構造の複雑化を回避することができる。
また、下アームのナックル支持部は板部材を折り曲げて形成しており、該板部材に挟まれるようにナックルとクッション下端とを支持したので、ナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
また、下アームのナックル支持部はナックル及びクッション下端支持部の幅よりもアーム部との接続部の幅を広くしたので、ナックル支持部とアーム部との接続強度を確保してナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
また、クッション下端はナックルよりも車体前方側に位置するので、クッションと駆動軸との干渉を回避することができる。
また、上アームの幅を下アームの幅よりも小さくしており、クッションは上アームの前方に位置するので、クッションと上アームとの干渉を回避することができる。
図1は鞍乗り型車両の側面図、図2は同じく平面図である。鞍乗り型車両1はATV(All Terrain Vehicle)車(不整地走行車両)に分類される4輪車両であり、農業、牧畜業、狩猟、安全監視等の移動用、或いはレジャー用に適した車両であり、小形軽量に構成された車体の前後に比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して不整地の走破性を高めている。
鞍乗り型車両1は、車体フレーム4を有し、この車体フレーム4の前部には、独立懸架式(ダブルウィッシュボーン)式のフロントサスペンション57を介して左右の前輪2が懸架され、フレーム4の後部にも同じく独立懸架式(ダブルウィッシュボーン)式のリヤサスペンション81を介して左右の後輪3が懸架されている。
図3に示すように、アッパパイプ41とリヤクロスメンバ63との間にはブラケット70を介して左右一対のリヤクッションユニット(クッション)80の上部が支持され、このリヤクッションユニット80を含む左右一対のリヤサスペンション81がボックス構造60の左右に構成される。
本構成では、エンジン5がフレーム4に懸架した前輪2と後輪3との間に位置しており、特に、エンジン5のシリンダ部7のセンター(気筒間の略中心)が、該前輪2寄りに位置するように設けられる。鞍乗り型車両では、シート29の位置が決まると、これに連れてエンジン5の配置レイアウトが決まる。シート29の着座部が低く、該着座部よりも前方にエンジン5が配置されるためである。
リヤサスペンション81は、リヤサスペンションアームを構成するリヤアッパアーム(上アーム)82及びリヤロアアーム(下アーム)83とを備え、リヤアッパアーム82の基端部が、図3に示すアッパアーム支持部71、72を介して車体フレーム4に上下に揺動自在に支持され、リヤロアアーム83の基端部が図3に示すロアアーム支持部73、74を介して車体フレーム4に上下に揺動自在に支持される。
前アーム151及び後アーム152は、ナックル支持部160と車体フレーム4との間に延在するアーム部を構成し、各アーム151、152の端部には、略車体前後方向に貫通孔を有するボルト挿通部151a、152aがそれぞれ取り付けられる。これらボルト挿通部151a、152aは、図3に示す長軸ボルト154、155及びナット157、158を介してアッパアーム支持部71、72(図3参照)にそれぞれ連結されている。
屈曲管100は、図4に示すように、ナックル支持部110と車体フレーム4との間に延在するアーム部を構成する。この屈曲管100は、図7(B)に示すように、前アーム101と、前アーム101の後方に配置した後アーム102と、これら前アーム101及び後アーム102との間に渡したクロスメンバ103とを備えている。前アーム101及び後アーム102の端部には、略車体前後方向に延びる貫通孔を有するボルト挿通部101a、102aがそれぞれ取り付けられ、これらボルト挿通部101a、102aは、図3に示すように、ロアアーム支持部72、73に長軸ボルト75、76を介して連結される。
後アーム102には、ブラケット104が取り付けられ、このブラケット104とクロスメンバ103とにはボルト孔104a、103aが設けられ、これらボルト孔104a、103aによりボルト及びナットでインボード側ブーツカバー120(図6参照)が取り付けられる。このインボード側ブーツカバー120は、ドライブシャフト14の基端部側のブーツ89b(図4参照)を下方から覆う樹脂製の板部材であり、これにより、車体前方や下方からの飛び石や障害物からブーツ89b及びブーツ89b内の自在継手88b等を保護する。
また、側壁111a、111bには、図6に示すように、ナックル84下端とリヤクッションユニット80下端とに各々設けられたボルト挿通孔84d、80dを同軸に揃えて側壁111a、111b間に挿入した場合に、これらボルト挿通孔84d、80dに連通する貫通孔112a、112bが形成される。
本構成では、リヤクッションユニット80をナックル84よりも車体前方側に支持している。この構成により、リヤクッションユニット80と、ナックル84に支持されたハブ86に動力を伝達するドライブシャフト(駆動軸)14との干渉を回避することができる。また、図5に示すように、リヤアッパアーム82の幅をリヤロアアーム83の幅よりも小さくし、リヤクッションユニット80をリヤアッパアーム82の前方に位置させることによって、リヤアッパアーム82との干渉も回避している。
図4に示すように、これらアッパアーム連結部84bとロアアーム連結部84cとの間にはアクスル87が位置し、ナックル84、ハブ86及びアクスル87が連結始点(長軸ボルト113、163の軸心)を基準に略上下に揺動自在に構成される。
また、ナックル84とリヤクッションユニット80下端とを同軸で支持するので、ナックル支持部110にナックル84を支持する支持部品(長軸ボルト113、ナット114)を、リヤクッションユニット80の支持部品に兼用でき、部品点数を削減できると共に構造の複雑化を回避することができる。また、ロアアーム途中にクッション支持部を設けるために比較的大きなクロスメンバを使用する必要がある従来構成に比して、リヤロアアーム83のクロスメンバ103を小型化することができるので、クロスメンバの大型化による重量増加も回避することができる。
さらに、本構成では、リヤクッションユニット80をナックル84よりも車体前方側に支持させたので、リヤクッションユニット80とドライブシャフト14との干渉を避けることができ、また、リヤアッパアーム82の幅をリヤロアアーム83の幅よりも小さくしてリヤクッションユニット80をリヤアッパアーム82の前方に位置させたので、リヤクッションユニット80とリヤアッパアーム82との干渉を避けることができる。したがって、良好なクッションレイアウトを容易に実現することが可能である。
また、上述の実施形態では、後輪3のクッション支持構造に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、前輪2のクッション支持構造に本発明を適用してもよいことは勿論である。また、上述のダブルウィッシュボーン式のサスペンションに限らず、他方式のサスペンションに本発明を適用してもよい。さらに、上述の実施形態では、ATV(不整地走行車両)のサスペンションアーム構造に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、ATV以外の車両のサスペンションアーム構造に広く適用が可能である。
2 前輪
3 後輪
3a ホイール
3b リム
4 車体フレーム
5 エンジン
13、14 ドライブシャフト(駆動軸)
80 リヤクッションユニット(クッション)
81 リヤサスペンション
82 リヤアッパアーム(上アーム)
83 リヤロアアーム(下アーム)
84 ナックル
85 軸受
86 ハブ
88a、88b 自在継手
87 アクスル
89a、89b ブーツ
100 屈曲管(アーム部)
101、151 前アーム
102、152 後アーム
110、160 ナックル支持部
111 先端部(ナックル及びクッション下端支持部)
120 インボード側ブーツカバー
Claims (4)
- サスペンションアームを介してフレーム(4)に左右車輪(3)を揺動自在に各々独立懸架し、各車輪(3)にエンジン(5)からの動力を伝達する駆動軸(14)を備え、前記サスペンションアームが上アーム(82)及びこの上アーム(82)の下方に配置された下アーム(83)で形成されており、該上アーム(82)及び下アーム(83)でナックル(84)を支持し、該ナックル(84)が前記車輪(3)を回転自在に支持し、前記車輪(3)に伝わる衝撃を吸収するクッション(80)を備えたクッション支持構造において、
前記下アーム(83)のナックル支持部(110)に前記クッション(80)下端を同軸でかつ前記ナックル(84)よりも車体前方側に位置するように支持し、前記下アーム(83)の前記ナックル支持部(110)は、板部材を折り曲げて形成しており、該板部材の前縁及び後縁にそれぞれ形成された側壁(111a,111b)に挟まれるように前記ナックル(84)と、このナックル(84)の車体前方側に並べて配置された前記クッション(80)の下端とを支持し、
前記ナックル(84)の下アーム連結部(84c)、前記下アーム(83)のナックル支持部(110)、前記クッション(80)の下端、前記駆動軸(14)の一端とが前記車輪(3)のリム(3b)の内側に臨むように配置されたことを特徴とするクッション支持構造。 - 前記上アーム(82)の幅及び前記ナックル(84)の上アーム連結部(84b)の幅を、前記下アーム(83)の幅及び前記ナックル(84)の前記下アーム連結部(84c)の幅よりも車体前方側で小さくし、前記クッション(80)は、前記上アーム(82)の前方に位置し、
前記ナックル(84)の上アーム連結部(84b)、前記上アーム(82)のナックル支持部(160)も前記車輪(3)のリム(3b)の内側に臨むように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のクッション支持構造。 - 前記下アーム(83)は、略U字状のパイプ部材(100)と、このパイプ部材(100)の先端側の屈曲部に取付けられた板部材からなる前記ナックル支持部(110)とを備え、
前記ナックル支持部(110)は、車体前後方向の略中央が上方に盛り上げられた中央部(120a)と、この中央部(120a)を挟んで前後に配置された前部(120b)及び後部(120c)とが形成されるとともに、前記ナックル(84)及び前記クッション(80)下端支持部の幅(Lb)よりも前記パイプ部材(100)との接続部の幅(La)を広くし、
前記前後の側壁(111a,111b)に支軸(113)が渡して取付けられ、前記ナックル(84)と前記クッション(80)の下端とが前記支軸(113)で支持され、
前記中央部(120a)と、前記前部(120b)及び前記後部(120c)とは、前記パイプ部材(100)の屈曲部の上側と下側とに分けてそれぞれ溶接されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション支持構造。 - 前記各車輪(3)にエンジン(5)からの動力を伝達する駆動軸(14)を備え、前記車輪(3)のホイール(3a)に接続されたハブ(86)には、前記ナックル(84)を介して前記サスペンションアームの前記ナックル支持部(110)を連結し、前記ハブ(86)に連結されたアクスル(87)には、自在継手(88a)を介して前記駆動軸(14)を連結し、該連結部分をブーツ(89a)で覆い、
前記ナックル支持部(110)を、前記リム(3b)より車体内側へ延出して前記ブーツ(89a)下方を覆う板部材で形成し、
前記下アーム(83)と前記フレーム(4)との間には前記クッション(80)が介挿され、
前記ナックル支持部(110)は、断面略コ字状で、このコ字を形成する前記前後の側壁(111a、111b)間に前記クッション(80)と前記ナックル(84)とが前後に並べて配置され、下面視で前記クッション(80)の下端を覆い、
前記中央部(120a)は、前記ナックル支持部(110)の先端部(111)から車幅方向の車体中心側に行くに従って盛り上がりの高さが高くなり、
前記前部(120b)は、前記ナックル支持部(110)の先端部よりも前方に膨出する膨出部が設けられ、
前記前部(120b)で前記クッション(80)の下端部下方を覆うことを特徴とする請求項3に記載のクッション支持構造。
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