JP2008183941A - クッション支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】クッションストローク長を確保しつつ、部品点数や重量の増加及び構造の複雑化を回避可能なクッション支持構造を提供する。
【解決手段】サスペンションアームを介してフレームに左右輪を揺動自在に各々独立懸架し、各車輪にエンジンからの動力を伝達する駆動軸を備え、サスペンションアームが上下のアーム82、83で形成されており、該上下のアーム83、84でナックル84を支持し、該ナックル84が車輪を回転自在に支持し、車輪に伝わる衝撃を吸収するクッション80を備えたクッション支持構造において、下アーム83のナックル支持部110にクッション80下端を同軸で支持した。
【選択図】図6

Description

本発明は、サスペンションアームを介してフレームに左右輪を揺動自在に各々独立懸架し、各車輪にエンジンからの動力を伝達する駆動軸を備え、サスペンションアームが上下のアームで形成されており、該上下のアームでナックルを支持し、該ナックルが車輪を回転自在に支持し、車輪に伝わる衝撃を吸収するクッションを備えたクッション支持構造に関する。
左右輪を各々独立懸架する車両は、車体フレームに揺動可能に支持したサスペンションアームをアッパアームとロアアームとで構成し、この上下のアームでナックルを支持し、このナックルに回転自在に支持されたハブに車輪を連結し、この車輪に伝わる衝撃をクッションで吸収している。
この種の車両には、ロアアームの途中にクロスメンバを設け、このクロスメンバにクッション下端を支持したものや(例えば、特許文献1参照)、アッパアームの先端を二股にしてナックルを支持する二股のナックル支持部を形成し、この二股のナックル支持部の間にクッション下端を支持したものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−280619号公報 特開2003−002028号公報
しかし、特許文献1記載のものは、ロアアーム途中に別部品のクッション支持部を設けるため、部品点数が多くなってしまい、また、ロアアームの剛性を確保するために比較的大きなクロスメンバを使用しており、重量の増加が予想される。
一方、特許文献2記載のものは、二股のナックル支持部の間にクッション下端を支持するので、クッション支持部を別途設けない分、部品点数の増加は抑制できるものの、クッションストローク長を稼ぐことができず、また、ナックル支持部を二股にするために構造が複雑化してしまう。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、クッションストローク長を確保しつつ、部品点数や重量の増加及び構造の複雑化を回避可能なクッション支持構造を提供することにある。
上述課題を解決するため、本発明は、サスペンションアームを介してフレームに左右輪を揺動自在に各々独立懸架し、各車輪にエンジンからの動力を伝達する駆動軸を備え、前記サスペンションアームが上下のアームで形成されており、該上下のアームでナックルを支持し、該ナックルが車輪を回転自在に支持し、前記車輪に伝わる衝撃を吸収するクッションを備えたクッション支持構造において、前記下アームのナックル支持部にクッション下端を同軸で支持したことを特徴とする。
この発明によれば、下アームのナックル支持部にクッション下端を同軸で支持したので、クッションストローク長を確保しつつ、ナックルとクッション下端の支持部品を共用する等して部品点数や重量の増加及び構造の複雑化を回避することができる。
この場合において、前記下アームのナックル支持部は板部材を折り曲げて形成しており、該板部材に挟まれるようにナックルとクッション下端とを支持することが好ましい。この構成によれば、ナックル支持部の断面係数を高くすることができ、ナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
また、この場合において、前記下アームのナックル支持部はナックル及びクッション下端支持部の幅よりもアーム部との接続部の幅を広くすることが好ましい。この構成によれば、ナックル支持部とアーム部との接続強度を十分に確保でき、ナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
この場合において、前記クッション下端はナックルよりも車体前方側に位置することが好ましい。この構成によれば、クッションと駆動軸との干渉を回避することができる。また、前記上アームの幅を下アームの幅よりも小さくし、前記クッションは上アームの前方に位置することが好ましい。この構成によれば、クッションと上アームとの干渉を回避することができる。
また、この場合において、前記駆動軸と前記ナックルに支持されたハブに連結されたアクスルとの接続部分をブーツで覆い、前記ナックル支持部は前記ブーツ下方を覆うことが好ましい。この構成によれば、ナックル支持部によってブーツ下方とクッション下端を保護することができる。このため、アウトボード側ブーツカバーを別途設ける必要がなく、部品点数の削減ができ、重量の増加、構造の複雑化を回避することができる。
本発明では、下アームのナックル支持部にクッション下端を同軸で支持したので、クッションストローク長を確保しつつ、部品点数や重量の増加及び構造の複雑化を回避することができる。
また、下アームのナックル支持部は板部材を折り曲げて形成しており、該板部材に挟まれるようにナックルとクッション下端とを支持したので、ナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
また、下アームのナックル支持部はナックル及びクッション下端支持部の幅よりもアーム部との接続部の幅を広くしたので、ナックル支持部とアーム部との接続強度を確保してナックル支持部の剛性を十分に確保することができる。
また、クッション下端はナックルよりも車体前方側に位置するので、クッションと駆動軸との干渉を回避することができる。
また、上アームの幅を下アームの幅よりも小さくしており、クッションは上アームの前方に位置するので、クッションと上アームとの干渉を回避することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付した図面を参照して説明する。なお説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は車体に対してのものとする。
図1は鞍乗り型車両の側面図、図2は同じく平面図である。鞍乗り型車両1はATV(All Terrain Vehicle)車(不整地走行車両)に分類される4輪車両であり、農業、牧畜業、狩猟、安全監視等の移動用、或いはレジャー用に適した車両であり、小形軽量に構成された車体の前後に比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して不整地の走破性を高めている。
鞍乗り型車両1は、車体フレーム4を有し、この車体フレーム4の前部には、独立懸架式(ダブルウィッシュボーン)式のフロントサスペンション57を介して左右の前輪2が懸架され、フレーム4の後部にも同じく独立懸架式(ダブルウィッシュボーン)式のリヤサスペンション81を介して左右の後輪3が懸架されている。
車体フレーム4は、車体のほぼ前後方向に延出するフレーム本体4aを有している。フレーム本体4aは、複数種の鋼材を溶接等により結合して形成され、左右のアッパパイプ41及びロアパイプ42を主として左右一対の閉ループ構造体を形成し、これらを複数のクロスメンバを介して結合することで、車幅方向中央部において前後に長いボックス構造を形成する。アッパパイプ41は、車体前後方向に後下がりで緩やかに傾斜して延びる上部傾斜部41aと、上部傾斜部41aの前端部から斜め前下方に延びる前部傾斜部41bとを備え、ロアパイプ42は、アッパパイプ41の前部傾斜部41bの下端に連結されて車体前後方向に略水平に延びている。
そして、上記アッパパイプ41の前部傾斜部41bの前部と上記ロアパイプ42とが、後下がりに傾斜した左右一対の前方連結傾斜部46及び左右一対のフロントサブパイプ47で連結され、アッパパイプ41の後部とロアパイプ42との間は、ロアパイプ42からこれに対して鈍角となるように斜め上方に延びる左右一対のリヤサブパイプ62で連結される。また、リヤサブパイプ62とアッパパイプ41との間には左右一対のリヤクロスメンバ63が取り付けられる。
ロアパイプ42前部のフロントロアパイプ45は、車体前方に延びてその前端部にフロントプロテクタ34が連結され、このフロントプロテクタ34は、フロントキャリア35を支持するキャリーパイプを兼ねている。ロアパイプ42前方向の略中央部には、ステップバー56が設けられ、このステップバー56及びステップバー56の下方のステップボード(不図示)が乗員用ステップを構成する。
フロントロアパイプ45の前端部には、上述した左右の前部傾斜部41bが接合され、前部傾斜部41bは、斜め後上側に向けて延び、その上端部が各アッパパイプ41の前端部に連続している。左右の前部傾斜部41b間には、クロスメンバ51が渡設され、左右のフロントロアパイプ45間にも前後に間隔を空けてクロスメンバ53、54が渡設され、左右の前方連結傾斜部46間にもクロスメンバ52が渡設される。これらクロスメンバ51〜54によってフロント周りのフレーム剛性が十分に確保されると共に、クロスメンバ52、53及び54等が前輪側終減速装置11を支持する支持部材を兼ねている。
クロスメンバ51〜54には、左右一対のフロントサスペンションアームを構成するフロントアッパアーム(不図示)及びフロントロアアーム(不図示)が上下に揺動可能に支持される。より具体的には、上方側に位置するクロスメンバ51、52には、フロントアッパアーム(不図示)の基端側の前後が上下に揺動可能に軸支され、下方側のクロスメンバ53、54にはフロントロアアーム(不図示)の基端側の前後が上下に揺動可能に軸支される。左右の両アッパアーム及びロアアームの先端側には、左右一対のナックル(不図示)の上下が揺動自在に軸支され、両ナックルには左右前輪2のハブが回転自在に支持され、左右のロアアームとクロスメンバ55との間には、左右一対のフロントクッションユニット(クッション)58の上端が支持され、これらによって、前輪2を懸架するフロントサスペンション57が構成される。
ロアパイプ42の後部とリヤクロスメンバ63とは上下方向に延びる左右一対のリヤメンバ64で連結され、これらロアパイプ42、リヤサブパイプ62、リヤクロスメンバ63及びリヤメンバ64を主として左右一対の閉ループ構造体が形成され、後輪側終減速装置12を支持するボックス構造60が形成される。そして、リヤクロスメンバ63間にはクロスメンバ69が渡設され、ロアパイプ42の後部間にはクロスメンバ67が渡設され、リヤメンバ64の下端部近傍間にはクロスメンバ68が渡設される。これらクロスメンバ67〜69によってリヤ周りのフレーム剛性が十分に確保される。
図3に示すように、アッパパイプ41とリヤクロスメンバ63との間にはブラケット70を介して左右一対のリヤクッションユニット(クッション)80の上部が支持され、このリヤクッションユニット80を含む左右一対のリヤサスペンション81がボックス構造60の左右に構成される。
本構成では、図1及び図2に示すように、車体フレーム4の略中央に例えば水冷式2気筒エンジンからなる原動機としてのエンジン5が搭載され、このエンジン5はクランクシャフト等を軸支するクランクケース6と、このクランクケース6の上に連結されるシリンダ部7とを備え、クランクシャフトの回転軸線を車両前後方向に沿わせたいわゆる縦置きレイアウトとされている。クランクケース6は変速機を収容する変速機ケースを兼ね、クランクケース6の前後からは、クランクケース6内の変速機に連結された前輪用と後輪用の各プロペラシャフト8、9が各々前方及び後方に向けて導出される。
各プロペラシャフト8、9は、車体フレーム4の前部下側及び後部下側において、前輪側終減速装置11及び後輪側終減速装置12と、これら終減速装置11、12の左右に延びるドライブシャフト(駆動軸)13、14等を介して前輪2及び後輪3に各々動力伝達可能に接続され、エンジン5からの回転動力は、クランクケース6内の変速機を介して各プロペラシャフト8、9に伝達された後、各終減速装置11、12及びドライブシャフト13、14を介して前輪2及び後輪3に伝達される。
エンジン5のシリンダ部7の上部にはシリンダヘッド部20が接続され、このシリンダヘッド部20の上方には、スロットルボディ21が設けられる。そして、このスロットルボディ21には、エアクリーナケース22が接続され、これらがエンジン5の吸気系を構成している。エンジン5のシリンダヘッド部20の一側(左側面部)には、エンジン5の2気筒に対応して、2本の排気管23が接続されている。これら排気管23は、シリンダ部7の左側面部から左方に延び、かつ屈曲してエンジン後方に延びた後に、クランクケース6とシリンダ部7の境界部左側方に位置する合流管26で合流し、ここから後方に延びた後に、車体後部左側方に先上がりに斜め傾斜して配置されたサイレンサ24に接続され、これらがエンジン5の排気系を構成している。
車体フレーム4の車幅方向中央には、図1及び図2に示すように、車体前側から順にエンジン冷却用のラジエータ25、送風ファン25a、シェラウド25b、フロントクッションユニット58、ステアリングシャフト27、エアクリーナケース22、スロットルボディ21、鞍乗り型のシート29及び燃料タンク28がそれぞれ配設されている。ステアリングシャフト27の上端部には、エアクリーナケース22の斜め上方に位置するバー型のハンドル30が取り付けられ、ステアリングシャフト27の下端部には、電動パワーステアリング機構91及び前輪操舵機構31が連結されている。
車体フレーム4の前部には、車体前部をエアクリーナケース22及びスロットルボディ21を含めて上方から覆う樹脂製の車体カバー32と、両前輪2をその上方から後方に渡って覆う樹脂製のフロントフェンダ33と、主に鋼材からなるフロントプロテクタ34及びフロントキャリア35とが設けられている。また、車体フレーム4の後部には、両後輪3をその前方から上方に渡って覆う樹脂製のリヤフェンダ36と、主に鋼材からなるリヤキャリア37が設けられている。
本構成では、エンジン5がフレーム4に懸架した前輪2と後輪3との間に位置しており、特に、エンジン5のシリンダ部7のセンター(気筒間の略中心)が、該前輪2寄りに位置するように設けられる。鞍乗り型車両では、シート29の位置が決まると、これに連れてエンジン5の配置レイアウトが決まる。シート29の着座部が低く、該着座部よりも前方にエンジン5が配置されるためである。
このエンジン5は、クランクケース6と該クランクケース6から上方に張り出すシリンダ部7とを備え、クランクケース6には車体前後方向に延びる縦置きクランク軸が設けられ、クランク軸の前端にはACG(交流発電機)190が接続され、クランク軸の後端にはトルクコンバータ等を含む動力伝達系部材200が接続されている。即ち、エンジン5がACG190を車体前方側に向け、動力伝達系部材200を車体後方側に向けて配置されている。また、エンジン5の前側には前輪側終減速装置11が位置し、後側には後輪側終減速装置12が位置し、エンジン5から各終減速装置11、12までの距離は、後輪側終減速装置12までの距離が長く設定されている。
ACG190及び動力伝達系部材200は、シリンダ部7よりもエンジン前後方向に張り出し、動力伝達系部材200の後方への張り出し幅W1が、ACG190の前方への張り出し幅W2よりも大きい。後方に張り出した動力伝達系部材200の上部にはエンジンオイルを貯蔵するオイルタンク92が設けられ、オイルタンク92の上部にはバッテリ93が配置されている。
図3に示すように、後輪側終減速装置12の前側には、後輪3駆動用のプロペラシャフト9に同軸固定されたブレーキディスク9aにパッドを押しつけるブレーキキャリパ9bが支持される。なお、図3において、符号71、72は、リヤサスペンション81の後述するリヤアッパアーム82を支持するアッパアーム支持部であり、符号73、74は、リヤサスペンション81の後述するリヤロアアーム83を支持するロアアーム支持部であり、符号74は、リヤ用のスタビライザ(不図示)を支持するスタビライザ支持部である。
図4はリヤサスペンション81を示す図である。左右のリヤサスペンション81は左右対称構造であるため、以下、一方の後輪3を懸架するリヤサスペンション81を説明する。
リヤサスペンション81は、リヤサスペンションアームを構成するリヤアッパアーム(上アーム)82及びリヤロアアーム(下アーム)83とを備え、リヤアッパアーム82の基端部が、図3に示すアッパアーム支持部71、72を介して車体フレーム4に上下に揺動自在に支持され、リヤロアアーム83の基端部が図3に示すロアアーム支持部73、74を介して車体フレーム4に上下に揺動自在に支持される。
リヤアッパアーム82及びリヤロアアーム83の先端にはナックル84が連結され、このナックル84には軸受85を介してハブ86が回転自在に支持され、このハブ86の外側(車体外方)に後輪3のホイール3aが接続される。リヤロアアーム83には、リヤクッションユニット80の先端が接続され、これらにより、後輪3が揺動自在に独立懸架される。ハブ86を支持する軸受85には、シールベアリングが使用され、これにより、ナックル84と後輪3のホイール3aとの間のシールと、ナックル84と以下に述べるアクスル87との間のシールが不要とされている。
このハブ86の内側(車体内方)には、ドライブシャフト14が自在継手88aを介して接続されたアクスル87が設けられ、これらによって、エンジン5の動力が後輪側終減速装置12からドライブシャフト14を介してアクスル87及びハブ86に伝達され、後輪3が回転駆動される。このドライブシャフト14は、後輪側終減速装置12に対しても自在継手88bを介して接続され、これら自在継手88a、88bは、入力側(後輪側終減速装置12側)と出力側(後輪3側)の速度を等しくする等速ジョイントにより構成されている。
ドライブシャフト14の両端部の自在継手88a、88bとドライブシャフト14との連結部分は、ゴム製又は樹脂のブーツ89a、89bでそれぞれ覆われる。後輪3側のブーツ89aは、自在継手88aとドライブシャフト14の先端部とを覆うためにホイール3aのリム3bより車体内方側へはみ出しており、また、後輪側終減速装置12側のブーツ89bは、自在継手88bとドライブシャフト14の基端部とを覆うためにロアパイプ42よりも車体外方側へはみ出している。
図5はリヤアッパアーム82を周辺構成と共に示す図である。リヤアッパアーム82は、パイプ部材からなる前アーム151及び後アーム152と、これら前アーム151及び後アーム152との間に渡したクロスメンバ153と、ナックル84の上端部を支持するナックル支持部(ピボット部ともいう)160とを備えている。
前アーム151及び後アーム152は、ナックル支持部160と車体フレーム4との間に延在するアーム部を構成し、各アーム151、152の端部には、略車体前後方向に貫通孔を有するボルト挿通部151a、152aがそれぞれ取り付けられる。これらボルト挿通部151a、152aは、図3に示す長軸ボルト154、155及びナット157、158を介してアッパアーム支持部71、72(図3参照)にそれぞれ連結されている。
ナックル支持部160は、プレス成形により金属製の板部材を折り曲げて下方に開口する断面略コ字状に形成され、その基端部が前アーム151及び後アーム152の先端部に溶接等で接合される。このナックル支持部160には、ナックル84の上端部が長軸ボルト163を介して回動自在に連結され、この長軸ボルト163はナット164によりナックル支持部160に固定される。
図6及び図7はリヤロアアーム83を示す図である。リヤロアアーム83は、略U字状に屈曲するパイプ部材である屈曲管100と、ナックル84を支持するナックル支持部(ピボット部ともいう)110とを備えている。
屈曲管100は、図4に示すように、ナックル支持部110と車体フレーム4との間に延在するアーム部を構成する。この屈曲管100は、図7(B)に示すように、前アーム101と、前アーム101の後方に配置した後アーム102と、これら前アーム101及び後アーム102との間に渡したクロスメンバ103とを備えている。前アーム101及び後アーム102の端部には、略車体前後方向に延びる貫通孔を有するボルト挿通部101a、102aがそれぞれ取り付けられ、これらボルト挿通部101a、102aは、図3に示すように、ロアアーム支持部72、73に長軸ボルト75、76を介して連結される。
ここで、長軸ボルト75、76の軸部には膨出部75a、76aが設けられ、この膨出部75a、76aがロアアーム支持部72、73に支持されることによって、リヤロアアーム83が、上下に揺動自在、かつ、前後に傾き自在に車体フレーム4に支持される。なお、リヤアッパアーム82についても、同様の構成により、上下に揺動自在、かつ、前後に傾き自在に車体フレーム4に支持される。
前アーム101には、ロアパイプ42に設けられたスタビライザ支持部74と共にスタビライザを支持するアーム側スタビライザ支持部101bが取り付けられ、このスタビライザによって左右の後輪3が上下逆相に動くときにリヤロアアーム83の動きを押さえて車体の傾き(ローリング)を押さえ込むことができる。
後アーム102には、ブラケット104が取り付けられ、このブラケット104とクロスメンバ103とにはボルト孔104a、103aが設けられ、これらボルト孔104a、103aによりボルト及びナットでインボード側ブーツカバー120(図6参照)が取り付けられる。このインボード側ブーツカバー120は、ドライブシャフト14の基端部側のブーツ89b(図4参照)を下方から覆う樹脂製の板部材であり、これにより、車体前方や下方からの飛び石や障害物からブーツ89b及びブーツ89b内の自在継手88b等を保護する。
ナックル支持部110は、プレス成形により金属製の板部材を折り曲げて形成され、その基端部(接続部)110aが屈曲管100の先端部に溶接等で接合される。詳述すると、このナックル支持部110は、図7(B)に示すように、屈曲管100に接続される基端部(接続部)110aの幅Laが、先端部(ナックル及びクッション下端支持部)111の幅Lbよりも広い断面略コ字状にプレス成形され、このため、車体前後方向に間隔を空けて前後一対の側壁111a、111bが一体に形成される。
前後一対の側壁111a、111bの先端部111側の間隔Lb1は、図6に示すように、ナックル84下端とリヤクッションユニット80下端とを前後に並べた状態で側壁111a、111b間に挿入すると、これらを前後から側壁111a、111bで略挟むような距離に設定されている。
また、側壁111a、111bには、図6に示すように、ナックル84下端とリヤクッションユニット80下端とに各々設けられたボルト挿通孔84d、80dを同軸に揃えて側壁111a、111b間に挿入した場合に、これらボルト挿通孔84d、80dに連通する貫通孔112a、112bが形成される。
このため、側壁111aの貫通孔121a、リヤクッションユニット80下端のボルト挿通孔80d、ナックル84下端のボルト挿通孔84d、及び、側壁111bの貫通孔112bを全て連通させた状態で、この連通孔に長軸ボルト113を挿入してナット114を締結することにより、この長軸ボルト113を介して、ナックル支持部110に、ナックル84とリヤクッションユニット80とが同軸で支持される。
本構成では、リヤクッションユニット80をナックル84よりも車体前方側に支持している。この構成により、リヤクッションユニット80と、ナックル84に支持されたハブ86に動力を伝達するドライブシャフト(駆動軸)14との干渉を回避することができる。また、図5に示すように、リヤアッパアーム82の幅をリヤロアアーム83の幅よりも小さくし、リヤクッションユニット80をリヤアッパアーム82の前方に位置させることによって、リヤアッパアーム82との干渉も回避している。
ナックル支持部110の基端部120は、図7(A)〜(C)に示すように、先端部111から車体中心側に行くに従って、車体前後方向の略中央部120aが上方に盛り上がる中央凸の断面形状に形成されている。このナックル支持部110は、この中央部120aの基端部が、屈曲管100の上側に溶接され、この中央部120aを挟んで前後の部分120b、120cが、屈曲管100の下側に溶接される。これによって、ナックル支持部110の基端部120が、屈曲管100を上下から挟んだ状態で接合されることとなり、ナックル支持部110と屈曲管100とを高強度で接合することができる。また、ナックル支持部110が凹凸を有する断面形状に形成されるので、断面係数が高く、ナックル支持部110の剛性を十分に確保することができる。
図8(A)はリヤのナックル84を示し、図8(B)は、図8(A)の縦断面(Y1−Y1断面)を示している。ナックル84は、ハブ86を回転自在に支持するナックル本体84aと、リヤアッパアーム82に連結されるアッパアーム連結部84bと、リヤロアアーム83に連結されるロアアーム連結部84cとを一体に備えている。ナックル本体84aは、軸受85(図4参照)が挿入される挿入孔84a1を有し、この挿入孔84a1の奥部に軸受85の外輪が当接して軸受85を位置決めする内方凸部84a2が形成されている。
アッパアーム連結部84bは、ナックル本体84aの上部から斜め上方に延出し、その端部に設けられたボルト挿通部84b1が長軸ボルト163(図6参照)を介してリヤアッパアーム82に回動自在に連結される。また、ロアアーム連結部84cは、ナックル本体84aの下部から斜め下方に延出し、その端部に設けられたボルト挿通部84c1が長軸ボルト113(図5参照)を介してリヤアッパアーム82に回動自在に連結される。
図4に示すように、これらアッパアーム連結部84bとロアアーム連結部84cとの間にはアクスル87が位置し、ナックル84、ハブ86及びアクスル87が連結始点(長軸ボルト113、163の軸心)を基準に略上下に揺動自在に構成される。
また、図4に示すように、ナックル84に支持されたハブ86に後輪3を接続した場合、ナックル支持部110は、ホイール3aのリム3bと屈曲管100との間に延在して、図9に示すように、ドライブシャフト14の先端部側のブーツ89a下方とリヤクッションユニット80下端下方を覆う。このため、このナックル支持部110は、リヤロアアーム83の一部として機能するだけでなく、車体前方や下方からの飛び石や障害物からブーツ89a、ブーツ89b内の自在継手88b及びリヤクッションユニット80を保護するアウトボード側ブーツカバーの機能を兼用することができる。
このように本実施の形態では、リヤロアアーム83のナックル支持部110に、リヤクッションユニット80下端を同軸で支持したので、リヤクッションユニット80の上端支持位置(アッパパイプ41近傍のブラケット70(図4参照))からリヤクッションユニット80の下端支持位置までの距離を長く確保することができる。これによって、クッションストローク長を十分に確保することができる。
また、ナックル84とリヤクッションユニット80下端とを同軸で支持するので、ナックル支持部110にナックル84を支持する支持部品(長軸ボルト113、ナット114)を、リヤクッションユニット80の支持部品に兼用でき、部品点数を削減できると共に構造の複雑化を回避することができる。また、ロアアーム途中にクッション支持部を設けるために比較的大きなクロスメンバを使用する必要がある従来構成に比して、リヤロアアーム83のクロスメンバ103を小型化することができるので、クロスメンバの大型化による重量増加も回避することができる。
また、本構成では、ナックル支持部110を板部材を折り曲げて形成したので、ナックル支持部110の断面係数を高くすることができ、十分な剛性を確保することができる。しかも、このナックル支持部110は、ナックル84とリヤクッションユニット80下端とを支持する支持部(先端部111に相当)の幅Lbよりも、アーム部として機能する屈曲管100に接続される接続部(基端部110a)の幅Laを広くしているので、ナックル支持部110とアーム部との接続強度を十分に確保することができ、これによっても、ナックル支持部110の剛性を十分に確保することが可能である。
また、このナックル支持部110を構成する板部材が、ドライブシャフト14とアクスル87との接続部分を覆うブーツ89a下方とリヤクッションユニット80下端下方を覆うので、アウトボード側ブーツカバーを別途設ける必要がなく、これによっても部品点数の削減、重量の増加、構造の複雑化を回避することが可能である。
さらに、本構成では、リヤクッションユニット80をナックル84よりも車体前方側に支持させたので、リヤクッションユニット80とドライブシャフト14との干渉を避けることができ、また、リヤアッパアーム82の幅をリヤロアアーム83の幅よりも小さくしてリヤクッションユニット80をリヤアッパアーム82の前方に位置させたので、リヤクッションユニット80とリヤアッパアーム82との干渉を避けることができる。したがって、良好なクッションレイアウトを容易に実現することが可能である。
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでないことは明らかである。例えば、上述の実施形態では、ナックル支持部110を金属製の板部材で形成する場合について説明したが、これに限らず、合成樹脂等の金属材以外の剛性材の板部材で形成することも可能である。
また、上述の実施形態では、後輪3のクッション支持構造に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、前輪2のクッション支持構造に本発明を適用してもよいことは勿論である。また、上述のダブルウィッシュボーン式のサスペンションに限らず、他方式のサスペンションに本発明を適用してもよい。さらに、上述の実施形態では、ATV(不整地走行車両)のサスペンションアーム構造に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、ATV以外の車両のサスペンションアーム構造に広く適用が可能である。
本発明に係るサスペンションアーム構造を適用した鞍乗り型車両の側面図である。 鞍乗り型車両の平面図である。 鞍乗り型車両の後部側面図である。 リヤサスペンションをその周辺構成と共に示す図である。 リヤアッパアームをその周辺構成と共に示す図である。 リヤロアアームをその周辺構成と共に示す図である。 (A)はリヤロアアームの一部を前方から見た図であり、(B)はリヤロアアームの平面図であり、(C)はリヤロアアームを後方から見た図である。 (A)はリヤのナックルを示し、(B)は(A)の縦断面(Y1−Y1断面)を示す図である。 リヤロアアームをその周辺構成と共に示す斜視図である。
符号の説明
1 鞍乗り型車両
2 前輪
3 後輪
3a ホイール
3b リム
4 車体フレーム
5 エンジン
13、14 ドライブシャフト(駆動軸)
80 リヤクッションユニット(クッション)
81 リヤサスペンション
82 リヤアッパアーム(上アーム)
83 リヤロアアーム(下アーム)
84 ナックル
85 軸受
86 ハブ
88a、88b 自在継手
87 アクスル
89a、89b ブーツ
100 屈曲管(アーム部)
101、151 前アーム
102、152 後アーム
110、160 ナックル支持部
111 先端部(ナックル及びクッション下端支持部)
120 インボード側ブーツカバー

Claims (5)

  1. サスペンションアームを介してフレームに左右輪を揺動自在に各々独立懸架し、各車輪にエンジンからの動力を伝達する駆動軸を備え、前記サスペンションアームが上下のアームで形成されており、該上下のアームでナックルを支持し、該ナックルが車輪を回転自在に支持し、前記車輪に伝わる衝撃を吸収するクッションを備えたクッション支持構造において、
    前記下アームのナックル支持部にクッション下端を同軸で支持したことを特徴とするクッション支持構造。
  2. 前記下アームのナックル支持部は板部材を折り曲げて形成しており、該板部材に挟まれるようにナックルとクッション下端とを支持したことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のクッション支持構造。
  3. 前記下アームのナックル支持部はナックル及びクッション下端支持部の幅よりもアーム部との接続部の幅を広くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション支持構造。
  4. 前記クッション下端はナックルよりも車体前方側に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクッション支持構造。
  5. 前記上アームの幅を下アームの幅よりも小さくしており、前記クッションは上アームの前方に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のクッション支持構造。
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